JPH04231792A - ポリオレフィン樹脂の形状保持・回復方法とその応用 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂の形状保持・回復方法とその応用

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JPH04231792A
JPH04231792A JP2414914A JP41491490A JPH04231792A JP H04231792 A JPH04231792 A JP H04231792A JP 2414914 A JP2414914 A JP 2414914A JP 41491490 A JP41491490 A JP 41491490A JP H04231792 A JPH04231792 A JP H04231792A
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JP
Japan
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temperature
resin
shape
diameter
deformation
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Application number
JP2414914A
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English (en)
Inventor
Koji Yamamoto
浩司 山本
Masakazu Okita
大北 雅一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン樹脂の
もつ低い形状記憶性を向上させる方法およびそれを利用
した管内面ライニング方法に関する。本発明のライニン
グ方法は、例えば、老朽した既設配管のパイプインパイ
プ工法による更生に応用できる。 【0002】 【従来の技術】高分子材料が形状記憶性を持つことは古
くより知られている。ほとんどの高分子材料は、いわゆ
る粘弾性体であって、外力と変形の関係が時間と無関係
ではなく、前に受けた力学的な操作の影響を受け、記憶
現象を示す。従来はこれらの高分子材料の形状記憶現象
による経時的変形を避けるため、高分子材料の成形は溶
融温度以上で行われてきた。ところが、最近、この形状
記憶性を積極的に利用しようとする試みが行われ始めて
いる。いわゆる形状記憶樹脂と呼ばれるものがそれであ
り、ポリノルボルネン、スチレン/ブタジエン共重合体
、トランスポリイソプレン、ポリウレタン等の樹脂材料
がその例として知られている。これらの形状記憶樹脂は
 400〜500 %の変形を与えても元の形状に完全
に回復するという優れた記憶性を有しているが、汎用の
樹脂の約10倍という高コストが難点であった。 【0003】高分子の形状記憶機構は、各樹脂によって
若干異なっているが、ゴム弾性を発現させる固定点と、
形状の固定・回復に利用される軟化・硬化可逆相の働き
による。即ち、室温以上の温度を有するガラス転移温度
或いは結晶融点を利用し、その温度以下では歪み (変
形形状) の固定を、その温度以上では歪み (変形形
状) の回復を発現させるものである。 【0004】これに対して、ポリオレフィン樹脂の多く
はガラス転移温度が室温以下 (例えば、ポリエチレン
のガラス転移温度が−120 ℃) と低く、室温にお
いて既にゴム弾性域にあるため、変形を与えても、ある
程度の部分はすぐに回復し、その後も徐々に変形の回復
が進行する。また、変形後の回復率も低い。そのため、
変形形状を固定し、任意に形状を回復させるという形状
記憶性の利用は困難であった。 【0005】汎用樹脂の形状回復性の利用に関して、特
開平2−16033 号公報には、樹脂管をダイに引き
通して縮径しながら連続的に埋設管中に挿入し、その後
の形状回復現象を利用して管の内面ライニングを行う方
法が提案されている。しかし、この方法では、樹脂管の
縮径形状は固定されず、すぐに回復が進行するため、ダ
イによる縮径作業は現地で行う必要があり、現地でのダ
イの設置等の煩雑な工程を必要とする。また、変形を行
