JP2745912B2 - 管の内面ライニング方法 - Google Patents

管の内面ライニング方法

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JP2745912B2 JP3330834A JP33083491A JP2745912B2 JP 2745912 B2 JP2745912 B2 JP 2745912B2 JP 3330834 A JP3330834 A JP 3330834A JP 33083491 A JP33083491 A JP 33083491A JP 2745912 B2 JP2745912 B2 JP 2745912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィン樹脂管
による管内面ライニング方法に関し、この方法は例えば
老朽化した既設配管の更生に応用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、ガス管や水道管等の土中埋設管が
老朽化して交換の必要を生じた時、掘り起こして新管と
交換していたが、掘り起こし作業に人手、時間を要する
ため、高コストとなるとともに、工期が長く、交通を阻
害するという欠点があった。これらの対策として、既設
老朽管を更生する各種の方法がこれまでに提案されてい
る。
【0003】例えばパイプインパイプ工法は、更生され
る既設老朽管の中に、その内径の90%前後の外径を有す
る樹脂管を挿入し、この挿入した樹脂管と周囲の既設管
との隙間にセメントモルタルを注入して、新たに挿入し
た樹脂管を固定することにより行われる。しかし、この
工法では、既設管の中にスムースに挿入するためには、
上述のように樹脂管外径が既設管内径の90%前後と、既
設管よりかなり小さい管径の樹脂管しか使用できず、そ
のため管内径が細くなって、流送能力が低下するという
問題があった。
【0004】また、反転工法としてよく知られている方
法は、樹脂管の一端を既設管に固定し、内圧をかけて樹
脂管を裏返しながら既設管に密着させ、更生する方法で
ある。さらに、樹脂の加熱加圧による膨張を利用した例
として、特開昭63−285395号公報には既設管の内径より
小さな外径の可撓性樹脂管を偏平加工したものを既設管
へ挿入した後、加熱加圧して膨張させ既設管内面に密着
させる方法が記載され、特開平1−204725号公報には硬
質チューブを偏平加工したものを加熱軟化させて既設管
へ挿入した後、加熱加圧して膨張させ既設管内面に密
着、更生させる工法における改良方法が記載されてい
る。しかし、これらの方法はすべて内圧をかける操作を
必要とし、また、大径管の更生において厚肉の樹脂管で
更生しなければならない場合には、非常に大きな内圧を
必要とし操作が困難であった。
【0005】形状記憶樹脂を利用した方法として、特開
平2−57323号公報に記載のように形状記憶樹脂管を偏
平加工したものを既設管へ挿入した後、加熱して形状回
復により膨張させ、既設管内面に密着させる更生方法も
知られている。しかし、従来の形状記憶樹脂を用いた場
合、その回復力は小さく、加熱のみによる回復応力では
自重に打ち勝てず円形に回復しない等の欠点があるた
め、内圧をかけることが必要であった。また形状記憶樹
脂は高価であり経済的に不利であった。
【0006】内圧を必要としない工法としては、汎用樹
脂の形状回復性を利用した特開平2−16033 号公報およ
び特開平2−48928 号公報記載の方法があり、これらに
おいては、ポリエチレン製等の樹脂管をダイに引き通し
て縮径しながら連続的に埋設管中に挿入し、その後の形
状回復現象を利用して管の内面ライニングを行う方法が
提案されている。しかし、この方法では、樹脂管の縮径
形状は固定されず、すぐに回復が進行するため、ダイに
よる縮径作業は現地で行う必要があり、現地でのダイの
設置等の煩雑な工程を必要とするとともに工事に長期間
を要する。また、更生管の設定縮径率が最大でも15%
と小さく、さらにダイ出口で樹脂管の弾性回復によるダ
