JPH0353971Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は、鉄道車両用台車に係り、特に曲線走
行時において該曲線に合せて車軸の舵取りを行な
う鉄道車両用台車に関するものである。

〔考案の背景〕

従来の鉄道車両用台車においては、走行中、車
輪の踏面勾配に起因する蛇行動の発生を防止する
ため、前後２軸の平行度を維持すべく軸箱の前後
方向の支持を剛に支持していた。このような構成
では、曲線を走行する場合、幾何学的に車輪がレ
ールに対して進行方向に角度ずれを生じ、車輪フ
ランジの摩耗やきしり音発生の原因となるという
欠点があつた。前記従来の鉄道車両用台車を第１
図ないし第３図によつて詳細説明する。同図にお
いて、輪軸１，１′はその両端に設けられた軸箱
体２およびばね装置３，３′を介して台車枠４を
支持しており、さらに枕ばね装置５を介して車体
６を支持している。電動機７，７′は輪軸１，
１′にそれぞれ軸受を介して２点支持され、反対
側の１点を台車枠４によつて支持され、いわゆる
３点支持となつている。前記３点支持の台車枠４
による支持部の構成は、第３図に示すように電動
機７，７′のノーズ８，８′を防振ゴム９，９′を
介して支持し、該電動機７，７′の重量およびそ
の回転トルクの反力を受ける役目をする。前記軸
箱体２，２′は、台車枠４に設けられている軸箱
守１０，１０′により、前後左右に動きを拘束さ
れ位置決めされている。

このような構成において、電動機７，７′に発
生した回転トルクは、駆動装置１１，１１′を介
して輪軸１，１′に伝えられ、該輪軸１，１′を回
転させる。前記輪軸１，１′の回転によつて発生
する推進力は、軸箱体２，２′から軸箱守１０，
１０′、台車枠４、枕ばね装置５のアンカ１２を
介して車体６に伝えられる。ところで、このよう
な構成の台車によつて、曲線を走行する場合、第
９図に示すように、輪軸１，１′が台車枠４に
よつて拘束されているため、曲線中心Ｏに対し角
θをなす状態で走行する。したがつて、車輪フラ
ンジがレールに接触することにより、該車輪フラ
ンジやレールの摩耗が発生し、車輪フランジの踏
面およびレールの保守点検の頻度が高くなるとと
もに、寿命が短いという欠点があつた。また、前
記車輪フランジとレールとの接触によつてきしり
音が発生し、騒音公害の点から問題であるという
欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的とするところは、輪軸の蛇行動お
よび曲線走行時のレールと車輪フランジとの接触
に伴う摩耗を防止でき、かつ、構造の簡単な鉄道
車両用台車を提供することにある。

〔考案の概要〕

本考案は、台車枠の前位および後位に配置され
る輪軸にそれぞれ対応させて電動機を配置し、該
各電動機を１点で台車枠に２点で前記各輪軸に支
持した鉄道車両用台車において、前記電動機と台
車枠とを輪軸の水平面内における揺動を許容する
とともに前記１点で輪軸の前後力を伝達する連結
部材によつて連結し、前記輪軸の前後動を許容す
るばね手段を介して台車枠を輪軸によつて支持
し、前記台車枠の前位および後位に配置される輪
軸を逆方向に揺動動作させるトーシヨンバーリン
ク機構によつて連結したことを特徴とするもので
ある。

