JPH04252296A - リチウムコンプレックスグリース組成物及びその製造方法 - Google Patents

リチウムコンプレックスグリース組成物及びその製造方法

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JPH04252296A
JPH04252296A JP939291A JP939291A JPH04252296A JP H04252296 A JPH04252296 A JP H04252296A JP 939291 A JP939291 A JP 939291A JP 939291 A JP939291 A JP 939291A JP H04252296 A JPH04252296 A JP H04252296A
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JP
Japan
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lithium
component
acid
grease composition
polyoxyethylene alkyl
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Application number
JP939291A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kimura
浩 木村
Takashi Okaniwa
隆志 岡庭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYODO YUSHI KK
Kyodo Yushi Co Ltd
Original Assignee
KYODO YUSHI KK
Kyodo Yushi Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリチウムコンプレックス
グリース組成物及びその製造方法に関する。より詳しく
は、機械部品の潤滑剤として使用される潤滑グリースの
中でも特に高温で使用し得る高滴点を有するリチウムコ
ンプレックスグリース組成物及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】機械部品の潤滑剤として使用される潤滑
グリースとしては、リチウム石けん(高級脂肪酸のリチ
ウム塩)を増ちょう剤として含むいわゆるリチウムグリ
ースが広範囲に使用されているが、リチウムグリースは
耐熱性に劣る。このため、最近では例えば自動車部品の
ように潤滑グリースを使用する温度条件が高くなったこ
とからリチウムグリースでの対応が困難な場合が増加し
てきている。そのために最近では耐熱グリースとして尿
素化合物を含むウレアグリースが使用されてきてはいる
が、ウレアグリースの製造に使用する原料が公害上、労
働衛生上の問題を有するため、欧米では耐熱グリースと
してむしろリチウムコンプレックスグリースの使用が盛
んになっている。
【0003】このリチウムコンプレックスグリースとは
、高級脂肪酸のリチウム塩と脂肪族二塩基酸のリチウム
塩との複合塩を増ちょう剤に用いて潤滑油を半固体状に
固めたものを言い、従来のリチウムグリースに比べて耐
熱性が優れている。リチウムコンプレックスグリース組
成物や製造方法に関して、特公昭54−2205号記載
のホウ酸を用いる例、特公昭61−32359号記載の
2段階けん化により製造する例などが開示されている。 しかしながら、得られるリチウムコンプレックスグリー
スは滴点が十分に高くなく、長期の品質安定性が劣り、
またリチウムコンプレックスグリースの増ちょう剤成分
の一部の基油に対する分散能力が著しく劣るために、軸
受の回転時における静粛性が劣る、すなわち音響性能が
悪いという問題を有していた。
【0004】加えて、その製造に際しても多大な時間と
労力が必要とされていた。従来の代表的なリチウムコン
プレックスグリースの製造方法においては、例えば、特
公昭61−32359号等に記載されているように、高
級脂肪酸のリチウム塩を形成した後、加熱による脱水を
行い、冷却して、脂肪族ジカルボン酸を加え、次いでそ
れをけん化するのに必要な水酸化リチウムを何回かに分
割し、かつ長時間かけて添加したり、水酸化リチウムを
添加した後、少量の水を時々添加しながら長時間けん化
を行う製造工程が採られていた。
【0005】また、高滴点を有するリチウムコンプレッ
クスグリースを得るべく、エーテル結合を有する物質を
添加した例として、米国特許第2,940,930号は
、ステアリン酸とジカルボン酸とを一般式HO−R−O
Hで表される例えばエチレングリコールと潤滑油と共に
