JPH0352293Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、水洗便所に備えてある水洗用タンク
内に付設し、タンク内に貯えられた水を便器に排
出してタンク内の水位が低下する度毎に定量の液
剤を排出し水に分配混合する為の液剤分配装置に
関する。

（従来の技術） 従来、この種の装置に於て、該装置の一部を構
成する弁部材の昇降範囲を規制することにより、
液剤がタンク内の水に常に定量宛分配されるよう
に液剤を計量する機構を備えたものが知られてい
る。

（考案が解決しようとする問題点） 然し、前記公知の装置に於ては、計量された液
剤の一部が装置内、特に装置を構成する浮子部材
に残留し、その全量がタンク内に排出されない。
従つて、液剤が不経済になるのみならず、装置
が、液剤の性能、その消費経済性等の理由上、比
較的少量の液剤を計量排出するように設計される
場合には、有効量が便器に供給されず、所期の効
果を奏しないことになる。

従つて、本考案は、計量された液剤が装置内に
残留することなく、タンク内に排出されるように
構成することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記問題点を解決するための手段と
して、タンク内の水が所定水位以下に降下する度
毎に、該タンク内の水位以下に容体の下部が位置
する倒立状態の該容体の下向き開口部から該容体
内の液剤を定量宛該タンク内に排出する液剤分配
装置に於て、 前記装置は、弁保持部材と弁部を有する浮子部
材と蓋部材とを含み、 前記弁保持部材は、前記容体の開口部に嵌着さ
れ、弁筒部と仕切部とを有し、且つ該仕切部は該
弁筒部を中心とする周辺に所要間隔をおいて小さ
な通水孔を有し、 前記浮子部材は前記タンク内の水で浮力を与え
られるスカート部を有し、該浮子部材の上部に一
体に形成される前記弁部は、前記弁筒部の内面に
摺動可能に嵌挿する上下大径部と、これら間の小
径部とを有し、且つ該小径部の長さは前記弁筒部
のそれよりも短く形成され、 前記蓋部材は、前記容体の開口部に螺着され、
前記仕切部により上下室に仕切られていて、該上
室の側面に通気孔と、該下室の少なくとも底面に
通水孔とを有し、且つ該通水孔は、少なくとも該
通水孔を通つて該下室に流入した前記タンク内の
水が、前記仕切部の前記通水孔を通つて該上室内
に流入した水よりも早く排出されるように該通水
孔よりも大きく形成されている液剤分配装置を提
供することにある。

（作用） 本考案装置に依れば、装置を構成する前記蓋部
材内が前記上下室に仕切られており、タンク内の
水が所定水位にある場合には該上下室へその水が
流入し、該水位以下に低下する場合には該上下室
からその水が排出されるが、該上室に於ける排出
が該下室に於ける排出よりも遅く、而も該下室を
経てなされる。従つて、タンク内の水位低下に伴
い前記浮子部材が降下し、前記容体内の液剤が前
記弁部と前記弁筒部との間を経て前記下室へ流入
した際、該液剤が前記下室内の水と共に完全にタ
ンク内へ排出されることなく前記浮子部材等に残
留することがあつても、前記上室内の水の流下に
より洗い流される。

（実施例） 更に前記手段の実施例を図面に基づいて説明す
ると、以下の通りである。

第１図、第２図に於て、本考案装置を備える容
体１を倒立状態で示してある。本考案装置は、弁
保持部材２と、弁部３を有する浮子部材４と、蓋
部材５とを含む。

弁保持部材２は、容体１の開口部６に嵌着され
る部分７と、弁筒部８と、仕切部９とを有し、且
つ仕切部９は弁筒部８を中心とする周辺に所要間
隔をおいて小さな通水孔１０を有する。

浮子部材４はタンク（図示せず）内の水で浮力
を与えられるスカート部１１を有し、且つ浮子部
材４の上部に一体に形成される弁部３は、弁筒部
８の内面に摺動可能に嵌挿する上下大径部３ａ，
３ｂと、複数のリブ３ｃが外周に形成された小径
部３ｄとを有する。

弁部３の全体の長さは弁筒部８のそれよりも長
く形成されているが、弁部３の小径部３ｄの長さ
は弁筒部８のそれよりも短く形成されている。こ
れはタンク内に排出すべき液剤の一回分の計量機
構を構成している。即ち、タンク内の水により浮
子部材４が上昇すると、第１図に示す如く、上方
の大径部３ａが弁筒部８から離れると共に下方の
大径部３ｂが弁筒部８に接触して、容体１内の液
剤が小径部３ｄと弁筒部８との間に流入し、反対
に、タンク内の水が便器に排出されその水位が低
下すると、第２図に示す如く、浮子部材４の浮力
が失われてこれが降下し、下方の大径部３ｂが弁
筒部８から離れると共に上方の大径部３ａが弁筒
部８に接触して、前記流入した液剤が流下される
ことになるが、前述の如く、小径部３ｄの長さは
弁筒部８のそれよりも短く形成されているから、
第１図示の状態から第２図示の状態へ移行する過
程で、上下方の大径部３ａ，３ｂが弁筒部８に接
触して前記流入した液剤量が小径部３ｄと弁筒部
８との間に封入される。即ち、タンク内に排出す
べき一回分の液剤が計量されることになる。