いながら埋設管に引き通すため、施工速度が遅く、工事
に長期間を要するという欠点があった。さらに、ダイ出
口で樹脂管の弾性回復によるダイ膨潤を回避できないた
め、ダイ抽伸による設定縮径率を大きく取らねばならず
、変形抵抗が大きくなって、引き通しに大きな力を必要
とする上、ダイ膨潤により縮径率が低下するため、埋設
管の小さな曲がりでも引き通しが困難となるなど、作業
性に著しく劣るものであった。 【0006】特開昭62−27134 号公報には、同
軸的な薄い導電内層を備えた架橋プラスチックチューブ
に折り畳みの変形を加え、この形状を冷却固化させるこ
とからなる、管内面被覆用の熱復元性チューブが開示さ
れている。ここで用いられているのは、シラン架橋、電
子線架橋などの特殊な方法で架橋させたポリオレフィン
樹脂に導電内層を張り合わせた特殊なものであり、この
方法が汎用の熱可塑性樹脂に応用できることは示唆され
ていない。 【0007】本発明者らは、先に、低コストのポリオレ
フィン樹脂に対して、実用可能な実質的な形状記憶性を
簡便に付与する方法として、ポリオレフィン樹脂成形体
を60℃以上で樹脂の溶融温度未満の温度において変形
加工した後、その変形形状を保持したまま該変形加工温
度より30℃低い温度以下に冷却することによって変形
加工後の形状を実質的に保持させること、及びこうして
変形形状を保持しているポリオレフィン樹脂成形体を該
変形加工温度より10℃低い温度以上に加温することに
よって変形加工前の形状に実質的に回復させるというポ
リオレフィン樹脂の形状保持・回復方法を提案している
(特願平2−170889号)。しかし、この方法は夏
期のような高温での使用においては、形状を回復させる
前の、変形形状を保持している段階において形状の保持
能力の低下が起こり、その形状記憶性を利用した応用展
開を図る上で支障をきたす場合があった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】ポリオレフィン樹脂に
実質的に形状記憶性を付与する上記方法においては、変
形させた成形体を夏期のような高い室温で放置する場合
に、固定された形状が徐々に回復してしまう、即ち形状
保持性に不十分な点があった。本発明ではこの点を改善
して形状保持性を向上させることを目的とする。本発明
の別の目的は、上記形状記憶性を利用して、低コストの
ポリオレフィン樹脂による簡便な管の内面ライニング方
法を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリオレ
フィン樹脂について、高温で変形加工を行った後、その
形状を保ったまま高温に一定時間保持し、ついでその形
状を保ったまま低温に冷却することにより、室温での形
状回復速度を非常に遅くさせ、実質的な形状保持性を与
えることができること、また室温が高い場合においても
良好な形状保持性を維持できること、およびこれを再度
高温にした場合にその元の形状を回復させることができ
ることを知見し、本発明に至った。 【0010】ここに、本発明の要旨は、ポリオレフィン
樹脂成形体を60℃以上で樹脂の溶融温度未満の温度に
おいて変形加工した後、その変形形状を保持したまま6
0℃以上で樹脂の溶融温度未満の温度に一定時間保持し
、その後、変形形状を保持したまま該変形加工温度ない
しは保持温度のいずれか低い方の温度より30℃低い温
度以下に冷却することによって変形加工後の形状を実質
的に保持させること、及びこうして変形形状を保持して
いるポリオレフィン樹脂成形体を該変形加工温度より1
0℃低い温度ないしは保持温度のいずれか高い方の温度
以上に加温することによって変形加工前の形状に実質的
に回復させること、を特徴とするポリオレフィン樹脂の
形状保持・回復方法にある。変形加工は、例えば抽伸用
のダイか、或いは複数個に分割された孔型ロールを備え
た圧延機によるポリオレフィン樹脂管の縮径加工により
行うことができる。 【0011】本発明によれば、こうして縮径したポリオ
レフィン樹脂管を、内径が縮径前の該樹脂管の外径以下
であり、かつ縮径後の該樹脂管の外径以上である別の管
状体に挿入し、該変形加工温度より10℃低い温度ない
しは保持温度のいずれか高い方の温度以上に加温して該
樹脂管を拡径させることによる、ポリオレフィン樹脂管
