JPH0350825B2 - - Google Patents
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- Continuous Casting (AREA)
Description
この発明は、取鍋からタンデイツシユを経て連
続的に移動している凝固途中の鋳片における内部
未凝固溶湯に、電磁撹拌を施して鋳片の品質を改
善するようにされた連続鋳造装置において、電磁
撹拌装置からの電磁力を遮ることなく有効に鋳片
に付与し得、強い撹拌力を達成できるとともに、
加熱冷却の繰返しによつて引き起されるフアイヤ
ークラツク発生のおそれのない連続鋳造用非磁性
鋼ロールに関するものである。 一般に、連続鋳造においては、取鍋からタンデ
イツシユへ注入された溶鋼は、通常複数の鋳型へ
分配供給され、鋳型で冷却されて、周囲に凝固殻
が成長してはいるが内部に未凝固溶鋼を残留させ
たままの状態で鋳型に続く支持ロール群に引抜か
れ、該支持ロール間を通過する間に支持ロール間
に介在配設されたスプレーノズルからの水冷却を
受けて完全に凝固した鋳片となるが、この場合、
溶鋼が鋳型に注入されてから完全に凝固するまで
に鋳片が移動する距離、即ち鋳型内湯面から支持
ロール群の間に位置する完全凝固点に至る距離は
10〜15mにも達しているのが普通であり、このた
め、鋳型から完全凝固点に達するまでの間の鋳片
内部には極めて細長く伸びた未凝固溶鋼領域が存
在することとなり、これが鋳片の中心偏析や軸心
割れ等の品質欠陥の原因となつていた。 近年、このような問題点を改善すべく、電磁撹
拌技術の採用が一般化してきており、これによつ
て鋳偏品質の著しい向上がなされてきた。この電
磁撹拌とは、支持ロール群の上流側の鋳型側端
と、下流側の鋳片の完全凝固点との間の適宜位置
に、鋳片側面に臨ませて電磁コイルを配設し、鋳
片内の未凝固溶鋼に鋳片側面に沿う水平方向又は
垂直方向への電磁力を与えてこれを撹拌し、鋳片
中心部の凝固組織の改善、中心偏析や軸心割れ等
の軽減を図るものである。 第1図は、従来の、彎曲型連続鋳造設備に電磁
コイルを主体とする電磁撹拌装置を備えたものの
要部概略図である。いま、タンデイツシユから溶
湯(A)が鋳型(B)へ注入されると、該鋳型(B)から円弧
状に配列された支持ロール群の間を通つて、連続
的に矢印方向に搬出され、次第に凝固されて次工
程に送られる。支持ロール群のうち、(C)はガイド
ロール群、(D)は電磁撹拌用ロール群、(F)はピンチ
ロール群と呼ばれている。そして、(E)は電磁撹拌
装置である。 そして、第1図からも窺い知れることである
が、電磁撹拌を効果的に行なうためには、鋳片を
支持する連続鋳造用ロール(支持ロール)、特に
電磁撹拌装置(E)設置位置近傍のロールの材質を非
磁性として、電磁力がロールに遮断されず、鋳片
内未凝固溶鋼に有効が与えられるようにすること
が必要であるが、従来知られていた非磁性鋼素材
を使用して支持ロールを構成した場合には、これ
らのロールが高い磁場内に置かれることや、鋳片
に直接接触して高温高熱を繰返し受けることか
ら、フアイヤークラツクが生じて早期に破断する
という現象を生じたり、塩素イオンを多量に含有
する工業用水中に置かれることから、使用中に鋭
敏化して応力腐食割れを発生したり、またロール
の熱変形を招いたりして、長寿命が得られない等
の多くの問題点がみられた。 本発明者等は、上述のような観点から、鋳片の
支持のために十分な強度、即ち降伏応力40Kgf/
mm2以上の強度を有し、フアイヤークラツクや応力
腐食割れを生ずることなく、十分な強靭性を有し
ており、しかも鋳片への強い電磁撹拌力の付与を
可能とし得る非磁性(透磁率が1.02以下)を有す
る連続鋳造用非磁性鋼ロールを得るべく種々研究
を重ねた結果、以下(a)〜(d)に示す如き知見を得た
のである。すなわち、 (a) 鋼中のC,Si,sol.Al,Mn,Cr,N,P,
S,Ni,Cu,Mo,及びVの組成成分量の範囲
をそれぞれ特定の値に調整してロールを製造す
れば、鋳片を支持する連続鋳造用ロールとして
曲げ変形を起さないとされている。40Kgf/mm2
以上の耐力のものが得られ、しかも、透磁率が
1.02以下の非磁性ロールとすることができるこ
と。つまり、Cを低くして、高いMnを含む鋼
をベースとし、Nの作用効果、即ちオーステナ
イトを安定化し、かつ降伏強度を高めるという
効果を最大限に利用し、Ni,Cuの量を少なく
して、安価な高強度非磁性鋼を製造し得るこ
と。 (b) さらに、このような成分組成の鋼に断面減少
率60%以上の熱間加工を施せば、強度をより一
層向上できるうえ、延性、靭性、及び耐応力腐
食割れ性も改良できること。 (c) 上述のように、特定成分組成の鋼に適当な熱
処理を施すと、ロールの割れ感受性が更に低く
なり、加熱冷却の繰返しによるフアイヤークラ
ツクをほとんど防止できること。 (d) 連続鋳造用ロールを、ロール軸と、該ロール
軸に外嵌するスリーブとから成るものとし、さ
らに、ロール軸とスリーブとの間に複数本の冷
却溝を設けて、ロール軸に穿設した給排水口を
通じての水冷を行なう構成のものとするととも
に、このロール軸及びスリーブの材質を、上述
のようにして得られる非磁性鋼材製とすれば、
独自の非磁性鋼による材質の特性と、前記した
製造上の特徴ある多数本の冷却水溝を配設によ
る流通冷却水の冷却作用と相俟つて、ロール軸
及びスリーブの冷却が十分行なわれて温度上昇
