JPH035241Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、ビーグル犬等の実験動物を収容する
ケージの直下で糞尿等の汚物を受け止める汚物受
けを洗浄する装置の改良に関する。

（従来の技術） 実験動物飼育装置において糞尿等の汚物を処理
する洗浄装置は、衛生を保つ上で重要な働きをし
ている。この種の洗浄装置としては、汚物受け自
体をエンドレスの回転ベルトで構成したベルトコ
ンベア方式や汚物受けをスクレーパで掻き取る方
式等さまざまな清掃方式があるが、中でも駆動源
を搭載してケージの下に設置された汚物受けの中
を自走するスクレーパによつて汚物を掻き出す洗
浄装置が騒音もなく確実に汚物を排除できること
から、多く用いられている。

（考案が解決しようとする課題） しかし、この自走式スクレーパの場合、スクレ
ーパが極めて緩かに移動するといつても、ケージ
のすのこ床から飼育動物が足を踏み外していると
きにこれを折つてしまう事故が起こる。この種の
事故が頻発したことから、洗浄装置の改善が強く
望まれていた。

本考案は、上述の要望に応えるものであつて、
足を踏み外す等、飼育動物の体の一部がケージの
すのこ床から出ている場合にこれを感知して作動
停止する実験動物飼育装置用洗浄装置を提供する
ことを目的とする。

〔考案の構成〕 （課題を解決するための手段） 斯かる目的を達成するための本考案は、実験動
物を収容するケージの真下に敷設されている汚物
受けの側縁部をレールとして搭載された駆動装置
によつて自走する走行台車を有し、当該走行台車
に、スクレーパ等の清掃具と、実験動物の身体の
一部に接触したことを検出して前記駆動装置を停
止させる非常停止装置とを装備してなる実験動物
飼育装置用洗浄装置において、前記走行台車の少
なくとも進行方向の前面に進行方向に向けて突設
されたハングプレートと、このハングプレートに
転動可能に載置され、前記前面の幅とほぼ等しい
長さを有すると共に前記実験動物の身体の一部に
接触して前記走行台車側へ相対的に移動する感知
棒と、前記走行台車に設置され、前記感知棒が移
動することにより作動するスイツチと、このスイ
ツチの作動によつて前記走行台車の前記駆動装置
を停止させる停止手段とにより前記非常停止装置
を構成したことを特徴とする実験動物飼育装置用
洗浄装置である。

（作用） このように構成した実験動物飼育装置用洗浄装
置によれば、走行台車が汚物受けの側縁部をレー
ルとして自走しつつ、汚物受けをスクレーパ等の
清掃具によつて清掃する。

この清掃を行うときに実験動物の身体の一部が
感知棒に接触すると、感知棒は、実験動物の身体
の一部で押されて走行台車側へ相対的に移動し、
走行台車に設置されたスイツチを作動させる。こ
のスイツチが作動すると、停止手段は、走行台車
の駆動装置を停止させる。従つて、走行台車はそ
の走行を停止するため、ケージに収容された実験
動物の身体を傷付けることがない。

（実施例） 以下本考案の構成を図面に示す一実施例に基づ
いて詳細に説明する。

第１図に実験動物飼育装置の概略を示す。実験
動物飼育装置は、飼育棚１に多数のケージ２を並
べて吊り下げ、各段のケージ２の下に汚物受け３
を敷設して成る。汚物受け３は、一本のトラフ状
を成し、両端において給水される洗浄水の流れと
洗浄装置１０の作動によつて汚物を一端の排出部
６に集めるものである。この汚物受け３の他端側
には飼育棚１の一部として収納部７が設けられ、
洗浄装置１０が不使用時に格納されている。飼育
棚１には各ケージ２毎に自動給水ノズル５を備え
た給水管４が設けられ、ケージ２内の飼育動物が
自由に水を飲めるように配慮されている。尚、図
示していないが、汚物受け３の両端には汚物を流
すための給水装置が備え付けられている。

汚物受け３内を走行する洗浄装置１０は、第２
図に示す如く、駆動装置１２を搭載する自走式の
走行台車１１に清掃具を装備したものであつて、
走行台車１１に非常停止機能を持たせた点に特徴
を有する。

