JPH0354845B2 - - Google Patents

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JPH0354845B2
JPH0354845B2 JP15448284A JP15448284A JPH0354845B2 JP H0354845 B2 JPH0354845 B2 JP H0354845B2 JP 15448284 A JP15448284 A JP 15448284A JP 15448284 A JP15448284 A JP 15448284A JP H0354845 B2 JPH0354845 B2 JP H0354845B2
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Description

【発明の詳細な説明】
「産業上の利用分野」 この発明は希土類金属と遷移金属からなる合金
で形成され、膜面と垂直な方向に磁化容易軸を有
する垂直磁化磁性薄膜に関するものである。 「従来の技術」 磁気記録装置、その他各種の装置に対して磁性
薄膜が利用されている。この種の磁性薄膜として
は、希土類金属と遷移金属との合金で形成される
ものが従来から提案されている。この種の磁性薄
膜の内で膜面と垂直な方向に磁化容易軸を有し、
その保磁力が大きい特性のものとしては、例えば
希土類金属をRとしてR−Co−Feなる組成のも
のが提案されている。 この希土類金属Rと遷移金属とからなる合金系
の金属の中では、SmCo合金、特にSmCo5系合金
もしくはSm2Co17系合金が磁気異方性が大きく高
エネルギー積を有する磁石材料として提案され、
且つ利用されている。このSmCo系合金について
その大きな磁気異方性を保持させたままの状態
で、これを薄膜状に形成する技術の開発も従来か
ら試みられている。 例えばH.C.Theuerer等はSmCo5,SmCo3.65
Cu1.15合金を使用して、その基板温度を500℃に
あげることによつて高保磁力の面内磁化結晶膜を
作成している。CH.C.Theuerer.E.A.Nesbitt and
D.D.Bacow:J.Appl.Phys.,vol40(7),2944
(1969))、またK.Kumar等はプラズマスプレイ
(Plasma Spraying)法により作成した薄膜を
700℃で熱処理することによりSmCo5相を析出さ
せて、高保磁力の面内磁化結晶膜を作成してい
る。(K.Kumar.D.Das and E.Wettstein:J.
Appl.Phys.,vol49(3),2052(1978)) しかしこれらいずれの場合においても得られる
のは面内磁化結晶膜であり、膜面に垂直な方向に
磁化容易軸を有する垂直磁化磁性薄膜は作成され
ていない。 またスパッタリング法を用いて非晶質で面内磁
化軟磁性薄膜を作成している研究報告(C.L.
Zhang,R.B.Lin,and G.H.Feng;IEEE Trans
Magn.,MAG−16(5),1215(1980))もあるが、
この研究報告では非晶質においてもSmCo系材に
対しては垂直磁化磁性薄膜は得られていない。 この他にも薄膜作成時に膜面に垂直方向に磁場
を印加することにより垂直磁化成分を誘起させる
報告(李佐宣、奥野光、沼田卓久、桜井良文:日
本応用磁気学会誌vol7No.2(1983)47)もあるが、
この報告で得られる薄膜もその主体は面内磁化膜
であると言つてよい。 さらに薄膜作成時の基板温度など作成条件を選
べば、非晶質で垂直磁化成分が主体となる膜がで
きるという報告(李佐宣、沼田卓久、桜井良文:
第7回日本応用磁気学会学術講演概要集8pD−
9,P.195(1983))もあるが、非晶質であるため
に保磁力は1KOeより小さく、高保磁力の垂直磁