が著しく阻止され、加熱・冷却による熱応力の
度合が減少することとによつて、耐クラツク性
が向上し、ロール変形等の熱影響によるロール
寿命の短命化が確実に防止できること。 したがつて、この発明は、上記知見に基いてな
されたものであつて、連続鋳造ロールを、ロール
軸と、該ロール軸に外嵌するスリーブとから成る
ものとし、前記ロール軸とスリーブとの間にロー
ル軸に対して平行な複数本の冷却溝を設けるとと
もに、ロール軸の両端軸心部には前記冷却水溝の
各開口端部と連通する給排水口を穿設し、更に、
前記ロール軸部材を、重量%で、C:0.15%以
下、Si:1.0以下、sol.Al:0.10%以下、Mn:17.0
〜25.0%、Cr:6.0〜15.0%、N:0.05〜0.25%、
P:0.030%以下、S:0.010%以下、を含有する
とともに、Ni:1.0〜3.0%とCu:1.0〜3.0%のい
ずれか一方又は両方を、両者の和が3.0%以下の
範囲で含有し、さらに、Mo:0.3〜1.0%とV:
0.1〜0.8%の1種をも含み、Fe及び不可避不純
物:残り、から成る鋼を、断面減少率60%以上で
熱間加工して得られる組織を有する高強度非磁性
鋼製とし、また、前記スリーブ部材を、軸部材と
同様な成分組成の鋼を900〜1180℃の温度に30分
〜15時間保持する熱処理を施して得られる組織を
有する耐クラツク性のすぐれた非磁性鋼で構成し
たことに特徴を有するものである。 第2図及び第3図は、本発明の連続鋳造用非磁
性鋼ロールの構造例を示す概略図であり、第2図
は一部破断正面図、第3図は第2図のX−X線断
面図である。 連続鋳造用非磁性鋼ロール1、は、中心に位置
するロール軸3と、このロール軸3の外周を包む
ように外嵌されたスリーブ2の二つの部材によつ
て構成されている。ロール軸3の軸外周には、第
3図で示す如く多数本の凹溝からなる冷却水溝4
がロール軸3に平行に設けられている。従つてロ
ール軸3とそれを外嵌するリーブ2との間には、
その何れの部材に対しても冷却水溝4が接面し、
該溝4内を流通する冷却水による両部材2,3の
冷却作用が同時に行なわれるようになつている。 この多数本の冷却水溝の4と両端部には、該冷
却水溝4の各開口端部とをそれぞれ放射状に連通
する連通路9と、この連通路9の中心集合部に連
通するように、一端側には給水口5が、また他端
側は排水口6が図の如く設けられている。従つ
て、給水口5に外部からの給水管(図示せず)を
連結すれば、給水口5→各冷却水溝4→排水口6
の順に冷却水が図示矢印の如く流通し、前記スリ
ーブ2とロール軸3との両部材は、この流通する
冷却水によつて直接かつ同時に冷却作用を受け
て、両部材2,3の極端な温度上昇が抑えられる
のである。 非磁性鋼ロール1を構成するスリーブ2とロー
ル軸3とは、前述のように本発明独自の非磁性鋼
から構成されている。 なお、非磁性鋼ロール1に設けられる多数本の
冷却水口4は、この例の如くロール軸3に穿設し
て設けるものに限られるものではなく、例えばス
リーブ2側のみ、或いはロール軸3とスリーブ2
とに跨がつた状態で設けても良いことはもちろん
のことである。つまり、ロール軸3のスリーブ2
とのいずれの部材面にも同時に冷却できる冷却水
の通路となれば良いのである。 ついで、この発明の連続鋳造用非磁性鋼ロール
において、ロールを構成する各組成成分量、熱間
加工時の断面減少率、及び熱処理温度と保持時間
の範囲を上述のように限定した理由を説明する。 (ア) C C成分には、オーステナイトを安定化し、透
磁率を下げ、また降伏強度を増す作用がある
が、その含有量が0.15重量%を越えると、ロー
ル使用中に受ける熱履歴によつてオーステナイ
ト組織の結晶粒界に炭化物が析出し、ロールの
靭性が低下すると共に、応力腐食割れに対する
感受性も高まるようになる。また、C含有量の
上昇は、鋼素材の機械加工性をも劣化させる原
因となる。このようなことから、C含有量を
0.15重量%以下と限定した。 (イ) Si Si成分は脱酸剤として必要な元素であり、し
かも降伏点を上昇させる作用を有するものであ
るが、1.0重量%を越えて添加しても脱酸効果
にそれ以上の向上はみられず、逆に非金属介在
物が増加して靭性を低下させるようになるとと
もに、ロール割れ発生の原因となることから、
その含有量を1.0重量%以下と限定した。 (ウ) sol.Al Al成分も脱酸剤として必要な元素であるが、
鋼中のsol.Al分が0.10重量%を越えるような量
で添加しても脱酸効果にそれ以上の向上はみら
れず、かつ非金属介在物の増加をもたらして靭
性を低下させるようになることから、その含有
量を010重量%以下と限定した。 (エ) Mn Mn成分には、安価にオーステナイト組織を
安定化し、透磁率を小さくする作用があり、
NiやCrと同様にロールを非磁性にするために
必要な元素である。この発明の非磁性ロール
は、C含有量を低い値に抑えたためにCによる
オーステナイト安定化効果は期待できず、Mn
を多量に含有せしめる必要があり十分なオース
テナイト安定化効果を得るためには、Mn含有
量が17.0重量%以上であることが必要である。
Mn含有量が17.0重量%未満になると透磁率が
急に大きくなり、非磁性が損なわれるようにな
る。一方、その含有量が25.0重量%を越えても
透磁率減少効果にそれ以上の向上がみられず、
応力腐食割れ発生のおそれが生ずるようになる
ことから、Mn含有量を17.0〜25.0重量%と限
定した。 (オ) Cr Cr成分には、ロールを構成する鋼の強度、
