JPH042659Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は療養等の目的で使用されるベツド装
置に係り、特に用便後の排泄物を簡単且つ衛生的
に処理するための技術に関する。

〔従来の技術〕

寝たきり老人や病人等の療養に使用されるベツ
ド装置の一種として、マツト台に装着されたマツ
トにトイレ用開口窓を形成し、用便時に該トイレ
用開口窓の直下方に便器を配置せしめて、療養者
が寝たままでも用便できるように構成したものが
ある。

この種のベツド装置において、用便後の排泄物
の処理を行う場合には、付き添いの者がその都度
便器を取り替えたり、或いは便器に排出された排
泄物を容器や袋体等に一旦収容した後で捨てに行
くといつた手段を用いるのが通例であつた。

また、大きな施設等においては、このベツド装
置の据え付けに際して、上記便器と下水管とを連
通する連通用パイプを配設し、このパイプを介し
て上記排泄物を流出せしめるといつた手段が提案
され或いは用いられていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、一般家庭等で上述のベツド装置
を使用する場合に、便器と下水管とを連通する連
通用パイプを設けようとすれば、床板に穴を穿設
したり或いは土中にパイプを埋め込んだり等の大
掛りな配管工事が必要となつて不経済であると共
に、一旦設置したベツド装置の設置位置を容易に
変更できなくなり、これに起因して室内における
レイアウト上の問題や設置スペース上の問題が生
じることになる。

一方、付き添いの者が上述の如く排泄物の処理
を行う場合には、全ての作業を手作業で行わねば
ならず、そのため当該処理が極めて面倒且つ煩雑
なものになるのは勿論のこと、付き添いの者の手
が汚れたり或いは室内に悪臭が籠るなどして衛生
面上好ましくないという不具合を招くことにな
る。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は上記事情に鑑み、寝たままでも用便
可能なベツド装置に新規な構成を付加することに
より、大掛りな配管工事等を必要とせず、しかも
排泄物の処理を簡単且つ衛生的に行い得るベツド
装置を提供することを技術的課題としてなされた
ものであつて、その手段とするところは、基台の
上部に配設されたマツト台と、該マツト台に装着
されたマツトと、該マツトに形成されたトイレ用
開口窓とを有して、用便時に該トイレ用開口窓の
直下方に便器を位置させるように構成したベツド
装置において、上記基台に回転可能に保持された
回転テーブルと、該回転テーブルに載置されて上
端が開口された袋体と、用便時に該袋体が上記便
器の排出口直下方に位置されるように上記回転テ
ーブルを回転駆動せしめる回転駆動装置と、相接
近及び相離反する一対の押圧板の動作により用便
後に上記袋体の上端部を接着する接着装置とを具
備したところにある。

〔作用〕

上記手段によると、用便時にスイツチ操作等に
より回転駆動装置を作動させれば、袋体が載置さ
れている回転テーブルが所要角度だけ回転し、こ
れに伴つて当該袋体が便器の排出口下方の所定位
置まで旋回移動する。

このような状態の下で、マツト上に寝ている療
養者がトイレ用開口窓から用便すれば、その排泄
物は、便器の排出口から落下ないし流下し、袋体
の上端開口部を介して該袋体の内部に収容され
る。そして、用便後は、接着装置における一対の
押圧板（例えば、一対の加熱板）が相接近して袋
体の上端部を圧接する。これにより、当該袋体の
上端部が接着（例えば熱により接着）されて該袋
体は密封状態となる。

この場合において、上記回転テーブルに複数個
の袋体を、等角度間隔つまり上記の所要角度間隔
で載置しておけば、上述の一連の動作を連続的に
行い得ることになる。

尚、上記接着装置を動作させるモータ等のアク
チユエータは、以下の実施例でも述べるように、
回転テーブルを駆動する回転駆動装置のアクチユ
エータと兼用することが可能である。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図及び第２図に示すように、ベツド装置１
の基台２は、前方（図面における右方）に配置さ
れた左右一対の前脚３と、後方に配置された左右
一対の後脚４と、これらの前、後脚３，４に連設
された同じく左右一対の水平枠５と、該水平枠５
に固設された載置台６とを有する。

上記前脚３は、その上部が分岐形成されている
と共に、一方の分岐部３ａの上端には支持ローラ
７が回転自在に保持され、且つ他方の分岐部３ｂ
の上端にはストツパー８が固着されている。

