JPH0357447Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は混練機で混練された、加硫前の生ゴム
（練生地）を巻き取つて収納し、又成形時には成
形機に練生地を供給する練生地収納台車に関する
ものである。

［従来の技術］ 従来の練生地収納台車では、各台車にそれぞれ
１つ或いは複数のリールが設けられ、混練機で混
練された練生地は、そのリールに手作業で巻き取
られていた。

ところで巻き取られた練生地は、その粘度が低
い場合、あるいは雰囲気温度が高くなつて軟化し
た場合などには自身の重みで垂れ下がつてしま
い、異物が付着したり、リールに絡まつて切れた
りするような不具合が生じる場合がある。そこで
従来は、巻き取られた練生地の最後端が垂れ下が
らない位置となるようにリールの位置を調節し、
ピンなどで台車本体に固定するとともに、練生地
全体をフツ素樹脂シートなどで覆つて保持してい
た。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記した従来の練生地収納台車においては、練
生地を巻き取つて収納する場合に、練生地の最後
端が垂れ下がらない位置に位置するようにリール
を台車本体に固定している。これは、例えばホイ
ール状のリールの中央から放射状に伸びるスポー
ク部などに設けられた穴を、台車本体に設けられ
た穴に一致させ、ピンなどで固定することにより
行なつている。従つて、リールをその位置まで回
転させた時に、練生地の最後端が垂れ下がらない
位置となるように、練生地の巻き取り最終位置を
調節する必要があつた。

又練生地全体を覆い、垂れ下がりを防止するフ
ツ素樹脂シートなどは、練生地の巻き取り時、及
び練生地を成形機に供給する際には不要となり、
そのフツ素樹脂シートなどを保管する場所が必要
であつた。又そのシートに異物が付着し、その異
物が練生地に移行する恐れもあつた。

［考案の目的］ 本考案は上記問題点に鑑みてなされたものであ
り、練生地の巻き取り最終位置を調節する必要は
なく、容易に練生地を保持することができ、かつ
練生地の巻き取り時及び成形機へ練生地を供給す
る際にも、台車本体への着脱及び保管などの管理
不要な押え治具をもつ練生地収納台車を提供する
ことを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本考案の練生地収納台車は、 台車本体と、 該台車本体に正逆回転自在に取り付けられたシ
ヤフトと、該シヤフトに固定され、該シヤフトの
回転により練生地を巻き取るリールと、 該リールの外周面に対向して該リールの下方に
位置し、巻き取られた該練生地に近づく方向およ
び遠ざかる方向へ移動可能に該台車本体に保持さ
れた押え治具と、を有し、 該押え治具の該練生地へ近づく方向への移動に
より、該練生地を該リールに固定するようにした
ことを特徴とする。

本考案の練生地収納台車は、基本的には従来と
同様に、シヤフトに固定されたリールにより練生
地の巻き取り、及び供給を可能とするものであ
る。

本考案の最大の特徴は、台車本体に保持された
押え治具を有するところにある。この押え治具
は、練生地収納台車への練生地の収納時に、巻き
取られた練生地をリールの径方向に押圧して、練
生地の垂れ下がりを防止し、巻き取り時及び供給
時には押圧力を解除して、練生地の巻き取りおよ
び供給を可能とするものである。従つて押え治具
は、練生地が垂れ下がつてくるリールの下方で、
リールの外周面（練生地の巻き取られた外周面）
に対向する位置に設けられる。

以下押え治具について説明する。

練生地の垂れ下がり量が少ない場合は、収納さ
れた練生地の最下端部に対向する位置に押え治具
を設け、その部分のみを押圧することができる。
又複数の位置に押え治具を設け、その複数の位置
で練生地を押圧して保持することも可能である。
しかしながら押え治具と練生地との接触面積は大
きい方が望ましい。従つて押え治具は、巻き取ら
れた練生地の外周面に沿つた円弧状とするのが望
ましい。なお、この場合、押え治具の長さは、最
大限巻き取られた練生地全外周の長さの約1/3と
するのがよい。押え治具の長さが約1/3以下であ
ると、練生地が特に柔かい場合に、押え治具の上
方から垂れ下がる場合があり、約1/3以上となる
と、巻き取り時、及び供給時に押え治具が邪魔に
なる場合がある。

又その円弧状の押え治具の曲率半径は、練生地
が最大限巻き取られた場合の曲率半径と同一とす
るのがよい。練生地は巻き取り量が多い程垂れ下
がり易くなるからであり、このようにすれば巻き
取り量が多い程接触面積が大きくなるからであ
る。そして練生地の巻き取り量が少ない場合に
は、押え治具との接触面積は少なくても垂れ下り
が防止できるからである。

円弧状の押え治具は、例えば一端を揺動自在に
台車本体に保持し、他端が上下に移動する構成と
して、該他端を練生地に近づく方向（上方向）へ
移動することにより、練生地を押圧することがで
きる。又円弧状の押え治具の全体を、上下動自在
に台車本体に保持することもできる。このように
すれば押え治具両端の移動距離が略同一となり、
練生地を均一に押圧でき、垂れ下がりが一層防止
される。

