JPH041060B2

JPH041060B2 -

Info

Publication number: JPH041060B2
Application number: JP60183747A
Authority: JP
Inventors: Mutsuhiko Sugano; Hachiro Matsunaga
Original assignee: Mitsubishi Materials Corp
Current assignee: Mitsubishi Materials Corp
Priority date: 1985-08-21
Filing date: 1985-08-21
Publication date: 1992-01-09
Also published as: JPS6244556A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕この発明は、例えば内燃機関用ロツカアームや
タペツト、あるいはロータリコンプレツサ用ベー
ンなどとして用い場合に、すぐれたなじみ性を示
し、相手部材が比較的軟質材であつても相手攻撃
性がきわめて低く、かつ自身もすぐれた耐摩耗性
を発揮する銅合金溶浸Fe基焼結材料に関するも
のである。〔従来の技術〕従来、上記のような摺動部材の製造には、素地
にCrやNbなどの炭化物を分散させた組織を有す
るFe基焼結合金や、これにさらにＰやＢなどを
配合して液相焼結を行なつて空孔を低減したFe
基焼結合金などが用いられている。〔発明が解決しようとする問題点〕しかし、前者のFe基焼結合金は、素地に分散
した炭化物によつて高硬度をもつものであるた
め、なじみ性が悪く、相手部材が軟質なものであ
ると、これを著しく損傷するという問題があり、
また、後者のFe基焼結合金には、前者のFe基焼
結合金のもつ問題に加えて、焼結時の収縮による
寸法精度の低下という問題がある。〔問題点を解決するための手段〕そこで、本発明者等は、上述のような観点か
ら、従来摺動部材として用いられているFe基焼
結合金のもつ上記のような問題点を解決すべく研
究を行なつた結果、重量％で（以下％は重量％を
示す）、Ｃ：0.5〜2.5％、Mo：６〜20％、を含有し、さらに必要に応じて、 Co、Ni、およびMnのうちの１種または２種以
上：0.1〜５％、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
成、並びに素地中にFe−Mo硬質粒子と炭化物が分
散した組織、を有する多孔質Fe基焼結合金基体の空孔を、 Sn：５〜25％、を含有し、残がCuと不可避不純物からなる組成
を有し、かつ全体に占める割合で８〜22％の銅合
金で溶浸充填してなる銅合金溶浸Fe基焼結材料
においては、上記の多孔質Fe基焼結合金基体に
よつてすぐれた耐摩耗性が確保され、また上記の
溶浸充填した銅合金によつてすぐれたなじみ性と
低い相手攻撃性が確保され、さらに上記多孔質
Fe基焼結合金基体には、焼結時に多孔質ゆえに
収縮の発生がないので、材料自体は上記銅合金の
溶浸充填によつて高密度化するにもかかわらず、
寸法精度のきわめて高いものとなるという研究結
果を得たのである。この発明は、上記の研究結果にもとづいてなさ
れたものであつて、以下に多孔質Fe基焼結合金
基体および溶浸用銅合金の成分組成、並びに銅合
金の溶浸充填割合を上記の通りに限定した理由を
説明する。Ａ多孔質Fe基焼結合金基体の成分組成 (a) ＣＣ成分には、素地に固溶して、これを強化
するほか、熱処理を施した場合に素地にセメ
ンタイトとして析出して素地の硬さを高め、
さらに炭化物を形成して素地中に析出し、硬
さを一層高める作用があるが、その含有量が
0.5％未満では前記作用に所望の効果が得ら
れず、一方その含有量が2.5％を越えると焼
結体自体が硬質になりすぎて、相手攻撃性が
高まるようになることから、その含有量を
0.5〜2.5％と定めた。 (b) Mo Mo成分には、素地に固溶して、これを強
化するほか、その一部がFe−Mo硬質粒子と
して素地中に分散すると共に、Ｃと結合して
炭化物を形成し、素地中に析出分散して基体
の硬さを向上させ、もつて耐摩耗性を向上さ
せる作用があるが、その含有量が６％未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方そ
の含有量が20％を越ええると、硬さが高くな
りすぎて相手攻撃性が激しくなることから、
その含有量を６〜20％と定めた。なお、素地
中へのFe−Mo硬質粒子の分散は、原料粉末
としてFe−Mo粉末を使用することによつて
行なわれる。 (c) Co、Ni、およびMn これらの成分には、素地に固溶して、これ
を強化する作用があるので、特に強度が要求
される場合に必要に応じて含有されるが、そ
の含有量が0.1％未満では所望の強度向上効
果が得られず、一方その含有量が５％を越え
てもより一層の強度向上効果は得られず、経
済性を考慮して、その含有量を0.1〜５％と
定めた。Ｂ溶浸充填用銅合金のSn含有量 Sn成分には、銅合金の溶融温度を低下させ、
もつて低い温度での溶浸を可能とする作用があ
るが、その含有量が５％未満であ、溶浸温度が
高くなり、これは寸法精度の低下をもたらし、
一方その含有量が25％を越えても溶浸温度があ
まり低下せず、高価なSnの使用量がいたずら
に多くなるだけであることから、経済性を考慮
して、その含有量を５〜25％と定めた。Ｃ銅合金の溶浸充填割合銅合金には、液相を形成し、基体中に溶浸し
て、これを緻密化し、かつ材料強度を向上させ
るほか、相手部材とのなじみ性を改善する作用
があるが、基体の空孔との関係において、材料
全体に占める割合で、その溶浸充填割合が８％
未満では所望のすぐれたなじみ性と低い相手攻
撃性を確保することができず、一方、その溶浸
充填割合が同じく材料全体に占める割合で22％
を越えると、相対的に銅合金の割合が多くなり
すぎて材料の耐摩耗性が著しく低下するように
なることから、その溶浸充填割合を８〜22％と
定めた。〔実施例〕つぎに、この発明の銅合金溶浸Fe基焼結材料
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、いずれも−100meshの粒度を
有するFe粉末、Fe−Mo合金（Mo：62％含有）
粉末、Fe−Ni合金（Ni：20％含有）粉末、Fe−
Mn合金（Mn：80％含有）粉末、さらにいずれ
も−350meshの粒度を有する黒鉛粉末、Co粉末、
およびMo粉末を用意し、これら原料粉末を第１
表に示される配合割合に配合し、これに潤滑剤と
して0.7％のステアリン酸亜鉛を加えて混合し、
この混合粉末を４〜7ton／cm²の圧力で圧粉体にプ
レス成形し、これらの圧粒体の一部を、分解アン
モニアガス雰囲気中、温度：1000℃に30分保持の
条件で仮焼結して仮焼体とし、さらに他の一部の
圧粉体を、同じ雰囲気中、温度：1050〜1100℃の
範囲内の所定温度に60分保持の条件で焼結して焼
結体とし、一方、−100meshの粒度を有するCu粉
末とCu−Sn合金（Sn：25％含有）粉末を用い、
これを同じく第１表に示される配合割合に配合
し、混合し、3ton／cm²の圧力でプレス成形して溶
浸充填用板状圧粉体を成形し、このように成形
し、かつ同じく第１表に示される空孔率をもつた
多孔質Fe基焼結合金基体のための圧粒体、仮焼
体、および焼結体と、前記の溶浸充填用板状圧粉
体とを重ね合わせ、これに分解アンモニアガス雰
囲気中、温度：1080℃に30分保持の条件で溶浸充
填処理を施すことによつて、第２表に示される組
成を有する多孔質Fe基焼結合金基体と、これに
第２表に示される割合で溶浸充填された銅合金と
で構成された本発明銅合金溶浸Fe基焼結材料１
〜９をそれぞれ製造した。また、比較の目的で、原料粉末として、上記実
施例で用いたと同じFe粉末、黒鉛粉末と、いず
れも−100meshの粒度を有するFe−Cr合金
（Cr：23％含有）粉末、Fe−Nb合金（Nb：60％
含有）粉末およびFe−Ｐ合金（Ｐ：27％含有）
粉末を用い、これら原料粉末を第１表に示される
配合組成に配合し、同一の条件で、混合して圧粉
体にプレス成形し、ついで分解アンモニアガス雰
囲気中、温度：1170℃に60分間保持の条件で焼結
することによつて、実質的に配合組成と同じ成分
組成をもつた従来Fe基焼結合金１、２を製造し
た。ついで、この結果得られた本発明銅合金溶浸
Fe基焼結材料１〜９および従来Fe基焼結合金１、
２について、これの圧粉体の対する寸法変化率を
測定すると共に、その断面組織を観察し、理論密
度比を測定した。また、これをロツカアーム用チツプとして用
い、アルミダイカストにより鋳包んでロツカアー
ムを製造し、これをガソリンエンジンに組込み、エンジン：1400c.c.４気筒OHCガソリンエンジン、

