JPH0416512B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0416512B2
JPH0416512B2 JP58119306A JP11930683A JPH0416512B2 JP H0416512 B2 JPH0416512 B2 JP H0416512B2 JP 58119306 A JP58119306 A JP 58119306A JP 11930683 A JP11930683 A JP 11930683A JP H0416512 B2 JPH0416512 B2 JP H0416512B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrocarbons
hydrogen
decomposition
temperature
methane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP58119306A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6011585A (ja
Inventor
Toshio Okamoto
Michio Ooshima
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=14758155&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH0416512(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP58119306A priority Critical patent/JPS6011585A/ja
Priority to CA000457385A priority patent/CA1239110A/en
Priority to DE8484730073T priority patent/DE3466241D1/de
Priority to AU29960/84A priority patent/AU2996084A/en
Priority to EP84730073A priority patent/EP0130933B1/en
Priority to US06/625,713 priority patent/US4613426A/en
Publication of JPS6011585A publication Critical patent/JPS6011585A/ja
Publication of JPH0416512B2 publication Critical patent/JPH0416512B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G47/00Cracking of hydrocarbon oils, in the presence of hydrogen or hydrogen- generating compounds, to obtain lower boiling fractions
    • C10G47/22Non-catalytic cracking in the presence of hydrogen

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、炭化水素を熱分解して、オレフイン
及び芳苛族炭化水素(以下BTXと略す)、合成ガ
ス(メタノール、合成ガソリンC1化学用)等の
石油化学製品を製造する方法に関する。更に詳し
くは、本発明は、炭化水素をスチームの存在下
に、酸素により燃焼して、スチームを含む高温ガ
スを生成して、熱分解用熱源とし、このスチーム
を含む高温ガス中に、メタンと水素とを、メタ
ン/水素のモル比が、0.05以上となるように供給
し、該メタン、水素及びスチームを含む高温ガス
中に、沸点が高い炭化水素を含有する炭化水素程
高温側に供給して熱分解し、石油化学製品を高収
率で、かつ高選択的に製造する方法に関する。 従来、エタン、プロパンをはじめとする軽質の
ガス状炭化水素及びナフサ、灯軽油等の液状炭化
水素をオレフインに転換する方法としてスチーム
クラツキングと呼称される管式熱分解法が用いら
れていることは周知の通りである。この方法で
は、反応に必要な熱は、外部から管壁を通して供
給されるため、伝熱速度、及び反応温度に限界が
あり、通常850℃以下、滞留時間0.1〜0.5秒の反
応条件が採用されている。又、分解苛酷度を上げ
て、より短滞留時間の分解を行うべく細径管を使
用する方法も提案されているが、この方法では内
径が小さいため、内壁へのコーキングにより、有
効内径が、短時間のうちに減少しその結果反応管
での圧力損失が増大して炭化水素の分圧が増加
し、エチレンへの選択性が悪化する。このため、
デコーキングの間隔をせまくする必要がある。こ
の事は、分解炉の稼動率低下と、デコーキングに
伴う、ヒートサイクル増加のため、装置の損傷を
招来とするという大きな欠点を伴う。一方、超高
温短時間分解が仮に可能になつたとしても、その
苛酷度に応じた短時間での急冷(クエンチング)
による反応凍結が困難なため、反応部で、一旦確
保された、エチレンの選択も、クエンチヤーでの
急冷能力の不足により、大きく阻害される事にな
る。 このような装置及び反応条件の制約から、使用
できる原料は、せいぜい軽油迄に限定され、残油
等の重質炭化水素には適用できない。これは、高
温、長時間の反応では、重縮合の副反応が起こ
り、コーキングが、激しく発生するとともに、所
望のガス化率(反応帯に供給される炭化水素の量
から、BTXを除くC5炭化水素より重質な炭化水
素の量を差引いたものの、供給原料炭化水素の量
に対する重量比)が達成出来ず、その結果有用成
分の収率も低いためである。また、一度原料が選
定されると、その単一原料と製品の要求に応じ
て、基本的に固有の分解条件と固有の装置が、必
要となる。このため、原料及び、製品の選択性が
乏しく、融通性に欠けるという難点がある。 例えば、現在の代表的なナフサの管式分解炉で
は、エチレン生産に主眼が置かれているため、併
産するプロピレン、C4留分及びBTX等、他の基
礎化学品を、需給バランスに応じた製品収率に任
意に変動させる事は困難である。これは、一方で
は、他の代替原料(例えば、重質炭化水素)の高
苛酷度分解により高収率で得られるエチレンの選
択性をナフサ原料により確保しようとするため、
ナフサが本来有するプロピレン、ブタジエン等
C4留分、BTX製品の大きなポテンシアリテイを
犠性にしている事がわかる。エチレン収率を増加
しようとすれば、プロピレン、C4留分収率は、
逆に不可避的に減少するというのが熱分解反応の
宿命的現実である。 このような原料及び製品両面からの制約を緩和
する方法として、幾つかの方法が提案されてい
る。その第一の方法は、原油等の液状炭化水素を
燃料として、高温ガスを生成し、これにより、炭
化水素を5〜70バールの加圧下、反応温度1315〜
1375℃、滞留時間3〜10ミリ秒で熱分解する方法
である。この方法では、高温ガスの燃焼帯から反
応帯内に向けて、CO2,N2等のイナートガスを
フイルム状に供給する事により、コーキングの抑
制をはかり、残油のような重質油の分解をも可能
にしている。 第二の方法は、水素を一部燃焼して高温の水素
ガスをつくり、水素雰囲気下、反応温度800〜
1800℃、滞留時間1〜10ミリ秒、圧力7〜70バー
ルの加圧下で、重質油を含む各種炭化水素から、
オレフインを製造する方法である。水素大過剰の
雰囲気下で、熱分解を行う事により急速加熱、超
短滞留時間の分解及びコーキングの抑制を行う事
により、重質油の分解をも可能にしているが、水
素のリサイクル及び分離動力、メークアツプ、及
び予熱等のエネルギーが、過大な経済的負担とな
つている。 いずれにしても、これらの方法は共に、重質炭
化水素からも高収率でオレフインを得るために、
極めて苛酷な反応条件を必要としている。その結
果、製品としてのオレフイン構成が極めて、エチ
レン、アセチレン等C5に偏つており、プロピレ
ン、C4留分及びBTXを同時に高収率で、得るよ
うな操作が困難であるという問題がある。 第三の方法は、反応器を二つにわけ、上流高温
側へは、比較的分子量の小さい、パラフイニツク
な炭化水素を供給して、比較的高苛酷度、分解温
度815℃以上、滞留時間20〜150ミリ秒で熱分解し
て、エチレンの選択性を向上し、次いで、下流低
温側で軽油留分を供給して、低苛酷度、長滞留時
間すなわち分解温度815℃以下、滞留時間150〜
2000ミリ秒で熱分解する事により、コーキングを
抑制している。そのためガス化率を犠性にしてい
る。その目的は、高温側と同様、エチレンの選択
性向上にある。 この方法では、比較的分解容易な、パラフイニ
ツクな原料を高温部に、一方比較的分解困難な芳
香族に富んだ原料を低温部に、供給するという、
エチレンの選択性を目的とした原料配置となつて
いる。 しかし、低温反応域で、芳香族を含有する原料
を低苛酷度で分解しているため、本来ガス化して
有価な製品として評価され得る成分が燃料として
しか活用されていないという問題がある。以上の
如く、第三の方法では、原料及び製品が意図的に
限定されており、原料の選択及び得られる製品構
成の面で柔軟性に欠けるという問題がある。 本発明者等は、同一の反応器を使用して、軽質
炭化水素から、重質炭化水素に亘る、広範囲の炭
化水素から、コーキングを抑制して、所望のオレ
フイン及びBTXを、選択的にかつ高収率で得ら
れるような炭化水素の熱分解法を開発すべく、鋭
意研究を重ねた結果、炭化水素をスチームの存在
下で、酸素より燃焼し、生成するスチームを含む
高温ガス流中に、任意の炭化水素を、原料炭化水