350°F(177℃)迄加熱保持し、得られた酸性反
応物と水酸化リチウムとをけん化することによって高滴
点を有するグリースが得られる事を開示している。しか
し、この製造方法では高温で長時間の反応が必要となる
ために得られる最終品の酸化がかなり進行するものと考
えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、滴点が高く、安定した品質性能を有し、かつ音
響性能に優れたリチウムコンプレックスグリース組成物
を提供することである。本発明の他の目的は、製造に要
する時間を大幅に短縮したリチウムコンプレックスグリ
ース組成物の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ある特定のエーテ
ル結合を有する物質を添加することにより高性能で安定
した性能を有するリチウムコンプレックスグリース組成
物が得られ、その製造が大幅に簡略化されることを見出
し、本発明に到達したものである。
【0008】すなわち、本発明は、(a)潤滑油、(b
)少なくとも1個のヒドロキシル基を含む炭素数12〜
24の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩、(c)炭素
数2〜12の脂肪族ジカルボン酸の二リチウム塩、及び
(d)一般式R−O−(CH2 CH2 O)n H(
式中、Rは炭素数8〜30の脂肪族炭化水素基であり、
nは2〜20の整数である)で表されるポリオキシエチ
レンアルキルエーテルを含有し、成分(b)と成分(c
)の合計量が組成物の全重量に対して3〜30重量%で
あり、成分(b)対成分(c)の重量比が1:2〜6:
1であり、成分(d)が組成物の全重量に対して0.2
〜4.0重量%であり、滴点が250℃以上であること
を特徴とするリチウムコンプレックスグリース組成物を
提供する。
【0009】本発明に使用する成分(a)の潤滑油には
特に制限はないが、鉱物油及び合成炭化水素油、エステ
ル系合成油、エーテル系合成油、アルキルベンゼン系合
成油、シリコーン油等の合成潤滑油が挙げられさらにそ
れらを併用してもよい。本発明に使用する成分(b)の
少なくとも1個のヒドロキシル基を含む炭素数12〜2
4の脂肪族モノカルボン酸(以下、「脂肪族モノカルボ
ン酸」と言う)のリチウム塩の原料として用いられる脂
肪族モノカルボン酸として好ましいものは、ヒドロキシ
ル基を1個もしくは2個有する脂肪族モノカルボン酸で
ある。その具体例として、ヒドロキシステアリン酸、例
えば9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシス
テアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、及び9−
、10−位置に2重結合を持つリシノレイン酸や9,1
0−ジヒドロキシステアリン酸が挙げられるが、好まし
くは12−ヒドロキシステアリン酸である。
【0010】本発明に使用する成分(c)の炭素数2〜
12の脂肪族ジカルボン酸(以下、「脂肪族ジカルボン
酸」と言う)の二リチウム塩の原料として用いられる脂
肪族ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸
、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ
るが、好ましくはアゼライン酸である。
【0011】本発明における上記成分(b)と成分(c
)の合計添加量は組成物の全重量に対して3〜30重量
%であり、好ましくは5〜20重量%である。3重量%
未満では組成物が液体に近くなる。一方、30重量%を
超えると組成物が固くなり過ぎる。また成分(b)対成
分(c)の重量比は1:2〜6:1、好ましくは1:1
〜4:1である。
【0012】本発明に使用する成分(d)の一般式R−
O−(CH2 CH2 O)n H(式中、Rは炭素数
8〜30の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜20の整
数、好ましくは4〜16の整数である)で表されるポリ
オキシエチレンアルキルエーテルは、非イオン型界面活
性剤として乳化剤や洗浄剤として幅広く使用されている
活性剤である。このポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルはアルコールにエチレンオキサイドを付加した物であ
り、そのアルコールの種類により、高級アルコール系、
天然アルコール系、合成アルコール系などに分類される
がそのいずれも単独で、又は2種以上を組み合せて使用
できる。具体的には、三洋化成工業株式会社製のエマル
