JPH0425847B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の技術分野） この発明は熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマ
ー樹脂等からなる中空成形品を製造する射出吹込
成形装置に係わるものである。

（従来の技術） 射出吹込成形は主として容器生産を目的として
開発されたものであり、その一般的なものとして
は、固定盤側に有底パリソンを成形するキヤビテ
イを配置し、可動盤側に容器キヤビテイを配置
し、その中間の両側（固定側、可動側）にコアを
配置し、このコアを反転させながら成形する装置
が知られている。しかしながら、この方式では型
構造からくる制約上、成形品の長さに限界があ
る。加えて型構造の複雑さ、型精度の保持などに
より、射出成形機と金型とが一体化された専用機
となる。また射出成形機そのものも特殊仕様とな
り、これらの理由により単品種大量生産用には適
しているが、一般の射出成形機のように金型交換
による多品種、少量生産用には不向きである。

また近年、射出中空延伸成形機が開発され脚光
をあびつつあるが、この成形機は付加価値の高い
成形品の製造に好適であるものの、装置価格が極
めて高く、専用機であつて汎用の機械設備といえ
ず、普及度も低い。

また、最近、熱可塑性エラストマー樹脂のめざ
ましい発展に伴ない、かゝる素材を使用して、伸
縮可能な蛇腹形状部分を有する、両端開口の筒状
成形品（ベローズ）（自動車産業分野、工業機械
分野において、例えばラツクとピニヨンのカバ
ー、ユニバーサルジヨイントのカバー等に用いら
れる）を製造することが行なわれるようになつ
た。かゝるベローズの成形には射出吹込成形法が
好適と考えられるが、成形品の長さに制約を受け
ること、更に装置が専用機であるため装置価格が
高いものになるなどの理由から一般化していない
のが現状である。このため、ベローズ成形は通常
押出吹込成形法によつているが、押出吹込成形法
では成形法からくる形状の制限、肉厚の不均一、
内径規制ができないこと、製品歩留りが劣るなど
の問題がある。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は上記従来技術の問題点を解消し、射出
吹込成形法の特長を活かし、一般に広く使用され
ている汎用射出成形機を取付けることが可能であ
り、金型の交換も可能であつて、装置自体が安価
ですみ、多品種、少量生産にも適し、かつ得られ
る成形品として、その長さに制約を受けることの
ない射出吹込成形装置を得ることに成功したもの
である。

（問題点を解決するための手段） 以下、添付図面の説明に併せて本発明を詳説す
る。

添付図面は本発明装置を用いて、ベローズを成
形する場合の例を示すものである。

第１図は本発明装置の一例の型開き時における
斜視略図、第２図は、第１図に示す装置のパリソ
ン成形用キヤビテイ及びパリソン成形用コアの部
分の型開き時における縦断面略図、第３図は第２
図に示すものの型閉じ時におけるキヤビテイ部分
の縦断面略図、第４図は第１図に示す装置の吹込
成形用キヤビテイ及びこれに内臓されるコアの部
分の型開き時における縦断面略図、第５図は第４
図に示すものの型閉じ時におけるキヤビテイ部分
の縦断面略図、第６図は、パリソン成形用コアに
パリソンを形成させた状態及び吹込成形品を形成
させた状態を説明するための説明図である。

図において、Ａは固定側、Ｂは可動側である。

図中、１は射出成形機の加熱用のシリンダー、
２は射出成形機のスクリユー、３は射出ノズル、
４はパリソン成形用の固定側キヤビテイ、５はパ
リソン成形用の可動側キヤビテイ、６及び６′は
パリソン成形用コア、７は吹込成形用の固定側キ
ヤビテイ、８は吹込成形用の可動側キヤビテイ、
９はコア支持台移動用のラツクギヤー、１０はコ
ア支持台用移動用のピニオンギヤー、１１はコア
回動用のロータリーアクチエーター、１２は射出
成形機タイバー、１３は成形装置の可動側プラテ
ン、１４はパリソン、１５は蛇腹状の中空成形
品、１６はコアの冷却又は加熱用の媒体通路、１
７は圧縮空気吹出用スリツト、１８は喰切りプレ
ート、１９はコア支持台、２０はホツトランナー
ノズル、２１はホツトランナー用マニホールドで
ある。

