JPH0350955Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は玩具基部に設けた固定軸のまわりに回
転体を同一方向に所定の回転角ずつ回転させ、逆
方向に回転させることのない玩具における回転体
の戻り防止構造に関するものである。

（考案の目的） 本考案は人形等の玩具において固定軸のまわり
に回転する回転体の外周面に形成された複数の模
様を、この回転体を所定の回転角で回転させるこ
とにより上記固定軸に固定した覆い部材から順次
露出させることができる回転体の戻り防止構造を
提供することをその目的とする。

（目的を達成するための手段） 上記目的を達成するため本考案に係る人形玩具
における回転体の戻り防止構造は、玩具基部に固
定軸を備え、且つ以下の各構成要件を備えたこと
を特徴とする。

(イ) 固定軸のまわりに回転自在に支持された回転
体の軸受部の端部周縁にはラチエツトギヤを形
成したこと (ロ) 上記回転体の回転方向の外周面には複数の模
様が形成されていること (ハ) 上記固定軸には板バネの一端が固定され、該
板バネの他端は上記ラチエツトギヤの上面に係
合していること (ニ) 上記回転体の模様の数は上記ラチエツトギヤ
の歯数と同じであること (ホ) 回転体の内部は中空に形成され、上記ラチエ
ツトギヤ及び板バネは上記回転体の内部に配置
されていること (ヘ) 上記固定軸には上記回転体の模様のうち一つ
の模様のみを残して他の模様を覆う覆い部材が
固定されていること （実施例） 以下、本考案の回転体の戻り防止構造について
説明する。

第１図ａ，ｂ，ｃは本考案の主要部の構成説明
図であり、符号１０は固定軸、３０は回転体、５
０は戻り防止部をそれぞれ示す。

戻り防止部５０は、図示しない玩具基部に形成
された固定軸１０に回転不能に軸挿固定される孔
５１ａを有した基台５１と、基台５１の下面に固
定された戻り防止用の板バネ５２とから成る。回
転体３０は固定軸１０に回転自在に挿通支持され
るとともに、その軸受部３５の上端部周縁３５に
はラチエツトギヤ３５ａが形成されている。回転
体３０は固定軸１０に保持された支持部３１上に
支持され、戻り防止部５０の板バネ（この実施例
では螺旋状バネ）５２の先端で弾性的にラチエツ
トギヤ３５ａに弾性的に係合するように構成され
ている。

したがつて、回転体３０がＡ方向に回転すると
きは、板バネ５２の先端はラチエツトギヤ３５ａ
上面を摺動するだけであるから、その回転は許容
される。しかし、回転体３０をＢ方向に回転しよ
うとすると、板バネ５２の先端がラチエツトギヤ
３５ａに係合するので、その回転は阻止される。
したがつて、回転体３０はＡ方向回転のみが可能
となつている。なお、回転体３０の内部は中空に
形成され、ラチエツトギヤ３５ａ及び板バネ５２
は回転体３０の内部に配置されている。

第２図は上記戻り防止構造を表情変化人形に応
用した例を示し、第３図はその断面図、第４図は
各構成部材の分解断面図をそれぞれ示す。

表情変化人形１は、野球のホームベースをかた
どつた基部２と基部２上に下端を固定され上端で
野球ボール３を保持した棒状バネ４と基部２に一
体化された下半身部５とから成る固定部６と、下
半身部５の底部に固定され上部開口部から上方へ
突出した固定軸１０と、該固定軸１０に回動自在
に挿通支持されて下半身部５の上部に位置する逆
カツプ状の胴部２０と、胴部２０に一体化された
腕及びバツト２０ａと、胴部２０を上方へ貫通突
出した固定軸１０に回動自在に挿通支持されたカ
ツプ状の顔部（回転体）３０と、顔部３０の開口
部から上方へ突出した固定軸１０の上端に固定さ
れ顔部３０の上部に位置する頭部（帽子部）４０
と、下半身部５の内部に収納され固定軸１０を中
心として回動する胴部付勢用のバネ機構１１と、
胴部２０と顔部３０の摺動部にぞれぞれ形成され
たラチエツト部２１，３１（固定軸１０と同軸
上）から成る回転動力伝達機構と、顔部３０の底
部から上方へ所定距離突出した位置に一体的に突
出形成されたラチエツトギヤ３５ａを有する軸受
部３５と、軸受部３５と頭部４０との間において
固定軸１０に挿通固定された戻り防止部材５０と
から概略構成されている。上記顔部３０の回転方
向の外周面には等間隔に４個の表情が表示されて
いる。

また、頭部４０は上記顔部３０を覆う覆い部材
で、顔部３０の表情の一つを残して他の表情を覆
うように構成されている。

胴部付勢用のバネ機構１１は、回動機構１５
と、コイルバネ１６とから成る。回動機構１５は
下半身部５の内側底面と内壁に固定された扇形の
固定板１２との間において固定軸１０の外周に回
動自在に支持された回転筒体１３と、回転筒体１
３の上端部に一体化された回動板１４と、回動板
１４の外径側上面に突設された棒状の連結突起１
４ａとから成る。コイルバネ１６は下端部を底面
によつて支持されるとともに上端部を回動板１４
によつて支持され且つ回転筒体１３の外周上に巻
回されて回動機構１５を常時バツトスイング方向
即ち前方（第２図、第５図Ａ方向）へ付勢してい
る。回動機構１５を戻し方向（第２図、第５図Ｂ
方向）へ押圧して回動させたときバネ１６は収縮
し、押圧力を解除するとバツトスイング方向Ａへ
勢い良く復帰するように構成されている。胴部２
０の内壁上部には回動板１４の連結突起１４ａが
嵌着する筒状孔２０ｂが形成されており、連結突
起１４ａを孔２０ｂ内に嵌着することによつて回
動機構１５と胴部２０が一体的に回動するように
構成されている。

