JPH04214944A - 車両の出力制御装置 - Google Patents

車両の出力制御装置

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JPH04214944A
JPH04214944A JP3031791A JP3031791A JPH04214944A JP H04214944 A JPH04214944 A JP H04214944A JP 3031791 A JP3031791 A JP 3031791A JP 3031791 A JP3031791 A JP 3031791A JP H04214944 A JPH04214944 A JP H04214944A
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JP
Japan
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torque
engine
amount
slip
target
Prior art date
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Pending
Application number
JP3031791A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayoshi Ito
政義 伊藤
Susumu Nishikawa
進 西川
Yasuyuki Miyata
宮田 安進
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Publication of JPH04214944A publication Critical patent/JPH04214944A/ja
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、車両の加速時等におけ
る駆動輪のスリップ量に応じて機関の駆動トルクを迅速
に低減させ、車両を安全に走行させるようにした車両の
出力制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】車両の走行中に路面の状況が急激に変化
したり、滑りやすい低摩擦係数の路面、例えば雪路や凍
結路等の路面を車両が走行する場合、駆動輪が空転して
車両の操縦が不能となり、非常に危険な状態となる。 【0003】このような場合、駆動輪が空転しないよう
に運転者がアクセルペダルの踏み込み量を調整し、機関
の出力を微妙に制御することは、熟練者であっても非常
に難しいものである。 【0004】このようなことから、駆動輪の空転状態を
検出し、駆動輪の空転が一定以上になった場合には、運
転者によるアクセルペダルの踏み込み量とは関係無く、
強制的に機関の出力を低下させるようにした出力制御装
置が考えられ、運転者が必要に応じてこの出力制御装置
を利用した走行と、アクセルペダルの踏み込み量に対応
して機関の出力を制御する通常の走行とを選択できるよ
うにしたものが発表されている。 【0005】このような観点に基づいた車両の出力制御
に関するものの内、従来知られているものは駆動輪の回
転数と従動輪の回転数とを検出し、これらの回転数の差
を駆動輪のスリップ量とみなし、このスリップ量に応じ
て機関の駆動トルクを制御するようにしたものである。 つまり、従来の出力制御装置は従動輪の回転状態の変化
に基づいて路面の状況を推定し、この路面の状況に対応
した機関の基準となる駆動トルクを設定し、この設定さ
れた基準となる駆動トルクを駆動輪と従動輪との回転数
の差に基づいて補正し、機関の駆動トルクが補正された
この駆動トルクとなるように、トルク制御手段を制御し
ている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】この従来の出力制御装
置では、従動輪の回転状態の変化に基づいて路面の状況
を推定しているが、実際の路面の状況はそれこそ千差万
別であって、タイヤに対する路面の摩擦係数を正確に推
定することは、現実問題として非常に難しいものである
。 【0007】このため、実際には非常に多くの補正因子
を採用して制御条件を規定しなければならず、制御のプ
ログラムが複雑化して制御遅れの一因となったり、演算
装置のコストが嵩む等の不具合を発生する虞があった。 【0008】 【課題を解決するための手段】車両が極低速走行以外で
の走行中の場合、駆動輪は路面に対して多かれ少なかれ
スリップしているものである。但し、路面と駆動輪との
摩擦力よりも大きな駆動トルクが与えられると、駆動輪
のスリップ量が急激に増大してしまい、車両の操縦が困
難となることは経験的にも周知の通りである。 【0009】このようなことから、機関の発生する駆動
トルクを有効に利用しつつ車両の操縦が困難となるよう
な駆動輪のスリップを防止するためには、機関の駆動ト
ルクが路面と駆動輪との摩擦力の最大値を余り越えない
ように、この機関の駆動トルクを制御することが望まし
い。 【0010】つまり、機関で発生する駆動トルクを有効
に働かせるためには、タイヤのスリップ率Sと、このタ
イヤと路面との摩擦係数との関係を表す図10に示すよ
うに、走行中の駆動輪のタイヤのスリップ率Sが、この
タイヤと路面との摩擦係数の最大値と対応する目標スリ
ップ率SO 或いはこの目標スリップ率SO の近傍で
これよりも小さな値となるように、駆動輪のスリップ量
を調整し、エネルギーのロスを避けると同時に車両の操
縦性能や加速性能を損なわないようにすることが望まし
い。 【0011】ここで、Vを車両の速度(以下、これを車
速と呼称する)、VD を駆動輪の周速度とすると、タ
イヤのスリップ率Sは、 S=(VD −V)/V であり、このスリップ率Sがタイヤと路面との摩擦係数
の最大値と対応した目標スリップ率SO 或いはその近
傍でこれよりも小さな値となるように、機関11の駆動
トルクを設定すれば良い。 【0012】本発明による車両の出力制御装置は、かか
る知見に鑑みてなされたものであり、運転者による操作
とは独立に機関の駆動トルクを低減させる第一トルク低
減手段と、運転者の操作及び第一トルク低減手段による
駆動トルク低減操作とは独立に機関の点火時期の遅角量
を増して機関の駆動トルクを低減させる第二トルク低減
手段と、車両の走行速度に基づいて駆動輪の目標となる
周速を設定する目標駆動輪速設定手段と、この目標駆動
輪速設定手段により設定された目標駆動輪速に対応して
前記機関の基準となる駆動トルクを設定する基準駆動ト
ルク設定手段と、この基準駆動トルク設定手段により設
定された基準駆動トルクから前記駆動輪のスリップ量に
基づいて前記機関の目標となる駆動トルクを設定する目
標駆動トルク設定手段と、前記機関の駆動トルクがこの
目標駆動トルク設定手段により設定された目標駆動トル
クとなるように前記第一トルク低減手段の作動を制御す
ると共にスリップの変化量に基づいて第二トルク低減手
段の作動を制御するトルク制御ユニットと、第二トルク
低減手段による機関の点火時期の遅角量が所定値以上の
場合に目標駆動トルクに係らず機関の駆動トルクを最大
限に低減させる状態に第一トルク低減手段の作動を強制
制御する強制制御手段とを具えたことを特徴とするもの
である。 【0013】 【作用】目標駆動輪速設定手段は、車速に基づいて目標
駆動輪速を設定し、基準駆動トルク設定手段はこの目標
駆動輪速に基づいて基準駆動トルクを設定する。そして
、目標駆動トルク設定手段は駆動輪のスリップ量に基づ
いて前記基準駆動トルクから目標駆動トルクを設定し、
これをトルク制御ユニットに出力する。 【0014】前記目標駆動トルク設定手段からトルク制
御ユニットへ機関の目標駆動トルクが出力されると、ト
ルク制御ユニットは機関の駆動トルクがこの目標駆動ト
ルクとなるように、第一トルク低減手段の作動を制御す
ると共に、スリップの変化量に基づいて第二トルク低減
手段の作動を制御し、強制制御手段によって、第二トル
ク低減手段による機関の点火時期の遅角量が所定値以上
の場合に目標駆動トルクに係らず機関の駆動トルクを最
大限に低減させる状態に第一トルク低減手段の作動を制
御し、運転者による操作とは関係なく機関の駆動トルク
を低減させる。 【0015】一方、駆動輪のスリップ量が少ない場合に
は、当然のことながらトルク制御ユニットはトルク低減
手段を作動させず、運転者の操作に基づいた機関の運転
が行われる。 【0016】 【実施例】本発明による車両の出力制御装置を前進4段
後進1段の自動変速機を組み込んだ前輪駆動形式の車両
に応用した一実施例の概略機構を表す図1及びその概念
を表す図2に示すように、機関11の出力軸12には油
圧式自動変速機13の入力軸14が接続している。この
油圧式自動変速機13は、運転者による図示しないセレ
クトレバーの選択位置と車両の運転状態とに応じて機関
11の運転状態を制御する電子制御ユニット(以下、こ
れをECUと記載する)15からの指令に基づき、油圧
制御装置16を介して所定の変速段を自動的に選択する
ようになっている。この油圧式自動変速機13の具体的
な構成や作用等については、例えば特開昭58−542
70号公報や特開昭61−31749号公報等で既に周
知の通りであり、油圧制御装置16内には油圧式自動変
速機13の一部を構成する複数の摩擦係合要素の係合操
作と開放操作とを行うための図示しない一対のシフト制
御用電磁弁が組み込まれ、これらシフト制御用電磁弁に
対する通電のオン,オフ操作をECU15により制御す
ることにより、前進4段後進1段の内の任意の変速段へ
の変速動作を滑らかに達成するものである。 【0017】機関11の燃焼室17に連結された吸気管
18の途中には、この吸気管18によって形成される吸
気通路19の開度を変化させ、燃焼室17内に供給され
る吸入空気量を調整するスロットル弁20を組み込んだ
スロットルボディ21が介装されている。図1及び筒状
をなすこのスロットルボディ21の部分の拡大断面構造
を表す図3に示すように、スロットルボディ21にはス
ロットル弁20を一体に固定したスロットル軸22の両
端部が回動自在に支持されている。吸気通路19内に突
出するこのスロットル軸22の一端部には、アクセルレ
バー23とスロットルレバー24とが同軸状をなして嵌
合されている。 【0018】前記スロットル軸22とアクセルレバー2
3の筒部25との間には、ブシュ26及びスペーサ27
が介装され、これによってアクセルレバー23はスロッ
トル軸22に対して回転自在となっている。更に、スロ
ットル軸22の一端側に取り付けた座金28及びナット
29により、スロットル軸22からアクセルレバー23
が抜け外れるのを未然に防止している。又、このアクセ
ルレバー23と一体のケーブル受け30には、運転者に
よって操作されるアクセルペダル31がケーブル32を
介して接続しており、アクセルペダル31の踏み込み量
に応じてアクセルレバー23がスロットル軸22に対し
て回動するようになっている。 【0019】一方、前記スロットルレバー24はスロッ
トル軸22と一体に固定されており、従ってこのスロッ
トルレバー24を操作することにより、スロットル弁2
0がスロットル軸22と共に回動する。又、アクセルレ