ミンシリーズやライオン株式会社製のドバノックスシリ
ーズ、レオコールシリーズ、レオックスシリーズ、花王
株式会社製のエマルゲンシリーズが挙げられる。
【0013】また、成分(d)のポリオキシエチレンア
ルキルエーテルのHLB(界面活性剤の親水性を表す数
値)は2〜18の範囲が好ましく、4〜16の範囲がよ
り好ましい。本発明に用いる成分(d)のポリオキシエ
チレンアルキルエーテルの添加量は組成物の全重量に対
して0.2〜4.0重量%の範囲である。0.2重量%
未満になるとその効果はほとんど期待できず、4.0重
量%を超える場合には顕著な効果の向上は見られない。
【0014】本発明のリチウムコンプレックスグリース
組成物は、上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)
の他に、他の成分を含んでもよい。他の成分としては、
通常酸化防止剤、防錆剤等の潤滑油添加剤が用いられる
。さらに、グリース組成物の耐水性を向上させる目的で
、特公平2−8639号に記載の脂肪酸ポリエチレング
リコールエステルを用いてもよい。これらの他の成分は
それぞれ組成物の全重量に対して1〜3重量%用いるこ
とが好ましい。
【0015】本発明はまたリチウムコンプレックスグリ
ース組成物の製造方法を提供するものであり、(イ)潤
滑油に、少なくとも1個のヒドロキシル基を含む炭素数
12〜24の脂肪族モノカルボン酸を加え、70℃〜1
10℃に加熱して溶解し、次いで水酸化リチウムを添加
し、けん化させて該脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩
を形成し、(ロ)炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸
を加え攪拌して溶解し、さらに水酸化リチウムを添加し
、けん化させて該脂肪族ジカルボン酸の二リチウム塩を
形成し、及び(ハ)180℃〜210℃まで加熱した後
、潤滑油を追加して室温まで冷却する工程を含むリチウ
ムコンプレックスグリース組成物の製造方法において、
該脂肪族ジカルボン酸の二リチウム塩を形成するための
水酸化リチウムを添加する前に、一般式R−O−(CH
2 CH2 O)n H(式中、Rは炭素数8〜30の
脂肪族炭化水素基であり、nは2〜20の整数である)
で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを加え
ることを特徴とする。
【0016】本発明のリチウムコンプレックスグリース
組成物の製造方法においては、本発明の成分(d)のポ
リオキシエチレンアルキルエーテルは、脂肪族ジカルボ
ン酸をけん化するための水酸化リチウムが添加される前
に存在させることが必要である。つまり、脂肪族モノカ
ルボン酸のリチウム塩が形成された後や、製造工程の便
宜上脂肪酸モノカルボン酸を潤滑油に溶解する際に加え
ておいてもよいが、脂肪族ジカルボン酸をけん化する水
酸化リチウムを添加した後に存在させてもその効果はほ
とんど無い。
【0017】本発明のリチウムコンプレックスグリース
組成物の製造方法の工程(イ)において、潤滑油に脂肪
族モノカルボン酸を加えた後、これを70°〜110℃
に加熱し、工程(イ)及び工程(ロ)の間中、70°〜
110℃に保持することが必要とされる。70℃より低
いと、潤滑油中に成分(b)、(c)及び(d)を十分
に溶解することができずけん化を十分に行うことができ
ない。一方、110℃より高いと、けん化反応液中の水
が急激に蒸発する等の不都合が生じる。
【0018】工程(イ)で用いる潤滑油対工程(ハ)で
用いる潤滑油の重量比は80:20〜20:80である
ことが好ましく、より好ましくは60:40〜40:6
0である。ここで用いる水酸化リチウムは、水酸化リチ
ウムの結晶を水に加えてスラリー状に懸濁した懸濁液、
もしくは加熱溶解した溶液であることが好ましい。水酸
化リチウムの結晶に対する水の重量比は3〜7倍、特に
5倍であるのが好ましい。結晶状の水酸化リチウムのま
までけん化を行っても高滴点を有するグリースを得るこ
とはできるが、けん化が不十分となるために未反応の脂
肪酸が多くなり、最終品も不均一な状態となり熱安定性
も不十分で好ましくないからである。
【0019】本発明のリチウムコンプレックスグリース
組成物の製造方法の具体例を次に示す。潤滑油中に脂肪
族モノカルボン酸を加え、これを溶解する温度まで加熱
する。これに予め水酸化リチウムの結晶を水に加熱溶解
した溶液を加えて、攪拌しながらけん化を行い、脂肪族
モノカルボン酸のリチウム塩を形成する。これにポリオ
キシエチレンアルキルエーテルを加えて攪拌する。次に
、脂肪族ジカルボン酸を加えて攪拌を継続する。これに
予め水酸化リチウムの結晶を水に加熱溶解した溶液を加
