JPH03521Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は渦巻ばねを収納した香箱にドラムを回
動自在に装着し、該ドラムに引紐を巻付けてなる
種類のリコイルスタータ装置に関し、特にチエー
ンソーなどの作業機械に組込まれてその内燃機関
を始動するためのリコイルスタータ装置に係る。

従来の技術 従来のこの種のリコイルスタータ装置では、引
紐をドラムにその半径方向内側から半径方向外側
へ一連巻で巻付ける構成が多く、このものでは内
燃機関の始動に必要な長さの引紐を巻付けるため
にドラムの外径が大きくなり、内燃機関の冷却フ
アンへの空気流路の実効幅を狭まくし、冷却効果
を阻害しがちである。また、ドラム外径を小さく
する為に引紐を複列巻とした場合には、ドラムが
厚くなり、作業機械の小型化に支障をきたすなど
の問題があつた。

考案が解決しようとする問題点 そこで、本考案は従来のリコイルスタータ装置
の問題点を解決すると共に簡単で便利な形のリコ
イルスタータ装置を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案によるリコイルスタータ装置は、ドラム
の外径を香箱の内径より小さく形成すると共に引
紐をドラムに複列巻に巻付け、かつ香箱にドラム
の外周縁に近接して延在する複数個の突出片を形
成した構成を特徴とする。

作 用 本考案の前記構成により、空気流路の実効幅を
大きくとることができ、香箱の周囲を流れる空気
は案内羽根の間の隙間をも流れることができ、か
つドラムに巻かれた引紐がドラムから外れるのを
案内羽根により防止することができる。

実施例 次に、本考案を図面の実施例に基づいて説明す
る。

本実施例は本考案をチエーンソーに適用した例
であり、図示しない鋸刃チエーンを駆動するため
の内燃機関のクランク軸１の先端部に冷却フアン
２が取付けられており、該冷却フアン２の外側部
に本考案によるリコイルスタータ装置３が配設さ
れている。該リコイルスタータ装置３のケーシン
グ４が冷却フアン２の導風案内板５の外側を覆う
ように配設されており、前記ケーシング４の前記
冷却フアン２に対応する内側に渦巻ばね１２を収
納した香箱６を一体に形成している。該香箱６は
その中心部内側に円柱状ボス部分７をクランク軸
線方向に一体に形成しており、該ボス部分７にド
ラム８が同軸状に回動自在に軸支されている。該
ドラム８には、引紐９を軸線方向に沿つて二列に
巻けるだけの幅を有しかつ半径方向内側から径方
向外側へ適数回巻けるだけの外径を有する溝２０
を設け、前記引紐９の内端を該溝２０の内部端に
おいてドラム８に固定して第１図に示したように
二連巻して保持するようになつている。ドラム８
は香箱６のボス部分７に回動自在に嵌合されボス
部分７の端部に螺着するねじ１０及び座金１１に
よつて軸線方向へ移動するのを阻止されている。

更に、前記香箱６の内部に渦巻きばね１２の外
端を係止して保持し、前記ボス部分７へのドラム
８の嵌合部２１に係止部２２を設け、渦巻ばね１
２の内端２３を係止して前記引紐９をドラム８に
巻込む方向に常時ドラム８を付勢している。ドラ
ム８は前記冷却フアン２に対向した端面にラチエ
ツト歯１３を突出して形成している。一方、冷却
フアン２はその偏心した位置に一端を枢着した爪
１４を設けており、該爪１４はその他端において
ドラム８のラチエツト歯１３の一つに係合してい
る。前記引紐９の外端はケーシング４から外部へ
引出されて図示しない限りを取着している。内燃
機関を始動する時、作業者は握りを把持して引紐
９を強く引張り、ドラム８を回転させる。この回
転はラチエツト歯１３及び爪１４を介して冷却フ
アン２及びクランク軸１へ伝達され、内燃機関を
始動する。内燃機関が始動されてクランク軸１及
び冷却フアン２が回転すると、爪１４はそれに作
用する遠心力により枢動してラチエツト歯１３か
ら半径方向外方へ離脱する。この時、引紐９の引
張りを解除すると、ドラム８は係止部２２を介し
て伝達される渦巻ばね１２のばね力により引紐９
をドラム８の溝２０内に二連巻に自動的に巻込
む。

香箱６はその周縁部分に複数個の案内羽根状の
突出片１５を周方向にほぼ等間隔に離隔して形成
し、それぞれの突出片１５はドラム８の外周縁に
近接してドラム８の溝２０を横切つて延在してい
る。このような構成により、ドラム８の外径D₁
は香箱６の内径D₂より小さく形成されているが、
引紐９はドラム８に二連巻されているので、所定
長さの引紐の巻き径を大径に設けることが出来、
ドラム回転トルクを確保出来ると共に内燃機関の
始動に必要な長さの引紐を、ドラム８の径をあま
り大きくすることなくドラムに巻込むことがで
き、さらに突出片１５は引紐９がドラム８から外
れるのを防止すると共に、突出片１５の形状を適
宜設定することによつて冷却フアン２の静止案内
羽根として吸入冷却風に対する整流作用をする。

前記ケーシング４は香箱６の周囲に多数の空気
取入孔１６を形成しており、内燃機関が始動され
て冷却フアン２が回転駆動されると、外部空気が
空気取入孔１６を通してケーシング４の内部へ吸
引されるようになつている。ケーシング４内へ吸
引された空気は冷却フアン２の導風案内板５の吸
気口１７及び突出片１５の間の流路１８及び突出
片１５どうし間の流路１９を通つて冷却フアン２
へ達する。このように突出片１５はケーシング４
中の空気流路を流路１８及び１９によつて形成し
て空気流路の有効幅Ｗを大きくとることができ、
かつ空気の流れを乱すことなく円滑に案内する作
用をする。なお、ドラム８の内側フランジの外周
縁にも切り欠き部２４を設けて、空気流路を一層
広くすることができる。

考案の効果 以上の構成により、本考案はドラム外径を香箱
内径より小さくすることによつて冷却風取入口を
大きく設けることが出来ると共に突出板の間の隙
間にも空気を整流して流すことにより冷却フアン
へ流れる空気流量を大きくすることができ、この
ため機関の冷却効果が向上し、吸気開口面積を十
分に確保することが出来るので、複列巻の厚いド
ラムを使用しても、機体幅を単列巻の場合と同等
とすることが可能であるので作業機械の小型化を
はかることができ、また引紐をドラムに複列巻に
したことにより始動時の回転トルクを確保出来、
機関の始動を容易にし、ドラムへの引紐の巻取り
を平均化し、かつ渦巻ばねの巻戻し回数に余裕を
もたせることができ、かつ引紐の内端をドラムに
固定する場所を容易に確保することができるなど
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を設けたチエーンソ
ーの要部縦断面図であり、第２図は第１図の−
部矢視図である。 ３……リコイルスタータ装置、６……香箱、８
……ドラム、９……引紐、１２……渦巻ばね、１
５……突出片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 渦巻ばねを収納した香箱にドラムを回動自在に
   装着し、該ドラムに引紐を巻付けてなるリコイル
   スタータ装置において、前記ドラムの外径を前記
   香箱の内径より小さく形成すると共に前記引紐を
   前記ドラムに複列巻に巻付け、かつ前記香箱に前
   記ドラムの外周縁に近接して延在する複数個の突
   出片を形成したことを特徴とするリコイルスター
   タ装置。