バー23の筒部25にはカラー33がこれと同軸一体に
嵌着されており、前記スロットルレバー24の先端部に
は、このカラー33の一部に形成した爪部34に係止し
得るストッパ35が形成されている。これら爪部34と
ストッパ35とは、スロットル弁20が開く方向にスロ
ットルレバー24を回動させるか、或いはスロットル弁
20が閉まる方向にアクセルレバー23を回動させた場
合に相互に係止するような位置関係に設定されている。 【0020】前記スロットルボディ21とスロットルレ
バー24との間には、スロットルレバー24のストッパ
35をアクセルレバー23の爪部34に押し付けてスロ
ットル弁20を開く方向に付勢するねじりコイルばね3
6が、スロットル軸22に嵌合された筒状をなす一対の
ばね受け37,38を介し、このスロットル軸22と同
軸状をなして装着されている。又、スロットルボディ2
1から突出するストッパピン39とアクセルレバー23
との間にも、アルセルレバー23の爪部34をスロット
ルレバー24のストッパ35に押し付けてスロットル弁
20を閉じる方向に付勢し、アクセルペダル31に対し
てディテント感を付与するためのねじりコイルばね40
が前記カラー33を介してアクセルレバー23の筒部2
5にスロットル軸22と同軸状をなして装着されている
。 【0021】前記スロットルレバー24の先端部には、
基端をアクチュエータ41のダイヤフラム42に固定し
た制御棒43の先端部が連結されている。このアクチュ
エータ41内に形成された圧力室44には、前記ねじり
コイルばね36と共にスロットルレバー24のストッパ
35をアルセルレバー23の爪部34に押し付けてスロ
ットル弁20を開く方向に付勢する圧縮コイルばね45
が組み込まれている。そして、これら二つのばね36,
45のばね力の和よりも、前記ねじりコイルばね40の
ばね力のほうが大きく設定され、これによりアクセルペ
ダル31を踏み込まない限り、スロットル弁20は開か
ないようになっている。 【0022】前記スロットルボディ21の下流側に連結
されて吸気通路19の一部を形成するサージタンク46
には、接続配管47を介してバキュームタンク48が連
通しており、このバキュームタンク48と接続配管47
との間には、バキュームタンク48からサージタンク4
6への空気の移動のみ許容する逆止め弁49が介装され
ている。これにより、バキュームタンク48内の圧力は
サージタンク46内の最低圧力とほぼ等しい負圧に設定
される。 【0023】これらバキュームタンク48内と前記アク
チュエータ41の圧力室44とは、配管50を介して連
通状態となっており、この配管50の途中には非通電時
閉塞型の第一のトルク制御用電磁弁51が設けられてい
る。つまり、このトルク制御用電磁弁51には配管50
を塞ぐようにプランジャ52を弁座53に付勢するばね
54が組み込まれている。 【0024】又、前記第一のトルク制御用電磁弁51と
アクチュエータ41との間の配管50には、スロットル
弁20よりも上流側の吸気通路19に連通する配管55
が接続している。そして、この配管55の途中には非通
電時開放型の第二のトルク制御用電磁弁56が設けられ
ている。つまり、このトルク制御用電磁弁56には配管
55を開放するようにプランジャ57を付勢するばね5
8が組み込まれている。 【0025】前記二つのトルク制御用電磁弁51,56
には、前記ECU15がそれぞれ接続し、このECU1
5からの指令に基づいてトルク制御用電磁弁51,56
に対する通電のオン,オフがデューティ制御されるよう
になっており、本実施例ではこれら全体で本発明の第一
のトルク制御手段を構成している。 【0026】例えば、トルク制御用電磁弁51,56の
デューティ率が0%の場合、アクチュエータ41の圧力
室44がスロットル弁20よりも上流側の吸気通路19
内の圧力とほぼ等しい大気圧となり、スロットル弁20
の開度はアクセルペダル31の踏み込み量に一対一で対
応する。逆に、トルク制御用電磁弁51,56のデュー
ティ率が100%の場合、アクチュエータ41の圧力室
44がバキュームタンク48内の圧力とほぼ等しい負圧
となり、制御棒43が図1中、左斜め上方に引き上げら
れる結果、スロットル弁20はアクセルペダル31の踏
み込み量に関係なく閉じられ、機関11の駆動トルクが
強制的に低減させられた状態となる。このようにして、
トルク制御用電磁弁51,56のデューティ率を調整す
ることにより、アクセルペダル31の踏み込み量に関係
なくスロットル弁20の開度を変化させ、機関11の駆
動トルクを任意に調整することができる。 【0027】又、本実施例ではスロットル弁20の開度
をアクセルペダル31とアクチュエータ41とで同時に
制御するようにしたが、吸気通路19内に二つのスロッ
トル弁を直列に配列し、一方のスロットル弁をアクセル
ペダル31にのみ接続すると共に他方のスロットル弁を
アクチュエータ41にのみ接続し、これら二つのスロッ
トル弁をそれぞれ独立に制御すること等も可能である。 【0028】一方、前記吸気管18の下流端側には、機
関11の燃焼室17内へ図示しない燃料を吹き込む燃料
噴射装置の燃料噴射ノズル59が機関11の各気筒(本
実施例では、四気筒の内燃機関を想定している)に対応
してそれぞれ設けられ、ECU15によりデューティ制
御される電磁弁60を介して燃料が燃料噴射ノズル59
に供給される。つまり、電磁弁60の開弁時間を制御す
ることで、燃焼室17に対する燃料の供給量が調整され
、所定の空燃比となって燃焼室17内で点火プラグ61
により点火されるようになっている。 【0029】前記ECU15には、機関11に取り付け
られて機関回転数を検出するためのクランク角センサ6
2と、前記油圧式自動変速機13の出力軸63の回転数
を検出して駆動輪である左右一対の前輪64,65の平
均周速を算出するための前輪回転センサ66と、スロッ
トルボディ21に取り付けられてスロットルレバー24
の開度を検出するスロットル開度センサ67と、スロッ
トル弁20の全閉状態を検出するアイドルスイッチ68
の他、吸気管18の先端部のエアクリーナ69内に組付
けられて機関11の燃焼室17へと流れる空気量を検出
するカルマン渦流量計等のエアフローセンサ70と、機
関11に組付けられてこの機関11の冷却水温を検出す
る水温センサ71と、排気管72の途中に組付けられて
排気通路73内を流れる排気ガスの温度を検出する排気
温センサ74とが接続している。 【0030】そして、これらクランク角センサ62及び
前輪回転センサ66及びスロットル開度センサ67及び
アイドルスイッチ68及びエアフローセンサ70及び水
温センサ71及び排気温センサ74からの出力信号がそ
れぞれECU15に送られるようになっている。 【0031】又、機関11の目標駆動トルクを算出する
トルク演算ユニット(以下、これをTCLと呼称する)
75には、前記スロットル開度センサ67及びアイドル
スイッチ68と共にスロットルボディ21に取り付けら
れてアクセルレバー23の開度を検出するアクセル開度
センサ76と、従動輪である左右一対の後輪77,78
の回転速度をそれぞれ検出する後輪回転センサ79,8
0と、車両81の直進状態を基準として旋回時における
操舵軸82の旋回角を検出する操舵角センサ83とが接
続し、これらセンサ76,79,80,83からの出力
信号がそれぞれ送られる。 【0032】ECU15とTCL75とは、通信ケーブ
ル84を介して結ばれており、ECU15からは機関回
転数や油圧式自動変速機13の出力軸63の回転数及び
アイドルスイッチ68からの検出信号等の機関11の運
転状態の情報がTCL75に送られる。逆に、TCL7
5からはこのTCL75にて演算された目標駆動トルク
及び点火時期の遅角割合に関する情報がECU15に送
られる。 【0033】本実施例では、スリップ制御を行った場合
の機関11の目標駆動トルクと、旋回制御を行った場合
の機関11の目標駆動トルクとをTCL75にて演算し
、これら二つの目標駆動トルクから最適な最終目標駆動
トルクを選択し、機関11の駆動トルクを必要に応じて
低減できるようにしている。又、アクチュエータ41を
介したスロットル弁20の全閉操作によっても、機関1
1の出力低減が間に合わない場合を考慮して点火時期の
目標遅角量を設定し、機関11の駆動トルクを迅速に低
減できるようにしている。 【0034】このような本実施例による制御の大まかな
流れを表す図4に示すように、図示しないイグニッショ
ンキーのオン操作により本実施例の制御プログラムが開
始され、M1にてまず操舵角旋回位置の初期値δm(o
)の読み込みや各種フラグのリセット或いはこの制御の
サンプリング周期である15ミリ秒毎の主タイマのカウ
ント開始等の初期設定が行われる。 【0035】そして、M2にて各種センサからの検出信
号に基づいてTCL75は車速Vや操舵軸82の旋回角
δH 等を演算し、これに続いて操舵軸82の中立位置
δM をM3にて学習補正する。この車両81の操舵軸
82の中立位置δM はECU15やTCL75中に図
示しないメモリに記憶されていないため、前記イグニッ
ションキーのオン操作の度に初期値δm(o)が読み込
まれ、車両81が後述する直進走行条件を満たした場合
にのみ学習補正され、イグニッションキーがオフ状態と
なるまでこの初期値δm(o)が学習補正されるように
なっている。 【0036】次に、TCL75はM4にて前輪回転セン
サ66からの検出信号と後輪回転センサ79,80から
の検出信号とに基づいて機関11の駆動トルクを規制す
るスリップ制御を行う場合の目標駆動トルクTOSを演
算し、M5にて後輪回転センサ79,80からの検出信
号と操舵角センサ83からの検出信号とに基づいて機関
11の駆動トルクを規制する旋回制御を行った場合の機
関11の目標駆動トルクTOCを演算する。 【0037】そして、M6にてTCL75はこれらの目
標駆動トルクTOS,TOCから安全性を考慮して小さ
な値の方を最終目標駆動トルクTO として選択する。 更に、急発進時や路面状況が通常の乾燥路から凍結路に
急変するような場合には、アクチュエータ41を介した
スロットル弁20の全閉操作によっても機関11の出力
低減が間に合わない虞があるので、M7にて前輪64,
65のスリップ量sの変化率Gs に基づいて基本遅角
量pB の補正を行うための遅角割合を選択し、これら
最終目標駆動トルクTO 及び基本遅角量pB の遅角
割合に関するデータをM8にてECU15に出力する。 【0038】そして、運転者が図示しない手動スイッチ
を操作してスリップ制御や旋回制御を希望している場合
には、ECU15は機関11の駆動トルクがこの最終目
標駆動トルクTO となるように、一対のトルク制御用
電磁弁51,56のデューティ率を制御し、更に基本遅
角量pB の遅角割合に関するデータに基づき、このE
CU15内で目標遅角量pO を算出し、点火時期Pを
必要に応じて目標遅角量pO だけ遅らせ、これによっ
て車両81を無理なく安全に走行させるようにしている
。 【0039】なお、運転者が図示しない手動スイッチを
操作してスリップ制御や旋回制御を希望していない場合
には、ECU15は一対のトルク制御用電磁弁51,5
6のデューティ率を0%側に設定する結果、車両81は
運転者のアクセルペダル31の踏み込み量に対応した通