化磁性薄膜は得られていなかつた。 発明者等は前述の従来の技術の上に立つて、全
組成がSmxCo1-xで表わされるSmCo系合金薄膜
或はY,Ce,Pr,Ndから少なくとも一元素以上
を選択した元素の第1の組合せ、もしくはこの第
1の組合せにSmを加えた元素の第2の組合せを
Rとして、全組成がRxCo1-xで表わされる希土類
一遷移金属系合金薄膜を使用して、膜面と垂直な
方向に磁化容易軸を有する垂直磁化磁性薄膜を作
成し提案した。 一般に数1000ニルステツド以上の安定した保持
力を有する垂直磁化磁性薄膜を得るためには、例
えば発明者等がすでに提案しているRCo系合金を
使用する場合を例にとると、その組成をRxCo1-x
とし、Y,Ce,Pr,Nd,Smの少なくとも一種
の組合せよりなる希土類元素をRとしてRの原子
比Xを最適な条件に選定することが必要である。
Rの原子比を所定の条件下で選定することにより
適当な飽和磁化特性を有するものが得られ、垂直
磁化条件を満足して所望の保磁力を有する垂直磁
化磁性薄膜を得ることが可能となる。 又この種の垂直磁化磁性薄膜において膜面と垂
直な方向に磁化を有するに十分な磁気異方性を持
つた薄膜を作成するには、スパツタリング法、真
空蒸着法などの手段で膜厚が数100Å以上の薄膜
を形成することが必要である。 さらに選択された最適の組成条件下において、
所定の結晶粒径を有する微結晶RCo3相を所定の
割合含有していることが垂直磁化条件を満足し、
数1000ニルステツド以上の保磁力を持つためには
必要である。このような結晶粒子の組成条件を得
るためには薄膜作成時における特定の製作雰囲気
の設定もこの種の垂直磁性薄膜の作成には極めて
重要な意味を持つている。 「発明の解決すべき問題点」 これら発明者等の提案した垂直磁化磁性薄膜に
おいて、全組成中Sm或はRの原子比を所定値範
囲をはずれた値に設定すると組成を構成する結晶
として所望の結晶相が現われずその飽和磁化が大
きくなり過ぎて、磁気異方性定数Ku、飽和磁化
Ms間に与えられる垂直磁化条件Ku>2πMs2を満
足しない。 この所定のSm或はRの原子比範囲の設定条件
の下では、Smを組成成分とするものに比してR
を組成成分とするものが前者に比して保磁力を増
大させ得ることが確認された。即ち希土類元素R
をY,Ce,Pr,Nd,Smの一種または二種以上
の組合せの中から選ぶことにより、数1000エルス
テツドの保磁力が得られるが、残留磁化Mrとし
ては80〜200ガウス(飽和磁化Ms90〜230ガウス)
しか得られない。 さらに発明者等はこれらで得られた結果を基に
して、さらにこの種の磁性薄膜となる合金にFe
を添加することによつて飽和磁化Msを高めて、
その最大エネルギー積を向上させることに成功し
た。 しかしこの場合にFeの添加量を増大させて行
くとその保磁力が減少する傾向にあり、飽和磁化
Msが増加しても垂直磁化磁性薄膜としてはその
長所を生かすことができないことが確認された。 即ちこの垂直磁化磁性薄膜にFeを添加するこ
とにより、残留磁化Mrを240〜500ガウス(飽和
磁化Ms260〜550ガウス)まで向上させることが
できたが、一方では保磁力は減少する傾向にあ
り、所定の範囲以上にFeを添加すると垂直磁化
膜も得られなくなることが確認された。 又Feを添加する場合には安定した特性を有す
る垂直磁化磁性薄膜を再現性よく得ることができ
ないという難点がある。 この発明はこれらの従来提案されている垂直磁
化磁性薄膜における難点を解決し、飽和磁化が余
り大きくなり過ぎず磁気異方性定数Kuと飽和磁
化Ms間に垂直磁化条件が満足して得られる垂直
磁化磁性薄膜を提供することを目的とする。 さらにこの発明では垂直磁化磁性薄膜の保磁力
を増大させ、且つ最大エネルギー積をも向上させ