即ち0.2%耐力を向上させるとともに、腐食速
度の低減に有効であるが、その含有量が6.0重
量%未満では、工業用水中においてロール周面
の腐食速度が上昇し、ロール使用中にロール周
面に銹が発生しやすくなり、ロール周面の平滑
度を悪化させることとなるうえ、所要の0.2%
耐力を得ることができなくなる。一方、15.0重
量%を越えて含有させても、前記効果にそれ以
上の向上が認められないうえに、オーステナイ
ト組織の代りにδ−フエライト組織を生成して
透磁率が大きくなるとともに、靭性を劣化する
ようになることから、その含有量を6.0〜15.0
重量%と限定した。 (カ) N N成分には、オーステナイトの安定化、透磁
率の減少、降伏応力の向上等の各作用がある
が、その含有量が0.05重量%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方、0.25重量%の
越えて含有させると、ブローホールを発生する
など製鋼上の問題を生じ、かつ熱処理を施して
も十分に固溶しなくなつて、靭性や耐食性を劣
化するようになることから、その含有量を0.05
〜0.25重量%と限定した。 (キ) P P分は、熱間加工性及び靭性に悪影響を及ぼ
す元素であり、その含有量が0.030重量%を越
えた場合には、特にロール使用に伴う熱履歴を
受けたときに靭性の著しい劣化を来たすように
なり、また熱間加工時の割れ発生の原因となる
ことから、その含有量を0.030重量%以下と限
定した。 (ク) S S分も、熱間加工性及び靭性に悪影響を及ぼ
す元素であるが、その含有量を0.010重量%以
下に抑えた場合に良好な熱間延性が得られるよ
うになり、熱間加工性が向上して加工時に割れ
を発生することがなくなることから、その含有
量を0.010重量%以下と限定した。 (ケ) Ni及びCu Ni及びCu成分には、オーステナイトを安定
化し、透磁率を低くし、かつ、伸び、絞り、衝
撃値等の機械的性質を向上する作用を有する
が、その含有量がそれぞれ1.0重量%未満では、
電磁撹拌装置近傍に設ける連続鋳造用ロールと
しての非磁性、即ち、透磁率1.02以下を達成す
ることができず、機械的性質も所望の値より低
くなる。一方、その含有量がそれぞれ3.0重量
%を越えるか、両者の和が3.0重量%を越える
と透磁率の低下にそれ以上の効果がみられず、
耐食性、特に耐応力腐食割れ性が劣化し、しか
も経済性も損なわれることから、その含有量
を、それぞれが1.0〜3.0重量%と限定し、両者
が一緒に含まれる場合でもその含有量の和を
3.0重量%以下と限定した。 (コ) Mo及びV Mo及びV成分のいずれか一方、又は両方を
添加すると、鋼の降伏応力を向上させて高強度
のロールが得られるが、それぞれが下限値を下
廻つた場合、即ちMoが0.3重量%未満、Vが
0.1重量%未満では降伏点向上に所望の効果が
得られず、一方、Moが1.0重量%を越えた場
合、又はVが0.8重量%を越えて含有された場
合には、靭性及び耐食性が劣化するようになる
ことから、その含有量を、Moは0.3〜1.0重量
%、Vは0.1〜0.8重量%と限定した。特にV成
分は、上限値を越えると低融点化合物を生成
し、熱間加工性を悪化するようにもなる。 (サ) 熱間加工時の断面減少率60%以上 鋳片を支持するのに必要な40Kg/mm2以上の降
伏応力を確保し、さらに高い延性及び靭性を得
るためには、断面減少率60%以上の熱間加工を
施した組織の鋼でロール軸を構成する必要があ
る。断面減少率が60%未満では所望の機械的性
質を得ることができないのである。 なお、熱間加工における仕上げ温度は900℃
以上であるのが好ましい。これは、ロール軸の
延性及び靭性をより一層高めるとともに、耐応
力腐食割れ性を向上させるためであり、仕上温
度が900℃未満であると、熱間加工中に炭化物
又は窒化物が析出して応力腐食割れ発生を助長
する場合があるからである。 この発明の連続鋳造用非磁性鋼ロールのロー
ル軸を構成するには、前記所定組成の鋼をこの
ように熱間加工組織としたものを使用するだけ
で十分である(即ち、所要の40Kgf/mm2以上の
降伏応力と1.02以下の低い透磁率が得られる)。 (シ) 熱処理温度900〜1180℃ 鋼素材に熱処理を施すことは、割れ感受性を
低めることとなり、ロールのスリーブに適した
ものである。この場合の熱処理温度が900℃未
満の場合には、ロールの耐応力腐食割れ性が低
く、しかも靭性にも良好な値を得られないが、
一方、1180℃を越えると、強度が低下してロー
ルに曲りが生ずるようになることから、その温
度を900〜1180℃と限定した。 (ス) 加熱保持時間30分〜15時間 熱処理の際の加熱保持時間を30分未満とした
場合には、ロール中心部まで十分昇温させるこ
とが難しく、熱処理による耐応力腐食割れ性向
上効果が得られない。一方、15時間を越えて
も、その効果にそれ以上の向上がみられず、逆
にロールの強度が低下することから、その保持
時間を30分〜15時間と限定した。 つぎに、この発明を実施例により比較例と対比
しながら説明する。 まず、ロール軸材として第1表に示す通りの成
分組織の鋼を溶製し、直径600mmφの鋼塊を熱間
鍜造によつて直径280mmφの丸鋼とした。この熱
間鍜造時の断面減少率は78%であつた。なお、比
較ロール軸材は、連続鋳造用ロールとして通常使
用されているものである。また、本発明ロール軸
材1〜4は熱間鍜造後空冷し、比較ロール軸材は
