JPH04113145U - 回転電機用固定子枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】多種類の鋳造品を製造する場合において、固定
子枠鋳造用模型本体部を共用することにより、模型種類
数を減らし模型製作のコスト削減を図る。また、固定子
枠の脚の部分を本体鋳造用金属よりも機械的強度の高い
材質に変え、鋳造品の欠点が改善された製品を提供す
る。 【効果】発泡ビーズからなる固定子枠消失模型の円周上
の任意の範囲に予め形成しておいた異種金属材料からな
る脚の一部を埋設固定した後、この消失模型の全面にコ
ーティングを実施する。その後フラスコ中に前記模型を
設置し振動を加えながら砂込めを行なう。砂込め終了
後、消失模型部に溶融鋳造用金属を注入することによ
り、当初の消失模型が鋳造金属に置き変った形で、ほぼ
同一形状を形成する。その結果、固定子枠の円周上に異
種金属部品からなる脚の一部を鋳造品内に鋳ぐるみ埋設
した製品を得る。

Description

【考案の詳細な説明】

［考案の目的］

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は消失模型鋳造法により溶融鋳造用金属を注入して形成される電気機 器用枠に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種の回転電機の一例といて開放形モータの従来構成を図４に示す。１は は円筒状をなす固定子枠で、この固定子枠１をベースに固定するための脚部１ａ も一体に形成されいている。その内周部には固定子２が嵌着されており、本固定 子枠１の軸方向左右両端には、夫々段付状の嵌合部が切削加工により形成されて いる。３は吸気口３ａを有する反負荷側軸受ブラケット，４は排気口４ａを有す る負荷側軸受ブラケットであり、回転軸５に圧入された夫々の軸受６，７を介し て回転子８を支承している。この両軸受ブラケット３，４には前記固定子枠１の 段付状の嵌合部と合致させるための嵌合部が設けてあり、ボルトを締付けること により固定子枠１の両端部に装着されている。また、反負荷側軸受ブラケット３ と固定子枠１の嵌合部には、回転子８との回転により風圧を発生させモータを冷 却するための導風板１０がはさみ込まれた形で固定されている。図５は、上記構 成の固定子枠１のみをとり出し軸方向から見た正面図であり、１ｂは脚部１ａの 補強用リブ、１ｃは脚裏部を示す。 上記で述べた回転電機の固定子枠１の製造工程について以下に説明する。

【０００３】 図６は前記固定子枠１及び脚部１ａの外周側の形状をつくり込むための外周側 金型１１を示すもので、固定子枠１の外径とほぼ同一の径を有する円柱部１１ａ と砂型を製造する時に、砂が正確に突き固められるための壁部１１ｂを形成して いる。この外周側金型１１は固定子枠１を完成品とした時の軸方向半分の形状を 形成するものであり、１１Ｃは型合わせ面となる。脚部１ａの補強用リブ１ｂの 形状は砂ばなれが容易にできる様に固定子枠１の軸方向中心に設けられている。 更に脚部１ａの脚裏部１ｃも前記同様に砂ばなれを考慮する目的で、即ち中子型 を使用しなくてもよい形状として軸方向に長く形成されている。

【０００４】 以上説明の図６の外周側金型１１に砂を投入し、突き固めることにより完成し た砂型が図７に示す外周側砂型１２である。一方、図８に示すものが固定子枠１ の内径側とほぼ同一形状をつくり込むための内周側金型１３であり、上部より砂 込めをしてできあがった製品が図９に示す内周側砂型１４である。この内周側砂 型１４には固定子枠１の内部リブ１ｄに相当する凹部１４ａが設けられている。 前記説明の通り、図７に示す外周外側砂型１２の中空部１２ａの中に、図１３ に示す内周側砂型１４を位置決めの上、入れることにより、固定子枠１の軸方向 半分の砂型ができあがることになる。これと同じ物を上下に型合わせすることに より、軸センタ対称の１個分の砂型ができることになる。この砂型の間に溶融鋳 造用金属を注入し冷却した後、砂落しすることにより脚部１ａを有する固定子枠 １の鋳造製品が完成する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来構成の電気機器用枠においては、固定子枠とその固定子枠を相 手機械または固定ベース上等にボルト固定するための脚部が一体に構成されてい ることから、例えば相手機械との組み合わせ上、脚穴の位置を大巾に変更する必 要がある。または、センターハイトを変更したい時や耐振動等により剛性をアッ プし脚部の肉厚を厚いものに変更したい時においては、その都度大巾に金型を改 造する必要が生じ型の老朽化、更には型寿命が極端に短命化されるといった問題 があった。また上記必要に応じ金型を新しく製造する場合においては、製作納期 及びコスト面、更には類似型数の増大による型の置き場所等、管理面での問題も あった。

