JPH037277B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は使用済燃料を収容する使用済燃料貯蔵
ラツクに関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

一般に原子炉で燃料として使用された使用済燃
料を再処理し、この使用済燃料からプルトニウム
や残存ウランを回収して高速炉、新型転換炉、軽
水炉等に再使用する核燃料リサイクルは核燃料の
有効利用の点から極めて重要である。

しかしながら、種々の事情によりこの核燃料リ
サイクルは予定より大幅に遅れており、使用済燃
料は蓄積される一方である。

一般に従来の原子炉施設の中にも使用済燃料貯
蔵プールが設置されているが、この原子炉施設内
の使用済燃料貯蔵プールでは貯蔵容量は原子炉当
たりたかだか核燃料重量で200〜300tである。そ
こで、このような使用済燃料を必要に応じて貯蔵
することのできる使用済燃料貯蔵施設が要望され
ている。

そしてこのような使用済燃料貯蔵施設では、特
に使用済燃料貯蔵プールの水深を浅くし使用済燃
料貯蔵プールの底面および側面に作用する水荷重
を低減することにより、設計および施工が容易
で、かつ安価な使用済燃料貯蔵プールを備えたも
のが要望されている。

すなわち従来の使用済燃料貯蔵施設では、使用
済燃料貯蔵プール内において使用済燃料集合体の
使用済燃料貯蔵ラツクへの装荷が行われていたた
め、装荷時における使用済燃料集合体の上方への
移動を確保する必要があり、少なくとも使用済燃
料集合体の全長の２倍の深さに放射線遮蔽を行な
うための深さを加えた深さが必要であつた。

そこで本発明者は、使用済燃料貯蔵ラツクへの
使用済燃料集合体の装荷を行なう使用済燃料集合
体搬出入プールと、使用済燃料貯蔵ラツクを収容
する使用済燃料貯蔵プールと、この使用済燃料貯
蔵プールと前記使用済燃料集合体搬出入プールと
を接続し前記使用済燃料貯蔵ラツクの移送路を形
成するカナール部とを備え、前記使用済燃料集合
体搬出入プールの水深は前記使用済燃料貯蔵プー
ルの水深よりも深くされていることを特徴とする
使用済燃料貯蔵施設を発明した。

すなわち、この使用済燃料貯蔵施設は、例えば
第１図ないし第３図に示すように構成されてい
る。第１図において符号１は使用済燃料集合体搬
出入プール２の両側に直線的に配設され、使用済
燃料集合体の移送路を形成するカナール部１を示
している。このカナール部１の両側には複数の使
用済燃料貯蔵プール３対が配設されている。カナ
ール部１の一端４はそれぞれ延長可能とされてお
り、このカナール部１を延長することにより、カ
ナール部１の両側に必要に応じて使用済燃料貯蔵
プール３対を増加することができる。カナール部
１および使用済燃料貯蔵プール３にはそれぞれ使
用済燃料の移動を行なうカナール部燃料移動装置
５およびプール対燃料移動装置６が配設されてお
り、また一対の使用済燃料貯蔵プール３対にはそ
れぞれプール対燃料移動装置６の補修等を行なう
補修エリア７が配設されている。また使用済燃料
貯蔵プール３の間に位置するカナール部１には、
カナール部燃料移動装置５からプール対燃料移動
装置６へ使用済燃料を移し変える時に使用する使
用済燃料仮置装置８が配設されている。各使用済
燃料貯蔵プール３に挾まれたカナール部１はそれ
ぞれ開閉可能とされるゲート９により区分されて
いる。

第２図は使用済燃料貯蔵プール３の詳細を示す
もので、図において符号３は使用済燃料貯蔵プー
ルを示している。この使用済燃料貯蔵プール３内
には、使用済燃料を収容し移動自在とされる燃料
貯蔵ラツク１５が規則的に配列されている。な
お、図の左側の使用済燃料貯蔵プール３は、燃料
貯蔵ラツクを収容していない状態を示しており、
貯蔵ラツク下部固定具１６が露出している。

第３図は使用済燃料集合体搬出入プール２の詳
細を示すもので、この使用済燃料集合体搬出入プ
ール２は、使用済燃料集合体の全長以上とされ、
使用済燃料集合体を最浅部まで吊り上げた状態で
使用済燃料集合体からの放射線線量率が所定の許
容線量率以下となる水深を有する浅プール部１７
と、使用済燃料集合体の全長の２倍以上とされ、
使用済燃料集合体を最浅部まで吊り上げた状態で
使用済燃料集合体からの放射線線量率が所定許容
線量率以下となる深プール部１８とから構成され
ている。

