JPH04265249A - 光増幅器及びレーザ - Google Patents

光増幅器及びレーザ

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JPH04265249A
JPH04265249A JP3143552A JP14355291A JPH04265249A JP H04265249 A JPH04265249 A JP H04265249A JP 3143552 A JP3143552 A JP 3143552A JP 14355291 A JP14355291 A JP 14355291A JP H04265249 A JPH04265249 A JP H04265249A
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band
light
fiber
optical fiber
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Masashi Onishi
正志 大西
Yoshiki Chigusa
佳樹 千種
Koji Nakazato
浩二 中里
Minoru Watanabe
稔 渡辺
Yoshiaki Miyajima
宮島 義昭
Tomonori Sugawa
智規 須川
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は1.3μm帯での光増幅
に使用される光機能性ガラス、光ファイバ、ファイバ増
幅器及びファイバレーザに関する。
【0002】
【従来の技術】1.3μm帯での光通信分野への応用等
のため、希土類元素を添加したガラスを用いてファイバ
増幅器、ファイバセンサ、ファイバレーザ等の光増幅装
置を作製する努力がなされている。例えば、燐酸塩系の
多成分ガラスにネオジムイオン(Nd3+)を添加した
ガラスを準備し、このガラスから形成した光ファイバの
レーザ発振特性について評価した旨の報告(ELECR
ONICS LETTERS,1990,Vol.26
,No.2,pp121−122 )等がなされている
。この報告では、光ファイバの特性に関して、Nd3+
に対する蛍光ピーク波長1.32μmで、ESA(ex
cited state absorption)遷移
に起因するピークが波長が約1.31μm、増幅ピーク
波長1.36μmという結果が得られたことが示されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の報告に
示される多成分ガラスでは波長1.3μm帯でレーザ発
振利得が得られていなかった。このようにレーザ発振利
得が得られない理由として、波長1.32μm帯でのN
d3+の蛍光ピークが比較的微弱であることと、ESA
遷移による比較的大きな吸収ピークがちょうど波長1.
31μmに存在することとが考えられている。
【0004】更に、上記の光ファイバのように誘導放出
を利用して光増幅を行う場合には、単に波長1.31μ
mの蛍光ピークが小さいということだけでなく、他に可
能な遷移による蛍光ピークが存在するということも問題
となる。つまり、上記光ファイバの場合には、Nd3+
の波長1.3μm帯の蛍光ピークが比較的微弱であるこ
とに加え、Nd3+のその他の可能な遷移に対応する波
長0.8μm帯、波長1.06μm帯等での発光が比較
的強いということが問題となる。このような波長0.8
μm帯、波長1.06μm帯等での発光による誘導放出
に起因して、波長1.3μm帯光の誘導放出が妨げられ
、その効率が著しく低下させられるものと考えられる。
【0005】そこで、上述の事情に鑑み、本発明は、波
長1.3μm帯での光増幅を可能にする、或いはその増
幅効率を高める光機能性ガラスを提供することを目的と
している。
【0006】また、本発明は上記光機能性ガラスを用い
た光ファイバ及び導波路素子を提供することを目的とす
る。
【0007】更に、本発明は上記光ファイバを用いたフ
ァイバ増幅器及び導波路素子増幅器を提供することを目
的とする。
【0008】更に、本発明は上記光ファイバを用いたフ
ァイバレーザ及び導波路素子レーザを提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
課題の解決のため、鋭意研究を重ねた結果、Nd3+を
活性物質として含む光機能性ガラスであって、1.3μ
m帯での光増幅を可能にする、或いはその増幅効率を高
めるガラスを見出した。
【0010】本発明の光機能性ガラスにあっては、活性
物質であるNd3+と共に、波長1μm付近に吸収帯を
有するNd3+以外の希土類イオンを吸収剤として添加
し、或いは波数約4000cm−1のエネルギーをNd
3+から伝達されることが可能な希土類イオンを促進剤
として添加する。ホストガラス(マトリックスガラス)
となる多成分ガラスとしては、燐酸塩ガラス等の酸化物
系多成分ガラスの他、弗化物系ガラス、カルコゲナイド
ガラス等の使用が可能である。
【0011】本発明の光機能性ガラスによれば、Nd3
+と共に添加するプラセオジムイオン(Pr3+)等の
吸収剤の存在により、Nd3+の波長1μm付近(例え
ば、波長1.06μm帯、波長0.88μm帯等)での
発光を吸収させることができる。さらに、Nd3+と共
に添加するテルビウムイオン(Tb3+)等の促進剤の
存在により、Nd3+の波長1.3μm帯での発光確率
を高めることもできる。この結果、Nd3+の波長1.
