JPH037894Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の属する技術分野 本考案は、通信線路コネクタに関し、特に心線
接続作業および切替え作業等の信頼性および作業
性を向上するための構造に関する。

従来技術 従来、通信線路の心線接続は、１心線ごとに絶
縁被覆を剥離し、接続すべき心線相互間を手ひね
りによつて接続した後半田上げ接続するか、また
はコネクタによつて心線相互間を接続する方法が
用いられている。上述の従来の接続方法は、接続
作業に多くの時間を必要とする欠点がある。

特に、ケーブル切替工事においては、既設心線
の絶縁被覆を一部剥離した上に、新設心線の絶縁
被覆を剥離して巻付け、両心線の電気的導通を確
保した後に既設心線を切断する必要があるため、
作業性が極めて悪く、また、既設心線（現用線）
の絶縁被覆を剥離する作業過程で、現用線を切断
するおそれがある。また、手ひねり、半田上げ作
業中に通信線路の瞬断、混線、地気等を生じ、通
信に符号誤り等の悪影響をおおよぼすという欠点
がある。

心線切替そのものについては、既設心線および
新設心線を切替装置に接続して、切替装置の内部
抵抗を制御することにより、無瞬断，無雑音で切
換えることが可能であるが、心線接続そのもの
は、１心線ごとに手ひねり、半田上げする必要が
あるため、やはり作業の信頼性および作業性に問
題がある。また、絶縁被覆を剥離しないで、工具
等によつて接続すべき心線をコネクタに圧着接続
する方法もあるが、これを心線切替接続に適用す
ることは困難である。

考案の目的 本考案の目的は、上述の従来の欠点を解決し、
通信線路の心線相互間を容易に接続することが可
能で、さらに、通信線路の切替工事においては、
現用の通信を阻害することなく、容易に既設心線
から新設心線に切換えることができる通信線路コ
ネクタを提供することにある。

考案の構成 本考案の通信線路コネクタは、通信線路の絶縁
心線導体を圧着接続するためのＵコンタクト部が
一端に形成され、他端に他のコネクタ導体に嵌着
接続可能な第１の端子が形成され、かつ外部機器
と接続するための第２の端子が一体形成された一
組のコネクタ導体を、相互に嵌合される一組の絶
縁性ハウジングのそれぞれに収容固定したことを
特徴とする。

考案の実施例 次に、本考案について、図面を参照して詳細に
説明する。

第１図は、本考案の一実施例のコネクタ導体部
を示す斜視図であり、コネクタ導体１と１′とで
一組のコネクタ導体を構成する。コネクタ導体１
は、Ｌ字形の導体で、一端部に通信線Ａを圧着接
続するためのＵコンタクトucが形成され、他端
部はスリツトstによつて２分割された板ばね構造
とし、スリツトstの左右に舌片t_Fおよびt_Mが形成
されている。該舌片t_Fおよびt_Mは弾性を有し、舌
片t_Mの先端は図中上方に反るように形成され、舌
片t_Fの先端は図中下方に反るように形成されて、
コネクタ導体１′の同様な舌片t_M，t_Fに嵌着接続
可能な第１の接続端子を構成する。Ｕコンタクト
ucは、コネクタ導体１の一端部にＵ字形のスリ
ツトを設けたものであり、該スリツトに通信線Ａ
を挿通し、工具等によつて通信線Ａの絶縁被覆を
貫通して導体心線を圧着接続することができる。
また、上記圧着接続と同時に通信線Ａの心線余長
は、工具等によつて切断される。またＵコンタク
トucの肩部は第２の端子tpとされ、該第２の端子
tpにはリード端子tbを接続することができる。す
なわち、第２の端子tpをリード端子tbの先端部の
分割された部分に圧入すると、リード端子tbと先
端部が弾性的に図中矢印Ｗの方向に拡張され、リ
ード端子tbの弾力によつて、リード端子tbと第２
の端子tpとが電気的に接続される。接続を安定強
固にするために、第２の端子tpのリード端子tbと
の接触面ctに溝を刻設しておくことが望ましい。
リード端子tbは、図示のように先端部を分割しな
いで、単なる平板状とし、ＵコンタクトucのＵ
字形スリツトにリード端子tbを圧入するようにし
てもよい。また、リード端子tbと第２の端子tpと
が無挿抜力で嵌着接続できるゼロ挿抜力機構によ
つて接続することも可能であり、または単に鰐口
クリツプ等によつて接続するようにしてもよい。