一方、この基台２の上部に配設されているマツ
ト台９は、上半身支持部９ａと腰支持部９ｂと下
脚支持部９ｃとからなり、上半身支持部９ａと腰
支持部９ｂとは、蝶番１０を介してＶ字状に折曲
可能に連結されていると共に、腰支持部９ｂと下
脚支持部９ｃとは、両者の対向端に夫々形成され
て上記後脚４の上端部に支軸１１，１２を介して
回転可能に保持されたギヤ部９ｄ，９ｅが互いに
噛合されていることにより、逆Ｖ字状に折曲可能
となるように構成されている。

この場合において、第１図に実線で示すよう
に、上半身支持部９ａは、前脚３における支持ロ
ーラ７及びストツパー８の上端に当接載置される
ことによりその水平状態が保たれると共に、腰支
持部９ｂ及び下脚支持部９ｃは、両者のギヤ部９
ｄ，９ｅの噛合位置が所定位置にあることによ
り、その両者の水平状態が保たれるようになつて
いる。

そして、下脚支持部９ｃの下面にはブラケツト
１３を介して連結ロツド１４の一端が回動可能に
取り付けられ、且つ該連結ロツド１４の他端とめ
ねじ部を有する筒軸１５の一端とが屈伸可能に連
結されていると共に、該筒軸１５に螺合されて筒
カバー１６に挿通されたねじ軸１７が、モータ１
８の回動軸と一体回転可能に結合されている。ま
た、上記腰支持部９ｂの左右両側部には、起立姿
勢を取つた時に肘掛けとなる肘掛け部９ｆが設け
られており、更に該腰支持部９ｂの下方には揺動
支軸１９を介して傾動可能とされた便器２０が配
置されている。そして、上記モータ１８の作動に
よりねじ軸１７が回転した場合には、上記筒軸１
５が退動もしくは収縮動して同図に鎖線で示すよ
うに下脚支持部９ｃと腰支持部９ｂとが逆Ｖ字状
に折曲され、これに伴つて腰支持部９ｂと上半身
支持部９ａとがＶ字状に折曲される。この時、上
半身支持部９ａの連結側端部は下降し、これに伴
つて当該端部に取り付けられた突片２１が、便器
２０の一端に突設された円柱状突起２２を当接下
降せしめる。これにより、上記便器２０が、腰支
持部９ｂの傾斜に対応するように傾斜された上で
該腰支持部９ｂの直下方に配置された状態とな
る。

この場合、上記便器２０の下端部と上記載置台
６の下方空間とは、可撓性材料でなる伸縮自在な
フレキシブルパイプ２３で連通されており、この
フレキシブルパイプ２３の上記載置台６下方空間
への開口部が、便器２０からの排泄物を排出する
排出口２４とされている。そして、上記フレキシ
ブルパイプ２３が伸縮動作を行うことにより、便
器２０が傾動した場合においても、該便器２０と
上記排出口２４との連通状態は良好に保持され
る。また、このように腰支持部９ｂが傾動された
場合には、図示しない連動機構の動作により上記
肘掛け部９ｆが起立姿勢に保持されるようになつ
ている。

更に、上記マツト台９には、上半身部マツト２
５ａと腰部マツト２５ｂと下脚部マツト２５ｃと
に分割されてなるマツト２５が装着され、且つ腰
部マツト２５ｂの中央部にはトイレ用開口窓２６
が形成されて、このトイレ用開口窓２６の直下方
に上記便器２０が配置されている（第３図参照）。
そして、当該ベツド装置１が第１図に実線で示す
状態にある時には上記トイレ用開口窓２６がマツ
ト蓋２７により封止され、また同図に鎖線で示す
状態にある時には、図示しない駆動機構により該
マツト蓋２７が上記トイレ用開口窓２６の下部側
方に退避移動する構成とされている（第３図参
照）。尚、第１図は、便宜上、マツト台９にマツ
ト２５が装着されていない状態を示している。

然して、以上の構成に加えてこのベツド装置１
には、回転テーブル３０と、該回転テーブル３０
を回転駆動せしめる回転駆動装置３１とが備えら
れている。

上記回転テーブル３０は、第２図に示すように
上板３０ａと下板３０ｂとを有し、平面視が八角
形状とされていると共に（第４図参照）、上板３
０ａに等角度間隔で形成された各嵌入孔３２…３
２には夫々、各袋体３３…３３が上端を開口させ
て嵌入されており、これにより各袋体３３…３３
が回転テーブル３０に等角度間隔で載置された状
態となつている。

