JPH04100994U - 昇降式スラスタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】スラスタを装備したコンテナを、船体に設けた
格納室内において昇降動させるのに、コンテナに装備し
た昇降装置のロッドにより吊持状態で行い、ロッド上端
と船体との結合部に若干の融通性を持たせて昇降装置に
無理な荷重が掛からないようにし、コンテナの固定は、
船体間でテーパ穴にテーパピンを嵌合させてコンテナの
位置決めと、回動（旋回）を阻止して確りと固定する。 【構成】船体1 に設けた格納室2 内に昇降動自在にスラ
スタ7 を装備したコンテナ3 を配装し、コンテナ3 に装
備した昇降装置10のロッド12をコンテナ頂壁上方に突出
させてロッド上端13を船体1 に対して若干の融通性を持
たせて結合し、コンテナ3 の頂壁上方に延設した通路部
4 と船体1 との間にテーパ孔18にテーパピン16を嵌脱さ
せてコンテナ3 を固定する固定装置15を設けたことを特
徴とする昇降式スラスタ装置である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、船体に設けた格納室内に昇降動自在に配装したコンテナにスラス タを装備し、スラスタ使用時にはコンテナを下降させて固定し、スクリュープロ ペラを船体下方に突出させて運転する昇降式スラスタ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

昇降式スラスタは、通常、船体内に格納しておき、必要なときに船体外に突出 させて運転して本船を推進または移動させる装置である。

【０００３】 例えば、本船が自航する時は、スラスタを使用位置に降ろし、一方、ダグボー ト等で曳航するような時は、スラスタを引き上げて格納して抵抗の増加を防ぐ。

【０００４】 また、スラスタが海底に接触する恐れのある水深が浅い海域で作業するような時 も、スラスタを格納しておくことで損傷を防ぐことができる。

【０００５】 このように、船体に対して昇降自在に装備する昇降式スラスタは、使用時には 、スラスタの出す推力を船体に伝えるために、船体側に確りと固定する必要があ り、また、スラスタを格納した状態では、船体のいかなる運動に対してもスラス タの横揺れなどがないように確りと固定しておくことが求められる。

【０００６】 そこで、この種、昇降式スラスタ装置として、スラスタを昇降台に吊持し、昇 降台を船体に固設したガイド用ロッドに係合させ、昇降台と船体間に昇降装置を 設け、スラスタを固定するのに、昇降台のロッド挿通部に油圧作動でロッドを緊 締する構成のものが本考案出願人によって提案されている。（特開昭６１−２６ １１８８号公報参照）

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】 上記するように、スラスタを吊持した昇降台をロッドにガイドさせて昇降動さ せる構成のスラスタ装置は、昇降装置が単一で船体側に設備され、スラスタの駆 動用電動機等は水中に降ろされる水密性ケーシング内に収納され、昇降部分の荷 重は、常時、下向きに掛かり、昇降部分の形態は比較的小さくする場合に適用可 能とする。

【０００８】 ところで、船体に設けた格納室内において昇降動自在に中空状のコンテナを配 装し、該コンテナ内部を機械室にしてスラスタの駆動電動機や同用関連機器およ び昇降装置等を組み込んだ場合、コンテナは本船が吃水が浅い時は、船体に対し て下向きの荷重として掛かり、吃水が深くなって浮力が作用する時は、逆に上向 きの荷重として掛かるので、船体に対する固定にはこの両方向の動きを止める必 要がある。

【０００９】 また、このようなコンテナを昇降動させるには、一般に、昇降装置は複数個を 用いるが、これにガイド機構を設けるとなると、ガイド機構には、コンテナの昇 降動に際して掛かる外圧に対して対処できる充分な剛性が要求されてガイド機構 が大型化し、また、各昇降装置の作動には精密な作動制御が要求され、更に、ガ イド機構は昇降装置とは別の設備となるので全体としての設備が複雑になる。

【００１０】 従って、コンテナ内部を機械室とし、保守点検のために随時、人の出入りが自 由にできるようなコンテナには、ガイド機構を設けることはきわめて困難とされ る。

【００１１】 この考案は上述の点に鑑みなされたものであって、人の出入りを自由にしたコ ンテナに適用して、コンテナの確りした固定と、装置の簡素化を実現した昇降式 スラスタ装置を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するためのこの考案の要旨とするところは、頂壁上方に延設 した筒状通路部を有し、船体に設けた格納室内に昇降動自在に配装したコンテナ と、コンテナに装備され、コンテナ底壁下方に突出するスクリュープロペラを有 するスラスタと、コンテナに装備され、コンテナ頂壁上方に突出するロッドを有 し、ロッド上端を船体に対して若干の融通性を持たせて結合した昇降装置と、通 路部と船体との間に設けられ、テーパ孔にテーパピンを嵌脱させてコンテナを固 定する固定装置を備えたことを特徴とする昇降式スラスタ装置にある。