本発明装置では、第１図に示されるように、固
定側Ａに、パリソン成形用の固定側キヤビテイ４
及び吹込成形用の固定側キヤビテイ７が並列して
設けられ、これに対向する可動側Ｂには、パリソ
ン成形用の固定側キヤビテイ４に対応する位置に
パリソン成形用の可動側キヤビテイ５が、そして
吹込成形用の固定側キヤビテイ７に対応する位置
に、吹込成形用の可動側キヤビテイ８が設けられ
る。

これらの４，５，７及び８のキヤビテイが１セ
ツトとなるものであり、生産性を上げるためには
同じセツトを並列させればよく、第１図では複雑
になるので１セツトのみの例を示してある。

まず、パリソン成形を第２，３図で説明する
と、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー樹脂
（以下、これらを総称して単に樹脂という。なお
伸縮可能なベローズを成形するときは熱可塑性エ
ラストマー樹脂が使用される）が通常の射出成形
機によつて混練、溶融され、金型内に射出され
る。第２図には射出成形機の加熱シリンダー１の
箇所以降が示されており、加熱下、スクリユー２
によつて均一に混練、溶融され、可塑化された樹
脂は射出ノズル３を通り、金型内に射出される。
第３図はパリソン成形用キヤビテイの型閉じ状態
を示すもので、樹脂はホツトランナーノズル２０
を通つて、パリソン成形用の固定側キヤビテイ
４、可動側キヤビテイ５及びコア６によつて形成
される空間部分に注入され、パリソンが成形され
る。

パリソンが成形されると次にキヤビテイの型開
きが行なわれる。この型開きと同時に、パリソン
成形用コア６はパリソンを付けたまゝ、可動側に
（第１図矢印Ｃ方向に）移動する。即ち、タイバ
ー１２に支えられたプラテン１３と共にラツクギ
ヤー９が移動し、このラツクギヤー９と噛合つて
いるピニオンギヤー１０が移動し、このピニオン
ギヤー１０に支持されているコア支持台１９が移
動し、コア支持台１９に設けられているコア６
が、同様に矢印Ｃ方向に移動する。その際のコア
６の移動距離は、プラテン１３（従つてこれに設
けられているパリソン成形用の可動側キヤビテイ
５及び吹込成形用の可動側キヤビテイ８）の移動
距離の1/2となり、コア６は固定側キヤビテイと
可動側キヤビテイとの中間に位置することにな
る。

なお、コア６は固定側キヤビテイと可動側キヤ
ビテイとの間で正確に中央に位置させる必要はな
く、後述するようにコア６を回動さるとき、回動
を邪魔するものが存在しなければよいのである。
従つてコア６を固定側キヤビテイと可動側キヤビ
テイの中間位置に移動させるのは、上記ラツクギ
ヤーとピニオンギヤーの組合せ機構に限られるも
のでなく、その他の手段によつても差支えない。

上記のように型開きが行なわれ、コア６が可動
側と固定側の中間に位置するときは、コア支持台
１９に設けられているロータリーアクチエーター
１１（圧縮空気によつて作動する）によつてコア
６を回動させる。即ち、第１図について説明する
と、この図で６で示されているコアが矢印Ｄで示
されるように回動し６′で示されている位置に移
動し、同時に６′で示す位置にあつたコアは６で
示される位置に移動する。