【表】

〔発明の効果〕

第１、２表に示される結果から、本発明銅合金
溶浸Fe基焼結材料は、いずれも銅合金の溶浸充
填により実質的に空孔が存在せず、かつ高い寸法
精度を有し、かつ相手部材に対する攻撃性のきわ
めて低い状態で、すぐれた耐摩耗性を示すのに対
して、従来Fe基焼結合金１は、寸法精度は比較
的良好であるが、空孔が多いために耐摩耗性に劣
り、一方従来Fe基焼結合金２は、高密度および
すぐれた耐摩耗性を有する反面、寸法精度が低
く、さらにいずれも相手攻撃性の著しいものであ
ることが明らかである。上述のように、この発明の銅合金溶浸Fe基焼
結材料は、高い寸法精度を有し、かつなじみ性に
すぐれ、相手攻撃性の著しく低い状態で、すぐれ
た耐摩耗性を示すので、例えば各種の摺動部材と
して用いた場合にすぐれた性能を長期に亘つて発
揮するのである。

Claims

【特許請求の範囲】１重量％で、Ｃ：0.5〜2.5％、Mo：６〜20％、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
成、並びに素地中にFe−Mo硬質粒子と炭化物が分
散した組織、を有する多孔質Fe基焼結合金基体の空孔を、 Sn：５〜25％、を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組
成を有し、かつ全体に占める割合で８〜22％の銅
合金で溶浸充填してなる、耐摩耗性およびなじみ
性のすぐれた銅合金溶浸Fe基焼結材料。２重量％で、Ｃ：0.5〜2.5％、Mo：６〜20％、を含有し、さらに、 Co、Ni、およびMnのうちの１種または２種以
上：0.1〜５％、を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組
成、並びに素地中にFe−Mo硬質粒子と炭化物が分
散した組織、を有する多孔質Fe基焼結合金基体の空孔を、 Sn：５〜25％、を含有し、残りがCuと不可避不純物からなる組
成を有し、かつ全体に占める割合で８〜22％の銅
合金で溶浸充填してなる、耐摩耗性およびなじみ
性のすぐれた銅合金溶浸Fe基焼結材料。