【０００６】 固定子枠全体の構成としては、ベルト運転による脚部の剛性を考慮する必要が あり、特に脚部においては肉厚を要し、この時固定子枠全体の肉厚がアンバラン スになることから、鋳造用金属が冷却される時間も異なり鋳造用金属の内部に気 泡，巣といった不具合が発生する問題があった。又、上記剛性上の理由で薄肉化 ができないことから重量が重くなり軽量化ができないといった問題もあった。

【０００７】 鋳造工程においては、生産性の面から極力中子型を廃止し、かつ型の分割面を 少なくして作り易くする必要があることから、脚部の脚裏形状を直線部として軸 方向固定子枠のセンターに分割面を設けている。この場合、脚部が軸方向に長い ため、脚裏加工時の平面度にひずみが生じやすく超高速用モータとかグラインダ ー用モータ等の超精度を要求されるモータは脚裏の中心部を削り取る等の特殊加 工が必要になるといった問題があった。また、脚裏全体の加工面積が広いためそ の加工に時間がかかるという問題があった。更には、脚裏面積が軸方向に長いた め相手機械またはベース上の据付面にガタがあった場合、ボルトの締付により脚 部が折損するという不具合があった。

【０００８】 本考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、多種類の鋳造品を製作する場 合において固定子枠鋳造用模型を共用することにより模型種類数を減らし、模型 製作の手間と保管場所及び管理面での削減を目的とする。また、固定子枠の脚の 部分を溶融鋳造用金属と異なる金属材質に変えることにより機械的強度を向上さ せ、鋳造品の欠点を補強する製品を提供することを目的とする。 ［考案の構成］

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、発泡ビーズからなる消失模型部に溶融鋳造使用金属を注入して形 成される電気機器用固定子枠において、前記発泡ビーズからなる消失模型にあら かじめ異種金属からなる回転電機の据付に供する脚の一部を固定し、前記発泡ビ ーズからなる消失模型部に溶融鋳造用金属を注入することにより鋳造品内に異種 金属からなる脚の一部が鋳ぐるみ埋設して成る事を特徴とする。

【００１０】 異種金属からなる脚と発泡ビーズからなる固定子枠との固定方法には、あらか じめ発泡ビーズからなる固定子枠のみを製造した後に異種金属からなる脚を固定 する方法や、発泡ビーズ模型を製造する時に異種金属からなる脚の一部を同時に 埋設させて固定する方法とがあるが本考案はそのどちらの方法でも製作可能であ る。

【００１１】

【作用】

前記発泡ビーズからなる固定子枠消失模型の円周上の任意な範囲に、予め形 成しておいた異種金属材料（鋳造用金属を注入した場合、溶融，燃焼等のない金 属材料）からなる脚の一部を埋設固定した後、この消失模型の全面に塗型のコー ティングを実施する。その後フラスコの中に前記消失模型を設置し、フラスコに 振動を加えながら砂込めを行なう。この時、消失模型の外部に出ている前記脚部 は砂込めにより砂の中に直接埋設し固定される。

【００１２】 一方消失模型部と消失模型の内部に埋設固定された脚の一部は、発泡ビーズで 保持された形で砂の中に埋設し固定される。砂込め終了後、そのままの状態で発 泡ビーズからなる消失模型部に溶融鋳造用金属を注入することにより、消失模型 部が溶融され当初の消失模型が鋳造金属に置き変わった形で、ほぼ同一形状を形 成する。 これらの結果、固定子枠の円周上に異種金属部品からなる脚の一部を鋳造品内 に鋳ぐるみ埋設した製品となる。

【００１３】

【実施例】

本考案による実施例として開放形モータの構成を図１に示す。図１において 、前記説明の従来例と同一部品は同一記号を使用しその説明は省略する。図１に おいて１５は異種金属材料からなる脚であり、回転電機用固定子枠１としての完 成品を示すものである。図２，図３は前記発泡ビーズからなる消失模型の固定子 枠１´とその固定子枠１´内に固定された脚１５の構成を示すものであり、図２ は側面図、図３は軸方向から見た正面図である。この図を用いて以下に実施例の 製造方法を説明する。

【００１４】 発泡ビーズからなる消失模型の固定子枠１´の円周上の側面部１ａ´内に、予 め板金ブレス加工等により加工された異種金属材料からなる脚１５の一部を固定 した後、消失模型の固定子枠１´の全面に塗型のコーティングをする。その後、 脚１５を固定したままの消失模型の固定子枠１´をフラスコの中に設置し、その フラスコに振動を加えながら砂込めをする。この時、消失模型の固定子枠１´の 外部となる脚１５の表面は、砂込めにより直接砂のなかに埋設され固定される。 一方、消失模型の固定子枠１´の側面部１ａ´のほぼ中央に固定された脚１５ の一部は、消失模型の固定子枠１´に保持された形で砂の中に埋設し固定される 。砂込め終了後、消失模型の固定子枠１´内全体に溶融鋳造用金属を注入するこ とにより消失模型部が溶融され脚１５の一部を鋳ぐるみ埋設した鋳造製品となる 。鋳造用金属が冷却した後、砂を落し、機械加工を完了したものが図１に示す固 定子枠１である。

