JPH027989Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、水洗便所に備えてある水洗用水槽内
に付設し、水槽内に貯えられた水を便器に排出し
て水槽内の水位が降下する度毎に定量の液剤を排
出する水に分配混合する液剤分配装置に関する。

従来一般にこの種の装置は、液剤を収容した瓶
状容体の開口部に設けてあつて公知に属する。斯
かる装置を備える容体は、その機能性を低下しな
い限り、可及的に構造が簡略にして内容物である
液剤に比較して高価にならないことが望ましい
が、この点で公知のものは必ずしも満足すべきも
のとは言い難い。

一方、従来一般に知られ実用に供されているこ
の種の商品に於ては、容体内に複種類の液剤が混
合されている場合、これ等が比較的長期間に亙り
互に化学的に安定であると言う保障がない限り、
製造時から使用終了時迄の期間が長くなるに伴つ
て所期の効果を奏し得なくなることは明らかであ
り、これを防止する為には、液剤をその特性・組
成に充分な留意をして選定する必要があるが、こ
れは多くの場合製品価格高を招く傾向がある。

また、従来一般に知られ実用に供されているこ
の種の商品に於ては、排水毎に分配される液剤が
必ずしも常に定量宛計量されず、液剤が無駄にな
るものもある。

本考案の目的は、主として前述の如き欠点を解
消することが可能な液剤分配装置を提供すること
にある。

前記目的を達成する為の本考案装置を図示の実
施態様に基づいて説明すると、以下の通りであ
る。但し、本考案装置の構成に於て、二つの同じ
構成部がある場合には、同一符号を用いると共
に、その一方のみを指して説明し、その他方を省
略することがある。

第１図、第２図に於て、本考案装置を備える容
体１が倒立状態で示されている。容体１内は下方
開口部まで達する隔壁２で各室３に仕切られ、こ
れ等内には異種類の液剤が図面では上方に位置す
る開口底部から収容され、該底部には底部材５が
水密に嵌着されている。図面では下方に位置する
容体１の開口部は室３に連通し該容体の下方の頚
部１５から延出する円筒部６で形成され、該室内
の液剤は該円筒部から便所に備えられた水槽（図
示せず）内に排出される。円筒部６には弁体８が
上下摺動可能に嵌挿され、弁体８は小径部７を介
して設けられた中空円錐状の上方弁部９ａ及び下
方弁部９ｂから成つている。弁体８は所定重量と
水槽内の水による所定浮力とを有する円筒状の可
動部材１０の上面壁２７から突設されている。可
動部材１０の上端であつて両下方弁部９ｂの外側
には上端内側に鍔部１１を有する係合片１２が設
けられる一方、容体１の下端であつて両円筒部６
の外側には下部外側に鍔部１３を有する係合片１
４が設けられ、該両係合片の鍔部１１，１３が互
に係合することにより容体１と可動部材１０との
結合関係が保持されるようになつている。容体１
の頚部１５の外周には円筒状の蓋部材１６がこれ
等に設けられた螺施部１７，１８で昇降可能に螺
着されている。蓋部材１６の下部には外周壁１９
ａと内周壁１９ｂとで凹部２０が設けられ、該凹
部には可動部材１０の裾部２１が位置し、該凹部
の底には排出口２２が設けられている。但し、排
出口２２は蓋部材１６の側壁の適宜部位に設けら
れていてもよい。

第３図、第４図示の如く、上方弁部９ａ及び下
方弁部９ｂの径はこれらが円筒部６の内周に水密
に嵌挿接触する大きさに形成され、且つ上方弁部
９ａ及び下方弁部９ｂの間隔L₂、即ち、小径部
７の外周に形成される空間部２５の長さL₂が円
筒部６の上端と下端との間の長さL₁よりも短か
く形成されている。

第５図示の如く、小径部７の外周には複数の補
強片２６が設けられ、該補強片は、上方弁部９ａ
が垂直に上下し、その外周が円筒部６の内周に正
常に嵌挿密接するのを補助する機能を有するが、
これが設けられることが条件とされるものではな
い。

