JPH0355281B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は化粧単板の製造方法に関し詳しくは集
成フリツチ法による複雑なモザイク柄の化粧単板
を製造する方法に係わる。

従来の集成フリツチ法によるモザイク柄化粧単
板の製造方法は繊維飽和点以上の含水率を有する
木材から木取りして得たフリツチを種々の柄を構
成する様に親水性接着剤を介して接着し、集成フ
リツチとし、これを剥削していた。そしてモザイ
ク柄を高級に見せるために異なつた色調の異なる
樹種の各フリツチを組合せて集成していた。

(1) 所が色調の異なる樹種、例えば白色系のシ
ナ、黄色系のチーク、赤黒色系のローズなどを
モザイク柄として集成した場合、集成された樹
種毎に水分に対する寸法変化率が異なるためフ
リツチの調材寸法精度を良くしても集成フリツ
チとする接着工程から剥削に至るまでの工程中
のわずかの水分変化にも集成フリツチ間に目す
きを生じることがある。

(2) 又樹種毎に硬さの異なることがあるから剥削
工程でスライス刃に目こぼれが生じたり、ある
いは硬いフリツチ部分の剥削面が粗になつたり
して良好な化粧単板は得がたい。

(3) さらにはモザイク柄を構成するためにはフリ
ツチを横づきだけでなく縦づき方向にも集成接
着しなければならないことがほとんどだから縦
づきとなる部分のフリツチはあらかじめ樹種の
繊維の交錯度以上の角度で木取つておきこれを
順目となる様に仕組まなければならない。所が
樹種によつて繊維交錯度が非常に大きくて実際
に角度をつけて木取ることが困難な場合もあ
る。

以上の様に従来の集成フリツチ法により複雑か
つ高級に見えるモザイク柄化粧単板を製造した場
合は上記の様な種々の問題点を有し良品の歩留り
は非常に低いものであつた。

本発明ではそれら従来の問題点の解決方法を検
討し、完成するに至つた。

その要旨とする所は集成フリツチに使用するそ
れぞれのフリツチは近似した材質を有する木材の
分類上同一の属に属する樹種に統一するが、フリ
ツチ間の色調差は集成フリツチに使用するそれぞ
れのフリツチを異なる色に染色することにより表
現し、高級な見掛けのモザイク柄化粧単板を歩留
り良く生産しようとする点にある。すなわち、木
材を木取りして得た所要形状のフリツチを繊維飽
和点以上の含水率に保持しながら表面が平滑とな
る様に正確に調材後、親水性の接着剤を介して所
要柄に集成して集成フリツチとした後、該集成フ
リツチの柄面を剥削して化粧単板を製造する方法
において、集成フリツチを構成する各フリツチは
木材の分類上同一の属に属する樹種であつて、且
つ、その各フリツチを所要の色調に染色して集成
フリツチを構成するか、又は染色したフリツチと
染色していないフリツチを用いて構成する化粧単
板の製造方法に係る。

本発明を図面により詳述すると、第１図は本発
明の実施例になるモザイク柄の集成フリツチの斜
視図、第２図は実施例の集成フリツチを構成して
いる１単位の分解斜視図を示す。

図中１，２，３，４の各フリツチの内１，２は
染色しないフリツチで３，４は染色したフリツチ
を示す。

なおフリツチ１，２とフリツチ３，４を異なつ
た色に染色してもよい。各フリツチの樹種は材質
が近似するように、木材の分類上同一の属に属す
る樹種を用いるか、同一の樹種を用いる。さら
に、繊維の交錯度が小さくかつ硬度が剥削に適
し、白色材系で、どんな色調にも染色しやすい木
材を用いると良い。例えばニレ属のアキニレやハ
ルニレ又はオヒヨウ、シナノキ属のオオバボダイ
ジユやシナノキ、トネリコ属のシオジ、ヤチダ
モ、トネリコなどを各々の属内で組合せたり、単
一の樹種を用いるのが好ましく、本実施例ではシ
オジを用いた。

南洋材のアガチスやホワイトラワンなども白色
材系で剥削しやすいから好ましく用いることが出
来る。

フリツチ１は柾目柄が、フリツチ２は板目柄が
化粧表面に現われる様に調材し、フリツチ３及び
フリツチ４はフリツチ１，２と同一樹種か同一属
に属する樹種をそれぞれチーク色に染色された板
目木取り及びローズ色に染色された柾目木取りの
フリツチで、各々接着剤を介して集成する。

フリツチの染色方法としてはフリツチの内部ま
で均一に染色する必要上常用の減圧、加圧法によ
る染料液注入法や染料液中にフリツチを浸漬し長
時間煮沸する方法、さらには本特許出願人が先に
出願中の特願昭53−33445号や特願昭53−34661号
などの養生による木材染色法などを実施すること
で所要の色に染色する。

上記フリツチ１，２，３，４はいずれも木材の
含水率変化に起因する寸法変化によるフリツチ間
の目すきや接着不良を防止するため繊維飽和点以
上の高含水率に保持してフリツチの寸法を安定に
保ちながら、第２図の様に各フリツチを所要のモ
ザイク柄となる要に接着剤を介して集成する。本
発明のこの実施例では第２図に示した各フリツチ
の構成を１単位として横方向へ数回繰り返した構
成の集成フリツチとした。接着剤は水中硬化型エ
ポキシ樹脂接着剤や水分硬化型ウレタン樹脂接着
剤などの親水性接着剤により接着集成する。

なお、各フリツチ１，２，３，４の内化粧単板
とすべく剥削する時、縦づき関係となるフリツチ
は木材繊維の交錯度以上の角度をつけて木取り
し、かつ順目となる方向に集成して化粧単板の逆
目が破れを防止する。

以上の様に異なる色のフリツチを組合せて構成
された集成フリツチをスライサーなどの常用の剥
削機により厚さ0.3〜1.0mm程度に剥削すると色調
の異なるフリツチを集成して複雑なモザイク柄を
有しているにもかかわらず、分類上同じ属に属す
る樹種、あるいは同一の樹種から木取りしたフリ
ツチを用いているので、各フリツチの硬さや繊維
の交錯度、水分変化による寸法変化率などの材質
が近似して一定範囲内に納まつているので、化粧
単板製造工程中におけるわずかな水分変化に起因
するフリツチ間の目すきもなくなり、スライス刃
に目こぼれや剥削面が部分的に粗になることも起
こらず、モザイク柄化粧単板の製造歩留は従来に
比べ大幅に向上する利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例になるモザイク柄の集
成フリツチを示す斜視図、第２図はこの実施例の
集成フリツチを構成している１単位の分解斜視図
を示す。 １……染色しない柾目木取りのフリツチ、２…
…染色しない板目木取りのフリツチ、３……チー
ク色に染色された板目木取りのフリツチ、４……
ローズ色に染色された柾目木取りのフリツチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 木材を木取りして得た所要形状のフリツチを
   繊維飽和点以上の含水率に保持しながら表面が平
   滑となる様に正確に調材後、親水性の接着剤を介
   して所要柄に集成して集成フリツチとした後、該
   集成フリツチの柄面を剥削して化粧単板を製造す
   る方法において、集成フリツチを構成する各フリ
   ツチは木材の分類上同一の属に属する樹種であつ
   て、且つ、その各フリツチを所要の色調に染色し
   て集成フリツチを構成するか、又は染色したフリ
   ツチと染色していないフリツチを用いて構成する
   ことを特徴とする化粧単板の製造方法。 ２ 集成フリツチを構成する各フリツチが木材の
   分類上同一の属に属する同一樹種の木材のみを用
   いることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の化粧板の製造方法。