による管状体の内面ライニング方法も提供される。本発
明にかかるポリオレフィン樹脂の形状保持・回復方法は
、このような内面ライニング以外にも、従来の形状記憶
樹脂と同様の用途に利用することができよう。 【0012】本発明の方法が適用される熱可塑性樹脂は
、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの安
価なポリオレフィン樹脂である。このポリオレフィン樹
脂は、慣用の着色顔料、体質顔料、酸化防止剤、紫外線
吸収剤などの各種添加剤を含有していても構わない。 このポリオレフィン樹脂の成形体に、60℃以上、樹脂
の溶融温度未満の温度において変形加工して歪みを加え
る。成形体の形状は特に限定されず、本発明の方法の利
用法に応じて選択する。例えば、管状体の内面ライニン
グに利用する場合には、ポリオレフィン樹脂成形体も管
状体となり、その外径はライニングすべき管状体の内径
より大きくする。その他、板材、棒材、立体成形体など
の各種の形状の成形体も利用可能である。 【0013】変形加工温度が60℃を下回ると、室温で
の形状保持性に劣り、室温において徐々に形状の回復が
進行してしまう。また、60℃より低温では樹脂の変形
抵抗も大きく、特に大変形を付与した場合にはクラック
や破断等を生ずることがある。一方、変形加工温度が樹
脂の溶融温度以上となると、樹脂の高分子鎖がほぐれて
自由な流動が可能となるため、変形した形状が安定とな
り、元の形状への回復が困難となる。好ましくは、変形
加工は樹脂の溶融温度より10℃低い温度以下で行う。 変形加工は、室温にあるポリオレフィン樹脂の成形体を
上記範囲内の適宜温度に加熱して行うこともできるが、
成形直後の高温の成形体 (例えば、管状体の場合には
押出直後の管状体)が上記温度範囲内まで冷却された時
点で、変形加工を施すことが、製造工程の効率化と熱エ
ネルギーの節約の両面から好ましい。 【0014】変形加工は、引張、折り曲げ、抽伸、圧延
などの各種の加工法により行うことができる。管状体の
場合には、例えば、管の折り畳み或いは縮径により管の
外径を小さくする変形加工を施すことができる。逆に管
を膨張させる変形も可能である。折り畳み加工は、適当
な形状の1もしくは2以上の折り曲げ用のロールに通す
ことにより行うことができる。管状体の縮径は、例えば
、先細のテーパーをつけた環状あるいは円筒形オリフィ
スを有する縮径用引抜きダイに管を引き通すダイ抽伸に
より行うことができる。この縮径方法では、半径方向に
増肉する応力が加わらないため、縮径に伴う樹脂管の縦
伸びが比較的大きい。例えば、径を80%に縮径した場
合で長さ方向に約1.6 倍の伸びが発生する。縮径用
ダイによる抽伸は、必要に応じて2回以上反復すること
もできる。 【0015】管状体の縮径は、複数個に分割された孔型
ロールを備えた孔型ロール圧延機を用いた圧延により行
うこともできる。孔型ロール圧延機は、図1(a) に
示すように、2個以上の圧延ロールの組合わせから構成
される孔型ロール10を備えている。組合わせた時の孔
型が略円形構成するように、例えば、2個に分割された
時は半円状の、3個以上に分割された時には円弧状の溝
が周面に設けられたロールを備えた孔型ロールを使用す
るのが、縮径後の管が略円形となって他の管への挿入が
容易となり、また均一な圧延が行われることから好まし
い。 ロール数は4個以下が好ましく、5個を超えるとロール
回転軸の構成が複雑になる。図に示した孔型ロールは4
個のロール11、12、13、14からなり、各ロール
はそれぞれのシャフト15、16、17、18を軸とし
て、同一方向 (図では前進または後進方向)に回転す
ることにより圧延が行われる。 【0016】この圧延は多段で行うことが望ましい。即
ち、孔型の径を漸減させた複数個の孔型ロール圧延機を
図1(a) 〜(d) に示すようにタンデムに配置し
、段階的に縮径を行うと、大きな縮径率を得ることがで
きると同時に、孔型ロールの不連続部での樹脂がはみ出
しても、交互に圧延を受けることにより縮径形状の歪み
が少なくなる。従って、複数個の孔型ロール圧延機のタ
ンデム配置は、ロール2個の時は90°、ロール3個の
時は60°、ロール4個の時は45°交互にずらした配
置とすることが好ましい。このように複数個の圧延機を
