JPH034786B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は駆動モータの回転モーメントをベルト
によつて輪転印刷機、特に多色輪転機の主駆動軸
に伝達するために適したベルト車に関する。

（従来の技術と発明が解決しようとする課題） 従来、ベルト車にばね干渉部を設けたものとし
て、例えば、実公昭12−5152号公報に記載された
伝動車が知られている。この伝動車においては、
伝動車を、ベルトが巻き掛けられる外輪部と、駆
動軸に嵌合される内輪部とに分割し、外輪部と内
輪部とを円周上に配設された複数個のスプリング
を介して連結した構造となつている。このよう
に、スプリングを介して内外輪部を連結すること
により、急回転などにより生ずる衝撃を吸収する
ことができる。

しかしながら、この伝動車においては、内外輪
部をスプリングを介して直接連結したのみである
ので、伝動車に加わる衝撃荷重の吸収には効果を
奏するものの、大きな周波数域の振動を適確に吸
収することは困難である。このため、上記のよう
な構造の伝動車は、所要のトルクを伝達しつつ、
大きな周波数域の内部振動を抑制することが要求
される輪転印刷機のベルト車として採用すること
には適していない。

また、主駆動軸への駆動モータの駆動モーメン
トの伝達が、回転する引張手段、特に多数のＶベ
ルトによつて行なわれるような輪転印刷機の駆動
部は公知である。ドイツ民主共和国特許出願
WPB41F／213020号明細書においては、Ｖベル
トの回転の割合を、一回転軸として作動する圧胴
の回転に関連させて、整数に近似させることの解
決策が述べられている。それによつて、ベルトに
よつて惹き起こされる駆動モーメントの振動の位
相状態は一回転軸に対して一定に保持され続け
る。

しかしながら、この場合には、ベルトから出さ
れる振動は抑制されず、むしろ一回転軸に関して
外見上ある程度の大きさで存在する振動だけが抑
制されるのにすぎないという欠点がある。ベルト
および駆動モータから出される振動は相変わらず
車輪印刷機に伝達される。このことは、過負荷が
高くなりすぎ、従つて損耗が生じ、特に印刷紙の
引渡しの動的な乱れが生じる原因となる。

ドイツ連邦共和国特許第2516462号明細書に、
駆動モータによつて惹き起こされた駆動モーメン
トの低周波振動を除去質量の振動によつて補償す
るようにした輪転印刷機の駆動部が開示されてい
る。この振動は、交流電圧から直流電圧を発生さ
せることによつて制限されて、基本調波として50
Hz周波数を有し、そして整数倍調波が重なつてい
る。除去質量をばね棒を介して駆動部に連結し、
そしてばね棒−除去質量系の固有周波数が抑制さ
れるべき周波数に等しくなるような共振が生じる
と、振動の除去が達成される。

その場合、減衰が最小（理想的な場合には零に
等しい）となることが条件である。除去質量の質
量慣性モーメントの増加につれて、除去作用が増
す。この場合には周波数しか除去できないという
欠点がある。すなわち、引張手段の回転から生
じ、従つて本質的には低周波である振動は、慣性
モーメントという構成的な制限があるので抑制さ
れ得ない。

上述した駆動部は、歯側面の変形あるいは歯側
面の減少を阻止する状態にないか、または非常に
狭い周波数範囲においてあるにすぎない。そのた
めに、適合ミス（Passerfehler）および二重刷り
現象が輪転印刷機の動作結果に発生する原因にな
る。

本発明は、適合ミスおよび二重刷り減少を回避
し、印刷結果を改善するために、ベルトまたは駆
動モータのいずれか一方によつて惹き起こされた
駆動モーメントの振動の伝達を、大きな周波数範
囲において抑制し、その振動が主駆動軸に伝達さ
れないようにすることができるベルト車を提供す
ることを目的とする。

（課題を解決するための手段） この課題は、本発明によれば、輪転印刷機の主
駆動軸上に配設されたベルト車を、その主駆動軸
の周囲方向にばねリングを用いて弾性的に取付け
ることによつて解決される。

本発明において、印刷機の主駆動軸と同心に配
設された中空状のベルトリングは、引張ばねを介
して結合ボスを連結される。この結合ボス上には
少なくとも１つのばねリングが回転可能に配設さ
れ、このばねリングは、接線方向に配設されて、
ばねリングのリング用ピンと円板用ピンおよびボ
ス用ピンのそれぞれとに係合されている引張ばね
を介して、ベルトリングにねじ止めされた円板と
結合ボスとに連結される。ばねリングが複数個配
設される場合には、これらのばねリングは、接線
方向に配設されてリング用ピンに係合する引張ば
ねを介してお互いの間で連結される。

