JPH0426445Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、孔の内壁に不定形材料を押し出し、
塗り付ける不定形材料押出し装置に関する。

〔従来の技術〕

転炉出鋼口等の溶融金属流出口の内壁を補修す
る装置として、特開昭46−5703号公報で提案され
ているように、スラリー状にした不定形耐火材料
を溶損した溶融金属流出口の内壁に噴射させるも
のがある。しかし、この補修装置によるとき、溶
融金属流出口の内壁に盛られる耐火材層を必要な
肉厚にするためには、耐火材の施工に長時間を要
する。また、補修される溶融金属流出口の内壁が
凹凸になつているとき、その凹凸を吸収して平坦
な面に仕上げることが困難であつた。

そこで、本考案者等は、耐火材をスラリー状に
して使用することに代え、粘稠性の高いペースト
状とした耐火材を溶損した溶融金属流出口の内壁
に向けて押し出す圧入施工用パイプを備えた補修
装置を開発し、これを特願昭52−118373号（特公
昭60−25485公報）として提案した。

〔考案が解決しようとする問題点〕

特願昭52−118373号（特公昭60−25485公報）
で提案された補修装置によるとき、比較的多量の
耐火材を溶融金属流出口の内壁に塗布することが
できるので、迅速な補修作業を行うことが可能に
なる。しかし、この補修装置を使用して溶融金属
流出口の内壁に塗布された耐火材層の充填密度
は、耐火材の押出し圧力により一義的に定まるも
のである。

ところが、場合によつては、更に高い充填密度
で耐火材層を形成することが必要になる。たとえ
ば、損傷により孔の内壁がかなり複雑な形状にな
つていたり、溝やクラツクが存在する場合には、
耐火材の押出し圧力を高めて、その内壁も凹凸の
細部深奥部にまで耐火材を充分に圧入する必要が
ある。

なお、以上は溶融金属流出口の内壁を補修する
場合について説明したが、このような補修に限ら
ず、単純な一方向の流路、流れの向きが交番する
ような溶融金属流管路等の孔の内壁に耐火材層を
形成する場合においては、更に高密度で均一な耐
火材を内壁に塗り付けることが要求される。

そこで、本考案は、このような要求に応えるべ
く、溶融金属流出口等の孔の内壁に、より高い充
填密度で耐火材を均一に塗り付けることを可能に
する不定形材料押出し装置を提供することを目的
とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の不定形材料押出し装置は、その目的を
達成するため、粘稠性の不定形材料を投入する材
料投入口を備え且つ後端に加圧機を配置したホツ
パーと、前記ホツパーと同一軸線上に配置され且
つ前方部壁面に材料吐出口を備えた押出パイプと
を有し、前記ホツパの内径を前記押出しパイプの
内径より大きくし、更に前記ホツパーと押出しパ
イプとを一体的に回転させる回転駆動機構を備え
ていることを特徴とする。

〔作用〕

ホツパー内に投入された不定形材料を、後端か
ら加圧機により前方に向けて押し出すとき、押出
しパイプの断面積がホツパーの断面積より小さい
ので、押し出される過程で不定形材料は大きな圧
縮効果を受ける。これにより、押出しパイプの材
料吐出口から押し出された不定形材料は、高い充
填密度をもつて孔の内壁に塗り付けられる。また
同一方向でホツパーから押出しパイプに送られる
ので、押出し中に不定形材料の組織が破壊される
こともない。また、その際ホツパーと押出しパイ
プとを回転駆動機構によつて一体的に回転させる
ことによつて、特に炉壁などの管状開口部の内周
面全面への均一なライニングが可能となる。この
ようにして形成された耐火材層は、その高い充填
密度のために優れた耐用性を呈する。

また、本考案によるとき、装置全体を小型短小
に設計することが可能となる。

〔実施例〕

以下、図面に示した実施例により、本考案の特
徴を具体的に説明する。

第１図は、天井から吊り下げるタイプの不定形
材料押出し装置に本考案を適用した例を示す。

この不定形材料押出し装置は、天井からワイヤ
１等により吊り下げられた機枠２の内部に、機枠
２の長手方向に沿つて走行自在に配置された台車
３に押出し機構４を備えている。

