JPH041940Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 『産業上の利用分野』 本考案は仏式葬儀（仏葬）での入棺に先だつて
行なわれる死体の湯灌に用いて好適な湯灌槽に関
する。

『従来の技術』 仏葬においては、死体の入棺に先だち、これを
洗い浄めるための湯灌の式が行なわれる。

現在、湯灌の式はかなり簡略化されており、死
体の一部をアルコールで形ばかり拭いてすませる
ことがあるが、湯灌水（例：温水）を用いる湯灌
も現に広く行なわれている。

かかる湯灌に際しては、人体に見合う大きさの
湯灌槽内に湯灌水を入れ、その湯灌槽内において
死体を洗い浄める。

こうして使用された後の湯灌水は、死体からの
汚垢、出血、排泄物、脱毛などで混濁し、不快な
臭気も発するなど、不衛生である。

したがつて、用済みの湯灌水は、これをそのま
ま廃棄するのでなく、湯灌槽から別の容器内へ一
たん回収し、これに適当な浄化処理を施すのが望
ましい。

『考案が解決しようとする課題』 上述した湯灌槽において、用済みの湯灌水を別
の容器内へ回収するとき、湯灌槽の槽体に開口部
を設けて、その開口部にポンプ付きの吸引用配管
を接続し、かかる回収手段により用済み湯灌水を
回収するのが便法である。

しかし、この回収手段によるときは、汚物の一
部が吸引用配管のポンプ内に滞留し、使用頻度に
比例してポンプ性能が低下するので、ポンプを定
期的にオーバホールしなければならない。

それにも拘らず、死体の湯灌に使用された各種
の器具については、その点検、清掃、分解など、
いずれの作業も極度に忌み嫌われており、殊に、
手数を要するポンプのオーバホールなどは、作業
者がこれを拒絶する事態も起きている。

他にも、用済み湯灌水を、これに含まれる汚物
とともに回収した場合、爾後の廃水処理において
汚物分離工程が必要になり、その分だけ処理工程
が増える。

本考案はこのような技術的課題に鑑み、槽体に
接続された吸引用配管への汚物流入を阻止して、
配管系機器の保守、管理を容易にし、しかも、爾
後の廃水処理を簡易に行なうことのできる湯灌槽
を提供しようとするものである。

『課題を解決するための手段』 本考案に係る湯灌槽は、所期の目的を達成する
ため、槽体の底壁部に開口部が設けられており、
当該開口部には、槽体内より、汚物捕捉用のフイ
ルタが着脱自在に装着されているとともに、槽体
外より、吸引機器を備えた吸引用の配管が接続さ
れていることを特徴とする。

『作 用』 本考案に係る湯灌槽において、吸引用配管より
槽体内の用済み湯灌水を排水するとき、高粘性な
いし固形の汚物がフイルタにより捕捉され、流動
性を有する汚水のみがそのフイルタを通過するの
で、吸引用配管に備えられた吸引機器内に高粘性
ないし固形の汚物が進入しない。

したがつて、吸引用配管系の保守、管理が容易
となり、その配管系に備えられた吸引機器の点検
ならびに整備が殆ど不要となる。

しかも、フイルタを介して湯灌水の固形汚物等
と汚水とを分離回収することができるので、爾後
の廃水処理が簡易に行なえる。

『実施例』 本考案に係る湯灌槽の実施例につき、図面を参
照して説明する。

第１図、第２図において、槽体１１は合成樹脂製
（FRPも含む）または金属製からなり、その大き
さは、一例として、長さ＝1800〜2000mm、幅＝
700〜800mm、深さ＝200〜300mmである。

槽体１１の周壁部には、その一部を開口してコ
ツク１２付きの接続口管１３が取りつけられてお
り、該接続口管１３に供給管１４が接続されてい
る。

槽体１１の底壁部には、その一部に凹所１５が
形成されているとともに、該凹所１５には、開口
部１６が設けられている。

さらに、開口部１６には、凹所１５内よりフイ
ルタ１７が装着されているとともに、槽体１１外
より吸引用の配管１８が接続されており、当該配
管１８にはポンプのごとき吸引機器１９、図示し
ないバルブなどが備えられている。