素として、要求される製品の選択性及び原料炭化
水素の特性を考慮して、それに応じた分解条件位
置に、供給して熱分解する事により、軽質ガス又
はナフサのような軽質油から、アスフアルトのよ
うな重質油迄、同一反応器で同時に処理出来、し
かも個々の炭化水素を従来のように単独で、熱分
解した場合よりも、オレフイン及びBTX等を高
収率かつ高選択性をもつて生産できる事を見出
し、この知見に基いて、本発明をなすに至つたも
のである。 すなわち、本発明は、炭化水素を熱分解して、
石油化学製品を製造する方法において、スチーム
の存在下に、炭化水素を酸素により燃焼させ、
1300〜3000℃のスチームを含む高温ガスを生成せ
しめ、この高温ガス中に、メタンと水素とを、メ
タン/水素のモル比が、0.05以上となる様に供給
し、該メタン、水素及びスチームを含む高温ガス
中に、沸点が高い炭化水素を含有する炭化水素ほ
ど高温側から多段に供給して、分解温度が650〜
1500℃、合計滞留時間が5〜1000ミリ秒、圧力が
2〜100バール、かつ沸点が200℃以上の炭化水素
を含有する炭化水素の分解後の水素分圧が少くと
も0.1バール以上となるように維持して熱分解し、
反応生成物を急冷することを特徴とする炭化水素
から石油化学製品を製造するための熱分解方法を
提供するものである。 以下に、本発明による熱分解法について詳細に
説明する。まず本発明によれば、反応に必要な熱
は、炭化水素をスチームの存在下に酸素により燃
焼して、発生した高温ガスにより供給され、しか
も内部加熱により供給されるので、外部加熱で
は、達成できないような高温度が容易に得られ、
しかも無駄のない熱の利用が行える。このような
炭化水素の燃焼による内熱式加熱は、従来からも
提案されているが、一般には燃料として用いられ
る炭化水素は、ガス状炭化水素や、灯軽油等のク
リーンオイルが中心である。また、重質油を燃料
として使う方法も提案されているが、燃焼した場
合、コーキング及びスーテイングを生じやすく、
前述したように、大量のCO2,N2等のイナート
ガスの循環が必要となる。本発明では、燃焼を後
流反応器で必要となるスチームも含めて、燃料炭
化水素に対して1〜20(重量比)の多量のスチー
ムの存在下で行う事により、燃焼条件の緩和とス
チームによる固体炭素のリフオーミング効果によ
り、コーキング及びスーテイングを抑制できる。
その結果、メタン等の軽質ガス又はナフサ等の軽
質炭化水素から、分解油、アスフアルト等の重質
炭化水素迄、任意の炭化水素を燃料として選択で
きる。 また、水素、一酸化炭素等を燃料として用いる
事も出来る。 次に酸素の供給量は、理論当量以上でも以下で
もよいが、酸素の供給量があまり過剰になると、
後流に位置する反応器での有効成分や、反応用水
素の損失になるので好ましくない。一方酸素の供
給量が、理論当量以下の場合には、部分燃焼によ
り、水素及び一酸化炭素が生成し、反応系にリサ
イクルされる水素量を低減出来るという利点があ
る。又一酸化炭素も、反応部前後の高温部、又は
リサイクルの過程でシフト反応により容易に水素
に転換出来、反応により消費される水素の補充に
当てられる。これ等は、いずれも本発明の基本構
成要件である重要な水素の供給源となる。 この水素により、重質炭化水素に相対的に不足
している水素が補給されるため、ガス化率、及び
オレフイン収率が上ると共に、任意の原料の熱分
解による製品選択性のコントロールが大巾に向上
する。 一方、コーキングが更に抑制されるという利点
を伴う。 又燃料の部分酸化により、メタノール、C1
学等に使用される合成ガスを副生品又は主製品と
して製造する事が有利な場合もある。この時は、
反応用水素のメークアツプも、そのリサイクルも
不要となる。本件については、本発明者等により
先願済の特願昭58−041932があり、これは、本発
明の一部を構成する。 ところで、加えられたスチームは、CO2,N2
等の他のガスと異なり分解ガスの分離精製過程
で、容易に凝縮されて回収でき精製系の負担の増
加を生じない利点がある。また、本発明に必要な
酸素は、空気からの深冷分離、膜分離、吸着分離
等により得られた、濃度の高い酸素を用いるのが
普通であるが、アンモニアプラント等との組合せ
により、空気を用いても有益な場合は、この限り
でない。 高温バーナーガス温度(燃焼器での燃焼ガス温
度)については、系外よりのスチーム供給量を減
少して、高温度にして反応器に供給する方が、熱
的には有利であるが、2400℃以上になると、O,
OH等の含酸素ラジカル濃度が増加し、後流反応
器での有価な製品の損失が大きくなり、アセチレ
ン、CO等が増加し、原料の均一加熱が難しく燃
焼器構造の安定性等から上限が存在する。 次に、本発明では、上記燃焼器で生成したスチ
ームを含む高温ガス中に、更に水素とメタンを供
給して水素、メタン及びスチームの存在下で、先
ず高沸点炭化水素の熱分解を行う事を特徴として
いる。 沸点が高い重質炭化水素の熱分解においては、
急速に原料炭化水素を加熱蒸発させて、ガス化
し、スチーム等で希釈されたガス相で、エチレ
ン、プロピレン、ブタジエン等の低分子量のオレ
フイン等に分解する事が、高ガス化率及び、オレ
フイン、BTX等を高収率にて生成させるために
重要である。逆に、もし十分な加熱速度が達成さ
れなければ、液相での重縮合を招来し、その結
果、ガス化率、オレフイン収率、BTX収率は、
極めて不満足なものとなる。本発明では、1300〜
3000℃、好ましくは、1400〜2400℃のスチームを
含む高温ガスに更に、水素とメタンを供給し、こ
のスチーム、水素、メタンとを含む高温ガスと、
高沸点炭化水素とを直接接触させる事により、こ
のような重質炭化水素の熱分解に必要な急速加熱
による熱分解が達成できる。 本発明では、基本的に沸点が高く、かつアスフ
アルテン等の分解困難な多環芳香族成分の含有率
が高い原料程、より高温側に供給されると共に、
更に共存する水素とメタンによつて、これ等重質
炭化水素の熱分解を加速し、より高いガス化率、
高収率、高選択的に石油化学製品を製造すること
が出来る。このような熱分解雰囲気に、水素及び
メタンを存在させる事により、次の利点が実現さ
れる。先ず水素の作用であるが、第一に、他の物
質に比べて高い熱伝導率を有し、その結果重質炭
化水素でも急速に、加熱昇温できる。この事は、
前に説明したように重質炭化水素の熱分解におい
ては重要である。第二に、水素化作用により前述
の液相での重縮合反応を抑制すると共に、重質炭
化水素では、炭素含量に比較して相対的に不足し
ている水素を外部から補給する事によりガス化を
促進し、軽質ガスの生成量を増大できる。又気相
からのコークス生成に対しても、コーキング反応
の前駆物質であるアセチレンの量を減少させ、抑
制できる。第三に、反応系内のラジカル濃度を増
加する効果があり高い分解速度、ガス化速度が達
成できる。以上三つの効果は、高温、高水素分圧
下で著しく、その結果、前述の最も高温部で、最
も重質な炭化水素を熱分解する効果と相乗し、高
いガス化率、オレフイン収率等が達成できる。し
かしながら、水素の使用は看過してはならない不
利益な面も合せ有する。即ち、このような重質炭
化水素の分解において、水素を消費することによ
り、確かに高いガス化率、オレフイン収率等を達
成できるが、反応条件が高温な為、副反応を併発
し、その製品収率を所望のオレフイン、BTX収
率にコントロールする事が極めて難しい。換言す
れば、製品の選択性が悪化するという問題を生ず
る。すなわち、水素丈の雰囲気では、原料炭化水
素の分解により生成したプロピレン、及びエチレ
ンが C3H6+H2→C2H4+CH4 (1) C2H4+H2→C2H6 (2) C2H6+H2→2CH4 (3) 反応(1)〜(3)により、水素化され、結果として、
メタンとエタンの増大、とりわけメタンの増大を
もたらす事は避けられない。たゞすべてのプロピ
レン,エチレンが消失しないのは、これらの生成
反応速度が、上記(1)〜(3)の反応に比較して相対的
に速いためである。しかも、これらの水素化反応
は、大きな発熱反応のため、水素化により反応温
度が上昇し、更にオレフインの分解が進行すると
いう暴走反応の傾向を有するため、安定した収率
を維持する事が極めて難しい。このような過剰の
水素化は、本発明のように、反応前に水素と共に
メタンを供給する事により、水素の利点を損なう
事なく抑制できる。すなわちメタンの作用は、メ
タンの添加により前記(1)〜(3)の反応と同時に、メ
タンのエタン、エチレン等への転化反応(4)〜(6) 2CH4→C2H6+H2 (4) C2H6→C2H4+H2 (5) C2H4+CH4→C3H8→C3H6+H2 (6) が競合して生じ、メタンへの水素化による転化を
防止できる。そればかりか、反応温度、圧力及び
雰囲気のメタン/水素比を調整することで、メタ
ン分解を促進させ、添加メタンをより付加価値の
高いエチレン、エタン、アセチレンに転化する事
ができる。例えば、メタンからエチレンを生成す
る反応(4),(5)を素反応過程としてみると、次の反
応が生じる。高温下では、メタンから高活性のメ
チルラジカル(CH3・)が生成するが、メチルラ
ジカルは再結合して、エタンとなり、更に水素あ
るいは水素ラジカル(H・)の引き抜き反応が生
じて、エタンは直接に、あるいはエチルラジカル
(C2H5・)を経由して、エチレンに転化する。こ
れらを反応式で書くと、次のようになる。 2CH3・→C2H6→C2H5・+H・ ↓−H C2H4+H2 このメチルラジカルの生成反応は、水素とメタ
ンの共存下では水素ラジカル濃度が減少して、メ
チルラジカルの濃度が増加する。すなわちメタン
は水素ラジカルの吸収剤となるため、水素ラジカ
ルによるオレフインの水素化反応を防止すると共
に、脱水素反応を促進し、同時に生成したメチル
ラジカルの再結合による、メタンのエタン、エチ
