JPH039479Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、自動車等の座席を駆動手段によつ
て位置調整するパワーシート装置の改良に関する
ものである。

（従来技術） 従来において、自動車などに装備されているパ
ワーシート装置としては、例えば第１図に示すよ
うな構造を有するものがあつた。

すなわち、このパワーシート装置１は、シート
の前後方向の位置調整を行うものであつて、床面
にほぼ平行な位置関係で固定する二本のレール２
ａ，２ｂと、前記各レール２ａ，２ｂに沿つて摺
動自在なシート取付用の各スライド部材３ａ，３
ｂと、前記両レール２ａ，２ｂの前後端側（第１
図の上下側）に設けた夫々の固定板４，５とを備
えており、後端側の固定板５には、回転軸の両端
を各レール２ａ，２ｂの方向とした駆動用モータ
６を固設し、さらに、前記回転軸の両端には、例
えばウオームとウオームホイール等とを内蔵した
減速機構７ａ，７ｂが設けてある。

また、前記両固定板４，５の間には、各レール
２ａ，２ｂとほぼ平行となる二本のねじ棒８ａ，
８ｂが架設してあり、前記各ねじ棒８ａ，８ｂ
は、その一端側が前端側の固定板４に設けた各々
の軸受９ａ，９ｂによつて回転自在な状態で支持
され、他端側を夫々の減速機構７ａ，７ｂの例え
ばウオームホイールに結合している。

そしてさらに、前記両スライド部材３ａ，３ｂ
には、めねじ部１０を備えたブラケツト１１ａ，
１１ｂが取付けてあり、前記めねじ部１０と、
夫々のねじ棒８ａ，８ｂのおねじ部とが噛合した
状態になつている。

なお、図示しないシートは、両スライド部材３
ａ，３ｂの上側にまたがつた状態で取付けが成さ
れる。

上記の如く構成されたパワーシート装置１は、
駆動用モータ６を作動させることで各減速機構７
ａ，７ｂを介して夫々のねじ棒８ａ，８ｂが回転
し、このねじ棒８ａ，８ｂに噛合した各ブラケツ
ト１１ａ，１１ｂとともに夫々のスライド部材３
ａ，３ｂがレール２ａ，２ｂに沿つて摺動するよ
うになつていた。

また、このパワーシート装置１は、シートを最
前位置、あるいは最後位置まで移動させた時点で
各ブラケツト１１ａ，１１ｂのめねじがねじ棒８
ａ，８ｂのおねじ部から外れるようになつてお
り、例えば操作スイツチを操作し続けた場合に
は、各ねじ棒８ａ，８ｂを空転させることによつ
て減速機構７ａ，７ｂおよび駆動用モータ６等が
破損するのを防止する構造になつていた。

しかしながら、上記したような従来のパワーシ
ート装置１にあつては、各ねじ棒８ａ，８ｂが空
転するまでシートを移動したのちに逆方向への操
作を行うと、シートに加わる力などが起因となつ
てブラケツト１１ａ，１１ｂのめねじとねじ棒８
ａ，８ｂのおねじとの再度の噛合わせが円滑に行
えないことがあるという問題点があつた。

（考案の目的） この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、シートを最端位置まで移動さ
せたときにスライド体への駆動力伝達を断つ機能
を備えると同時に、最端位置から逆方向への移動
操作をした際に、再び駆動力を円滑に伝達させる
ことのできるパワーシート装置を提供することを
目的としている。

（考案の構成） この考案によるパワーシート装置の構成は、床
面に固定したレールに沿つて移動するシート取付
用のスライド体と、前記移動方向を軸方向として
前記スライド体に支持され且つ所定の長さにわた
つておねじ部を有するねじ棒と、前記おねじ部に
噛合する駆動手段の歯車寄機構とを備えたパワー
シート装置において、前記床面に固定した一対の
立壁部と前記スライド体に固定され且つ前記ねじ
棒を支持する押えブロツクとの間に、前記スライ
ド体の前進限位置および後退限位置でそれぞれ圧
縮されて前記圧縮による反撥力が前記前進限位置
および後退限位置で噛合いの外れた前記ねじ棒の
おねじ部と前記歯車機構のウオームホイールに設
けためねじ部との再噛合を助ける方向に作用する
弾性体を配設したことを特徴としている。