以上のように構成された使用済燃料貯蔵施設で
は、第３図に示すように使用済燃料集合体の装荷
されない可搬型の使用済燃料貯蔵ラツク１５の下
部が深プール部１８の底面に形成される貯蔵ラツ
ク下部固定具１９に係止され固定される。使用済
燃料集合体搬出入プール２の上部にはクレン等か
らなる燃料取扱装置２０が配設されており、図示
しない輸送容器に収容され搬出入口１４から入つ
てきた使用済燃料集合体は輸送容器のまま深プー
ル部１８内に沈められ、この後輸送容器の蓋が開
かれる。

この後、輸送容器から使用済燃料集合体が燃料
取扱装置２０により吊り上げられ使用済燃料貯蔵
ラツク１５内へ収容される。

このようにして使用済燃料集合体を収容した使
用済燃料貯蔵ラツク１５は、燃料取扱装置２０に
より浅プール部１７に形成される仮置部２１に仮
置きされ、カナール燃料移動装置５により所定の
使用済燃料貯蔵プール３へ移送される。なお移動
中の使用済燃料貯蔵ラツク１５上端の深さｄは深
プール部１８で最浅状態まで吊り上げた時の深さ
ｄとほぼ同じであり、通常約2m前後とされる。

カナール燃料移動装置５で運ばれてきた可搬型
の使用済燃料貯蔵ラツク１５は、貯蔵予定の使用
済燃料貯蔵プール３対に挾まれたカナール部１に
一旦仮置きされ、この仮置きされた使用済燃料貯
蔵ラツク１５はプール対燃料移動装置６により使
用済燃料貯蔵プール３内の所定位置に降下され
る。なおこの時使用済燃料貯蔵プール３の床面に
設けられた貯蔵ラツク下部固定具１６により使用
済燃料貯蔵ラツク１５の下端が位置決め固定され
る。また、使用済燃料貯蔵ラツク１５上端は隣接
ラツク間を相互に固定する上部固定具により固定
される。

以上のように構成された使用済燃料貯蔵施設に
よれば、使用済燃料集合体搬出入プール２に形成
される深プール部１８で使用済燃料集合体の使用
済燃料貯蔵ラツク１５への詰め替え作業を行な
い、他の部分では行なわないため、限られた一部
の深プール部１８を除き水深の浅い浅プールとす
ることができる。

この結果、使用済燃料貯蔵プールの底面および
側面が受ける水荷重を従来に比較し大幅に低下す
ることができ、使用済燃料貯蔵プールの設計およ
び施工が容易になり、安価な使用済燃料貯蔵施設
を提供することができる。

このように使用済燃料貯蔵施設内に浅プール部
と深プール部とを形成し、可搬型の使用済燃料貯
蔵ラツクを使用することにより安価な使用済燃料
貯蔵施設を提供することができるが、このような
可搬型の使用済燃料貯蔵ラツクについてはまだ十
分な開発が行われていない。

〔発明の目的〕

本発明はかかる従来の事情に対処してなされた
もので、使用済燃料貯蔵ラツク単独でこの使用済
燃料貯蔵ラツク内に冷却水を保有することのでき
る可搬型の使用済燃料貯蔵ラツクを提供しようと
するものである。

〔発明の概要〕

すなわち本発明は、複数の使用済燃料集合体を
上下方向に規則的に配置する格子板を備え上端開
口とされる四角形状のラツク本体と、このラツク
本体の隅部に上下方向に配設され下部に上部から
流入する冷却材を前記使用済燃料集合体に向け流
出する流出口を備えた取水管とからなることを特
徴とする使用済燃料貯蔵ラツクである。

〔発明の実施例〕

以下本発明の詳細を図面に示す一実施例につい
て説明する。

第４図ないし第７図は本発明の使用済燃料貯蔵
ラツクの一実施例を示すもので、図において符号
２３は複数の使用済燃料集合体２４を上下方向に
規則的に配置するラツク本体を示している。

すなわち、このラツク本体２３内には格子板２
５により格子が形成されており、ラツク本体２３
の上端は使用済燃料集合体２４を挿入するため開
口とされている。ラツク本体２３の底面２６から
一定間隔をおいて使用済燃料集合体２４の下端を
支持する支持格子２７が配設されており、格子板
２５の支持格子２７下方には通水孔２８が穿設さ
れている。ラツク本体２３の四隅には上下方向に
取水管２９が配設されており、この取水管２９の
上端は開口とされている。

またこの取水管２９の下部には格子板２５に形
成される通水孔２８に連通する流出口３０が穿設
されている。取水管２９の下方には使用済燃料貯
蔵プール３の床面に予め配設される下部固定具１
６と係合し、使用済燃料貯蔵ラツクの下部を固定
する下部固定部３１が形成されている。また取水
管２９の上方には後述する上部固定具を隣接する
使用済燃料貯蔵ラツク間にわたつて係止し、使用
済燃料貯蔵ラツク上部を固定する上部固定部３２
が形成されている。なおこの上部固定部３２は使
用済燃料貯蔵ラツクの移動時には吊り具を取付け
る支持部として使用される。