コネクタ導体１′はコネクタ導体１と全く同じ
構造で、一組のコネクタ導体１と１′を図示のよ
うに相互に嵌着すると、コネクタ導体１の舌片t_M
の下方にコネクタ導体１′の舌片t_Fが重なり、コ
ネクタ導体１′の舌片t_Mの下方にコネクタ導体１
の舌片t_Fが重なり、コネクタ導体１と１′とは弾
性力によつて電気的に接続される。

本実施例のコネクタ導体により、通信線ＡとＢ
を接続するには、コネクタ導体１のＵコンタクト
ucに通信線Ａを圧着接続し、コネクタ導体１′の
Ｕコンタクトucに通信線Ｂを圧着接続して、コ
ネクタ導体１と１′とを相互に嵌着すればよい。
コネクタ導体１と１′とをそれぞれ適当な絶縁性
ハウジング内に収容固着しておけば、接続完了と
同時に絶縁性も確保され、他の心線との混線や、
地気障害を生じることはない。本実施例のコネク
タは、通信線との接続が容易であり、かつ１対の
コネクタを相互に嵌着することによつて容易に２
つの心線間を接続することができるという効果が
ある。また、２つの心線間を容易に切断できるこ
とは勿論である。

そして、心線切換え等に際しては、新設心線の
端部に同様なコネクタを接続しておいて、既設お
よび新設心線のコネクタの第２の端子tp間に切替
器等を接続することにより、現用通信に悪影響を
与えないで切換えることが可能である。

第２図は、本考案の他の実施例を示す斜視図で
あり、平衡形通信線一対接続用のコネクタであ
る。すなわち、１対の通信線Ａ−ＡとＢ−Ｂとを
相互接続するために、２つのコネクタ導体１を対
にして絶縁性ハウジングｈに収容固定し、コネク
タ導体１′の１対を絶縁性ハウジングh′に収容固
定する。絶縁性ハウジングｈはコ字状の絶縁体で
あり、その底部には、２本の通信線Ａを挿通する
ための２つのＵ字形スリツトが形成されていて、
１対の通信線Ａは該スリツトを挿通して前記１対
のコネクタ導体１のＵコンタクトucにそれぞれ
圧着接続される。また、図中左右の両側部h_F，h_M
は、長短に形成されている。また、２つのコネク
タ導体１の舌片t_F，t_Mの上下には、それぞれ２枚
の絶縁板ｘ，x′が平行に配置され、絶縁板ｘと
x′の間には段差が設けられている。絶縁板x′の側
部は、絶縁性ハウジングｈの底面から突出した支
持柱ｙに固着され、絶縁板ｘとハウジング側部h_F
の間には、間隙ｚが設けられている。該間隙ｚ
は、図中右側に図示されたもう１つの絶縁性ハウ
ジングh′の同様な支持柱ｙと嵌合可能であり、絶
縁性ハウジングｈとh′が１組とされる。絶縁板
ｘ，x′および支持柱ｙ，ハウジング側部h_Fの先端
面は、同一面上にある。上記絶縁性ハウジング
ｈ，ハウジング側部h_F，h_M，絶縁板ｘ，x′等は、
すべて一体に形成されていて、機械的強度が強化
されている。

なお、コネクタ導体１の舌片t_F，t_Mの端面は、
絶縁板ｘ，x′の端面と同一か、またはやや引込ん
でいる。２つのコネクタ導体１は、インサートモ
ールドにより絶縁性ハウジングｈと一体に形成す
ることも可能である。もう１つの絶縁性ハウジン
グh′も全く同一の構造であり、２つの絶縁性ハウ
ジングｈ，h′で１組のコネクタハウジングを構成
し、相互に嵌合することができる。

なお、絶縁性ハウジングｈとh′を嵌合したと
き、それぞれの絶縁板ｘとx′とは上下に重ね合せ
られた状態となる。

第３図は、１組の絶縁性ハウジングｈ，h′を嵌
合した状態を示す平面図であり、一方の絶縁性ハ
ウジングｈは斜線を施して示す。この状態で、ハ
ウジング内部では、コネクタ導体１，１′の舌片
が相互に嵌着接続されて、１対の通信線Ａと通信
線Ｂとを相互に接続することができる。また１組
の絶縁性ハウジングｈ，h′が嵌合することによ
り、コネクタの接続が強固となり、多少の振動や
引張力に耐えることができる。また、１組の絶縁
性ハウジングｈ，h′に相互に係合する係合部を設
けることにより、コネクタ相互が分離して通信線
ＡとＢとが切断されることを容易に防止すること
ができる。

