JPH0371114B2 - - Google Patents

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JPH0371114B2
JPH0371114B2 JP62302157A JP30215787A JPH0371114B2 JP H0371114 B2 JPH0371114 B2 JP H0371114B2 JP 62302157 A JP62302157 A JP 62302157A JP 30215787 A JP30215787 A JP 30215787A JP H0371114 B2 JPH0371114 B2 JP H0371114B2
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coli
dhfr
ptp104
gene
dna
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Masahiro Iwakura
Kyotaka Furusawa
Tsukasa Sakai
Yoshio Tanaka
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Agency of Industrial Science and Technology
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、大腸菌由来のジヒドロ葉酸還元酵素
(以下、DHFRと略す。)遺伝子を改変した遺伝
子を含有し、改変DHFR遺伝子の3′末端側に、遺
伝暗号の読み取り枠を合うようにして異種遺伝子
を導入することにより、異種遺伝子産物を
DHFRと融合したタンパク質として、かつ
DHFR活性を有するタンパク質として効率よく
生産させることを可能とする組換えプラスミド
pTP104−4に関するものである。本発明の発現
ベクターpTP104−4の産業上の利用分野として
は、微生物工業、発酵工業、医薬品製造の分野に
好適である。
(従来の技術) DHFRは、ジヒドロ葉酸を還元しテトラヒド
ロ葉酸を生成する反応を触媒する酵素であり、葉
酸補酵素生合成系の重要な酵素である。トリメト
プリムは、サルフア剤同様葉酸補酵素生合成系の
阻害剤であるが、この薬剤はDHFRと強力に結
合し、酵素活性を阻害する。このため、培地中に
トリメトプリムが存在すると大腸菌などの細菌は
成長することができなくなる。ところが、
DHFR遺伝子をプラスミド等に組み込み、遺伝
子のコピー数を増大させるなどして菌体中の
DHFR含量を高めてやると、細菌はトリメトプ
リムに対して耐性を獲得する(M.lwakura et
al.,j.Biochemistry,vol91,p.1205(1982))。こ
の性質をもちいて、DHFR遺伝子がプラスミド
の選択マーカーとして利用され、DHFR遺伝子
を組み込んだプラスミドベクターを用いて、実際
遺伝子のクローニングが行われている(特許第
1369288号、M.lwakura et al.,j.Biochemistry,
vo1.92,p.615(1982))。DHFR遺伝子を用いたト
リメトプリム耐性マーカーは、遺伝子の大きさが
約500塩基対と小さいこと、遺伝子中に利用しや
すい制限酵素部位があること、遺伝子の発現量と
トリメトプリム耐性の強さとに非常に良い相関関
係が存在することなどから優れた遺伝マーカーで
あり、広範囲な利用が期待されている。
本発明者らは、大腸菌のDHFR遺伝子を組み
込んだ種々のベクターを開発している(特許第
1369288号、同第1369291号、特開昭57−110999号
公報、特開昭59−135889号公報、特開昭58−
133769号公報、特開昭60−184388号公報、特開昭
60−199385号公報、特開昭62−69990号公報、特
開昭62−126984号公報など)。改変DHFR遺伝子
を含んだプラスミドとしては、本発明者らが作成
したpTP70−1がある(特開昭63−46193号公
報)。
DHFR遺伝子の3′末端側に遺伝暗号の読み取り
枠を合うようにして異種遺伝子を導入することに
より、異種遺伝子産物をDHFRと融合したタン