3μm帯での発光・光増幅を可能にし、さらにその効率
、利得等を増大させることができるガラスを得ることが
、後述のように判明した。
【0012】この場合、波長1.06μm帯の発光を吸
収する吸収剤としては、Pr3+の他、イッテルビウム
イオン(Yb3+)、サマリウムイオン(Sm3+)等
の使用が望ましい。また、波長0.88μm帯の発光を
吸収する吸収剤としては、ホロミウムイオン(Ho3+
)等の使用が望ましい。一方、波長1.3μm帯の発光
を促進する促進剤としては、Tb3+の他、ユウロピウ
ムイオン(Eu3+)等の使用が望ましい。
【0013】Pr3+、Yb3+、Sm3+等の濃度を
Nd3+に対して重量で50%から150%とすれば、
吸収剤としての効果を更に高めることができる。
【0014】また、本発明の光ファイバは、上記の光機
能性ガラスからなるコアと、コアを取り囲みコアより低
い屈折率を有するクラッドとを備える。
【0015】このような光ファイバによれば、コアガラ
ス中に、Nd3+と共に、吸収剤及び/又は促進剤を添
加しているため、コアガラス中を伝搬する波長1.31
μm帯光の光増幅が可能になり、或いは光増幅利得を増
大させることが可能になる。ファイバ化によってコアに
光が効率的に閉じ込められることと、閉じ込められた光
の損失が極めて低いこととから、低閾値でNd3+に反
転分布を形成することができるからである。
【0016】また、本発明のファイバ増幅器は、上記の
光ファイバと、励起光源と、光学手段とを備えることと
している。ここに、光ファイバは波長1.3μm帯の信
号光を伝搬し、励起光源は波長0.8μm帯の励起光を
発生し、光学手段は励起光を励起光源から光ファイバ内
に入射させる。
【0017】上記のファイバ増幅器によれば、光学手段
によりファイバ内に導入された波長0.8μm帯の励起
光によってNd3+が励起される。この励起されたNd
3+の多くは、これと同時に光ファイバ内に導入された
波長1.3μm帯の信号光等に誘導されて、放射光を発
生し、波長1.3μm帯での光増幅が可能になる。
【0018】また、本発明のファイバレーザは、上記の
光ファイバと、励起光源と、光学手段とを備えることと
している。ここに、励起光源は波長0.8μm帯の励起
光を発生し、光学手段は励起光を励起光源から光ファイ
バ内に入射させる。さらに、本発明のファイバレーザに
は、光ファイバ内からの波長1.3μm帯又はその近傍
の光を光ファイバにフィードバックする共振器構造が形
成されている。
【0019】上記のファイバレーザによれば、光学手段
によりファイバ内に導入された波長0.8μm帯の励起
光によってNd3+が励起される。この励起されたNd
3+の一部又は多くは、これと同時に光ファイバ内に導
入された波長1.3μm帯の信号光等に誘導されて、放
射光を発生し、波長1.3μm帯での光増幅が可能にな
る。
【0020】上記光ファイバを導波路素子に置き換えれ
ば、極めて小型の導波路素子増幅器、導波路素子レーザ
帯を構成することができる。
【0021】
【実施例】以下に、本発明の原理と完成に至った経緯と
を説明する。
【0022】上記の現象に関し、発明者は2つの仮説を
立てて検討した。これらの仮説について順次説明する。
【0023】[第1の仮説についての説明]Nd3+添
加の光機能性ガラスに導入された0.8μm帯の励起光
は活性物質であるNd3+を励起する。この結果、エネ
ルギー準位4 F3/2 からエネルギー準位4 I1
3/2への遷移に対応する1.3μm帯の幅射が可能に
なり、その他の幅射として、エネルギー準位4 F3/
2 からエネルギー準位4 I11/2又は4 I9/
2 への遷移に対応する波長1.06μm帯又は0.8
8μm帯の幅射等が可能になる。
【0024】Ndイオンに関する上記の現象を統計的に
考えてみる。ホストガラス中のNd3+の多数は、励起
されて波長1.3μm帯での発光に対応する遷移が可能
な状態となっている。また、波長0.88μm帯、波長
1.06μm帯等の発光に対応する望ましくない遷移も
同時に可能な状態となっている。この場合、励起された
上記Nd3+の一部分は、自然放出或いは誘導放出によ
り所定の確率で波長1.3μm帯の光を放射する。また
、励起された上記Nd3+の一部分は、自然放出或いは
誘導放出により、所定の確率で波長1.3μm帯の光で
はなく波長0.88μm若しくは1.06μm帯の光を
放射する。この場合、ホストガラス中に、波長0.88
μm帯若しくは1.06μm帯の放射光の吸収体即ち吸
収剤であって波長1.3μm帯の放射光の吸収剤でない
物質がある程度の量存在すれば、これらの吸収剤は放射
された0.88μm帯若しくは1.06μm帯の光を吸
収する。この吸収により、波長0.88μm帯若しくは
1.06μm帯の放射光に起因する誘導放出を抑制する
ことができる。例えば波長1.06μm帯の放射光のみ
の吸収剤を用いた場合を考えてみると、これらの吸収剤
はNd3+の少なくとも一方の波長1.06μm帯での
発光を抑制することができ、波長1.3μm帯での誘導
放出の効率の低下を防止することができる。さらに波長
0.88μm帯の光の吸収剤を用いた場合を考えてみる
と、少なくとも一方の波長0.88μm帯での発光を抑
制することができるので、波長1.3μm帯での誘導放
出の効率の低下を防止することができると考えられる。
【0025】以上の仮説について、図1、図2及び図3
を参照してより具体的に説明する。
【0026】図2は、燐酸塩系のガラス試料に添加され
たNd3+のエネルギー準位を示した図である。図に示
す吸・発光遷移の波長は、このガラスから作製したファ
イバを自記分光光度計及び光スペクトルアナライザを用
いて測定することにより算出したものである。説明が重
なるが主な遷移について説明すると、約0.80μmの
励起光により、基底準位4 I9/2 にある電子が準
位4 F5/2 に一旦励起され、多フォノン緩和によ
り準位4 F3/2 に遷移する。このようなポンピン
グにより、準位4 F3/2 と、準位4 I9/2 
、4 I11/2、4 I13/2及び4 I15/2
との間に反転分布が形成されると、波長0.88μm、
1.06μm、波長1.33μm、波長1.80μmを
ピークとした発光が可能になる。これらの内、波長0.
