JPH0354053B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、印刷物のインキ乾燥装置に関するも
のである。

従来のインキ乾燥装置は、赤外線ランプや熱
風、さらに、火炎発生装置を用い、この中に印刷
物を通過させることにより、印刷物上のインキを
乾燥するようになつていた。

このようなインキ乾燥装置は、いずれも熱の輻
射および対流による熱伝導で加熱して、インキを
乾燥する構造であるため、エネルギーロスが大き
く、従つて、走行速度の速い印刷物のインキを乾
燥するには大きなエネルギーが必要となると共に
装置が大型化するという問題があつた。

又、ガス焔を使用した場合は、紙の上の紙粉が
燃焼し、タール状となつて排気ダクト内に蓄積さ
れ、火炎の危険があつた。

本発明は、上記のことにかんがみなされたもの
で、レーザ光を印刷物に照射すると、このレーザ
光によつて印刷物が加熱する現象を利用しこのレ
ーザ光を用いて少ないエネルギーでもつて高速乾
燥を行うことができ、しかもコンパクトに構成で
きるようにした印刷物のインキ乾燥装置を提供し
ようとするものである。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図中１は、レーザ光発射装置で、この実施例で
は、炭酸ガスレーザ光発射装置を用いた。２は、
このレーザ光発射装置１より発射されたレーザ光
の光束である。３は、このレーザ光の光束２を遮
る位置に設けた回転多面鏡であり、この回転多面
鏡３の回転軸４は、レーザ光の発射軌跡に対して
傾斜されており、上記レーザ光を反射して屈折す
るようになつている。５は、上記反射屈折された
レーザ光の光束２を遮る位置に設けた印刷物案内
装置であり、この印刷物案内装置５を連続した印
刷物６が、走行案内されるようになつている。

この印刷物案内装置５の両側には、互いに印刷
物６の走行路をはさんで対向する側面反射鏡７
ａ，７ｂが設けてあり、又印刷物６の通過路の上
下には、印刷物６を通過したレーザ光を順次反射
する上下反射鏡８ａ，８ｂ，８ｃ…が、印刷物の
走行方向上流側に複数個設けてある。

この上下反射鏡８ａ，８ｂ，８ｃ…は、第１図
に示すように凹面鏡でもよいが、平面鏡であつて
もよい。又、上記上下反射鏡８ａ，８ｂ，８ｃ…
は、印刷物６の走行方向下流側へ順次設けてもよ
い。

上記、構成において、レーザ光発射装置１より
レーザ光を発射すると共に、回転多面鏡３を回転
すると、レーザ光は、多面鏡に反射して屈折さ
れ、印刷物案内装置５に案内されて走行する印刷
物６上に照射される。

このとき、回転多面鏡３は、回転しているか
ら、各多面鏡に反射したレーザ光は、第１図及び
第２図、第３図に示すように入射側の軌跡に対し
て左右に振られ、従つて、レーザ光は、印刷物６
の幅方向に振れ角Θで、円弧状に振られ、印刷物
６の走行に従つて印刷物６の全幅にわたつてレー
ザ光が照射され、印刷物６が加熱される。

なお、印刷物６の走行方向にムラなく、レーザ
光を照射するには、印刷物６の走行速度と回転多
面鏡３の回転数及び回転多面鏡３の多面体数を適
当にとる必要があるが、この実施例では、レーザ
光発射装置１の出力を1kW、多面鏡の多面数を
12、回転数を1000rpm、印刷物６の走行速度を
200ｍ／minとした。

レーザ光が、回転多面鏡３の稜線部分に反射す
ると、第４図に示すように２分されると共に最大
振れ角Θ′となる。第２図、第３図に示すように
多面鏡の平面部で反射する振れ角Θと印刷物６の
幅を合わせた場合、上記最大振れ角Θ′では、レ
ーザ光が、印刷物６の幅方向にはずれてしまう
が、この幅方向に、はずれたレーザ光は、側面反
射鏡７ａ，７ｂ、で反射されて印刷物６上に照射
される。これにより、印刷物６は、その幅方向に
均一に加熱され、振れ角Θよりも広い幅で乾燥さ
せることができ、又、レーザ光漏洩に依る危険を
防止することができる。