ることを目的とすると共に、垂直磁化条件に必要
な結晶相を有する垂直磁化磁性薄膜を安定に、且
つ再現性よく得ることをもその目的とする。 「発明の構成」 この発明は膜面と垂直な方向に磁化容易軸を有
する希土類一遷移金属系合金薄膜であり、Y,
Ce,Pr,Nd,Smの少なくとも一種よりなる希
土類元素Rの原子比が20乃至40原子%、Feの原
子比が18乃至25原子%、Ta,Zr,Nb,Ti,V,
Mo,Cr,W,Hfの少なくとも一種よりなる添加
元素Mの原子比が0.2乃至5原子%、残部がCoよ
りなる組成を有する。この発明の垂直磁化磁性薄
膜ではTをCo,Fe及びMからなる元素の組合せ
として結晶RT3相と非晶質部とから全体が構成さ
れている。 又この発明の垂直磁化磁性薄膜では組成中で
Feの添加の割合を増加させることによつて飽和
磁化を高め、且つ保磁力を増加させて垂直磁化磁
性薄膜の条件を添加元素Mの添加によつて保持す
ることが可能となり、最大エネルギー積(BH)
maxを増大させることができる。さらにこの発
明によると、添加元素Mの存在によつてY,Ce,
Pr,Nd,Smの少なくとも一種よりなる希土類
元素をRとし、Co,Fe及びMからなる元素の組
合せをTとして垂直磁化条件を満足するために必
要なRT3結晶相が安定して得られ、その再現性が
大幅に向上する。 「実施例」 以下この発明の垂直磁化磁性薄膜をその実施例
に基づき主としてその製造法に沿つて図面を使用
して詳細に説明する。 すでに述べたように、この発明によると、磁気
異方性定数Kuと飽和磁化Ms間に垂直磁化条件が
満足され、その最大エネルギー積が増大し、且つ
垂直磁化条件に必要な結晶相を多く含有する垂直
磁化磁性薄膜を安定に且つ再現性よく得ることが
できる。 一般に第5図の第2象限に示される減磁曲線に
おいて、磁束密度をB、磁場をHとして得られる
斜線を付して示す領域(BH)maxを最大エネト
ギー積と呼んでいる。この最大エネルギー積
(BH)maxはエネルギーの次元を有し、磁石の
特性の目安となるものであつて、その値はなるべ
く大きなことが特性上望ましい。 一方C・G・S単位系で表示して、磁束密度
B、磁場H、磁化M、透磁率μ間には次式が成立
する。 B=μH+4πM …(1) 従つて第5図でH=0のx軸上においては(1)式
はBr=4πMrとなり、飽和磁化Msが増加すると
(BH)maxで表示される最大エネルギー積も増
大することになる。 この発明においては薄膜の作成に使用する基板
としては、例えばソーダガラス、石英、シリコ
ン、ガーネツト基板などを使用する。不活性気体
としてアルゴンを使用し、その圧力3〜8Paの雰
囲気条件下で、供給電力を100W〜200Wに設定
し、所定の基板表面温度範囲、即ち300℃〜600℃
の温度範囲に基板表面温度(基板温度、つまり基
板支持体の温度としては150℃〜180℃)を保持し
た状態で基板をターゲツトに対向させ、基板上に
膜厚1〜2μm程度の垂直磁化磁性薄膜をRFスパ
ツタリング法により作成する。 この発明ではY,Ce,Pr,Nd,Smの少なく
とも一種よりなる希土類元素をRで表わし、Ta,
Zr,Nb,Ti,V,Mo,Cr,W,Hfの少なくと
も一種よりなる添加元素をMで表示し、希土類元
素Rの原子比をX原子%、Feの原子比をY原子
%、Mの原子比をZ原子%とすると、全組成は
RxCo1-X-Y-ZFeYMZで表わされる。この発明にお
いてはCo,Fe及びMからなる元素の組合せをT
として得られる磁性薄膜が微結晶RT3相と非晶質
部とから構成され、このRT3相の比率が50体積%
以上であることが垂直磁化条件を満足するために
必要である。 微結晶RT3相が50体積%以下になると、垂直磁
化膜が得られる組成において、非晶質部の磁化が
大きくなり、保磁力が小さくなつて垂直磁化条件