えて攪拌しながら脂肪族ジカルボン酸のけん化を行う。 攪拌を継続し、一定時間経過後、赤外分光分析で未反応
カルボン酸の吸収が見られないことを確認してけん化を
終了する。次に、内容物を180℃〜210℃の温度範
囲まで徐々に加熱した後、残りの潤滑油を加えて室温ま
で冷却し、三段ロールを通して、リチウムコンプレック
スグリース組成物を得る。
【0020】
【作用】本発明に使用する成分(d)のポリオキシエチ
レンアルキルエーテルは、分散剤として、すなわち成分
(b)の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩及び成分(
c)の原料として用いられる脂肪族ジカルボン酸の分散
剤として作用するものと考えられる。以下にその作用機
構を詳述する。
【0021】本発明のリチウムコンプレックスグリース
組成物においては、成分(b)の脂肪族モノカルボン酸
のリチウム塩と成分(c)の脂肪族ジカルボン酸の二リ
チウム塩とが、複合リチウム塩となって錯体を形成する
ことによって増ちょう効果を発揮している。そのために
は、まず親油性の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩を
潤滑油中にできるだけ微細に分散させておくことが必要
であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテルはこの分
散性を高める作用を有している。
【0022】一方、脂肪族ジカルボン酸はその代表例で
あるアゼライン酸を例にすると、水への溶解度は20℃
の水100gに対して0.214gと親水性の性質を有
しているために潤滑油に対する溶解性は劣る。したがっ
て成分(b)の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩と成
分(c)の脂肪族ジカルボン酸の二リチウム塩とが、よ
り微細な複合リチウム塩となって錯体を形成するには、
親水性の脂肪族ジカルボン酸を潤滑油の中にできるだけ
微細に均一分散させた状態、好ましくは完全に溶解させ
た上で水酸化リチウムとけん化させることが重要であり
、本発明に使用するポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルはこの脂肪族ジカルボン酸をも潤滑油の中に微細に分
散させる作用をも有している。このようにポリオキシエ
チレンアルキルエーテルが分散剤として作用する結果、
より緻密な構造を持つ複合リチウム塩からなる錯体が形
成され、安定した性能を持ち、高滴点を有するリチウム
コンプレックスグリースが得られるものと考えられる。
【0023】また、けん化が行われている間はポリオキ
シエチレンアルキルエーテルの親水基の部分に系内の水
が水素結合によって緩く結合した状態にあるために、脂
肪族ジカルボン酸と水酸化リチウムが反応する時の溶媒
としての水の量を制御しているものとも考えられる。こ
の反応時の水の量の適宜な制御によって、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテルは脂肪族ジカルボン酸の一リチ
ウム塩を優先して形成させてその後に二リチウム塩を形
成することに寄与しているものと考えられる。この適宜
な制御が行われないと脂肪族ジカルボン酸の一リチウム
塩の形成よりも、二リチウム塩が優先して形成されるこ
とになる。この脂肪族ジカルボン酸の二リチウム塩は一
リチウム塩よりも水に対する溶解度が高く潤滑油に対す
る溶解性が劣るため、親油性の脂肪族モノカルボン酸と
親水性の脂肪族ジカルボン酸の複合リチウム塩からなる
錯体の形成が困難になる。したがって、例えば脂肪族ジ
カルボン酸の代表例としてアゼライン酸を用いて安定し
たリチウムコンプレックスグリース組成物を得るには、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルを存在させること
により、アゼライン酸の解離定数であるK1 =2.9
6×10−5、K2 =2.7×10−6、の差を機能
的に利用してアゼライン酸の一リチウム塩を優先して形
成させてその後に二リチウム塩とし、段階的に複合リチ
ウム塩からなる錯体を形成することが重要であると考え
る。
【0024】本発明のリチウムコンプレックスグリース
組成物を製造する過程において、脂肪族ジカルボン酸を
けん化するための水酸化リチウムが添加される前に成分
(d)のポリオキシエチレンアルキルエーテルを存在せ
しめることが必要である理由については次のように考え
られる。脂肪族ジカルボン酸と水酸化リチウムとのけん
化が開始された後にポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルを存在させるということは、アゼライン酸を例にすれ
