JPH03987Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、病原ウイルス等の感染事故を誘発す
る恐れのある、極めて危険な医療廃棄物用の処理
容器に関するものである。

［従来の技術］ 近年、病院等の医療機関からは多種多様な廃棄
物が発生しており、量そのものも増加している。
なかでも、注射針は病原ウイルスを感染させる恐
れのある極めて危険な廃棄物であり、これを取り
扱う病院関係者の事故も多発している。

また、最近は清掃作業者にも事故が及んでお
り、社会的にも問題となつて来ているので、都立
病院では、採血用注射針は注射器から注射針を外
し、キヤツプを着けて、空き瓶、空き缶及び堅固
なポリ容器等に入れて密封し、管は別の容器に入
れ、各容器は密封して環境整備会社等に引き渡す
処置を取つていたが、各容器の内部には、注射針
や管内に残留していた液体が流れ出して溜り、塵
芥置場まで運搬する途中、移し替えたり、容器が
破損したりした際には流出する危険があつた。

［考案が解決しようとする課題］ 本考案は、上記従来技術の問題点を解決するも
のであり、様々な口径を持つ、注射器の先端に取
り付けた注射針に接触することなく、注射針の取
り外しが行い得るものとなり、当該注射針の他
に、使い捨ての注射器、管等を、そのまま容器内
に落とし込んで収納することが可能となり、更
に、医療廃棄物処理容器内に注射器等の注射針を
外して収容した際に、内部に残留していて漏出し
た病原ウイルスを感染させる恐れのある危険な液
体を、容器の蓋が不意に開いた際又は容器が破損
した際に、外部に流出させる事の無い医療廃棄物
処理容器を提供するものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案を概説すると、前記の目的を達成するた
めの医療廃棄物処理容器に関するものであり、密
閉容器体４の上部に設けた開口部３の開口周縁
に、漸次狭小となるＶ型切込部２を設け、開口部
３及びＶ型切込部２を蓋体１により密封し、一
方、密閉容器体４に高吸収層５を内蔵して成るも
のである。

［作用］ 本考案は上述の如き構成から成るものであり、
蓋体１を取り外し、密閉容器体４の上部に設けた
開口部３の開口周縁にＶ型切込部２を設けてある
ことから、注射器の先端部に取り付けた注射針を
開口部３に適宜巾挿入し、Ｖ型切込部２に移動さ
せて挟み込むことで、注射器の先端部に嵌合する
注射針の取付基部の上端を、Ｖ型切込部２の下面
に係合させ、注射器を上方に引き抜くと、注射器
の先端部に嵌合状態にある注射針が抜け落ちて、
密閉容器体４内に落ち込んで収納されることとな
る。

また、注射器の先端部の口径は注射器の大きさ
により様々であるが、密閉容器体４の上部に設け
た開口部３の口径を、最大口径を有する注射器の
先端部に嵌合する注射針の取付基部が挿通自在と
なる程度の径としておき、又Ｖ型切込部２を当該
注射器の先端部を挟持し得る開き巾とするこで、
これより小なる口径を有する注射器及びこの先端
部に嵌合した注射針の取付基部を自由に開口部３
に挿入することが出来、当該取付基部上の注射器
の先端部をＶ型切込部２側に移動すれば、漸次狭
小となる切込部２のＶ形の切込内の適所に注射器
の先端部を挟み込んで、下方に位置する注射針の
取付基部の上端がＶ型切込部２の下面で係合し
た、注射器を上方に引くと、取付基部の嵌合が外
れ、注射針が密閉容器体４内に落ち込んで収納さ
れるものとなる。この場合、注射器の先端部がＶ
型切込部２のＶ字形状に対向した二箇所の切り込
み面で当接して、当該当接箇所の下方に位置する
取付基部の上端とＶ型切込部２の下面との係合部
は二箇所に生じるものとなり、注射針の取付基部
を注射器の先端部から抜き外す際に、取付基部と
Ｖ型切込部２との係合状態は安定し、注射器を上
方に引いた時に、注射器が注射針と共にＶ型切込
部２から抜けてしまうことがない。

また、密閉容器体４に高吸収層５を内蔵してい
ることから、開口部３より使用済の注射針、注射
器及び管等を投入すると、内部で漏出した残留液
体は高吸収層５により吸収されるものとなり、密
閉容器体４が横倒しとなつた時でも、開口部３よ
り残留液体が流出することがなくなる。

［実施例］ 以下、本考案を一実施例によつて具体的に説明
する。

第１図は本考案の構成を一部切欠斜視図をもつ
て示すものであり、強固なプラスチツク材を成型
して成る密閉容器体４の上部に開口部３を開設し
ている。本実施例に於いては、密閉容器体４の上
部に円形状の凸部を形成し、その中央を開口部３
として、開口部３の周囲に放射状の切り込みを入
れ、その一部をＶ型切込部２としている。

密閉容器体４の上部の円形状の凸部に嵌合する
様に蓋体１を形成し、当該凸部に嵌合させること
によつて、Ｖ型切込部２及び開口部３の開口を密
封する。

密閉容器体４には、内部空間の下方に高吸収層
５を内蔵させている。高吸収層５としては、アク
リル酸、ビニルアルコール共重合体の如き高分子
吸収剤を採用することにより、純水の場合には
600倍にも達する吸収力を持ち、吸水後には圧力
を加えても放水することがなく、固体粒子状のま
まであるため、密閉容器体４の開口部３から流出
することがなくなる。また、高吸収層５として、
優れた吸水性と共に強伸度等の物性にも優れてい
るヒドロゲル外層部と、アクロリトリル系重合体
等の内層部とで構成される高吸収性繊維を採用す
ることも出来る。

［考案の効果］ 以上の構成を採用する本考案によれば以下の効
果を奏する。

密閉容器体４の上部に設けた開口部３に使用済
の注射器を注射針より挿入し、注射器の先端部を
Ｖ型切込部２に移動して挟み込み、注射針の取付
基部の上端をＶ型切込部２の下面に係合させた状
態で注射器を引き抜くと、注射器の先端部と注射
針の取付基部との嵌合が外れ、注射針は密閉容器
体４内に収納されるものとなることから、注射針
に触ることなく、注射針の取外しが出来るものと
なり、医療事故の誘発を防止することが可能とな
り、この場合、切込部２をＶ型形状としているこ
とから、注射器の先端部の口径には限定されず
に、当該Ｖ型切込部２の適所に様々な口径を有す
る注射器の先端部を挟み込むことが出来、注射針
の取付基部とＶ型切込部２とを係合させ得るの
で、注射器のサイズに限定されることなく使用に
供することが出来るものとなる。

また、前記の如く注射針を抜き外して収納する
他に、開口部３より使い捨ての注射器、点滴用注
射針、管等の医療廃棄物を投入して密閉容器体４
内に収納することが出来るので、利便なものとな
る。

また、これら医療廃棄物から漏出した残留液体
は密閉容器体４に内蔵した高吸収層５により吸収
されるものとなり、密閉容器体４の開口部３から
の流出がないので、医療廃棄物を廃棄処理する清
掃作業者に於いて、残留液体が流出することによ
るウイルス等の接触感染の事故が生じることがな
くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の構成を示す一部切欠斜視図で
ある。 １……蓋体、２……Ｖ型切込部、３……開口
部、４……密閉容器体、５……高吸収層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 密閉容器体４の上部に設けた開口部３の開口周
   縁に、漸次狭小となるＶ型切込部２を設け、開口
   部３及びＶ型切込部２を蓋体１により密封し、一
   方、密閉容器体４に高吸収層５を内蔵して成る医
   療廃棄物処理容器。