パク質として発現生産しようとする方法として
は、枯草菌のDHFR遺伝子を利用した方法が、
本発明者らにより行われており、DHFRとの融
合タンパク質をつくることが有意義で有ることに
関しては既に明らかにされている(特開昭63−
87981号公報、特開昭63−102696号公報、特開昭
63−245679号公報、特開昭63−245680号公報、特
開昭63−258597号公報、特開平1−38099号公報
など)。
(問題点) しかしながら、枯草菌のDHFR遺伝子の3′末端
側に遺伝暗号の読み取り枠を合うようにして異種
遺伝子を導入することにより、異種遺伝子産物を
DHFRと融合したタンパク質として発現生産し
ようとする方法においては、遺伝子の発現効率が
それほどでもなく、作られる融合タンパク質の菌
体内生産量は、菌体タンパク質のせいぜい数%程
度であり、発現効率を高め生産量を上げることが
解決しなければならない問題として残されてい
た。本発明者らは、大腸菌のDHFRを大量に生
産する組換えプラスミドpTP64−1を作成して
いる(特開昭62−69990号公報)。pTP64−1を
有する大腸菌においては、DHFRが菌体タンパ
ク質の約15%もしくはそれ以上生産されている。
しかしながら、大腸菌のDHFR遺伝子において
は、遺伝子の3′末端側に異種遺伝子を導入した場
合、DHFR酵素活性を失うことなく融合タンパ
ク質として発現されるか否かに関しては全く未知
であつた。
(発明の目的) 本発明の目的は、上記問題点を解決するため
に、DHFRのカルボキシ末端側に異種遺伝子産
物が融合した融合タンパク質を効率良く生産する
方法を確立することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、既に、本発明
者らがDHFR遺伝子を遺伝マーカーとして容易
に利用可能とする目的で開発したpTP70−1の
DHFR遺伝子が、遺伝子の3′末端の配列を人工的
に改変しても酵素活性を有する改変DHFRを菌
体タンパク質の約20%程度発現生産するという事
実に着目し、pTP70−1を改変することにより、
新規組換えプラスミドpTP104−4を構築し、
pTP104−4を利用することにより、上記問題点
が解決できることを明らかにし、本発明を完成さ
せた。
(発明の構成) 本発明は、(1)pTP70−1を改変したpTP104−
4、および(2)pTP104−を含有する大腸菌の発明
により構成されている。
(1) pTP104−4。
pTP104−4は、DHFRの生産効率を高める目
的で、pTP70−1のDHFR遺伝子の下流に効率
の良いターミネーターとして知られているrrnB
(リボゾームRNA遺伝子のうち一つ)遺伝子のタ
ーミネーター領域を導入することにより得られた
組換えプラスミドであり、新規な組換えプラスミ
ドである。第1図は、本発明のpTP104−4の全
塩基配列を示している。第2図は、pTP104−4
の制限酵素切断地図を示している。pTP104−4
は、4466塩基対の大きさであり、宿主である大腸
菌にトリメトプリム耐性およびアンピシリン耐性
を付与することができる。pTP104−4は、制限
酵素AatII,BamHI,BclI,BglII,ClaI,
EcoRI,HindIII,Hpal,Pstl,PvoII、および
SalIによつて、それぞれ1(4318−4323),1(532
−537),1(58−63),2(13−18,538−543),2
(1−6,545−550),1(471−476),2(19−24,
4461−4466),2(7−12,4434−4439),1(3641
−3646),1(1822−1827)、および1(825−830)
箇所の認識切断部位を有する(第1図における各
制限酵素の切断認識部位を括弧の中に示してい
る)。
pTP104−4に導入されたターミネーター
DNAは、rrnB遺伝子のターミネーター領域であ
る。rrnB遺伝子のターミネーター領域を含むプ
ラスミドは、Brosiusら(J.Brousis et.al.,J.
Mol Biol.vol.148,107(1981)が構築しいるもの
で、rrnB遺伝子のターミネーター領域を含むプ
ラスミドは、フアルマシン社などから購入でき
