JPH039965Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、主軸台の改良であつて、特に熱変位
を少なくした高精度加工用の主軸台に関する。

〔従来の技術〕

主軸を軸承する主軸台は、軸回転による軸受部
の熱発生によつて、熱膨張し、主軸台各部に時間
と共に不均等な熱変位を生ずることが従来から知
られている。そのため、主軸の回転によつて発生
した主軸台の熱変位により、加工に直接関与する
主軸の回転中心を移動させることから加工精度が
著しく損なわれるという課題が依然として内在し
ている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上述した課題を解決するために、今までに種々
の開発が試みられている。例えば主軸を軸承する
主軸台は左右に顎部を有し、その顎部の取付下面
を支持台の取付上面に断熱材を介して載置する
際、主軸台が熱変位することを前以つて考慮し、
主軸中心の水平面位置より、支持台の取付上面の
水平面位置を高くして主軸台に熱変位が生じても
主軸中心が移動しないようにする手段が考えられ
提案されている。

しかしながら、この手段においてもまだ満足す
べきものでなく未だ問題点として残つている。

本考案の目的は上記事情に鑑み問題点を解決す
るために提案されたものであつて、熱変位を極力
少なくして主軸中心位置が時間の経過と共に移動
しないようにした主軸台を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段と作用〕

本考案は熱変位を少なくした主軸台の改良であ
つて、その具体的な手段は、回転主軸を軸承し、
かつ該回転主軸の中心線を境に左右対称に取付面
を有したハウジングと、低熱膨張係数を有する材
質からなり、しかもハウジングの左右対称の取付
面を支持するよう左右対称の取付面を有した支持
台と、該支持台の左右対称の取付面とハウジング
の左右対称の取付面との間にあつて主軸中心線面
上に上面が位置するように介在された断熱材と、
前記ハウジングの外周部に形成されたフインと、
前記ハウジングの上部に取付けられたブラケツト
とハウジングとの間に設けられた空間のエア通路
と、該エア通路に連通してブラケツト上部に取付
けられた熱放出用フアンとから構成される。

而して、本考案の主軸台とすることによつて、
主軸の回転によつてベアリングから発生される熱
はハウジングに伝達されるが、ハウジングから断
熱材および低熱膨張係数を有する支持台には熱が
伝達されない為熱変位は生じない。またハウジン
グに伝達された熱はハウジングの外周部に形成さ
れたフインと、ハウジングの上部に取付けられた
フアンとの作用により熱は外部へ放出される。従
つてハウジングに伝達された熱は支持台に伝達さ
れず、フアンから外部へ放出される為、主軸が長
時間高速回転されても主軸中心はずれずに当初の
位置が保持されるから高精度の加工が行なわれ
る。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施態様を図面に基づいて詳
細に説明する。

第１図は本考案である主軸台の断面図および第
２図は第１図の矢視図である。

第１図および第２図において、ベース１上に左
右対称な支持台２が載置される。該支持台２は低
熱膨張係数を有する材質例えばアンバー材（商品
名）あるいはノビナイト（商品名）等からなる材
質を使用し熱変位を極力生じないようにしてあ
る。支持台２上には断熱材３を介してハウジング
４の取付面４ａ，４ｂが支持される。断熱材３の
上面３ａ，３ｂの水平面位置は主軸９の中心線上
にあるように設定する。この設定理由は主軸９の
回転によつて発生した熱がハウジング４に伝達さ
れ、さらにハウジング４の左右対称位置にある取
付面４ａ，４ｂから断熱材３の上面３ａ，３ｂを
介して支持台２へ伝達されたとしても、断熱材３
および低熱膨張係数を有する材質を使用した支持
台２としているから、支持台２は熱変位しない。
従つて常に主軸９の中心はハウジング４の熱変位
によつてもずれないようにしたのである。ハウジ
ング４の軸心部には貫通穴が穿設され、該貫通穴
内にスリーブ５が嵌入されている。該スリーブ５
の外周部に多数のラセン状溝６が穿設され、該ラ
セン状溝６内に図略の冷却供給源より冷却水が供
給されるジヤケツト方式でスリーブ５を冷却する
ようにしてある。スリーブ５の軸心部には貫通穴
が穿設され、該貫通穴内の前後に設けたベアリン
グ７，８を介して主軸９が嵌入され、主軸９はベ
アリング７，８で回転自在に軸承される。主軸９
の先端部のフランジ９ａとベアリング７との間に
はリング部材１０と押え板１１はアダプタ１２で
押えられ、該アダプタ１２はスリーブ５の先端外
周部にボルト１３で螺着されている。ベアリング
７の外周部外輪は押え板１１によつて抑えられ、
ベアリング７の外周部内輪はリング部材１０によ
つて抑えられている。ベアリング７とベアリング
８との間でしかも主軸９とスリーブ５との間には
外輪用スペーサ１４と内輪用スペーサ１５が嵌合
支持され、外輪用スペース１４でベアリング７，
８の内周部外輪を、内輪用スペーサ１５でベアリ
ング７，８の内周部内輪を押えている。