レンへの転換機能を有する。しかも、上記反応で
は水素が生成し、最初から反応系に供給された水
素と共に、重質炭化水素に不足する水素を補給す
る効果を有する。以上のように、これらのメタン
の効果は、希釈剤としての役割ではなく、上述し
たように、反応機構的にエチレン等の収率増大に
大きく寄与するものである。 ところで、この重質炭化水素の熱分解による吸
熱反応のため、熱分解後の反応流体の温度は、若
干低下するが、未だ高い温度を保持している。従
つて本発明では、反応流体を順次、より低沸点の
軽質炭化水素と直接接触させながら、熱分解する
事により、重質炭化水素の熱分解を促進するため
に、最初に投入された熱量を有効に回収すると共
に、より重質炭化水素からの反応物質を、より軽
質炭化水素の熱分解吸熱反応によつて速やかに冷
却する事ができる。このような分解により低沸点
の軽質炭化水素程、低温、低水素分圧で熱分解さ
れる事になるが、沸点200℃以上の炭化水素を含
有する炭化水素(含リサイクル分解油等)の分解
後で、少なくとも水素分圧が0.1バールである事
が、前述の水素効果を発揮して高ガス化率、オレ
フイン収率を確保するためには必要である事が判
明した。 さらに、重質炭化水素の熱分解は、前述のよう
に、高ガス化率、高オレフイン収率を達成するた
めに高苛酷度で行われる。 水素メタン共存下での分解雰囲気の為、水素単
独の場合に比べ顕著なオレフイン収率の増大が見
られるがその収率分布は、重質炭化水素の固有な
原料特性に影響されてオレフインの中でもエチレ
ン含有量の高い特徴があるが、本発明では後流低
温側に供給される相対的に軽質な炭化水素を、そ
の沸点範囲(ナフサ留分、灯油留分等の種類)、
量及び又は熱分解条件を適切にコントロールする
ように供給して熱分解し、最終的に得られる総合
的なオレフイン、BTX等の収率分布を、所望の
構成に自由に調整する事、換言すれば製品の選択
性を達成出来るという大きな特徴を有する。この
ような熱分解条件のコントロールは、原料の供給
位置の変更、全圧、滞留時間、温度の変更等によ
り行われる。 更に原料、及び製品のフレキシビリテイの観点
から、原料の分解条件を最適にするために、各原
料の供給位置の間に、又は原料と同時に(原料供
給の過程におけるコーキング防止機能を含む)ス
チーム、水、水素、メタン、硫化水素等を供給す
る場合もある。これはコーキング抑制にも有利で
ある。なお、部分負荷運転によつて生じる不利益
を補う為に、同様な処置をとることも出来る。 ところで、高沸点の重質炭化水素とは、例え
ば、沸点が350℃以上の成分を多量に有する分解
困難な、アスフアルテン等多環芳香族を含有する
常圧残油、減圧残油、重油、シエールオイル、オ
リノコタール、石炭液化油、熱分解油、熱分解残
油、石油ピツチ類、及びアスフアルテンは皆無に
近いが、レンジ、芳香族等を大量に含有する減圧
軽油、溶剤脱石油等、その他重質原油、石炭等を
含む。 一方低沸点軽質炭化水素とは、例えば沸点が
350℃以下のLPG、ライトナフサ、ナフサ、灯
油、軽油、及び分解ガソリン(C5〜200℃留分
で、BTXを除いたもの)等の各種分解油及び改
質油等を含む。但し、後述の如く、メタン、エタ
ン、プロパン等は、その分解機構が異なるので、
軽質パラフインガスとして、別途区別して操作条
件を適用する。以上の分解特性による分類は、あ
くまで原則であつて、例えば、350℃より高い沸
点を有する炭化水素を含む原料炭化水素でも、軽
質原油のように、相当量の軽質留分を含み比較的
分解容易なパラフイン成分に富み、且つ、アスフ
アルテン含有率の少いものや、350℃以上の成分
を含んでいるが、実質的には沸点が350℃以下の
分解特性を有するものが支配的な炭化水素に対し
ては、沸点が350℃以下の軽質炭化水素としての
取扱いを行う。又系内の燃料バランス上、燃料油
が必須の場合、その他特殊な条件が存在する場合
には、実質的に原料炭化水素の沸点が350℃より
高い重質炭化水素を含む場合であつても、350℃
より低い軽質炭化水素と同様の分解条件で意図的
にガス化率を抑制した分解を行うこともある。 又、原料炭化水素が、沸点が350℃以下の炭化
水素を含む場合でも、レジン等、分解困難な成分
を比較的多量に含有している場合は、製品の選択
性に対する要求を考慮してなお、高沸点重質炭化
水素の分解条件を採用する事がある。又、沸点が
多少違つても、類似の原料は同一分解条件となる
同一位置から供給するのが実際的である。場合に
よつては、原料の制約条件と製品の要求とを合致
させるため、同一分解特性を有するものでも、異
なつた分解条件を適用する場合がある。 すなわち、炭化水素は原則として、その分解特
性により決まる最適分解条件で分解される事が好
ましいが、供給原料の制約及び所望製品構成の要
求から、必ずしも、最適分解条件が適用されない
場合もある。 本発明では、原料炭化水素を多段に同一反応器
に供給する事により、このような要請に対して
も、容易に適応できる。また、原料炭化水素の分
解特性は、主として、その沸点により判断される
が、更に詳しくはその原料中のパラフイン、芳香
族、アスフアルテン等の含有率により、その供給
位置及び分解条件が設定される。なお、原料とし
て、沸点350℃以上の含有する炭化水素が利用出
来ない場合でも、例えば、ナフサを前述の高沸点
重質炭化水素の分解条件で、高温・短滞留時間分
解を行つて、エチレンの選択性の高い分解を行う
と共に、その後流に、ナフサ、プロパン等を供給
して、マイルドな分解を行う事により、プロピレ
ン、C4留分、BTX等の選択性を増し、トータル
としては所望の製品構成を自由に達成する事が出
来る。更に、本発明は、熱分解により生成したエ
タン、プロパン等の軽質パラフインガス、及び分
解油を、その分解特性に応じた反応器の位置に供
給して、ガス化率を高い水準にて達成する事(例
えば、アスフアルトから65%以上、ナフサから95
%以上)を特徴としている。従来、このような分
解油の同一反応器へのリサイクルは、一部提案さ
れているが、原料と同一位置、同一分解条件への
供給であり、その結果、収率向上への寄与は、ほ
とんど期待出来ない。すなわち、分解油をバージ
ン原料と同一位置に供給した場合、分解しやすい
バージン原料が優先的に分解され、分解油は、単
に熱履歴を受けて、重縮合反応により重質炭化水
素に転換する。しかるに、本発明では、分解油
を、それ等を製出した最初の原料すなわち、バー
ジン原料より高苛酷度の分解が行われるように、
供給位置を、最初の原料より高温側にリサイクル
して再原料化される。 この分解油の供給位置は、更にその分解特性
と、所望の製品構成により決定される。特に、プ
ロピレン、C4成分、BTX等の選択性を高めるた
めに、反応器後流での軽質炭化水素の分解条件
は、相対的にマイルドとなり、その結果分解油の
収率が増加し、ガス化率が低下する。しかし、こ
の分解油は、この分解油を主として製出した最初
の原料の供給位置より高温、高水素、高メタン分
圧の上流側に供給する事により、容易に分解し
て、エチレン、BTX等に転化し全体として、ガ
ス化率、有用成分収率は増大する。同時に製品の
選択性を確保出来る。 従来のナフサ分解では、15〜20%の分解油
(BTXを除く)が生成しているが、本発明の方法
によれば、これらの燃料として使用されている分
解油からも70〜80%が有用なガス成分(エチレ
ン、BTX等)として回収できる。又エタン、プ
ロパン等の軽質パラフインガスは、850〜1000℃
の反応温度域に、エチレン、プロピレンを高収率
にて得る事を目的として供給されるが、重質炭化
水素を高苛酷度で同時に分解する場合には、水
素、メタンキヤリアガスとしての機能をも考慮し
て、重質炭化水素の上部又は同一位置に供給する
こともある。一方、水素及びメタンは、特に合成
ガスの要求がなければ、本発明の思想に従つて、
部分燃焼により生成させた水素、一酸化炭素と共
に、反応部に供給するか、沸点350℃以上の成分
を含む。炭化水素の供給位置と同一位置又はその
上部に供給して、重質炭化水素に不足している水
素の補給を行うと共に、有用成分への転化を行
う。更に、反応器後流にナフサ等の水素含有量の
高い軽質炭化水素を供給する事により、反応器後
流では、水素分圧が増加してくる。その結果、反
応器上流の重質炭化水素の分解により生成したラ
ジカルを多量に含有する熱分解油、熱分解残油等
が水素化され、安定化される事により、スラツジ
の生成や、反応器、及び急冷熱交換器でのコーキ
ングが抑制され、熱分解残油が安定化される。し
かし、原料及び分解条件等によつては、上記水素
の効果丈では熱分解残油の安定化が不充分な場合
もあり、その場合、別途水素で処理してもよい
が、本発明の如く水素を所要の最適位置から追加
供給し、製品分離精製系からの水素、メタン等を
も所望の位置に分割リサイクルして熱分解残油の
安定化を行う。 又、重質炭化水素を単独で超苛酷度分解して製
出される炭素質の熱分解残油は、原料又は燃料化
のためのハンドリング(含輸送性)、バーナでの
微粒化が場合によつて不可能であつたが、本発明
に従えば、水素雰囲気で熱分解される事、及び後
流低温側での軽質炭化水素のマイルドな分解によ
り得られた分解油と、上流高温側での熱分解によ
り得られた炭素質の熱分解残油が混合される事に
よりハンドリング及びバーナでの微粒化が非常に
容易となつた。軽質炭化水素からの分解油には、
揮発分、水素供与物質が共に豊富なため、固体状
の熱分解残油は、より安定にスラリー化されると
共に、揮発分の増加により、バーナでの沸騰噴霧
が容易となり、微粒化促進による有効成分への再
原料化に有利な条件が整つた。 更に、本発明は、以下の特有な作用効果を奏す
る。すなわち、前述の如く、より分解しやすい
350℃以下の低沸点炭化水素を含む軽質炭化水素
を供給する事により、より重質な炭化水素の熱分