清掃具としては、汚物受け３の隅部から側壁部
にかけて清掃する回転ブラシ１３と、汚物受け３
の底面を掻くスクレーパ１４とから成る。回転ブ
ラシ１３及びスクレーパ１４は、走行台車１１の
枢軸１５を中心に揺動する支持枠１６に設置され
ており、復動時には汚物受け３から離れ得るよう
に設けられている。支持枠１６は、走行台車１１
の上部中央を進行方向に貫通する作動棒１７の動
きによつて揺動運転する。走行台車１１に摺動可
能に支持された作動棒１７と支持枠１６のスクレ
ーパ１４等が装着されていない他端とは２本のリ
ンク１８で連結されている。したがつて、収納部
７の壁に突き当たつて作動棒１７が第２図上右側
へ押し出されると、枢軸１５を中心に支持枠１６
の他端側が持ち上げられて反対側のスクレーパ１
４等が汚物受け３に押し当てられるし、排出部６
の壁に突き当たつて作動棒１７が左側へ押される
と支持枠１６の他端側が押し下げられるためスク
レーパ１４及び回転ブラシ１３は持ち上げられ
る。ここで、回転ブラシ１３は、コーナ部の清掃
に適して円錐形を成し、支持枠１６に軸受１９を
介して回転可能に取付けられている。そして、該
回転ブラシ１３は、走行台車１１の本体側に固定
されているブラシ駆動モータ２０と連結する支持
枠１６上のシヤフト２１とマイタギア２２を介し
て連結されており、ブラシ駆動モータ２０によつ
て駆動される。他方、スクレーパ１４は、ヒンジ
２３によつて支持枠１６に回転可能に取付けられ
ているホルダ２４に取外し可能に装着されてい
る。このスクレーパ１４は、合成樹脂等によつて
やや弾力性を有するように形成されている。

上述の走行台車１１は、モータ（駆動装置に相
当する）１２を搭載して汚物受け３の側縁３ａを
レールとして自走する。走行台車１１の前後のシ
ヤフト２５に装着されている車輪２６は、フラン
ジを一体成形した合成樹脂輪にゴム輪を被せてス
リツプを防ぎ、確実な走行を確保する。尚、フラ
ンジ付車輪２６のシヤフト２５はスプロケツト２
７とチエーン２８とを介して駆動モータ１２に連
結されている。

また、走行台車１１の少なくとも進行方向の前
面には、進行方向に向けて突出するハングプレー
ト２９が設けられている。このハングプレート２
９に、両端部にマグネツト３１が埋設された感知
棒３０が転動可能に掛け渡たされている。この感
知棒３０は、第３図に示すように、走行台車１１
の前面の幅とほぼ等しい長さを有している。他
方、走行台車１１の前面両端部即ち上述の感知棒
３０のマグネツト３１と対向する位置にマグネツ
トスイツチ３２が設けられている。このマグネツ
トスイツチ３２は、駆動モータ１２の電気回路に
組込まれ、非常時に駆動モータ１２の停止を図る
停止手段としての非常停止回路を構成している。

非常停止回路の一例は、第４図に示すように、
走行台車１１の両端に設置されたマグネツトスイ
ツチ３２のいずれか一方が作動すれば、駆動モー
タ１２の作動を停止させて警告ランプ３３を点灯
させ、非常停止状態を表示するようにしたもので
ある。尚、符号「MX」は駆動モータ用リレー
で、「MX−ａ」はそのａ接点を示し、「RX」は
非常停止信号リレーで、「RX−ａ」はそのａ接
点、「RX−ｂ」はそのｂ接点を示し、「３４」は
非常停止リセツトスイツチであつてｂ接点を示し
ている。

この非常停止回路の作動状態を更に詳述する。
２個のマグネツトスイツチ３２のうち少なくとも
一方が作動すると、警告ランプ３３に電流が流れ
て該ランプ３３が点灯すると共に、非常停止リセ
ツトスイツチ３４のｂ接点を介して非常停止信号
リレーRXのコイルにも電流が流れこのリレー
RXが動作し、そのRX−ａ接点が閉じ、RX−ｂ
接点が開く。RX−ｂ接点が開くと、駆動モータ
用リレーMXのコイルに電流が流れず、このリレ
ーMXが復帰し、そのMX−ａ接点が開く。従つ
て、駆動モータ１２及びブラシ駆動モータ２０へ
電流が流れなくなり、走行台車１１はその走行を
停止し、回転ブラシ１３はその回転を停止する。
そして、この非常停止回路は、作動したマグネツ
トスイツチ３２を戻し、非常停止リセツトスイツ
チ３４を押すまで、この状態を保持する。

再起動の場合には、先ず、実験動物の危険を取
り除いてから感知棒３０をハングプレート２９の
前方に戻してから、非常停止回路のリセツトスイ
ツチ３４を押す。すると、非常停止リセツトスイ
ツチ３４の接点が開いて、非常停止信号リレー
RXのコイルに電流が流れず、このリレーRXが
復帰し、そのRX−ａ接点が開き、RX−ｂ接点
が閉じる。これに伴い、警告ランプ３３に電流が
流れなくなり、該ランプ３３が消灯する。RX−
ｂ接点が閉じると、駆動モータ用リレーMXのコ
イルに電流が流れ、このリレーMXが動作し、そ
のMX−ａ接点が閉じる。従つて、駆動モータ１
２及びブラシ駆動モータ２０へ電流が再び流れ、
走行台車１１及び回転ブラシ１３は再び作動し始
めることになる。

