JPH03988Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、医療用、特に耳鼻科で治療する際に
患者に腰掛けさせる医療用椅子の傾動装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕 従来、耳鼻咽喉科、口腔外科等で患者を治療す
る際には、患者を座位状態とし、医師が前傾姿勢
をとつて治療を行うのが一般的である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような前傾姿勢での治療
は、これを行う医師の身体に負担を与え、腰の疲
れ等の疲労を増加させる欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案は、背凭れを伏倒すると同時に前垂れ下
端を上昇させて患者を水平に仰臥させ、或いは患
者を仰臥させたまま、背凭れ及び後座部基板を傾
動させ、又は前垂れを垂下させたままで背凭れ及
び後座部基板が下降するように傾動させること
で、患者の治療部位、例えば顔や口等が医師に近
づく姿勢を患者にとらせ、医師が前傾姿勢をとる
ことなく安楽な姿勢で治療を行えるようにし、以
つて医師の疲労を低減することを目的とするもの
である。

〔考案の実施例〕

以下に本考案の一実施例を第５図について説明
する。

１は基台に取付けられている前座部基板で、後
端には第１の枢軸２を介して後座部基板３が回動
自在に枢支されている。

後座部基板３のブラケツト３ａには、背凭れ基
板アーム部４ａを突設した背凭れ１０の背凭れ基
板４が第２の枢軸５で起伏自在に取付けられてい
る。

前座部基板１の前端には、前垂れ６が第３の枢
軸７で回動自在に取付けられ、前垂れ６の前垂れ
連結軸６ａと背凭れ基板アーム部４ａの背凭れ連
結軸４ｂとはリンク８で連結されている。

前座部基板１から下方に突出している第１の前
座アーム部１１ａには第１のシリンダ９の基端が
第１の前座連結軸１１ｂで回動自在に枢着され、
該第１のシリンダ９のラム９ａは背凭れ連結軸４
ｂに枢着されている。

又、前座部基板１から下方に突出している第２
の前座アーム部１１ｃには第２のシリンダ１２の
基端が第２の前座連結軸１１ｄで回動自在に枢支
され、該第２のシリンダ１２のラム１２ａは後座
部基板３から下方に垂下している後座アーム部３
ｂに後座連結軸３ｃで回動自在に枢支されてい
る。

尚、１３は前座部基板１と後座部基板３との上
に設置されている座部である。

従つて、第１図のように背凭れ１０と前垂れ６
が垂直状態にある時に、第１のシリンダ９のラム
９ａを引込ませると、第２図のように背凭れ基板
４の背凭れ基板アーム部４ａが引かれて背凭れ基
板４は後方に伏倒する。

この背凭れ基板アーム部４ａの回動によつてリ
ンク８が押されるから、リンク８は前垂れ連結軸
６ａを押して前垂れ６の前端を上昇させる。

よつて、背凭れ基板４の背凭れ１０、後座部基
板３と前座部基板１上の座部１３、及び前垂れ６
は略同一水平面となり、座部１３に腰掛けていた
患者は水平な仰臥姿勢となる。

この状態で、第２のシリンダ１２のラム１２ａ
を押し出すと、第３図のように後座部基板３の後
座アーム部３ｂの後座連結軸３ｃが押されるた
め、後座部基板３は第１の枢軸２を中心として斜
め上方に傾動する。

この時、第１のシリンダ９の基端は第１の前座
アーム部１１ａに第１の前座連結軸１１ｂで枢着
され、ラム９ｂも背凭れ基板４の背凭れ基板アー
ム部４ａに背凭れ連結軸４ｂで枢着されているの
で、背凭れ１０は後座部基板３の傾動に従つて回
動するから、患者は仰臥姿勢を保つたまま、上半
身が押し上げられたような傾いた状態となる。

又、第１図の状態から第２のシリンダ１２のラ
ム１２ａを押し出すと、第４図のように前記と同
様にして後座部基板３は第１の枢軸２を中心とし
て斜め上方に傾動させる。

そして、第１のシリンダ９のラム９ａは伸長し
ているので、背凭れ基板４は後座部基板３に対
し、又前垂れ６は前座部基板１と夫々略垂直状態
を保つたまま傾動するので、患者は腰掛け姿勢の
まま前傾することとなる。

〔考案の効果〕

本考案は叙上のように、第１のシリンダの動作
によつて腰掛け姿勢と仰臥姿勢、第２のシリンダ
の動作によつて傾動動作を行うことができるか
ら、普通の腰掛姿勢、仰臥姿勢、傾いた仰臥姿
勢、前傾腰掛姿勢の４つの姿勢を患者にとらせる
ことができる。

従つて、耳鼻咽喉科、口腔外科等の治療におい
て、治療部位を医師にとつて治療し易い位置とす
ることができ、そのため医師が無理な前傾姿勢を
とる必要がなくなる。

又、治療が長時間に及ぶ時、或いは治療を連続
して行うような場合に、長時間にわたつて前傾姿
勢をとり続けることがなくなり、無理な前傾姿勢
や長時間の前傾姿勢による腰の疲れから医師を解
放できるものである。

そして、操作も油圧等の圧力の注入によつて行
われるので、押ボタン等の簡単な操作で行うこと
ができるから、取扱操作が容易で、操作に力を要
せず、椅子の姿勢が治療中確実に保たれる等の効
果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は正常な腰掛状態を示す説明図、第２図
は水平伏倒状態を示す説明図、第３図は第２図の
状態を傾動した状態を示す説明図、第４図は第１
図の状態を傾動した状態を示す説明図、第５図は
腰掛の断面図である。 １……前座部基板、２……第１の枢軸、３……
後座部基板、３ｂ……後座アーム部、４……背凭
れ基板、４ａ……背凭れ基板アーム部、５……第
２の枢軸、６……前垂れ、７……第３の枢軸、８
……リンク、９……第１のシリンダ、１１ａ……
第１の前座アーム部、１１ｃ……第２の前座アー
ム部、１２……第２のシリンダ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 前座部基板と、 該前座部基板の後端に第１の枢軸で枢支された
   後座部基板と、 該後座部基板の後端に第２の枢軸で枢支され、
   前記後座部基板側に背凭れ基板アーム部を有する
   背凭れ基板と、 前記背凭れ基板アーム部と前記前座部基板の下
   方に突設した第１の前座アーム部との間に配設し
   た第１のシリンダと、 前記後座部基板の下方に突設した後座アーム部
   と前記前座部基板の下方に突設した第２の前座ア
   ーム部との間に配設した第２のシリンダと、 前記前座部基板の前端に第３の枢軸で枢支され
   た前垂れと、 該前垂れと前記背凭れ基板アーム部とを連結す
   るリンクと、 を備えたことを特徴とする医療用椅子傾動装置。