解を達成するために投入された熱量を、軽質炭化
水素の反応吸熱により有効に回収できると共に、
高温上流側からの重質炭化水素の分解ガスを含む
反応流体を、軽質炭化水素の吸熱反応によりすみ
やかに冷却して、過分解による有価な製品の損失
を抑制する事が出来る。 また、本発明では前述のように、分解のために
供給される熱エネルギーを最大限に活用して、炭
化水素の熱分解を行うため、製品に対する燃焼ガ
ス量を著しく低減でき、その結果分解ガスの分離
精製動力を、従来の類似技術に比べて、大きく低
減できる。換言すれば、単位製品あたりの、燃
料、酸素等のユーテイリテイが大幅に低下する。 以上説明したように、本発明は、重質炭化水素
と、軽質炭化水素では、分解特性に著しく差があ
る事に着目し、各々の炭化水素を要求される製品
構成に従つて、その分解特性に最も適した条件で
分解する事を特徴としている。すなわち、常圧残
油、減圧残油等の高沸点重質炭化水素では、オレ
フイン生成反応と競争的に液相での重縮合反応が
生ずるためガス化率及び、オレフイン収率を高め
るためには、液相での滞留時間をできるだけ短く
すると共に、相対的に不足している水素を反応系
に補給する必要がある。従つて、高温・超短時間
並に、水素、メタン分圧の存在下での加熱による
分解が、極めて重要である。しかし、このような
高温では、生成したプロピレン、C4成分は、短
滞留時間にもかかわらず、更に分解されて、エチ
レン化し、製品構成に占めるエチレンの比率が、
極めて高くなる。同時に、エチレン等の水素によ
る分解も逐時的、併発的に生じるため、メタンを
水素と共に反応系に供給し、このエチレン等の水
素化分解を抑制し、反応収率の安定化をはかる必
要がある。逆に、プロピレン、C4成分の選択性
を増加させようとすれば、ガス化率は低下し、そ
の結果、プロピレン、C4成分は若干増加するが、
エチレン収率は著しく低下する。従つて、重質炭
化水素の分解条件は、主として、エチレンへの選
択性を高める条件で分解する事が望ましい。 一方、ナフサのような軽質炭化水素では、容易
にガス化し、気相でのアセチレン、エチレン、ブ
タジエン等の重縮合又は、原料パラフイン等の環
化脱水素反応によりBTX及び分解油が生成する。
従つて、重質炭化水素に比べて、加熱速度等の影
響は小さく、反応条件も比較的幅広く考える事が
できる。例えば、高温分解では、パラフイン鎖の
クラツキングによる、低級オレフインの生成が主
となり、その結果、環化脱水素反応よるBTX及
び分解油の収率は低下する。また、気相低級オレ
フイン及びアセチレンの重縮合よるBTXの生成
は、滞留時間を長くする事により、増加するが、
短滞留時間では、BTXの収率は低下してくる。
また、低級オレフインに占めるプロピレン、C4
成分の割合は、高苛酷度(高温長滞留時間)分解
程、エチレンへの分解が生じるため、低下しエチ
レンへの選択性が増大する。一方、軽質炭化水素
の場合は低温下での分解でも、重質炭化水素の場
合とは異なり、高いガス化率が得られる。しかも
その製品構成は、プロピレン、C4成分の比率が
増大すると共に、これらの分解による相対的に価
値の低いメタンの生成が減少し、有価なC2〜C4
の合計のオレフイン収率は逆に増加する。 反応系に存在する水素は、重質炭化水素の分解
条件のような高温では、プロピレン等のエチレン
への転化を促進するが比較的温度の低い温和な反
応条件では、その促進効果は著しく低下する。 また、低温分解では、相対的に環化脱水素反応
によるBTX及び分解油の収率が増加する。この
分解油収率の増加は、そのままでは、ガス化率の
低下をもたらすが、本発明では、分解油の生成条
件よりも、高温側へ供給する事により、エチレ
ン、BTX等に転化し、全体として通常の高温で
の一段分解に比べて、ガス化率、有用成分収率、
選択性を向上できる。 本発明は、上記軽質炭化水素と重質炭化水素の
分解特性に着目し重雌炭化水素は、高温スチーム
及び水素とメタンの存在下で高温・高苛酷度分解
により、高いガス化率及びオレフイン収率主とし
てエチレンが得られるように分解し、次に、軽質
炭化水素を、C3,C4オレフイン及びBTXが高い
選択性で得られるように、低温・長滞留時間で分
解して、所望の製品構成に調整する事を特徴とし
ている。しかも、このC3,C4オレフイン及び
BTXへの選択性が高い分解条件は、前述したよ
うに、比較的低温のため、重質炭化水素の熱分解
のために、反応器に投入された過剰熱量の有効利
用という形で、容易に得られる。更に、原料炭化
水素の分解により生成した分解油を、その原料炭
化水素より、高温の反応条件で分解する事によ
り、従来燃料としてしか評価されていない成分を
有価なBTX成分やエチレンに転化できる。例え
ば、アントラセン等の縮合芳香環も高温分解によ
り、メタン、エチレン、BTX等になり、高い有
価成分への転化率が達成できる。この効果は、特
に水素分圧が高い程著しい。 又、反応系に、水素と共に供給されるメタン
は、メタン/水素比と、分解条件の苛酷度とを適
切に組合せる事により、メタンをエチレン等の有
価成分に転化出来、その結果メタン収率を所望の
値、例えばプラントでのメタンバランスが成立す
るように制御し、オレフイン収率等の増加をはか
る事が出来る。 このように、本発明は、原料炭化水素を有効に
活用するため、原料炭化水素をその分解特性に応
じて、多段に供給し、高温側では高苛酷度分解に
より、高ガス化率及び、高エチレン収率を達成
し、次にその後流で、C3,C4オレフイン及び
BTXへの選択性が高くなるように炭化水素を分
解して、高温側での高苛酷度分解によつて得られ
たエチレン主体の分解ガスと、主として低温側で
得られたC3,C4オレフイン及びBTX成分の含有
率の高い分解ガスとに調整し、トータルとして所
望の製品構成を選択的に得る事を特徴としてい
る。従つて、前にも述べたように、必ずしも沸点
350℃以上の重質炭化水素をバージン原料として
供給する必要はなく、例えば、ナフサ、灯油等を
上流で高温分解し、エチレンに富んだ分解ガスと
し、後流で、LPG、ナフサ等C3,C4オレフイン
及びBTXへの高いポテンシヤルをもつ炭化水素
を、C3,C4オレフイン及びBTXの選択性が高い
条件で、分解して、全体として製品構成を調整す
る事もできる。 従つて、本発明の技術思想に従えば、ナフサの
ような単一原料を二分して高温分解と低温分解を
してもよいし、バージンナフサを全量低温分解
し、生成分解油を上記の目的に合うように高温で
分解する事は、非常に好ましい方法である。逆に
減圧軽油のように沸点が350℃以上の成分で構成
される重質炭化水素でも、C3,C4成分、及び
BTXへの選択性が高い原料を、高温及び低温分
離する事も本発明の技術思想に合致するものであ
る。以上のような組合せは、具体的には、原料の
入手性と需給動向に基づく製品構成とにより決定
される。 特に重質炭化水素は、高いガス化率を得るため
には、高温、従つて高いエネルギー投入量を必要
とし、しかも製品構成が極めてエチレンに偏倚し
ているため製品のフレキシビリテイに欠けるとい
う問題があつた。本発明によれば、製品当りのエ
ネルギ投入量の低下と、製品構成面の多様化が達
成出来、これ等重質原料炭化水素も有効に活用出
来る。 次に、本発明の方法を実施態様例により、詳細
に説明する。 第1図は、本発明の方法を工業的に適用した場
合の一実施態様例の例示図である。これは単に説
明のためであつて何等本発明を制限するものでは
ない。第1図において、先ず、燃料炭化水素1を
所定の圧力まで加圧し、燃焼帯2に供給する。更
に燃焼帯2には、酸素製造装置3から酸素4が供
給され、予め加熱されて、ライン5から供給され
るスチームの存在下で、燃料炭化水素1を部分燃
焼し、1300〜3000℃の高温燃焼ガス流6をつく
る。スチームは単独でも、或いは、酸素4や燃料
1と混合して供給したり、燃焼帯2の器壁の保護
及びコーキング抑制のために、器壁に沿つて供給
する方法がある。燃焼帯2から出た水素及びスチ
ームを含有する高温燃焼ガス流6は、ライン30か
ら供給される水素、メタンと混合後、次に反応帯
8に入る。反応帯8には、先ず、沸点が350℃以
上を主成分とするバージン重質炭化水素、例えば
アスフアルト7が供給され、前述の高温燃焼ガス
流6と直接接触して混合し、急速に加熱されて分
解する。その結果、オレフイン特にエチレンを大
割合に含有する高温反応流体9が生成する。次に
高温反応流体9は、反応器に順次供給される高沸
点分解油(沸点200〜530℃)10、分解ガソリン
(C5〜200℃)11、エタン、プロパン、ブタン等
の軽質パラフインガス12及び、沸点350℃以下の
バージン軽質炭化水素13と接触しながら、これら
の炭化水素を順次熱分解する。同時に、反応流体
9は、冷却されて、初期に燃焼帯2に投入された
熱量が、有効に前記炭化水素の熱分解の反応熱と
して利用される。次に、反応帯8から出た反応流
体14は、急冷装置15に入り、急冷されると共に
熱回収される。該急冷装置15としては、例え
ば、管内外の二流体間で熱交換する間接急冷熱交
換器等がある。急冷装置15を出た、反応流体16
は、次に、ガソリン分留塔17に入り、分解ガス
及びスチーム21と分解残油(200℃+)19とに
分離する。ここで回収された分解残油19は、蒸留
装置32により高沸点分解油10と燃料油(530℃
+)20に分離され、高沸点分解油10は、バージン
重質炭化水素7の供給位置の後流にサイクルされ
て、再び分解される。一方、燃料油20は、プロセ
ススチーム等の熱源又は、燃焼帯2への供給燃料
1として用いられる。分解ガス及びスチーム21
は、更に、高温分離系22により分解ガス26、プ
ロセス水23、BTX24及び、BTX24を分離し
た後の分解ガソリン25に分離される。分解ガス26
は、更に酸性ガス分離装置27により、CO2及び
H2S34を除去後、ライン28をへて、製品分離精