蓋部材５は、底部１２から内方へ突出して浮子
部材４のスカート部１１の内面に摺動可能に嵌挿
し上下面が部分的に開口する大径筒部１２と、そ
の中央に位置して上下面が開口する小径筒部１４
と、通気孔１５、前記通水孔１０よりも大きい通
水孔１６，１７とを有し、容体１の開口部６の外
周に螺着されると共に、弁保持部材２の仕切部９
により上下室１８，１９に仕切られている。通水
孔１６は特に下室１９の側壁に設けてあり、通水
孔としてのみらず下室１９からの水の排出を促す
通気孔としても作用する。

斯る実施例に係る本考案装置に於ては、装置を
備える容体１は、タンク内にその水位が仕切部９
の上方に位置するように適宜の保持手段で付設さ
れる。この際、タンク内の水が大小径筒部１３，
１４の下面開口部、通水孔１６，１７からスカー
ト部１１内、蓋部材５の下室１９内に侵入すると
共に、蓋部材５内の空気が通気孔１５から抜け、
更に、水が通水孔１０を通つて蓋部材５の上室１
８内に侵入し、その間に於て第１図に示す如く下
室１９内に侵入した水により浮子部材４が上昇
し、容体１内の液剤が小径部３ｄと弁筒部８との
間に流入する。この状態に於て、便器洗水のため
タンク内の水位が低下すると、第２図に示す如く
浮子部材４が降下し、前述した如く計量された一
回分の液剤が下室１９、通水孔１６、１７を通つ
てタンク内に素早く排出されその水と混合され
る。その際、上室１８内の水は、仕切部９の通水
孔１０が小さいから、下室１９内の水よりも排出
に時間を要し、下室１９内の水が排出されても上
室１８内に未だ残留しており、そのため液剤が浮
子部材４に付着する等して下室１９内に残留して
も、通水孔１０から排出される上室１８内の水に
より下方へ洗い流すことになる。

（考案の効果） 本考案装置に依れば、計量された液剤の一部が
装置内の浮子部材等に残留することがあつても、
上室内に貯えられた水により下方へ洗い流される
から、その計量された液剤が少量であつても確実
にタンク内に排出され、従つて又、前記問題点が
解決される。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の実施例を示すもので、第１
図は浮子部材の上昇時に於ける本考案要部の断面
図、第２図は浮子部材の降下時に於ける本考案要
部の断面図である。 １……容体、２……弁保持部材、３……弁部、
３ａ，３ｂ……大径部、３ｄ……小径部、４……
浮子部材、５……蓋部材、８……弁筒部、９……
仕切部、１０……通水孔、１１……スカート部、
１５……通気孔、１６，１７……通水孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 タンク内の水が所定水位以下に降下する度毎
   に、該タンク内の水位以下に容体の下部が位置す
   る倒立状態の該容体の下向き開口部から該容体内
   の液剤を定量宛該タンク内に排出する液剤分配装
   置に於て、 前記装置は、弁保持部材と弁部を有する浮子部
   材と蓋部材とを含み、 前記弁保持部材は、前記容体の開口部に嵌着さ
   れ、弁筒部と仕切部とを有し、且つ該仕切部は該
   弁筒部を中心とする周辺に所要間隔をおいて小さ
   な通水孔を有し、 前記浮子部材は前記タンク内の水で浮力を与え
   られるスカート部を有し、該浮子部材の上部に一
   体に形成される前記弁部は、前記弁筒部の内面に
   摺動可能に嵌挿する上下大径部と、これら間の小
   径部とを有し、且つ、該小径部は該小径部の長さ
   が前記弁筒部のそれよりも短く形成されて前記上
   下大径部及び前記弁筒部内面と協働することによ
   り前記液剤が計量され、 前記蓋部材は、前記容体の開口部に螺着され、
   前記仕切部により上下室に仕切られていて、該上
   室の側面に通気孔、及び該下室の底面と側面との
   各々に通水孔を有し、且つ該底面の通水孔は、少
   なくとも該通水孔を通つて該下室に流入した前記
   タンク内の水が、前記仕切部の前記通水孔を通つ
   て該上室内に流入した水よりも早く排出されるよ
   うに前記仕切部の前記通水孔よりも大きく形成さ
   れている ことを特徴とする前記装置。