イ膨潤が起こるため縮径率が低下し、埋設管に小さな曲
がり部でもあると更生管の挿入が困難となるなど、作業
性に著しく劣るものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低コ
ストのポリオレフィン樹脂を用い、簡便に管内面をライ
ニングする方法であって、厚肉の樹脂管によるライニン
グも可能であり、曲がり管への挿入も容易に行え、しか
も管径の減少を最小限に抑えた方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】最近、ポリノルボルネ
ン、トランスポリイソプレン、スチレン/ブタジエン共
重合体、ポリウレタン等のいわゆる形状記憶性樹脂が開
発され、各種目的に利用されている。これらの樹脂は 4
00〜 500%の変形を与えても元の形状に完全に回復する
という優れた記憶性を有している。この形状記憶樹脂
は、ガラス転移温度あるいは結晶融点が室温以上であ
り、この室温以上での転移を利用することによって形状
記憶性を発揮させる。即ち、ガラス転移温度あるいは結
晶融点以上のゴム弾性域で付与した変形を冷却により固
定させ、これを再度加熱するとゴム弾性が復活して変形
前の形状に回復させる。しかし、ポリオレフィン樹脂で
はガラス転移温度が室温以下で、室温において既にゴム
弾性域にあるため、変形を与えてもすぐに回復して、通
常では形状記憶性の付与は困難であった。
【0009】本発明者らは先に、ポリオレフィン樹脂に
対して実質的な形状記憶性を付与する方法およびこの形
状記憶性付与方法を利用した管内面ライニング方法につ
いて提案したが、ライニング方法についてさらに検討を
進めた結果、従来のライニング工法における問題点を解
消し、曲がり管への挿入、厚肉樹脂管の使用も容易に行
いうる方法を見出し、本発明を完成した。
【0010】ここに、本発明の要旨は、ライニングすべ
き管の内径と等しいかあるいはそれより大きい外径を有
するポリオレフィン樹脂管を、60℃以上でかつポリオレ
フィン樹脂の軟化温度以上でポリオレフィン樹脂の溶融
温度未満の温度において、ライニングすべき管内に挿入
可能な形状に変形加工した後、その変形加工形状を保持
したまま該変形加工温度より30℃低い温度以下に冷却す
ることにより変形形状を固定して内張り材を形成するこ
と、該内張り材を加熱して軟化状態とし、この軟化した
内張り材をライニングすべき管に挿入すること、および
挿入した内張り材を変形加工温度より10℃低い温度以上
に加熱して該内張り材を回復拡管させて該管の内面をラ
イニングすることを特徴とする、ポリオレフィン樹脂管
による管内面のライニング方法、にある。
【0011】上記方法において、内張り材を加熱して軟
化状態とする際の加熱温度が、ポリオレフィン樹脂の軟
化温度以上、前記変形加工温度未満により行うことがで
きる。また、ポリオレフィン樹脂管の変形加工は縮径に
より行うことができる。この場合、内張り材の加熱によ
る回復拡管を行う際に、加熱流体の供給により該内張り
材を挿入先頭から順次加熱しながら、該内張り材を挿入
方向に押し込むことにより該内張り材を管内面に密着さ
せることが好ましい。このようなポリオレフィン樹脂管
による管内面のライニング方法は既設管の更生方法とし
て好適である。
【0012】
【作用】本発明のライニング方法では、まず、ライニン
グに使用する内張り材を予め作製しておく。この内張り
材は、ライニングすべき管に挿入後加熱することにより
形状記憶性を発揮する。ポリオレフィン樹脂は通常は形
状記憶性を示さないが、ポリオレフィン樹脂管を60℃以
上、該樹脂の溶融温度未満の高温度で変形加工した後、
その変形形状を保持したまま変形加工温度より30℃低い
温度以下に冷却することによって、外力を開放しても変
形加工後の形状を実質的に保持させることができ、こう
して変形形状を保持しているポリオレフィン樹脂管を変
形加工温度より10℃低い温度以上に加温することによっ
て変形加工前の形状を実質的に回復させることができ
る。即ち、形状記憶性を付与できる。このように変形を