ばアゼライン酸の潤滑油に対する分散性が悪い状態でア
ゼライン酸がけん化されることになり、その結果、粗い
粒子状態のアゼライン酸二リチウム塩が形成されてしま
い、緻密な構造の複合リチウム塩からなる錯体が形成さ
れにくくなる。さらに、アゼライン酸の一リチウム塩が
優先して形成せず直ちに二リチウム塩が形成されてしま
うため、脂肪族モノカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の
複合リチウム塩からなる錯体の形成が困難になり、脂肪
族モノカルボン酸のリチウム塩と脂肪族ジカルボン酸の
二リチウム塩とが各々単純に混合された状態となるため
に、高滴点を有するリチウムコンプレックスグリースに
はなり得ない。
【0025】本発明のリチウムコンプレックスグリース
組成物中の増ちょう剤であるリチウムコンプレックスの
結晶構造については、次の3種の構造の組み合わせが考
えられる。 α型:成分(c)の脂肪族ジカルボン酸の二リチウム塩
を中心にしてその両端に成分(b)の脂肪族モノカルボ
ン酸のリチウム塩が結合している形態 ………Li・Li………Li・Li………(成分b) 
   (成分c)    (成分b)β型:成分(b)
の脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩同士が結合してい
る状態 ………Li・Li……… (成分b)  (成分b) γ型:成分(c)の脂肪族ジカルボン酸の二リチウム塩
同士が結合している状態 Li………Li・Li………Li (成分c)      (成分c) 本発明のリチウムコンプレックスグリース組成物の増ち
ょう剤として12−ヒドロキシステアリン酸のリチウム
塩とアゼライン酸の二リチウム塩を用いた場合について
、X線回折を用いて検査したところ、上記α型の強度が
極めて強く検出された。この結果から本発明のリチウム
コンプレックスグリース組成物において、成分(b)の
脂肪族モノカルボン酸のリチウム塩と成分(c)の脂肪
族ジカルボン酸の二リチウム塩が緻密な錯体を形成して
いることが明らかになった。一方、ポリオキシエチレン
アルキルエーテルを添加しないで製造したリチウムコン
プレックスグリース組成物は、β型とγ型の強度が極め
て強く検出され、12−ヒドロキシステアリン酸のリチ
ウム塩とアゼライン酸のリチウム塩の各々の混合物に過
ぎず、成分(b)と成分(c)との錯体が形成される程
度が少ないことがわかった。
【0026】
【発明の効果】本発明のリチウムコンプレックスグリー
ス組成物は、滴点が高く、安定した品質性能を有し、か
つ音響性能に優れている。更に、その製造に要する時間
を大幅に短縮することを可能にした。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明する
。 実施例1 潤滑油467.5gの中に12−ヒドロキシステアリン
酸82.5gを加え、完全に透明な液体状態になる温度
(80〜90℃)に加熱した。これに予め水道水60g
に水酸化リチウム1水塩11.9gを添加して加熱溶解
したものを加え、激しく攪拌しながら12−ヒドロキシ
ステアリン酸のけん化を行って12−ヒドロキシステア
リン酸のリチウム塩を形成した。次に、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルとしてAタイプ〔エマルミン50
(商品名;三洋化成工業株式会社製);HLB9.0〕
20gを添加して激しく攪拌した。引き続いて、アゼラ
イン酸26gを加えて均一な状態になるまで攪拌を継続
した。これに予め水道水60gを加熱溶解した水酸化リ
チウム1水塩11.9gを添加して激しく攪拌しながら
アゼライン酸のけん化を行った。約60分後赤外分光分
析で未反応カルボン酸の吸収が見られないことを確認し
てけん化を終了させた。次に、加熱工程に入り内容物を
200℃迄徐々に加熱した。200℃になった時点で残
りの潤滑油380.2gを添加しそのまま室温まで冷却
し、三段ロールを2回通して、リチウムコンプレックス
グリース組成物を得た。最終の内容物の量は1000g
とした。
【0028】尚、本発明に使用した潤滑油は粘度が40
℃で97.7cSt、100℃で10.9cSt、粘度
指数が95のパラフィン系鉱物油である。得られたリチ
ウムコンプレックスグリース組成物の性状は次の試験方
法にしたがって実施した。混和ちょう度、滴点及び離油
度はJIS  K  2220により、音響試験は、特
公昭53−2357公報記載の方法による。
【0029】得られたリチウムコンプレックスグリース