用いる場合には、各圧延機スタンド間で適度の張力を付
与するために、各圧延機でのロール回転の周速は、圧延
が進むにつれて減面率 (延伸比) に応じて徐々に増
加させることが好ましい。同じ周速では、ロールを通過
した管が次のロールまでに膨径して縮径がうまくいかな
いことがある。 延伸比より少し大きめのロール周速にしておけば、樹脂
管に張力を発生させることができる。張力の保持は、樹
脂管の走行を円滑にして連続的な圧延縮径を可能にする
。 【0017】各圧延スタンドでの孔型ロールによる1段
での縮径率は30% (元の径の0.7 倍) 程度が
可能であるが、縮径率をあまり大きくしすぎると、ロー
ルと樹脂管との管とのスリップが発生し易くなり、縮径
が困難となる。通常、1段での縮径率は5〜20%が好
ましい。孔型ロール圧延機による縮径では、圧延力によ
り管肉厚が増肉する方向に働き管の縦伸びが抑制される
。そのため例えば、80%の縮径の場合で、樹脂管の長
さ方向の伸びは1.2倍程度に抑えられ、加熱により元
の形状に回復させる際の縮みが少ないという利点がある
。 【0018】このようにして60℃以上、樹脂の溶融温
度未満で変形加工したポリオレフィン樹脂成形体を、そ
の変形形状を保持したまま、60℃以上で樹脂の溶融温
度未満の温度に一定時間保持する。この変形形状の保持
により、これを行わない場合に比べて形状保持率を向上
させることができる。この形状保持は上記変形加工を行
った後、変形加工に用いた応力を加えたまま、その温度
を維持して行えば効率がよい。また、多段の孔型ロール
圧延により成形体の縮径を行う場合には、最後の孔型ロ
ールは縮径を目的とせず、単に縮径形状と張力の保持の
ためのロール設計として、その最終孔型ロールの前で冷
却することができる。このように縮径した樹脂管を、そ
の形状を保持するような型枠に挿入し、60℃以上で樹
脂の溶融温度未満の温度に一定時間保持し、次いで後述
の冷却を行うことができる。 【0019】形状保持を行う温度が60℃を下回ると室
温,特に夏期のような高温の室温での形状保持性は向上
しない。一方、保持温度が樹脂の溶融温度以上では、樹
脂の高分子鎖がほぐれて自由な流動が可能となるため、
変形した形状が安定となり、元の形状への回復が困難と
なる。好ましくは、変形加工後の保持は樹脂の溶融温度
より10℃低い温度で行う。形状保持に要する時間は、
通常5分以上、特に10分以上が好ましい。5分より短
いと、形状保持率の向上効果は少ない。保持温度が低い
と保持時間を長くする必要がある。 【0020】以上のようにして変形加工後、特定温度に
一定時間保持したポリオレフィン樹脂成形体を、次いで
変形形状を保持したまま変形加工温度ないしは保持温度
のいずれか低い温度より30℃低い温度以下に冷却する
。 この冷却は、変形歪みを付与している応力を加えたまま
行うことが望ましい。この冷却を行わないか、或いは冷
却温度と変形加工温度(または保持温度)との差が30
℃より少ない場合には、応力を開放する (材料が変形
加工装置から出る) と、材料の弾性変形部分が即座に
回復する。これに対して、変形加工温度 (または保持
温度) より30℃以上低温にまで冷却してから応力を
除去すれば、この弾性回復が非常に低減し、そのため形
状回復率も向上し、実質的な形状記憶性の付与が可能と
なる。 【0021】このように変形形状が固定された樹脂成形
体は、変形温度より10℃低い温度あるいは保持温度の
いずれか高い方の温度以上に加温することによって、変
形前の元の形状を実質的に回復する。この形状回復は、
いわゆる形状記憶樹脂のように100 %回復するわけ
ではないが、変形により付与した歪みの70〜80%以
上の回復が可能であり、実用目的に十分な実質的な形状
記憶性を有しているといえる。変形加工温度が保持温度
より高い場合、形状回復速度を大きくするには、変形加
工温度以上の温度に加温することが好ましい。変形加工
温度より低い温度では、充分な回復を得るには10分以
上の加温が必要である。加温する温度の上限については
、回復後の樹脂成形体の形状を保持するために樹脂の溶
融温度未満が好ましいが、例えば管内面にライニングす
る場合、内圧をかけた状態で加温すれば溶融温度以上で
あっても成形体の形状を保持することができる。 【0022】このように、本発明の方法によれば、汎用