る。pTP104−4の作成には、プラスミド
pKK175−6に導入されているものを利用してい
る。第1図の1600番目から1824番目迄の配列が
rrnB遺伝子のターミネーター領域を含む配列で
ある。この配列を導入することににより、改変
DHFRの大腸菌での生産量を、1.0から1.4倍に増
大させることができた(下記(2)pTP104−を
含有する大腸菌の項参照)。
(2) pTP104−4を含有する大腸菌。
上記のpTP104−4は、宿主である大腸菌にト
リメトプリム耐性およびアンピシリン耐性を付与
することができ、また、pTP104−4は、E.coli
C600株に導入されて安定状態に保たれ、pTP104
−4を含有するE.coli C600株は、微工研に
FERMP−1579として寄託されている。
pTP104−を含有する大腸菌は、改変DHFRを
大量に生産する。pTP104−を含有する大腸菌
を、YT+Ap培地(培地11中に、5gのNaCl、8g
のトリプトンg、5gのイーストエキス、および
5mgのアンピシリンナトリウムを含む培地)で対
数生長期の後期から定常期まで培養した菌体から
得られる無細胞抽出液中のDHFRの比活性は、
約9から10ユニツト/mgタンパク質の値である。
pTP70−1を含有する大腸菌の値は、約7から
9ユニツト/mgタンパク質であり、pTP104−4
を含有する大腸菌を用いることによりDHFRの
生産量を1.0から1.4倍に増大させることができ、
改変DHFRの生産に適している。
本発明のpTP104−4を利用することにより
DHFRと異種遺伝子産物との融合タンパク質の
作成方法を作成することができる。
第3図は、pTP104−4のDHFRが作るDHFR
のアミノ酸配列を示した図である。pTP104−4
のに唯一存在する制限酵素BamHI部位(第1図
の532番目から537番目の配列)の配列は、
DHFRのカルボキシ末端から2から4番目(ア
ミノ酸末端から159から161番目、第3図参照)の
アミノ酸配列を暗号化する。BamHIは、付着末
端(Cohesive end)を生じる制限酵素であるこ
とから、末端の相補性を利用して切断部位に異種
DNAを導入すると、第1図の532番目と533番目
の間にDNAが導入され、かつその配列は、5′−
G(522番目)GATC−(異種DNA)−GATCC
(537番目)−3′という共通配列を持つことになる。
従つて、異種DNAが導入されることにより、作
られる融合タンパク質は、第2図に示される
DHFRのアミノ酸配列のうち、一番目のメチオ
ニン(Met)から160番目のイソロイシン(Ile)
までのアミノ酸配列が全く共通で、160番目以降
に異種DNA由来のアミノ酸配列をしている融合
タンパク質が作られる。
この特徴を利用すると、DHFRと異種遺伝子
産物との融合タンパク質を容易に作成できる。融
合タンパク質の作成は、(A)融合遺伝子の作成、即
ち、pTP104−4のDHFR遺伝子の3′末端側への
異種遺伝子が結合した遺伝子を有する組換えプラ
スミドの作成、(B)組換えプラスミドの大腸菌への
導入、(C)大腸菌で発現した融合遺伝子産物である
融合タンパク質の検出により行うことができる。
(A) 融合遺伝子の作成 pTP104−4のBamHI部位を用いたDHFR遺
伝子との融合遺伝子の作成法としては、
BamHIによる切断によつて生じる付着末端を利
用し、DHFR遺伝子の読み取り枠を合わせて融
合遺伝子を作成する方法、BamHIによつて切
断した後、DNAポリメラーゼもしくは逆転写酵
素を用いて平滑末端にし、DHFR遺伝子の読み
取り枠を合わせ、異種DNAをブラントエンドラ
イゲシヨンにより結合し融合遺伝子を作成する方
法、BamHIによつて切断した後、ヌクレアー
ゼSlもしくは1本鎖DNAを特異的に切断するヌ
クレアーゼを用いて平滑末端にし、DHFR遺伝
子の読み取り枠を合わせ、異種DNAをブラント
エンドライゲシヨンにより結合し融合遺伝子を作
成する方法、BamHIによつて切断した後、エ
キソヌクレアーゼBAL31などのエキソヌクレア
ーゼをもちいて平滑末端にし、異種DNAをブラ
ントエンドライゲシヨンにより結合し融合遺伝子
を作成する方法などの方法を行うことができる。
