JPH0361585B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、寸法回復性物品、特に寸法的に熱回
復性の物品に関する。 熱回復性物品とは、熱処理を受けると物品の寸
法が実質的に変化し得る物体である。 通常、これらの物品は、加熱時に、変形される
前の最初の形に回復するが、本明細書中で用いる
「熱回復性」なる語句は、それ以前に変形されて
いなかつたとしても新らしい形状を採る物品も包
含する。 最も一般的な形状では、そのような物品は、例
えば米国特許第2027962号、第3086242号および第
3957372号に記載のごとき弾性または可塑性記憶
を示すポリマー材料から作られる熱収縮性スリー
ブから構成される。たとえば米国特許第2027962
号に明確にされている様に、その最初の寸法的に
熱安定な形状は、例えば押出されたチユーブを熱
いうちに寸法的に熱不安定な形状に拡大するよう
な連続的な過程での一時的な形状であつてよい
が、他の場合には、予め成形された寸法的に熱安
定な物品は、他の工程において寸法的に熱不安定
な形状に変形される。 熱回復性物品を製造する場合、所望の寸法的な
回復性を強化しうるポリマー物品の架橋は、物品
製造のどの段階で行つてもよい。熱回復性物品を
製造する一方法は、ポリマー材料を所望の熱安定
形状に成形した後、ポリマー材料を架橋し、該物
品を、ポリマーの種類に応じて、結晶融点または
非結晶物質に関してはポリマーの軟化点以上の温
度に加熱し、該物品を変形し、その状態のまま冷
却して物品の変形された状態を保持することから
成る。使用する場合、変形された状態の物品は熱
的に不安定であるから、熱をかけるとその最初の
熱安定形状になろうとする。 例えば英国特許第1440524号に記載されている
ような他の物品では、外部チユーブ状部材の如き
弾性部材を内部チユーブ状部材の如き第二部材に
より伸びた状態で保持し、加熱して第二部材を軟
化し弾性部材を回復させる。 近年、この様な物品は、ケーブルや電気装置を
物理的、環境的に保護するために広く用いられる
様になつた。ケーブルや装置にシールドを供給し
て、電気的、磁気的または電磁気的干渉から遮蔽
し、あるいはケーブルや装置による隣接した装置
での干渉を防止することがしばしば望ましい。シ
ールドは、多くの方法、たとえば金属ブレード、
導電性金属塗料により、あるいは金属装備品によ
り供給することができる。ケーブルや装置を電磁
気的干渉から遮蔽するためにケーブルや装置の部
分の包囲に用いられる寸法回復性物品に薄い金属
被覆層を供給することが提案された。しかし、こ
の様な物品のシールド効果は小さく、通常30〜
50dBを越えない。 本発明は、基材の少くとも一部を包囲するため
の寸法回復性物品であつて、付着された導電性層
を少くとも一部に有する表面を持ち、表面は回復
の方向に実質的に垂直に延びる複数の溝の形状に
形成されて回復方向の表面寸法の実質的変化無し
に物品が回復するのを可能にする物品を提供す
る。 好ましくは導電性層は金属から成るが、原理的
には他の導電性物質、たとえば、もし導電性層の
厚さが効果的な遮蔽を与えるのに十分ならば、カ
ーボンの様な導電性充填材を高含量で含むポリマ
ーなどを用いることができる。本発明において金
属が明らかに好ましいので、以下の説明は金属層
を用いて説明するが、ある場合には金属の一部分
または全部を他の導電性物質で置きかえてもよい
ことが理解される。 物品の表面の一つに回復方向に垂直な方向に向
いた溝を形成することにより、金属が物品の回復
を妨げたり、層の割れや表面からのフレーキング
が生じたりすることなく、物品に比較的厚い導電
性層を供給することが可能である。好ましくは、
少くとも金属から成る部分では、導電性層は少く
とも５ミクロン、たとえば５〜50ミクロン、特に
少くとも10ミクロンの厚さを有する。導電性層の
好ましい厚さは、特に銅の場合10〜30ミクロンで
あるが、導電性の小さい金属、たとえば鉛を用い
る時はより厚い層が望ましい。比較的厚い金属層
は物品のシールド性能を増し、ある場合には本発
明の物品は100dBまたはそれ以上のシールド性能
を有することが見い出されている。 好ましくは、溝は実質的に断面Ｖ字形状（また
は断面山がた）であり、そのピツチが変化するこ
