JPH0377026B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は金属薄帯製造用スリツトノズルに関す
るものである。

（従来の技術） 金属薄帯、例えば非晶質金属薄帯製造用ノズル
は第８図に示すように、上部中央に溶湯流入口
２、この流入口に連続しノズル１長手方向に末広
がりの湯道３、ノズルチツプ４で形成されたスリ
ツト状の吐出口５からなつており、溶湯流入口２
から入つた溶湯は、湯道３内を経てスリツト状の
吐出口５に至り、ここから回転ロール面に流出
し、冷却され薄帯となる。

このようなスリツト状の吐出口を有するノズル
においては、溶湯がスリツト状吐出口から流出す
る場合の速度は、一般的にいつて第９図に示すよ
うに、スリツト長手方向で中央部が大きく両端部
で小さい。

したがつて、このようなノズルを使用して製造
された薄帯の厚みは、第１０図に示すように中央
部で厚く両端部で薄い、所謂クラウン状態になつ
ている。このようなクラウン状態の発生を防止す
るために、例えば第８図のようなノズルにおいて
溶湯流入口２とスリツト状吐出口５間の湯道３内
にセラミツクフイルターを配設し、中央部分の動
圧を緩衝し、最終的にスリツト長手方向において
均一な吐出流を得る試みもなされている（特開昭
60−174239号参照）。

しかしながら、この場合、セラミツクフイルタ
ーの性能の変動や溶湯中介在物の付着等による流
量特性の変動により、薄帯の形状不安定、ノズル
詰り等の現象が生じ、高品質の薄帯の安定構造が
難しいという問題を残している。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は前記従来のスリツト状吐出口を有する
金属薄帯製造用ノズルの問題を解消するためにな
されたものである。

（問題点を解決するための具体的手段） 本発明は、溶湯流入口とスリツト状吐出口を有
するノズルにおいて、該流入口とスリツト状吐出
口間の湯道を形成するスリツト長辺側の側壁に、
該流入口からの溶湯の落下流に対して交差する方
向から複数の邪魔板を、その先端側が上下に間隔
をおいて重なるように交互に付設したことを特徴
とする金属薄帯製造用ノズルである。

以下に本発明を第１図〜第７図に基づいて、そ
の実施例と共に説明する。なお、この実施例は非
晶質金属薄帯製造用ノズルに適用した例を示すも
のである。

第１図および第２図において、１はノズル、２
は溶湯流入口、３は湯道、４はノズルチツプで、
スリツト状吐出口５を形成している。

そして、溶湯流入口２とスリツト状吐出口５間
の湯道３を形成するスリツト長辺側の側壁W₁，
W₂に、溶湯流を調整するための３枚の邪魔板６
ａ，６ｂ，６ｃを配設する。これらの邪魔板のう
ち６ａおよび６ｃは、第３図に示すように湯道３
の一方の側壁W₁側に上下に間隔ｃを置いて配設
されており、その先端と対向する他方の側壁W₂
との間に空間（溶湯通路）ｄ、ｆが形成されてい
る。

一方邪魔板６ｂは側壁W₂側から邪魔板６ａと
６ｃとの中間に夫々間隔ａを形成するように対設
されており、その先端側は邪魔板６ａと６ｃとの
重なり部ｂを有し、その先端と対向する側壁W₁
との間には空間（溶湯通路）ｅが形成されてい
る。

このように湯道３内に邪魔板６ａ〜６ｃを形成
する場合は、例えば、第２図に示すように予め邪
魔板嵌入孔８ａ，８ｂ，８ｃを有する一対の部材
７ａ，７ｂに邪魔板６ａ，６ｂ，６ｃを嵌入して
邪魔板組立部材を構成し、これをノズルチツプ４
によるスリツト状吐出口５を形成する過程でノズ
ル１の湯道３内に装着する。

この邪魔板組立部材は耐熱衝撃性、耐熱強度に
すぐれた低膨張率のセラミツクス材料により形成
するのが好ましい。

（作用） つぎに、本発明の金属薄帯製造用ノズルの作用
について説明する。

第１図〜第３図において、金属薄帯製造のスタ
ートと共に副タンデイツシユ（図示省略）からの
溶湯は、ノズル１の溶湯注入口２から湯道３を経
て邪魔板６ａ上に落下し、周囲に拡がりながら該
邪魔板の先端と対向する側壁W₂との間の空間ｄ
から邪魔板６ｂ上に落下し、更に周囲に拡がりな
がら該邪魔板の先端と対向する側壁W₁との間の
空間ｅから邪魔板６ｃ上に落下し、スリツト長手
方向に均一な流れを形成しながら、該邪魔板の先
端と対向する側壁W₂との間の空間ｆから落下し、
ノズルチツプにより形成される通路９の壁面に沿
つてスリツト状吐出口５に流入する。