製装置29に導入される。該製品分離精製装置2
9では、水素及びメタン30、エチレン、プロピレ
ン、ブタジエン等のオレフイン18、エタン、プロ
パン、ブタン等の軽質パラフインガス12及び、
C5より重質の成分31に分離される。このうち、
水素及びメタン30は、燃料1用33として抜き出す
場合もあるが、スチームを含む高温ガス6と混合
又は、反応帯8の上部の重質炭化水素7の供給位
置かその上部に、軽質パラフインガス12は、中間
の温度域850〜1000℃の反応領域でエチレン、プ
ロピレン等を高収率で得るか又は重質炭化水素へ
の水素供与ガスの機能をもかねて水素、メタンを
混合して、又C5より重質の成分31は、BTX24
を分離後、高温分離系22からの分解ガソリン25と
共に、ライン11より高沸点分解油10と軽質炭化
水素13の間に、それぞれリサイクルされて更に分
解される。 ここで、用いられる燃料炭化水素1に特に制限
はなく、例えば上記分解残油の他に、軽質炭化水
素ガス、ナフサ、灯軽油等の軽質炭化水素から常
圧残油、減圧残油、重油、シエールオイル、ビチ
ユーメン、石炭液化油、石炭等の重質炭化水素、
各種分解油及び非炭化水素のCO,H2等プロセ
ス、アベイラビリテイに応じて幅広く選択でき
る。しかし、基本的には、有価製品への転換が相
対的に困難なもの、価値が低いものを優先的に燃
料として使用する事が好ましい。 また、沸点が350℃以上の原料重質炭化水素7
の例としては、減圧軽油、常圧残油、減圧残油等
の石油系炭化水素、シエールオイル、ビチユーメ
ン、石炭液化油、石炭等基本的に制約はない。一
方、軽質炭化水素13の例としては、LPG、ナフ
サ、灯油、軽油、パラフイニツクな原油、及び常
圧残油等、又はそれ等と同様な機能を有する炭化
水素であれば特に制限はない。 また、分解油のリサイクルポイントは、バージ
ン原料、分解油性状、製品構成の要求等により最
終的には決定され、例えば、原料重質炭化水素7
として、常圧残油を用いた場合には、高沸点分解
油10は重質炭化水素7の上流に供給する事が好ま
しい。また、重質炭化水素7として減圧残油を用
いた場合には、通常第1図に示される位置に供給
される。 また、高沸点分解油を更に分離して、例えば、
200℃〜350℃留分と350〜530℃留分とにわけて、
供給しても良い。 以上第1図には、沸点が350℃以上の炭化水素
を主成分とする重質炭化水素と、沸点が350℃以
下の炭化水素を主成分とする軽質炭化水素を原料
として供給する場合の実施態様例を示したが、前
にも述べたように、沸点が350℃以上の成分を含
む重質炭化水素を原料として供給する事が必須で
はなく、例えば、原料としてナフサのみを用いた
場合でも、本発明の技術思想により第1図の重質
炭化水素の供給ライン7を削除する事により、同
様の効果を発揮する事ができるし、原料重質炭化
水素7の代わりに、ナフサを供給し、分解油をそ
の上流にリサクルする事もできる。 又、原料がアスフアルト、軽油、ナフサのよう
に3種以上でも第1図の重質炭化水素7の供給位
置からアスフアルトを、軽質炭化水素13の供給位
置からナフサを、その中間段から軽油を供給する
事により、同様な効果が得られる事はいうまでも
ない。更に第1図では、燃料1の部分燃焼による
消費水素のメークアツプと、消費はしないが反応
場の水素分圧維持のために分離精製系からのリサ
イクル水素30とがバランスしている例を示した。
ところで反応系全体での水素の消費量は、原料で
ある重質炭化水素及び軽質炭化水素のH/C(原
子比)により決まり、原料のH/Cが全体として
かなり高い場合には、必ずしも燃料の部分酸化に
よるメークアツプ水素を必要としない。これは軽
質炭化水素としてナフサ等を用いた場合には、
H/Cが比較的高く、熱分解により水素が生成
し、それにより重質炭化水素の不足水素を条件に
よつて相当補う事が出来るためである。いずれに
しても、水素メークアツプには、燃料1の部分燃
焼による方法が好ましいが、通常のスチームリフ
オーマによる水素製造装置より供給する事も出来
る。 以上詳細に説明したように、本発明は、従来技
術を凌駕する以下の特徴を有する。すなわち、炭
化水素をスチームの存在下で、酸素により燃焼
し、反応に必要な熱を供給すると共に、生成する
スチームを含む高温ガスに、水素とメタンを供給
して、水素、メタン及びスチームを含有するガス
を生成し、この高温ガスと、原料炭化水素とを、
沸点が高い炭化水素を含む炭化水素から、順次、
供給して該炭化水素を熱分解する事により、 (1) 任意の重質炭化水素、任意の軽質炭化水素及
びそれ等の分解油を、その原料の分解特性と、
所望の製品選択性に最も適合するように、同一
リアクタで、同時に異なる複数の分解条件で熱
分解する事が出来、その結果高ガス化率の下、
高収率、高熱効率にし、しかも任意の比率でエ
チレン、プロピレン、C4留分、BTX、合成ガ
ス(メタノール等)等を選択的に製造する事が
出来る。 (2) スチームの存在下で、任意の原料炭化水素に
対応した高収率のオレフインを得るに必要な好
ましい水素分圧(従つてメタン分圧)の領域に
おいて、水素による有害なオレフインのパラフ
イン化機能をメタンにより抑制する一方、水素
固有の有用なガス化促進機能により、オレフイ
ン等の有用成分収率を従来法に比べて大巾に高
める事が可能となる。例えばアスフアトルを原
料とした場合、従来の水素雰囲気でのオレフイ
ン収率が約25%であるのに対し、本発明によれ
ば、オレフイン収率が40%以上となる。 (3) メタンの共存により、水素添加によるオレフ
インのパラフイン化を抑制出来るため、オレフ
インの増加と共に、一方では高価な水素の消費
量が比例的に減少する。 (4) オレフインの水素化に伴う発熱が抑えられる
ため、反応温度、滞留時間、急冷時間の変動に
対して、ゆるやかに変化する収率分布を得る事
が出来る。この特性はプラントの操作性、運転
性を向上させるのに極めて有効である。 (5) 重質炭化水素の熱分解では、ガス化率を最大
限にあげるため、水素、メタン存在下、高温・
短時間で高苛酷度分解をする必要がある。その
結果として、高いオレフイン収率が期待出来る
が、オレフイン収率に占めるエチレンの比率が
高くなり、製品の選択性(フレキシビリテイ)
が硬直化すると共に製品当りのエネルギ原単位
が増加するという問題がある。本発明によれ
ば、製品の選択性を大巾に向上させるために、
後流で軽質炭化水素を分解条件をコントロール
して熱分解するため、トータルとしては、製品
のフレキシビリテイが顕著に改善されると共
に、製品当りのエネルギ原単位を飛躍的に低減
出来る。 (6) 生成した分解油、分解残油、及び副生ガスで
も、バージン原料とは異る。且つそれ等の分解
特性と製品選択性の要求に応じた分解条件に合
わせて多段に供給して熱分解する事により、徹
底的に有効活用される。その結果、従来燃料と
してしか利用出来なかつた分解油成分等も、
BTX、オレフイン等の有用成分に転換出来、
先行技術からは全く期待出来なかつた低級資源
の効果的、効率的再原料化が可能となつた。 (7) 重質炭化水素の熱分解雰囲気に水素、メタン
を共存させる事により、重質炭化水素及び分解
油に不足している水素が補給されるため、これ
等からも高収率でオレフイン、BTX等が製造
される。 (8) 多段の熱分解により製品当りの燃料、酸素等
のユーテイリテイが大巾に減少し、その結果、
燃焼ガス量も激減し、従つて分解ガスの分離・
精製コストを著しく低減出来る。 (9) スチーム、水素及びメタンの共存下で、炭化
水素の熱分解を行わせるため、従来法より効果
的にコーキングの発生を抑制出来る。特にメタ
ン分圧により水添発熱の暴走反応を阻止出来、
従つて気相コーキングの原因であるアセチレン
生成の抑制が可能となる。 一方、本発明では、水素雰囲気で熱分解する
事により、又軽質炭化水素の熱分解により生成
する水素、メタン等により、重質炭化水素又は
分解油等の上流での熱分解により生成したラジ
カルが安定化され、スラツジの生成、反応器及
び急冷熱交換器でのコーキングを抑制出来る。
又コーキング物質が軽質原料の分解ガスにより
希釈される効果も加算され、この結果、通常的
にはコーキングのため、重質原料の分解ガスか
らの高位レベルのエネルギ回収は困難とされて
いたが、本発明では、アスフアルトのような重
質炭化水素を熱分解しても、一般の間接急冷熱
交換器にて高圧蒸気として熱回収する事が可能
となり、熱経済性の顕著な改善が実現すること
になつた。 (10) 分解容易な軽質炭化水素の分解により、上流
の高温分解ガスは、効果的に急冷され、過分解
による有用製品の損失が防止出来る。 実施例 以下実施例について述べるが、これらは単に説
明のためであつて、何ら本発明を制限するもので
はない。本実施例は、燃料として、中東系の減圧
残油(比重1.02、S分4.3%、流動点40℃)を使
用し、まず反応器の上方に設けられた通常のバー
ナータイプの燃焼器で、500℃以上に予熱したス
チームを周囲から吹き込みながら、上記減圧残油
を酸素にて燃焼し、スチームを含む高温ガスを発
生させた。次に燃焼器後流で反応器の直上部に、
500℃程度に加熱した水素及びメタンを吹き込み、
高温ガスと混合した。更に、この高温ガスは燃焼
器の直下部に設けられた反応器に入り、反応器側
壁に設置された、複数のバーナータイプのアトマ
イザから、供給される原料と均一に混合され、該
原料を熱分解した後、反応生成物を水にて、外部
から間接的に冷却し、生成物を測定した。反応器
側壁には、任意の原料に対して、任意の分解条件
を達成できるように、反応流体の流れ方向に、多
数のノズルを設置し、供給原料又は分解油の性状
の差により、これらの供給位置を変更して試験を
行つた。また、反応条件を調整するために、条件
によつては、高温スチームをこれらのノズルから
供給した。また、滞留時間は、反応器の容積と、
