JPH04133080U - 水栓用弁装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、水栓用弁装置のレバーの操作性を
長期間の連続使用条件下において軽快なものとする。 【構成】 ハウジング１の内部のベース１２上に弁体２
６と弁体７を重ねて収納し、ハウジング１上部内側に回
動自在に保持されたレバーホルダ９にピン１８を水平状
に取り付けてリンク棒１７およびレバー１０を保持し、
レバーホルダ９の下端面には凹部９ａ内にＯリング１９
および超高分子量ポリエチレン製リング状案内板８を収
容し、その下端面にリング状の保油溝６を形成して、内
部にシリコーングリースを封入する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、水道水用水栓、温水・冷水混合水栓、便器用温水洗浄器の流路切 換栓等の水栓用弁装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、家庭用水道などに用いられている水栓用弁装置のうち、温水および冷 水を混合する弁装置としては図３乃至図７に示すものがよく知られている。

【０００３】 このものは、弁装置を被うハウジング１の側面に、湯水の流出路２を有し、ベ ース１２には、水道管または湯沸器と連通して水または湯を供給する流入路３、 ４を有するものである。

【０００４】 そして上記のハウジング１の弁収納凹部５内のベース１２上に、弁体２６と弁 体７および案内板８とが下から順に重なった状態で収納され、ハウジング１内側 に保持されたレバーホルダ９に弁を操作するレバー１０が取付けられている。

【０００５】 ここで、弁体２６は、ハウジング１の内面およびベース１２に設けた突起１１ との嵌り合いによってベース１２に固定され、一対のハの字型の流入路１３、１ ４を上下方向に貫通させて設けている。また、弁体７は弁収納凹部５の内径より も小径の円板でその上面にはリンク棒１７の軸首の嵌まる軸穴７ａを有し、案内 板８と弁体２６ではさまれた状態で、弁体２６および案内板８に対して水平方向 に摺動が自在になっている。弁体７の下部外周縁には、弁体２６に対する摺動面 を切り欠いて一対の流通路１５を形成しており（図３参照）、弁体７が所定の位 置に変位すると、流入路１３、１４は、流出路２と連通または遮断される。

【０００６】 さらに、上記の弁体２６とベース１２との間にはゴム製のパッキン１６が組込 まれ、また、案内板８とレバーホルダ９との間にＯリング１９が組み込まれてお り、このＯリング１９とパッキン１６の弾性によって、ベース１２と弁体２６、 弁体２６と弁体７、弁体７と案内板８の間がそれぞれシールされている。また、 前記の弁体７とレバー１０とはリンク棒１７を介して連動し、このリンク棒１７ がレバーホルダ９にピン１８で支持されている。したがって、レバー１０を上下 または回動させることによって弁体７は水平状態で直進または回転駆動され、そ の位置に対応して、温水・冷水および混合水の取出しと閉栓とが行なえるように なっている。

【０００７】 なお、図４は弁体７が同図右側に最も変位し、流通路１５が両流入路１３、１ ４の何れにも連通しない閉栓状態を、図５は流通路１５が一方の流入路１３と連 通する弁体７の位置を示し、温水または冷水が単独で取出される状態を、また、 図６は、流通路１５が両流入路１３および１４と連通する弁体７の位置を示し、 混合水の取り出し状態を示している。

【０００８】 以上述べたような弁装置は、弁体２６および７による摺動面間のすり合わせ状 態に応じて、流量調整または流路変更等を行なうものであって、温水・冷水の混 合栓に限らず、便器などに設置される温水洗浄器の流路切替等にも使用すること が出来る。

【０００９】 このような弁装置の弁体２６、７は、フッ素樹脂、超高分子量ポリエチレンな どの自己潤滑性を有する樹脂または二硫化モリブデン、カーボンなどの潤滑性を 高めるフィラーを充填した樹脂で構成（たとえば特開昭63-36765号公報）するこ とが知られている。

【００１０】 さらに、この考案者らは、弁体を構成するのに適当な樹脂成分がポリエーテル イミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂と炭素繊維、ガラス繊維、適宜の粉末 状充填剤を添加したもの、ポリエーテルケトン樹脂３５〜９０重量％と平均繊維 径が８μｍ以下の炭素繊維１０〜６５重量％からなる樹脂組成物（特願平1-1068 7 号）、ポリフェニレンサルファイド樹脂２５〜８０重量％と平均繊維径が８μ ｍ以下の炭素繊維２０〜７５重量％とからなる樹脂組成物（特願平1-10686 号） であることを提案した。

【００１１】 また、上記したような従来の弁装置においては、前記合成樹脂の自己潤滑性を 助長して、レバー１０の操作性を向上させるために、しばしば弁体７と案内板８ との摺接面にシリコーングリース等の潤滑剤を介在させていた。

【００１２】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、潤滑剤を摺接面に介在させる上記従来の水栓用弁装置では、その使用 時にシリコーングリースが徐々に流出するので、レバーの操作性が低下するとい う問題点があり、この問題を解決して長期間連続使用しても、常時軽快にレバー を操作し得るようにすることが課題であった。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、この考案の水栓用弁装置は、前記案内板の最上位 の弁体との摺接面に保油溝を設けた構成を採用したのである。