を満足しないことが発明者等により確認されてい
る。 この微結晶RT3相の組成比率の条件を満足し、
保磁力を増大させ、且つ最大エネルギー積をも向
上させるためには、RxCo1-X-Y-ZFeYMZで表わさ
れる全組成に次式の条件が必要であることが発明
者等の研究の結果明らかにされた。 0.20X0.40 …(2) 0.18Y0.25 …(3) 0.002Z0.05 …(4) RxCo1-X-Y-ZFeYMZで表わされる全組成中のR
の原子比XをX<0.20とすると、得られる薄膜組
成の結晶相はR2T17相、RT5相、R5T19相及び
R2T7相が主体のものとなつてしまう。これら
R2T17相、RT5相、R5T19相及びR2T7相が主体の
結晶組成である磁性薄膜では、飽和磁化が大きく
なり過ぎるために、磁気異方性定数Ku、飽和磁
化をMsとして与えられる垂直磁化するための条
件、Ku>2πMs2が満足されなくなる。 発明者等の実測の結果でもX<0.20の組成条件
では垂直磁化するための条件が満足されず、これ
に伴つて保磁力として数1000エルステツド以上の
ものを得ることは困難であることが確認されてい
る。 一方RxCo1-X-Y-ZFeYMZで全組成が表わされる
この発明の垂直磁化磁性薄膜において、Rの原子
比XをX>0.40に設定すると、得られる薄膜は
RT2相が主体の結晶組成を有するものとなり、こ
のRT2相を主体にする磁性薄膜は面内磁化膜であ
つて、面内磁化膜としては高保磁力化したものが
得られるが、飽和磁化が小さくなり過ぎてしまう
ことも発明者等により確認された。 前述の(1)式の条件を満足するXの範囲内でFe
の原子比YをY<0.18に設定すると、安定した状
態で再現性のよい垂直磁化磁性薄膜は得られるが
添加元素Mの添加による飽和磁化の増加が認めら
れない。一方Y>0.25に設定すると、添加元素M
の添加にもかかわらずRT3相以外のR−Fe相が
現われ、垂直磁化条件を満足する磁性薄膜が得ら
れない。 さらに添加元素Mの原子比Zが0.002>Z及び
Z>0.05の条件では、垂直磁化磁性薄膜が得られ
にくくなり、仮に得られたとしてもその保磁力
Hcが低下してしまう。 従つてこの発明の実施例においては組成
RxCo1-X-Y-ZFeYMZにおいて、Rの原子比Xの条
件を0.20X0.40、Feの原子比Yの条件を0.18
Y0.25、添加元素Mの原子比Zの条件を
0.002Z0.05に設定し、TをCo,Fe及びMか
らなる元素の組合せとしてRT3相に近い組成のタ
ーゲツトを使用してRFスパツタリング法によつ
て石英基板上に磁性薄膜を作成した。 この場合、発明者等の実測によると膜面と垂直
方向の磁化を得るに充分な磁気異方性を有する磁
性薄膜を作成するためには、基板上に形成される
薄膜の膜厚は数100Å以上にする必要があつた。 垂直磁化磁性薄膜の作成雰囲気は、アルゴン不
活性気体圧力3〜8Paとし、基板温度を150℃程
度に設定し、基板表面温度300℃〜600℃の範囲に
保持した状態で膜厚1〜2μmで石英基板上にRF
スパツタリングの手段により400Å/分の速度で
磁性薄膜を形成した。 このようにして得られた磁性薄膜の断面構造を
観察すると、膜面にほぼ垂直方向に微結晶RT3
が柱状に成長していることが、発明者等により顕
微鏡写真の手段で確認された。発明者等の実測の
結果、これらの微結晶RT3相はその結晶粒径が数
10Å〜数100Åの範囲にあり、又その結晶の成長
方向の長さは1000Åのオーダーを有していること
が判明した。 磁性薄膜作成雰囲気の温度設定条件は、この発
明では極めて重要な因子である。例えば他の条件
を同一に保持し、基板を水冷した状態に設定し、
この基板上に薄膜を作成すると、得られる薄膜は
希土類元素Rの種類によらずアモルフアス化して
いて保磁力の小さい面内磁化膜が得られる。発明