固定できるのは、歪の回復速度の温度依存性を利用した
ためであり、高温においては歪の回復速度は非常に早い
が、低温においては回復速度が非常に遅く、実質的に歪
が固定された状態になるからである。また、歪の回復速
度は歪付与温度との差にも影響され、冷却温度と歪付与
温度との差が30℃以上ないと、歪の回復速度が早くな
り易い。
【0013】本発明で使用するポリオレフィン樹脂に
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体等がある。このポリオレフィン樹脂は慣用の着色顔
料、体質顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加
材を含有していてもよい。
【0014】内張り材の作製は、このポリオレフィン樹
脂を、ライニングしようとする既設管の内径と等しい
か、あるいはそれより大きい外径となるように製管し、
60℃以上でかつポリオレフィン樹脂の軟化温度以上で該
樹脂の溶融温度未満の温度で縮径、折り畳み等の変形加
工を行う。変形加工温度が60℃より低いと、樹脂の変形
抵抗が大きく、特に大変形を付与する場合クラックや破
断を生ずることがあるのに加え、変形加工後、室温での
形状保持性に劣り、室温において徐々に形状の回復が進
行する。また、変形加工温度がポリオレフィン樹脂の軟
化温度未満では、挿入前の軟化により、変形加工前の形
状への回復が生じ管への挿入が困難になる。一方、変形
加工温度が樹脂の溶融温度以上となると、樹脂の高分子
鎖がほぐれて自由な流動が可能となるため、変形加工形
状が安定となり、元の形状への回復が困難となる。変形
加工は、好ましくは、内張り材挿入時の軟化状態とする
ための加熱温度より10℃高い温度以上、すなわち少な
くともポリオレフィン樹脂の軟化温度より10℃高い温
度以上とする。また変形加工は樹脂の溶融温度より10℃
低い温度以下で行うのが好ましい。
【0015】管状体の縮径は、例えば、先細のテーパー
をつけた環状あるいは円筒径オリフィスを有する縮径用
引抜きダイに管を引き通す、ダイ抽伸により、あるいは
複数個に分割された孔型ロールを備えた孔型ロール圧延
機により圧延縮径することができる。孔型ロール圧延機
は、第3図(a)に示すように、2個以上の圧延ロール
の組み合わせから構成される孔型ロール20を備えてい
る。組み合わせた時の孔型が略円形を構成するように、
例えば2個に分割された時は半円状の、3個に分割され
た時には円弧状の溝が周面に設けられたロールを備えた
孔型ロールを使用するのが望ましい。ロール数は4個以
下が好ましく、5個を超えるとロール回転軸の構成が複
雑になる。図に示した孔型ロールは4個のロール12、1
3、14、15からなり、各ロールはそれぞれのシャフト1
6、17、18、19を軸として同一方向に回転することによ
り圧延が行われる。
【0016】この圧延は多段で行うことが望ましい。即
ち、孔型の形を漸減させた複数個の孔型ロール圧延機を
第3図(a)〜(d)に示すようにタンデムに配置し、
段階的に縮径を行うと大きな縮径率を得ることができ
る。
【0017】孔型ロール圧延機による縮径では、圧延力
により管肉厚が増肉する方向に力が働き、管の縦伸びが
抑制される。例えば、外径が元の外径の80%になるよう
な縮径の場合で、樹脂管の長さ方向の伸びは1.2 倍程度
に抑えられ、加熱により元の形状に回復させる際の縮み
が少ないという利点がある。
【0018】こうして縮径等の変形加工を施したポリオ
レフィン樹脂管を、次いで変形形状を保持したまま縮径
温度より30℃低い温度以下に冷却する。通常は室温まで
冷却すれば十分である。この冷却は、変形歪を付与して
いる応力を加えたまま行う。例えば、縮径直後の樹脂管
を張力をかけながら巻き取り機に巻き取った後、冷却す
る。この場合、縮径直後の管は軟化状態であるのでスム
ースに巻き取ることができる。製管、縮径および巻取り
の工程を連続的に行えば、長い内張り材を成形できるの
で、長距離の既設管更生を連続で行うことができ有利で
ある。あるいは、多段の孔型ロール圧延により縮径を行