の安価な熱可塑性樹脂であるポリオレフィン樹脂を利用
して、高価な従来の形状記憶樹脂に類似した形状記憶性
を発揮させることが可能となる。これにより、ポリオレ
フィン樹脂を形状記憶樹脂の代替品としてその各種用途
に用いることができる。例えば、形状記憶樹脂の形状回
復性を利用して、老朽化した既設鋼管を樹脂内面ライニ
ングにより更生するといった利用法が考えられる。この
場合、樹脂を大量に使用するため、高価な従来の形状記
憶樹脂では経済性から実施が難しくなるが、本発明の方
法では安価なポリオレフィン樹脂で目的を達成すること
ができる。 【0023】本発明の方法により管状体 (例、鋼管)
 の内面樹脂ライニングを行う場合、その鋼管の内径に
等しいか、それより大きな外径のポリオレフィン樹脂管
を押出により成形する。樹脂管の外径は、鋼管の内径よ
り5〜25%大きい程度が通常は好ましい。次いで、こ
の樹脂管を、上記のように60℃以上、樹脂の溶融温度
未満において変形加工することによって、ライニングす
べき鋼管内に容易に挿入可能な形状に変形させ、その変
形形状を保持したまま60℃以上で樹脂の溶融温度未満
の温度に一定時間保持し、次いで、この変形形状を維持
したまま冷却して、この形状を固定する。この変形・形
状保持・冷却は、成形とは別の工程として実施すること
もできるが、上記のように成形後に連続して行うことが
好ましい。変形加工は、上記のようにロールによる折り
畳み加工、あるいはダイ抽伸もしくは孔型ロール圧延に
よる縮径により実施できる。縮径の場合は、樹脂管の外
径が鋼管の内径より5〜30%程度小さくなるように縮
径するのが好ましい。形状保持は、例えばダイ出口から
出た樹脂管を巻き取り機で巻き取った後、その両端を固
定することにより縮径状態を保持させて行うことができ
る。また、最終孔型ロールから出た樹脂管を圧延縮径状
態に保持するような型枠に挿入して行うこともできる。 形状保持を行うことにより、ライニング作業を行う現場
において、夏期のような高温状態にさらされても縮径状
態を良好に維持できる。 【0024】このように折り畳みまたは縮径により小さ
く変形させた形状記憶樹脂管を、ライニングすべき鋼管
の中に挿入した後、熱風もしくはスチームを送風するか
、あるいは温水を通水する等の方法により樹脂管を変形
加工温度より10℃低い温度ないし保持温度のいずれか
高い方の温度以上に加温することにより、樹脂管を元の
形状に実質的に回復させる。それにより、樹脂管が元の
形状近くまで拡径して鋼管の内面に密着し、鋼管の内面
ライニングが達成される。 【0025】この鋼管のライニングは、新管の内面コー
ティングとして利用してもよく、あるいは前述したよう
に、老朽管の更生ないし補修の目的で利用することも可
能である。また、鋼管のライニングは、鋼管の全長に及
ぶ必要はなく、鋼管の長さの一部のみでもよいことは当
然である。本発明の方法により詰め物不要で鋼管をライ
ニングすることができる。また、樹脂管が密着すること
から、管径の縮小による流送能力の低下は最小限に抑え
られる。本発明の方法により老朽管を更生する場合、樹
脂管の挿入に先立ち、老朽管の錆やコブ等を除去するた
めに、ピグやサンドを含むエア流等の既知の方法でクリ
ーニングを行っても支障はなく、管径を確保する意味で
むしろ好適である。 【0026】次に実施例を用いて説明する。 【実施例1】中密度ポリエチレン樹脂(昭和電工製、T
R418X)の1mm厚シートをホットプレスにより作
製した。このシートからダンベル状の試験片を打抜き、
中央平行部に標線を付けた。 【0027】この試験片を所定温度において200 m
m/分の変形速度で変形率70%の引張変形を与えた。 この引張変形を固定治具で固定し、恒温槽中で一定時間
加温を行った後、23℃の水で冷却し、応力を解放した
。この試験片の形状回復率は、110℃のオーブン中で
10分間加熱後の標線間距離を測定し、次式により求め
た。                   (伸張後の標線
間距離)−(加熱後の標線間距離)形状回復率(%)=
───────────────────────×1
00                    (伸張
後の標線間距離) − (変形前の標線間距離) 【0