［考案の作用］ 本考案の練生地収納台車では、まず押え治具を
下方へ下げた状態で練生地がリールに巻き取られ
る。そして押え治具を上方へ移動させることによ
り、練生地を押え治具で押圧して保持することが
できる。そして成形機へ練生地を供給する際に
は、押え治具を下方へ下げることにより、リール
は回転自在となり、供給が可能となる。

［考案の効果］ 本考案の練生地収納台車においては、リールに
対する練生地の巻き取り最終位置を調節するよう
な必要はなく、練生地の保持を容易に行なうこと
ができる。従つて巻き取り作業性が向上する。そ
して押え治具は台車本体に保持されているので、
台車本体への着脱および保管などの管理は不要と
なり、保管スペースの有効利用を図ることがで
き、かつ異物などが付着するような不具合が防止
される。又押え治具の形状を円弧状とすれば、練
生地との接触面積を大きくすることができ、垂れ
下がり防止効果が一層向上する。

［実施例］ （実施例 １） 第１図及び第２図は本考案の第１の実施例の練
生地収納台車を示すものである。

本実施例の練生地収納台車は、台車本体１と、
台車本体１にクラツチ２１より同軸的に軸架さ
れ、回転自在なシヤフト２，２′と、シヤフト２，
２′に中央部が同軸的にそれぞれ固定された２つ
のリール３と、該２つのリール３下方にそれぞれ
配設された２つの押え治具４とから構成される。

台車本体１は車輪１１と持ち手１２を具備し、
入力にて容易に移動可能とされている。

リール３は、ホイール状の２つの側端部３１
と、２つの側端部３１で挟まれた円筒状の中央部
３２とからなり、中央部３２に、２つの側端部３
１によつて巻き取り位置を規制されながら練生地
が巻き取られる。

押え治具４は、ステンレス製の弾性を有する長
尺状板状であり、リール３の側端部３１の外周に
沿う円弧状をなしている。その長さは側端部３１
外周の約1/3となつている。そして押え治具の一
端部４１は台車本体１から伸びる支持棒１３に枢
支され、該枢支点を中心として上下方向に揺動自
在に保持されている。又押え治具の他端部４２は
台車本体１から伸びる支持棒１４に、クランプ５
を介して保持され、クランプ５のレバー５１の操
作により略上下方向に移動するように構成されて
いる。そしてその他端部４２の移動距離は、レバ
ー５１の角度、及びナツト５２によるロツド５３
の長さの調節により一定範囲内で自由に調整可能
である。

（実施例の作用） 上記のように構成された本実施例の練生地収納
台車では、まずレバー５１を下へ倒すことによ
り、押え治具４の他端部４２は一端部４１を中心
に回転運動して下方へ下がる。そして練生地がリ
ール３の中央部３２に巻き取られる。

練生地の巻き取りが収納すると、練生地の最終
端が自然落下しない適当な位置にくるようにリー
ル３を回転させ、その位置でレバー５１を上へ上
げることにより練生地は押え治具４の押圧を受け
て保持される。この状態で押え治具４はほとんど
全面が練生地に接しており、練生地の垂れ下がり
が防止される。

練生地の成形機への供給時には、レバー５１が
下へ倒されると、押え治具４は練生地表面から離
れ、リール３は回転自在となる。これにより練生
地の成形機への供給が可能となる。

（実施例 ２） 第３図及び第４図に本考案の第２の実施例の練
生地収納台車を示す。この実施例の練生地収納台
車では、押え治具１００の中央部をラツク１０１
に固定し、ハンドル１０２先端のピニオン１０３
の回転により押え治具１００全体を上下動自在と
したこと以外は実施例１と同様の構成である。

本実施例の練生地収納台車では、ハンドル１０
２を回転することにより、ラツク１０１の長さぶ
んだけ押え治具は上下方向に移動する。従つて練
生地の巻き取り量の増減に柔軟に対応でき、かつ
押え治具の両端が同時に移動するので練生地への
押圧力が均等にかかつて垂れ下がりが一層防止さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の１実施例の練生地
収納台車を示し、第１図はその正面図、第２図は
その側面図である。第３図及び第４図は本考案の
他の実施例の練生地収納台車を示し、第３図はそ
の正面図、第４図はその側面図である。 １……台車本体、２，２′……シヤフト、３…
…リール、４，１００……押え治具、５……クラ
ンプ、１０２……ハンドル。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 台車本体と、 該台車本体に正逆回転自在に取り付けられた
   シヤフトと、該シヤフトに固定され、該シヤフ
   トの回転により練生地を巻き取るリールと、 該リールの外周面に対向して該リールの下方
   に位置し、巻き取られた該練生地に近づく方向
   および遠ざかる方向へ移動可能に該台車本体に
   保持された押え治具と、を有し、 該押え治具の該練生地へ近づく方向への移動
   により、該練生地を該リールに固定するよにし
   たことを特徴とする練生地収納台車。 (2) 押え治具は巻き取られた練生地に沿つた円弧
   状をなし、一端は台車本体に揺動自在に保持さ
   れ、他端が上下に移動する実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の練生地収納台車。 (3) 押え治具は巻き取られた練生地に沿つた円弧
   状をなし、全体が上下動自在に台車本体に保持
   されている実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の練生地収納台車。 (4) 押え治具は練生地が最大限巻き取られた場合
   の該練生地外周の約1/3の長さを有する実用新
   案登録請求の範囲第２項あるいは第３項記載の
   練生地収納台車。