胴部２０と顔部３０との摺動部に位置する回転
動力伝達機構を構成するラチエツト部２１，３１
のラチエツトギヤの方向は、顔部３０がバツトス
イング方向Ａにだけ回転できるように設定されて
いるとともに、各ラチエツト部２１，３１同士は
後述する戻り防止部５０によつて所定の力で弾性
的に係合し、且つ戻り方向Ｂへの回転を禁止され
ているため、回動機構１５と胴部２０をバネ１６
に抗して戻り方向Ｂへ回動させたときには顔部３
０は戻り方向へは回転しないが、押圧力を解除し
たときにバネ１６の原形復帰力によつてバツトス
イング方向Ａへ回転しようとする胴部のラチエツ
ト部２１によつて顔部のラチエツト部３１が押圧
されて顔部３０がバツトスイング方向Ａへ回動さ
せられるように構成されている。各ラチエツト部
２１，３１を例えば４つのギヤから構成して一回
のスイング毎に一つのギヤ分（45度）だけ顔部３
０が回動するように構成するとともに顔部３０に
45度間隔で異なつた表情を表わすことによつて一
回のスイング毎に異なつた表情が現われるように
構成する。

戻り防止部５０は、第１図ａ，ｂ，ｃに示した
構成を有し、戻り防止部の板バネ５２が係合する
軸受部３５のラチエツトギヤ３５ａは、ラチエツ
ト部２１，３１に合わせて４つ形成されており、
またラチエツトギヤの方向はラチエツト部２１，
３１と同様に顔部３０が戻り方向へ回動すること
を阻止するように設定される。なお、戻り防止部
５０を設ける代りに顔部３０自体の自重によつて
ラチエツト部２１，３１同士を圧接させて戻りを
防止してもよい。

以上の構成において、バツト２０ａを有した胴
部２０を第１図の状態から戻り方向Ｂへ回転させ
るとバネ１６が圧縮され、手を離すとバネ１６の
復帰力によつて胴部２０は前方Ａへ回動しバツト
が棒状バネ４先端のボール３を打つ。胴部２０を
戻り方向へ回動させるとき戻り防止部５０によつ
て戻り方向への回転を阻止された顔部は回動しな
いため胴部のラチエツト部２１はラチエツト部３
１を乗り越えて戻り方向へ回動する。そして胴部
が前方へ回動するときにはラチエツト部２１のギ
ヤがラチエツト部３１のギヤに噛合つてこれを前
方へ回動させる。上記実施例では、顔部３０の一
回の回動量はラチエツト部２１，３１のギヤ一つ
分に設定されているのに対し、顔部３０の表情の
一つを残して他の表情を覆うように構成された頭
部４０は固定軸１０に固定されて回転しない。し
たがつて、顔部３０の一回の回動毎に顔部３０の
外周面に形成された各表情は、頭部４０から順次
入れ替わつて露出する。

（考案の効果） 上述のように、本考案の回転体の戻り防止構造
によれば、回転体は一方向に回転した後、逆方向
に戻り回転しようとしても、回転体のラチエツト
ギヤと固定軸の板バネとが係合するから、回転体
は戻り回転することができない。このようにし
て、回転体をラチエツトギヤの数に応じた回動量
で一方向にのみ回転させることができるから、固
定軸に固定された覆い部材から回転体の外周面に
形成された模様を順次露出させることができる。
したがつて、上記模様を各種選択することによ
り、従来にない面白い玩具を得ることができる。

また、戻り防止構造の中核を成す板バネとラチ
エツトギヤは、中空の回転体の内部に配置されて
いるので、板バネやラチエツトギヤが外部に露出
して外観を損なう不都合がなく、さらに全体をコ
ンパクトに形成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃは本考案の主要部の構成説明
図、第２図は本考案の応用例の全体構成を示す外
観図、第３図は断面図、第４図は分解断面図、第
５図は下半身部の斜視図である。 符号１……表情変化人形、２……基部、３……
野球ボール、４……棒状バネ、５……下半身部、
６……固定部、下半身１０……固定軸、１１……
バネ機構、１２……固定板、１３……回転筒体、
１４……回動板、１４ａ……連結突起、１５……
回動機構、１６……コイルバネ、２０……胴部、
２０ａ……腕及びバツト、２１……ラチエツト
部、３０……顔部（回転体）、３１……ラチエツ
ト部、３５……軸受部、３５ａ……ラチエツトギ
ヤ、４０……頭部（帽子部）、５０……戻り防止
部、５１……基台、５２……板バネ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 玩具基部に固定軸を備え、且つ以下の各構成要
   件を備えたことを特徴とする回転体の戻り防止構
   造。 (イ) 固定軸のまわりに回転自在に支持された回転
   体の軸受部の端部周縁にはラチエツトギヤを形
   成したこと (ロ) 上記回転体の回転方向の外周面には複数の模
   様が形成されていること (ハ) 上記固定軸には板バネの一端が固定され、該
   板バネの他端は上記ラチエツトギヤの上面に係
   合していること (ニ) 上記回転体の模様の数は上記ラチエツトギヤ
   の歯数と同じであること (ホ) 回転体の内部は中空に形成され、上記ラチエ
   ツトギヤ及び板バネは上記回転体の内部に配置
   されていること (ヘ) 上記固定軸には上記回転体の模様のうち一つ
   の模様のみを残して他の模様を覆う覆い部材が
   固定されていること