028】一方、変形形状の保持率は、40℃恒温槽中で
30日間保存後の標線間距離を測定し、次式により求め
た。                   (保存後の標線
間距離)−(変形前の標線間距離)形状保持率(%)=
───────────────────────×1
00                    (伸張
後の標線間距離) − (変形前の標線間距離)   
以上の試験結果を表1に示す。 【0029】 【表1】 【0030】表1の結果から、変形加工後60℃以上に
一定時間保持すると、40℃以上に保存後の形状保持率
が向上し、また保持時間を長くする程向上の程度が大き
くなり、しかも形状回復率は変化しないことが明らかで
あり、本発明方法によりポリオレフィン樹脂の形状記憶
性が高められ、実質的に利用可能な形状記憶機能が付与
されたといえる。 【0031】 【実施例2】実施例1で用いたのと同じ中密度ポリエチ
レンを、環状ダイを取り付けた1軸スクリュー押出機 
(L/D=25) を用いて、ダイ温度190 ℃で押
出し、次いでサイジングダイに通して外径60mm、肉
厚5mmにサイジングすることにより管状体に製管した
。この樹脂管を、真空冷却水槽で樹脂温度が80℃にな
るまで冷却した。この時点でのライン速度は約2.8m
/minであった。真空水槽を出た樹脂管を、入側外径
62mm、出側外径40mmのテーパー円筒状オリフィ
スを備えた縮径用ダイに通して、略42mmの外径に縮
径した。縮径された樹脂管の外径が40mmにならない
のは、不可避的な弾性回復によりダイ出口で樹脂管がわ
ずかに膨れるからである。この後、縮径形状を維持する
ような張力が加わるように巻取り機で巻取った後、その
両端を固定することによりこの縮径形状を固定した。こ
の時のライン速度は巻取機の位置で6m/minであっ
た。この縮径形状が固定された樹脂管を加熱炉に入れ8
0℃で1時間保持した後、30℃まで冷却した。 【0032】こうして縮径した、収縮率を見込んだ適宜
長さのポリエチレン樹脂管を、内径49.0mm、肉厚
3.8 mm、長さ5.5 mの鋼管に挿入した。縮径
樹脂管は、鋼管の内径に比べてかなり細いため、その挿
入は非常に容易に短時間で完了した。この樹脂管の一方
の管端部より温風機にて80℃の熱風を5分間通風した
。加熱された樹脂管は膨径して鋼管内面に密着し、良好
な鋼管のライニングが達成された。別に、上記と同様に
縮径した樹脂管をライニングに使用する前に40℃で1
カ月放置した後、その外径を測定したところ外径47m
mであった。これに対し、加熱炉で80℃での保持を行
わなかった樹脂管は外径49.5mmであった。このよ
うに、夏期のような高い室温で放置した場合でも、本発
明方法によれば形状が保持され、上記と同様に鋼管のラ
イニングを行っても、同様の良好なライニングが達成さ
れた。 【0033】 【実施例3】実施例1で用いた中密度ポリエチレンを、
実施例2と同様の方法で外径60mm、肉厚5mmの樹
脂管に製管した後、60℃になるまで冷却した。真空水
槽を出た樹脂管を、図1に示すように4個に分割された
略円形の孔型を有する孔型ロール圧延機を交互に45°
ずらして6台タンデム配置してなる多段孔型ロール圧延
装置により、表2に示すスケジュールで圧延することに
より縮径した。最終圧延の直前、即ち、5段目と6段目
の間に二重冷却水槽を配置して、5段目の圧延後に縮径
された樹脂管の冷却による形状固定を行った。表2から
わかるように、6段目の圧延機は5段目と同じ孔型を有
しており、縮径ではなく、形状保持のために設置したも
のである。このように圧延縮径された樹脂管を、その形
状を保持するように作られた型枠に挿入し、加熱炉内に
おいて80℃で1時間保持した後30℃まで冷却した。 【0034】こうして縮径した収縮率を見込んだ適宜長
さのポリエチレン樹脂管を、内径50.0mm、肉厚3
.8 mm、長さ5.5 mの鋼管に挿入した。縮径樹
脂管は、鋼管の内径に比べてかなり細いため、その挿入
は非常に容易に短時間で完了した。この樹脂管の一方の
管端部より温風機にて80℃の熱風を約5分間通風した
。加熱された樹脂管は膨径して鋼管内面に密着し、良好
な鋼管のライニングが達成された。別に、上記と同様に
縮径した樹脂管を40℃で30日間放置した後、鋼管の
ライニングを行った場合でも良好にライニングが達成さ