（実施例） 以下、この考案を図面に基づいて説明する。

第２図は、この考案の一実施例を説明する図で
ある。

すなわち、このパワーシート装置１５は、第２
図に示すように、シートの前後方向を長手方向と
してほぼ平行に配置する二本のレール１６ａ，１
６ｂと、前記レール１６ａ，１６ｂに沿つて移動
するシート取付用のスライド体１７とを備えてお
り、前記スライド体１７は、各々のレール１６
ａ，１６ｂに沿つて摺動自在に係合した長尺状の
スライド部材１８ａ，１８ｂと、前記スライド部
材１８ａ，１８ｂの一端部間に架設した固定板１
９とから成るものであつて、前記固定板１９のほ
ぼ中央部でスライド体１７の移動方向を軸方向と
するねじ棒２０の一端部を支持している。

前記ねじ棒２０は、その中間部分に、所定の長
さにわたるおねじ部２０ａを有すると共に、一端
部にボール状の球面部２１を有しており、前記ね
じ棒２０を取付けるにあたつては、前記球面部２
１を二部割した押えブロツク２２で抱き込み状態
にし、この押えブロツク２２をブロツク用ケース
２３内に収納したのちに前記ブロツク用ケース２
３をボルト２４で固定板１９に固定する。

また、前記球面部２１は、ねじ棒２０の支持部
分と、後述する歯車機構との配置による誤差を吸
収しうるものであつて、前記押えブロツク２２内
である程度の範囲に回動可能であり、側方から貫
通させたピン２５を前記押えブロツク２２内に係
合することによつてねじ棒２０の軸を中心とした
回転だけを規制している。

さらに、両レール１６ａ，１６ｂの間には、床
面に複数のボルト２６で固定したプレート２７
と、駆動手段である駆動用モータ２８を取付けた
ブラケツト２９とが設けてある。

前記プレート２７には、固定板１９の移動側
（第２図の上下側）から離間して対向する立壁部
２７ａ，２７ｂを立設すると共に、各立壁部２７
ａ，２７ｂの対向面側に、スライド体１７の移動
方向に伸縮するコスルばね３０，３１が設けてあ
り、球面部２１が固定板１９に支持された前記ね
じ棒２０は、片側の立壁部２７ｂと、この立壁部
２７ｂに設けたコイルばね３１の内側とを貫通し
た状態で設置してある。

前記駆動用モータ２８の回転を伝達する歯車機
構３２は、モータ軸に形成したウオーム３３と、
このウオーム３３に係合したウオームホイール３
４とから成るもので、前記ウオームホイール３４
の内径には、前記ねじ棒２０のおねじ部２０ａと
噛合するめねじ部３４ａ（第４図参照）が形成し
てある。

なお、各コイルばね３０，３１は、移動したお
ねじ部２０ａの端部が歯車機構３２の位置となつ
た頃に、固定板１９あるいはブロツク用ケース２
３の側面に当接して圧縮されるように配設されて
いる。

次に、パワーシート装置１５の作用を説明す
る。

まず、駆動用モータ２８をシート前進方向に作
動した場合には、歯車機構３２のウオームホイー
ル３４の回転によつて、おねじ部２０ａが噛合し
ているねじ棒２０が軸方向に駆動され、同時にシ
ートを取付けたスライド体１７がレール１６ａ，
１６ｂに沿つて前進方向（第３図中の矢印Ａ方
向）に移動する。

そして、おねじ部２０ａの端部がウオームホイ
ール３４に近づくと、固定板１９の側面が前方の
コイルばね３０に当接し、さらに、シート最前位
置までスライド体１７が移動したときには、第４
図に示すようにおねじ部２０ａがウオームホイー
ル３４のめねじ部３４ａから外れると共に、固定
板１９と前方の立壁部２７ａとの間で前記コイル
ばね３０を圧縮した状態（第３図の状態）とな
る。