主軸９の後端部を軸承しているベアリング８の
外周部内輪は、主軸９に嵌合されたカラー１６を
介して主軸９の後部に螺合したナツト１７を締め
上げることにより抑えられる。ベアリング８の外
周部外輪は、スペーサ１８を介してスリーブ５の
後部に中間部材１９を配置し螺着された押え板２
０で抑えられる。

しかも前述したラセン状溝６内に供給された冷
却水はスリーブ５に穿設された冷却通路５ａおよ
び中間部材１９に穿設された冷却通路２０ａを通
つて該冷却通路２０ａに連通した排出口２１より
排出される。

さらに、ハウジング４の外壁面の一部にブラケ
ツト２２が取付けられ、このブラケツト２２とハ
ウジング４に囲まれる部分の外側にはカバー２３
が配置されている。フアン２５に対応する位置の
カバー２３の中央には窓孔が形成され、排気口に
なつている。また、ブラケツト２２の高さより低
い高さで、空間２４が形成される高さのフイン２
６がハウジング４の壁表面に形成されており、前
記カバー２３によつて被覆されるハウジング４の
壁面との空間２４のエアはブラケツト２２に案内
されて上昇して排気される。ハウジング４の外周
部はフイン形状を呈していて主軸９の回転により
発生した熱がハウジング４に伝達される。ハウジ
ング４の外壁面のフイン２６と上部に設けたフア
ン２５の排気作用により、下方から前記フイン２
６に接触しながらエアが上昇してハウジング４と
ブラケツト２２との間を通過して排気されるの
で、該ハウジング４は空冷されて発生する熱は外
部へ強制的に放出される。

カバー２３の上部には熱放出用のフアン２５が
取り付けられ、空間２４のエア通路に溜まつた熱
がフアン２５の作用により外部へ放出される。

本考案の作用を説明する。

主軸９が例えば8000r.p.m以上の高速回転され
た場合はベアリング７，８の発熱によりハウジン
グ４が熱変位を生じる。ハウジング４の熱変位で
支持台２も熱変位を生じようとするが、断熱材３
を介在せしめていること並びに支持台２の材質を
低熱膨張係数を有するものにしてあるから、支持
台２は熱変位を生じない。また、支持台２の材質
を低熱膨張係数のものにすることにより特に室温
に対する影響が少なく芯高の変位がない。さらに
ハウジング４の外周部をフイン形状に、かつハウ
ジング４の上部にフアン２５を取付けたので、ハ
ウジング４に伝達された熱はフインを経由してフ
アン２５から外部へ放出される。而して、主軸９
の中心は長時間加工しても発生した熱の影響を受
けずにずれることはないので加工精度が保持され
る。

〔効果〕

本考案は主軸の回転によつてベアリングが発熱
してハウジングに熱変位を生じても、そのハウジ
ングの熱変位が断熱材および低熱膨張係数を有す
る材質からなる支持台へ伝達されないこと、さら
にハウジングの外周部をフイン形状にし、しかも
ハウジングの上部にフアンを設けて積極的に発生
した熱を放出しているから、主軸の中心が変位し
ないため、常に一定の位置に保持されるので高精
度の加工に適した主軸台となる。

従つて加工されたワークは正確で、品質が保持
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案である主軸台の正面断面図およ
び第２図は第１図一部断面にした矢視図であ
る。 １……ベース、２……支持台、３……断熱材、
４……ハウジング、５……スリーブ、６……ラセ
ン状溝、７，８……ベアリング、９……主軸、５
ａ，２０ａ……冷却通路、２２……ブラケツト、
２４……空間、２５……フアン、２６……フイ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転主軸を軸承し、かつ、該回転主軸の中心線
   を境に左右対称に取付面を有したハウジングと、
   低熱膨張係数を有する材質からなり、しかもハウ
   ジングの左右対称の取付面を支持するよう左右対
   称の取付面を有した支持台と、該支持台の左右対
   称の取付面とハウジングの左右対称の取付面との
   間にあつて主軸中心線面上に上面が位置するよう
   に介在された断熱材と、前記ハウジングの外周部
   に形成されたフインと、前記ハウジングの上部に
   取付けられたブラケツトと、このブラケツトとハ
   ウジングとの間に設けられたエア用の空間部と、
   この空間部に連通してブラケツト上部に取付けら
   れてハウジングより発生する熱により熱せられた
   空間部のエアを強制的に外部へ排出する熱放出用
   フアンとからなることを特徴とする主軸台。