フイルタ１７は、網目、布目、多孔質など、通
水機能と捕捉機能とを有する素材を主体にして構
成されており、より具体的には、網目シート、布
目シート、多孔板、多孔質構造物などが、単独ま
たは組み合わで使用される。

場合により、フイルタ１７は、殺菌剤（滅菌剤
も同じ）、脱臭剤（消臭剤も同じ）、芳香剤の少な
くとも一つ以上を含んで構成されることがある。

第３図Ａに例示したフイルタ１７は、通水性を有
するシート（フイルム）２０により粒状殺菌剤が
被包されて多孔質体２１が形成され、その多孔質
体２１が、合成樹脂製、木製、耐水性板紙製、金
属製など、任意の材質からなるフレーム２２に取
りつけられて、これら多孔質体２１、フレーム２
２が一体化されたものである。

なお、フイルタ１７が、多孔質状の脱臭剤層と
多孔質状の芳香剤層とを含んで構成されるとき、
これら両層間に空間が設定されたり、他の層が介
在される。

その一例として、芳香剤層が上位、殺菌剤層が
中位、脱臭剤層が下位となるように、フイルタ１
７における各層の相対位置が決められる。

第３図Ｂに例示したフイルタ１７は、前記シー
ト２０が袋状に形成され、そのシート２０がフレ
ーム２２に取りつけられて、これらシート２０、
フレーム２２が一体化されたものである。

上述したフイルタ１７は、ネジこみ、圧入、係
合など、公知ないし周知の手段を介して、第２図
に明示するごとく、凹所１５内に取り外し可能に
嵌めつけられ、かくて、フイルタ１７が、前記開
口部１６の前面を覆つている。

その他、槽体１１に凹所１５が形成されない場
合でも、フイルタ１７は、既述の手段に準じて、
槽体１１内より開口部１６に装着される。

本考案に係る湯灌槽が上記の実施例からなると
き、槽体１１には、図示しない供給タンクから、
供給管１４、接続口管１３を経由して適温の湯灌
水が適量だけ供給され、ここで死体の湯灌を終え
た後、用済みの湯灌水が、フイルタ１７、開口部
１６、吸引用の配管１８をなど経由して、図示し
ない容器に回収される。

この場合、用済みの湯灌水を濾過したフイルタ
１７は、各種の汚物を捕集しているので、湯灌を
終えるごと、新たなフイルタ１７と交換される。

さらに、用済みフイルタ１７は、回収された用
済みの湯灌水（廃水）と同様、適当に処理されて
から廃棄される。

『考案の効果』 本考案に係る湯灌槽の場合、つぎのような効果
を有している。

その一つは、吸引機器を備えた吸引用の配管を
介して、槽体内の用済み湯灌水を別の容器に高速
回収できるので、湯灌槽の後始末が速やかに行な
えること、手作業のように用済み湯灌水を飛散さ
せて周囲を汚損させる虞がないこと、嫌忌な作業
の負担が緩和できることである。

他の一つは、吸引機器を備えた吸引用の配管を
介して、前記のごとく用済み湯灌水を槽体外に排
出するとき、槽体の開口部に装着されフイルタに
より用済み湯灌水中の粘性汚物、固形汚物などが
捕捉されるので、これら汚物に起因した吸引機器
付き配管のトラブル発生が防止できることであ
る。

さらに他の一つは、前記フイルタを介して汚物
と汚液など、これらの分離回収が行なえるので、
爾後の汚物処理、廃水処理が簡易に実施できるこ
とである。

ゆえに、本考案に係る湯灌槽によるとき、湯灌
槽の後始末が合理的に行なえ、用済み湯灌水の爾
後処理が容易となり、吸引機器付き配管にもトラ
ブルが発生しがたい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る湯灌槽の一実施例を示し
た平面図、第２図は同上の要部拡大断面図、第３
図Ａ，Ｂは本考案湯灌槽に用いられる各種フイル
タを例示した断面図である。 １１……槽体、１５……凹所、１６……開口
部、１７……フイルタ、１８……吸引用の配管、
１９……吸引機器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 槽体の底壁部に開口部が設けられており、当該
   開口部には、槽体内より、汚物捕捉用のフイルタ
   が着脱自在に装着されているとともに、槽体外よ
   り、吸引機器を備えた吸引用の配管が接続されて
   いることを特徴とする湯灌槽。