このようにしてパリソンを付けたまゝのコア６
は、吹込成形用の固定側キヤビテイ７と同可動側
キヤビテイ８との中間に位置し（第４図に示され
る状態）、型閉じするときは第５図に示される状
態になる。なお第４図、第５図ではコア６上のパ
リソンは図示を省略してあるが、第６図にコア６
上にパリソン１４が付着されている状態が示され
ている。型閉じされた後、第６図に示す、コア６
に設けられた空気吹出用スリツト１７（空気は通
過するが、樹脂は入らない程度のスリツト）から
圧縮空気を吹出すことによつて、パリソン１４を
吹込成形用の固定側キヤビテイ７及び同可動側キ
ヤビテイ８の内壁に押付け、蛇腹状の中空成形品
１５が成形される。第６図中、１６は冷却、加熱
用の媒体（例えば水）の通路であつて、成形工程
中の各操作に対応して加熱用媒体、又は冷却用媒
体を通す。

吹込成形し、所定時間経過した後、型開きし、
成形された中空成形品はコアから外される。

即ち、圧縮空気吹出用スリツト１７を使用し、
空気を吹出すことにより、成形品はふくらまさ
れ、成形品の下端の細径部は伸ばされ、その部分
のコアの凹凸部から外され、成形品を下側から引
張ることによつて全体がコアから取出される。

以上、パリソンの成形から始まり、そのパリソ
ンが吹込成形されて中空成形品が製造される過程
までを説明したが、型開きが行なわれ、パリソン
付着コア６がロータリーアクチエーター１１で回
動されて固定側及び可動側の吹込成形キヤビテイ
（７及び８）の中間位置に移動するときは、吹込
成形キヤビテイの固定側と可動側の間にあつたコ
アも、同時にパリソン成形キヤビテイ４及び５の
間に回動され、一方で吹込成形が行なわれている
間に、ここでは射出成形機から樹脂が射出され、
パリソン成形が行なわれ、以下、同様にしてパリ
ソン成形と吹込成形とが常に並行し、繰返し行な
われる。

第１図では、パリソン成形用キヤビテイと吹込
成形用キヤビテイが１組みとなつて併設されてい
る例を示し、必要に応じて同じ組合わせを並列さ
せて生産性を上げることができると説明したが、
パリソン成形用キヤビテイーパリソン成形用キヤ
ビテイー吹込成形用キヤビテイー吹込成形用キヤ
ビテイの順序の組合わせからなる装置を用いるこ
ともできる。この場合、４本のコアが１つの回動
装置（例えばロータリーアクチエーター）で回動
されるが、回動の際、コアが画く円の径が大きく
なり、その分だけ型開きの際の開き距離を大きく
しなければならない。

本発明装置で成形される樹脂の素材例として
は、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフ
イン系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂のよ
うな熱可塑性樹脂、クロロプレン系樹脂、ブタジ
エン系樹脂、イソプレン系樹脂のような熱可塑性
エラストマー樹脂が挙げられる。

本発明装置は上述のような伸縮可能な蛇腹状部
分を有する両端開口の筒状成形品のほか、通常の
容器、その他如何なる形状の中空成形品の製造も
可能である。

（発明の効果） (イ) 本発明装置では、汎用の射出成形機で射出吹
込成形が可能となる。そして多品種、少量生産
にも適する。

(ロ) 本発明装置ではパリソン成形品の長さ方向
が、型開閉方向と異なるので、成形品の長さが
制限されず、長さの大きな中空成形品の製造が
可能となる。

(ハ) 本発明装置ではパリソン成形と吹込成形と
が、同時に並行して進められるので極めて能率
的である。

(ニ) 本発明装置によれば両端開放の中空成形品
（特にベローズのような複雑な構造のもの）の
成形が可能であり、しかもその開放両端の内
径、外径共に厳しく寸法規制された製品が得ら
れる。

即ち、本発明装置では、有底パリソンを成形
し、吹込成形キヤビテイ側にコアが回動し、キヤ
ビテイが型閉じされる際、キヤビテイ下部（コア
の下端に当る部分）に装備された喰切りプレート
（第４図、第６図中、１８で示す）によつてパリ
ソンの有底部は切断され、吹込成形が終つた段階
では自動的に両端開放成形品となる。