う場合には、最後の孔型ロールは縮径を目的とせずに、
単に縮径形状と張力の保持のためのロール設計として、
その孔型ロールの前で冷却を行うことができる。
【0019】この冷却を行わないか、あるいは冷却温度
と変形加工温度との差が30℃より少ない場合には、応力
を開放する (材料が縮径装置を出る) と、材料の弾性変
形部分が即座に回復する。従って、所望の縮径率とする
ためにはそれよりも大きい縮径とする必要があり、材料
を損なう恐れがある。しかも、その場合、固定した形状
を再加熱した際の形状回復率も非常に低下し、実質的な
記憶保持性を有しないこととなる。これに対して、縮径
時より30℃以上低温にまで冷却してから応力を除去すれ
ば、この弾性回復が非常に低減し、そのため形状回復率
も向上する。
【0020】上記のようにして形成した内張り材は、既
設管更生等の現場において、樹脂管を軟化状態となるま
で加熱する。加熱の方法としては、一端を閉じた内張り
材の他端から加熱流体を連続的に送る方法が好ましく、
加熱保温槽内で加熱する方法と併用してもよい。この
時、若干元の形状に回復しようとするので、内張り材の
両端は固定しておくのがよい。加熱温度はポリオレフィ
ン樹脂の軟化温度以上、変形加工温度未満の範囲内であ
る。変形加工温度以上では縮径前の元の形状を回復して
しまう。軟化状態とするための加熱温度は、変形加工温
度より10℃低い温度未満とするのが好ましい。
【0021】次に、この加熱軟化した内張り材をライニ
ングすべき管に挿入する。内張り材の径は縮径等により
挿入する管の内径より十分に細くなっており、しかも軟
化状態にあるため、曲がり管でもスムースに挿入でき
る。挿入の際には、内張り材が元の径に回復するのを防
止するため、引っ張りながら挿入するのが好ましい。軟
化状態とするための加熱温度が変形温度より高い場合、
元の径に回復する力がかなり大きく、それを抑えるため
には大きい引張力が必要となり、拡管により挿入が困難
となる。
【0022】本発明の方法により既設管を更生する場
合、内張り材の挿入に先立ち、既設管の錆やコブ等を除
去するために、ピグやサンドを含むエア流等の既知の方
法でクリーニングを行なっても支障はなく、管径の確保
および挿入時の摩擦低減の意味でむしろ好適である。ま
た、内張り材の挿入時、潤滑剤を使用して、挿入時の内
張り材と既設管との間の摩擦を低減することもできる。
この潤滑剤としては、通常の潤滑剤が使用できる。
【0023】管の中に挿入した内張り材は、変形加工温
度より10℃低い温度以上に加熱することにより、内張り
材を元の形状に実質的に回復させる。それによりポリオ
レフィン樹脂管がライニングすべき管の内径まで回復拡
管して該管の内面に密着し、内面ライニングが達成され
る。回復のための加熱は加熱流体によることができ、熱
風もしくはスチーム送風するか、あるいは温水を通水す
る等の方法により行うことができる。加熱による形状回
復の際、曲がり管があると、縮径管の拡管に伴う長さ方
向の収縮が阻害され、曲がり管に内張り材が十分に密着
しないことがある。そのような場合は、例えば、加熱流
体をチューブにより供給し、このチューブを挿入の先端
部分から管入口に向かい移動することにより、加熱を内
張り材の挿入先端から順次行い、さらに曲がり管付近で
の回復が妨げられないように、挿入方向へ内張り材を押
し込みながら回復拡管すれば、曲がり管があっても十分
に密着させることができる。
【0024】形状回復のための加熱は、変形加工温度よ
り10℃低い温度以上とすればよいが、変形加工温度以上
とするのが好ましい。変形加工温度より10℃低い温度以
下では、内張り材の十分な回復拡管が起こらず、流送能
力が低下する。加温する温度の上限は、樹脂の溶融温度
未満が好ましい。溶融温度以上の場合、管の形状を保持
するためには大きい内圧をかける必要があるからであ
る。
【0025】このように、本発明の方法によれば、汎用
の安価な熱可塑性樹脂であるポリオレフィン樹脂に形状
記憶性を発揮させ、この形状回復性を利用して既設管の
内面ライニングを行うことが可能となる。このライニン