88μm、波長1.06μm及び波長1.33μmでの
発光の強度比は、励起光のみをこのファイバに入射させ
た場合の蛍光ピークの高さの比から求められ、それぞれ
約5:9:1であった。尚、波長1.80μもでの発光
強度は比較的弱いため求めていない。
【0027】この様に、波長1.06μm帯若しくは0
.88μm帯での発光確率が非常に大きいという事実に
対し、この発光による誘導放出を低減させるための方法
を示したのが図1である。
【0028】図1(a)に注目すると、励起された第1
のNdイオン11は、例えば自然放出により波長1.3
μm帯、波長0.8μm帯若しくは波長1.06μm帯
の光を放射する。この場合、波長0.88μm帯及び波
長1.06μm帯での発光確率が非常に大きいため、自
然放出光によって誘導される第2のNdイオン12の多
くは、波長0.88μm帯若しくは波長1.06μm帯
の光を放射することとなる。他方、図1(b)に注目す
ると、図1(a)と同様に、励起された第1のNdイオ
ン11が波長1.3μm帯、波長0.88μm帯若しく
は波長1.06μm帯の光を放射する。例えばここで、
発光確率の高い0.88μm帯光若しくは1.06μm
帯光の適当な吸収剤である吸収体13が存在すれば、波
長0.88μm帯若しくは1.06μm帯の放射光はこ
の吸収体13に吸収されて第2のNdイオン12に影響
しなくなる。
【0029】本発明の場合、波長1.06μm帯の吸収
体(又は吸収剤)と波長0.88μm帯の吸収体(又は
吸収剤)を使用する。波長1.06μm帯の吸収体の場
合、その発光確率が比較的高いため、波長1.3μm帯
での誘導放出の確率を効果的に高めることができる。一
方、波長0.88μm帯の吸収体の場合、このような波
長1.06μm帯の放出光に起因する誘導放出を抑制す
ることはできないが、少なくとも波長0.88μm帯の
放出光に起因する誘導放出を抑制することができるので
、波長1.3μm帯での誘導放出の確率を高めることが
できる。
【0030】上記波長1.06μm帯又は0.88μm
帯の吸収体としての条件は、波長約1.06μm又は0
.88μmの自然放出光又は誘導放出光を直ちに吸収す
るものであること、波長約1.3μmの放出光を吸収し
ないものであること等である。この様な吸収体として活
性イオンを用い、これをNd3+と共にホストガラスに
添加する場合、吸収帯がブロードな遷移金属イオンの使
用は適さず、吸収帯がシャープな希土類イオンの使用が
望ましい。更に、励起の対象となるエネルギー準位に多
数の電子が存在する必要があり、なおかつ、遷移した先
のエネルギー準位の状態密度が高くその準位の占有率が
低い必要がある。
【0031】図3は、このような条件での希土類イオン
の選択を示したものである。尚、図3に示される希土類
イオンのエネルギー準位は結晶中のものである。
【0032】上記の条件を満たす希土類イオンの第1候
補として、波長1.06μmの吸収確率が高くかつ1.
3μmの吸収確率が無視できるとの理由から、Pr3+
、Yb3+及びSm3+が望ましいことがわかる。Pr
3+の3 H4 →1 G4 遷移は約9700cm−
 1 のエネルギーになっており、この値は波長1.0
6μm(9400cm− 1 )の放射光に対応するか
らである。さらに、Yb3+の2 F7/2 →2 F
5/2 遷移とSm3+の6 H7/2 →6 F11
/2遷移も、それぞれ約9600cm−1と約9500
cm− 1 のエネルギーになっており、波長1.06
μmの放射光に対応するからである。なお、自然放出程
度の吸収によっては、Pr3+等の希土類イオン自体に
反転分布を形成できないものと考えられる。
【0033】以上の仮説が適切なものであるかどうかは
不明である。いずれにせよ、本発明者の実験・検討によ
れば、Nd3+を活性物質として添加したガラス中にP
r3+を添加し、或いはそのPr3+をNd3+に対し
て50%から150%の範囲のPr3+を添加すること
により、Nd3+の1.06μm帯での発光をPr3+
に吸収させることができ、波長1.3μm帯での光増幅
を可能にする或いはその増幅効率を高める有望なガラス
が得られることがわかった。また、Nd3+を活性物質
として添加したガラス中にSm3+を添加し、或いはそ
のPr3+をNd3+に対して50%乃至150%の範
囲のSm3+を添加することによっても同様に有望なガ
ラスが得られることがわかった。さらに、Nd3+を活
性物質として添加したガラス中にYb3+を添加し、或
いはそのYb3+をNd3+に対して50%以上であっ
てガラス形成能を劣化させない程度の量の範囲で変化さ
せることによっても同様に有望なガラスが得られた。
【0034】上記の条件を満たす希土類イオンの第2候
補として、波長0.88μmの吸収確率が高くかつ波長
1.3μmの吸収確率が無視できるとの理由から、Ho
3+が望ましいことがわかる。Ho3+の5 I8 →
5 I5 遷移は波数約11000cm−1であり、こ
の値は波長0.88μm(波数約11400cm−1)
に対応するからである。
【0035】以上の仮説が適切なものであるかどうかは
不明である。いずれにせよ、本発明者の実験・検討によ
れば、ガラス中にNd3+と共にHo3+を添加するこ
とにより、Nd3+の波長0.88μm帯での発光をH
o3+に吸収させることができ、波長1.3μm帯での
光増幅を可能にする或いはその増幅率を高める有望なガ
ラスが得られた。
【0036】[第2の仮説についての説明]Nd3+添
加の光機能性ガラスに導入された0.8μm帯の励起光
は、活性物資であるNd3+を励起する。この結果、遷
移4 F3/2 →4 I13/2に対応する1.3μ
m帯の輻射が可能になる。その他の輻射として、エネル
ギー準位4 F3/2 からエネルギー準位4 I11
/2又は4 I9/2 への遷移に対応する波長1.0
6μm帯又は波長0.88μm帯の輻射等も可能になる
【0037】Ndイオンに関する上記の現象を統計的に
考えてみる。ホストガラス中のNd3+の多数は、0.
8μm帯の励起光によって励起されて、波長1.06μ
m帯、波長0.88μm帯波長1.3μm帯等の発光に
対応する遷移が可能な状態となっている。励起された上
記Nd3+の一部分は、自然放出により所定の確率で波
長1.3μm帯の光を放射する。また、励起された上記
Nd3+の一部分は、自然放出により、波長1.3μm
帯放射光よりも高い確率で波長1.06μm帯及び0.