反応条件より計算にて求めた。 第1表は原料として、中東系ナフサ(沸点40〜
180℃)を用いて、圧力10バールで、分解した時
の分解条件と製品収率の関係を示したものであ
る。 まず、本発明の水素、メタンの共存下に於ける
反応場の分解性能が、水素丈の反応場の分解性能
に比べて顕著な差異を有する事を説明する。即
ち、第1表中、比較例Aは、水素存在下の分解収
率を、比較例1は水素、メタン共存下の分解収率
を示す。水素丈の場合、メタン、水素系に比しメ
タン収率が約2倍となつている。これは、一次反
応で生成した有価なオレフイン、特に、プロピレ
ン、C4′Sが分解、水素化され価値の低いメタンに
転化した事、逆に言えば、水素、メタン系では、
水素化機能を有する水素ラジカルを、メタンによ
りメチラジカルとして安定化すると同時に、水素
存在下でのメタン分解によりメタンを有用成分に
転化している事を示す。次に上述のメタン効果以
外に、本発明固有の多段分解の利益を説明する。 比較例1は、単にナフサをリサイクルなしで熱
分解した結果であり、比較例2は、比較例1で生
成した、分解ガソリン及び分解残油を共に、原料
ナフサの供給位置と略同一位置にリサイクルして
分解した場合の結果を示したものである。一方、
実施例1は、分解残油、分解ガソリン、原料ナフ
サの順に供給位置を変えて、分解した場合であ
る。反応出口温度は、比較例2及び実施例1とも
750〜800℃であつた。また実施例1での分解残油
及び分解ガソリンの分解温度度は、分解残油が
1430℃、分解ガソリンが1400℃程度でいずれも、
反応器に供給してから、次の炭化水素が供給され
る迄の滞留時間は約5ミリ秒で行つた。実施例1
より明らかなように、分解残油及び分解ガソリン
を原料ナフサより苛酷な条件で、分解する事によ
り、比較例1及び2と比べて、高いオレフイン収
率を維持しながら、高いガス化率及び、C3,C4
成分及びBTXへの選択性を達成できる事がわか
る。一方、単に、原料ナフサと同一分解条件にリ
サイクルした場合(比較例2)では、ガス化率及
びBTX収率は若干増加するが、分解残油も増加
しており、実施例1の高い分解率と比べると、極
めて不満足なものである事がわかる。 実施例 次に、第2表は原料として、燃料に使用してい
るのと同一の減圧残油を重質炭化水素とし、前に
使用したナフサを軽質炭化水素として使用し、熱
分解した結果である。 まず、本発明の水素、メタン共存系における
【表】
【表】
【表】 分解収率を、比較例3に、一方水素丈の存在下に
おける分解収率を、比較例Bに示している。前述
のナフサの場合と同様、メタン収率が水素丈の場
合は、水素メタン系に比し2倍以上となつてい
る。重質炭化水素の分解は、高ガス化率が前提と
なるため、ナフサに比し高苛酷度分解となつてい
る。この結果、水素丈の分解反応では、プロピレ
ン、ブタジエン等C4′Sが分解、水添により激減し
ていると同時に、エチレンの水素化も著しく、エ
タン、メタンの収率が激増している事が分る。逆
にメタンを添加したメタン水素系は、水素のみに
比し総合オレフイン収率で50%以上もの増加が見
られ、革新的な差異が見られる。 次に、以上のメタン効果以外に、更に本発明固
有の多段分解により享受出来る利益を実施例2,
3により説明する。比較例3は、減圧残油のみ
を、初期温度1150℃付近で、分解した場合の熱分
解成績を示したものである。この時、反応器出口
温度は極めて高いため、水を反応器内に直接吹き
込んで急冷し、反応生成物を測定した。次に、実
施例2は、水を吹き込むかわりに、ナフサをその
分解条件か、比較例1,2に近くなるように、且
つリサイクルなしで供給して分解した時の熱分解
成績を示したものである。この時分解雰囲気の水
素分圧及び温度コントロールするため、ナフサ供
給の直前に、高温スチームを、1.5Kg/Kg原料減
圧残油供給した。このように、減圧残油を熱分解
した後の高温ガスを利用して、原料減圧残油に匹
敵する量のナフサが分解でき、その結果製品構造
が、著しく改善される事がわかる。一方、減圧残
油を単独に、初期温度950℃で分解した場合には、
そのガス化率は、水素存在下にもかかわらず、約
45wt%と比較例3に示す高温分解の約70%前後
と比べて、著しく低下した、以上の結果より、重
質炭化水素から高いガス化率を得るためには、
1000℃以上の高温で、分解する事が好ましく、そ
の結果、重質炭化水素の分解後のガスは、かなり
高温で存在する。特に、本実施例のように、反応
系に予め水素を存在させる事により、水素化反応
が進行しやすくなる。その水素化反応は、メタン
の添加により、大きく抑制されるが、それでも水
素が存在しない雰囲気での分解と比べると、分解
後の温度は比較的高くなる。しかし、実施例2に
示すように、この高温ガスを熱源として、ナフサ
のような、軽質炭化水素が容易に熱分解でき、そ
の結果、燃料投入量に対する製品収率が、比較例
3に比べて、著しく増加する事がわかる。実施例
3は、実施例2で生成した分解残油を蒸留により
分離し、500℃以下の留分の一部を高沸点分解油
として、原料減圧残油の供給後約10ミリ秒の位置
に、更にそれから約5ミリ秒後に分解ガソリンを
供給し、更に、それから約5ミリ秒に、バージン
ナフサを供給して熱分解したものである。この時
も、実施例2と同様に同量のスチームを、バージ
ンナフサの供給位置の直前に供給して、分解条件
を調整した。なお、スチームを入れる事は必須で
はなく、この場合、比較例、実施例間の比較を容
易ならしめるためである。上記高沸点分解油を除
いた分解残油は、減圧残油のかわりに燃料として
使用した。高沸点分解油の分解温度は、約1150
℃、分解ガソリンの分解温度は約1100℃であつ
た。また、減圧残油分解後の水素分圧は、約1.5
〜2.0バールとなる。一方、ナフサ分解後の反応
出口温度は約800℃であつた。分解ガソリン及び
高沸点分解油をリサイクルする事により、C3
C4成分収率を維持して、エチレン収率及びBTX
収率が更に増加し、これらのリサイクル油が、有
効に、有用成分に転化する事がわかる。 以上、詳細に説明したように、本発明を有効な
らしめる範囲は、次の通りである。 まず、反応器へ供給される炭化水素は、軽質炭
化水素から重質炭化水素まで、幅広く選択できる
が、少くとも二段以上の多段に反応器に供給され
る必要がある。その反応器への供給位置は、最終
的には、供給される炭化水素の分解特性と、要求
される製品構成により決定されるが、基本的に
は、沸点が高い炭化水素を含む炭化水素程反応器
上流側の高温側に供給して、分解する事が望まし
い。又、分解油のリサイクル位置は少くとも、そ
れが主として製出した、バージン炭化水素原料よ
りも、苛酷な条件である事が必要である。 次に、反応温度であるが、前に述べたように重
質炭化水素程、高温条件で、分解する必要があ
り、特に、沸点が350℃以上の成分を含む重質炭
化水素では、少くとも分解の初期温度が1000℃以
上である事が好ましい。このような重質炭化水素
では、分解初期温度が1000℃以下であると、ガス
化率が著しく低下すると共に、重質な分解残油が
増加し、このような重質炭化水素を原料とする利
点が大幅に失われる。また、反応器出口温度は少
くとも、650℃以上である事が好ましい。反応器
出口温度が650℃より低下すると、ガス成分への
分解速度が著しく低下すると共に、コーキングが
進行し、高いガス化率を得る事が困難になる。 次に、滞留時間であるが、高温部に供給される
原料程、短い滞留時間で良く、1000℃以上で、炭
化水素を分解する場合にはメタンによる水素化が
抑制されるので水素丈の雰囲気に比し、長時間分
解が可能だが100ミリ秒以下、特に好ましくは50
ミリ秒以下が好ましい。即ち、これ以上の反応時
間の増加はオレフインの分解による、オレフイン
収率の低下、ヒートロスによる有効利用熱量の低
下をもたらす。一方、反応器後流での比較的沸点
の低い炭化水素の熱分解に要する滞留時間は、
1000ミリ秒以下で行う事が好ましい。即ち、滞留
時間は、反応温度、圧力、原料特性及び要求され
る製品構成より決定されるが、1000ミリ秒以上で
は、生成したオレフインの過分解による収率低下
が起こるためである。 反応圧力は、供給原料、反応条件、反応器以降
での分解ガスの処理条件等により決定される。す
なわち、分解条件が高温になる程、アセチレンの
生成が増大するが、このアセチレンの生成は、よ
り有用なエチレンの生成より、大きな吸熱反応で
あるため、所望のエチレン等、オレフイン製品当
りのエネルギー投入量の増加をもたらす。従つ
て、アセチレンの抑制のため、反応圧力を増加す
る必要がある。一方、反応圧力の増加は、炭化水
素分圧の増加を招き、その結果、コーキングが促
進される。従つて、反応圧力を増加させると共
に、滞留時間を短くして、コーキングの抑制をは
かる必要がある。反応圧力は、また分解ガスの処
理条件とも関連があり、通常のオレフインプラン
トとして、運転される場合は、分離精製系の圧力
である30〜40バールを念頭に、上記原料及び分解
条件等を考慮して最終的に決められるが、一方燃
焼帯で部分燃焼を行い、合成ガスを併産するよう
な場合には、合成ガスの用途をも念願において反
応圧力を決める。従つてオレフインプラントとし
て操作する場合は、50バール以下、合成ガスを併
産する場合には、その主用な用途の一つであるメ
タノールの合成条件から考えて100バール以下で
分解する事が好ましい。一方反応圧力が2バール
以下では、高温分解部でのアセチレンの生成が、
顕著になるので、少くとも2バール以上で分解す
る事が好ましい。 更に、水素分圧は、上記アセチレン生成の抑
制、コーキング抑制とも関連して、少くとも、沸
点が200℃以上の炭化水素を含有する炭化水素の
分解後の水素分圧が0.1バール以上ある事が好ま
しい。すなわち、このような水素雰囲気を達成す
る事により、これらの炭化水素で不足する水素を