常の運転状態となる。 【0040】このように、機関11の駆動トルクをM9
にて主タイマのサンプリング周期である15ミリ秒毎の
カウントダウンが終了するまで制御し、これ以降はM2
からM10までのステップを前記イグニッションキーが
オフ状態になるまで繰り返すのである。 【0041】ところで、M5のステップにて旋回制御を
行って機関11の目標駆動トルクTOCを演算する場合
、TCL75は一対の後輪回転センサ79,80の検出
信号に基づいて車速Vを下記数1により演算すると共に
操舵角センサ83からの検出信号に基づいて前輪64,
65の舵角δを下記数2より演算し、この時の車両81
の目標横加速度GYOを下記数3よりそれぞれ求めてい
る。 【0042】 【数1】 【0043】 【数2】 【0044】 【数3】 【0045】但し、VRL,VRRはそれぞれ左右一対
の後輪77,78の周速度(以下、これを後輪速と呼称
する)、ρH は操舵歯車変速比、lは車両81のホイ
ールベース、Aは後述する車両81のスタビリティファ
クタである。 【0046】この数3から明らかなように、車両81の
整備時に前輪64,65のトーイン調整を行った場合や
図示しない操舵歯車の摩耗等の経年変化等によって、操
舵軸82の中立位置δM が変わってしまうと、操舵軸
82の旋回位置と操舵輪である前輪64,65の実際の
舵角δとの間にずれが発生する。この結果、車両81の
目標横加速度GYOを正確に算出することができなくな
る虞があり、旋回制御を良好に行うことが困難となる。 しかも、本実施例ではM4のステップでのスリップ制御
の際に、この目標横加速度GYOを後述する前輪加速度
補正量GKC及びスリップ補正量VKCの算出に利用し
ていることから、スリップ制御も良好に行えなくなる虞
がある。このようなことから、操舵軸82の中立位置δ
M をM3のステップにて学習補正する必要がある。 【0047】この操舵軸82の中立位置δM を学習補
正する手順を表す図5,図6に示すように、TCL75
は後輪回転センサ79,80からの検出信号に基づき、
H1にてこの操舵軸中立位置δM の学習及び後述する
旋回制御のための車速Vを前記数1により算出する。 【0048】次に、TCL75はH2にて後輪速VRL
,VRRの差(以下、これを後輪速差と呼称する)|V
RL−VRR|を算出する。 【0049】しかるのち、TCL75はH3にて車速V
が予め設定した閾値VA より大きいか否かを判定する
。 この操作は、車両81がある程度の高速にならないと、
操舵に伴う後輪速差|VRL−VRR|等が検出できな
いために必要なものであり、前記閾値VA は車両81
の走行特性等に基づいて実験等により、例えば毎時10
kmの如く適宜設定される。 【0050】そして、車速Vが閾値VA 以上であると
判定した場合には、TCL75はH4にて後輪速差|V
RL−VRR|が予め設定した、例えば毎時0.3km
の如き閾値VB よりも小さいか否か、つまり車両81
が直進状態にあるかどうかを判定する。ここで、閾値V
B を毎時0kmとしないのは、左右の後輪77,78
がタイヤの空気圧が等しくない場合、車両81が直進状
態であるにもかかわらず左右一対の後輪77,78の周
速度VRL,VRRが相違して車両81が直進状態では
ないと判定してしまうのを避けるためである。 【0051】このH4のステップにて後輪速差|VRL
−VRR|が閾値VB 以下であると判定したならば、
TCL75はH5にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)
が操舵角センサ83により検出した前回の操舵軸旋回位
置δm(n−1)と同一であるかどうかを判定する。こ
の際、運転者の手振れ等による影響を受けないように、
操舵角センサ83による操舵軸82の旋回検出分解能を
例えば5度前後に設定しておくことが望ましい。 【0052】このH5のステップにて現在の操舵軸旋回
位置δm(n)が前回の操舵軸旋回位置角δm(n−1
)と同一であると判定したならば、TCL75はH6に
て現在の車両81が直進状態にあると判断し、このTC
L75に内蔵された図示しない学習用タイマのカウント
を開始し、これを例えば0.5秒間継続する。 【0053】次に、TCL75はH7にて学習用タイマ
のカウント開始から0.5秒経過したか否か、即ち車両
81の直進状態が0.5秒継続したかどうかを判定する
。この場合、車両81の走行当初においては学習用タイ
マのカウント開始から0.5秒経過していないので、車
両81の走行当初はH1からH7までのステップが繰り
返されることとなる。 【0054】そして、学習用タイマのカウント開始から
0.5秒が経過したことを判断すると、TCL75はH
8にて舵角中立位置学習済フラグFH がセットされて
いるか否か、即ち今回の学習制御が初回であるか否かを
判定する。 【0055】このH8のステップにて舵角中立位置学習
済フラグFH がセットされていないと判断した場合に
は、H9にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)を新たな
操舵軸82の中立位置δM(n)と見なしてこれをTC
L75内のメモリに読み込み、舵角中立位置学習済フラ
グFHをセットする。 【0056】このようにして、操舵軸82の新たな中立
位置δM を設定したのち、この操舵軸82の中立位置
δM を基準として操舵軸82の旋回角δH を算出す
る一方、H10にて学習用タイマのカウントがクリアさ
れ、再び舵角中立位置学習が行われる。 【0057】前記H8のステップにて舵角中立位置学習
済フラグFH がセットされている、つまり舵角中立位
置学習が二回目以降であると判断された場合、TCL7
5はH11にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)が前回
の操舵軸82の中立位置δM(n−1)と等しい、即ち
δm(n)=δM(n−1) であるかどうかを判定する。そして、現在の操舵軸旋回
位置δM(n)が前回の操舵軸82の中立位置δM(n
−1)と等しいと判定したならば、そのままH10のス
テップに戻って再び次の舵角中立位置学習が行われる。 【0058】H11のステップにて現在の操舵軸旋回位
置δM(n)操舵系の遊び等が原因となって前回の操舵
軸82の中立位置δM(n−1)と等しくないと判断し
た場合、現在の操舵軸旋回位置δm(n)をそのまま新
たな操舵軸82の中立位置δM(n)と判断せず、これ
らの差の絶対値が予め設定した補正制限量Δδ以上相違
している場合には、前回の操舵軸82の中立位置δM(
n−1)に対してこの補正制限量Δδを減算或いは加算
したものを新たな操舵軸82の中立位置δM(n)とし
、これをTCL75内のメモリに読み込むようにしてい
る。 【0059】つまり、TCL75はH12にて現在の操
舵軸旋回位置δm(n)から前回の操舵軸82の中立位
置δM(n−1)を減算した値が予め設定した負の補正
制御量−Δδよりも小さいか否かを判定する。そして、
このH12のステップにて減算した値が負の補正制限量
−Δδよりも小さいと判断した場合には、H13にて新
たな操舵軸82の中立位置δm(n)を、前回の操舵軸
82の中立位置δM(n−1)と負の補正制限量−Δδ
とからδM(n)=δM(n−1)−Δδ と変更し、一回当たりの学習補正量が無条件に負側へ大
きくならないように配慮している。 【0060】これにより、何らかの原因によって操舵角
センサ83から異常な検出信号が出力されたとしても、
操舵軸82の中立位置δM が急激には変化せず、この
異常に対する対応を迅速に行うことができる。 【0061】一方、H12のステップにて減算した値が
負の補正制限量−Δδよりも大きいと判断した場合には
、H14にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)から前回
の操舵軸82の中立位置δM(n−1)を減算した値が
正の補正制限量Δδよりも大きいか否かを判定する。そ
して、このH14のステップにて減算した値が正の補正
制限量Δδよりも大きいと判断した場合には、H15に
て新たな操舵軸82の中立位置δM(n)を前回の操舵
軸82の中立位置δM(n−1)と正の補正制限量Δδ
とからδM(n)=δM(n−1)+Δδ と変更し、一回当りの学習補正量が無条件に正側へ大き
くならないように配慮している。 【0062】これにより、何らかの原因によって操舵角
センサ83から異常な検出信号が出力されたとしても、
操舵軸82の中立位置δM が急激には変化せず、この
異常に対する対応を迅速に行うことができる。 【0063】但し、H14のステップにて減算した値が
正の補正制限量Δδよりも小さいと判断した場合には、
H16にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)としてその
まま読み出す。 【0064】このようにして操舵軸82の中立位置δM
 を学習補正した後、前輪回転センサ66からの検出信
号と後輪回転センサ79,80からの検出信号とに基づ
いて機関11の駆動トルクを規制するスリップ制御を行
う場合の目標駆動トルクTOSを演算する。 【0065】本実施例では、後輪回転センサ79,80
からの検出信号に基づいて目標とする前輪64,65の
周速(以下、これを基準トルク算出用目標前輪速と呼称
する)VFOを算出し、この基準トルク算出用目標前輪
速VFOの変化率(以下、これを目標前輪加速度と呼称
する)GFOを求め、この目標前輪加速度GFOの大き
さに対応する機関11の基準駆動トルクTB を、前輪
回転センサ66から検出される実際の前輪速VF と基
準トルク算出用目標前輪速VFOとの偏差(以下、これ
をスリップ量と呼称する)sに基づいて補正し、目標駆
動トルクTOSを算出している。 【0066】この機関11の目標駆動トルクTOSを算
出するための演算ブロックを表す図7,図8,図9に示
すように、まずTCL75は車速Vを後輪回転センサ7
9,80からの検出信号に基づいて算出するが、本実施
例では低車速選択部101にて二つの後輪速VRL,V
RRの内の小さい方の値を車速Vとして選択し、高車速
選択部102にて二つの後輪速VRL,VRRの内の大
きな方の値を車速Vとして選択し、その上で切り換えス
イッチ103によりいずれの選択部101,102の出
力を取り込むかを更に選択するようになっている。 【0067】即ち、後輪速スリップ制御により実際に機
関11の駆動トルクが低減されている状態、つまりスリ
ップ制御中フラグFS がセットの状態では、切換スイ
ッチ103により二つの後輪速VRL,VRRの内の小
さい方の値を車速Vとして選択し、運転者がスリップ制
御を希望していても機関11の駆動トルクが低減されて
いない状態、つまりスリップ制御中フラグFS がリセ
ットの状態では、二つの後輪速VRL,VRRの内の大
きな方の値を車速Vとして選択するようになっている。 【0068】これは、機関11の駆動トルクが低減され
ていない状態から、機関11の駆動トルクが低減される
状態へ移行し難くすると同時に、この逆の場合での移行
も難しくするためである。例えば、車両81の旋回中に
おける二つの後輪速VRL,VRRの内の小さな方の値
を車速Vとして選択した場合、前輪64,65にスリッ
プが発生していないにも係わらずスリップが発生してい