【００１３】

【作用】

コンテナが昇降動する時、コンテナは昇降装置のロッドによって吊持状態にあ り、ロッド上端と船体との結合部に若干の融通性を持たせているので、コンテナ の多少の水平度等が悪くても、結合部におけるロッド上端の位置移動で昇降装置 には無理な荷重が掛からず、コンテナ自身は自然に落ち着いて吊り下がって昇降 する。

【００１４】 コンテナが所定位置に停止した状態で、固定装置の作動でテーパピンを進出さ せると、テーパピン先端がテーパ孔に挿入されて最終的に両者が完全に嵌合して 、コンテナはその上下方向の位置決めがなされ、回動（旋回）を阻止して固定さ れる。

【００１５】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１６】 図１はスラスタの使用位置における要部の構成図、図２はスラスタの格納位置 における要部の構成図である。

【００１７】 図において、1 は船体、2 は船体1 に設けた格納室、3 はこの格納室2 内に昇 降動自在に配装したコンテナで、その頂壁中央上方に筒状の通路部4 を延設して おり、この通路部4 の上端にマンホール5 を設けるとともに、内壁面にステップ 6 を設けてコンテナ3 内への人の出入りを可能にしている。7 はコンテナ3 に装 備したスラスタで、コンテナ3 内に電動機を主体とする駆動装置8 を装着し、コ ンテナ底壁下方にスクリュープロペラ9 を突出している。10はコンテナ3 の昇降 装置で、コンテナ3 内でコンテナ頂壁に昇降用シリンダー11の複数個 (例えば、 ２〜３個）を等配的に装着し、頂壁上方に突出するロッド12の上端13を対応する 船体1 に設けたビーム14に結合したもので、この結合部でロッド12周りには適宜 の隙間を形成し、ロッド12の水平移動を許容する若干の融通性を持たせている。

【００１８】 15は前記通路部4 と船体1 との間に設けた固定装置で、通路部4 向けにテーパピ ン16を出没させる固定用シリンダー17の複数個を等配的に通路部4 周りでビーム 14上に装着し（例えば、図３に示すように３個の固定用シリンダー17を１２０度 の角度で配置する）、テーパピン16に対応して通路部4 にテーパ孔18を設けたも ので、実施例ではコンテナ3 が引き上げられた格納位置とコンテナ3 が下降した 使用位置でそれぞれ固定可能に上下２位置にテーパ孔18を設けている。

【００１９】 図４は他の実施例を示すスラスタの使用位置における要部の構成図である。

【００２０】 この実施例では、格納室2 下端部にコンテナ3 を使用位置で受け止める受座19 を突設したもので、固定装置15によるコンテナ3 の固定は、格納位置だけで行い 、使用位置における固定には、昇降用シリンダー11に一定の油圧を作用させてコ ンテナ3 を受座19に圧着させて行うようにしたものである。

【００２１】

【考案の効果】

上記のように構成したこの考案によれば、次のような効果を奏する。

【００２２】 （１） コンテナの昇降動をガイドするガイド機構を必要としないから、設備 が簡素化が図られる。

【００２３】 （２） コンテナを吊持状態で昇降動させる昇降装置のロッド上端と船体との 結合部に若干の融通性を持たせているので、コンテナに掛かる外圧や昇降装置の 伸縮量の相異等に起因してコンテナの水平度が多少悪くても、昇降装置には無理 な荷重が掛からず円滑なコンテナの昇降動を実現する。

【００２４】 （３） コンテナの固定は、固定装置のテーパピンとテーパ孔との嵌合でなさ れるので、コンテナが停止して多少の位置ずれがあってもこれを自然に是正して 位置精度の高い確りした固定を実現し、スラスタの旋回運転時の回転も完全に阻 止されて昇降装置に対する過大荷重が作用するのも防止する。

【００２５】 （４） 固定装置は、コンテナ上方に位置するので、造船所における設計、製 作が容易となり、メンテナンス面からも有利になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】スラスタの使用位置における要部の構成図であ
る。

【図２】スラスタの格納位置における要部の構成図であ
る。

【図３】コンテナに対する固定装置の配置例を示す平面
図である。

【図４】他の実施例を示すスラスタの使用位置における
要部の構成図である。

【符号の説明】 1 …船体 2 …格納室 3 …コンテナ 4 …通路部 5 …マンホール 6 …ステップ 7 …スラスタ 8 …駆動装置 9 …スクリュープロペラ 10…昇降装置 11…昇降用シリンダー 12…ロッド 13…上端 14…ビーム 15…固定装置 16…テーパピン 17…固定用シリンダー 18…テーパ孔 19…受座

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 頂壁上方に延設した筒状通路部を有し、
   船体に設けた格納室内に昇降動自在に配装したコンテナ
   と、コンテナに装備され、コンテナ底壁下方に突出する
   スクリュープロペラを有するスラスタと、コンテナに装
   備され、コンテナ頂壁上方に突出するロッドを有し、ロ
   ッド上端を船体に対して若干の融通性を持たせて結合し
   た昇降装置と、通路部と船体との間に設けられ、テーパ
   孔にテーパピンを嵌脱させてコンテナを固定する固定装
   置を備えたことを特徴とする昇降式スラスタ装置。