補給して、コーキングを抑制し、高いガス化率を
得る事ができる。従つて、この水素分圧は、重質
炭化水素程、高い事が好ましく、減圧残油のよう
な、極めて重質な炭化水素では1.5バール以上で
ある事が好ましい。 第2図は中東系減圧残油及びナフサを反応器出
口温度1000〜1200℃、CH4/H2モル比0.5、全圧
30バール、滞留時間20ミリ秒で熱分解した場合の
水素分圧とコークス収率の関係を示したグラフで
あり、図中aは中東系減圧残油を熱分解した場合
のコークス収率を示す曲線、bはナフサを熱分解
した場合のコークス収率の曲線を示す。この図か
らわかるように、重質炭化水素程高い水素分圧が
必要なことがわかる。 第3図は、中東系減圧残油を原料として、圧力
30バール、反応器出口温度1000℃〜1030℃、全圧
30バールで熱分解した場合のC2〜C4オレフイン
+エチン収率と滞留時間の関係を、CH4/H2
モル比をパラメータとして示したグラフである。
ここでエタン収率を、C2〜C4オレフイン収率に
あわせて評価したのはその量が比較的多く、かつ
容易にエチレンに転換できるためである。第3図
より明らかなように、メタンの添加比率を増やす
と著しくC2〜C4オレフイン+エタン収率が増加
すると共に、得られた収率の滞留時間に対する変
化が小さくなり、収率分布が安定化することがわ
かる。このC2〜C4オレフイン+エタン収率(エ
タンは5〜10%)に占めるC3,C4成分の割合
(C3〜C4オレフイン/C2〜C4オレフイン+エタ
ン)はメタンの比率が高い程大きく、CH4/H2
モル比が1の時で10〜40%(滞留時間が長い程割
合が小さくなる。)である。これらの結果より
CH4を添加することにより、比較のために示した
CH4を添加しない場合(CH4/H2=0)に比べ
て、高いオレフイン収率が得られると共に、収率
の滞留時間に対する変動も著しく改善される。こ
のCH4の添加効果はCH4/H2モル比0.05でも得ら
れるが、0.1以上で特に顕著である。また滞留時
間としては、単一原料に対して、5〜300ミリ秒
の幅広い滞留時間を選択できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施態様例の例示図である。 2……燃焼帯、8……反応帯、15……急冷装
置、17……ガソリン分留塔、22……高温分離
系、27……酸性ガス分離装置、29……製品分
離精製装置、32……蒸留装置。 第2図は、水素分圧とコーコス収率の関係を示
すグラフ、第3図は、C2〜C4オレフイン+エタ
ン収率と滞留時間の関係をCH4/H2のモル比を
パラメータとして示したグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 炭化水素を熱分解して、石油化学製品を製造
    する方法において、スチームの存在下に、炭化水
    素を酸素により燃焼させ、1300〜3000℃のスチー
    ムを含む高温ガスを生成せしめ、この高温ガス中
    にメタンと水素とを、メタン/水素のモル比が
    0.05以上となるように供給し、該メタン、水素及
    びスチームを含む高温ガス中に、沸点が高い炭化
    水素を含有する炭化水素ほど反応帯の高温側から
    多段に供給して、分解温度が650〜1500℃、合計
    滞留時間が5〜1000ミリ秒、圧力が2〜100バー
    ル、かつ沸点が200℃以上の炭化水素を含有する
    炭化水素の分解後の水素分圧が少くとも0.1バー
    ル以上となるように維持して熱分解し、反応生成
    物を急冷することを特徴とする炭化水素から石油
    化学製品を製造するための熱分解法。
JP58119306A 1983-06-30 1983-06-30 炭化水素から石油化学製品を製造するための熱分解法 Granted JPS6011585A (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58119306A JPS6011585A (ja) 1983-06-30 1983-06-30 炭化水素から石油化学製品を製造するための熱分解法
CA000457385A CA1239110A (en) 1983-06-30 1984-06-25 Thermal cracking process for producing petrochemical products from hydrocarbons
DE8484730073T DE3466241D1 (en) 1983-06-30 1984-06-27 Thermal cracking process for producing petrochemical products from hydrocarbons
AU29960/84A AU2996084A (en) 1983-06-30 1984-06-27 Petrochems by thermal cracking
EP84730073A EP0130933B1 (en) 1983-06-30 1984-06-27 Thermal cracking process for producing petrochemical products from hydrocarbons
US06/625,713 US4613426A (en) 1983-06-30 1984-06-28 Thermal cracking process for producing petrochemical products from hydrocarbons

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58119306A JPS6011585A (ja) 1983-06-30 1983-06-30 炭化水素から石油化学製品を製造するための熱分解法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6011585A JPS6011585A (ja) 1985-01-21
JPH0416512B2 true JPH0416512B2 (ja) 1992-03-24

Family

ID=14758155

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP58119306A Granted JPS6011585A (ja) 1983-06-30 1983-06-30 炭化水素から石油化学製品を製造するための熱分解法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US4613426A (ja)
EP (1) EP0130933B1 (ja)
JP (1) JPS6011585A (ja)
AU (1) AU2996084A (ja)
CA (1) CA1239110A (ja)
DE (1) DE3466241D1 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60219292A (ja) * 1984-04-13 1985-11-01 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 石油化学製品の選択的製造法
GB8508103D0 (en) * 1985-03-28 1985-05-01 British Petroleum Co Plc Cracking hydrocarbons
GB8803156D0 (en) * 1988-02-11 1988-03-09 Shell Int Research Process for thermal cracking of residual hydrocarbon oils
JPH0763819B2 (ja) * 1988-12-20 1995-07-12 住友金属工業株式会社 連続鋳造鋳片の凝固組織均一化方法
RU2169170C1 (ru) * 2000-10-19 2001-06-20 Зао "Тк Сибур Нн" Способ гидрокрекинга тяжелого углеводородного сырья
US20110132805A1 (en) * 2009-07-08 2011-06-09 Satchell Jr Donald Prentice Heavy oil cracking method
WO2020086681A2 (en) 2018-10-23 2020-04-30 Sabic Global Technologies B.V. Method and reactor for conversion of hydrocarbons
US11680521B2 (en) 2019-12-03 2023-06-20 Saudi Arabian Oil Company Integrated production of hydrogen, petrochemicals, and power
US11193072B2 (en) 2019-12-03 2021-12-07 Saudi Arabian Oil Company Processing facility to form hydrogen and petrochemicals
US11572517B2 (en) 2019-12-03 2023-02-07 Saudi Arabian Oil Company Processing facility to produce hydrogen and petrochemicals
US11492255B2 (en) 2020-04-03 2022-11-08 Saudi Arabian Oil Company Steam methane reforming with steam regeneration
