JPH0351762B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、常圧下、あるいは減圧下において
セラミツク又は金属等の圧着、焼結に使用するホ
ツトプレス装置の炉芯部を構成するホツトプレス
用カーボン鋳型に関し、詳しくはカーボン鋳型が
破損した場合のカーボン鋳型の破損物やカーボン
鋳型内に充填された被焼結物質の飛び出しを防止
するためのバツクアツプ構造を備えたホツトプレ
ス用カーボン鋳型に関する。

（従来の技術） 従来、ホツトプレス装置はセラミツクや金属、
あるいは複合材料などの粉体あるいは仮成形体を
加圧焼結するのに広く使用されている。

このホツトプレス装置の炉芯部は、第１図に示
すように、被焼結体４を充填する筒形状のカーボ
ン鋳型１、発熱体（誘導加熱ではコイル、抵抗加
熱ではヒータ）２、断熱材３、スペーサ５、押棒
６、押台７により構成されている。

カーボン鋳型は耐熱性の点で最もすぐれたもの
の一つであるが、カーボン鋳型の素材であるカー
ボン成形体は脆性材料であるので、押棒で300
Kg／cm²以上の圧力をかけホツトプレスする場合、
突然クラツクが入り破損することがある。

この場合、カーボン鋳型内に充填される被焼結
体は、500℃〜2300℃の高温で焼結されるもので
あるから、ホツトプレスの作業中にカーボン鋳型
が破損すると、カーボン鋳型の破片や高温の被焼
結物質が飛び出して危険であり、その後始末が大
変である。

このようなカーボン鋳型の破損による被焼結物
質の飛び出しや、カーボン鋳型の破損物の分散を
防止する構造として、従来、実開昭60−92098号
公報に記載されたものがある。このものは、カー
ボン鋳型の外側面との間に隙間を有するように鍔
部を備えたバツクアツプリングをカーボン鋳型の
両端部にかぶせたものであり、カーボン鋳型が破
損した際の破損物のひろがりを防止し、中身の被
焼結物質の飛び出しを防ぐようになつている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、実開昭60−92098号公報に記載
のカーボン鋳型は、カーボン鋳型の外側面との間
に有する隙間の大きさによりカーボン鋳型の破損
と同時にバツクアツプリングが割れたり、割れの
広がりを防止する効果がなかつたりして、その隙
間の設定が微妙であるため、実用化するには困難
な面があつた。また、カーボン鋳型の外側面との
間に常に所定の隙間を有するようにバツクアツプ
リングを保持する手段を設けなければならず、構
造が複雑になる等の問題があつた。

この発明は、このような事情に鑑みなされたも
のであり、簡単な構造でカーボン鋳型が破損した
場合の破損物やカーボン鋳型内に充填された被焼
結物質の飛び出しを防止することができるバツク
アツプ構造を備えたホツトプレス用カーボン鋳型
を提供しようとするものである。

（問題点を解決しようとする手段） すなわち、本発明に係るカーボン鋳型は、ホツ
トプレス装置の炉芯部を構成する筒形状のカーボ
ン鋳型の片端部又は両端部に、カーボン鋳型の筒
壁内部に嵌着してなる環状のＣ／Ｃ複合体を有す
ることを特徴としている。

Ｃ／Ｃ複合体はポリアクリロニトリル、レーヨ
ン、フエノール樹脂等の合成高分子材料を出発原
料とする炭素繊維か、又は石油ピツチ、石炭ピツ
チ等を出発原料とする炭素繊維を用いて、環状の
構造に組み立てられ、次いでこれらの構造体はフ
エノール樹脂やフラン樹脂等の炭化性樹脂を含浸
したり、ピツチ類を含浸し、硬化後、700℃以上
で焼成炭化することにより得られる。より緻密で
高強度のＣ／Ｃ複合体を得るには樹脂含浸−硬化
−炭化のプロセスを数回繰り返すのがよい。

又、Ｃ／Ｃ複合体は、前記樹脂含浸による方法
に換えて、CVD処理によつて熱分解炭素を炭素
繊維構造体内に均一に沈積させることによつても
得ることができる。

こうして得られた環状のＣ／Ｃ複合体は、第２
図及び第５図に示すように筒形状の黒鉛からなる
カーボン鋳型１の片端部又は両端部より筒壁内部
に嵌着され、カーボン鋳型１が構成される。カー
ボン鋳型１の片端部より筒壁内部にＣ／Ｃ複合体
を嵌着させる場合、カーボン鋳型の安定性等から
カーボン鋳型１の下端部に嵌着させるほうが好ま
しい。