組成物の組成及び性状を第1表に示す。 実施例2〜6 第1表に示すようにポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルの種類を変え、あるいはポリオキシエチレンアルキル
エーテル、12−ヒドロキシステアリン酸またはアゼラ
イン酸の添加量を変え、その分量だけ潤滑油の添加量で
調製して最終の内容物の量を1000gとした以外は実
施例1と同様にしてリチウムコンプレックスグリース組
成物を得た。 実施例2〜4 ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてBタイプ〔
エマルミン70(商品名;三洋化成工業株式会社製);
HLB10.8〕を用いてその添加量を40g(4重量
%)としたのが実施例2であり、その添加量を20g(
2重量%)としたのが実施例3であり、その添加量を1
0g(1重量%)としたのが実施例4である。 実施例5 ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてCタイプ〔
エマルミン140(商品名;三洋化成工業株式会社製)
;HLB14.2〕を用いたのが実施例5である。 実施例6 ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてBタイプを
使用し、12−ヒドロキシステアリン酸及びアゼライン
酸の添加量を減量した例である。
【0030】得られたリチウムコンプレックスグリース
組成物の性状を第1表に示す。
【0031】
【表1】
【0032】第1表の結果から本発明のリチウムコンプ
レックスグリース組成物は混和ちょう度が低く、滴点が
高く、また音響性能も良好であることが明らかである。 比較例1〜6 第2表に示すように、ポリオキシエチレンアルキルエー
テルを添加せずまたはその添加量を減じ、あるいはポリ
オキシエチレンアルキルエーテル以外の界面活性剤を用
いた以外は実施例1と同様にしてリチウムコンプレック
スグリース組成物を得た。 比較例1、2 ポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いない例が比
較例1、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてA
タイプの添加量を1g(0.1重量%)とした例が比較
例2である。 比較例3 ポリオキシエチレンアルキルエーテルの代わりにポリオ
キシエチレンアルキルフェノールエーテルとしてDタイ
プ〔商品名ノニポール55(三洋化成工業株式会社製)
;HLB10.5〕を用いた例である。 比較例4 ポリオキシエチレンアルキルエーテルの代わりにポリオ
キシエチレンアルキルフェノールエーテルとしてEタイ
プ〔商品名ドデカボール90(三洋化成工業株式会社製
);HLB12.0〕を用いた例である。 比較例5 ポリオキシエチレンアルキルエーテルの代わりにポリオ
キシエチレン脂肪酸エステルとしてFタイプ〔商品名イ
オネットMO200(三洋化成工業株式会社製);HL
B 8. 4〕を用いた例である。 比較例6 リチウムコンプレックスグリース組成物を調製せず、リ
チウムコンプレックスグリース組成物の市販品をそのま
ま用いた例である。
【0033】得られたリチウムコンプレックスグリース
組成物の性状を第2表に示す。音響試験は、グリース組
成物の性状の中で混和ちょう度が320以下で、滴点が
250℃以上の良好な例についてのみ実施した。
【0034】
【表2】
【0035】第2表の結果から本発明のポリオキシエチ
レンアルキルエーテルを含まないかまたはその添加量が
少ない比較例のいずれも、滴点が高くかつ音響性能に優
れるという本発明の効果を得られないことが明らかであ
る。すなわち、比較例1、2及び5のグリース組成物は
混和ちょう度が高く、滴点が250℃より低く、離油度
が大きい。離油度が大きいと、例えば使用中に油が分離
しやすくなり油の漏洩が激しくなり、グリース組成物の
保存状態が悪くなり、潤滑寿命が悪くなる。一方、比較
例3、4及び6のグリース組成物は混和ちょう度が低く
かつ滴点が250℃より高いが、音響性能に劣る。 実施例7、8、9及び比較例7、8、9第3表に示され
るようにポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてB
タイプを用い、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの
添加時期を変化させた以外は実施例1と同様にしてリチ
ウムコンプレックスグリース組成物を得た。 実施例7、8、9 ポリオキシエチレンアルキルエーテルを、12−ヒドロ
キシステアリン酸と同時に添加した例が実施例7で、1
2−ヒドロキシステアリン酸のリチウム塩を生成後、ア
ゼライン酸が添加される前に添加した例が実施例8、ア