グ方法は、例えば、ガス管、水道管、油送管等の老朽化
した既設管を樹脂内面ライニングにより更生すること
や、新管の内面コーティングに利用できる。
【0026】老朽化した既設管の更生に利用する場合、
縮径等の変形加工を施し、この変形形状を固定した内張
り材を予め工場で作製しておくことができるので、現場
での作業を少なく容易にすることができ、また工期も短
縮できる。樹脂管は縮径等により既設管の外径よりも小
さくなっており、また現場で軟化状態としてから既設管
に挿入操作を行うので、厚肉の樹脂管でも、また既設管
に曲がり部があっても挿入が容易である。また、スチー
ム通風等の加熱流体の供給により元の形状への回復が可
能なので、簡便にライニングが行え、しかも形成された
更生管は既設管に密着して管径の減少を最少に抑えるこ
とができる。また、更生管を自立型樹脂管とすることが
できるので、既設管への接着のための下地処理を省略す
ることができる。既設管内面との接着を要する場合に
は、ポリオレフィン樹脂管の外側に接着性の樹脂層を設
けておくこともできる。
【0027】また、本発明の方法を、ガス管の更生に用
いる場合、現在ガス管として認可されているポリエチレ
ン管をそのまま更生管として利用できるため、更生管同
士や新管との接合を融着接合により行うことができるだ
けでなく、分岐管の取り出しも容易に行うことができ
る。次に実施例により本発明を説明する。
【0028】
【実施例】呼び径 100のガス用鋳鉄管 (外径105.3mm)の
更生を行うための内張り材を、図2に概略図を示す装置
により作製した。図2の装置は製管、加熱および縮径を
連続して行うことができ、9は製管機、10は加熱炉、11
は縮径ロール、4はローラーを示す。製管機9により呼
び径100Aのガス用ポリエチレン管 (外径114.0mm 、肉厚
10.4mm) を製管し、続いて110 ℃に加熱し、縮径ロール
11により縮径した。縮径は図3に示すような多段に45°
交互配置された孔型ロールにより構成される縮径装置に
より順次径を緒としながら (最終ロール孔径80.0mm) 、
外径85.0mm(延伸率39%、肉厚10.4mm) まで縮径するこ
とにより行った。続いて巻き取り機4で巻き取って冷却
し縮径形状を固定した。
【0029】上記のようにして工場で作製した内張り材
を、既設管の更生に用いた。更生の方法を示す概略断面
図を図1に示す。内張り材を更生現場に運び、縮径管の
先端を溶融させることにより封止し、その内部に、ボイ
ラ6に接続したチューブを挿入後、他端をボイラ5に接
続した。ボイラ5から90℃の加熱流体を縮径管に連続的
に送り込み、均一に加熱して軟化状態とした。
【0030】縮径管の封止した先端に引っ張り治具を取
付け、挿引ロール1により縮径管2を引っ張りながら既
設管8へ挿入した。この時予め公知のクリーニング方法
で既設管内部の突起物等を除去し、水系潤滑材を塗布し
ておくことにより、挿入時の摩擦力を低減させておい
た。縮径管は既設管の内径よりかなり小さく、また縮径
管は軟化状態としているため、曲がり管があってもスム
ーズに挿入できた。
【0031】縮径管を更生すべき既設管の出口まで挿入
した後、ボイラ6から125℃のスチームをチューブ7を
通して、図4に示すように縮径管の挿入先端に供給しそ
の部分を加熱回復させることにより、内張り材を既設管
出口付近に密着させた。次いで、チューブ7を既設管入
口に向かって引きながら 125℃の加熱流体を供給するこ
とにより縮径管を挿入先端から後方に向かって順次加熱
し、縮径前の形状を回復させ既設管の内面に密着させ
た。この時同時に、既設管入口付近に設置した送りロー
ル3により縮径管を順次押し込む。ロールによる押し込
み力により、拡管に伴う収縮を曲がり管付近でも妨害す
ることなく、図5に示すような45°エルボの更生もスム
ーズに行うことができた。
【0032】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、安価な
汎用樹脂であるポリオレフィン樹脂を用いて、実用上十