前記実施例はカーボン鋳型が円筒形状である場
合について説明したが、本発明に係るカーボン鋳
型は、カーボン鋳型の形状が円筒形状のものに限
らずいろいろな角筒形状のものも適用される。

（発明の作用） 本発明に係るカーボン鋳型は、ホツトプレス装
置の炉芯部を構成する筒形状のカーボン鋳型の片
端部又は両端部に、カーボン鋳型の筒壁内部に嵌
着してなる環状のＣ／Ｃ複合体を有することによ
り、次のような作用がある。

まず、カーボン鋳型の片端部又は両端部が高強
度のＣ／Ｃ複合体によつて補強されるているの
で、カーボン鋳型が破損を生じにくい。

また、カーボン鋳型に破損を生じた場合にも、
破損の伝播が端部のＣ／Ｃ複合体によつて止めら
れ、このことによつて割れ目の幅を小さく抑え、
割れの広がりを防止するように作用する。このた
め、カーボン鋳型内に充填された高温の被焼結物
質の飛び出しを防止することができる。

（実施例） 次に、本発明を実施例によつて具体的に説明す
る。

実施例 １ 炭素繊維を円筒形状の中子に巻きつけ、フエノ
ール樹脂に含浸し、硬化後、700℃で焼成炭化し
てＣ／Ｃ複合体の中間体を作製した。その後、更
に４回フエノール樹脂含浸と焼成炭化を繰り返
し、外径250mmφ、内径230mmφ、高さ30mmのＣ／
Ｃ複合体を２個得た。

このＣ／Ｃ複合体の大きさに合わせ、等方性黒
鉛からなる筒形状のカーボン鋳型の両端部に嵌着
溝を形成し、この嵌着溝内に前記Ｃ／Ｃ複合体２
個を嵌着させて、第２図に示すようなカーボン鋳
型を作製した。

このカーボン鋳型の破壊試験を行なつた結果、
カーボン鋳型の割れ目はカーボン鋳型の両端部で
止まり、それ以上に拡大せず、破損物が飛び散る
ことがなかつた。また、Ｃ／Ｃ複合体を嵌着させ
ないカーボン鋳型に比べて８倍のライフアツプが
図れた。

実施例 ２ 炭素繊維を円筒形状の中子に巻きつけ、フエノ
ール樹脂に含浸し、硬化後、700℃で焼成炭化し
てＣ／Ｃ複合体の中間体を作製した。その後、更
に４回フエノール樹脂含浸と焼成炭化を繰り返
し、外径250mmφ、内径230mmφ、高さ30mmのＣ／
Ｃ複合体を１個得た。

このＣ／Ｃ複合体の大きさに合わせ、等方性黒
鉛からなる筒形状のカーボン鋳型の下端部に嵌着
溝を形成し、この嵌着溝内に前記Ｃ／Ｃ複合体を
嵌着させて、第４図に示すようなカーボン鋳型を
作製した。

このカーボン鋳型の破壊試験を行なつた結果、
カーボン鋳型の割れ目はカーボン鋳型の片端部で
止まり、それ以上に拡大せず、破損物が飛び散る
ことがなかつた。また、Ｃ／Ｃ複合体を嵌着させ
ないカーボン鋳型に比べて４倍のライフアツプが
図れた。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明に係るカーボン鋳
型は、従来のカーボン鋳型に比べ、高強度とする
ことができるとともに、ホツトプレス作業中のカ
ーボン鋳型に破損を生じた場合にも、割れ目の幅
を小さく抑え、割れの広がりを防止して、カーボ
ン鋳型の破損物やカーボン鋳型内に充填された高
温の被焼結物質の飛び出しをなくし、作業の安全
性を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はホツトプレス装置の炉芯部の概略をあ
らわした断面図、第２図は本発明に係るカーボン
鋳型の一実施例を示す断面図、第３図は第２図Ａ
−Ａ線の断面図、第４図は本発明に係るカーボン
鋳型の別の実施例を示す断面図、第５図は第４図
Ｂ−Ｂ線の断面図である。 符号の説明、１……カーボン鋳型、２……発熱
体、３……断熱材、４……被焼結体、５……スペ
ーサ、６……押棒、７……押台、８……Ｃ／Ｃ複
合体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ホツトプレス装置の炉芯部を構成する筒形状
   のカーボン鋳型の片端部又は両端部に、カーボン
   鋳型の筒壁内部に嵌着してなる環状のＣ／Ｃ複合
   体を有することを特徴とするホツトプレス用カー
   ボン鋳型。