第２図に戻り、キヤツプcpはプラスチツク等
の絶縁体で構成されたキヤツプであり、２つの窓
wdが穿設されていて、キヤツプcpを絶縁性ハウ
ジングｈに取付けたとき、窓wdを通してリード
端子tbを第２の端子tpに圧入することにより、コ
ネクタ導体を外部に接続することができる。１対
のリード端子tbをプローブpbに植設し、コード
cdを通して外部に接続するようにすれば、一動
作によつて１対の通信線Ａを外部に接続できるか
ら便宜である。また、絶縁性ハウジングｈとキヤ
ツプcpによつてコネクタ導体を外部から絶縁す
るので、混線や地気障害を発生することはない。
なお、通信線Ａを挿通するために、２つのＵ字状
の切欠きｖを設け、キヤップcpをハウジングに
取付けた際に、通信線Ａをハウジングに押え付け
ることにより、通信線Ａに加わつた張力が直接Ｕ
コンタクトucに加わることを防止し、電気的導
通を確保している。また、通信線Ａが紙絶縁であ
る場合は絶縁紙がほつれて導体心線から分離する
ことを抑え、絶縁紙の剥離による混線を防止する
機能もある。

第４図は、本考案のコネクタによつて接続され
た既設通信線P_Oを新設心線P_Nに切換える操作を
説明するための図である。心線の切換えは、対単
位に行なわれるが、同図には、１本の心線につい
てのみ記載されている。今、同図Ａに示すよう
に、既設心線P_Oの両端部Ａ，Ｂは、それぞれ本
考案のコネクタCnを介して前後の通信線路（以
後本線という）に接続されているものとする。先
ず、新設心線P_Nの両端部に本考案のコネクタCn
を取付け、本線側のコネクタCnと既設心線P_O側
のコネクタCnと新設心線P_NのコネクタCnのそれ
ぞれの第２の端子に、それぞれプローブPbを接
続して、切替装置Mc₁およびMc₂に導く。切替装
置Mc₁，Mc₂は、それぞれ内蔵する抵抗変換部
Rc₁およびRc₂を通して、本線側心線を既設心線
P_O側および新設心線P_N側の心線に接続する。こ
の状態では、抵抗変換部Rc₁およびRc₂はすべて
高抵抗であり、伝送信号は、図中点線で示すよう
に、既設心線P_Oを通つて伝送されている。

次に、同図Ｂに示すように、抵抗変換部Rc₁を
低抵抗にすると、接続点Ａ，Ｂにおいては、同図
に点線で示すように、伝送信号がコネクタCn内
と抵抗変換部Rc₁とに分流する。次に、同図Ｃに
示すように接続点Ａ，Ｂにおいて、コネクタCn
を切離すと、伝送信号は抵抗変換部Rc₁を通つて
既設心線P_Oに流れる。

次に、抵抗変換部Rc₂の抵抗値を高抵抗から低
抵抗に減少させた後に抵抗変換部Rc₁の抵抗値を
低抵抗から高抵抗に増加させると、同図Ｄに示す
ように、伝送信号は、抵抗変換部Rc₂を通つて新
設心線P_Nに流れる。この状態で、新設心線P_Nの
両端部のコネクタCnをそれぞれ本線側のコネク
タCnに嵌着すれば、同図Ｅに示すようになる。
次に、同図Ｆに示すようにプローブpbをコネク
タCnから取外して切換え作業を完了する。上述
の切換えは、現用通信線を切断することなく、ま
た混線や地気を発生させないで行なうことができ
る。また、切換え作業が簡単で短時間で確実に切
換えることができる。なお、コネクタCnに複数
のコネクタ導体を内蔵させることにより、１つの
コネクタで複数対の心線接続ができるようにする
ことは容易である。

本考案のコネクタは、通信線相互の接続および
心線切換え等に使用できるばかりでなく、通信線
と測定器との接続や、心線対照器等との接続に用
いることも可能であり、その適用範囲は広い。