とにより、すなわち傾斜側面がより急になつて狭
くなることにより物品の回復に適合する。好まし
い物品では、溝は相互に隣接して並び、実質的に
幅の無いランドにより分離されているので、金属
層にジグザグの横断方向形状を与える。この場
合、金属層および下のポリマー材料は、アコーデ
イオン式に折りたたまれることにより物品の回復
に適合することができる。好ましくは、溝のピツ
チ、すなわち各溝の２面間の角度は、回復前の物
品では少くとも100°、より好ましくは少くとも
130°、最も好ましくは少くとも140°であり、回復
した物品では30〜80°、特に45〜65°の範囲のピツ
チに変化する。理論的には、物品は溝のピツチが
180°になる程度に膨張させることができるが、そ
こまで物品を膨張すると溝の表面自体が引き伸ば
され、金属層にある程度のクラツキングが回復時
に観察されることがわかつた。溝のピツチが約
140°となるように物品を膨張させた時でさえ、溝
表面にある程度の膨張が生じることがあるが、そ
の程度は小さく、金属層は物品回復時の溝表面に
おける著しい収縮を防止することができる。通
常、溝は0.4〜２mmの範囲の深さを有するが、そ
れより深い、あるいは浅い溝でもよい。しかし、
好ましくは各溝はその長さにそつた任意の点でそ
の点での物品の直径の25％を越えない、特に10％
を越えない深さを有する。理解される様に、本発
明の物品の直径は長さに沿つて変化してよく、溝
の形状および／または寸法は物品の直径の変化に
適応する為に長さに沿つて変化する必要があるこ
とがおこる。 金属層はポリマー材料の表面に固着しているこ
とから、および該層は物品の回復中に折りたたま
れうることから、該層は物品の回復に対してほと
んど抵抗とならず、制御された状態で折りたたま
れる。さらに、金属の正確な折りたたみは、回復
力が金属層領域上で該層に均一に加えられ、かつ
回復力が金属層の収縮方向に平行な円周方向に該
層に対して加えられるという事実により助長され
る。金属層が分離した箔として供給されるなら
ば、回復力は、物品の回復により該層に対して溝
またはたて溝の頂部の径方向に働くこととなり、
溝のゆがみが生じ、箔の部分が物品の内表面から
持ち上げられる傾向もでてくる。 本発明の物品の多くの形状においては金属層は
自体物品の内表面を形成する。しかしながら、他
の物質（たとえば接着剤）の１またはそれ以上の
層を金属層上に被覆してもよい。従つて、たとえ
ば、金属層には、その全表面または出口領域にお
いて、ホツトメルト型接着剤あるいは硬化性接着
剤（たとえばエポキシ接着剤）の様な接着剤また
はハンダを塗布することができる。好ましい接着
剤は、金属層と装置またはケーブルのブレードま
たは他のスクリーンとの間に連続性を与える導電
性接着剤、たとえば銀充填エポキシ接着剤であ
る。 本発明の回復性物品は、少くとも一部が複数の
溝の形状に形成された表面を有する物品を成形
し、溝に実質的に垂直な方向に寸法的に回復する
様に物品を膨張し、該表面上に導電性物質、好ま
しくは金属の層を付着させることにより製造する
ことができる。 本発明の物品は、金型成形もしくは押出成形ま
たはこれらの組合せのいずれによつても任意の所
望形状に成形することができる（英国特許第
2074931A号参照）。物品は、たとえば開放形状を
有していてよく、基材の末端に接近することなく
長い基材に巻き付けられ、その端部分は物品の回
復中に端部分を一体に保持するクロージヤー手段
を有する（米国特許第3455336号参照）様に設計
することができる。しかし、好ましくは、物品は
最初に成形された中空であり、この場合金属層は
上述の様に物品の内表面上に供給される。物品
は、通常独立したチユーブ、または成形パーツ、
たとえばブーツ、アダー（この用語は、少くとも
３つの出口を有し、電線の成端に用いられ、「ト
ランジシヨン」を含むあらゆる中空の収縮性物品
を包含する意味で用いられる。）、末端キヤツプな
どの形状に製造される。溝は、押出成形品の場
合、ダイヘツドに鋸歯形状を与えることにより、
金型成形品の場合、金型のコアピンに対応する溝
とうねを加工することにより、形成することがで
きる。 架橋でき、寸法的に回復しうる性質を付与でき
るならばいずれのポリマー材料も物品の製造に使
用でき、たとえば英国特許第990235号に開示され