前述の如き構成を有する本考案装置に於ては、
該装置を備える容体１を水槽内に適当な保持手段
（図示せず）で付設するが、この付設前に於ては、
第１図示の如く、蓋部材１６が締付けられること
により該可動部材の裾部２１の下端が該蓋部材の
凹部２０の底面で支承され、下方弁部９ｂが円筒
部６を閉塞している状態であるので、室３内の液
剤が円筒部６から排出されることがない。そし
て、容体１の付設に際しては、蓋部材１６の前記
締付けを解除して水槽内の水により可動部材１０
が浮力を受けるように水位Ｈが該可動部材の上面
壁２７よりも上方に位置するように容体１の下部
を水中に沈ませる。この場合、可動部材１０は水
槽内の水による浮力で上昇位置にあつて、第３図
示の如く、円筒部６の下端に下方弁部９ｂが接触
して該下端を閉塞している一方、円筒部６の上端
から上方弁部９ａが離れている状態にあるので、
室３内の液剤が円筒部６の内周で囲まれる空間部
２５に溜まつている。この状態に於て、水槽内の
水が便器へ排出されると、前記水位Ｈが可動部材
１０に対して浮力を与えない水位よりも下方へ降
下し、これに伴つて該可動部材が降下するが、そ
の間に於て、円筒部６の上端内周に上方弁部９ａ
が嵌挿接触して該円筒部の上端が閉塞され、円筒
部６の内周で囲まれる空間部２５に一杯に定量の
液剤が満たされた状態になり、そして第４図示の
如く、円筒部６の下端から下方弁部９ｂが離れて
該下端を開口する一方、円筒部６の上端内周には
上方弁部９ａが嵌挿接触する状態が保持されてい
るので、前記定量の液剤が蓋部材１６の排出口２
２から水槽内へ分配される。再び水槽内に水が満
たされると、第３図示の状態に可動部材１０が復
帰することになる。なお、上方弁部９ａおよび下
方弁部９ｂの間隔L₂が円筒部６の上端及び下端
の間の長さL₁よりも短かく形成されているから、
上方弁部９ａおよび下方弁部９ｂが円筒部６の上
端及び下端からそれぞれ同時に離れて該上端及び
下端が開口する状態で液剤が流下することがな
い。

本考案装置に依れば、以上の如き機能を有する
にも拘わらず、容体１と、上下方弁部９ａ，９ｂ
が設けられた可動部材１０と、蓋部材１６とから
構成されているので構成が比較的簡略であり、し
かも容体１内は異種類の液剤を収容する両室３が
設けられ、該各液剤は水槽で混合されることにな
るので該各液剤が長期間に亙り混合状態にあれば
化学的に不安定な特性を有するものでも使用する
ことが可能である。

また、本考案装置に依れば、常に定量の液剤が
空間部２５で常に正確に計量されて水槽に分配さ
れるので液剤の消費上経済的である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の実施態様を示すもので、第
１図は閉弁時の同装置要部を示す縦断面図、第２
図は開弁時の同装置要部を示す縦断面図、第３図
は上方弁部が開口円筒部の上端を開口しかつ下方
弁部が該円筒部の下端を閉塞している弁機構を示
す部分拡大縦断面図、第４図は上方弁部が開口円
筒部の上端を閉塞しかつ下方弁部が該円筒部の下
端を開口している弁機構を示す部分拡大縦断面
図、第５図は第３図Ａ−Ａ線に沿う断面図であ
る。 １……容体、２……隔壁、３……室、６……開
口円筒部、７……小径部、８……弁体、９ａ……
上方弁部、９ｂ……下方弁部、１０……可動部
材、１１，１３……鍔部、１２，１４……係合
片、１５……頚部、１６……蓋部材、２２……排
出口、２５……空間部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 水槽内の水が所定水位以下に降下する度毎
   に、該水槽内の水位以下に容体の下部が位置す
   る倒立状態の該容体の下向き開口部から該容体
   内の液剤を定量宛該水槽内に分配する液剤分配
   装置に於て、 前記装置は、前記容体と、可動部材と、蓋部
   材とを含み、 前記容体内は、その開口部が位置する下方頚
   部まで達する隔壁で液剤を収容する複数の室が
   設けられると共に、該各室に連通し液剤を排出
   する開口円筒部が設けられ、 前記可動部材は、所定重量と所定浮力を有
   し、下面が開口する円筒状に形成され、該可動
   部材の上端には前記円筒部に摺動可能に嵌挿さ
   れる弁体が設けられ、 前記弁体は、前記円筒部の内周との間に液剤
   を溜める空間部を形成する小径部と、該小径部
   を介して上方弁部及び下方弁部とが設けられ、
   該上方弁部及び下方弁部の間隔が該円筒部の上
   端及び下端の間の長さよりも短く形成され、 前記蓋部材は、その適宜部位に液剤排出口を
   有する円筒状に形成され、該蓋部材の上昇に伴
   い前記可動部材を上昇させて前記各下方弁部で
   前記円筒部の下端を閉塞するように前記容体の
   頚部の外周に昇降可能に嵌合されていることを
   特徴とする前記液剤分配装置。 (2) 前記可動部材の上端であつて前記上方弁部の
   外側には上端に鍔部を有する係合片が設けられ
   る一方、前記容体の下端であつて前記円筒部の
   外側には下端に鍔部を有する係合片が設けら
   れ、該両係合片の鍔部が互に係合することによ
   り該容体と該可動部材との結合関係が保持され
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の液剤分
   配装置。