ると判断し、機関11の駆動トルクが低減されてしまう
ような不具合を避けるためと、車両81の走行安全性を
考慮して、一旦、機関11の駆動トルクが低減された場
合に、この状態が継続されるように配慮したためである
。 【0069】次に、この車速Vに基づいて基準前輪加速
度GFBを算出するが、車両81の走行中には路面に対
して常に3%程度のスリップ量が駆動輪である前輪64
,65に発生しているのが普通であるから、このスリッ
プ量を勘案して目標前輪速VFOを乗算部104にて下
記数4の通りに設定する。 【0070】 【数4】 【0071】そして、n回目のサンプリングにおける基
準前輪加速度GFB(n) を微分演算部105にて下
記数5に従って算出する。 【0072】 【数5】 【0073】但し、Δtは主タイマのサンプリング周期
である15ミリ秒、gは重力加速度である。 【0074】スリップ制御は車両81の加速時に行うこ
とが基本的な原則であるため、この数5で算出された基
準前輪加速度GFSの内、0未満をクリップ部106に
て切捨て、更にフィルタ部107にてノイズ除去のため
のフィルタ処理を行い、修正基準前輪加速度GFFを得
る。 【0075】ところで、車両81の加速時に機関11で
発生する駆動トルクを有効に働かせるためには、図10
中の実線で示すように、走行中の前輪64,65のタイ
ヤのスリップ率Sが、このタイヤと路面との摩擦係数の
最大値と対応する目標スリップ率SO 或いはその近傍
でこれよりも小さな値となるように調整し、エネルギー
のロスを避けると共に車両81の操縦性能や加速性能を
損なわないようにすることが望ましい。 【0076】ここで、目標スリップ率SO は路面の状
況に応じて0.1 〜0.25程度の範囲に振れること
が知られており、又、タイヤと路面との摩擦係数は車両
81の前後加速度GX と等価であると見なすことがで
きるので、この車両81に加わる前後加速度GX を検
出し、前記修正基準前輪加速度GFFをこの前後加速度
GX に基づいて補正すれば良い。 【0077】そこで、まず今回算出した車速V(n) 
と一回前に算出した車速V(n−1) とから、現在の
車両81の前後加速度GX(n)を微分演算部108に
て下記数6のように算出する。 【0078】 【数6】 【0079】そして、算出された前後加速度GX(n)
が0.6g以上となった場合には、演算ミス等に対する
安全性を考慮してこの前後加速度GX(n)の最大値が
0.6gを越えないように、クリップ部109にて前後
加速度GX(n)を0.6gにクリップする。更に、フ
ィルタ部110にて下記に詳述するフィルタ処理を行っ
て修正前後加速度GXFを算出する。 【0080】このフィルタ処理は、車両81の前後加速
度GX(n)がタイヤと路面との摩擦係数と等価である
と見なすことができるできるから、車両81の前後加速
度GX(n)の最大値が変化してタイヤのスリップ率S
がタイヤと路面との摩擦係数の最大値と対応した目標ス
リップ率SO 或いはその近傍から外れそうになった場
合でも、タイヤのスリップ率Sをタイヤと路面との摩擦
係数の最大値と対応した目標スリップ率SO 或いはそ
の近傍でこれよりも小さな値に維持させるように、前後
加速度GX(n)を修正するためのものであり、具体的
には以下の通りに行われる。 【0081】今回の前後加速度GX(n)がフィルタ処
理された修正前後加速度GXF以上の場合、つまり車両
81が加速し続けている時には GXF=(28/256)・Σ(GX(n)−GXF)
として遅延処理によりノイズ除去を行い、修正前後加速
度GXFを比較的早く前後加速度GX(n)に追従させ
て行く。 【0082】前後加速度GX(n)が修正前後加速度G
XF未満の場合、つまり車両81が余り加速していない
時には主タイマのサンプリング周期Δt毎に以下の処理
を行う。 【0083】スリップ制御中フラグFS がセットされ
ていない、つまりスリップ制御による機関11の駆動ト
ルクを低減していない状態では、車両81が減速中にあ
るので GXF=GXF−0.002 として修正前後加速度GXFの低下を抑制し、運転者に
よる車両81の加速要求に対する応答性を確保している
。 【0084】又、スリップ制御による機関11の駆動ト
ルクを低減している状態でスリップ量sが正、つまり前
輪64,65のスリップが多少発生している時にも、車
両81は加速の度合が低いことから安全性に問題がない
ので、 GXF=GXF−0.002 として修正前後加速度GXFの低下を抑制し、運転者に
よる車両81の加速要求に対する応答性を確保している
。 【0085】更に、スリップ制御による機関11の駆動
トルクを低減している状態で前輪64,65のスリップ
量sが負、つまり車両81が減速している時には、修正
前後加速度GXFの最大値を保持し、運転者による車両
81の加速要求に対する応答性を確保する。 【0086】このようにして求められた修正前後加速度
GXFに基づき、この前記修正前後加速度GXFに対応
して予め設定された前輪加速度補正量GKFを加速度補
正部111にて図11に示す如きマップから読み出し、
これを加算部112にて前記修正基準前輪加速度GFF
に加算する。この前輪加速度補正量GKFは、修正前後
加速度GXFの値が大きくなるにつれて段階的に増加す
るような傾向を持たせているが、本実施例では走行試験
等に基づいてこのマップを作成している。 【0087】一方、旋回中におけるタイヤと路面との摩
擦係数と、このタイヤのスリップ率Sとの関係を図10
中の一点鎖線で示すように、旋回中におけるタイヤと路
面との摩擦係数の最大値となるタイヤの目標スリップ率
は、直進中におけるタイヤと路面との摩擦係数の最大値
となるタイヤの目標スリップ率SO よりも相当小さい
ことが判る。従って、車両81が旋回中にはこの車両8
1が円滑に旋回できるように、修正基準前輪加速度GF
Fを直進時よりも小さく設定することが望ましい。 【0088】そこで、前記数3にて算出される車両81
の目標横加速度GYOに基づいて前輪加速度補正量GK
Cを旋回補正部113にて図12に示す如きマップから
読み出し、この前輪加速度補正量GKCを減算部114
にて前記修正基準前輪加速度GFFに対し減算すること
により、下式に示す目標前輪加速度GFOを得る。 GFO=GFF+GKF−GKC 【0089】そして、この目標前輪加速度GFOが−0
.6g以下か或いは0.6g以上の場合には、演算ミス
等に対する安全性を考慮し、クリップ部115にてこれ
を−0.6gから0.6gの範囲にクリップし、更にト
ルク換算部116にてこれをトルク換算した後、走行抵
抗算出部117にて算出された走行抵抗TR を加算部
118にて加算し、下式に示す基準駆動トルクTB を
算出する。 TB =GFO・Wb r+TR  【0090】ここで、Wb は車体重量、rは前輪64
,65の有効半径である。又、前記走行抵抗TR は車
速Vの関数として算出することができるが、本実施例で
は図13に示す如きマップから求めている。この場合、
平坦路と登坂路とでは走行抵抗TR が異なるので、マ
ップには図中、実線にて示す平坦路用と二点鎖線にて示
す登坂路用とが書き込まれ、車両81に組み込まれた図
示しない傾斜センサからの検出信号に基づいて、いずれ
か一方を選択するようにしているが、下り坂等を含めて
更に細かく走行抵抗を設定することも可能である。 【0091】一方、TCL75は前輪回転センサ66か
らの検出信号に基づいて実前輪速VF を算出し、先に
も述べたようにこの実前輪速VF と前述した基準トル
ク算出用目標前輪速VFOに基づいて設定される補正ト
ルク算出用目標前輪速VFSとの偏差であるスリップ量
sを用い、前記基準トルクTB のフィードバック制御
を行うことによって、機関11の目標駆動トルクTOS
を算出するが、具体的には以下の通りである。 【0092】本実施例では、目標前輪加速度GFOを算
出するに際し、加速度補正部111と旋回補正部113
とで修正基準前輪加速度GFFの補正を行っているので
、基準トルク算出用目標前輪速VFOにも同様な補正を
行って補正トルク算出用目標前輪速VFSを算出する。 【0093】即ち、TCL75は加速度補正部111に
て図14に示す如きマップから前述した修正前後加速度
GXFに対応するスリップ補正量VK を読み出し、こ
れを加算部119にて基準トルク算出用目標前輪速VF
Oに加算する。これにより、補正トルク算出用目標前輪
速VFSが増大し、加速時におけるスリップ率Sが図1
0中の実線で示す目標スリップ率SO 或いはその近傍
でこれよりも小さな値となるように設定される。 【0094】同様に、旋回補正部113にて図15に示
す如きマップから前記目標横加速度GYOに対応するス
リップ補正量VKCを読み出し、これを減算部120に
て基準トルク算出用目標前輪速VFOから減算する。こ
れにより、補正トルク算出用目標前輪速VFOが減少し
、旋回時におけるスリップ率Sが直進時における目標ス
リップ率SO よりも小さくなり、車両81の加速性能
が若干低下するものの、良好な旋回性が確保される。 【0095】なお、イグニッションキーのオン操作の後
に行われる最初の操舵軸82の中立位置δM の学習が
行われるまでは、操舵軸82の旋回角δH の信頼性が
ないので、先の前輪加速度補正量GKC及びスリップ補
正量VKCに0を乗じ、舵角中立位置学習済フラグFH
 がセットされた後は、これら前輪加速度補正量GKC
及びスリップ補正量VKCに1を乗じている。 【0096】以上の結果、補正トルク算出用目標前輪速
度VFSは下式の通りとなる。 VFS=VFO+VK −VKC 【0097】次に、前輪回転センサ66の検出信号から
ノイズ除去などを目的としたフィルタ処理により得た実
前輪速VF と、前記補正トルク算出用目標前輪速VF
Sとの偏差であるスリップ量sを減算部121にて算出
する。そして、このスリップ量sが負の設定値以下、例
えば毎時−2.5km以下の場合には、スリップ量sと
して毎時−2.5kmをクリップ部122にてクリップ
し、演算ミスによる機関11の暴走を防止している。 【0098】又、このクリップ処理後のスリップ量sに
対して後述する比例補正及び微分補正を行い、更に積分
補正ΔTi を用いた積分補正を行って最終トルクTP
ID を算出する。 【0099】前記比例補正としては、乗算部123にて
スリップ量sに比例係数KP を掛けて基本的な補正量
を求め、更に乗算部124にて油圧式自動変速機13の
変速比ρm によって予め設定された補正係数ρKPを
乗算して比例補正トルクTP を得ている。 【0100】又、前記微分補正としては微分演算部12
5にてスリップ量sの変化率GS を算出し、これに微
分係数KD を乗算部126にて掛け、急激なスリップ
量sの変化に対する基本的な補正量を算出する。そして
、乗算部127にて油圧式自動変速機13の変速比ρm
 に基づいて予め設定された補正係数ρKDを乗算し、
これにより得られた値にそれぞれ上限値と下限値との制
限を設け、微分補正トルクTD が極端に大きな値とな
らないように、クリップ部128にてクリップ処理を行
い、微分補正トルクTD を得ている。このクリップ部
128は、車両81の走行中に車輪速VF ,VRL,
VRRが路面状況や車両81の走行状態等によって、瞬