〔考案の実施例〕

以下、本発明による台車の一実施例を第６図な
いし第８図によつて説明する。同図において、前
記従来例と同一符号は同一部材を示すものであ
る。電動機７，７′は前記従来例同様に輪軸１，
１′に２点、台車枠４に１点の計３点で支持され
ているが、本実施例においては、該電動機７，
７′の台車枠１，１′による支部の構成が前記従来
例と異なる。すなわち、第６図中に示すように、
電動機７，７′のノーズ８，８′の穴に上、下方向
から挿入され密着嵌合する防振ゴム１３および該
防止振ゴム１３を密着嵌合して配置した状態でそ
の中心部に貫通配置されたピン１４を介して該電
動機７，７′は台車枠４に支持され、その回転ト
ルクによる反力および重量を支える構成となつて
いる。なお、前述のように構成していることによ
つて、輪軸１，１′は水平面内においてピン１４
を中心に揺動可能である。一方、軸箱体２，２に
ついては台車枠４との間にその荷重を支えるばね
装置３，３′が設けられ、前後方向力は輪軸１，
１′に支持された電動機７，７′を介して台車枠４
に伝達される。前記従来例のような軸箱守は設け
られておらず、輪軸１，１′は前記ばね装置３，
３′の横剛性に見合つて前後、左右に移動可能と
なつている。次に、駆動装置１１，１１′には、
台車中央に向けてロツト１５，１５′を受金を介
して取付け、該ロツド１５，１５′の台車中央側
端部はピン１８を介してリンク１６に連結されて
いる。前記リンク１６は受金１９を介して台車枠
４の左右方向に回転可能に設置されたねじり棒１
７に取付けられており、前記ロツド１５，１５′、
リンク１６、ねじり棒１７によつてトーシヨンバ
ーリンク機構を構成している。該トーシヨンバー
リンク機構は、曲線走行時において輪軸１と輪軸
１′を該各輪軸１，１′が有するセルフステアリン
グ機能を利用して逆方向すなわち軸中心が曲線の
中心に向くように連結している。なお、前記トー
シヨンバーリンク機構は前述のように各駆動装置
１１，１１′を連結しているが、該駆動装置１１，
１１′、輪軸１，１′および電動器７，７′はそれ
ぞれ一体に動作するように構成されているため、
各電動機７，７′間を連結するようにしてもよい。
また、前記トーシヨンバーリンク機構を二つ設置
し、例えば各駆動装置１１，１１′同士と電動機
７，７′同士を連結することによりクロスして配
置してもよい。

このような構成において、曲線走行中輪軸１，
１′は、ステアリング可能であり、第９図に示
すようにピン１４を中心に該輪軸１，１′が曲線
中心に向くように回転し、かつ、リンク１６、ね
じり棒１７により各輪軸１，１′の相対的な動き
は拘束するので、車輪とレール間に角度差θが生
じることを防止できる。また、直線走行中におけ
る輪軸１，１′の蛇行動を前記ねじり棒１７およ
びリンク１６より成るトーシヨンバーリンク機構
の減衰作用によつて抑制する構成となつている。

このような構成によれば、曲線走行時において
は輪軸１，１′の軸線がそれぞれ該曲線中心に向
くとともに、直線走行時のおいてはトーシヨンバ
ーリンク機構によつて該輪軸１，１′の蛇行動を
防止できる。したがつて、車輪とレールとの角度
差θを最小限にすることができるため、車輪フラ
ンジおよびレールの摩耗を防止することができ
る。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、輪軸の蛇
行動および曲線走行時のレールと車輪フランジと
の接触に伴う摩施を防止でき、かつ、構造の簡単
な鉄道車両用台車を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の台車の平面図、第２図は第１図
の側面図、第３図は第１図のア−ア部断面図、第
４図は本考案による台車の一実施例を示す平面
図、第５図は第４図の側面図、第６図は第５図の
イ−イ部断面図、第７図は第４図の実施例におけ
るトーシヨンバーリンク機構を示す平面図、第８
図は第７図のリンクおよびねじり棒を示す斜視
図、第９図は従来の台車および本考案の一実施例
の台車の曲線走行時における輪軸の状態を示す平
面図である。 １，１′……輪軸、２，２′……軸箱体、３，
３′……ばね装置、４……台車枠、５……枕ばね
装置、７，７′……電動機、９，９′……防振ゴ
ム、１１，１１′……駆動装置、１３……防振ゴ
ム、１４……ピン、１５，１５′……ロツド、１
６，１６′……リンク、１７……ねじり、１８…
…ゴムブツシユ、１９……軸受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 台車枠の前位および後位に配置される輪軸にそ
   れぞれ対応させて電動機を配置し、該各電動機を
   １点で台車枠に２点で前記各輪軸に支持した鉄道
   車両用台車において、前記電動機と台車枠とを輪
   軸の水平面内における揺動を許容するとともに前
   記１点で輪軸の前後力を伝達する連結部材によつ
   て連結し、前記輪軸の前後動を許容するばね手段
   を介して台車枠を輪軸によつて支持し、前記台車
   枠の前位および後位に配置される輪軸を逆方向に
   揺動動作させるトーシヨンバーリンク機構によつ
   て連結したことを特徴とする鉄道車両用台車。