以上のように構成された使用済燃料貯蔵ラツク
では、使用済燃料貯蔵プール３内に収容される冷
却材は取水管２９上端開口部から取水管２９内に
流入した後、取水管２９の下部に形成される流出
口３０から格子板２５に形成される通水孔２８を
通り使用済燃料集合体２４の下方に流入し、この
後使用済燃料集合体２４からエネルギを得てラツ
ク本体２３の上端開口部から流出する。すなわち
冷却材はこの経路で自然循環することとなる。そ
して以上のように構成された使用済燃料貯蔵ラツ
クでは、使用済燃料貯蔵プール３内の水位が一時
的に低下した場合にも使用済燃料貯蔵ラツク内に
は常に一定量の冷却水が収容されることとなるた
め、使用済燃料集合体２４の発熱部が大気中に露
出することはなく使用済燃料集合体２４の表面温
度が異常に上昇するおそれを完全に解消すること
ができる。

第８図および第９図は以上のように構成された
使用済燃料貯蔵ラツクを使用済燃料貯蔵プール３
内に収容固定した状態を示すもので、使用済燃料
貯蔵ラツクの取水管２９下方に形成される下部固
定部３１は第９図に示すように使用済燃料貯蔵プ
ール３に突出して形成される下部固定具１６に係
止されている。また、取水管２９の上方に形成さ
れる上部固定部３２は隣接する使用済燃料貯蔵ラ
ツクを相互に結合する上部固定具３３により係止
されている。

なお以上のように構成された使用済燃料貯蔵ラ
ツクは、第３図を使用してすでに述べたような方
法で使用済燃料貯蔵施設内で使用される。

〔発明の効果〕 以上述べたように本発明の使用済燃料貯蔵ラツ
クによれば、使用済燃料貯蔵プール内水位が一時
的に低下した場合にも、崩壊熱による使用済燃料
集合体の温度上昇を抑制することができる。

また、使用済燃料貯蔵ラツクの現場据付け工事
がなくなり、さらに使用済燃料貯蔵ラツクは工場
生産したものをそのまま使用できるため、使用済
燃料貯蔵ラツクは安価になり、また寸法が正確と
なり、かつ備え付け工事を短縮化することができ
る。さらに使用済燃料貯蔵ラツクは必要な時に必
要な量作ることができるため、初期資本を従来に
比較し大幅に低減することができる。

また、使用済燃料貯蔵プール内の工事が床面の
単純な位置決め具の取付けだけとなり、作業が単
純となり、さらに取付け作業が容易なため使用済
燃料貯蔵プール側壁のすぐ近くまで位置決め具を
取付けることができ、使用済燃料貯蔵プールの有
効利用を図ることができる。

すなわち、従来使用済燃料貯蔵ラツクは床面に
固定されていたため、取付け作業のためかなりの
デツドスペースが必要であつたが、本発明の使用
済燃料貯蔵ラツクでは、床面に単に位置決め具を
取付ければよいので、作業のためのデツドスペー
スを減少することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明者が発明した使用済燃料貯蔵施
設の一実施例を示す縦断面図、第２図は第１図に
示す使用済燃料貯蔵施設の使用済燃料貯蔵プール
を拡大して示す縦断面図、第３図は第１図に示す
使用済燃料集合体搬出入プールの詳細を示す縦断
面図、第４図は本発明の一実施例の使用済燃料貯
蔵ラツクの上面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に
沿う縦断面図、第６図は第４図の−線に沿う
縦断面図、第７図は第５図の−線に沿う横断
面図、第８図は第４図に示す使用済燃料貯蔵ラツ
クを使用済燃料貯蔵プール内に収容した状態を示
す上面図、第９図は第８図の−線に沿う縦断
面図である。 ２３……ラツク本体、２４……使用剤燃料集合
体、２５……格子板、２７……支持格子、２８…
…通水孔、２９……取水管、３０……流出口、３
１……下部固定部、３２……上部固定部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数の使用済燃料集合体を上下方向に規則的
   に配置する格子板を備え上端開口とされる四角形
   状のラツク本体と、このラツク本体の隅部に上下
   方向に配設され下部に上部から流入する冷却材を
   前記使用済燃料集合体に向け流出する流出口を備
   えた取水管とからなることを特徴とする使用済燃
   料貯蔵ラツク。 ２ 取水管の下方には使用済燃料貯蔵ラツクを使
   用済燃料貯蔵プールに固定する下部固定部が形成
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の使用済燃料貯蔵ラツク。 ３ 取水管の上方には隣接する使用済燃料貯蔵ラ
   ツクを相互に結合する上部固定部が形成されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項または
   第２項記載の使用済燃料貯蔵ラツク。