間的に空転或いはロック状態となることがあり、このよ
うな場合にスリップ量sの変化率Gs が正或いは負の
極端に大きな値となり、制御が発散して応答性が低下す
る虞があるので、例えば下限値を−55kgmにクリッ
プすると共に上限値を55kgmにクリップし、微分補
正トルクTD が極端に大きな値とならないようにする
ためのものである。 【0101】このようにして算出された比例補正トルク
TP と微分補正トルクTD とを加算部129にて加
算し、基準比例微分補正トルクTPDを算出する。そし
て、タイヤと路面との摩擦係数に応じてこの基準比例微
分補正トルクTPDの補正幅を変えるため、乗算部13
0にて図16に示す如きマップから修正前後加速度GX
Fに対応するスリップ補正係数Km を読み出し、これ
を基準比例微分補正トルクTPDに掛けて最終比例微分
補正トルクTPDm を算出する。このスリップ補正係
数Km は、修正前後加速度GXFが小さな場合に小さ
な値となるような傾向を持たせており、凍結路等の滑り
やすい路面を走行する場合に、最終比例微分補正トルク
TPDm の補正幅を狭くして過制御とならないように
配慮している。 【0102】又、本実施例ではスリップ量sのゆるやか
な変化に対応した補正を実現するため、積分演算部13
1にて基本的な補正量を算出し、この補正量に対して乗
算部132にて油圧式自動変速機13の変速比ρm に
基づいて予め設定された補正係数ρK1を乗算し、積分
補正トルクT1 を得ている。この場合、本実施例では
制御の収束性を高めるために一定の微小補正トルクΔT
I を積分しており、15ミリ秒のサンプリング周期毎
にスリップ量sが正の場合には前記微小補正トルクΔT
I を加算し、逆にスリップ量sが負の場合には微小補
正トルクΔTI を減算している。但し、実前輪速VF
 が目標前輪速VFSを上まわっている時間が逆の場合
より長い方が加速性が良くなるので、積分補正トルクT
I には上限値、例えば0kgmを設定してクリップ処
理をしている。また、演算ミス等を防ぐため、積分補正
トルクTI に下限値、例えば−100kgmを設定し
てクリップ処理をしている。これらのクリップ処理によ
って積分補正トルクTI は図17に示すように変化す
る。 【0103】なお、前記補正係数ρKP,ρKD,ρK
Iは油圧式自動変速機13の変速比ρm に関連付けて
予め設定された図18に示す如きマップから読み出すよ
うにしている。 【0104】しかるのち、加算部133にてこれら最終
比例微分補正トルクTPDm と積分補正トルクTI 
とを加算し、これにより得られる最終補正トルクTPI
D を減算部134にて前述の基準駆動トルクTB か
ら減算し、更に乗算部135にて機関11と前輪64,
65の車軸85,86との間の総減速比の逆数を乗算す
ることにより、下記数7に示すスリップ制御用の目標駆
動トルクTOSを算出する。 【0105】 【数7】 【0106】  但し、ρd は差動歯車減速比であり
、油圧式自動変速機13がアップシフトの変速操作を行
う際には、その変速終了後に高速段側の変速比ρm が
出力されるようになっている。つまり、油圧式自動変速
機13のアップシフトの変速操作の場合には、変速信号
の出力時点で高速段側の変速比ρm を採用すると、上
記数7からも明らかなように、変速中に目標駆動トルク
TOSが増大して機関11が吹け上がってしまうため、
変速開始の信号を出力してから変速操作が完了する、例
えば1.5秒間は、目標駆動トルクTOSをより小さく
できる低速段側の変速比ρm が保持され、変速開始の
信号を出力してから1.5秒後に高速段側の変速比ρm
 が採用される。同様な理由から、油圧式自動変速機1
3のダウンシフトの変速操作の場合には、変速信号の出
力時点で低速段側の変速比ρm が直ちに採用される。 【0107】数7で算出された目標駆動トルクTOSは
当然のことながら正の値となるはずであるから、クリッ
プ部136にて演算ミスを防止する目的で目標駆動トル
クTOSを0以上にクリップし、スリップ制御の開始或
いは終了を判定するための開始・終了判定部137での
判定処理に従って、この目標駆動トルクTOSに関する
情報がECU15に出力される。 【0108】開始・終了判定部137は下記(a) 〜
(e) に示す全ての条件を満足した場合にスリップ制
御の開始と判断し、スリップ制御中フラグFS をセッ
トすると共に二つの後輪速VRL,VRRの内の低速側
を車速Vとして選択するように切り換えスイッチ103
を作動させ、目標駆動トルクTOSに関する情報をEC
U15に出力し、スリップ制御の終了を判断してスリッ
プ制御中フラグFS がリセットとなるまでは、この処
理を継続する。 (a) 運転者は図示しない手動スイッチを操作してス
リップ制御を希望している。 (b) 運転者の要求している駆動トルクTd は車両
を走行させるのに必要な最小の駆動トルク、例えば4k
gm以上である。 なお、本実施例ではこの要求駆動トルクTd をクラン
ク角センサ62からの検出信号により算出された機関回
転数NE と、アクセル開度センサ76からの検出信号
により算出されたアクセル開度θA とに基づいて予め
設定された図19に示す如きマップから読み出している
。 (c) スリップ量sは毎時2km以上である。 (d) スリップ量sの変化率Gs は0.2g以上で
ある。 (e) 実前輪速VF を微分演算部138にて時間微
分した実前輪加速度GF は0.2g以上である。 【0109】前記開始・終了判定部137がスリップ制
御の開始を判定した後、下記(f) ,(g) に示す
条件の内のいずれかを満足した場合には、スリップ制御
終了と判断してスリップ制御中フラグFS をリセット
し、ECU15に対する目標駆動トルクTOSの送信を
中止すると共に二つの後輪速VRL,VRRの内の高速
側を車速Vとして選択するように切り換えスイッチ10
3を作動させる。 (f) 目標駆動トルクTOSは要求駆動トルクTd 
以上であり、且つスリップ量sは一定値、例えば毎時−
2km以下である状態が一定時間、例えば0.5秒以上
継続している。 (g) アイドルスイッチ68がオフからオンに変わっ
た状態、つまり運転者がアクセルペダル31を開放した
状態が一定時間、例えば0.5秒以上継続している。 【0110】車両81には、スリップ制御を運転者が選
択するための図示しない手動スイッチが設けられており
、運転者がこの手動スイッチを操作してスリップ制御を
選択した場合、以下に説明するスリップ制御の操作を行
う。 【0111】このスリップ制御の処理の流れを表す図2
0,図21に示すように、TCL75はS1にて上述し
た各種データの検出及び演算処理により、目標駆動トル
クTOSを算出するが、この演算操作は前記手動スイッ
チの操作とは関係なく行われる。 【0112】次に、S2にてまずスリップ制御中フラグ
FS がセットされているか否かを判定するが、最初は
スリップ制御中フラグFS がセットされていないので
、TCL75はS3にて前輪64,65のスリップ量s
が予め設定した閾値、例えば毎時2kmよりも大きいか
否かを判定する。 【0113】このS3のステップにてスリップ量sが毎
時2kmよりも大きいと判断すると、TCL75はS4
にてスリップ量sの変化率Gs が0.2gよりも大き
いか否かを判定する。 【0114】このS4のステップにてスリップ量変化率
Gs が0.2gよりも大きいと判断すると、TCL7
5はS5にて運転者の要求駆動トルクTd が車両81
を走行させるために必要な最小駆動トルク、例えば4k
gmよりも大きいか否か、つまり運転者が車両81を走
行させる意志があるか否かを判定する。 【0115】このS5のステップにて要求駆動トルクT
d が4kgmよりも大きい、即ち運転者は車両81を
走行させる意志があると判断すると、S6にてスリップ
制御中フラグFS をセットし、S7にてスリップ制御
中フラグFS がセットされているか否かを再度判定す
る。 【0116】このS7のステップにてスリップ制御中フ
ラグFS がセット中であると判断した場合には、S8
にて機関11の目標駆動トルクTOSとして前記数7に
て予め算出したスリップ制御用の目標駆動トルクTOS
を採用する。 【0117】又、前記S7のステップにてスリップ制御
中フラグFS がリセットされていると判断した場合に
は、S9にてTCL75は目標駆動トルクTOSとして
機関11の最大トルクを出力し、これによりECU15
がトルク制御用電磁弁51,56のデューティ率を0%
側に低下させる結果、機関11は運転者によるアクセル
ペダル31の踏み込み量に応じた駆動トルクを発生する
。 【0118】なお、S3のステップにて前輪64,65
のスリップ量sが毎時2kmよりも小さいと判断した場
合、或いはS4のステップにてスリップ量変化率Gs 
が0.2gよりも小さいと判断した場合、或いはS5の
ステップにて要求駆動トルクTd が4kgmよりも小
さいと判断した場合には、そのまま前記S7のステップ
に移行し、S9のステップにてTCL75は目標駆動ト
ルクTOSとして機関11の最大トルクを出力し、これ
によりECU15がトルク制御用電磁弁51,56のデ
ューティ率を0%側に低下させる結果、機関11は運転
者によるアクセルペダル31の踏み込み量に応じた駆動
トルクを発生する。 【0119】一方、前記S1のステップにてスリップ制
御中フラグFS がセットされていると判断した場合に
は、S10にて前輪64,65のスリップ量sが前述し
た閾値である毎時−2km以下且つ要求駆動トルクTd
がS1にて算出された目標駆動トルクTOS以下の状態
が0.5秒以上継続しているか否かを判定する。 【0120】このS10のステップにてスリップ量sが
毎時−2kmよりも小さく且つ要求駆動トルクTd が
目標駆動トルクTOS以下の状態が0.5秒以上継続し
ている、即ち運転者は車両81の加速を既に希望してい
ないと判断すると、S11にてスリップ制御中フラグF
S をリセットし、S7のステップに移行する。 【0121】前記S10のステップにてスリップ量sが
毎時−2kmよりも大きいか、或いは要求駆動トルクT
d が目標駆動トルクTOS以下の状態が0.5秒以上
継続していない、即ち運転者は車両81の加速を希望し
ていると判断すると、TCL75はS12にてアイドル
スイッチ68がオン、即ちスロットル弁20の全閉状態
が0.5秒以上継続しているか否かを判定する。 【0122】このS12のステップにてアイドルスイッ
チ68がオンであると判断した場合、運転者がアクセル
ペダル31を踏み込んでいないことから、S11のステ
ップに移行してスリップ制御中フラグFS をリセット
する。逆に、アイドルスイッチ68がオフであると判断
した場合、運転者はアクセルペダル31を踏み込んでい
るので、再びS7のステップに移行する。 【0123】車両81の旋回制御に際し、TCL75は
操舵軸旋回角δH と車速Vとから、車両81の目標横
加速度GYOを算出し、車両81が極端なアンダーステ
アリングとならないように車体前後方向の加速度、つま
り目標前後加速度をGXOをこの目標横加速度GYOに
基づいて設定する。そして、この目標前後加速度GXO
と対応する機関11の目標駆動トルクTOCを算出する
。 【0124】ところで、車両81の横加速度GY は後
輪速差|VRL−VRR|を利用して実際に算出するこ