者等の実測によると、基板温度が150℃以下の状
態ではアモルフアス化した薄膜が得られることが
確認された。 一方基板を所定の温度、即ち基板表面温度を
300℃〜600℃に設定した状態で薄膜を作成すると
結晶化が促進される。従つて組成RxCo1-X-Y-Z
FeYMZにおけるRの原子比、Feの原子比及びM
の原子比をそれぞれ前述の所定の条件、0.20X
0.40,0.18Y0.25,0.002Z0.05に設定
し、温度を所定の条件に設定して薄膜を作成する
と、その組成中に微結晶RT3相を含む薄膜を得る
ことができる。 一方基板温度を180℃を越えて上昇させると微
結晶RT3相が安定して得られず、他の結晶相、即
ちR2T7相、RT2相などが主体となるおそれがあ
る。また温度が高すぎると薄膜作成中真空槽内の
残留酸素により酸化現象が生じて、所定の組成が
得られなくなる。またアルゴンガスの圧力を増加
しすぎるとイオン化された原子が基板と激しく衝
突するために薄膜表面に剥離現象が生じて望まし
くない。 この場合の基板の加熱には、加熱電力を直接基
板に供給して行なう直接加熱の方法が基本的には
採用される。しかしこの発明では基板表面温度の
設定が重要であり、微妙な温度調整を行なうため
に、この発明においては基板の直接加熱法にイオ
ン化原子照射法を併用した。 即ちスパツタリング法で基板上に薄膜を作成す
る場合に、例えばアルゴンなどの導入不活性ガス
の圧力を上げることにより、基板表面がアルゴン
ガス中のイオン化された原子でたたかれ易くする
と、イオン化された原子の衝突により基板温度を
上昇させることができる。導入不活性ガスの圧力
を上げる代りに、基板に負バイアスを印加して基
板表面がイオン化原子でたたかれ易くすることも
可能である。この導入ガス圧力を上昇させる方法
や基板に負のバイアスを印加する方法は、基板を
直接加熱する方法と併用して基板温度の微調整を
行なわせる場合に極めて効果的である。 「発明の効果」 この発明の垂直磁化磁性薄膜の実施例として全
組成がSmXCo1-X-0.21Fe0.21ZrZで表わされるもの
についてZrの原子比ZをパラメータとしてSmの
原子比Xと磁気異方性定数Kuとの関係を測定す
ると第1図に示すような結果が得られる。 第1図において符号口で測定点を示すものは、
Z=0の組成のものに対する実測結果であつて、
この発明の添加元素Mが存在しない場合であり、
Feの原子比は0.21である。この場合にはFeが添
加されているが、Kuは負値を取つて垂直磁化の
条件を満足していない。 符号〇で測定点を示すものは、Z=0.03の場合
であつて、この発明の組成要件を満足し、この発
明の実施例に対するものである。この実施例のも
のではFeがすでに提案した方法で発明者等が示
した添加量を越えてFeを添加した状態でも第1
図から明らかなように、Kuは正直をとり垂直磁
化の条件が満足される。 第1図において測定点を符号△で示すものは、
Z=0.07の場合であつて、この発明の組成要件を
満足していない。このようにこの発明の(4)式で示
される添加元素Mの原子比Zの条件を満足しない
ものでは明らかにKu<0となつて垂直磁化の条
件を満足しないことが明らかである。 添加元素MとしてZrを使用し希土類元素Rと
してSm以外のものを使用したもの、添加元素M
としてZr以外のものを使用して希土類元素Rと
してSmを使用したもの、さらに添加元素Mとし
てZr以外のものを、又希土類元素RとしてもSm
以外のものを使用した組成のものについて行なつ
た発明者等の実測結果はいずれも第1図と同様の
傾向を示した。 この発明の垂直磁化磁性薄膜の実施例に対して
発明者等が行なつた磁化曲線の測定結果を第2図
に示す。この測定に使用した垂直磁化磁性薄膜は
組成がSm0.26Co0.53Fe0.18Nb0.03で表わされるもの