たものが使用できる。ポリマー材料として用いら
れるポリマーには、ポリオレフイン類（たとえば
ポリエチレン、ポリプロピレン）およびエチレン
たとえばプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテ
ン、酢酸ビニルもしくは他のビニルエステル、ア
クリル酸メチルもしくはエチルとのコポリマー、
ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポ
リフツ化ビニリデン、または他のフツ素化ポリマ
ーもしくはコポリマー〔たとえばTefzel（商品
名、デユポンから市販）〕、英国特許第1010064号
に開示された様なエラストマー材料、英国特許第
1284082号ならびに第1294665号に開示された様な
ブレンド、米国特許第4275180号に開示された様
な組成物などが包含される。ポリマー材料は、用
途に応じ、充填材（たとえば半導性充填剤または
抗トラツキング剤）、難燃剤、可塑剤、顔料、安
定剤および潤滑剤の添加により加工でき、またポ
リマー材料が実質的に非結晶性である場合にはホ
ールドアウト剤（たとえばポリエチレンの様な熱
可塑ポリマー）を含んでいてよい。 ポリマー組成物は、化学架橋剤の添加または高
エネルギー放射線の照射により架橋できる。適当
な架橋剤の例としては、過酸化物（たとえばジク
ミルパーオキシド、２，５−ビス（ｔ−ブチルパ
ーオキシ）−２，５−ジメチルヘキサン、２，５
−ビス（ｔ−ブチルパーオキシ）−２，５−ジメ
チルヘキシン−３、α，α−ビス（ｔ−ブチルパ
ーオキシ）−ジイソプロピルベンゼン）などの遊
離ラジカル開始剤が挙げられる。適当な架橋剤の
他の例は、C.S.SheppardおよびV.R.Kamath、
Polymer Engineering ＆ Science、第19巻第
９号597〜606頁（1979年）“The Selection and
Use of Free Radical Initiators”に開示されて
いる。典型的な化学架橋用組成物では、ポリマー
組成物重量に対して約0.5〜５重量％の過酸化物
を加える。架橋剤は単独で、または多官能性ビニ
ルまたはアリル化合物（たとえばトリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレートまたはペ
ンタエリスリトールテトラメタクリレート）の様
な共架橋剤と組み合せて用いることができる。 放射線架橋は、電子線またはガンマ線の様な高
エネルギー放射線に暴露することにより行うこと
ができる。照射線量は、一般に２〜80Mrads、好
ましくは２〜50Mrads、たとえば２〜20Mrads、
特に４〜15Mradsである。 照射中の架橋を促進するために、多官能性ビニ
ルまたはアリル化合物（たとえばトリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレートまたはペ
ンタエリスリトールテトラメタクリレート）の様
なプロラド（prorad）0.2〜５重量％を照射前に
組成物中に添加することができる。 好ましくは、物品の異形表面の寸法は、溝に平
行な方向に元の寸法の25％を越えない、特に10％
を越えない範囲で回復中に寸法が変化する。多く
の金型型成形寸法回復性物品は、径方向に膨張さ
せる時に長さ方向に収縮し、回復中に長さが100
％に達する割合で増加する。長さの大きすぎる増
加は本発明の物品では避けなければならない。こ
の理由はこの様な増加により、装着された物品の
シールド効果を減少させる金属層中のクラツクが
回復中に生じるからである。寸法の変化を少く
し、あるいは防止することができる１つの方法
は、膨張の方向に垂直な方向の変化が減少され、
あるいは防止される様に、膨張中に物品を保持す
ることである。寸法の変化を防止するために物品
の保持に加えて好ましく用いられる方法は、最初
に物品を過大な寸法に膨張させ、次いで初期寸法
と完全に膨張された寸法との間の中間寸法まで膨
張後に回復させる方法である。好ましくは、所望
の膨張以外の溝またはランドのゆがみに除かれる
様に、特に対応した異形外表面を有する巻型また
は芯上に回復される。 物品を膨張させ、要すれば部分的に回復させた
後、金属層を適用する。金属は好ましくはめつき