とができるが、操舵軸旋回角δH を利用することによ
って、車両81に作用する横加速度GY の値の予測が
可能となるため、迅速な制御を行うことができる利点を
有する。 【0125】なお、この車両81に発生する実際の横加
速度GY は、bを後輪77,78のトレッドとすると
、後輪速差|VRL−VRR|と車速Vとから下式のよ
うに算出される。 GY =(|VRL−VRR|・V)/3.62 ・b
・g【0126】ここで、15ミリ秒毎に設定される機
関11の目標駆動トルクTOCの増減量が非常に大きな
場合には、車両81の加減速に伴うショックが発生し、
乗り心地の低下を招来することから、機関11の目標駆
動トルクTOCの増減量が車両81の乗り心地の低下を
招来する程大きくなった場合には、この目標駆動トルク
TOCの増減量を規制する必要もある。 【0127】以上のような知見を考慮した旋回制御の演
算ブロックを表す図22に示すように、TCL75は一
対の後輪回転センサ79,80の出力から車速Vを前記
数1により演算すると共に操舵角センサ83からの検出
信号に基づいて前輪64,65の舵角δを前記数2より
演算し、この時の車両81の目標横加速度GYOを前記
数3により算出する。 【0128】ところで、前述したスタビリティファクタ
Aは、周知のように車両81の懸架装置の構成やタイヤ
の特性或いは路面状況等によって決まる値である。具体
的には、定常円旋回時にて車両81に発生する実際の横
加速度GY と、この時の操舵軸82の操舵角比δH 
/δHO(操舵軸82の中立位置δM を基準として横
加速度GY が0近傍となる極低速走行状態での操舵軸
82の旋回角δHOに対して加速時における操舵軸82
の旋回角δH の割合)との関係を表す例えば図23に
示すようなグラフにおける接線の傾きとして表現される
。つまり、横加速度GY が小さくて車速Vが余り高く
ない領域では、スタビリティファクタAがほぼ一定値(
A=0.002)となっているが、横加速度GY が0
.6gを越えると、スタビリティファクタAが急増し、
車両81は極めて強いアンダーステアリング傾向を示す
ようになる。 【0129】以上のようなことから、図23を基にした
場合には、スタビリティファクタAを0.002に設定
し、数3により算出される車両81の目標横加速度GY
Oが0.6g未満となるように、機関11の駆動トルク
を制御する。 【0130】なお、凍結路等のような滑りやすい路面の
場合には、スタビリティファクタAを例えば0.005
前後に設定すれば良い。 【0131】このようにして目標横加速度GYOを算出
したならば、予めこの目標横加速度GYOの大きさと車
速Vとに応じて設定された車両81の目標前後加速度G
XOをTCL75に予め記憶された図24に示す如きマ
ップから求め、この目標前後加速度GXOにより機関1
1の目標駆動トルクTOCを下記数8により算出する。 【0132】 【数8】 【0133】但し、TL は車両81の横加速度GY 
の関数として求められる路面の抵抗であるロードロード
(Road−Load)トルクであり、本実施例では、
図25に示す如きマップから求めている。 【0134】車両81には、旋回制御を運転者が選択す
るための図示しない手動スイッチが設けられており、運
転者がこの手動スイッチを操作して旋回制御を選択した
場合、以下に説明する旋回制御の操作を行うようになっ
ている。 【0135】この旋回制御用の目標駆動トルクTOCを
決定するための制御の流れを表す図26,図27に示す
ように、C1にて上述した各種データの検出及び演算処
理により、目標駆動トルクTOCが算出されるが、この
操作は前記手動スイッチの操作とは関係なく行われる。 【0136】次に、C2にて車両81が旋回制御中であ
るかどうか、つまり旋回制御中フラグFC がセットさ
れているかどうかを判定する。最初は旋回制御中ではな
いので、旋回制御中フラグFC がリセット状態である
と判断し、C3にて目標駆動トルクTOCが予め設定し
た閾値、例えば(Td −2)以下か否かを判定する。 つまり、車両81の直進状態でも目標駆動トルクTOC
を算出することができるが、その値は運転者の要求駆動
トルクTd よりも大きいのが普通である。しかし、こ
の要求駆動トルクTd が車両81の旋回時には一般的
に小さくなるので、目標駆動トルクTOCが閾値(Td
 −2)以下となった時を旋回制御の開始条件として判
定するようにしている。 【0137】なお、この閾値を(Td −2)と設定し
たのは、制御のハンチングを防止するためのヒステリシ
スとしてである。 【0138】C3のステップにて目標駆動トルクTOC
が閾値(Td −2)以下であると判断すると、TCL
76はC4にてアイドルスイッチ68がオフ状態か否か
を判定する。 【0139】このC4のステップにてアイドルスイッチ
68がオフ状態、即ちアクセルペダル31が運転者によ
って踏み込まれていると判断した場合、C5にて旋回制
御中フラグFC がセットされる。次に、C6にて舵角
中立位置学習済フラグFH がセットされているか否か
、即ち操舵角センサ83によって検出される舵角δの信
憑性が判定される。 【0140】C6のステップにて舵角中立位置学習済フ
ラグFH がセットされていると判断すると、C7にて
旋回制御中フラグFC がセットされているか否かが再
び判定される。 【0141】以上の手順では、C5のステップにて旋回
制御中フラグFC がセットされているので、C7のス
テップでは旋回制御中フラグFC がセットされている
と判断され、C8にて先の算出値、即ちC1のステップ
での目標駆動トルクTOCがそのまま採用される。 【0142】一方、前記C6のステップにて舵角中立位
置学習済フラグFHがセットされていないと判断すると
、数2にて算出される舵角δの信憑性がないので、数8
にて算出された目標駆動トルクTOCを採用せず、TC
L75は目標駆動トルクTOCとして機関11の最大ト
ルクをC9にて出力し、これによりECU15がトルク
制御用電磁弁51,56のデューティ率を0%側に低下
させる結果、機関11は運転者によるアクセルペダル3
1の踏み込み量に応じた駆動トルクを発生する。 【0143】又、前記C3のステップにて目標駆動トル
クTOCが閾値(Td −2)以下でないと判断すると
、旋回制御に移行せずにC6或いはC7のステップから
C9のステップに移行し、TCL75は目標駆動トルク
TOCとして機関11の最大トルクを出力し、これによ
りECU15がトルク制御用電磁弁51,56のデュー
ティ率を0%側に低下させる結果、機関11は運転者に
よるアクセルペダル31の踏み込み量に応じた駆動トル
クを発生する。 【0144】同様に、C4のステップにてアイドルスイ
ッチ68がオン状態、即ちアクセルペダル31が運転者
によって踏み込まれていないと判断した場合にも、TC
L75は目標駆動トルクTOCとして機関11の最大ト
ルクを出力し、これによりECU15がトルク制御用電
磁弁51,56のデューティ率を0%側に低下させる結
果、機関11は運転者によるアクセルペダル31の踏み
込み量に応じた駆動トルクを発生して旋回制御には移行
しない。 【0145】前記C2のステップにて旋回制御中フラグ
FC がセットされていると判断した場合には、C10
にて今回算出した目標駆動トルクTOCと前回算出した
目標駆動トルクTOC(n−1) との差ΔTが予め設
定した増減許容量TK よりも大きいか否かを判定する
。この増減許容量TK は乗員に車両81の加減速ショ
ックを感じさせない程度のトルク変化量であり、例えば
車両81の目標前後加速度GXOを毎秒0.1gに抑え
たい場合には、前記数8を利用して TK =0.1・(Wb ・r)/(ρm ・ρd )
・Δtとなる。 【0146】前記C10のステップにて今回算出した目
標駆動トルクTOCと前回算出した目標駆動トルクTO
C(n−1) との差ΔTが予め設定した増減許容量T
K よりも大きくないと判断されると、C11にて今度
は目標駆動トルクTOCと前回算出した目標駆動トルク
TOC(n−1) との差ΔTが負の増減許容量TK 
よりも大きいか否かを判定する。 【0147】C11のステップにて目標駆動トルクTO
Cと前回算出した目標駆動トルクTOC(n−1) と
の差ΔTが負の増減許容量TK よりも大きいと判断す
ると、今回算出した目標駆動トルクTOCと前回算出し
た目標駆動トルクTOC(n−1) との差の絶対値|
ΔT|が増減許容量TK よりも小さいので、算出され
た今回のC8のステップでの算出値をそのまま目標駆動
トルクTOCとして採用する。 【0148】又、C11のステップにて今回算出した目
標駆動トルクTOCと前回算出した目標駆動トルクTO
C(n−1) との差ΔTが負の増減許容量TK より
も大きくないと判断すると、C12にて今回の目標駆動
トルクTOCを下式により修正し、これをC8のステッ
プでの算出値として採用する。 TOC=TOC(n−1) −TK  【0149】つまり、前回算出した目標駆動トルクTO
C(n−1) に対する下げ幅を増減許容量TK で規
制し、機関11の駆動トルク低減に伴う減速ショックを
少なくするのである。 【0150】一方、前記C10のステップにて今回算出
した目標駆動トルクTOCと前回算出した目標駆動トル
クTOC(n−1) との差ΔTが増減許容量TK 以
上であると判断されると、C13にて今回の目標駆動ト
ルクTOCを下式により修正し、これをC8のステップ
での算出値として採用する。 TOC=TOC(n−1) +TK  【0151】つまり、今回算出した目標駆動トルクTO
Cと前回算出した目標駆動トルクTOC(n−1) と
の差ΔTが増減許容量TK を越えた場合には、前回算
出した目標駆動トルクTOC(n−1) に対する上げ
幅を増減許容量TK で規制し、機関11の駆動トルク
増大に伴う加速ショックを少なくするのである。 【0152】以上のようにして目標駆動トルクTOCが
設定されると、TCL75はC14にてこの目標駆動ト
ルクTOCが運転者の要求駆動トルクTd よりも大き
いか否かを判定する。 【0153】ここで、旋回制御中フラグFC がセット
されている場合、目標駆動トルクTOCは運転者の要求
駆動トルクTd よりも大きくないので、C15にてア
イドルスイッチ68がオン状態か否かを判定する。 【0154】このC15のステップにてアイドルスイッ
チ68がオン状態でないと判断されると、旋回制御を必
要としている状態であるので、前記C6のステップに移
行する。そして、このC6のステップにて舵角中立位置
学習済フラグFH がセットされていると判断し、更に
C7のステップにて旋回制御中フラグFC がセットさ
れていると判断すると、C1又はC12又はC13のス
テップにて採用された算出値が旋回制御用の目標駆動ト
ルクTOCとして選択される。 【0155】又、前記C14のステップにて目標駆動ト
ルクTOCが運転者の要求駆動トルクTd よりも大き
いと判断した場合、車両81の旋回走行が終了した状態
を意味するので、TCL75はC16にて旋回制御中フ
ラグFC をリセットする。同様に、C15のステップ
にてアイドルスイッチ68がオン状態であると判断され
ると、アクセルペダル31が踏み込まれていない状態で
あるので、C16のステップに移行して旋回制御中フラ