該押出し機構４の後部には、油圧装置５により
駆動される加圧機６が設けられている。この加圧
機６は、油圧スイベル継手７を介して油圧装置５
に接続されている。また、この加圧機６とは反対
側に、押出しパイプ８が設けられている。この押
出しパイプ８の前方部壁面には材料吐出口９が穿
設されており、押出しパイプ８を送られて来た不
定形耐火材料がこの材料吐出口９を経て目的とす
る溶融金属流出口等の孔部内壁に向けて押し出さ
れる。

押出し機構４の本体は、押出しパイプ８の径よ
り大径のホツパー１０として形成されている。そ
して、このホツパー１０の胴部に蓋付きの材料投
入口１１が設けられており、該材料投入口１１を
介してホツパー１０に投入された耐火材料が加圧
機６のピストン１２により材料吐出口９に向けて
押し出される。この押出し量は、ピストン１２に
取り付けたインヂケータ１３の位置をスケール１
３ａで読み取ることにより知ることができる。な
お、このスケール１３ａは、台車３又はホツパー
１０等に適宜の手段（図示せず）により固定され
たものである。

このような押出し機構４は、その胴部に取り付
けた歯車１４をモータ１５等の回転駆動機構で駆
動させることにより、機枠２内を回転する。な
お、押出し機構４の胴部には更に別個のリング１
６が取り付けられており、該リング１６は台車３
に設けた回転ガイドローラ１７と接触する。これ
により、押出し機構４が回転するときのガタツキ
が防止される。また、歯車１４、リング１６の側
面には、機枠２の軸方向に沿つた押出し機構４の
動きを規制するスラスト受けローラ１８が当接さ
れている。

他方、台車３には機枠２の軸方向に沿つて押出
し機構４を移動させる駆動装置が設けられてい
る。第１図の例では、この駆動装置としてシリン
ダー１９を使用しており、そのシリンダー１９の
ピストン２０を台車３に設けた突起２１に連結し
ている。

そして、油圧装置５から所定の油圧を油圧スイ
ベル継手７に送ることにより、ピストン１２の前
進でホツパー１０内の耐火材料を押出しパイプ８
の材料吐出口９から押し出す。このとき、パイプ
８とホツパー１０との間の接続部に、図示するよ
うにテーパを形成することにより耐火材の流れが
円滑に行われる。なお、このテーパは、円弧状の
ものであつても良い。また、油圧装置５から所定
の油圧をシリンダー１９の前部又は後部に送り込
むことによつて、ピストン２０を伸縮させ機枠２
の軸方向に沿つて押出し機構４を移動させる。

次いで、この耐火材料押出し装置の作動を説明
することにより、本考案の作用を明らかにする。

この耐火材料押出し装置は、ワイヤ１を介した
クレーン等の操作により、耐火材施工場所に運ば
れる。そして、適宜の係止機構により、転炉の出
湯口等の孔に対峙される。第２図は、このときに
使用する係止機構の一例を示すものである。

機枠２の一部に設けた突出壁２２にシリンダー
２３を配置し、該シリンダー２３のピストン２４
の先端にフツク２５を取り付けている。他方、転
炉等の冶金用炉２６の出湯口２７から所定の位置
に係止部２８を設けている。この係止部２８にフ
ツク２５を引つ掛け、ピストン２４をシリンダー
２３に引き込むことによつて、出湯口２７に対す
る押出しパイプ８の位置決めを行うことができ
る。なお、このとき、機枠２の端部に脚２９を形
成しておき、この脚２９を冶金用炉２６の壁面に
押し当てることにより、冶金用炉２６に対する耐
火材料押出し装置の固定がしつかりと行われる。
そして、台車３を前進させることによつて、押出
しパイプ８が出湯口２７内に挿入される。

次いで、油圧装置５から油圧スイベル継手７に
油圧を送ることにより、ピストン１２を前方に移
動させ、ホツパー１０内にある耐火材料を押出し
パイプ８に向けて押し出す。このようにして押し
出された耐火材料は、押出しパイプ８先端部の材
料吐出口９を経て、出湯口２７の内壁に塗り付け
られる。また、この押出し作業と同時に、モータ
１５の駆動により押出し機構４を回転させると
き、出湯口２７の内壁に万遍なく耐火材料を供給
することができる。また、押出し機構４を回転さ
せずに、材料吐出口９から送り出された耐火材を
押出しパイプ８の胴部で孔内壁に塗り付ける方式
を採用することもできる。