又、印刷物６に照射され、これを透過したレー
ザ光は、上下の反射鏡８ａ，８ｂ，８ｃ…にて順
次印刷物６を透過しながら反射し、その間に印刷
物６が予備加熱される。

高エネルギーの炭酸ガスレーザ光をを光学的に
収斂して回転多面鏡３に反射した場合、この回転
多面鏡３が烈しく加熱されるが、この実施例にあ
つては、レーザ光の光束に対して多面鏡を傾斜さ
せたから、その反射面積は、レーザ光の光束断面
積より大きくなつて、レーザ光のパワー密度は、
低くなり、従つて、温度上昇が低く抑制され、上
記回転多面鏡３には、複雑な冷却装置を必要とし
ない。

本発明に係る印刷物のインキ乾燥装置は、上
記、詳述したようになり、炭酸ガスレーザ等のレ
ーザ光発射装置１と、このレーザ光発射装置１よ
り発射されるレーザ光を遮る位置に設けられ、か
つ回転軸を上記レーザ光の軌跡に対して傾斜させ
た回転多面鏡３と、この回転多面鏡３により反射
されたレーザ光を遮る位置に設けられ、かつ印刷
物６を走行案内する印刷物案内装置５とからな
り、さらに、この印刷物案内装置５の印刷物走行
通路の上下に、印刷物６を通過したレーザ光を順
次反射する上下反射鏡８ａ，８ｂ，８ｃ…を印刷
物６の走行方向に順次設けて構成したから、レー
ザ光発射装置１よりのレーザ光は、回転多面鏡３
の回転に従つて、印刷物案内装置５を走行する印
刷物６に効率よく照射され、この印刷物６上のイ
ンキをレーザ光によつて、速やかに乾燥すること
ができる。

そして、特に本発明によれば、乾燥熱源にレー
ザ光を用いたことにより乾燥に要するエネルギー
が少なく、例えば、1kW程度ですみ、経済的で
ある。そして乾燥速度も回転多面鏡３の回転数を
高くすることにより、印刷物６の走行速度を極め
て速く、例えば、600ｍ／minで走行する印刷物
６のインキを充分乾燥することができる。

又、レーザ光を反射する回転多面鏡３をレーザ
光の軌跡に対して傾斜させたことにより、多面体
の角数を少なくすることができると共に鏡面上の
レーザ光のパワー密度が低くなり、従つて、多面
鏡３の温度上昇が低く抑制され、複雑な冷却装置
が不要となり、装置全体をコンパクトにすること
ができる。

そして、さらに、印刷物案内装置５の印刷物６
から、これの幅方向に、はずれたレーザ光は、側
面反射鏡７ａ，７ｂで印刷物６上へ反射されるこ
と、及び印刷物６を透過したレーザ光が上下反射
鏡８ａ，８ｂ，８ｃ…にて反射して繰り返えし印
刷物６に透過しながら照射されることにより、レ
ーザ光は、極めて効率よく、印刷物６に照射され
てエネルギーロスを防止することができると共
に、レーザ光が外部に漏れることがなく、レーザ
光の漏洩による危険性をなくすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の実施例を概略的に示すもの
で、第１図は、全体的な構成説明図、第２図、第
３図、第４図は、回転多面鏡によるレーザ光の反
射の状態を示す説明図である。 １は、レーザ光発射装置、３は回転多面鏡、５
は印刷物案内装置、６は印刷物、７ａ，７ｂは、
側面反射鏡、８ａ，８ｂは、上下反射鏡。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炭酸ガスレーザ等のレーザ光発射装置１とこ
   のレーザ光発射装置１より発射されるレーザ光を
   遮る位置に設けられ、かつ回転軸を上記レーザ光
   の軌跡に対して傾斜させた回転多面鏡３と、この
   回転多面鏡３により反射されたレーザ光を遮る位
   置に設けられ、かつ印刷物６を走行案内する印刷
   物案内装置５とからなり、さらにこの印刷物案内
   装置５の印刷物走行通路の両側に側面反射鏡７
   ａ，７ｂを、また印刷物走行路の上下に、印刷物
   ６を透過したレーザ光を順次反射する上下反射鏡
   ８ａ，８ｂ，８ｃ…を印刷物６の走行方向に順次
   設けたことを特徴とする印刷物のインキ乾燥装
   置。