グFC をリセットする。 【0156】このC16にて旋回制御中フラグFC が
リセットされると、TCL75は目標駆動トルクTOC
として機関11の最大トルクをC9にて出力し、これに
よりECU15がトルク制御用電磁弁51,56のデュ
ーティ率を0%側に低下させる結果、機関11は運転者
によるアクセルペダル31の踏み込み量に応じた駆動ト
ルクを発生する。 【0157】この旋回制御用の目標駆動トルクTOCを
算出したのち、TCL75はこれら二つの目標駆動トル
クTOS,TOCから最適な最終目標駆動トルクTO 
を選択し、これをECU15に出力する。この場合、車
両81の走行安全性を考慮して小さな数値の方の目標駆
動トルクを優先して出力する。但し、一般的にはスリッ
プ制御用の目標駆動トルクTOSが旋回制御用の目標駆
動トルクTOCよりも常に小さいことから、スリップ制
御用, 旋回制御用の順に最終目標駆動トルクTO を
選択すれば良い。 【0158】この処理の流れを表す図28に示すように
、M11にてスリップ制御用の目標駆動トルクTOSと
旋回制御用の目標駆動トルクTOCとを算出した後、M
12にてスリップ制御中フラグFS がセットされてい
るか否かを判定し、このスリップ制御中フラグFS が
セットされていると判断したならば、最終目標駆動トル
クTO としてスリップ制御用の目標駆動トルクTOS
をM13にて選択し、これをECU15に出力する。 【0159】一方、前記M12のステップにてスリップ
制御中フラグFS がセットされていないと判断したな
らば、M14にて旋回制御中フラグFC がセットされ
ているか否かを判定し、この旋回制御中フラグFCがセ
ットされていると判断したならば、最終目標駆動トルク
TO として旋回制御用の目標駆動トルクTOCをM1
5にて選択し、これをECU15に出力する。 【0160】又、前記M14のステップにて旋回制御中
フラグFC がセットされていないと判断したならば、
TCL75はM16にて機関11の最大トルクを最終目
標駆動トルクTO としてECU15に出力する。 【0161】以上のようにして最終目標駆動トルクTO
 を選択する一方、アクチュエータ41を介してスロッ
トル弁20の全閉操作によっても機関11の出力低減が
間に合わない急発進時や路面状況が通常の乾燥路から凍
結路に急変するような場合、TCL75はECU15に
て設定される点火時期Pの基本遅角量pB に対する遅
角割合を設定し、これをECU15に出力している。つ
まり、点火時期Pの基本遅角量pB に対する遅角割合
を設定する手段が第二トルク低減手段となっている。 【0162】前記基本遅角量pB は、機関11の運転
に支障を来さないような遅角の最大値であり、機関11
の吸気量と機関回転数NE とに基づいて設定される。 又、前記遅角割合として、本実施例では基本遅角量pB
 を0にする0レベルと、基本遅角量pB を3分の2
に圧縮するIIレベルと、基本遅角量pB をそのまま
出力するIII レベルとの三つが設定されており、基
本的にはスリップ量sの変化率GS が大きくなるに従
って、大きな遅角量となるような遅角割合のマップがT
CL75内に記憶されている。 【0163】従って、第二トルク低減手段は、スリップ
量sの変化率GS (スリップの変化量)に基づいて作
動が制御され、応答性良く出力低下操作が行なえる。 【0164】この遅角割合を読み出す手順を表す図29
,図30に示すように、TCL75はまずPO にて図
31で示したマップに基づいて、スリップ量sの変化率
GS に基づく遅角割合のレベル(0,II,III 
)を設定する。次に、P1にて遅角割合がIII レベ
ルであるか否かを判定し、この遅角割合がIII レベ
ルであると判断したならば、P2にて油圧制御装置16
により油圧式自動変速機13が変速中か否かを判定する
。 【0165】このP2のステップにて油圧式自動変速機
13が変速中であると判断した場合には、極端な出力低
減に伴う機関11のストールを未然に防止するため、P
3にて遅角割合をIIレベルに設定し直し、P4にて再
びこの遅角割合がIIレベルであるか否かを判定する。 この場合、遅角割合はIIレベルであるので次のP5に
移行して前輪64,65のスリップ量sが毎時5km未
満であるか否かを判定し、このP5のステップにてスリ
ップ量sが毎時5km未満である、即ち前輪64,65
が余りスリップしていないと判断した場合には、P6に
てスリップ量sの変化率GS が0g未満であるか否か
を判定する。 【0166】このP6のステップにてスリップ量sの変
化率GS が0g未満であると判断したならば、P7に
て遅角割合を0レベルにセットし、これをECU15に
出力した後、前記P1のステップに戻る。逆に、このP
6のステップにてスリップ量sの変化率GS が0g以
上であると判断したならば、P8にて前輪64,65の
スリップ量sが毎時0km未満であるか否かを判定する
。 【0167】このP8のステップにてスリップ量sが毎
時0km未満であると判定した場合には、P9にて遅角
割合を0レベルにセットし直し、これをECU15に出
力した後、前記P1のステップに戻る。一方、このP8
のステップにてスリップ量sが毎時0km以上である、
つまり前輪64,65のスリップが多少あると判定した
場合には、P10にて遅角割合をIIレベルに保持した
まま、これをECU15に出力した後、前記P1のステ
ップに戻る。 【0168】前記P5のステップにてスリップ量sが毎
時5km以上ある、即ち前輪64,65がスリップして
いると判断した場合には、P11にてIIレベルの遅角
割合をそのままECU15に出力した後、前記P1のス
テップに戻る。又、このP1のステップにて遅角割合が
III レベルではないと判断したならばP4のステッ
プに移行し、ここで遅角割合がIIレベルではないと判
断したならばP12にて0レベルの遅角割合をECU1
5に出力した後、前記P1のステップに戻る。 【0169】一方、前記P2のステップにて油圧式自動
変速機13が変速中ではないと判断した場合には、P1
3にて前輪64,65のスリップ量sが毎時12km未
満であるか否かを判定し、これが毎時12km未満であ
ると判断した場合には、P14にてスリップ量sの変化
率GS が−0.05gより小さいか否かを判定する。 そして、スリップ量sの変化率GS が−0.05gよ
り小さいとP14のステップにて判断した場合には、P
15にて遅角割合をIIレベルにセットし直して前記P
4のステップに移行する。 【0170】前記P13のステップにて前輪64,65
のスリップ量sが毎時12km以上である、即ちスリッ
プが大きく発生していると判断した場合には、P16に
て遅角割合をIII レベルに保持し、これをECU1
5に出力した後、前記P1のステップに戻る。又、P1
4のステップにてスリップ量sの変化率GS が−0.
05g以上、即ちスリップが増加する傾向にあると判断
したならば、P17にて今度はスリップ量sが毎時5k
m未満であるか否かを判定する。 【0171】このP17のステップにてスリップ量sが
毎時5km以上である、即ちスリップ量sが毎時5km
以上毎時12km以下であると判断した場合には、P1
8にてやはり遅角割合をIII レベルに保持し、これ
をECU15に出力した後、前記P1のステップに戻る
。しかし、スリップ量sが毎時5km未満であると判断
すると、P19にて今度はスリップ量sの変化率GS 
が0gより少ない、即ち車両81が減速状態にあるか否
かを判定する。 【0172】このP19のステップにてスリップ量sの
変化率GS が0gより少ないと判断すると、車両81
は加速状態にないので、P20にて遅角割合を0レベル
にセットし直し、、これをECU15に出力した後、前
記P1のステップに戻る。又、P19のステップにてス
リップ量sの変化率GS が0g以上、即ち車両81が
加速状態にあると判断すると、P21にて今度はスリッ
プ量sが毎時0km未満であるか否かを判定する。 【0173】そして、このP21のステップにてスリッ
プ量sが毎時0km未満である、即ちスリップが発生し
ていないと判断したならば、P22にて遅角割合を0レ
ベルにセットし直し、これをECU15に出力した後、
前記P1のステップに戻る。又、スリップ量sが毎時0
km以上であるとP21のステップにて判断すると、ス
リップが増加する可能性があるのでIII レベルの遅
角割合をそのまま保持し、これをECU15に出力した
後、前記P1のステップに戻る。 【0174】前記ECU15は、機関回転数NE と機
関11の吸気量とに基づいて予め設定された点火時期P
及び基本となる遅角量pB に関する図示しないマップ
から、これら点火時期P及び基本遅角量pB をクラン
ク角センサ62からの検出信号及びエアフローセンサ7
0からの検出信号に基づいて読み出し、これをTCL7
5から送られた遅角割合に基づいて補正し、目標遅角量
pO を算出するようにしている。この場合、図示しな
い排気ガス浄化触媒を損傷しないような排気ガスの上限
温度に対応して目標遅角量pO の上限値が設定されて
おり、この排気ガスの温度は排気温センサ74からの検
出信号により検出される。 【0175】なお、水温センサ71により検出される機
関11の冷却水温が予め設定された値よりも低い場合に
は、点火時期Pを遅角することは機関11のノッキング
やストールを誘発する虞があるため、以下に示す点火時
期Pの遅角操作は中止する。 【0176】この遅角制御における目標遅角量pO の
演算手順を表す図32,図33に示すように、まずEC
U15はQ1にて前述したスリップ制御中フラグFS 
がセットされているか否かを判定し、このスリップ制御
中フラグFS がセットされていると判断すると、Q2
にて遅角割合がIII レベルに設定されているか否か
を判定する。つまり、Q2で遅角量が所定値以上か否か
を、遅角割合がIII レベルに設定しているか否かに
よって判断するようになっている。 【0177】そして、このQ2のステップにて遅角割合
がIII レベルであると判断した場合には、Q3にて
マップから読み出した基本遅角量pB をそのまま目標
遅角量pO として利用し、点火時期Pを目標遅角量p
O だけ遅角する。更に、目標駆動トルクTOSの値に
関係なくスロットル弁20が全閉状態となるように、Q
4にてトルク制御用電磁弁51,56のデューティ率を
100%に設定し、強制的に機関11のアイドリング状
態を実現する。この制御を行なうのが強制制御手段であ
る。 【0178】従って、強制制御手段によって、点火時期
Pの遅角量が所定値以上の場合、目標駆動トルクTOS
に係らずスロットル弁20を全閉状態にし、機関11の
駆動トルクが最大限に低減される状態になり、機関11
で二つのトルク低減手段による操作が相反する状態にな
る虞がなくなる。 【0179】又、Q2のステップにて遅角割合がIII
 レベルではないと判断した場合には、Q5にて遅角割
合がIIレベルに設定されているか否かを判定する。 【0180】そして、このQ5のステップにて遅角割合
がIIレベルであると判断した場合には、Q6にて目標
遅角量pO を下式の如く設定し、点火時期Pを目標遅
角量pO だけ遅角する。 pO =pB ・(2/3) 【0181】更に、ECU15は目標駆動トルクTOS
の値に応じてトルク制御用電磁弁51,56のデューテ