このとき、本例の押出し装置にあつては、ホツ
パー１０の軸線と押出しパイプ８の軸線とを同一
にし、押出し機構４のホツパー１０を押出しパイ
プ８より大径にしているので、ホツパー１０から
押出しパイプ８に耐火材料が移動する際に、加圧
されて高密度となる。この高密度の耐火材料が出
湯口２７の内壁に塗り付けられるので、高い充填
密度をもつ耐火材層が得られる。

この塗布作業を出湯口２７の長手方向に沿つて
行うため、油圧装置５からシリンダー１９に油圧
を送り、ピストン２０を伸縮させることにより、
出湯口２７内に挿入されている押出しパイプ８を
出湯口２７の軸方向に沿つて前後進させる。この
ようにして、出湯口２７の全長にわたりその内壁
に耐火材料が塗り付けられる。

第３図は、本考案を台車搭載型に適用した他の
例を示す。

この例にあつては、第１図に示したような押出
し機構４を内部に配置した機枠２を、台車３０に
搭載している。この機枠２の一端３１は台車３０
上に固定され、他端３２はシリンダー３３等の傾
動機構を介して台車３０に連結されている。そし
て、シリンダー３３等の傾動機構を駆動させるこ
とにより、耐火材料を塗り付けようとする孔に押
出しパイプ８を指向させることができる。なお、
この台車３０自体の高さを適宜の機構により調整
するようにすれば、種々の孔位置に対して押出し
パイプ８を位置合せすることが容易になる。

第１図及び第３図の例にみられるように、ホツ
パー１０及び押出しパイプ８を同一軸線上で回転
させるように構成するとき、ホツパー１０と押出
しパイプ８との間に回転継手が不要になり、しか
も断面積の大きなホツパー１０内にある耐火材を
ピストン１２により押圧することにより、押出し
パイプ８の材料吐出口９から耐火材を押し出すこ
とができる。このため、ピストン１２を僅かな距
離前進させるだけで所定量の耐火材の送給を行う
ことができるので、従来の押出しパイプ内でピス
トンを前後進させるものに比較して、ピストン１
２のストロークを小さくすることができ、軸線方
向に装置の長さを短縮することが可能にもなる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように、本考案の不定形材料押
出し装置においては、ホツパーと押出しパイプと
を同一軸線上に配置し、ホツパーから押出しパイ
プに送り出される不定形材料に圧縮作用が働くよ
うにしている。このため、押出し中に不定形材料
の組織が破壊されることなく、逆にその充填密度
が向上した状態で押出しパイプの材料吐出口から
孔内壁に向けて押し出される。このために、得ら
れた耐火材層が優れた性質をもつものとなる。ま
た、ホツパーと押出しパイプとを同一軸線上に配
置し、断面積の大きなホツパー内の耐火材を押圧
することにより、ピストンのストロークを小さく
して、装置全体を軸線方向に短縮することもでき
る。このようにして、本考案によるとき、小型の
装置により優れた性質の耐火材層を迅速に形成す
ることが可能となる。さらに、押出パイプの壁面
に材料吐出口を備え、且つホツパーと押出しパイ
プとを一体的に回転させる回転駆動機構を備えて
いるため、特に炉壁などの管状開口部の内周面全
面への均一なライニングが可能となり、高い充填
密度で耐火材を塗り付けることが可能になつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を吊り下げ式の押出し装置に適
用した例を示し、第２図はその例における冶金用
炉との係合機構を示し、第３図は台車搭載型に適
用した他の例を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 粘稠性の不定形材料を投入する材料投入口を備
   え且つ後端に加圧機を配置したホツパーと、前記
   ホツパーと同一軸線上に配置され且つ前方部壁面
   に材料吐出口を備えた押出パイプとを有し、前記
   ホツパーの内径を前記押出しパイプの内径より大
   きくし、更に前記ホツパーと押出しパイプとを一
   体的に回転させる回転駆動機構を備えていること
   を特徴とする不定形材料押出し装置。