尚、この実施例においては、回転テーブル３０
の上板３０ａに45°間隔で嵌入孔３２…３２を形
成し、合計８個の袋体３３…３３を該回転テーブ
ル３０に載置しているが、上記の角度は45°に限
定されるものではなく、また袋体３３の個数も特
に限定されるものではない。

そして、この回転テーブル３０は、上記載置台
６の下方に回転支持軸３４を介して回転可能に保
持され、回転駆動装置３１の動作により第４図ａ
方向に45°ずつ間欠的に回転されると共に、各袋
体３３が便器２０の排出口２４直下方まで移動し
た時点でその回転動が停止される構成とされてい
る。

一方、回転駆動装置３１は、上記回転支持軸３
４にワンウエイクラツチ３５を介して嵌合保持さ
れたウオームホイル３６と、該ウオームホイル３
６に噛合されたウオーム３７を有して上記載置台
６に回動可能に保持された第１ロツド３８と、該
第１ロツド３８を正逆回転させるアクチユエータ
（ステツピングモータ等）３９とを有する。そし
て、該アクチユエータ３９の正転と逆転とに応じ
てワンウエイクラツチ３５がロツク状態と非ロツ
ク状態とのいずれか一方の状態になることによ
り、第１ロツド３８の正逆転に対して回転テーブ
ル３０が一方向にのみ回転する構成とされてい
る。

更に、このベツド装置１には、上記回転テーブ
ル３０の上方所定位置に、袋体３３の上端部を接
着することにより該袋体３３を密封状態にする接
着装置４０が備えられている。

この接着装置４０は第４図に示すように、ヒー
タ等の発熱体を内蔵して加熱状態に保持された前
後一対の押圧板４１，４１を有し、前側の押圧板
４１の一端部には、上記第１ロツド３８に形成さ
れた左ねじ４２に螺合するナツト部材４３が固着
されていると共に、後側の押圧板４１の一端部に
は、上記第１ロツド３８に形成された右ねじ４４
に螺合するナツト部材４５が固着され、且つこの
両押圧板４１，４１の他端部は、該第１ロツド３
８と平行配置された第２ロツド４６に各保持部材
４７，４８を介して摺動自在に嵌合保持されてい
る。そして、この両押圧板４１，４１は、上記回
転テーブル３０が停止状態にある時つまり袋体３
３が便器２０の排出口２４直下方にある時におけ
る当該袋体３３の上端部両側方に配設されて、上
記アクチユエータ３９の正転及び逆転により、こ
の両押圧板４１，４１がｂ方向に相接近及びｃ方
向に相離反されるようになつている。

次に、上記実施例の作用を説明する。

このベツド装置１を使用して用便後の排泄物の
処理を行う場合には、先ず療養者の用便に先立つ
て、基台２における載置台６の上部に取り付けら
れたモータ１８を起動させてマツト台９の上半身
支持部９ａと腰支持部９ｂと下脚支持部９ｃとを
第２図に示す状態に折曲させる。そして、腰支持
部９ｂの腰部マツト２５ｂに形成されたトイレ用
開口窓２６の直下方に便器２０を配置せしめた上
で、回転駆動装置３１のアクチユエータ３９を正
転させて回転テーブル３０を所要角度だけ旋回さ
せることにより、１個の袋体３３を第２図に示す
ように便器２０の排出口２４直下方に配置せしめ
る。

このような状態の下で、マツト２５の上に寝て
いる療養者が上記トイレ用開口窓２６から用便す
れば、その排泄物は、便器２０の下端部及びフレ
キシブルパイプ２３を介して、排出口２４から第
２図に矢印ｘで示すように落下ないし流下し、上
記袋体３３の内部に収容される。そして、このよ
うに排泄物が一旦袋体３３に収容された直後にお
いては、上記アクチユエータ３９を逆転させるこ
とにより、接着装置４０における一対の押圧板４
１，４１を相接近させて当該袋体３３の上端部を
第５図に示すように圧接する。この時、上記押圧
板４１はヒータ等の発熱体により加熱されている
ので、上記袋体３３の上端部が接着ないし熱着さ
れて該袋体３３が密封状態となる。