ィ率をQ7にて設定し、運転者によるアクセルペダル3
1の踏み込み量とは関係なく、機関11の駆動トルクを
低減する。 【0182】ここでECU15には機関回転数NE と
機関11の駆動トルクとをパラメータとしてスロットル
開度θT を求めるためのマップが記憶されており、E
CU15はこのマップを用いて現在の機関回転数NE 
とこの目標駆動トルクTOSとに対応した目標スロット
ル開度θTOを読み出す。 【0183】次いで、ECU15はこの目標スロットル
開度θTOとスロットル開度センサ67から出力される
実際のスロットル開度θT との偏差を求め、一対のト
ルク制御用電磁弁51,56のデューティ率を前記偏差
に見合う値に設定して各トルク制御用電磁弁51,56
のプランジャ52,57のソレノイドに電流を流し、ア
クチュエータ41の作動により実際のスロットル開度θ
T が目標スロットル開度θTOにまで下がるように制
御する。 【0184】なお、目標駆動トルクTOSとして機関1
1の最大トルクがECU15に出力された場合、ECU
15はトルク制御用電磁弁51,56のデューティ率を
0%側に低下させ、運転者によるアクセルペダル31の
踏み込み量に応じた駆動トルクを機関11に発生させる
。 【0185】一方、Q5のステップにて遅角割合がII
レベルではないと判断した場合には、Q8にて目標遅角
量pO が0であるか否かを判定し、これが0であると
判断した場合には、Q7のステップに移行して点火時期
Pを遅角せず、目標駆動トルクTOSの値に応じてトル
ク制御用電磁弁51,56のデューティ率を設定し、運
転者によるアクセルペダル31の踏み込み量とは関係な
く、機関11の駆動トルクを低減する。 【0186】又、前記Q8のステップにて目標遅角量p
O が0ではないと判断した場合、直ちに目標遅角量p
O を0にしてしまうと機関11の駆動トルクの変動量
が大きくなってショックが発生するので、Q9にて主タ
イマのサンプリング周期Δt毎に目標遅角量pO をラ
ンプ制御により例えば1°ずつpO =0となるまで減
算させて行き、Q7のステップに移行する。 【0187】なお、前記Q1のステップにてスリップ制
御中フラグFS がリセットされていると判断した場合
には、機関11の駆動トルクを低減させない通常の走行
制御となり、Q10にてpO =0として点火時期Pを
遅角させず、Q11にてトルク制御用電磁弁51,56
のデューティ率を0%に設定することにより、機関11
は運転者によるアクセルペダル31の踏み込み量に応じ
た駆動トルクを発生する。 【0188】 【発明の効果】本発明の車両の出力制御装置によると、
目標駆動輪速設定手段により車両の走行速度に基づいて
目標駆動輪速を設定し、この目標駆動輪速に対応して前
記機関の基準駆動トルクを基準駆動トルク設定手段によ
り設定し、この基準駆動トルクから駆動輪のスリップ量
に基づいて機関の目標駆動トルクを目標駆動トルク設定
手段により設定し、機関の駆動トルクがこの目標駆動ト
ルクとなるように、トルク制御ユニットによりトルク低
減手段の作動を制御するようにしたので、従来のものよ
りも制御のための補正因子を少なくすることができ、制
御遅れがあったり演算装置のコストが嵩む等の不具合い
がほとんどなく、エネルギーのロスを避けつつ車両を安
全に走行させることができる。また、第二トルク低減手
段による機関の点火時期の遅角量が所定値以上の場合に
、目標駆動トルクに係らず機関の駆動トルクを最大限に
低減させる状態に第一トルク低減手段の作動を制御する
ようにしているので、第一トルク低減手段と第二トルク
低減手段による操作が相反する状態になる虞がなくなり
、機関の運転がスムーズに行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両の出力制御装置を前進4段後
進1段の油圧式自動変速機を組み込んだ前輪駆動形式の
車両に応用した一実施例の概念図。
【図2】本発明による出力制御装置を組み込んだ車両の
概略構成図。
【図3】本発明による出力制御装置を組み込んだ車両の
スロットル弁の駆動機構を表す断面図。
【図4】本発明による出力制御装置を組み込んだ車両の
制御の全体の流れを表すフローチャート。
【図5】操舵軸の中立位置学習補正の流れを表すフロー
チャート。
【図6】操舵軸の中立位置学習補正の流れを表すフロー
チャート。
【図7】スリップ制御用の目標駆動トルクの演算手順を
表すブロック図。
【図8】スリップ制御用の目標駆動トルクの演算手順を
表すブロック図。
【図9】スリップ制御用の目標駆動トルクの演算手順を
表すブロック図。
【図10】タイヤと路面との摩擦係数と、このタイヤの
スリップ率との関係を表すグラフ。
【図11】修正前後加速度と前輪加速度補正量との関係
を表すマップ。
【図12】横加速度と前輪加速度補正量との関係を表す
マップ。
【図13】車速と走行抵抗との関係を表すマップ。
【図14】修正前後加速度と加速に伴うスリップ補正量
との関係を表すマップ。
【図15】横加速度と旋回に伴うスリップ補正量との関
係を表すマップ。
【図16】修正前後加速度と路面状況補正係数との関係
を表すマップ。
【図17】積分補正トルクの増減領域を表すグラフ。
【図18】油圧式自動変速機の各変速段と各補正トルク
に対応する補正係数との関係を表すマップ。
【図19】機関回転数と要求駆動トルクとアクセル開度
との関係を表すマップ。
【図20】スリップ制御の流れを表すフローチャート。
【図21】スリップ制御の流れを表すフローチャート。
【図22】旋回制御用の目標駆動トルクを演算する手順
を表すブロック図。
【図23】スタビリティファクタを説明するための横加
速度と操舵角比との関係を表すグラフ。
【図24】目標横加速度と目標前後加速度と車速との関
係を表すマップ。
【図25】横加速度とロードロードトルクとの関係を表
すマップ。
【図26】旋回制御の流れを表すフローチャート。
【図27】旋回制御の流れを表すフローチャート。
【図28】最終目標トルクの選択操作の流れを表すフロ
ーチャート。
【図29】遅角割合の選択操作の流れを表すフローチャ
ート。
【図30】遅角割合の選択操作の流れを表すフローチャ
ート。
【図31】変化率と遅角割合のレベルを表すマップ。
【図32】機関の出力制御の手順を表すフローチャート
【図33】機関の出力制御の手順を表すフローチャート
【符号の説明】 11  機関 13  油圧式自動変速機 15  ECU 16  油圧制御装置 20  スロットル弁 23  アクセルレバー 24  スロットルレバー 31  アクセルペダル 32  ケーブル 34  爪部 35  ストッパ 41  アクチュエータ 43  制御棒 47  接続配管、 48  バキュームタンク 49  逆止め弁 50,55  配管 51,56  トルク制御用電磁弁 60  電磁弁 61  点火プラグ 62  クランク角センサ 64,65  前輪 66  前輪回転センサ 67  スロットル開度センサ 68  アイドルスイッチ 70  エアフローセンサ 71  水温センサ 74  排気温センサ 75  TCL 76  アクセル開度センサ 77,78  後輪 79,80  後輪回転センサ 81  車両 82  操舵軸 83  操舵角センサ 84  通信ケーブル 104,135  乗算部 105  微分演算部 111  加速度補正部 112,118  加算部 115  クリップ部 116  トルク換算部 117  走行抵抗算出部 134  減算部 A  スタビリティファクタ FH   操舵中立位置学習済フラグ FS   スリップ制御中フラグ GF   実前輪加速度 GFB  基準前輪加速度 GFF  修正基準前輪加速度、 GFO  目標前輪加速度 GKC,GKF  前輪加速度補正量 GS   スリップ量変化率 GX   前後加速度 GXF  修正前後加速度 GXO  目標前後加速度 GYO  目標横加速度 g  重力加速度 NE 機関回転数 P  点火時期 pB   基本遅角量 pO   目標遅角量 r  車輪有効半径 SO   目標スリップ率 s  スリップ量 TB   基準駆動トルク TD   微分補正トルク Td   要求駆動トルク T1   積分補正トルク TO   最終目標駆動トルク TOS  スリップ制御用目標駆動トルクTP   比
例補正トルク TPID   最終補正トルク TR   走行抵抗 Δt  サンプリング周期 V  車速 VF   実前輪速 VFO,VFS  目標前輪速 VK ,VKC  スリップ補正量 VRL  左後輪速 RRR  右後輪速 Wb   車体重量 δ  前輪の舵角 δH   操舵角の旋回角 ρd   作動歯車減速比 ρKD  微分補正係数 ρKI  積分補正係数 ρKP  比例補正係数 ρm   変速機の変速比

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  運転者による操作とは独立に機関の駆
    動トルクを低減させる第一トルク低減手段と、運転者の
    操作及び第一トルク低減手段による駆動トルク低減操作
    とは独立に機関の点火時期の遅角量を増して機関の駆動
    トルクを低減させる第二トルク低減手段と、車両の走行
    速度に基づいて駆動輪の目標となる周速を設定する目標
    駆動輪速設定手段と、この目標駆動輪速設定手段により
    設定された目標駆動輪速に対応して前記機関の基準とな
    る駆動トルクを設定する基準駆動トルク設定手段と、こ
    の基準駆動トルク設定手段により設定された基準駆動ト
    ルクから前記駆動輪のスリップ量に基づいて前記機関の
    目標となる駆動トルクを設定する目標駆動トルク設定手
    段と、前記機関の駆動トルクがこの目標駆動トルク設定
    手段により設定された目標駆動トルクとなるように前記
    第一トルク低減手段の作動を制御すると共にスリップの
    変化量に基づいて第二トルク低減手段の作動を制御する
    トルク制御ユニットと、第二トルク低減手段による機関
    の点火時期の遅角量が所定値以上の場合に目標駆動トル
    クに係らず機関の駆動トルクを最大限に低減させる状態
    に第一トルク低減手段の作動を強制制御する強制制御手
    段とを具えた車両の出力制御装置。
JP3031791A 1990-02-27 1991-02-25 車両の出力制御装置 Pending JPH04214944A (ja)

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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS623137A (ja) * 1985-06-29 1987-01-09 Toyota Motor Corp 加速スリツプ制御装置
JPS62101852A (ja) * 1985-10-28 1987-05-12 Mazda Motor Corp 車両のスキツド制御装置
JPH0242147A (ja) * 1988-08-01 1990-02-13 Honda Motor Co Ltd 車両の駆動輪過剰スリップ防止装置

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