JPH041081Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、蓋体の開放装置に関し、特にばねの
力で開く蓋をひも等で張つて蓋を閉じている密封
容器構造において、前記ひも等を切断したときば
ね作用で蓋を開くようにした形態の蓋開放装置に
関する。

各種密封容器においては通常容器本体と蓋との
間にパツキン等をはさんで蓋閉、密封している
が、長期蓋閉した状態で放置しておくとパツキン
等が劣化して蓋が容器本体の口に吸着されてしま
い、蓋がなかなか開かないときがある。また圧力
容器あるいは揮発性物質、化学物質その他危険封
入物等を入れた密封容器では、蓋がばね力で開く
ようにし、このばね力に抗してひも等で蓋を閉じ
るとともに該ひもの端部を緊張状態でのばし、該
ひもの伸張部分を切断することによつて前記ばね
の力で自動的に蓋が開くようにした構造のものが
あるが、このような場合、前述したパツキン自体
の劣化のほかに、密封容器内の圧力変化あるいは
封入物質とパツキン等との化学反応等によつてパ
ツキン等が容器本体に吸着してしまい、ひも等を
解除してもばね力だけでは蓋が開かなくなつてし
まう。

従来の蓋開放用ばねおよび蓋密閉用ひもを使用
した密封容器の構造例を第１図および第２図を参
照して説明する。第１図では、密封物質２を入れ
た密閉容器本体１の口をパツキン４を有する蓋３
で閉じ、蓋３と容器本体１との間に蓋閉放ばね５
を装着し、密閉用の緊張ひも６を引張り、蓋閉放
ばね５の蓋３を開放しようとする力に対して張力
調整部７で前記緊張ひも６を張つて密閉した構成
となつており、ひも切断部８で前記緊張ひも６を
切断したとき蓋３がばね５の力で仮想線で示す如
く開放される。この例では蓋裏面に固着したパツ
キン４が劣化して容器本体１の口に吸着した場
合、パツキン４と容器本体１との吸着力に対抗す
る力は蓋開放ばね５のばね力だけである。

第２図の例では第１図の構造に加えてさらに開
放補助ばね１１を設け、この開放補助ばね１１を
開放補助ひも９を介して蓋３に連結した構成とな
つている。この場合はひも切断部８で前記緊張ひ
も６を切断したとき、パツキン４と容器本体１と
の吸着力に対抗する力は蓋開放ばね５および開放
補助ばね１１のばね力となる。ここで第１図の場
合の蓋開放ばね５のばね力も、また第２図の場合
の蓋開放ばね５および開放補助ばね１１の複合ば
ね力も緊張ひも６を切断した瞬間から前記吸着力
に対して静的に発生する力であり、パツキンの吸
着を破壊しきれず、蓋３が開かないおそれが生じ
るという欠点があつた。

本考案の目的は、これらの欠点を解決するため
に、従来のばね力のほかにたるみひもの瞬間緊張
による衝撃力を利用して蓋または容器本体に吸着
されたパツキン等を剥離するようにした密封容器
の蓋開放装置を提供することにある。

この目的のために本考案の蓋開放装置は、開放
補助ひもとは別に該ひもと蓋との間にたるみひも
を取り付け、密閉用の緊張ひもの緊張状態を損な
わずかつ前記たるみひもおよび切断後の緊張ひも
を合せた重量にも打ち勝つ程度のばね定数をもつ
開放補助ばねを設け、前記たるみひもの長さを前
記開放補助ばねの緊張状態から自由状態への変位
長よりわずかに短かい長さとし、前記密閉用の緊
張ひもが切断された瞬間にそれまで前記開放補助
ひもを介して前記緊張ひもに引張られていた開放
補助ばねの収縮しようとするばね力でいつきに前
記たるみひもを緊張させ、このたるみひもの緊張
による衝撃力を蓋に作用させ、パツキン等の吸着
状態を解除するようにしたものである。

以下、本考案の１つの実施例を図面を参照しな
がら詳細に説明する。

第３図は本考案の実施例の側面断面図である
が、この実施例は第２図に示した従来例の構成に
衝撃力付与手段を付加した構成となつており、し
たがつて第２図と共通した部分にはなるべく同じ
符号を付しかつその部分の重複した説明は可能な
限り省略する。

蓋３の開き側先端付近に穴１４が穿けられ、こ
の穴にかぶさるようにして蓋上面に蓋押え具１２
が載置される。緊張ひも６の一端はこの穴１４を
通して蓋押え具１２に固着され、他端は張力調整
部７に取り付けられている。開放補助ひも９の一
端は第２図で説明したようにひもガイド１０の穴
を通して開放補助ばね１１に連結され、開放補助
ひも９の他端は前記蓋押え具１２に固着されてい
る。開放補助ひも９は開放補助ばね１１のばね力
により緊張しており、蓋密閉用緊張ひも６は張力
調整部７によつて開放補助ばね１１に打ち勝つて
張られ、したがつて蓋押え具１２は蓋閉状態で蓋
３の上面に当接している。蓋密閉時には蓋３と開
放補助ひも９との間に、たるみ状態で、たるみひ
も１３が固着されている。

蓋３を開くために緊張ひも６を焼切りヒータ等
のひも切断部８によつて切断すると、蓋開放ばね
５の静的なばね力に加え、開放補助ばね１１のば
ね力で開放補助ひも９、蓋押え具１２および緊張
ひも６とともにたるみひも１３がたるみ状態から
いつきに開放補助ひも９に引張られて緊張し、そ
のときの衝撃力が蓋３に作用し、密閉容器本体１
内の圧力変化、パツキン４の劣化あるいは密封物
質２との化学反応等による吸着や融着が破壊さ
れ、確実に蓋３が開かれる。

本考案では従来の静的なばね力に加えて、静的
ばね力とは性質の異なる衝撃力を利用して蓋と容
器本体との固着を破壊するものであつてパツキン
等を介在させた密閉容器に適用して有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の密閉容器の蓋開放装置を示した
側面断面図、第２図は他の従来例を示す側面断面
図、第３図は本考案の実施例に係る蓋開放装置の
側面断面図である。 １……密閉容器本体、３……蓋、４……パツキ
ン、５……蓋開放ばね、６……緊張ひも、８……
ひも切断部、９……開放補助ひも、１１……開放
補助ばね、１２……蓋押え具、１３……たるみひ
も。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蓋体を開く方向に付勢しておりかつ後記緊張ひ
   もの緊張状態を損なわず切断後の緊張ひもおよび
   後記たるみひもを合せた重量にも打ち勝つような
   ばね定数をもち該緊張ひもの切断で緊張状態から
   自由状態へ向つて変位するばねと、このばね力に
   打ち勝つて蓋閉するように前記蓋体を引張つてい
   る緊張ひもと、前記ばねの緊張状態から自由状態
   への変位長よりもわずかに短かい長さをもちかつ
   たるみ状態で一端が前記蓋体に固定されかつ前記
   緊張ひもの切断時に前記ばねの作用で緊張して該
   蓋体に瞬間的衝撃を与えるたるみひもとを有する
   ことを特徴とする蓋開放装置。