これらの方法は、組換えDNAを行つている当事
者であればなんの問題もなく容易に行うことがで
きる。参考例においては、BamHIによる切断
によつて生じる付着末端を利用し、大腸菌の染色
体DNAをSau3AIで切断して得られるDNA断片
を利用して種々の分子量を有する融合タンパク質
を作成できることを示している。
(B) 組換えプラスミドの大腸菌への導入 (A)で作られた組換えプラスミドの大腸菌細胞へ
の導入は、いわゆるトランスホーメーシヨン法に
よつて行うことができる。組換えプラスミドのト
ランスホーメーシヨン法としては種々の方法が知
られているが、本発明で作られるpTP104−4を
用いて作られた組換えプラスミドの大腸菌への導
入は、組換えDNAを行つている当事者であれば
なんの問題もなく容易に行うことができ、トラン
スホーメーシヨンの方法にはよらない。
pTP104−4を用いて作られた組換えプラスミ
ドが導入された大腸菌は、寒天培地を用いて容易
に検出することができる。pTP104−4は、遺伝
マーカーとして、アンピシリン耐性とトリメトプ
リム耐性を有する。アンピシリン耐性は、
DHFR遺伝子との融合遺伝子を作る際に全く操
作を受けないことから、組換えプラスミドにもそ
のまま受け継がれる。また、トリメトプリム耐性
を付与する遺伝子であるDHFR遺伝子は、上記
(A)の融合遺伝子の作成操作によつて作られる
DHFRのカルボキシ末端側に異種ペプチドもし
くはタンパク質ガ結合してもDHFR酵素活性を
失わないことから、トリメトプリム耐性を付与す
る能力を有している。従つて、pTP104−4を用
いて作られた組換えプラスミドが導入された大腸
菌は、アンピシリンおよびトリメトプリムに対し
て耐性を示す。寒天培地として、形質転換に用い
る大腸菌が生長できる培地にアンピシリンおよび
トリメトプリムを加えた培地を用いると、この培
地に生長する形質転換株は、pTP104−4を用い
て作られた組換えプラスミドが導入された大腸菌
である。
(C) 大腸菌で発現した融合遺伝子産物である融合
タンパク質の検出 pTP104−4は、改変DHFRを大量に作らせる
ことができる。pTP104−4を含有する大腸菌
を、YT+Ap培地で対数生長期の後期から定常
期まで培養した菌体を、SDSポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(以下、SDS−PAGEと略す。)用
のサンプル調製液(参考例参照)に懸濁・溶菌
し、これをSDS−PAGEで分離し、タンパク質を
クマジーブリリアントブルーで染色すると、分子
量約20000のところにもつとも明瞭なバンド(メ
インバンド)が示される。pTP104−4を用いて
作成した組換えプラスミドを含有する大腸菌は、
DHFRの融合タンパク質を大量に作ることがで
き、作られた融合タンパク質は、pTP104−4を
含有する大腸菌が作る改変DHFRと同様にして、
SDS−PAGEを用いて検出することができる。
SDS−PAGEの方法は、Laemmliの方法に従つ
て容易に行うことができる。SDS−PAGEにおい
ては、分子量が小さいタンパク質の泳動度が大で
あり、分子量の大きいタンパク質の泳動度が小で
ある。また、泳動度と分子量との間には非常に良
い相関関係があるとが知られている。このことか
ら、融合タンパク質の分子量を推定することがで
き、導入した遺伝子の配列と考え併せて、目的の
融合タンパク質であるか否かを判定することが可
能である。
次に本発明の実施例および参考例を示す。
(実施例 1) pTP104−4の作成 約1μgのpTP70−1(特開昭63−46193)を、
SalIおよびPvuIIで切断した後、アルカリホスフ
アターゼ処理をした。アルカリホスフアターゼ処
理したDNAをフエノール処理することにより、
共存する酵素タンパク質を変性除去し、その後エ
タノールでDNAを沈澱させた。沈澱したDNAを
70%エタノールで洗つた後、エタノールを除き、
減圧下に沈澱を乾燥させた。制限酵素による
DNAの切断、アルカリホスフアターゼ処理、フ
エノール処理、およびエタノール沈澱の各操作
は、いずれも、“Molecular Cloning A
Loboratory Manual”(T.Maniatis.E.F.