ゼライン酸が添加された後、水酸化リチウムを添加する
前にポリオキシエチレンアルキルエーテルを添加した例
が実施例9である。 比較例7、8、9 ポリオキシエチレンアルキルエーテルを、アゼライン酸
と水酸化リチウムでけん化を行っている途中に添加した
例が比較例7、アゼライン酸のけん化終了時に添加した
例が比較例8、アゼライン酸のけん化終了後、加熱工程
時(140℃)に添加した例が比較例9である。
【0036】得られたリチウムコンプレックスグリース
組成物の性状を第3表に示す。音響試験は、グリース組
成物の性状の中で混和ちょう度が320以下で、滴点が
250℃以上の良好な例についてのみ実施した。
【0037】
【表3】
【0038】第3表の結果から、アゼライン酸(脂肪族
ジカルボン酸)を添加後アゼライン酸をけん化する水酸
化リチウムを加えた後に、ポリオキシエチレンアルキル
エーテルを添加した比較例7、8及び9のグリース組成
物は混和ちょう度が高く、滴点が低いことが明らかであ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)潤滑油、(b)少なくとも1個のヒ
    ドロキシル基を含む炭素数12〜24の脂肪族モノカル
    ボン酸のリチウム塩、(c)炭素数2〜12の脂肪族ジ
    カルボン酸の二リチウム塩、及び(d)一般式R−O−
    (CH2 CH2 O)n H(式中、Rは炭素数8〜
    30の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜20の整数で
    ある)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル
    を含有し、成分(b)と成分(c)の合計量が組成物の
    全重量に対して3〜30重量%であり、成分(b)対成
    分(c)の重量比が1:2〜6:1であり、成分(d)
    が組成物の全重量に対して0.2〜4.0重量%であり
    、滴点が250℃以上であることを特徴とするリチウム
    コンプレックスグリース組成物。
  2. 【請求項2】  ポリオキシエチレンアルキルエーテル
    のHLBが2〜18である請求項1記載のリチウムコン
    プレックスグリース組成物。
  3. 【請求項3】  nが4〜16の整数である請求項1記
    載のリチウムコンプレックスグリース組成物。
  4. 【請求項4】  ポリオキシエチレンアルキルエーテル
    のHLBが4〜16である請求項2記載のリチウムコン
    プレックスグリース組成物。
  5. 【請求項5】(イ)潤滑油に、少なくとも1個のヒドロ
    キシル基を含む炭素数12〜24の脂肪族モノカルボン
    酸を加え、70℃〜110℃に加熱して溶解し、次いで
    水酸化リチウムを添加し、けん化させて該脂肪族モノカ
    ルボン酸のリチウム塩を形成し、(ロ)炭素数2〜12
    の脂肪族ジカルボン酸を加え攪拌して溶解し、さらに水
    酸化リチウムを添加し、けん化させて該脂肪族ジカルボ
    ン酸の二リチウム塩を形成し、及び(ハ)180℃〜2
    10℃まで加熱した後、潤滑油を追加して室温まで冷却
    する工程を含む請求項1記載のリチウムコンプレックス
    グリース組成物の製造方法において、該脂肪族ジカルボ
    ン酸の二リチウム塩を形成するための水酸化リチウムを
    添加する前に、一般式R−O−(CH2 CH2 O)
    n H(式中、Rは炭素数8〜30の脂肪族炭化水素基
    であり、nは2〜20の整数である)で表されるポリオ
    キシエチレンアルキルエーテルを加えることを特徴とす
    る上記製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018101340A1 (ja) * 2016-11-30 2018-06-07 出光興産株式会社 混合グリース

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WO2018101340A1 (ja) * 2016-11-30 2018-06-07 出光興産株式会社 混合グリース
JP2018090674A (ja) * 2016-11-30 2018-06-14 出光興産株式会社 混合グリース
US11021670B2 (en) 2016-11-30 2021-06-01 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Mixed grease

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