88μm帯の光を放射する。この場合、Nd3+の波長
1.3μm帯光の放射を促進させるための物として、波
長1.3μm帯光の放射のみの発光促進物、即ち促進剤
がホストガラス中にある程度の量で存在すれば、これら
の促進剤はNd3+の1.3μm帯光の放射のみを促進
させ、波長1.3μm帯の誘導放出の効率を高めること
ができるものと考えられる。更に、波長1.06μm帯
及び0.88μm帯での発光確率が相対的に減少するた
め、例えば1.06μm帯光によって波長1.3μm帯
の誘導放出が妨害される可能性が減少するものと考えら
れる。
【0038】以上の仮説について、図2〜図4を参照し
てより具体的に説明する。
【0039】図2の説明で既に述べたように波長0.8
0μmの励起光の存在によって0.88μm、波長1.
06μm、波長1.33μmをピークとした発光が可能
になる。これらの発光の強度は、外因がないものとすれ
ば自然放出による発光強度と考えてよく、それぞれ約5
:9:1である。即ち、波長1.3μm帯での発光確率
は、波長1.06μm帯及び0.88μm帯での発光確
率に比較してかなり低いということが分かる。
【0040】図4は、波長1.3μm帯での発光確率を
高める方法であって、波長1.06μm帯及び0.88
μm帯での発光に起因する波長1.3μm帯での誘導放
出の効率の低下を防止する方法を示したものである。
【0041】波長0.8μm帯光で励起されたNd3+
は、例えば自然放出により波長0.88μm帯、波長1
.06μm帯及び波長1.3μm帯の光を放射する。 ここで、波長1.3μm帯光のみの放射を促進させる適
当な促進剤として、基底準位の約4000cm−1上方
に励起準位を有する活性イオンがNd3+近傍に存在す
れば、Nd3+のエネルギー準位4 I13/2に存在
する励起状態の電子を基底準位4 I9/2 に効果的
に遷移させることができる。つまり、Nd3+のエネル
ギー準位4 I13/2に存在する励起された電子から
のエネルギー伝達により、上記活性イオンの基底準位に
存在する多くの電子がその励起準位に励起されるととも
に、Nd3+の準位4 I13/2に存在する多くの電
子はその基底準位4 I9/2 遷移することとなる。 言い換えるならば、Nd3+の準位4 I13/2に存
在する励起された電子は、輻射過程、フォノン放出過程
等を介して緩和されるのみならず、近傍の活性イオンと
の間のエネルギー伝達によっても効果的に緩和されるこ
ととなる。この結果、多くのNd3+ではエネルギー準
位4 F3/2 と準位4 I13/2との間の反転分
布の度合いが高められることとなり、波長1.3μm帯
光の放射を促進させることができる。更に、波長1.3
μm帯光の放射確率が増大することにともない、波長1
.06μm帯光等の放射確率が相対的に減少する。この
ような状態のNd3+を含むガラスに1.3μm帯の信
号光が入射すると、波長1.3μm帯での誘導放出が1
.06μm帯及び0.88μm帯での発光に妨げられる
可能性が減少し、発光が効果的に行われる。よって、E
SAに起因する波長1.3μm帯域での吸収の存在にも
かかわらず、波長1.3μm帯での光増幅・発光が可能
になるとともに、光増幅の利得を増大させることができ
る。
【0042】上記促進剤の条件としては、基底準位の約
4000cm−1上方にエネルギー準位を有することの
みならず、波長約1.3μm帯の放出光を吸収しないも
のであること、励起光を吸収しないこと等も必要である
。 この様な促進剤として活性イオンを用いて、これをNd
3+と共にホストガラスに添加する場合、吸収帯がブロ
ードな遷移金属の使用は適さず、吸収帯がシャープな希
土類元素の使用が望ましい。
【0043】更に、その活性イオンの基底準位から約4
000cm−1上方のエネルギー準位の状態密度が高い
ことが望ましい。
【0044】図3に示したように、上記の条件を満たす
希土類元素の候補として、Tb3+若しくはEu3+が
望ましいことがわかる。Tb3+の7 F6   → 
 7 F4   遷移及びEu3+の7 F0   →
  7 F5 遷移は、それぞれ波数約3200cm−
1及び3800cm−1となっており、これらの値は準
位4 I11/2と準位4 I9/2 とのエネルギー
差である波数4000cm−1にほぼ対応するからであ
る。
【0045】上記の仮説が適切なものであるかどうかは
不明である。いずれにせよ、本発明者の実験・検討によ
れば、ガラス中に、Nd3+と共にTb3+若しくはE
u3+又は両者を添加することにより、Nd3+の波長
1.3μm帯での発光をTb3+若しくはEu3+によ
って促進させることができ、波長1.3μm帯での光増
幅を可能にする或るはその増幅効率を高める有望なガラ
スが得られた。
【0046】[光機性ガラスの応用例](1)光ファイ
バ 上記の光機能性ガラスは光伝送路用の素材として用いら
れ、例えば平面導波路等に形成しても良いが、上記の光
機能性ガラスからなるコアと、該コアを取り囲み該コア
より低い屈折率を有するクラッドと、を備えた光ファイ
バを作製することが、長尺の光伝送路を得る上では望ま
しい。
【0047】上記光ファイバは、具体的には下記のよう
にして作製される。まず、Nd3+添加の光機能性ガラ
スをコアとするプリフォームをロッドインチューブ法等
により準備する。次に、準備したプリフォームを図5の
ような線引き装置にセットし、光ファイバに線引きする
。 図5に示すように、プリフォーム21は送り装置22に
固定されて徐々に降下する。このとき、プリフォーム2
1はヒータ23で加熱され、軟化して線引きが開始され
る。線引きされたファイバ20は、キャプスタン24を
経由して、巻取ドラム25に巻き取られる。図6は、こ
うして得られた光ファイバ20を拡大して示した図であ
る。光ファイバ20は、Nd3+と共にPr3+、Yb
3+、Sm3+、Tb3+、Eu3+、Ho3+等を添