分な程度の形状記憶性を発揮させることにより、簡単な
操作で管の内面ライニングが可能となる。このライニン
グ方法は既設の埋設管の更生に特に有利に適用できる。
【0033】本発明の方法を利用して老朽埋設管を更生
する場合、樹脂管を縮径等により既設管より小さい径と
しておくことができるため、既設管への挿入が容易であ
るとともに、縮径等の変形加工は固定されているため、
現場で変形加工する必要はなく内張り材として予め作製
しておくことができ、作業が簡略化できる。また、既設
管への内張り材の挿入の際には、軟化状態とするため、
厚肉の樹脂管であっても、また既設管に曲がり部等があ
っても挿入が非常に容易となる。さらに加熱流体の供給
等による加熱により樹脂管が元の径に回復して既設管に
密着するため、更生による流送能力の低下を最小限に抑
制することができる。
【0034】従って、本発明方法を既設管の更生に用い
た場合、現場での作業が単純化され容易となり、工期も
短縮されるので、施工性に優れた更生工法を提供でき、
しかも更生による流送能力の低下を防ぐことができ、ま
た使用材料が安価であるため経済的にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を既設管の更生に適用した例を示
す断面図である。
【図2】本発明方法で使用する内張り材の作製概略図で
ある。
【図3】図3(a) 、図3(b) 、図3(c) 、図3(d) は内
張り材の縮径に用いる縮径ロールの形状を示す図であ
る。
【図4】内張り材を既設管に挿入した先端部分を示す図
である。
【図5】内張り材の既設管曲がり部での加熱回復の様子
を示す図である。
【符号の説明】
1 挿引ロープ 2 縮径管 3 送りロール 4 巻き取り機 5 ボイラ 6 ボイラ 7 チューブ 8 既設管 9 製管機 10 加熱炉 11 縮径ロール 12、13、14、15 分割ロール 16、17、18、19 ロールシャフト 20、30、40、50 孔型ロール

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ライニングすべき管の内径と等しいかあ
    るいはそれより大きい外径を有するポリオレフィン樹脂
    管を、60℃以上でかつポリオレフィン樹脂の軟化温度
    以上でポリオレフィン樹脂の溶融温度未満の温度におい
    て、ライニングすべき管内に挿入可能な形状に変形加工
    した後、その変形加工形状を保持したまま該変形加工温
    度より30℃低い温度以下に冷却することにより変形形
    状を固定して内張り材を形成すること、該内張り材を加
    熱して軟化状態とし、この軟化した内張り材をライニン
    グすべき管に挿入すること、および挿入した内張り材を
    変形加工温度より10℃低い温度以上に加熱して該内張
    り材を回復拡管させて該管の内面をライニングすること
    を特徴とする、ポリオレフィン樹脂管による管内面のラ
    イニング方法。
  2. 【請求項2】 内張り材を加熱して軟化状態とする際の
    加熱温度が、ポリオレフィン樹脂の軟化温度以上、前記
    変形加工温度未満である請求項1記載のライニング方
    法。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン樹脂管の変形加工が縮径
    である請求項1または2記載のライニング方法。
  4. 【請求項4】 内張り材の加熱による回復拡管を行う際
    に、加熱流体の供給により該内張り材を挿入先頭から順
    次加熱しながら、該内張り材を挿入方向に押し込むこと
    により該内張り材を管内面に密着させる、請求項記載
    のライニング方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないしのいずれかの項記載の
    管内面ライニング方法を用いた既設管の更生方法。
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