JPH0357333Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は回転アーク溶接用のトーチの改良に
関するものである。

〔従来の技術〕

先に本出願人は、被溶接物を高速かつ大電流で
溶接でき、被溶接部に対する溶接入熱量が低く、
しかも溶接金属の溶け込みが均等で溶接欠陥が生
ずることなく、小型・軽量化を可能にした高速回
転アーク溶接装置を提案した（特開昭62−104684
号公報）。

第３図にこの従来の高速回転アークトーチの構
成を示す。図において、１は中空電極トーチ、２
は溶接ワイヤ、３はモータ、４はモータ３のシヤ
フト、５はシヤフト４に取り付けられ、モータ３
により高速回転を与えられるギヤ、６はギヤ５に
より高速回転を与えられる偏心リングギヤ、７は
電極トーチ１を支持する自動調心ベアリングで、
偏心リングギヤ６の回転により電極トーチ１が自
転することなく偏心回動するようにギヤ６の中心
から所定の距離ｄだけ偏心してギヤ６に取り付け
られている。８は偏心回動する電極トーチ１のす
りこぎ運動の支点となる自動調心ベアリングであ
る。９は図示されていない溶接台車の架台に取り
付けられたギヤボツクス、１０は電極トーチ１に
電力を供給するための給電ケーブル、１１は溶接
アーク、１２は被溶接物、１３は給電ケーブル端
子の取り付け孔、１４は偏心リングギヤ６を支持
するベアリングである。

モータ３の駆動よりギヤ５及び偏心リングギヤ
６を介して電極トーチ１が偏心回動されることに
より、電極トーチ１は自動調心ベアリング８を支
点としてすりこぎ運動を行い、これにより電極ト
ーチ１の下端が回動運動を行つて、下端から送り
出される溶接ワイヤ２の先端の溶接アーク１１
は、被溶接物１２上で回転直径Ｄで高速回転運動
を行う。電極トーチ１の下端部が回転運動をして
いるとき、電極トーチ１はそれ自体は自転しない
ので、図示のように給電ケーブル１０によつて電
極トーチ１に直接給電することが可能になつてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の回転アークトーチは、回転伝達にギヤを
使用し、それが高速回転するための、ギヤの摩耗
や噛合わせの故障が多数生じていた。また、高速
回転に耐え得るギヤを使用するので、装置全体が
大きく、重くなつてしまい、狭い部分の溶接や、
母材上面に障害物のある溶接には、不都合が生じ
るという問題点があつた。

本考案では、かかる問題点を解決するためにな
されたもので、従来の回転アークトーチの特徴に
加えて、ギヤの故障が起きず、小型・軽量化を可
能にした回転アークトーチを得ることを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係わる回転アークトーチでは、軸心に
沿つて溶接ワイヤ挿通孔を貫通せしめた回転軸を
有する駆動モータと、前記回転軸の一端側の軸心
上に延在配置された中空電極トーチと、前記中空
電極トーチを首振り回動可能にモータに対して支
持する支持手段と、該支持手段による支持点より
モータ側の端部にて前記中空電極トーチを偏心回
動させる手段と、前記モータ回転軸の回転を前記
偏心回動手段に伝える伝達手段とを備えたもので
ある。

〔作用〕

回転伝達にギヤを使用せず、モータ回転軸の回
転は直接偏心回動手段に伝えられる。溶接ワイヤ
は、モータ回転軸に貫通して穿たれた挿通孔及び
中空電極トーチ内を通つてトーチ先端に至る。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は、本考案の一実施例に係わる回転アー
クトーチの構成を示す説明図、第２図は、電極部
分の運動をワイヤを使つて模式的に示した説明図
である。

上記従来例と同一の符号は同一または相当部分
を示し、その部分の説明を省略する。

図において、４ａは３φ〜４φの孔を貫通さ
せ、絶縁チユーブを挿入したモータ３のシヤフト
（回転軸）で、２０はシヤフト４の回転を偏心回
転円板兼用の自動調心ベアリング７に伝える回転
伝達管で、ベアリングの外リングを偏心支持して
いる。自動調心ベアリングは中空電極トーチ１の
上端部を軸受支持し、その下方において別の自動
調心ベアリング８が同心状に電極トーチを軸受支
持している。１３ａは給電・水冷ケーブルの取り
付け端子である。

図に示すように、回転アークトーチは、モータ
３の駆動をシヤフト４から、回転伝達管２０に直
接伝える。回転伝達管２０に、中心から所定の距
離ｄだけ偏心して配置された自動調心ベアリング
７が回転し、これにより電極トーチ１が自動調心
ベアリング８を支点とするすりこぎ回転運動を行
い、その下端から送り出される溶接ワイヤ２の先
端は、このすりこぎ運動によつて回転直径Ｄで回
転運動を行う。電極トーチ１の先端部と溶接ワイ
ヤ２の先端部が回転運動を行つても電極トーチ１
それ自体は自転をしないので、端子１３ａにおい
て給電・水冷ケーブルを連結することができる。

上記のように、ギヤを紙葉しないため、回転伝
達機構が単純化され、伝達機構の故障が少なくな
つた。また、いままでギヤの強度などによる大き
さの制限が存在していたが、その制限が解消し
た。そのため、モータを小型・軽量化することが
でき、回転アークトーチのさらなる小型・軽量化
の可能性が現実のものになつた。

〔考案の効果〕

本考案は以上説明したとおり、駆動モータの回
転軸を、溶接ワイヤを挿通させることのできる中
空の軸とし、その直下に偏心回転可能な回転伝達
部を備えているため、回転軸の回転をギヤを介入
させず直接偏心回転伝達部に伝えることができ、
そのため、ギヤの故障に代表される伝達機構の故
障が少ない。また、重く嵩張るギヤや、ギヤボツ
クスがなくなつたので、従来に比べて、飛躍的な
小型化・軽量化が可能になり、狭い部分の溶接
や、障害物のある溶接などでも容易に溶接可能な
回転アークトーチを得ることができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す説明図、第２
図は電極部分の運動を模式的に示した説明図、第
３図は従来の溶接装置の構成を示す説明図であ
る。 図において、１は中空電極トーチ、２はワイ
ヤ、７は偏心回転円板兼用の自動調心ベアリン
グ、８は支点となる自動調心ベアリング、４ａは
孔を貫通させ、絶縁チユーブを挿入したシヤフト
（回転軸）、２０は回転伝達管である。なお、図に
おいて同一の符号は同一または相当の部分を示
す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 軸心に沿つて溶接ワイヤ挿通孔を貫通せしめ
   た回転軸を有する駆動モータと、前記回転軸の
   一端側の軸心上に延在配置された中空電極トー
   チと、前記中空電極トーチを首振り回動可能に
   モータに対して支持する支持手段と、該支持手
   段による支持点よりモータ側の端部にて前記中
   空電極トーチを偏心回動させる手段と、前記モ
   ータ回転軸の回転を前記偏心回動手段に伝える
   伝達手段とを備えたことを特徴とする回転アー
   クトーチ。 (2) 回転軸の溶接ワイヤ挿通孔の内部に絶縁チユ
   ーブを挿通したことを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の回転アークトーチ。