この場合において、上記アクチユエータ３９に
連結された第１ロツド３８には右ねじ４４と左ね
じ４２とが形成され、右ねじ４４には一方の押圧
板４１に固着されたナツト部材４５が、また左ね
じ４２には他方の押圧板４１に固着されたナツト
部材４３が夫々螺合されているので、第１ロツド
３８が逆転つまり第４図ｄ方向に回転した場合に
は一対の押圧板４１，４１がｂ方向に相接近し、
また該第１ロツド３８が正転つまり第４図ｅ方向
に回転した場合には一対の押圧板４１，４１がｃ
方向に相離反する。更に、この第１ロツド３８に
形成されたウオーム３７はウオームホイル３６に
噛合されていると共に、このウオームホイル３６
と回転支持軸３４との間には、上記アクチユエー
タ３９が正転する時にロツク状態になり且つ逆転
する時に非ロツク状態になるワンウエイクラツチ
３５が介設されているので、上記一対の押圧板４
１，４１が袋体３３の接着を行う際には回転テー
ブル３０が停止状態に保持されており、また一対
の押圧板４１，４１が相離反する際にはこの動作
と共に回転テーブル３０が45°だけ回転する。

そして、療養者が再び用便を行う場合には、袋
体３３の接着後における一対の押圧板４１，４１
の相離反動作に伴つて回転テーブル３０が45°だ
け既に回転して、後続の新しい袋体３３が上記排
出口２４の直下方に配置されているので、上述の
場合と同様にして排泄物が新しい袋体３３の内部
に収容され、また用便後は当該袋体３３の上端部
が押圧板４１，４１により接着されて袋体３３は
完全に密封状態になる。

尚、この実施例は、単一のアクチユエータ３９
を用いて、回転テーブル３０の回転駆動と、押圧
板４１，４１の相接近、相離反動作とを行う構成
としたが、この考案はこれに限定されるものでは
なく、上記回転テーブル３０の回転駆動と押圧板
４１，４１の動作とを別個のアクチユエータを用
いて行う構成としてもよい。

また、この実施例における接着装置４０は、加
熱状態とされた押圧板４１，４１の動作により、
袋体３３の上端部を熱着するように構成したもの
であるが、これ以外の方法、例えば袋体の上端部
内周面に粘着剤や粘着テープを付着させておき、
押圧板により当該部位を圧接する方法を用いても
よい。

〔考案の効果〕

以上のようにこの考案によれば、寝たままでも
用便可能なベツド装置に、上端が開口された袋体
を載置する回転テーブルを備え、且つ用便時に当
該袋体が便器の排出口直下方に配置されるように
回転テーブルを駆動せしめると共に、排泄物が収
容された袋体の上端部を自動的に接着する接着装
置を備えたので、便器と下水管とを連通させるた
めの大掛りな配管工事が不要となつてベツド装置
の設置位置を容易に変更することが可能となり、
レイアウト上及び設置スペース上の問題が解消さ
れると共に、排泄物の処理が迅速且つ自動的に行
われることにより、従来のように全ての作業を手
作業で行つていた場合と比較して当該作業が衛生
的に行われ、更には作業者に強いられる負担ない
し煩わしさが効果的に低減されることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図はこの考案の実施例を示すもの
で、第１図はこの考案に係るベツド装置の全体構
成を示す側面図、第２図は第３図−線で切断
した要部縦断側面図、第３図は上記ベツド装置の
要部平面図、第４図は第１図−線で切断した
要部拡大横断平面図、第５図は作用を示す要部拡
大縦断側面図である。 １……ベツド装置、２……基台、９……マツト
台、２０……便器、２４……排出口、２５……マ
ツト、２６……トイレ用開口窓、３０……回転テ
ーブル、３１……回転駆動装置、３３……袋体、
４０……接着装置、４１……押圧板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基台の上部に配設されたマツト台と、該マツト
   台に装着されたマツトと、該マツトに形成された
   トイレ用開口窓とを有して、用便時に該トイレ用
   開口窓の直下方に便器を位置させるように構成し
   たベツド装置において、上記基台に回転可能に保
   持された回転テーブルと、該回転テーブルに載置
   されて上端が開口された袋体と、用便時に該袋体
   が上記便器の排出口直下方に位置されるように上
   記回転テーブルを回転駆動せしめる回転駆動装置
   と、相接近及び相離反する一対の押圧板の動作に
   より用便後に上記袋体の上端部を接着する接着装
   置とを具備してなることを特徴とするベツド装
   置。