Fritsch,J.Sambrook.eds.Cold Spring Harbor
Laboratory(1982)、以下、文献1と呼ぶ。)に記
載している方法に従つて行つた。約1μgの
pKK175−6(フアルマシア社より購入)を、
SalIおよびPvuIIで切断した後、エタノールで
DNAを沈澱させた。沈澱したDNAを70%エタノ
ールで洗つた後、エタノールを除き、減圧下に沈
澱を乾燥させた。
乾燥させたDNA(pTP70−1およびpKK175−
6を制限酵素で切断したもの)を、それぞれ、
50μlのリガーゼ用反応液(10 mM Tris−HCl,
PH〓4,5mM Mgcl2,10mMジチオトレイトー
ル、5mM ATP)に溶解後、両者を合わせ、こ
れに10ユニツトのT4−DNAリガーゼを加えて、
25℃で、4時間DNAの連結反応を行わせた。こ
の反応物を、形質転換法(transformation
method、上記文献1に記載)に従つて、大腸菌
に取り込ませた。この処理をした菌体を、50mg/
1のアンピシリンナトリウムおよび10mg/1のト
リメトプリムを含む栄養寒天培地(培地11中に、
2gのグルコース、1gのリン酸2カリウム、5gの
イーストエキス、5gのポリペプトン、15gの寒天
を含む。)上に塗布し37℃で24時間培養すること
により、約50個のコロニーを得ることができた。
これらのコロニーから適当に8個選び、5mlの
YT+Ap培地(培地11中に、5gのNaCl、5gのイ
ーストエキス、8gのトリプトン、50mgのアンピ
シリンナトリウムを含む。)で、37℃、1晩、菌
体を培養した。培養液を、各々エッペンドルフ遠
心管にとり、12000回転/分で10分間遠心分離し、
菌体を沈澱として集めた。これに、0.1mlの電気
泳動用サンプル調製液(0.0625MのTris−HCl.PH
6.8,2%のラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、10
%のグリセリン、5%の2−メルカプトエタノー
ル、0.001%のプロムフエノールブルーを含む。)
を加え、菌体を懸濁し、これを沸騰水中に5分間
保ち、菌体を溶かした。この処理をしたサンプル
をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(U.K.Lammli;Nature,vol.227,p.680(1970)
に従つて分析した。標準サンプルとしてpTP70
−1を含有する大腸菌に同様な処理をしたもの、
および分子量マーカーとしてラクトアルブミン
(分子量14200)、トリプシンインヒビター(分子
量20100)、トリプシノーゲン(分子量24000)、カ
ルボニツクアンヒドラーゼ(分子量29000)、グリ
セロアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(分
子量36000)、卵アルブミン(分子量45000)、およ
び牛血清アルブミン(分子量66000)を含むサン
プルをポリアクリルアミド濃度の10から20%濃度
勾配ゲルで泳動した。その結果、調べた8個のコ
ロニーのうち5個のコロニーは、pTP70−1の
DHFRとほぼ同じ大きさのタンパク質を生産す
ることが明らかになつた。この5個の菌体をYT
+Ap培地で培養し、TanakaとWeisblumの方法
(T.Tanaka,B.Weisblum;J.Bacteriology,
vol.121.p.354(1975)に従つて、プラスミドを調
製した。得られたプラスミドそれぞれに、制限酵
素Avalによる切断を試みたところ、いずれのプ
ラスミドもAvalでは切断されなかつた。また、
EcoRIで切断して、アガロースゲル電気泳動法で
分析したところ、いずれも一箇所だけ切断され、
またプラスミドの分子サイズは、約4.5キロ塩基
対であり、またpTP70−1より少し小さいこと
が明らかになつた。得られた5個のプラスミドか
ら適当に一個選び、pTP104−4と名づけた。
上記の操作により得られたpTP104−4は、
pTP70−1のSalIおよびPvuII切断によつて得ら
れる2本のDNA断片のうち大きい方と、
pKK175−6のSalIおよびPvuII切断によつて得
られる2本のDNA断片のうち小さい方の断片が
結合した構造をしている筈である。pTP104−4
をSalIおよびPvulIを用いて切断したところ、予
想どうり2本のDNA断片が得られ、大きい方の
DNA断片は、pTP70−1のSalIおよびPvuII切断
によつて得られる2本のDNA断片のうち大きい
方のDNA断片、小さい方のDNA断片は、
pKK175−6のSalIおよびPvuII切断によつて得
られる2本のDNA断片のうち小さい方の断片と
完全に一致した。既に、pTP70−1および
pKK175−6の全塩基配列が明らかにされている
ことから、その結果を用いて、pTP104−4の全
塩基配列が、第1図に示すように決められた。