であり、第2図において⊥印を付したのは膜面に
垂直方向に磁場を印加した場合の磁化曲線であ
り、=印を付したのは膜面に平行な方向に磁場を
印加した場合の磁化曲線である。明らかに膜面に
垂直な方向に磁場を印加した場合の磁化の方が強
く、この発明により垂直磁化膜が形成されている
ことが明らかである。 第3図はこの発明の実施例として全組成が
Sm0.22Co0.57-ZFe0.21ZrZで表わされるものを取り
上げ、この実施例に対して添加元素Mの添加量を
変化させて、それぞれに対応する保磁力Hc及び
飽和磁化Msを測定して得た実測値である。 図中符号〇印で示した測定点は保磁力Hcの測
定点であり、符号△印で示した測定点は飽和磁化
Msの測定点で添加元素Mの原子比が0.02乃至0.05
というこの発明の添加元素Mの組成範囲内では、
Feを0.21と多量に含んでいるにもかかわらず保磁
力Hcは低下せず、これに対応して飽和磁化Msの
減少も殆んどなく大きな値を保持している。従つ
てこの実施例によると、最大エネルギー積を向上
させることが可能となる。 発明者等は、希土類元素RとしてSm以外のY,
Ce,Pr,Ndを用いたもの、及びSmをも含めて
これらの組合せを用いたものを使用し、さらにそ
れぞれの希土類元素に対して添加元素Mとして
Zr以外のTa,Nb,Ti,V,Mo,Cr,W,Hfを
用いたもの及びZrをも含めてこれらの組合せを
用いたものを使用して同様の測定を行なつた。い
ずれの組合せのものにおいても、第3図に示した
実測例と同様の特性を得ることができた。 これらの内、全組成がSm0.22Co0.55Fe0.21Zr0.02
で表わされるものをとり上げ、測定で得られた保
磁力Hc(KOe)と飽和磁化Ms(G)とを、この発明
の組成条件を満足しない組成のものと比較した結
果を第1表に示す。
【表】 この比較に際しては発明の組成条件を満足しな
い組成のものとしては、全組成がSm0.26Co0.53
Fe0.18Nb0.03,Sm0.24Co0.56Fe0.19Ti0.01及びSm0.25
Co0.54Fe0.19W0.02でそれぞれ表わされるものを取
り上げている。第1表での比較で明らかなよう
に、この発明の組成条件をはずれた組成のもので
は保磁力Hc及び飽和磁化Msが低下しているが、
この発明の実施例のものでは保磁力Hcは低下せ
ず、飽和磁化Msも低下せず、最大エネルギー積
も増大することが明らかである。 前述のようにこの発明において垂直磁化磁性薄
膜を得るためには、全組成中にRT3相が含まれて
いることが必要である。 発明者等はこの発明の実施例として組成が
Sm0.22Co0.55Fe0.21Zr0.02で表わされるものを取り
上げ、又添加元素Mが存在せずこの発明の条件を
満足しないものとして組成がSm0.22Co0.57Fe0.21
表わされるものを取り上げて、両者に対してRT3
相の出現度を比較し、第2表に示すような結果を
得た。 即ちこの場合にはSm0.22Co0.55Fe0.21Zr0.02及び
Sm0.22Co0.57Fe0.21をそれぞれ同一の製作条件下で
6点ずつ作成しRT3相の再現性を確かめた。結晶
解析にはX線回折法を用い、再現性の目安として
は符号〇、△及び×を用いてその結果を分類し
た。
【表】 〇印は製作された組成のものがRT3相のみから
構成されている場合、△印は製作された組成のも
のがRT3相以外の結晶相をも僅かに含んでいる場
合、×印は製作された組成のものがRT3相以外の
結晶相を主体とする場合をそれぞれ示す。 第2表で明らかなようにSm0.22Co0.57Fe0.21なる
組成のものでは6点中4点が×印の結晶構造であ
り、2点が△印の結晶構造で、〇印の結晶構造は
皆無である。 これに対して、この発明の実施例であるSm0.22