【００１４】

【作用】

この考案に係る水栓用弁装置は、保油溝にシリコーングリース等の潤滑剤を直 接に水に触れないように滞留させておき、案内板の摺動に伴って最上位の弁体と の摺接面に潤滑剤を徐々に連続して供給できる。

【００１５】

【実施例】

この考案の実施例を以下図１および図２に基づいて説明する。

【００１６】 実施例は、ハウジング１の内部のべース１２上に高硬質セラミックス製弁体２ ６とポリフェニレンサルファイド樹脂（東ソー・サスティール社製：サスティー ルCH-30 ）製の弁体７を下から順に重ねて収納し、ハウジング１上部内側に回動 自在に保持されたポリアセタール樹脂製レバーホルダ９にピン１８を水平状に取 り付けてリンク棒１７およびレバー１０を保持している。そして、レバーホルダ ９の下端面にはリング状の段付き凹部９ａを形成し、この凹部９ａ内にＯリング １９および超高分子量ポリエチレン製リング状案内板８を収容し、案内板８の下 端面にはリング状の保油溝６を形成している（図２参照）。

【００１７】 上記の保油溝６は、案内板８と同心円のリング状として断面円溝状（Ｒ０．８ mm、深さ０．５mm）に形成している。この保油溝６の内部にシリコーングリース を充填し、以下に示す実用的機能実験を行なった。

【００１８】 （１）実用的機能試験： 北村バルブ社製のシングルレバー式混合水栓KM300Nをハウジングとして用いた 上記実施例の水栓用弁装置に対して、耐久試験前の初期のトルク試験と止水試験 とを行なった。トルク試験においては、レバーの上下（止水、流れ、流量調節） 、左右（温水、冷水の温度調節）のトルクを、シンポ工業社製のデジタルフォー スゲージDFG-2Kを用いて測定し、止水試験においては、レバーを中央下部（止水 状態）とし、ポンプによって水圧を最大17.5kgf/cm² までかけ、１分間全く水漏 れしない最大水圧を測定した。

【００１９】 これらの初期試験において、トルクが５kgｆ・cm以下でしかも止水試験が水圧 17.5kgf/cm² において完全に止水したものについて、シングルレバー式混合水栓 耐久試験機（図示省略）に初期試験したものと同じシングルレバー式混合栓のレ バー１０を連結し、図７に示すように、レバー１０を右端上部Ruから右端下部Rd （冷水）→左端下部Ld（熱湯90℃）→左端上部Lu（止水）→左端下部Ld（熱湯90 ℃）→中央下部Cd（温水）→中央上部Cu（止水）→中央下部Cd（温水）→右端下 部Rd（冷水）→右端上部Ru（止水）を１サイクル（所用時間約25秒）として、20 万サイクルの耐久試験を行ない、10万サイクルおよび20万サイクルの試験後のト ルクと止水性とを初期と同様の方法で確認した。

【００２０】 この結果、上記した実施例は、試験前後で最大17.5kgf/cm² の水圧で全く漏れ がなく、また、ハンドルトルクも低く安定しており、使用上の問題がなかった。

【００２１】 なお、上記した実施例では、保油溝６が一本のリング状円溝のものを示したが 、円心円状に２重以上に設けてもよく、その断面形状も角溝状その他のデザイン としてよいのはもちろんである。

【００２２】

【効果】

この考案の水栓用弁装置は、以上説明したようにレバーの動きに連動する弁体 の摺接面に案内板の保油溝から徐々に潤滑剤が供給されるので、摺接部分の動き が長期に亘って滑らかで、常時軽快なレバーの操作性が得られるという利点があ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の縦断面図

【図２】案内板の底面図

【図３】従来例の縦断面図

【図４】水栓の作動機構を説明する弁体の横断面図

【図５】水栓の作動機構を説明する弁体の横断面図

【図６】水栓の作動機構を説明する弁体の横断面図

【図７】水栓の外観を示す斜視図

【符号の説明】

１ ハウジング ２ 流出路 ３、４ 流入路 ６ 保油溝 ７、２６ 弁体 ８ 案内板 ９ レバーホルダ １０ レバー １２ ベース １３、１４ 流入路 １５ 流通路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジング内部のべース上に摺動自在に
   重ね合わされた２つ以上の弁体を有し、これら弁体に流
   路開閉用切欠きまたは貫孔を形成し、最上位の弁体の上
   面には軸穴を形成し、この軸穴に弁体操作用のレバーの
   軸首を嵌合すると共にこのレバーをハウジング内側のレ
   バーホルダに水平軸を介して揺動自在に保持し、前記レ
   バーホルダの下面には最上位の弁体上面に摺接する案内
   板を取り付けた水栓用弁装置において、前記案内板の最
   上位の弁体との摺接面に保油溝を設けたことを特徴とす
   る水栓用弁装置。