(実施例 2) pTP104−4を含有する大腸菌のDHFR生産量 pTP104−4を含有するE.coli C600とpTP70−
1を含有するE.coli C600を、それぞれ、50mlの
YT+Ap培地で一晩培養後、菌体を遠心分離に
より集めた。菌体を0.1mMのエチレンジアミン
4酢酸2ナトリウム(EDTA)を含む10mMリン
酸緩衝液PH1.0(以下、緩衝液1)で洗つた後、に
懸濁し、2mlの緩衝液1に懸濁し、音波破砕し
た。音波破砕した菌体液を、20000回転/分で1
時間遠心分離し、上清を得た。得られた上清につ
いて、DHFR酵素活性とタンパク質量を測定し
た。測定した酵素活性とタンパク質量から上清タ
ンパク質1mg当たりのDHFR酵素活性(比活性
(units/mg protein))を計算した。この値は、
DHFRの菌体の生産量に比例する量である。そ
の結果、pTP104−4を含有するE.coli C600で
は、9.02,9.85,9.90の値(3回行つた。)が、
pTP70−1を含有するE.coli C600では、7.05,
8.20,8.95の値が得られた。いずれも、pTP104
−4を含有する菌体の方がDHFR生産量が上回
つていた。
(参考例) 融合タンパク質の作成 約1μgのpTP104−4を、BamHIで切断した
後、アルカリホスフアターゼ処理をした。アルカ
リホスフアターゼ処理したDNAをフエノール処
理することにより、共存する酵素タンパク質を変
性除去し、その後エタノールでDNAを沈澱させ
た。沈澱したDNAを70%エタノールで洗つた後、
エタノールを除き、減圧下に沈澱を乾燥させた。
約5mgの大腸菌染色体DNAを、Sau3AIで切断
した後、エタノールでDNAを沈澱させた。沈澱
したDNAを70%エタノールで洗つた後、エタノ
ールを除き、減圧下に沈澱を乾燥させた。乾燥さ
せたDNAを、それぞれ、50μlのリガーゼ用反応
液(10mM Tris−HCI,PH7.4,5mM MgCl2
10mMジチオトレイトール,5mM ATP)に溶
解液、両者を合わせ、これに5ユニツトのT4−
DNAリガーゼを加えて、25℃で、4時間DNAの
連結反応を行わせた。この反応物を、形質転換法
(transformation method、上記文献1に記載)
に従つて、大腸菌に取り込ませた。この処理をし
た菌体を、50mg/1のアンピシリンナトリウムお
よび10mg/1のトリメトプリムを含む栄養寒天培
地(培地11中に、2gのグリコース、1gのリン酸
2カリウム、5gのイーストエキス、5gのポリペ
プトン、15gの寒天を含む。)上に塗布し、37℃
で24時間培養することにより、約500のコロニー
を得ることができた。これらのコロニーから適当
に20個選び、1.5mlのYT+Ap培地(培地11中に、
5gのNaCl、5gのイーストエキス、8gのトリプト
ン、50mgのアンピシリンナトリウムを含む。)で、
37℃、1晩、菌体を培養した。培養液を、各々エ
ツペンドルフ遠心管にとり、12000回転/分で10
分間遠心分離し、菌体を沈澱として集めた。これ
に、0.1mlの電気泳動用サンプル調製液
(0.0625MのTris−HCl,PH6.8、2%のラウリル
硫酸ナトリウム(SDS)、10%のグリセリン、5
%の2−メルカプトエタノール、0.001%のブロ
ムフエノールブルーを含む。)を加え菌体を懸濁
し、これを沸騰水中に5分間保ち、菌体を溶かし
た。この処理をしたサンプルをSDS−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動法(U.K.Lammli;
Nature,vol.227,p.680(1970))に従つて分析し
た。標準サンプルとしてpTP104−4を含有する
大腸菌に同様な処理をしたもの、および分子量マ
ーカーとしてラクトアルブミン(分子量14200)、
トリプシンインヒビター(分子量20100)、トリプ
シノーゲン(分子量24000)、カルボニックアンヒ
ドラーゼ(分子量29000)、グリセロアルデヒド3
−リン酸デヒドロゲナーゼ(分子量36000)、卵ア
ルブミン(分子量45000)、および牛血清アルブミ
ン(分子量66000)を含むサンプルをポリアクリ
ルアミド濃度の10から20%濃度勾配ゲルで泳動し
た。その結果、調べた20個のコロニーのうち、18
個ではpTP104−4のDHFRバンドが消失し、そ
れより明らかに分子量が大きくなつたタンパク質
(おのおのの菌体で新たに現れたタンパク質のバ
ンドの位置は異なつていた。)を新たに生産して
いた。分子量マーカータンパク質の泳動度と比較
することにより、それらのタンパク質の分子量
は、約23000から約35000の間の値であつた。
pTP104−4のDHFR(分子量18379)は、この条
件で分子量約20000のタンパク質として泳動した。
従つて、大腸菌の染色体DNAのSau3AI切断断片