また、有底パリソンを成形し、成形されたパリ
ソンをコアに装着されたまゝ全体が回動し、吹込
成形される前にキヤビテイが型閉じし、パリソン
の上、下端においてコアとキヤビテイの空隙にパ
リソン成形品が隙間なく位置することにより、
上、下端の外径はもちろん、内径をも寸法規制さ
れる。従つて、かくして得られる中空成形品を他
の機械部品（例えばシヤフト等）に嵌合させる用
途に使用する場合、完全に密着し、装着させるこ
とができる。このように嵌合されるシヤフト等と
の密着性が増すことにより、シール性が良好とな
り、別個に締付けバンドを用いることなどが不要
となり、摘要範囲が広がると同時に、工程簡素
化、コストダウンが図られ、有用性が高くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置の一例の型開き時における
斜視略図、第２図は第１図に示す装置のパリソン
成形用キヤビテイ及びパリソン成形用コアの部分
の型開き時における縦断面略図、第３図は第２図
に示すものの型閉じ時におけるキヤビテイ部分の
縦断面略図、第４図は第１図に示す装置の吹込成
形キヤビテイ及びこれに内臓されるコアの部分の
型開き時における縦断面略図、第５図は第４図に
示すものの型閉じ時におけるキヤビテイ部分の縦
断面略図、第６図はパリソン成形用コアにパリソ
ンを形成させた状態及び吹込成形品を形成させた
状態を説明するための説明図である。 図中、１は射出成形機の加熱用のシリンダー、
４はパリソン成形用の固定側のキヤビテイ、５は
パリソン成形用の可動側キヤビテイ、６はパリソ
ン成形用のコア、７は吹込成形用の固定側キヤビ
テイ、８は吹込成形用の可動側キヤビテイ、９は
ラツクギヤー、１０はピニオンギヤー、１１はロ
ータリーアクチエーター、１４はパリソン、１５
は蛇腹状の中空成形品、１７は圧縮空気吹出用ス
リツト、１９はコア支持台である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ パリソン成形用のキヤビテイと吹込成形用の
   キヤビテイが、固定側及び可動側において、それ
   ぞれ対応する位置で並列して設けられ、上記パリ
   ソン成形用キヤビテイ及び吹込成形用のキヤビテ
   イの可動側は共に同一方向、かつ同時に移動して
   型開き及び型閉じされるようになされており、パ
   リソン成形用キヤビテイ及び吹込成形用キヤビテ
   イのそれぞれに内臓されるコアは、型開き時に、
   固定側キヤビテイ及び可動側キヤビテイの中間位
   置に移動されるようになされており、かつその中
   間位置において上記それぞれのコアは相互に位置
   を交替できるよう回動可能にされていることを特
   徴とする射出吹込成形装置。 ２ パリソン成形用キヤビテイ及び吹込成形用キ
   ヤビテイそれぞれに内臓されるコアがキヤビテイ
   型開き時に、固定側及び可動側キヤビテイの中間
   位置に移動されるのは、固定側キヤビテイと可動
   側キヤビテイの上部に取付けられたラツクギヤー
   と、このラツクギヤーと噛合う、コア支持台の両
   端に設けられたピニオンギヤーとによつて行なわ
   れるものである特許請求の範囲第１項記載の射出
   吹込成形装置。 ３ パリソン成形用キヤビテイ及び吹込成形用キ
   ヤビテイのそれぞれに内臓されるコアが、型開き
   時、固定側及び可動側キヤビテイの中間位置にお
   いて、相互に位置を交替できるよう回動するの
   は、コア支持台に取り付けたロータリーアクチエ
   ーターによつて行なわれるものである特許請求の
   範囲第１項記載の射出吹込成形装置。