熱間鍜造後水冷してから、更に温度1120℃に2時
間保持の条件で熱処理を施したものである。 このようにして得られた本発明ロール軸材1〜
4および比較ロール軸材について、その機械的性
質及び透磁率を測定した結果を第1表に併せて示
した。 つぎに、スリーブ材として第2表に示す通りの
成分組成の鋼を溶製し、直径350mmφ、厚さ50mm
の管素材を1000℃の温度に50分間保持した後水冷
するという熱処理に供した。なお、比較スリーブ
材も、連続鋳造用ロールとして通常使用されてい
るものである。このように得られた本発明スリー
ブ材1〜4及び比較スリーブ材について、フアイ
ヤークラツク試験及び応力腐食割れ試験を行なつ
た結果、並びに透磁率を測定した結果を第2表に
併せて示した。フアイヤークラツク試験は、スリ
ーブ材を1200℃に加熱して5分間保持後、加熱面
を水冷し、この加熱・水冷を連続的に繰返してス
リーブ材の表面に亀裂が発生するまでのサイクル
数を測定するものであり、また、応力腐食試験
は、1.0mm厚、10mm幅、75mm長さのUベンド試験
片を用い、50℃でも500ppm
続的に移動している凝固途中の鋳片における内部
未凝固溶湯に、電磁撹拌を施して鋳片の品質を改
善するようにされた連続鋳造装置において、電磁
撹拌装置からの電磁力を遮ることなく有効に鋳片
に付与し得、強い撹拌力を達成できるとともに、
加熱冷却の繰返しによつて引き起されるフアイヤ
ークラツク発生のおそれのない連続鋳造用非磁性
鋼ロールに関するものである。 一般に、連続鋳造においては、取鍋からタンデ
イツシユへ注入された溶鋼は、通常複数の鋳型へ
分配供給され、鋳型で冷却されて、周囲に凝固殻
が成長してはいるが内部に未凝固溶鋼を残留させ
たままの状態で鋳型に続く支持ロール群に引抜か
れ、該支持ロール間を通過する間に支持ロール間
に介在配設されたスプレーノズルからの水冷却を
受けて完全に凝固した鋳片となるが、この場合、
溶鋼が鋳型に注入されてから完全に凝固するまで
に鋳片が移動する距離、即ち鋳型内湯面から支持
ロール群の間に位置する完全凝固点に至る距離は
10〜15mにも達しているのが普通であり、このた
め、鋳型から完全凝固点に達するまでの間の鋳片
内部には極めて細長く伸びた未凝固溶鋼領域が存
在することとなり、これが鋳片の中心偏析や軸心
割れ等の品質欠陥の原因となつていた。 近年、このような問題点を改善すべく、電磁撹
拌技術の採用が一般化してきており、これによつ
て鋳偏品質の著しい向上がなされてきた。この電
磁撹拌とは、支持ロール群の上流側の鋳型側端
と、下流側の鋳片の完全凝固点との間の適宜位置
に、鋳片側面に臨ませて電磁コイルを配設し、鋳
片内の未凝固溶鋼に鋳片側面に沿う水平方向又は
垂直方向への電磁力を与えてこれを撹拌し、鋳片
中心部の凝固組織の改善、中心偏析や軸心割れ等
の軽減を図るものである。 第1図は、従来の、彎曲型連続鋳造設備に電磁
コイルを主体とする電磁撹拌装置を備えたものの
要部概略図である。いま、タンデイツシユから溶
湯(A)が鋳型(B)へ注入されると、該鋳型(B)から円弧
状に配列された支持ロール群の間を通つて、連続
的に矢印方向に搬出され、次第に凝固されて次工
程に送られる。支持ロール群のうち、(C)はガイド
ロール群、(D)は電磁撹拌用ロール群、(F)はピンチ
ロール群と呼ばれている。そして、(E)は電磁撹拌
装置である。 そして、第1図からも窺い知れることである
が、電磁撹拌を効果的に行なうためには、鋳片を
支持する連続鋳造用ロール(支持ロール)、特に
電磁撹拌装置(E)設置位置近傍のロールの材質を非
磁性として、電磁力がロールに遮断されず、鋳片
内未凝固溶鋼に有効が与えられるようにすること
が必要であるが、従来知られていた非磁性鋼素材
を使用して支持ロールを構成した場合には、これ
らのロールが高い磁場内に置かれることや、鋳片
に直接接触して高温高熱を繰返し受けることか
ら、フアイヤークラツクが生じて早期に破断する
という現象を生じたり、塩素イオンを多量に含有
する工業用水中に置かれることから、使用中に鋭
敏化して応力腐食割れを発生したり、またロール
の熱変形を招いたりして、長寿命が得られない等
の多くの問題点がみられた。 本発明者等は、上述のような観点から、鋳片の
支持のために十分な強度、即ち降伏応力40Kgf/
mm2以上の強度を有し、フアイヤークラツクや応力
腐食割れを生ずることなく、十分な強靭性を有し
ており、しかも鋳片への強い電磁撹拌力の付与を
可能とし得る非磁性(透磁率が1.02以下)を有す
る連続鋳造用非磁性鋼ロールを得るべく種々研究
を重ねた結果、以下(a)〜(d)に示す如き知見を得た
のである。すなわち、 (a) 鋼中のC,Si,sol.Al,Mn,Cr,N,P,
S,Ni,Cu,Mo,及びVの組成成分量の範囲
をそれぞれ特定の値に調整してロールを製造す
れば、鋳片を支持する連続鋳造用ロールとして
曲げ変形を起さないとされている。40Kgf/mm2
以上の耐力のものが得られ、しかも、透磁率が
1.02以下の非磁性ロールとすることができるこ
と。つまり、Cを低くして、高いMnを含む鋼
をベースとし、Nの作用効果、即ちオーステナ
イトを安定化し、かつ降伏強度を高めるという
効果を最大限に利用し、Ni,Cuの量を少なく
して、安価な高強度非磁性鋼を製造し得るこ
と。 (b) さらに、このような成分組成の鋼に断面減少
率60%以上の熱間加工を施せば、強度をより一
層向上できるうえ、延性、靭性、及び耐応力腐