なお、上記切換えに使用する切替装置Mc₁，切
替装置Mc₂の構成を第５図に示す。同図におい
て、切替装置Mc₁は抵抗変換部RT₁および
RT₁′にコードHCを通してクリツプC₁，C₂および
C₅を接続し、抵抗変換部RT₁，RT₁′の抵抗値を
第１制御部CT₁によつて制御する。切替装置Mc₁
とMc₂間には、空心線Pv₁およびPv₂が接続され
ており、第１制御部CT₁は駆動信号Scによつて抵
抗変換部RT₁の抵抗値を制御するのに同期して、
同期信号CRを送信器Ｓおよび空心線Pv₁を通し
て切替装置Mc₂の受信器Ｒに送る。切替装置Mc₂
の第２制御部CT₂は、受信器Ｒの出力する同期信
号CRに同期して、駆動信号Sc′により抵抗変換部
RT₂，RT₂′の抵抗値を制御する。なお、信号受
信部Rvは、既設心線P_Oまたは新設心線P_Nおよび
抵抗変換部RT₁，RT₁′を通して入力される交流
信号ACを、切替装置Mc₂の信号送信部Ocから空
心線Pv₂を通して入力される参照信号R_Fをもとに
同期検波し、検波出力を表示器に表示することに
より、切換え時における線路状態を監視できるよ
うにしている。切替装置には、上述の他に各種の
装置を使用することが可能であり、複数の心線の
一斉切替えおよび監視ができるような装置を使用
することも可能である。

考案の効果 以上のように、本考案においては、１組のコネ
クタ導体の一端部を相互に嵌着接続できるように
形成して第１の端子を構成し、それぞれのコネク
タ導体の他端部にＵコンタクトおよび第２の端子
を設けて、１組の絶縁性ハウジング内に収容固着
した構造としたから、それぞれのコネクタ導体の
Ｕコンタクトに接続すべき通信線を圧着接続し
て、２つのコネクタを相互に嵌合することによ
り、容易に心線接続を行なうことができ、また、
前記第２の端子を切替装置等に接続することによ
り、通信に影響を与えないで、容易に既設心線に
切替えることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のコネクタ導体を示
す斜視図、第２図は本考案の他の実施例を示す斜
視図、第３図は第２図の１組の絶縁性ハウジング
を嵌合した状態を示す平面図、第４図は本考案の
コネクタを使用した通信線の切替えを説明するた
めの図、第５図は上記切替えに使用する切替装置
の一例を示すブロツク図である。 図において、１，１′……コネクタ導体、uc…
…Ｕコンタクト、t_F，t_M……舌片、tp……第２の
端子、tb……リード端子、cp……キヤツプ、h_F，
h_M……ハウジング側部、pb……プローブ、cd…
…コード、P_O……既設心線、P_N……新設心線、
Pv₁，Pv₂……空心線、Cn……コネクタ、Mc₁，
Mc₂……切替装置、Rc₁，Rc₂……抵抗変換部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 同一構造を有する一対のコネクタ部品が相互に
   嵌合することにより構成される通信線路コネクタ
   であつて、 前記コネクタ部品は、 (a) Ｌ字形導体板であつて、一端部は通信線を挿
   通するＵ字形スリツトと、その肩部に外部機器
   と接続するための第２の接続端子とを有し、他
   端部はスリツトにより２分割された板ばね構造
   であつて、このスリツトの左右の導体板の先端
   は一方が上方に、他方が下方に反るような構造
   にして第１の接続端子が形成されるコネクタ導
   体と、 (b) コ字状の絶縁体であつて、一対の前記コネク
   タ導体が収容固定される絶縁性ハウジングによ
   り構成され、 (c) 前記絶縁性ハウジングは、互いに異なる長さ
   の側面枠と、通信線路を挿通するための２つの
   スリツトを形成する背面枠より成り、 前記絶縁性ハウジングの背面に設けた２つの
   スリツトと前記コネクタ導体のＵ字形スリツト
   の位置が一致するように、２つのコネクタ導体
   は前記絶縁性ハウジングの前面方向に固定さ
   れ、 (d) 前記絶縁性ハウジングの前面には、前記２つ
   のコネクタ導体の各々の第１の接続端子の上下
   に各々平行に２枚の絶縁板を設け、一方のコネ
   クタ導体に配した前記第一の絶縁板と他方のコ
   ネクタ導体に配した前記第二の絶縁板とは互い
   に段差を有するごとく配置され、 (e) 前記第一の絶縁板と短い方の前記側面枠との
   間に支持柱が設けられるとともに、前記第二の
   絶縁板と長い方の前記側面枠との間には前記支
   持柱と同一幅の間隙が設けられ、 (f) 前記支持柱と前記第一及び第二の絶縁板と前
   記長い方の側面枠の各々先端は同一面となり、
   絶縁性ハウジングに固定されたコネクタ導体の
   第１の接続端子の先端がこの面より前面に出る
   ことのない位置に固定されていることを特徴と
   する通信線路コネクタ。