このとき、操作スイツチなどを操作し続けてい
ても、ウオームホイール３４が空転するだけであ
り、歯車機構３２が駆動用モータ２８を損傷する
心配はない。

次に、上記のシート最前位置から逆方向に駆動
用モータ２８を作動すると、固定板１９と前方の
立壁部２７ａとの間で圧縮されていたコイルばね
３０の反発力がスライド体１７の後退方向（第３
図中の矢印Ｂ方向）に作用し、ねじ棒２０が第４
図の矢印Ｃ方向に付勢されているため、おねじ部
２０ａとウオームホイール３４のめねじ部３４ａ
とが再度噛合し、ねじ棒２０を駆動してスライド
体１７を後退させる。

また、第３図中の仮想線で示すように、シート
最後位置までスライド体１７を移動させた場合に
は、再びおねじ部２０ａの他端部とウオームホイ
ール３４とが外れると共に、ブロツク用ケース２
３と後方の立壁部２７ｂとの間で後方のコイルば
ね３１を圧縮し、このコイルばね３１の反発力を
前進方向（矢印Ａ方向）に作用させるようになつ
ている。

（考案の効果） 以上説明してきたように、この考案のパワーシ
ート装置によれば、床面に固定したレールに沿つ
て移動するシート取付用のスライド体と、前記移
動方向を軸方向として前記スライド体に支持され
且つ所定の長さにわたつておねじ部を有するねじ
棒と、前記おねじ部に噛合する駆動手段の歯車機
構とを備えたパワーシート装置において、前記床
面に固定した一対の立壁部と前記スライド体に固
定され且つ前記ねじ棒を支持する押えブロツクと
の間に、前記スライド体の前進限位置および後退
限位置でそれぞれ圧縮されて前記圧縮による反撥
力が前記前進限位位置および後退限位置で噛合い
の外れた前記ねじ棒のおねじ部と前記歯車機構の
ウオームホイールに設けためねじ部との再噛合を
助ける方向に作用する弾性体を配設した構成とし
たため、スライド体を最端位置まで移動させたと
きに、歯車機構を空転させることによつて前記ス
ライド体への駆動力の伝達を断ち、前記歯車機構
や駆動手段等の損傷を防止する機構を有すると共
に、最端位置から逆方向への移動操作をした際
に、おねじ部と歯車機構の再度の噛合わせを円滑
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来におけるパワーシート装置の構造
を説明する平面図、第２図はこの考案の一実施例
によるパワーシート装置を説明する平面図、第３
図は第２図に示すパワーシート装置のスライド体
を最前位置に移動させた状態を説明する平面図、
第４図はねじ棒と歯車機構との離脱状況を示す説
明図である。 １５……パワーシート装置、１６ａ，１６ｂ…
…レール、１７……スライド体、２０……ねじ
棒、２０ａ……おねじ部、２２……押えブロツ
ク、２７ａ，２７ｂ……立壁部、２８……駆動用
モータ（駆動手段）、３０，３１……コイルばね
（弾性体）、３２……歯車機構、３４……ウオーム
ホイール、３４ａ……めねじ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 床面に固定したレールに沿つて移動するシート
   取付用のスライド体と、前記移動方向を軸方向と
   して前記スライド体に支持され且つ所定の長さに
   わたつておねじ部を有するねじ棒と、前記おねじ
   部に噛合する駆動手段の歯車機構とを備えたパワ
   ーシート装置において、前記床面に固定した一対
   の立壁部と前記スライド体に固定され且つ前記ね
   じ棒を支持する押えブロツクとの間に、前記スラ
   イド体の前進限位置および後退限位置でそれぞれ
   圧縮されて前記圧縮による反撥力が前記前進限位
   置および後退限位置で噛合いの外れた前記ねじ棒
   のおねじ部と前記歯車機構のウオームホイールに
   設けためねじ部との再噛合を助ける方向に作用す
   る弾性体を配設したことを特徴とするパワーシー
   ト装置。