US11492254B2 (en) 2020-06-18 2022-11-08 Saudi Arabian Oil Company Hydrogen production with membrane reformer
US11583824B2 (en) 2020-06-18 2023-02-21 Saudi Arabian Oil Company Hydrogen production with membrane reformer
US11578016B1 (en) 2021-08-12 2023-02-14 Saudi Arabian Oil Company Olefin production via dry reforming and olefin synthesis in a vessel
US11787759B2 (en) 2021-08-12 2023-10-17 Saudi Arabian Oil Company Dimethyl ether production via dry reforming and dimethyl ether synthesis in a vessel
US11718575B2 (en) 2021-08-12 2023-08-08 Saudi Arabian Oil Company Methanol production via dry reforming and methanol synthesis in a vessel
US11617981B1 (en) 2022-01-03 2023-04-04 Saudi Arabian Oil Company Method for capturing CO2 with assisted vapor compression

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59152992A (ja) * 1983-02-18 1984-08-31 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 炭化水素からオレフインを製造するための熱分解法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BE547407A (ja) * 1955-04-28
FR1236499A (fr) * 1958-09-30 1960-07-15 Basf Ag Procédé et dispositif pour la production d'hydrocarbures non saturés à partir d'hydrocarbures liquides
US3213015A (en) * 1963-02-25 1965-10-19 Phillips Petroleum Co Cracking of hydrocarbons with steam or carbon dioxide
US3408417A (en) * 1964-08-24 1968-10-29 Kureha Chemical Ind Co Ltd Thermal cracking method of hydrocarbons
FR1494497A (fr) * 1966-09-23 1967-09-08 Metallgesellschaft Ag Procédé pour la production d'oléfines à chaîne courte par craquage thermique d'hydrocarbures
US3644555A (en) * 1968-08-28 1972-02-22 Magyar Asvanyolaj Es Foeldgaz Process for the production of acetylene or acetylene and ethylene by pyrolysis of hydrocarbons
BE793036A (fr) * 1971-12-21 1973-04-16 Pierrefitte Auby Sa Procede de craquage sous pression d'hydrogene pour la production d'olefines
US4136015A (en) * 1977-06-07 1979-01-23 Union Carbide Corporation Process for the thermal cracking of hydrocarbons
US4142963A (en) * 1977-06-07 1979-03-06 Union Carbide Corporation Penetration enhanced fluid mixing method for thermal hydrocarbon cracking
US4264435A (en) * 1978-04-05 1981-04-28 The Dow Chemical Company Crude oil cracking using partial combustion gases
US4256565A (en) * 1979-11-13 1981-03-17 Rockwell International Corporation Method of producing olefins from hydrocarbons
EP0059772B1 (en) * 1981-03-09 1985-12-04 The Dow Chemical Company Crude oil cracking using partial combustion gases
US4321131A (en) * 1981-04-15 1982-03-23 Union Carbide Corporation Process for heat carrier generation
JPS58157894A (ja) * 1982-03-11 1983-09-20 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 炭化水素からオレフインを製造するための熱分解法
JPS59159887A (ja) * 1983-03-03 1984-09-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 炭化水素からオレフインを製造するための熱分解法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59152992A (ja) * 1983-02-18 1984-08-31 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 炭化水素からオレフインを製造するための熱分解法

Also Published As

Publication number Publication date
DE3466241D1 (en) 1987-10-22
AU2996084A (en) 1985-01-03
EP0130933B1 (en) 1987-09-16
CA1239110A (en) 1988-07-12
US4613426A (en) 1986-09-23
EP0130933A2 (en) 1985-01-09
EP0130933A3 (en) 1985-06-26
JPS6011585A (ja) 1985-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4587011A (en) Thermal cracking process for selectively producing petrochemical products from hydrocarbons
JPH0329112B2 (ja)
US4599479A (en) Thermal cracking process for producing olefins from hydrocarbons
US4115467A (en) Hydrocarbon conversion process
US4725349A (en) Process for the selective production of petrochemical products
JPH0416512B2 (ja)
US7279610B2 (en) Method for the preparation of lower olefines by steam cracking
JPS59152992A (ja) 炭化水素からオレフインを製造するための熱分解法
JPH0323590B2 (ja)
JP7413642B2 (ja) 合成ガスの製造方法
EP0119158B1 (en) Thermal cracking process for producing olefins and synthetic gas from hydrocarbons
JPS6147794A (ja) 炭化水素から石油化学製品を製造するための分解方法
JP7436124B2 (ja) 合成ガスの製造方法
JP7436123B2 (ja) 合成ガスの製造方法
JPS60255889A (ja) 炭化水素から石油化学製品を製造する熱分解法
JPS60235890A (ja) 炭化水素から石油化学製品を製造するための熱分解法
Platvoet et al. Refining and petrochemical industries
WO2018047032A2 (en) Process for selective conversion of hydrocarbons to c2 fraction and syngas composition
JPS60255890A (ja) 炭化水素から石油化学製品を製造する熱分解法
JPS60235891A (ja) 炭化水素から石油化学製品を製造するための熱分解方法