JPH04248030A - ディスクパッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はディスクパッドに関し、
更に詳細には自動車等の車両のディスクブレーキに用い
られるディスクパッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から自動車等の車両のディスクブレ
ーキに用いられるディスクパッドとして、金属粉や有機
繊維等のパッド構成成分が熱硬化性樹脂等のレジン成分
によって硬化されて成るパッド層が金属製の裏板に固着
されているものが使用されている。かかるディスクパッ
ドにおいて、金属製の裏板とパッド層との固着は、通常
、接着剤によってなされている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この様な従来のディス
クパッドは、普通乗用車等のディスクブレーキ用として
は充分に使用することができる。ところで、最近、車両
の軽量化の一貫としてディスクブレーキも軽量化するこ
とが求められている。本発明者等は、この様な要求に応
えてディスクパッドの軽量化を図るべく、金属製の裏板
よりも軽量で且つ耐熱性を有する炭素繊維等の炭素材か
ら成る裏板を用いることを試みた。しかしながら、炭素
繊維等の炭素材から成る裏板とパッド層とを従来から使
用されてきた接着剤を用いて固着したディスクパッドを
自動車レース用に用い、レース後にディスクパッドをデ
ィスクブレーキから取り外して検査したところ、裏板と
パッド層とが剥離しているものがあった。そこで、本発
明の目的は、使用中に炭素繊維等の炭素材から成る裏板
とパッド層とが剥離することのないように、両者が強固
に固着されたディスクパッドを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記目的
を達成すべく検討した結果、炭素繊維等の炭素材から成
る裏板面に溶射によってセラミックス層を形成し、その
後、裏板面とパッド層とを加熱押圧することによって、
両者を強固に固着できることを見い出し、本発明に到達
した。即ち、本発明は、自動車等の車両のディスクブレ
ーキに用いられ、回転するディスクロータ面と当接し制
動作用を奏するディスクパッドにおいて、該ディスクロ
ータ面と当接するパッド層が、炭素繊維等の炭素材から
成る裏板面に、溶射によって形成されたセラミックス層
を介して固着されていることを特徴とするディスクパッ
ドにある。かかる構成を有する本発明において、セラミ
ックス層を形成するセラミックスをジルコニア系セラミ
ックスとすると、ディスクパッドの裏板を押圧するキャ
リパのピストンへの伝熱を防止し、前記ピストンを作動
する作動油の温度上昇を防止することができる。また、
裏板とセラミックス層との間に、酸化物系サーメット層
が形成されていることが、セラミックス層と裏板との接
着強度を向上することができる。

【０００５】

【作用】本発明によれば、炭素繊維等の炭素材から成る
裏板（以下、カーボン製裏板と称することがある）とパ
ッド層との接着を優れた耐熱性を有するセラミックスを
用いて行うことができる。その詳細な理由は、未だ明確
になっていないが次の様に推察される。つまり、従来の
ディスクパッドにおいては、裏板とパッド層との接着が
接着剤の接着力のみを利用していたに過ぎない。従って
、熱等によって接着剤が劣化して接着力が低下すると、
裏板とパッド層との剥離が発生するのである。一方、本
発明において、カーボン製裏板面に溶射によって形成さ
れるセラミックス層には、微細孔が多数形成されている
と考えられる。このため、表面に溶射によって形成され
たセラミック層を有するカーボン製裏板にパッド層を接
着剤等を塗布し加熱押圧して固着する際に、パッド層に
含有されているレジンが溶解され、溶解レジン及び接着
剤の一部がセラミックス層中の多数の微細孔に侵入して
アンカー効果を奏する結果、接着剤の接着力と相俟って
両者が強固に固着されるのである。

【０００６】

【実施例】本発明を図面を用いて更に詳細に説明する。 図１は本発明に係るディスクパッドをカーボン製裏板の
背面側から見た背面図である。本実施例のカーボン製裏
板１０は、炭素マトリックス中に強化用の炭素繊維がラ
ンダムに配列されているものである。尚、カーボン製裏
板１０に穿設されている穴１５、１６は、ディスクパッ
ドをキャリパ等に取り付けるためのものである。この様
なカーボン製裏板１０の背面側において、キャリパのピ
ストンと図１の破線で示す斜線部分１３、１４の部分で
当接する。また、カーボン製裏板１０の表面側には、図
１のＸ−Ｘ　における断面図である図２に示す様に、金
属粉等の磨材を熱硬化性樹脂によって固化したセミメタ
リックのパッド層１２が固着されている。

【０００７】かかるパッド層１２とカーボン製裏板１０
とは、溶射によって形成されたセラミックス層１８と接
着剤２２を介して固着されている。このセラミックス層
１８は、ジルコニア（ＺｒＯ２）　の粉末、或いは前記
ジルコニアにカルシア（ＣａＯ）、マグネシア（ＭｇＯ
）等を添加した粉末を、ブラスト加工して粗面化された
カーボン製裏板１０の表面にプラズマ溶射することによ
って形成したものである。 このプラズマ溶射の際に、高温のプラズマ中で液滴とな
ったセラミックスがカーボン製裏板１０上に吹き付けら
れて固化しつつ積層されるため、形成されるセラミック
ス層１８中には微細孔が多数形成される。この様なセラ
ミックス層１８の上面に接着剤２２を塗布し、熱硬化性
樹脂が配合され所定の形状に成形されているパッド層１
２を押圧しつつ加熱圧着することによって、溶解したパ
ッド層１２に配合されている熱硬化性樹脂及び接着剤の
一部がセラミックス層１８中の微細孔中に侵入するもの
と推察される。 このため、パッド層１２とセラミックス層１８とは、熱
硬化性樹脂と接着剤２２とのアンカー効果と接着剤２２
の接着力とによって強固に固着されるのである。従って
、熱等によって接着剤２２の一部が劣化されたとしても
、裏板１０とパッド層１２とは熱硬化性樹脂等のアンカ
ー効果によって依然として強固に固着されており、両者
の剥離は発生しない。