により適用される。金属の最初の層を無電解めつ
きまたは他の方法（たとえば塗布または噴霧）に
より形成した後、厚みを電解めつきにより増すこ
とができる。 層を形成するのに用いる好ましい金属は、銅、
銀、金、錫、鉛（たとえば錫／鉛はんだ）、アル
ミニウム、ニツケルまたは鉄含有金属であり、最
も好ましくは銅または銀である。要すれば層の何
らかの性質を改良するために異なる金属の積層を
形成することができる。たとえば、物品の熱劣化
を少くするために物品のポリマー材料に接触させ
てニツケル層を供給でき、あるいは物品の磁気シ
ールドを増すために高磁気透過性を有する金属
層、たとえば鉄含有金属から作られた層を供給す
ることができる。有利には、金属層には、特に金
属が銅を含んで成る場合、層を酸化から保護し、
ハンダ付に適した表面を与えるために銀の表面層
を供給するのが好ましい。加えて、錫表面層を供
給することにより、高周波（たとえば約1MHz以
上）遮蔽効果が顕著に改善されることが観察され
た。この遮蔽効果の向上は、錫が銅よりも大きい
破断時伸びを有するので、物品の激しい取扱いや
物品が回復時に溝に平行な別品の寸法がいくらか
変化することに起因して生じることがあるどの様
な小さいクラツクをも橋わたしすることができる
という事実によるものと考えられる。このめつき
された銅の遮蔽効果が非めつき銅より向上してい
ることは、（1MHz以上の）高周波において最も重
要である。これは一部には、電磁放射の波長が銅
層のクロツク寸法と同じオーダーになり、従つて
非めつき銅の遮蔽効果が減少するのがこの周波数
においてであるからである。また、この様な高周
波においては電流はいわゆる「表波効果」により
錫層内を流れるので銅層でのクロツクの存在は錫
めつき銅スクリーンの導電性に重大となる程の影
響を与えないことも一つの理由である。 好ましい方法では、膨張され（要すれば部分的
に回復され）物品の被覆されるべき表面は、ポリ
マー材料と金属との間の良好な結合を確実にする
ため、エツチングされる。適当なエツチング方法
には、クロム酸エツチング、炭化水素蒸気（たと
えば１，１，１−トリクロロエタンまたはテトラ
クロロメタン）による還流、プラズマエツチン
グ、フツ化水素蒸気によるエツチングなどが包含
される。好ましい方法は、物品を酸化クロム
（）、オルトリン酸、硫酸および水から成るエツ
チング液により50℃で１分間処理することであ
る。次いで金属を次の手順により表面上にめつき
する： (a) 表面の活性化 エツチングした表面を弱酸性第１スズイオン
溶液、たとえば塩化スズ（）10〜30ｇ／お
よび塩酸60ｇ／の溶液で20℃で0.25〜６分間
処理する。すすぎにおいて塩化すずは水酸化す
ず（）に加水分解される。 (b) 増感 次いで、活性化された表面を貴金属塩化物溶
液、たとえば塩化白金、塩化パラジウム、塩化
金、好ましくは塩化パラジウムの弱酸性溶液に
より20℃で0.25〜６分間処理する。この間、貴
金属はたとえば次の反応式に従つて表面上に沈
澱する： Sn（OH）₂＋PdCl₂→Sn（OH）₂Cl₂＋Pd (c) 無電解めつき 次いで、表面をめつきすべき金属の塩を含む
めつき溶液で処理する。たとえば、銅めつき用
の典型的な溶液は 硫酸銅 10〜50ｇ／ ロツシエル塩 10〜50ｇ／ 水酸化ナトリウム ５〜20ｇ／ ホルムアルデヒド 10〜100ｇ／ この工程において、銅は次の反応式に従つて
めつきされる： Cu⁺⁺（錯化）＋HCHO＋3OH^-→Cu＋HCO₂ ^- ＋2H₂O この反応では次の反応で発生した水素が触媒
として作用する： HCHO＋OH^-→HCO₂ ^-＋H₂ 表面を無電解めつき溶液により５〜30分間処
理すると、厚さ0.5〜1.0ミクロンの金属層が形
成され、この場合、層の厚さは通常の電解めつ
き法により増すことができる。しかし、表面の
複雑な形状の故に、無電解めつきのみにより層
を形成するのが望ましく、この場合には工程(c)
を数時間続ける。銅層の場合、続いて表面上に
電解的に錫の薄層をめつきする。 次に、本発明の数種の物品について添付図面を
参照して説明する。 第１〜４図は、本発明の４種の異なる金型成形
物品を回復させた後の長手方向断面図、 第５図は、回復前後の物品の部分横断面図、お
よび 第６図は、回復後の本発明の物品の表面移送イ