ここで、感知棒３０を支持するハングプレート
２９は、前下りに若干傾斜し、上方に突出してい
る先端のストツパ部２９ａにおいて感知棒３０を
安定させて走行台車１１の方向転換時などに感知
棒３０が転動しないようにし、マグネツトスイツ
チ３２の誤動作を防止している。尚、マグネツト
スイツチ３２は一箇所でも良いが、感知棒３０が
片寄つて移動した場合にも異常状態を感知するた
めに両端に設けることが好ましい。

更に、走行台車１１に設置され感知棒３０が移
動することにより作動するスイツチは、上述した
マグネツトスイツチ３２に限定されるものではな
く、例えばリミツトスイツチでも良い。この場合
には、感知棒３０にマグネツト３１を埋設する必
要はない。

また、駆動モータ１２の電源は、トロリー線
（図示省略）を使つて外部から供給しているが、
走行台車１１自体にバツテリーを搭載しても良
い。

以上のように構成した洗浄装置によれば、実験
動物がケージ２から足等を出していても、走行台
車１１の最前部に位置する感知棒３０にまず触れ
るため、速やかに走行台車１２を停止させて実験
動物を傷付けることがない。即ち、感知棒３０は
ハングプレート２９上に掛け渡たされて点接触し
ているだけなので、軽く触れるだけで転がりある
いは滑つて走行台車１１本体側へ相対的に移動す
る。このため、走行台車１１に設けられているマ
グネツトスイツチ３２が感知棒３０のマグネツト
３１によつて作動し、駆動モータ１２及びブラシ
駆動モータ２０への電力の供給を停止する。即
ち、走行台車１１を非常停止させ、回転ブラシ１
３の回転を停止する。これと同時に、警告ランプ
３３を点灯させ、この異常状態を観察者に視覚的
に知らせる。洗浄装置１０の再起動は、実験動物
の危険を取り除いてから感知棒３０をハングプレ
ート２９の前方に戻し、非常停止回路のリセツト
スイツチ３４を押すことにより行なう。再起動さ
れた洗浄装置１０は汚物受け３内の汚物を流水と
共にスクレーパ１４で掻き取り且つ回転ブラシ１
３で摺接することにより排出部６へ掃き出す。

清掃完了後、洗浄装置１０は、駆動モータ１２
を逆転させてスクレーパ１４及び回転ブラシ１３
を持ち上げた状態で収納部７へ後退し、次の洗浄
行程に備える。また、汚物受け３への洗浄水の供
給も停止される。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案の実験
動物飼育装置用洗浄装置は、走行台車の少なくと
も進行方向の前面に進行方向に向けて突設された
ハングプレートと、このハングプレートに転動可
能に載置され、前記前面の幅とほぼ等しい長さを
有すると共に実験動物の身体の一部に接触して前
記走行台車側へ相対的に移動する感知棒と、前記
走行台車に設置され、前記感知棒が移動すること
により作動するスイツチと、このスイツチの作動
によつて前記走行台車の駆動装置を停止させる停
止手段とにより非常停止装置を構成したので、実
験動物が足等をケージから出していても、感知棒
に軽く接触するだけでこれを感知し、直ちに走行
台車の走行を停止させることができ、もつて、実
験動物を傷付けることがないという実用上多大な
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は実験動物飼育装置の概略構造を示すも
ので、同図ａは正面図、同図ｂは右側面図であ
る。第２図は本考案の洗浄装置の一実施例を示す
正面図、第３図は同洗浄装置の平面図、第４図は
本考案に係る洗浄装置の非常停止回路図である。 １……飼育棚、２……ケージ、３……汚物受
け、１０……洗浄装置、１１……走行台車、１２
……駆動モータ（駆動装置）、１３……回転ブラ
シ（清掃具）、１４……スクレーパ（清掃具）、２
０……ブラシ駆動モータ、２９……ハングプレー
ト、３０……感知棒、３１……マグネツト、３２
……マグネツトスイツチ（スイツチ）、３４……
非常停止リセツトスイツチ、MX……駆動モータ
用リレー、RX……非常停止信号リレー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 実験動物を収容するケージ２の真下に敷設され
   ている汚物受け３の側縁部をレールとして搭載さ
   れた駆動装置１２によつて自走する走行台車１１
   を有し、当該走行台車１１に、スクレーパ等の清
   掃具１３，１４と、実験動物の身体の一部に接触
   したことを検出して前記駆動装置１２を停止させ
   る非常停止装置とを装備してなる実験動物飼育装
   置用洗浄装置において、 前記走行台車１１の少なくとも進行方向の前面
   に進行方向に向けて突設されたハングプレート２
   ９と、 このハングプレート２９に転動可能に載置さ
   れ、前記前面の幅とほぼ等しい長さを有すると共
   に前記実験動物の身体の一部に接触して前記走行
   台車１１側へ相対的に移動する感知棒３０と、 前記走行台車１１に設置され、前記感知棒３０
   が移動することにより作動するスイツチ３２と、 このスイツチ３２の作動によつて前記走行台車
   １１の前記駆動装置１２を停止させる停止手段と
   により前記非常停止装置を構成したことを特徴と
   する実験動物飼育装置用洗浄装置。