Co0.55Fe0.21Zr0.02なる組成のものでは、6点中4
点が〇印の結晶構造を有し、1点が△印の結晶構
造を有し、1点が×印の結晶構造を有している。
従つてこの発明においてはRT3相の出現性が極め
て大きく、垂直磁化磁性薄膜が再現性よく得られ
ることが明らかである。 第4図A,B,Cは第2表の結果得られたそれ
ぞれ〇印、△印及び×印に対応する組成Sm0.22
Co0.55Fe0.21Zr0.02のものに対するX線回折の結果
を示すものである。第4図中1−3,2−7,1
−2はそれぞれRT3相、R2T7相、RT2相を示し、
第4図AではRT3相のみが現われており、極めて
優れた結晶構造を有していることが明らかであ
る。 それぞれ実施例により説明したように、この発
明の垂直磁化磁性薄膜では膜面と垂直な方向に磁
化容易軸を有し、保磁力が数1000エルステツド以
上と大きな値を示し、添加元素Mを添加すること
によりFe量を増加させることができ、飽和磁化
を350〜600ガウスと大きな値に保持することがで
きる。従つてその最大エネルギー積も5〜
7MGOeと大きな値とすることが可能で、薄膜磁
石材料として優れた特性を有している。 従つてこの発明で得られる垂直磁化磁性薄膜を
互に対向配置させることにより、間隙内に安定し
た一様な磁場を形成し各種の目的に使用可能であ
る。またこの発明の垂直磁化磁性薄膜はモーター
用磁石として或はセンサとしても有用である。こ
のようにこの発明の垂直磁化磁性薄膜は各種の高
保磁力磁性薄膜を応用した装置に適用されてその
効果を発揮することができる。 以上詳細に説明したように、この発明によると
Y,Ce,Pr,Nd,Smの少なくとも一種よりな
る希土類元素をR,Ta,Zr,Nb,Ti,V,
Mo,Cr,W,Hfの少なくとも一種よりなる添加
元素をM,Rの原子比をX,Feの原子比をY,
Mの原子比をZとして全組成がRxCo1-X-Y-ZFeY
MZで表わされ、RT3結晶相を含み数1000Oe以上
の高保磁力を有し、飽和磁化が大きな値を示す垂
直磁化磁性薄膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例における磁気異方性
定数と希土類元素Rの原子比との関係を添加元素
の添加量をパラメータとして示した図、第2図は
この発明の実施例における磁化特性を示す図、第
3図はこの発明の実施例における保磁力Hc及び
飽和磁化Msと添加元素の添加量との関係を示す
図、第4図はこの発明の実施例の組成の結晶構造
の再現性を示すX線回析図形、第5図は減磁曲線
を示す図である。 R:Y,Ce,Pr,Nd,Smの少なくとも一種
よりなる希土類元素、M:Ta,Zr,Nb,Ti,
V,Mo,Cr,W,Hfの少なくとも一種よりなる
添加元素、T:Co,Fe,Mよりなる元素の組合
せ、Ku:磁気異方性定数、Ms:飽和磁化。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 膜面と垂直な方向に磁化容易軸を有する希土
    類一遷移金属系合金薄膜で、Y,Ce,Pr,Nd,
    Smの少なくとも一種よりなる希土類元素Rの原
    子比が20乃至40原子%、Feの原子比が18乃至25
    原子%、Ta,Zr,Nb,Ti,V,Mo,Cr,W,
    Hfの少なくとも一種よりなる添加元素Mの原子
    比が0.2乃至5原子%、残部がCoよりなる組成を
    有し、TをCo,Fe及びMからなる元素の組合せ
    として、全体が結晶RT3相を主体とした結晶質部
    と非晶質部とから構成されてなることを特徴とす
    る垂直磁化磁性薄膜。
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