加したコア20aと、コア20aよりも相対的に屈折率
が低くNd3+及びPr3+その他の希土類イオン両方
を添加していないクラッド層20bとを備えている。
【0048】上記のような光機能性ガラスをコアとした
光ファイバによれば、ファイバレーザ、ファイバ増幅器
、ファイバ検出器等への応用が可能になる。即ち、コア
ガラス中にNd3+と共にPr3+その他の希土類イオ
ンを添加しているため、波長1.31μm帯でも光増幅
利得が得られるばかりでなく、波長1.06μm帯の発
光に起因するロスが減少する。更には、ファイバ化によ
ってコアに光が効率的に閉じ込められ、その光の損失が
極めて低いことから、低閾値で反転分布を形成すること
ができる。したがって、高利得の光増幅装置等への応用
が可能になるのである。
【0049】(2)ファイバ増幅器 上記の光ファイバ20は、一つの応用例として1.3μ
m帯のファイバ増幅器に使用することができる。
【0050】例えば図7に示すように、ファイバ増幅器
は、希土類を添加した光ファイバ30と、励起の為のレ
ーザ光源32と、光学手段33、38a、38b、39
a、39bとを備える。光ファイバ30は1.3μm帯
のレーザ光の光伝送路となる。また、レーザ光源32は
、波長0.8μm帯の励起光を発生する。さらに、光学
手段33、38a、38b、39a、39bは、励起光
をレーザ光源32から光ファイバ30内に入射させる。 つまり、レーザ光源32からの励起光は、光ファイバ3
9aを介してファイバカプラ33に導入され、信号光源
31から光ファイバ38aを介してファイバカプラ33
に導入された信号光と結合される。結合された信号光及
び励起光は、光ファイバ38bを介して光ファイバ30
内に導入される。
【0051】ファイバカプラ30は、例えば2本の光フ
ァイバ38、39を融着延伸することによって形成する
ことができる。この場合、ファイバカプラ33から伸び
る1本の光ファイバ39bの終端は、マッチングオイル
37に漬浸される。これにより、光ファイバ39bから
ファイバカプラ33への戻り光が防止される。
【0052】因みに、光ファイバ30の出力側には、光
スペクトラムアナライザ35が設けられており、これら
の間にはフイルタ36が介存されている。このフィルタ
36は光ファイバ30から出力される光のうち励起光を
カットする。この結果、光スペクトラムアナライザ35
は光ファイバ30から出力された信号光のみを測定する
ことができ、更には光増幅利得の測定が可能になる。
【0053】上記のようは光ファイバと、レーザ光源及
び光学手段とを備えた波長1.3μm帯のファイバ増幅
器によれば、光学手段によりファイバ内に導入された波
長0.8μmのレーザ光によってNd3+が励起される
。 この励起されたNd3+の多くは、これと同時に光ファ
イバ内に導入された波長1.3μm帯の信号光等に誘導
されて、放射光を発生し、波長1.3μm帯での光増幅
が可能になる。
【0054】(3)ファイバレーザ 更に、上記の光ファイバ20は、別の応用例として波長
1.3μm帯のファイバレーザに使用することができる
【0055】例えば図8に示すように、ファイバレーザ
は、希土類元素を添加した光ファイバ30と、レーザ光
源32と、光学手段38とを備える。レーザ光源32と
して、波長0.8μm帯の励起光を発生するレーザダイ
オードを使用する。光学手段38として、励起光をレー
ザ光源32から光ファイバ30内に入射させるレンズ等
を使用する。また、光ファイバの出力端を適当な鏡面に
仕上げ、この出力端とレーザダイオードの端面とで共振
器構造を形成する。この場合、励起光が入射する光ファ
イバの入出力端を適当な鏡面に仕上げ、この入出力端か
ら共振器構造を形成してもよい。更に、共振器構造を誘
電体ミラー等を使用する通常のタイプのものとしてもよ
い。
【0056】上記のファイバレーザにおいて、レーザ光
源32からの波長0.8μm帯の励起光は、光学手段3
8によって光ファイバ30内に導入される。光ファイバ
30内のNd3+は所定の状態に励起されて波長1.3
μmの発光が可能な状態になる。この結果、励起光の出
力が所定値を越えると波長1.3μm帯でレーザ発振が
生じる。
【0057】(4)導波路素子増幅器 図9は、導波路素子増幅器への応用例を示した図である
。基板120上に2またに分岐する平面導波路130a
、130b、130cを形成する。平面導波路130a
にはNd3+とともにPr3+、Yb3+、Sm3+、
Tb3+、Eu3+、Ho3+等の活性物質が添加され
ている。 平面導波路130aの他端には、グレーティングからな
るフィルタ136を形成してある。平面導波路130b
には、波長1.3μm帯の信号光を入射させる。また、
平面導波路130cには、波長0.8μmの励起光を入
射させる。レーザ光源としては、図3のものと同様のも
のを用いる。
【0058】図4のファイバ増幅器100の動作につい
て簡単に説明する。波長1.3μm帯の信号光は平面導
波路130bをへて平面導波路130a内に入射し、L
D等の励起光源からの波長0.8μmの励起光も平面導
波路130cをへて平面導波路130a内に入射する。 励起されたNb3+は信号光に誘導されて、遷移4 F
3/2 →4 I13/2に対応する波長1.3μm帯
の放射光を発生する。励起光が所定の強度を越えると、
信号光は増幅されることとなる。
【0059】[具体的実施例]以下、本発明者らによる
具体的な実施例について説明する。
【0060】(1)Pr3+を共添加した場合まず、ホ
ストガラス原料としてNa2 O、Al2 O3及び5
酸化リンを用意し、それぞれを組成が15Na2 O−
15Al2 O3 −70P2 O5 (mol%)の
ガラスとなるように調合する。これに希土類元素Ndの
酸化物であるNd2 O3 と、Pr2 O3 とを所
定量添加し、白金ルツボ中で溶融させる。Nd2 O3
 の添加量は、Nd3+の濃度がホストガラスに対して