食割れ性も改良できること。 (c) 上述のように、特定成分組成の鋼に適当な熱
処理を施すと、ロールの割れ感受性が更に低く
なり、加熱冷却の繰返しによるフアイヤークラ
ツクをほとんど防止できること。 (d) 連続鋳造用ロールを、ロール軸と、該ロール
軸に外嵌するスリーブとから成るものとし、さ
らに、ロール軸とスリーブとの間に複数本の冷
却溝を設けて、ロール軸に穿設した給排水口を
通じての水冷を行なう構成のものとするととも
に、このロール軸及びスリーブの材質を、上述
のようにして得られる非磁性鋼材製とすれば、
独自の非磁性鋼による材質の特性と、前記した
製造上の特徴ある多数本の冷却水溝を配設によ
る流通冷却水の冷却作用と相俟つて、ロール軸
及びスリーブの冷却が十分行なわれて温度上昇
が著しく阻止され、加熱・冷却による熱応力の
度合が減少することとによつて、耐クラツク性
が向上し、ロール変形等の熱影響によるロール
寿命の短命化が確実に防止できること。 したがつて、この発明は、上記知見に基いてな
されたものであつて、連続鋳造ロールを、ロール
軸と、該ロール軸に外嵌するスリーブとから成る
ものとし、前記ロール軸とスリーブとの間にロー
ル軸に対して平行な複数本の冷却溝を設けるとと
もに、ロール軸の両端軸心部には前記冷却水溝の
各開口端部と連通する給排水口を穿設し、更に、
前記ロール軸部材を、重量%で、C:0.15%以
下、Si:1.0以下、sol.Al:0.10%以下、Mn:17.0
〜25.0%、Cr:6.0〜15.0%、N:0.05〜0.25%、
P:0.030%以下、S:0.010%以下、を含有する
とともに、Ni:1.0〜3.0%とCu:1.0〜3.0%のい
ずれか一方又は両方を、両者の和が3.0%以下の
範囲で含有し、さらに、Mo:0.3〜1.0%とV:
0.1〜0.8%の1種をも含み、Fe及び不可避不純
物:残り、から成る鋼を、断面減少率60%以上で
熱間加工して得られる組織を有する高強度非磁性
鋼製とし、また、前記スリーブ部材を、軸部材と
同様な成分組成の鋼を900〜1180℃の温度に30分
〜15時間保持する熱処理を施して得られる組織を
有する耐クラツク性のすぐれた非磁性鋼で構成し
たことに特徴を有するものである。 第2図及び第3図は、本発明の連続鋳造用非磁
性鋼ロールの構造例を示す概略図であり、第2図
は一部破断正面図、第3図は第2図のX−X線断
面図である。 連続鋳造用非磁性鋼ロール1、は、中心に位置
するロール軸3と、このロール軸3の外周を包む
ように外嵌されたスリーブ2の二つの部材によつ
て構成されている。ロール軸3の軸外周には、第
3図で示す如く多数本の凹溝からなる冷却水溝4
がロール軸3に平行に設けられている。従つてロ
ール軸3とそれを外嵌するリーブ2との間には、
その何れの部材に対しても冷却水溝4が接面し、
該溝4内を流通する冷却水による両部材2,3の
冷却作用が同時に行なわれるようになつている。 この多数本の冷却水溝の4と両端部には、該冷
却水溝4の各開口端部とをそれぞれ放射状に連通
する連通路9と、この連通路9の中心集合部に連
通するように、一端側には給水口5が、また他端
側は排水口6が図の如く設けられている。従つ
て、給水口5に外部からの給水管(図示せず)を
連結すれば、給水口5→各冷却水溝4→排水口6
の順に冷却水が図示矢印の如く流通し、前記スリ
ーブ2とロール軸3との両部材は、この流通する
冷却水によつて直接かつ同時に冷却作用を受け
て、両部材2,3の極端な温度上昇が抑えられる
のである。 非磁性鋼ロール1を構成するスリーブ2とロー
ル軸3とは、前述のように本発明独自の非磁性鋼
から構成されている。 なお、非磁性鋼ロール1に設けられる多数本の
冷却水口4は、この例の如くロール軸3に穿設し
て設けるものに限られるものではなく、例えばス
リーブ2側のみ、或いはロール軸3とスリーブ2
とに跨がつた状態で設けても良いことはもちろん
のことである。つまり、ロール軸3のスリーブ2
とのいずれの部材面にも同時に冷却できる冷却水
の通路となれば良いのである。 ついで、この発明の連続鋳造用非磁性鋼ロール
において、ロールを構成する各組成成分量、熱間
加工時の断面減少率、及び熱処理温度と保持時間
の範囲を上述のように限定した理由を説明する。 (ア) C C成分には、オーステナイトを安定化し、透
磁率を下げ、また降伏強度を増す作用がある
が、その含有量が0.15重量%を越えると、ロー
ル使用中に受ける熱履歴によつてオーステナイ
ト組織の結晶粒界に炭化物が析出し、ロールの
靭性が低下すると共に、応力腐食割れに対する
感受性も高まるようになる。また、C含有量の
上昇は、鋼素材の機械加工性をも劣化させる原
因となる。このようなことから、C含有量を
0.15重量%以下と限定した。 (イ) Si Si成分は脱酸剤として必要な元素であり、し
かも降伏点を上昇させる作用を有するものであ
るが、1.0重量%を越えて添加しても脱酸効果
にそれ以上の向上はみられず、逆に非金属介在
物が増加して靭性を低下させるようになるとと
もに、ロール割れ発生の原因となることから、
その含有量を1.0重量%以下と限定した。 (ウ) sol.Al Al成分も脱酸剤として必要な元素であるが、
鋼中のsol.Al分が0.10重量%を越えるような量
で添加しても脱酸効果にそれ以上の向上はみら
れず、かつ非金属介在物の増加をもたらして靭
性を低下させるようになることから、その含有
量を010重量%以下と限定した。 (エ) Mn Mn成分には、安価にオーステナイト組織を