ンピーダンスを示すグラフである。 第１図では、本発明のまつすぐな金型成形物品
またはブーツは、ハーネスのワイヤ上に位置され
るべきテーパ状の厚さを有する狭い末端２および
電気接続上に配置されるべき広い末端３を有する
本体１を有して成る。図示した様に、ブーツは完
全に回復した状態である。金属層を有するブーツ
の内表面には、実質的に全長にわたつて多数の断
面Ｖ字形状溝４が供給され、それらは表面にひだ
状形状を与える様にうね状ランド５で分離されて
いる。 物品は、パートをこの形状に金型成形し、ポリ
マー材料を化学架橋剤により金型内で架橋する。
物品の内表面は、末端３において約2.5cmの直径
を有し、それぞれ幅約1.5mm、ピツチ60°および高
さ1.3mmの溝約50本が供給されている。同数の溝
を有する狭い末端２では、溝は相応して小さい
が、実質的に同じピツチを有する。60°のピツチ
により、内表面積を増加させることなく物品を径
方向に最初の寸法の約1.75倍膨張させることがで
きる。 成形後、物品を熱い内にポリテトラフルオロエ
チレン製マンドレル上に滑動させ、膨張状態で冷
却することにより物品を径方向に最初の寸法の約
２倍膨張させるが、膨張は、後の回復時に長手方
向の変化が生じるのを防止するために、末端２お
よび３を正しい間隔で保持して行われる。膨張
後、物品の最初の内寸法の約1.75倍に相当する寸
法を有し、物品の溝のピツチの変化を考慮に入れ
た物品の内表面に対応する異形外表面を有する芯
上に回復させる。物品の回復後、芯からはずし、
物品の内表面をエツチングし、上述の無電解方法
により厚さ約25ミクロンに銅をめつきする。銅表
面の酸化を防止するため、銅上に錫薄層を電解め
つきする。これで物品は使用できる状態になり、
配線ハーネスのコネクタ周囲に回復させることが
できる。 第２図は、回復後の本発明の３つの出口を有す
る金型成形物品またはトランジシヨンの断面図で
ある。物品は、主出口２２および２つの分岐出口
２３を有する本体２１から成る。本体の内表面に
は、本体および出口２２では実質的に全長にわた
つて延びるうね状ランド２５により分離された断
面Ｖ字形状溝２４が供給されており、溝は物品の
肩部に対応した領域２７において幅および深さが
収束している。２つの分岐２３にも分岐２３にわ
たつて延びる溝２６が供給されている。溝２６の
いくつかは、物品の異なる部分の膨張および回復
の方向が異なることを考慮して、溝２４の方向と
直角な方向に延びることがある。 理解される様に、溝は物品の全長にわたつて延
びているのではない。分岐２３間の本体１の１端
領域２８の内表面は物品の残部が膨張される時膨
張されないので、該領域には溝は供給されない。
出口２２および２３の末端にはケーブルのジヤケ
ツトに出口を結合するためのエポキシ接着剤が被
覆されることになるので、これら末端にも溝は供
給されない（しかし供給することも可能である）。
金型成形後、第１図について説明した様に、物品
は膨張され、金属層がめつきされる。 第３図は、ケーブルとコネクタとの間の90°接
続を包囲するのに用いられる以外は第１図のもの
と同様の物品を示す。この図では同じ部分には第
１図と同じ符号が付してある。 第４図は、ケーブルまたはハーネスのＴ字接合
を包囲するための３出口金型成形物品を示す。物
品は完全に回復した状態で示されており、各端部
に主出口３２およびアーム３６により本体３１に
接続された側方出口３３を有する本体３１から成
る。本体３１の内表面には、先の図面と同様、う
ね状ランド３５により分離された溝３４が供給さ
れ、本体３１と側方出口３３をつなぐアーム３６
には他の組の溝３７が供給されている。物品は、
第１図について説明した様に、金型成形、架橋、
次いで膨張およびめつきにより錫めつき銅層を有
する様に製造される。 多くの場合、金属層は25ミクロンもの厚さを有
する必要はなく、約15ミクロンの層厚で遮蔽効果
と製造コストをうまく調和させうることがわかつ
た。好ましい層は、ポリマー表面上にめつきされ
た0.5ミクロンのニツケル層、12ミクロンの銅層
および最後に2.5ミクロンの錫層から成る。 第５図は、本発明の物品の一部を溝に垂直に切
つた模式的断面図である。ランド４３および４５
で規定された溝４０は、２つの面４１および４２
を有し、これら面は溝の頂部４４で交わる。膨張