、重量で500ppmとなるように調整する。また、P
r2 O3 の添加量は、Pr3+のホストガラスに対
する重量濃度が0、200、500、700、1000
ppmとなるように調整した。つまり、Nd3+に対す
るPr3+の濃度は0、40、100、140、200
%となっている。溶融した原料は、十分な混合が完了し
た後に急冷処理し、ガラス化する。
【0061】このガラスの光増幅特性を評価するため、
下記のようにしてファイバを作製した。まず、上記の組
成のガラスを棒状に成形し、コア用のガラスロッドとす
る。次に、このガラスロッドと組成がほぼ等しく、屈折
率がわずかに低いガラスを溶融・成形し、クラッドパイ
プとする。このクラッドパイプのガラスの組成は2Pb
O−15Na2 O−15Al2 O3 −68P2 
O5 (mol%)であり、Nb3+及びPr2 O3
 を添加していない。これらのコアロッド及びクラッド
パイプはプリフォームに形成され、図5の装置によって
線引きされる。この結果、コア径8μmで外径125μ
mのSMファイバが得られた。このSMファイバは、測
定のため10mの長さのファイバ試料に切り出した。
【0062】このようなファイバ試料の特性の評価は、
図7のファイバ増幅器等によって行った。結果は図10
のグラフに示す。
【0063】図10に示したゲインは波長1.310μ
mにおけるものである。レーザ光源32としては、Ti
−サファイアレーザを用い、励起波長を0.78μmと
し、励起光強度を100mWとした。入力信号の強度は
、−30dBmとし、ピーク波長を1.310μmとし
た。
【0064】図に示したように、コアガラス中に共添加
するPr3+の濃度がNd3+に対して50%乃至15
0%の範囲では所定値以上の利得が得られることがわか
る。 Pr3+の濃度が50%以下の場合、得られる利得が少
ないが、これは活性イオンとなるPr3+の濃度が低く
、Nd3+の近くにPr3+が存在する確立が低くなる
ためと考えられる。また、Nd3+の放射する1.06
μm帯光を十分に吸収できるだけのPr3+が存在して
いないものとも考えられる。Pr3+の濃度が150%
以上の場合も、得られる利得が少ないが、これは活性イ
オンとなるPr3+の濃度が高くなりすぎ、Pr3+が
持つ1.47μm付近の吸収の裾の部分によって波長1
.31μmの信号光が吸収されてしまうものと考えられ
る。
【0065】(2)Sm3T又はYb3Tを共添加した
場合まず、ホストガラス原料としてNa2 O、Al2
 O3及び5酸化リンを用意し、それぞれ組成が15N
a2 O−15Al2 O3 −70P2 O5 (m
ol%)のガラスとなるように調合する。これに希土類
元素Ndの酸化物であるNd2 O3 と、Sm2 O
3 若しくはYb2 O3 とを所定量添加し、白金ル
ツボ中で溶融させる。Nd2 O3 の添加量は、Nd
3+の濃度がホストガラスに対して、重量で500pp
mとなるように調整する。また、Sm2 O3 若しく
はYb2 O3 の添加量は、これらSm3+若しくは
Yb3+のホストガラスに対する重量濃度が0、200
、300、400、500、600、700、1000
ppmとなるように調整した。つまり、Nd3+に対す
るSm3+若しくはYb3+の濃度は0、40、60、
80、100、120、140、200%となっている
。 溶融した原料は、十分な混合が完了した後に、急冷処理
し、ガラス化する。
【0066】このガラスの光増幅特性を評価するため、
下記のようにしてファイバを作製した。まず、上記の組
成のガラスを棒状に成形し、コア用のガラスロッドとす
る。次に、このガラスロッドと組成がほぼ等しく、屈折
率がわずかに低いガラスを溶融・成形し、クラッドパイ
プとする。このクラッドパイプのガラスの組成は2Pb
O−15Na2 O−15Al2 O3 −68P2 
O5 (mol%)であり、Nd3+、Sm2 O3 
及びYb2 O3 を添加していない。これらのコアロ
ッド及びクラッドパイプはロッドインチューブ法により
、図5の装置によって線引きすることでコア径8μmで
外径125μmのSMファイバが得られた。このSMフ
ァイバは、測定のため10mの長さのファイバ試料に切
り出した。
【0067】このようなファイバ試料の特性の評価は、
図7のファイバ増幅器等によって行った。結果は図11
及び図12のグラフに示す。
【0068】図11及び図12に示したゲインは1.3
10μmにおけるものである。レーザ光源32としては
、励起波長が0.78μmで、励起出力が100mWの
Ti−サファイアレーザを用いた。入力信号の強度は、
−30dBmとし、ピーク波長を1.310μmとした
【0069】コアガラス中に共添加するSm3+の濃度
がNd3+に対して50%乃至150%の範囲では所定
値以上の利得が得られることがわかる。Sm3+の濃度
が50%以下ではほとんど利得が得られないが、これは
活性イオンとなるSm3+の濃度が低く、Nd3+の近
くにSm3+が存在する確率が低くなるためと考えられ
る。また、Nd3+の放射する1.06μm帯光を十分
に吸収できるだけのSm3+が存在していないものとも
考えられる。Sm3+の濃度が150%以上でも利得が
ほとんど得られないが、これは活性イオンとなるSm3
+の濃度が高くなり過ぎ、Sm3+が持つ1.3μm付
近の微弱な吸収に1.31μmの信号光が吸収されてし
まうものと考えられる。
【0070】他方、コアガラス中にNd3+と共に添加
するYb3+の濃度がNd3+に対して50%以上であ
ってガラス形成能を劣化させない程度の量の範囲でも、
所定値以上の利得が得られることがわかる。50%以下
で利得の増加が得られないのはSm3+の場合と同様で
あるが、Yb3+の場合1.06μm帯に吸収がないた
め、Yb3+の濃度を増加させていっても利得が減少し
ていくことはない。
【0071】(3)Ho3+を共添加した場合まず、ホ