【０００８】本実施例においては、図３に示す様に、カ
ーボン製裏板１０とセラミックス層１８との固着を強固
なものとすべく、両者の間にボンディングコートとして
ニッケル（Ｎｉ）　を主成分とし且つ少量のアルミナ（
Ａｌ２Ｏ３）が含有されている酸化物系サーメット層２
０が形成されている。このサーメット層２０は、セラミ
ックスの耐熱性と金属の強靱性を有しているため、カー
ボン製裏板１０とセラミックス層１８との熱膨張差等の
物性差を吸収することができ、セラミックス層１８の剥
離を防止することができる。かかるサーメット層２０は
、Ｎｉ中に少量のＡｌが含有されている混合物をプラズ
マ溶射することによって、Ａｌが大気中の酸素と化合し
てＡｌ２Ｏ３　となるため、Ｎｉ中にＡｌ２Ｏ３　が均
一分散されたサーメット層２０が得られる。

【０００９】本実施例のセラミックス層１８を形成する
ジルコニア系セラミックスは、図４の遠赤外線吸収スペ
クトルのグラフに示す様に、熱放射率が低く断熱性が良
好である。このため、本実施例の如く、パッド層１２と
カーボン製裏板１０との間にジルコニア系セラミックか
ら成るセラミック層１８を形成することによって、ブレ
ーキ作動時に発生するデイ　スクローターとディスクパ
ッドとの摩擦に因る摩擦熱等の熱を断熱し、キャリパの
ピストンへの熱伝導を防止することができる。尚、キャ
リパのピストンが直接当接するカーボン製裏板１０の背
面側にも、断熱材としてジルコニア系セラミクスから成
るセラミックス層と形成してもよい。この様な本実施例
のディスクパッドを自動車レース用に用いても、レース
後に裏板１０とパッド層１２との剥離は見られなかった
。

【００１０】以上、述べてきた本実施例においては、サ
ーメット層２０を介してセラミックス層１８がカーボン
製裏板１０に固着されていたが、セラミックス層１８が
直接カーボン製裏板１０に固着されていてもよい。また
、セラミック層２０を形成するセラミックスとしてジル
コニア系セラミックスを用いたが、三酸化クロム（Ｃｒ
２Ｏ３）を主成分とし、必要に応じてアルミナ（Ａｌ２
Ｏ３）を含有するクロミア系セラミックスであってもよ
い。この場合、クロミア系セラミックスの遠赤外線スペ
クトル（図示せず）によれば、熱放射率がジルコニア系
セラミックスよりも高い。 このため、キャリパのピストンへの伝熱を防止するため
、キャリパのピストンとの当接面であるカーボン製裏板
１０の背面側にジルコニア系セラミックスを溶射、或い
は前記ピストンのカーボン製裏板１０との当接面にジル
コニア系セラミックスを溶射することが好ましい。更に
、サーメット層２０も、クロム（Ｃｒ）−アルミ（Ａｌ
）−イットリウム（Ｙ）から成る混合物中に、コバルト
（Ｃｏ）　、ニッケル（Ｎｉ）　、及び鉄（Ｆｅ）　か
ら成る群の少なくとも一種が含有されている混合物をプ
ラズマ溶射して得られるものであってもよい。尚、パッ
ド層１２も、セミメッタリックのパッド層１２に限定さ
れず、金属粉、アラミド繊維等の有機繊維、金属繊維、
及び熱硬化性樹脂から成る摩材によって形成されたパッ
ド層であってもよい。これまで述べてきたディスクパッ
ドは、裏板としてカーボン製裏板を用いているが、チタ
ン製又はアルミ合金製の裏板であってもよい。

【００１１】

【発明の効果】本発明によれば、炭素繊維等の炭素材か
ら成るカーボン製裏板にパッド層を強固に固着すること
ができるため、ディスクパッドの軽量化が可能となり、
デイ　スクブレーキの軽量化を達成することができるた
め、自動車の車両軽量化に寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係るディスクパッドの一実施例を示
す背面図である。

【図２】図１のＸ−Ｘ　面における断面図である。

【図３】本実施例のセラミック層を構造を説明するため
の拡大断面図である。

【図４】ジルコア系セラミックスの遠赤外スペクトル曲
線を示すグラフである。

【符号の説明】

１０　　カーボン製裏板 １２　　パッド層 １３　　キャリパのピストンの当接部 １４　　キャリパのピストンの当接部 １８　　セラミックス層 ２０　　サーメット層

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　自動車等の車両のデイ　スクブレーキ
   に用いられ、回転するデイ　スクロータ面と当接し制動
   作用を奏するディスクパッドにおいて、該ディスクロー
   タ面と当接するパッド層が、炭素繊維等の炭素材から成
   る裏板面に、溶射によって形成されたセラミックス層を
   介して固着されていることを特徴とするディスクパッド
   。
2. 【請求項２】　　セラミックス層がジルコニア系セラミ
   ックスから成る請求項１記載のディスクパッド。
3. 【請求項３】　　裏板とセラミックス層との間に、酸化
   物系サーメット層が形成されている請求項１又は請求項
   ２記載のディスクパッド。