された状態では、溝のピツチは約130°で膨張比は
約1.75である。回復時、ピツチαは約60°まで小
さくなるが、面３１と３２の表面積の和で与えら
れる被覆された表面の面積は実質的に変化しな
い。 次に実施例を示す。 実施例 １ Ｈ（広い）端で18mmの内径およびＪ（狭い）出口
で7.5mmの内径を有しており、本体では60°のピツ
チおよびＪ出口では45°のピツチを有する36本の
溝を実質的に第１図に示される様に内表面に供給
して改造した３個の202K153−３熱収縮性パーツ
を、Ｈ端内径が36mm、Ｊ出口内径が22mmとなる様
に膨張した。パーツをクロム酸浴（商品名
“Enplate Conditioner 473”としてIMASA
Ltd.（英国、スロー在）から市販）中でエツチン
グし、“Enplate Activator 443”およびPA491
（共に商品名）で増感し、“Enplate ２−525”
（商品名）無電解銅めつき溶液を用いてめつきし
た。パーツを厚さ10、20および30ミクロンの厚さ
でめつきした。 本発明の試料を、最初の寸方に回復させた後、
遮蔽効果について測定評価した。結果は、表面移
送インピーダンスの測定値から次式により減衰量
を計算して示す： 減衰量（dB）＝20log（Zo／Zt） 〔ここで、Zoは自由空間（377オーム）のインピ
ーダンス、Ztは表面移送インピーダンスであ
る。〕。 表面移送インピーダンスは、一般に国際仕様
（international specification）IEC96およ英国規
格（British Standard）2316に従つて
“Optimized and Superscreened Cables”と題
する冊子（Raychem Ltd.、Wire and Cable
Division（英国ウイルトシヤー、スウインドン、
ダルコン在）発行）に記載された様に測定した。 遮蔽効果は次の従来のブーツと比較した： (A) RFI銀塗料被覆熱収縮性ブーツ（202D153−
３としてChomerics（米国マサチユセツツ、ウ
オバーン５在）から市販、 (B) RFI銀塗料被覆熱収縮性ブーツ（202K153−
３としてRaychem社から市販、 (C) 202K153−３ブーツを有する遮蔽ブレド付ア
ダプタ204M020−19−0312（Raychem社から販
売）、 結果を第１表および第２表に示す。

【表】

【表】 実施例 ２ 次の点を除いて実施例１と同様に202K153−３
熱収縮性パーツを溝の供給により改造し、金属で
めつきした： (a) Enplate ２−525銅めつき溶液の代りに
Enplate（商品名）Nickel 414溶液を用いて厚
さ0.5ミクロンのニツケル層を最初にめつきし、 (b) ニツケル層の上に12ミクロンの厚さに銅層を
電解めつきし、 (c) “silver crown”（商品名）明酸錫溶液
（IMASAから市販）を用いて銅層上に厚さ2.5
ミクロンの錫層を沈積させた。 このパーツを２重最適化ブレード付ケーブルお
よび固定アダプタ上へ回復させた後の表面移送イ
ンピーダンスを測定した。100KHz〜1GHzの周波
数範囲における移送インピーダンスを第６図のグ
ラフに示す。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は、本発明の４種の異なる金型成形
物品を回復させた後の長手方向断面図、第５図
は、回復前後の物品の部分横断面図、および、第
６図は、回復後の本発明の物品の表面移送インピ
ーダンスを示すグラフである。 １……本体、２，３……末端、４……溝、５…
…ランド、２１……本体、２２……主出口、２３
……分岐出口、２４……溝、２５……ランド、２
６……溝、３１……本体、３２……主出口、３３
……側方出口、３４……溝、３５……ランド、３
６……アーム、３７……溝、４０……溝、４１，
４２……面、４３，４５……ランド、４４……頂
部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基材の少くとも一部を包囲するための寸法回
   復性物品であつて、付着された導電性層を少くと
   も一部に有する表面を持ち、表面は回復の方向に
   実質的に垂直に延びる複数の溝の形状に形成され
   て回復方向の表面寸法の実質的変化無しに物品が