安定化し、透磁率を小さくする作用があり、
NiやCrと同様にロールを非磁性にするために
必要な元素である。この発明の非磁性ロール
は、C含有量を低い値に抑えたためにCによる
オーステナイト安定化効果は期待できず、Mn
を多量に含有せしめる必要があり十分なオース
テナイト安定化効果を得るためには、Mn含有
量が17.0重量%以上であることが必要である。
Mn含有量が17.0重量%未満になると透磁率が
急に大きくなり、非磁性が損なわれるようにな
る。一方、その含有量が25.0重量%を越えても
透磁率減少効果にそれ以上の向上がみられず、
応力腐食割れ発生のおそれが生ずるようになる
ことから、Mn含有量を17.0〜25.0重量%と限
定した。 (オ) Cr Cr成分には、ロールを構成する鋼の強度、
即ち0.2%耐力を向上させるとともに、腐食速
度の低減に有効であるが、その含有量が6.0重
量%未満では、工業用水中においてロール周面
の腐食速度が上昇し、ロール使用中にロール周
面に銹が発生しやすくなり、ロール周面の平滑
度を悪化させることとなるうえ、所要の0.2%
耐力を得ることができなくなる。一方、15.0重
量%を越えて含有させても、前記効果にそれ以
上の向上が認められないうえに、オーステナイ
ト組織の代りにδ−フエライト組織を生成して
透磁率が大きくなるとともに、靭性を劣化する
ようになることから、その含有量を6.0〜15.0
重量%と限定した。 (カ) N N成分には、オーステナイトの安定化、透磁
率の減少、降伏応力の向上等の各作用がある
が、その含有量が0.05重量%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方、0.25重量%の
越えて含有させると、ブローホールを発生する
など製鋼上の問題を生じ、かつ熱処理を施して
も十分に固溶しなくなつて、靭性や耐食性を劣
化するようになることから、その含有量を0.05
〜0.25重量%と限定した。 (キ) P P分は、熱間加工性及び靭性に悪影響を及ぼ
す元素であり、その含有量が0.030重量%を越
えた場合には、特にロール使用に伴う熱履歴を
受けたときに靭性の著しい劣化を来たすように
なり、また熱間加工時の割れ発生の原因となる
ことから、その含有量を0.030重量%以下と限
定した。 (ク) S S分も、熱間加工性及び靭性に悪影響を及ぼ
す元素であるが、その含有量を0.010重量%以
下に抑えた場合に良好な熱間延性が得られるよ
うになり、熱間加工性が向上して加工時に割れ
を発生することがなくなることから、その含有
量を0.010重量%以下と限定した。 (ケ) Ni及びCu Ni及びCu成分には、オーステナイトを安定
化し、透磁率を低くし、かつ、伸び、絞り、衝
撃値等の機械的性質を向上する作用を有する
が、その含有量がそれぞれ1.0重量%未満では、
電磁撹拌装置近傍に設ける連続鋳造用ロールと
しての非磁性、即ち、透磁率1.02以下を達成す
ることができず、機械的性質も所望の値より低
くなる。一方、その含有量がそれぞれ3.0重量
%を越えるか、両者の和が3.0重量%を越える
と透磁率の低下にそれ以上の効果がみられず、
耐食性、特に耐応力腐食割れ性が劣化し、しか
も経済性も損なわれることから、その含有量
を、それぞれが1.0〜3.0重量%と限定し、両者
が一緒に含まれる場合でもその含有量の和を
3.0重量%以下と限定した。 (コ) Mo及びV Mo及びV成分のいずれか一方、又は両方を
添加すると、鋼の降伏応力を向上させて高強度
のロールが得られるが、それぞれが下限値を下
廻つた場合、即ちMoが0.3重量%未満、Vが
0.1重量%未満では降伏点向上に所望の効果が
得られず、一方、Moが1.0重量%を越えた場
合、又はVが0.8重量%を越えて含有された場
合には、靭性及び耐食性が劣化するようになる
ことから、その含有量を、Moは0.3〜1.0重量
%、Vは0.1〜0.8重量%と限定した。特にV成
分は、上限値を越えると低融点化合物を生成
し、熱間加工性を悪化するようにもなる。 (サ) 熱間加工時の断面減少率60%以上 鋳片を支持するのに必要な40Kg/mm2以上の降
伏応力を確保し、さらに高い延性及び靭性を得
るためには、断面減少率60%以上の熱間加工を
施した組織の鋼でロール軸を構成する必要があ
る。断面減少率が60%未満では所望の機械的性
質を得ることができないのである。 なお、熱間加工における仕上げ温度は900℃
以上であるのが好ましい。これは、ロール軸の
延性及び靭性をより一層高めるとともに、耐応
力腐食割れ性を向上させるためであり、仕上温
度が900℃未満であると、熱間加工中に炭化物
又は窒化物が析出して応力腐食割れ発生を助長
する場合があるからである。 この発明の連続鋳造用非磁性鋼ロールのロー
ル軸を構成するには、前記所定組成の鋼をこの
ように熱間加工組織としたものを使用するだけ
で十分である(即ち、所要の40Kgf/mm2以上の
降伏応力と1.02以下の低い透磁率が得られる)。 (シ) 熱処理温度900〜1180℃ 鋼素材に熱処理を施すことは、割れ感受性を
低めることとなり、ロールのスリーブに適した
ものである。この場合の熱処理温度が900℃未
満の場合には、ロールの耐応力腐食割れ性が低
く、しかも靭性にも良好な値を得られないが、
一方、1180℃を越えると、強度が低下してロー
ルに曲りが生ずるようになることから、その温
度を900〜1180℃と限定した。 (ス) 加熱保持時間30分〜15時間 熱処理の際の加熱保持時間を30分未満とした