このように溶湯流入口２からの溶湯流は、邪魔
板６ａ，６ｂ，６ｃを経てスリツト状吐出口５に
至る過程で、スリツト長手方向に均一に整流さ
れ、スリツト長手方向の溶湯流出速度は均一化さ
れてスリツト状吐出口５に流入する。その結果、
該スリツト状吐出口５から回転ロールＲに供給さ
れ、冷却されて得られる薄帯Ｌの幅方向の厚み分
布は、第７図に示すように、第１０図に示す前記
従来のノスルによる場合の薄帯の幅方向の厚み分
布に比し、格段に均一化される。

本発明において特に重要な要素となるのは、邪
魔板と邪魔板間の間隔ａと対設された邪魔板と邪
魔板の重なり部分のｂの寸法である。

本実施例においては３枚の邪魔板６ａ，６ｂ，
６ｃを用いており、この場合の薄帯の幅方向の板
厚偏差は、第５図のようになり、邪魔板６ａと６
ｂ間および６ｂと６ｃ間の間隔ａの値が小さくな
る程小さくなり、薄帯形状の安定性が良好であ
る。

ただし、ａの値がスリツト幅a₁の値より小さく
なると薄帯の厚み制御性が悪くなる。また、ａの
値が3a₁より大きくなると薄帯の厚みを均一化す
る効果は悪くなる。したがつて、ａの値はa₁＜ａ
＜3a₁の範囲で設定することが好ましい。

なお、対設される各邪魔板間の間隔ａは全て同
じにする必要はない。

また、対設される邪魔板と邪魔板の重なり部分
ｂの寸法については、第６図に示すようにノズル
の湯道３の幅b₁に対して、その値が大きい程薄帯
の板厚偏差が小さく、薄帯形状の安定性が良好で
ある。

ただし、b₁に近づけ過ぎると溶湯の流量が確保
できなくなるので、スリツト幅a₁を考慮して設定
される必要がある。また、ｂ／b₁が0.5以下にな
ると均一化効果が急激に悪化するので、0.5以上
になるように設定することが好ましい。

なお、対設される各邪魔板間の重なりｂの寸法
も全て同じにする必要はない。

また、本実施例では邪魔板は３枚設けたが２枚
あるいは４〜５枚にしても良い。

さらに、邪魔板は長方形の平板状のものにした
が、例えば第４図に示すように異形したり、ある
いは溶湯流下面を曲面、凹凸面、波形面等にする
ことも考慮し、異なる形状の邪魔板を組合せて配
設することも可能である。

なお、便宜的に邪魔板と表現しているが、ここ
でいう邪魔板とは邪魔板と同様の機能を果たすも
のという意味であり、例えば一体的に形成され板
として独立して存在するものでなくても良い。

また、本実施例は150mm幅の非晶質金属薄帯製
造用ノズルに適用した場合のものであるが、他の
金属薄帯製造用ノズルとしても適用することもで
きる。

（発明の効果） 本発明は簡易構造で安価な邪魔板構造を有する
金属薄帯製造用ノズルであり、スリツト長手方向
の溶湯流出速度を容易に均一化し、スリツト状吐
出口からの溶湯流出を均一化することによつて、
製造される金属薄帯の幅方向の厚み分布を安定的
に均一化することができるので、高品質の金属薄
帯を安価に製造することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第７図は本発明に関する説明図であ
り、第１図ａは本発明のノズルの構造例を示す断
面説明図、第１図ｂは第１図ａ−矢視断面説
明図、第２図は第１図における邪魔板構造例を示
す一部切欠立体説明図、第３図は第１図ｂ図の拡
大説明図、第４図は邪魔板の形状例を示す立体説
明図、第５図は対設する邪魔板間の間隔とスリツ
ト幅との関係における薄帯板厚偏差を示す説明
図、第６図は対設する邪魔板間の重なりと湯道幅
との関係における薄帯板厚偏差を示す説明図、第
７図は実施例における薄帯幅方向の厚み分布を示
す説明図である。第８図ａは従来の金属薄帯製造
用ノズルの構造例を示す断面説明図、第８図ｂは
第８図ａ−矢視断面説明図、第８図ｃは第８
図ａ−矢視断面説明図である。第９図は第８
図のノズルにおけるスリツト長手方向の溶湯の流
出速度分布を示す説明図、第１０図は製造された
薄帯の幅方向厚み分布を示す説明図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溶湯流入口とスリツト状吐出口を有するノズ
   ルにおいて、該流入口とスリツト状吐出口間の湯
   道を形成するスリツト長辺側の側壁に、該流入口
   からの溶湯の落下流に対して交差する方向から複
   数の邪魔板を、その先端側が上下に間隔をおいて
   重なるように交互に対設したことを特徴とする金
   属薄帯製造用ノズル。