   回復するのを可能にする寸法回復性物品。 ２ 表面が溝に平行な方向に最初の寸法の10％を
   越えない寸法で変化する第１項記載の寸法回復性
   物品。 ３ 溝は断面Ｖ字形状であり、ピツチの変化によ
   り物品の回復に適合できる第１項記載の寸法回復
   性物品。 ４ 溝の少くとも数本はその長さの少くとも一部
   分上で少くとも100°のピツチを有する第３項記載
   の寸法回復性物品。 ５ 溝の少くとも数本はその長さの少くとも一部
   分上で少くとも130°のピツチを有する第４項記載
   の寸法回復性物品。 ６ 溝の少くとも数本は物品の回復後に30〜80°
   の範囲のピツチを有する第３〜５項のいずれかに
   記載の寸法回復性物品。 ７ 中空である第１〜６項のいずれかに記載の寸
   法回復性物品。 ８ 物品は円筒状であり、物品の回復後に、各溝
   はその長さに沿つたいずれの点においてもその点
   での物品の直径の10％を越えない深さを有する第
   １〜７項のいずれかに記載の寸法回復性物品。 ９ 導電性層が５〜50ミクロンの範囲の厚さを有
   する第１〜８項のいずれかに記載の寸法回復性物
   品。 １０ 導電性層が金属から成る第１〜９項のいず
   れかに記載の寸法回復性物品。 １１ 金属層が、銅、銀、金、錫、アルミニウ
   ム、ニツケルまたは鉄含有金属から成る第１〜１
   ０項のいずれかに記載の寸法回復性物品。 １２ 金属層が銅か成る第１１項記載の寸法回復
   性物品。 １３ 金属層は、積層構造であり、錫から成る表
   面層を有する第１１項または第１２項記載の寸法
   回復性物品。 １４ 成形物品である第１〜１３項のいずれかに
   記載の寸法回復性物品。 １５ 架橋ポリマー材料から成る第１〜１４項の
   いずれかに記載の寸法回復性物品。 １６ ポリマー材料がポリオレフインから成る第
   １５項記載の寸法回復性物品。 １７ ポリマー材料がポリエチレンから成る第１
   ６項記載の寸法回復性物品。 １８ ポリマー材料が照射または化学架橋剤によ
   り架橋されている第１５〜１７項のいずれかに記
   載の寸法回復性物品。 １９ 寸法的に熱回復性である第１〜１８項のい
   ずれかに記載の寸法回復性物品。 ２０ 基材の少くとも一部を包囲するための寸法
   回復性物品であつて、付着された導電性層を少く
   とも一部に有する表面を持ち、表面は回復の方向
   に実質的に垂直に延びる複数の溝の形状に形成さ
   れて回復方向の表面寸法の実質的変化無しに物品
   が回復するのを可能にする寸法回復性物品の製法
   であつて、少くとも一部が複数の溝の形状に形成
   された表面を有する物品を成形し、溝に実質的に
   垂直は方向に寸法的に回復する様に物品を膨張
   し、該表面上に導電性物質の層を付着させること
   を含んで成る寸法回復性物品の製法。 ２１ 導電性材料が金属から成り、金属の少くと
   も一部を無電解めつき法により付着する第２０項
   記載の寸法回復性物品の製法。 ２２ 金属の無電解めつきの後、金属の上に電解
   法によりさらに金属層をめつきする第２１項記載
   の寸法回復性物品の製法。 ２３ 物品の膨張中、物品は膨張の方向に垂直な
   方向の寸法が変化するのを抑制されている第２０
   〜２２項のいずれかに記載の寸法回復性物品の製
   法。 ２４ 基材の少くとも一部を包囲するための寸法
   回復性物品であつて、付着された導電性層を少く
   とも一部に有する表面を持ち、表面は回復の方向
   に実質的に垂直に延びる複数の溝の形状に形成さ
   れて回復方向の表面寸法の実質的変化無しに物品
   が回復するのを可能にする寸法回復性物品の製法
   であつて、 少くとも一部が複数の溝の形状に形成された表
   面を有する物品を成形し、溝に実質的に垂直は方
   向に寸法的に回復する様に物品を膨張し、該表面
   上に導電性物質の層を付着させることを含んで成
   り、導電性物質を付着する前に、物品を最初の成
   形寸法より大きい寸法へ初期膨張寸法から回復さ
   せる寸法回復性物品の製法。 ２５ 物品の膨張中、物品は膨張の方向に垂直な
   方向の寸法が変化するのを抑制されている第２４
   記載の寸法回復物品の製法。