場合には、ロール中心部まで十分昇温させるこ
とが難しく、熱処理による耐応力腐食割れ性向
上効果が得られない。一方、15時間を越えて
も、その効果にそれ以上の向上がみられず、逆
にロールの強度が低下することから、その保持
時間を30分〜15時間と限定した。 つぎに、この発明を実施例により比較例と対比
しながら説明する。 まず、ロール軸材として第1表に示す通りの成
分組織の鋼を溶製し、直径600mmφの鋼塊を熱間
鍜造によつて直径280mmφの丸鋼とした。この熱
間鍜造時の断面減少率は78%であつた。なお、比
較ロール軸材は、連続鋳造用ロールとして通常使
用されているものである。また、本発明ロール軸
材1〜4は熱間鍜造後空冷し、比較ロール軸材は
熱間鍜造後水冷してから、更に温度1120℃に2時
間保持の条件で熱処理を施したものである。 このようにして得られた本発明ロール軸材1〜
4および比較ロール軸材について、その機械的性
質及び透磁率を測定した結果を第1表に併せて示
した。 つぎに、スリーブ材として第2表に示す通りの
成分組成の鋼を溶製し、直径350mmφ、厚さ50mm
の管素材を1000℃の温度に50分間保持した後水冷
するという熱処理に供した。なお、比較スリーブ
材も、連続鋳造用ロールとして通常使用されてい
るものである。このように得られた本発明スリー
ブ材1〜4及び比較スリーブ材について、フアイ
ヤークラツク試験及び応力腐食割れ試験を行なつ
た結果、並びに透磁率を測定した結果を第2表に
併せて示した。フアイヤークラツク試験は、スリ
ーブ材を1200℃に加熱して5分間保持後、加熱面
を水冷し、この加熱・水冷を連続的に繰返してス
リーブ材の表面に亀裂が発生するまでのサイクル
数を測定するものであり、また、応力腐食試験
は、1.0mm厚、10mm幅、75mm長さのUベンド試験
片を用い、50℃でも500ppm
【表】
【表】
【表】
【表】
のCl-イオンを加えた水溶液にて実施した。
本発明の連続鋳造用ロールは、上記本発明ロー
ル軸材1〜4にそれぞれ本発明スリーブ材1〜4
を外嵌してなるもの(対応番号同志)であるが、
第1表及び第2表に示した結果からも、強度、延
性、及び靭性にすぐれた本発明ロール軸材と、こ
れと同等の特性を有するうえに、耐フアイヤーク
ラツク性及び耐応力腐食割れ性にすぐれた本発明
スリーブ材とを組合せた本発明連続鋳造用ロール
が、その使用環境中においてすぐれた性能と長寿
命を発揮するであろうことは明らかである。さら
に、その透磁率も低い値のものとすることがで
き、電磁撹拌作業に悪影響を与えることのない非
磁性が達成されていることも確認できる。そし
て、このような本発明ロール軸材と本発明スリー
ブ材とを組合せるとともに、その間に冷却水通路
を設けて連続鋳造用ロールを構成することによ
り、その冷却効果と、材質上の効果とが相俟つ
て、繰返し加熱・冷却によつて引起されるフアイ
ヤークラツクをより完全に防止できるということ
も第1表および第2表に示した結果から確認でき
るものである。 さらに、第2図および第3図に示されるロール
構造を有し、かつ上記の本発明ロール軸材1と本
発明スリーブ材1とから成る本発明連続鋳造用ロ
ールと、同じ構造を有し、かつ上記の比較ロール
軸材と比較スリーブ材とから成る比較連続鋳造用
ロールについて、一定使用条件におけるロール偏
心量(mm)を、各鋳造ヒート数との対比において
計測した結果を第4図に示した。 第4図に示される結果から、本発明連続鋳造用
ロールの方が如何に偏心量が少ないかが明らかで
あると同時に、フアイヤークラツクや応力腐食割
れの発生防止、発生クラツクによるロール破断抑
制、更にはロール変形(偏心)量の抑制、ロール
寿命の延長に、本発明連続鋳造用ロールは確実に
応えることのできるものであるということが窺い
知れるのである。 上述のように、この発明によれば、連続鋳造鋳
片支持のための十分な強度を有し、フアイヤーク
ラツクや応力腐食割れを生ずることなく、長寿命
で、しかも電磁撹拌装置近傍のロールとして使用
しても撹拌効果に悪影響を与えることのない連続
鋳造用非磁性鋼ロールを比較的安価に得られるな
ど、工業上有用な効果がもたらされるのである。
ル軸材1〜4にそれぞれ本発明スリーブ材1〜4
を外嵌してなるもの(対応番号同志)であるが、
第1表及び第2表に示した結果からも、強度、延
性、及び靭性にすぐれた本発明ロール軸材と、こ
れと同等の特性を有するうえに、耐フアイヤーク
ラツク性及び耐応力腐食割れ性にすぐれた本発明
スリーブ材とを組合せた本発明連続鋳造用ロール
が、その使用環境中においてすぐれた性能と長寿
命を発揮するであろうことは明らかである。さら
に、その透磁率も低い値のものとすることがで
き、電磁撹拌作業に悪影響を与えることのない非
磁性が達成されていることも確認できる。そし
て、このような本発明ロール軸材と本発明スリー
ブ材とを組合せるとともに、その間に冷却水通路
を設けて連続鋳造用ロールを構成することによ
り、その冷却効果と、材質上の効果とが相俟つ
て、繰返し加熱・冷却によつて引起されるフアイ
ヤークラツクをより完全に防止できるということ
も第1表および第2表に示した結果から確認でき
るものである。 さらに、第2図および第3図に示されるロール
構造を有し、かつ上記の本発明ロール軸材1と本
発明スリーブ材1とから成る本発明連続鋳造用ロ
ールと、同じ構造を有し、かつ上記の比較ロール
軸材と比較スリーブ材とから成る比較連続鋳造用
ロールについて、一定使用条件におけるロール偏