ストガラス原料としてNa2 O、Al2 O3及び5
酸化リンを用意し、組成が15Na2 O−15Al2
 O3 −70P2 O5 (mol%)の他成分ガラ
スが形成されるようにこれらを調合する。これに希土類
元素Ndの酸化物であるNd2 O3 と、Ho2 O
3 とを所定量添加し、白金ルツボ中で溶融させる。N
d2 O3 の添加量は、Nd3+の濃度がホストガラ
スに対して、重量で1000ppmとなるように調整す
る。また、Ho2 O3 の添加量は、このHo3+の
ホストガラスに対する重量濃度が0、100、200、
300、400、500、600、700、1000p
pmとなるように調整した。 つまり、Nd3+に対するHo3+の濃度は0、10、
20、30、40、50、60、70、100%となっ
ている。溶融した原料は、十分な混合が完了した後に急
冷し、ガラス化する。
【0072】このガラスの光増幅特性を評価するため、
下記のようにしてファイバを作製した。まず、上記の組
成の他成分ガラスを棒状に成形し、コア用のガラスロッ
ドとする。次に、このガラスロッドと組成がほぼ等しく
、屈折率がわずかに低いガラスを溶融・成形し、クラッ
ドパイプとする。クラッドパイプのガラスとしては、組
成が2PbO−15Na2 O−15Al2 O3 −
68P2 O5 (mol%)の他成分ガラスを使用し
た。ただし、この他成分ガラスにはNd3+及びHo3
+は添加していない。これらのコアロッド及びクラッド
パイプはロッドインチューブ法によりプリフォームに形
成され、図5の装置によって線引きすることでコア径8
μmで外径125μmのSMファイバが得られた。この
SMファイバは、測定のため10mの長さのファイバ試
料に切り出した。
【0073】このようなファイバ試料の特性の評価は、
図7のファイバ増幅器等によって行った。結果は図13
のグラフに示す。
【0074】図12に示したゲインは1.310μmに
おけるものである。レーザ光源32としては、励起波長
が0.78μmで、励起出力が100mWのTi−サフ
ァイアレーザを用いた。入力信号の強度は、−30dB
mとし、ピーク波長1.310μmとした。
【0075】コアガラス中に共添加するHo3+の濃度
が増加することにしたがって、ファイバ増幅器の利得が
増大してゆくことがわかる。ただし、Ho3+のNd3
+に対する濃度が100%を越えると飽和して利得がほ
とんど増加しない。
【0076】吸収体となるHo3+の濃度が低い場合に
は、Nd3+の近くにHo3+が存在する確率が低くな
るため利得が少なくなるものと考えられる。また、Nd
3+の放射する0.88μm帯光を十分に吸収できるだ
けのHo3+が存在していないものとも考えられる。H
o3+の濃度が100%以上では吸収体となるHo3+
の濃度が高くなり、波長0.88μm帯光を十分に吸収
できるもので、Ho3+を更に添加しても利得は増大し
ないものと考えられる。
【0077】(4)Tb3+又はEu3+を添加した場
合まず、光機能性ガラスとして、Nd3+と共にTb3
+若しくはEu3+を添加した燐酸塩系ガラスを準備し
た。この場合、ホストガラスの組成が、15Na2 O
−15Al2 O3 −70P2 O5 (mol%)
となるように原料を調合した。また、活性物質であるN
d3+の酸化物を、Nd3+の濃度がホストガラスに対
し重量で1000ppmになるように添加した。更に、
発光促進物であるTb3+若しくはEu3+の酸化物を
、これらTb3+若しくはEu3+の濃度がNd3+に
対して重量で0、20、30、40、50、60、70
、100%となるように添加した。
【0078】このガラスの光増幅特性を評価するため、
下記のようにして光ファイバを作製した。まず、上記の
組成のガラスを棒状に成形し、コア用のガラスロッドと
する。次に、このガラスロッドよりわずかに屈折率が低
いガラスとして、2PbO−15Na2 O−15Al
2 O3 −68P2 O5 (mol%)を溶融・形
成し、クラッドパイプとする。クラッドパイプのガラス
にはNd3+等を添加していない。これらのコアロッド
及びクラッドパイプはロッドインチューブ法によりプリ
フォームに形成され、図5の線引き装置によって線引き
することでコア径が8μmで外径125μmのSMファ
イバが得られた。このSMファイバは、測定のため1m
の長さのファイバ試料に切り出した。
【0079】このようなファイバ試料の特性の評価は、
図7のファイバ増幅器等によって行った。
【0080】励起光源32としては、励起波長0.78
μmで、励起出力が100mWのTi−サファイアレー
ザを用いた。信号光源31としては半導体レーザを使用
した。ここで、半導体レーザから光ファイバへの入力信
号の強度は−30dBmとし、そのピーク波長は1.3
10μmとした。
【0081】上記光機能性ガラスのファイバ試料の特性
評価の結果を図14のグラフに示す。白抜き四角印はT
b3+の利得を示したものであり、白抜き丸印はEu3
+の利得を示したものである。
【0082】グラフからも明らかなように、Tb3+若
しくはEu3+の共添加により利得が増大する。つまり
、Tb3+等の活性イオンを共添加していない従来型の
光ファイバでは利得が4dBであるが、Tb3+等の活
性イオンが少なくとも20%以上存在する場合には7d
B以上の利得が得られることが分かる。更に、Tb3+
等の活性イオンの濃度の増大にともなってファイバ増幅
器の利得も増大する。これは、Tb3+等の濃度の増大
に伴ってNd3+近傍にTb3+等の活性イオンが存在
する確率が高くなるためと考えられる。Nd3+とTb
3+等の活性イオンとの近接確率が高まることにより、
エネルギー準位4 I13/2に励起された電子を有す
るNd3+からTb3+等の活性イオンへのエネルギー
伝達の確率が高まるものと考えられるからである。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光機能性