【００１５】 前記構成において、異種金属部品からなる脚の一部が固定子枠の側面部のほぼ 中央部に埋設されているので、固定子枠全体の機械的強度を向上させる働きがあ る。更にこの異種金属部品からなる脚部は、溶融鋳造用金属を注入した場合にお いても溶融，焼損しない特性を有していることから、鋳造用金属に比較して機械 的強度も高く、固定子枠を固定する際のボルトの締め過ぎ等においても破損しが たい作用がある。前記、強度向上の理由により従来技術の鋳造品一体成形の脚部 に対し、薄肉，軽量化が図れるという利点がある。 鋳造技術においては従来技術で説明の脚裏部の中子型の問題がなくなり、固定 子枠金型においては簡素化され作り易くする働きがある。

【００１６】 また、異種金属部品からなる脚の形状においては軸方向中心部付近の脚裏を凹 部形状とすることにより、脚部自身の剛性を向上させるとともにセンターハイト を調整するための脚裏の加工面積を削減させている。更にこの形状は軸方向に長 い加工面積を削減することにより加工時に生ずるひずみなくし脚裏平面精度を向 上させる作用がある。 本考案による効果を下記に示す。

【００１７】 （１）異種金属からなる脚部品を消失模型内部に固定することにより鋳造製品が できあがることから、多種の脚部品を用意し、その脚部品を取替えることにより 脚部の寸法変更または強度変更が自由に変更できる効果がある。

【００１８】 （２）従来の金型においては大巾な型改造または型の新製を必要とする場合にお いても、脚部のみの変更で対応できることから、型寿命の短命化または型新製に かかわる時間や型管理スペースを軽減させる効果がある。

【００１９】 （３）固定子枠の側面に異種金属からなる脚の一部を埋設して形成されることか ら固定子全体の機械的強度を向上させる効果がある。

【００２０】 （４）脚部を異種金属に変更することから、従来構成の厚肉鋳鉄を削減すること が可能となり、固定子枠全体の肉厚を均一化するとともに薄肉軽量化する効果が ある。

【００２１】 （５）鋳鉄による脚部を廃止することにより、上記（４）項と同一に肉厚を均一 化することにより鋳造時の冷却時間も均一となり、材質不均衡，気泡，巣穴を防 止する効果がある。

【００２２】 （６）鋳造生産性にかかわる脚部中子型の問題がないことから、固定子枠金型の 形状も簡易化することができ生産性が向上する。

【００２３】 （７）脚裏形状においては、異種金属にてプレス加工したものを使用することに より、加工範囲の削減が可能となり、加工面の精度向上及び加工時間の短縮がで きる。

【００２４】 （８）異種金属からなる脚部は鋳造品に対し機械的強度を有するため、ベース固 定時等のガタがあっても脚折れする心配がない。

【００２５】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、固定子枠全体の機械的強度を増し、回転電機 に組み込み後の据え付及び運転時においてのボルトの締め過ぎとか外部からの衝 撃，振動といった外力に対し固定子枠破損を減少させる。また、固定子枠を鋳造 するための砂形が不要であり金型の形状も脚部が異種金属部品に変わるから、鋳 造方法簡素化することができる。更に、固定子枠金型は厚肉を必要とする脚部が 異種金属部品となることから、固定子枠全体の肉厚を均一化することができ、溶 融鋳造金属が冷却する時に生じる気泡とか巣穴の発生を防止する効果がある。

【００２６】 又、固定子枠は薄肉になって軽量化することができ回転電機全体の重量を軽く する効果がある。そして、異種金属部からなる脚をちがった材質，形状または寸 法のものに取替えて製造することができ、固定子枠部の共用化が図れ型数を削減 する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の回転電機の上半分断面の側面図。

【図２】固定子枠の上半分断面の側面図。

【図３】固定子枠を軸方向から見た正面図。

【図４】従来の回転電機の上半分断面の側面図。

【図５】固定子枠を軸方向から見た正面図。

【図６】固定子枠の外周側金型を示す斜視図。

【図７】固定子枠の外周側砂型を示す斜視図。

【図８】固定子枠の内周側金型を示す斜視図。

【図９】固定子枠の内周側砂型を示す斜視図。

【符号の説明】

１…固定子枠、 １ａ…脚部、 １５…異種金属の脚。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 消失模型部に溶融鋳造用金属を注入し
   て形成される回転電機用固定子枠において、前記消失模
   型部に予め異種金属材料からなる回転電機の据付に供す
   る脚の一部を固定した後、この消失模型部に前記溶融鋳
   造用金属を注入することにより鋳造品内に前記異種金属
   材料からなる脚の一部を鋳ぐるみ埋設して成る事を特徴
   とする回転電機用固定子枠。