心量(mm)を、各鋳造ヒート数との対比において
計測した結果を第4図に示した。 第4図に示される結果から、本発明連続鋳造用
ロールの方が如何に偏心量が少ないかが明らかで
あると同時に、フアイヤークラツクや応力腐食割
れの発生防止、発生クラツクによるロール破断抑
制、更にはロール変形(偏心)量の抑制、ロール
寿命の延長に、本発明連続鋳造用ロールは確実に
応えることのできるものであるということが窺い
知れるのである。 上述のように、この発明によれば、連続鋳造鋳
片支持のための十分な強度を有し、フアイヤーク
ラツクや応力腐食割れを生ずることなく、長寿命
で、しかも電磁撹拌装置近傍のロールとして使用
しても撹拌効果に悪影響を与えることのない連続
鋳造用非磁性鋼ロールを比較的安価に得られるな
ど、工業上有用な効果がもたらされるのである。
第1図は連続鋳造設備の要部概略図、第2図は
本発明実施ロールの一部破断正面図、第3図は第
2図のX−X線断面図、第4図は本発明実施ロー
ルと従来ロールとの使用上におけるロール偏心量
を比較して示した線図である。 図面において、1……連続鋳造用非磁性鋼ロー
ル、2……スリーブ、3……ロール軸、4……冷
却水溝、5……給水口、6……排水口、9……連
通路。
本発明実施ロールの一部破断正面図、第3図は第
2図のX−X線断面図、第4図は本発明実施ロー
ルと従来ロールとの使用上におけるロール偏心量
を比較して示した線図である。 図面において、1……連続鋳造用非磁性鋼ロー
ル、2……スリーブ、3……ロール軸、4……冷
却水溝、5……給水口、6……排水口、9……連
通路。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.15%以下、 Si:1.0%以下、 Sol.Al:0.10%以下、 Mn:17.0〜25.0%、 Cr:6.0〜15.0%、 N:0.05〜0.25%、 P:0.030%以下、 S:0.010%以下、 を含有するとともに、 Ni:1.0〜3.0%、 Cu:1.0〜3.0%、 のいずれか一方又は両方を、両者の和が3.0%以
下の範囲で含有し、さらに、 Mo:0.3〜1.0%、 V:0.1〜0.8%、 の1種以上をも含み、 Fe及び不可避不純物:残り、 (以上重量%)から成る鋼を、断面減少率60%以
上で熱間加工して得られる組織を有する高強度非
磁性鋼で構成されたロール軸に、 C:0.15%以下、 Si:1.0%以下、 sol.Al:0.10%以下、 Mn:17.0〜25.0%、 Cr:6.0〜15.0%、 N:0.05〜0.25%、 P:0.030%以下、 S:0.010%以下、 を含有するとともに、 Ni:1.0〜3.0%、 Cu:1.0〜3.0%、 のいずれか一方又は両方を、両者の和が3.0%以
下の範囲で含有し、さらに、 Mo:0.3〜1.0%、 V:0.1〜0.8%、 の1種以上をも含み、 Fe及び不可避不純物:残り、 (以上重量%)から成る鋼を、900〜1180℃の温
度に30分〜15時間保持する熱処理を施して得られ
る組織を有する耐クラツク性のすぐれた非磁性鋼
で構成されたスリーブが外嵌されているととも
に、 前記ロール軸とスリーブとの間に、ロール軸に
対して平行な複数本の冷却水溝を有し、 さらに、ロール軸心部に、前記冷却水溝の各開
口端部と連通する給排水口が穿設されていること
を特徴とする連続鋳造用非磁性鋼ロール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21147181A JPS58113357A (ja) | 1981-12-25 | 1981-12-25 | 連続鋳造用非磁性鋼ロ−ル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21147181A JPS58113357A (ja) | 1981-12-25 | 1981-12-25 | 連続鋳造用非磁性鋼ロ−ル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58113357A JPS58113357A (ja) | 1983-07-06 |
JPH0350825B2 true JPH0350825B2 (ja) | 1991-08-02 |
Family
ID=16606486
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21147181A Granted JPS58113357A (ja) | 1981-12-25 | 1981-12-25 | 連続鋳造用非磁性鋼ロ−ル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58113357A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58187252A (ja) * | 1982-04-27 | 1983-11-01 | Kawasaki Steel Corp | 非磁性ロ−ル |
-
1981
- 1981-12-25 JP JP21147181A patent/JPS58113357A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58113357A (ja) | 1983-07-06 |
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