ガラスによれば、励起光の存在により波長1.3μm帯
での発光・光増幅が可能になり、或いはその増幅効率を
高めることができる。更に、これを導波路、ファイバ等
に形成することにより、光増幅装置、レーザ等に応用で
きる。特に、ファイバに形成した場合、低閾値で高利得
のファイバ増幅器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光機能性ガラスに添加した吸収剤
である希土類元素のイオンの機能説明図である。
【図2】Ndのエネルギー準位を示した図である。
【図3】各種希土類元素のイオンのエネルギー準位を示
した図である。
【図4】本発明に係る光機能性ガラスに添加した促進剤
である希土類元素のイオンの機能の説明図である。
【図5】光機能性ガラスを用いたファイバの形成装置を
示した図である。
【図6】第4図の装置によって形成されたファイバ試料
を示した図である。
【図7】ファイバ増幅器の実施例の構成を示した図であ
る。
【図8】ファイバレーザの実施例の構成を示した図であ
る。
【図9】導波路素子レーザの実施例。
【図10】第7図のファイバ増幅器の波長1.310μ
m帯でのゲインとPr3+の濃度との関係を示した図で
ある。
【図11】第7図のファイバ増幅器の波長1.310μ
m帯でのゲインとSm3+の濃度との関係を示した図で
ある。
【図12】第7図のファイバ増幅器の波長1.310μ
m帯でのゲインとYb3+の濃度との関係を示した図で
ある。
【図13】第7図のファイバ増幅器の波長1.310μ
m帯でのゲインとHo3+の濃度との関係を示した図で
ある。
【図14】第7図のファイバ増幅器の波長1.310μ
m帯でのゲインとEu3+又はTb3+の濃度との関係
を示した図である。
【符号の説明】
20、30…光ファイバ 32…励起光源 33、38、38a、38b、39a、39b…光学手

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  Nd3+を活性物質として含む光機能
    性ガラスであって、波長1μm付近に吸収帯を有するN
    d3+以外の希土類イオンをNd3+とともに添加した
    ことを特徴とする光機能性ガラス。
  2. 【請求項2】  Nd3+を活性物質として含む光機能
    性ガラスであって、基底準位から波数約4000cm−
    1の準位でエネルギー伝達を示すNd3+以外の希土類
    イオンをNd3+とともに添加したことを特徴とする光
    機能性ガラス。
  3. 【請求項3】  前記Nd3+以外の希土類イオンは、
    Pr3+、Yb3+、Sm3+及びHo3+の内の少な
    くとも一種類の希土類イオンであることを特徴とする請
    求項1に記載の光機能性ガラス。
  4. 【請求項4】  前記Nd3+以外の希土類イオンは、
    Tb3+及びEu3+の内の少なくとも一種類の希土類
    イオンであることを特徴とする請求項2に記載の光機能
    性ガラス。
  5. 【請求項5】  前記Nd3+以外の希土類イオンの濃
    度が50%から150%であることを特徴とする請求項
    3又は請求項4のいずれか一項に記載の光機能性ガラス
  6. 【請求項6】  請求項1又は請求項2のいずれか一項
    に記載の光機能性ガラスからなるコアと、該コアを取り
    囲み該コアより低い屈折率を有するクラッドとを備えた
    光ファイバ。
  7. 【請求項7】  波長1.3μm帯の信号光を伝搬する
    請求項6に記載の光ファイバと、波長0.8μm帯の励
    起光を発生する励起光源と、該励起光を前記励起光源か
    ら前記光ファイバ内に入射させる光学手段とを備えるフ
    ァイバ増幅器。
  8. 【請求項8】  請求項6に記載の光ファイバと、波長
    0.8μm帯の励起光を発生する励起光源と、該励起光
    を前記励起光源から前記光ファイバ内に入射させる光学
    手段とを備え、前記光ファイバ内からの波長1.3μm
    帯又はその近傍の光を前記光ファイバにフィードバック
    する共振器構造が形成されていることを特徴とするファ
    イバレーザ。
  9. 【請求項9】  請求項1又は請求項2のいずれか一項
    に記載の光機能性ガラスからなる平面導波路を備えた導
    波路素子。
  10. 【請求項10】  波長1.3μm帯の信号光を伝搬す
    る請求項9に記載の導波路素子と、波長0.8μm帯の
    励起光を発生する励起光源と、該励起光を前記励起光源
    から前記導波路素子内に入射させる光学手段とを備える
    導波路素子増幅器。
  11. 【請求項11】  請求項9に記載の導波路素子と、波
    長0.8μm帯の励起光を発生する励起光源と、該励起
    光を前記励起光源から前記導波路素子内に入射させる光
    学手段とを備え、前記導波路素子内からの波長1.3μ
    m帯又はその近傍の光を前記導波路素子にフィードバッ
    クする共振器構造が形成されていることを特徴とする導
    波路素子レーザ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6628692B2 (en) 1998-05-11 2003-09-30 Nec Corporation Solid-state laser device and solid-state laser amplifier provided therewith
JP2019535118A (ja) * 2016-10-07 2019-12-05 ローレンス リバーモアー ナショナル セキュリティー, エルエルシー Nd3+ファイバレーザおよびアンプ

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