れた。これに対し高温での保持を行わなかった場合はラ
イニングが困難であった。 【0035】 【表2】 【0036】 【発明の効果】上述したように、本発明の方法によれば
、安価な汎用樹脂であるポリオレフィン樹脂に、実用に
十分な程度の形状記憶性を発揮させることが可能となり
、しかも夏期のような高温においても変形加工した形状
を良好に保存できる。本発明の方法は、鋼管の工場内で
の内面ライニング、あるいは既設の埋設管のパイプイン
パイプ工法による更生など各種用途への応用が可能であ
る。例えば、本発明の方法を利用して老朽埋設管を更生
する場合、この樹脂管を小さい形状に変形・固定してか
ら鋼管に挿入するため、挿入工程が非常に楽である。 また加熱により樹脂管が元の形状に復元して樹脂が鋼管
に密着するため、管径の減少およびそれによる流送能力
の低下を最小限に抑制することができる上、従来のパイ
プインパイプ法では必要であった管挿入後の隙間への詰
め物の注入が必要なくなり、施工作業が単純化され、資
材の節約にもなる。さらに、元の形状への復元は数分間
のスチーム通風などの加温で可能であるため、工期も従
来より短縮される。従って、本発明方法による老朽管の
更生は、施工性に優れ、流送能力の低下を防ぎ、かつ樹
脂が安価で経済的である点で、非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 〜(d) は、タンデム配置の多
段孔型ロールを示す説明図である。
【符号の説明】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  ポリオレフィン樹脂成形体を60℃以
    上で樹脂の溶融温度未満の温度において変形加工した後
    、その変形形状を保持したまま60℃以上で樹脂の溶融
    温度未満の温度に一定時間保持し、その後、変形形状を
    保持したまま該変形加工温度ないしは保持温度のいずれ
    か低い方の温度より30℃低い温度以下に冷却すること
    によって変形加工後の形状を実質的に保持させること、
    及びこうして変形形状を保持しているポリオレフィン樹
    脂成形体を該変形加工温度より10℃低い温度ないしは
    保持温度のいずれか高い方の温度以上に加温することに
    よって変形加工前の形状に実質的に回復させること、を
    特徴とするポリオレフィン樹脂の形状保持・回復方法。
  2. 【請求項2】  前記ポリオレフィン樹脂成形体がポリ
    オレフィン樹脂管である、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】  変形加工がダイによるポリオレフィン
    樹脂管の縮径加工であることを特徴とする、請求項2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】  変形加工が、複数個に分割された孔型
    ロールを備えた圧延機によるポリオレフィン樹脂管の縮
    径加工であることを特徴とする、請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】  請求項3または4記載の方法により縮
    径したポリオレフィン樹脂管を、内径が縮径前の該樹脂
    管の外径以下であり、かつ縮径後の該樹脂管の外径以上
    である別の管状体に挿入し、該変形加工温度より10℃
    低い温度ないしは保持温度のいずれか高い方の温度以上
    に加温して該樹脂管を拡径させ、該管状体の内面をライ
    ニングすることを特徴とする、ポリオレフィン樹脂管に
    よる内面ライニング方法。
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Cited By (1)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003080599A (ja) * 2001-09-07 2003-03-19 Dai Ichi High Frequency Co Ltd 内面樹脂ライニング管の製造方法

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