を融合することによつて、DHFRのカルボキシ
末端側に、分子量約3000から約15000のペプチド
もしくはタンパク質が融合した融合タンパク質が
生成したことが示された。融合タンパク質を生産
する大腸菌は、いずれもトリメトプリム耐性であ
ることから、融合タンパク質は、DHFR活性を
有することが明らかである。
また、新たに出現したタンパク質のバンドのク
マジプリリアントブルーによる染色の状態から、
タンパク質の生成量が推定されるが、いずれも
pTP104−4のDHFRのバンドと同程度かその以
上であり、融合タンパク質が安定に生産されるこ
とが示された。
さらに、本参考例では、大腸菌の染色体DNA
をSau3AIで切断して得られるDNA断片を融合遺
伝子の作成に用いており、得られた融合タンパク
質は、たまたま遺伝子の読み取り枠が一致し、そ
の読み取り枠上で翻訳停止暗号が出現するまでの
配列が、融合したことによつて得られたものと考
えられる。
(発明の効果) 本発明に、従えば、DHFRのカルボキシ末端
側に有用ペプチドもしくはタンパク質を融合する
ことが容易である。大腸菌の菌体で不安定なペプ
チドもしくはタンパク質の生産には、融合タンパ
ク質として生産されることが期待されており、本
発明は、DHFRと融合タンパク質を作らせるこ
とによる有用ペプチドもしくはタンパク質の大量
生産に貢献することが大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、pTP104−4の全塩基配列を示した
図であり、2本鎖DNAのうち片方のDNA鎖配列
だけを、5′末端から3′末端の方向に記述してい
る。図中符号は、核酸塩基を表し、Aはアデニン
を、Cはシトシンを、Gはグアニンを、Tはチミ
ンを示している。図中番号は、pTP104−4に2
箇所存在する制限酵素ClaI切断認識部位のうち制
限酵素HindIII切断部位に近い方のClaI切断認識
部位の5′−ATCGAT−3′、の最初の“A”を1
番として数えた番号を示している。第2図は、
pTP104−4の制限酵素切断地図を示す図であ
る。図中白枠の矢印は、DHFR遺伝子の位置と
発現方向を示し、黒枠はrrnB遺伝子のターミネ
ーター領域を含む部分を示している。第3図は、
pTP104−4中に存在するDHFRを暗号化する部
分の塩基配列およびタンパク質のアミノ酸配列を
示す図である。図中符号は、核酸塩基およびアミ
ノ酸を表し、Aはアデニンを、Cはシトシンを、
Gはグアニンを、Tはチミンを、Alaはアラニン
を、Argはアルギニンを、Asnはアスパラギン
を、Aspはアスパラギン酸を、Cysはシステイン
を、Glnはグルタミンを、Gluはグルタミン酸を、
Glyはグルシンを、Hisはヒスチジンを、Ileはイ
ソロイシンを、Leuはロイシンを、Lysはリジン
を、Metはメチオニンを、Pheはフエニルアラニ
ンを、Proはプロリンを、Serはセリンを、Thr
はトレオニンを、Trpはトリプトフアンを、Tyr
はチロシンを、Valはバリンを示している。図中
番号は、1番目のアミノ酸であるメチオニンを暗
合化するATGコドンの“A”を1番として数え
た番号を示している。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 大腸菌において安定に複製され、宿主である
    大腸菌にトリメトプリム耐性およびアンピシリン
    耐性を与えることができ、トリメトプリム耐性を
    与えるジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子の3′末端側に
    遺伝暗号の読み取り枠を合わせて異種遺伝子を導
    入することにより、異種遺伝子産物をジヒドロ葉
    酸還元酵素と融合したタンパク質として効率よく
    発現させることができ、4466塩酸対の大きさを有
    し、下記のDNA配列を有する発現ベクター
    pTP104−4。 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】 2 大腸菌において安定に複製され、宿主である
    大腸菌にトリメトプリム耐性およびアンピシリン
    耐性を与えることができ、トリメトプリム耐性を
    与えるジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子の3′末端側に
    遺伝暗号の読み取り枠を合わせて異種遺伝子を導
    入することにより、異種遺伝子産物をジヒドロ葉
    酸還元酵素と融合したタンパク質として効率よく
    発現させることができ、4466塩酸対の大きさを有
    し、下記のDNA配列を有する発現ベクター
    pTP104−4を含有するE.coli C600株。 【表】 【表】 【表】 【表】
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