JPH0413509Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 利用産業分野 この考案は、液化天然ガスを気化するためのオ
ープンラツク型気化装置に係り、熱交換パネルを
構成するフインチユーブと下部ヘツダータンクと
の接合部を改良して運転時の安定性および長寿命
化を図つた気化装置に関する。

背景技術 オープンラツク型気化装置は、例えば、直径方
向に一対のフインを突出させたフインチユーブを
フイン方向に配列して一枚のパネル状となし、そ
の上下端部にヘツダータンクを設けて熱交換パネ
ルを構成し、該パネルの上方に配設した散水器よ
り熱媒体の海水を熱交換パネル面に流下させる構
造である。

従来の気化装置において、運転中、水平配置さ
れる下部ヘツダータンクの上下方向の温度差に起
因する所謂ボーイング現象が発生し、フインチユ
ーブの下部、特に、組立時のヘツダータンクとの
溶接のためにフインを切除した部分が曲り、かつ
フイン切除に伴なう形状変化による応力の増大に
よつて同部及び装置が損傷する恐れがあり、耐久
性に問題があつた。

しかし、これまでは、パネル面に流下させる海
水等の飛散等によるパネル面全体の均一な熱交換
が阻害された際に、フインチユーブが変形するの
を防止するための手段、例えば実開昭54−155628
号、実開昭58−5839号等の隣接するフインチユー
ブが溶接のために座屈するのを防止する構成等、
フインチユーブあるいはパネル全体を考慮し、上
記フイン切除部は全く考慮されていなかつた。

考案の目的 この考案は、上述の現状に鑑み、下部ヘツダー
に近い部分のフイン切除部に応力が増大して損傷
するのを防止し、パネルの寿命を延長できる構成
のオープンラツク型気化装置を提案するものであ
る。

考案が構成と効果 この考案は、上記の問題点の原因を種々検討し
た結果、下記の知見を得て、この考案の構成を完
成したものである。

実操業時には、下部ヘツダータンクの上面と下
面では100℃前後の温度差があり、このため下部
ヘツダータンクは凸型に変形する所謂ボーイング
現象が発生するが、これにより下部ヘツダータン
クに嵌入されているフインチユーブの下端部も、
曲げ変形を受けることになる。

ここで、下部ヘツダータンクに嵌入されるフイ
ンチユーブ下端部では、組立時の溶接のため、フ
インが切除されているが、下部ヘツダータンクに
液化ガスが流れた状態では、前述のボーイング現
象によるフインチユーブ下端部の変形により応力
が増大し、さらに、フイン切除部では、その形状
がフイン付からフインなしへ変化したことによる
断面積の縮小が加わり、特に溶接部に近い付近に
は、形状変化による応力集中が加わるため応力が
最大になり、同部の破損、しいては、パネルの寿
命を短縮させていたのである。

すなわち、この考案は、フインチユーブを連立
して溶接により熱交換パネルを構成し、該パネル
上方に配設した散水器より散水するオープンラツ
ク型気化装置において、パネル面を構成するフイ
ンチユーブのうち少なくとも該パネル両端部付近
のフインチユーブにおける下部ヘツダータンクと
の接合部となるフイン切除部の少なくとも1/10下
方部の材質を、該フイン材質の引張強度の少なく
とも、1.2倍の強度を有する材料としたことを要
旨とするオープンラツク型気化装置である。

通常、フインチユーブ材は、アルミの押し出し
型材で製作されるため、軟質アルミニウム合金が
使用されているが、この考案では、上記の応力が
最大となる下部ヘツダーとの接合部であるフイン
切除部の少なくとも1/10下部の材質に、フインチ
ユーブ材より引張強度の高い材料を用いて、例え
ば、溶接によりフインチユーブ下端に接合し、こ
れを該ヘツダーに溶接接合することにより、同部
の強度向上を得、気化装置の信頼性向上を計るこ
とができる。また、引張強度の高い材質に変更す
るフイン切除部は、少なくとも下端より1/10長さ
部分を変更すれば有効で、例えばフイン切除部の
材質全部を引張強度の高い材質に変更してもよ
い。

また、上記フイン切除部における材質の変更を
行なうフインチユーブは、熱交換パネルを構成す
る全フインチユーブであつてもよく、また、熱交
換パネルの両端付近のフインチユーブにのみ施し
てもボーイング現象による応力増大に対処するの
に十分有効である。

図面に基づく考案の開示 以下にこの考案を実施例を図面に基づいて詳述
する。第１図はこの考案によるオープンラツク型
気化装置における応力とフインチユーブ長さとの
関係を示すグラフである。第２図はこの考案によ
る熱交換パネルの下部説明図である。

この考案によるオープンラツク型気化装置は、
直径方向に四対のフイン２を突出させたフインチ
ユーブ１をフイン２方向に配列して一枚のパネル
状となし、その上端及び下端部にヘツダータンク
３を設けて熱交換パネル４を構成し、該パネル４
の上方に配設した散水器より熱媒体の海水を熱交
換パルネ４面に流下させる構造である。

フインチユーブ１の下端部は、スターフインを
切除したフイン無部５となつており、このフイン
無部５を下部ヘツダータンク３の外周部に溶接に
より立設している。

この下端部にフイン無部５を有するフインチユ
ーブ１に作用する応力は、およそ第１図に示す如
く、該治チユーブ１の下部の方が応力が高く、形
状の変化と共に、フイン無部５で急に高まり、溶
接部付近でピークに達している。

そこで、フインチユーブ１の材質に、引張強度
が9.5Kgｆ／mm²の軟質アルミニウム合金である
A3203材を用いたのに対して、下部ヘツダータン
ク３の長手方向の両端部におけるヘツダータンク
全長の10％に相当するフインチユーブ１のフイン
無部５で、かつフイン無部５の下半分部分に、引
張強度が28Kgｆ／mm²であるアルミニウム合金
A5083材を用いたところ、下部ヘツダータンク３
全長にわたるフイン無部５での損傷がほとんどな
くなり、熱交換パネルの寿命を飛躍的に延長させ
ることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるオープンラツク型気化
装置における応力とフインチユーブ長さとの関係
を示すグラフである。第２図はこの考案による熱
交換パネルの下部説明図である。 １……フインチユーブ、２……フイン、３……
ヘツダータンク、４……熱交換パネル、５……フ
イン無部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フインチユーブを連立して溶接により熱交換パ
   ネルを構成し、該パネル上方に配設した散水器よ
   り散水するオープンラツク型気化装置において、
   パネル面を構成するフインチユーブのうち少なく
   とも該パネル両端部のフインチユーブにおける下
   部ヘツダータンクとの接合部となるフイン切除部
   の少なくとも1/10下部の材質を、該フイン材質の
   引張強度の少なくとも、1.2倍の強度を有する材
   料としたことを特徴とするオープンラツク型気化
   装置。