ベルトリングはストツパリングにねじとめさ
れ、このストツパリングは結合ボス上に回転可能
に配設される。

結合ボスは主駆動軸は堅く結合され、ストツパ
リングにストツパピンを介して連結される。この
ストツパピンは、ストツパリングの円弧状長穴内
に案内され、この円弧状長穴の共通の曲率中心点
は、ストツパリングの回転軸心に位置させられ
る。

（作用） 本発明の利点は、ベルト車または駆動モータの
うちのいずれか一方によつて発生された駆動が、
ベルト車の低域フイルタ作用によつてもはや輪転
印刷機に伝達されないことである。それにより、
この振動によつて惹き起こされた歯側面の減少あ
るいは歯側面の変形が回避される。印刷結果は本
質的に改善される。すなわち、それにより、適合
ミスが回避され、そして二重刷り現象が回避され
る。さらに歯車伝動装置の過負荷が軽減され、そ
してほぼ一定の回転モーメントが伝達される。

（実施例） 次に本発明を図面に示した実施例に基づいて詳
細に説明する。

第１図に示した印刷紙輪転印刷機は多色印刷装
置１と、給紙装置２と、排紙装置３とから構成さ
れている。駆動力は駆動モータ４によつて多数の
ベルト５を介して、主駆動軸６に設けられた本発
明によるベルト車７に与えられる。個々の印刷装
置１の駆動モーメントは、主駆動軸６から多数の
歯車段８をして圧胴９に伝達される。印刷装置１
は、閉じた歯車列を形成し、圧胴９と伝達ドム１
０とを駆動する駆動歯車１１とを通して接続され
ている。

第２図はベルト車７を示している。主駆動軸６
上にはスプライン１２を介して、結合ボス１３が
回転不能に固定されている。この結合ボス１３上
には、円板用ころがり軸受１４を介して円板１５
が回転可能に取付けられている。ベルトリング１
６はその前面が円板１５にねじ止めされ、その反
対側面がストツパリング１７にねじ止めされ、こ
のストツパリング１７は、結合ボス１３上に、ボ
ス用ころがり軸受１８を介して回転可能に配設さ
れている。ストツパリング１７はストツパピン１
９を介して結合ボス１３に連結されており、その
場合にストツパピン１９は、ストツパリング１７
内ではゴム状弾性状スリーブ２０が取付けられて
いる。ストツパピン１９の配置は第４図に示され
ている。この第４図から、ストツパリング１７内
におけるストツパピン１９の半径方向運動は、半
径方向に設けられた円弧状長穴３０によつて制限
され、その円弧状長穴の共通の曲率中心点は、ス
トツパリング１７の回転軸心に位置させられてい
ることが理解される。ベルトリング１６の内側の
空所内では、ばねリング２３とリング用ピン２４
とから成るばねユニツト２１が、２つのばねリン
グ用ころがり軸受２５を介して結合ボス１３上に
支持されている。同様に、適用例に応じて多数の
ばねユニツト２１，２２を設置することも可能で
ある。

第５図から明らかなように、ばねリング２３内
には、軸方向にリング用ピン２４が配設されてい
る。

円板１５内に配設された円板用ピン２７および
結合ボス１３内に設けられたボス用ピン２８は、
同様にリング状溝を有している。

円板用ピン２７と第１のばねユニツト２１のリ
ング用ピン２４との間、第１のばねユニツト２１
のリング用ピン２４と第２のばねユニツト２２の
リング用ピン２４との間、および第２のばねユニ
ツト２２のリング用ピン２４とボス用ピン２８と
の間には、第５図および第６図から明らかなよう
に、接続方向に引張ばね２６が配設されている。
１つのばねユニツト２１しか使用しない場合に
は、第１のばねユニツト２１のリング用ピン２４
は引張ばね２６を介して円板用ピン２７に結合さ
れる。

端円板２９は主駆動軸６の軸上からベルト車７
が脱落するのを防止するために設けられている。

本発明によるベルト車の機能は次の通りであ
る。

印刷機駆動の際には、駆動モータ４とベルト５
とを介して駆動モーメントがベルトリング１６従
つて円板１５に伝達される。円板１５は、その駆
動モーメントを、円板用ピン２７および引張ばね
２６を介して第１のばねユニツト２１へ、この第
１のばねユニツト２１から引張ばね２６を介して
第２のばねユニツト２２へ、この第２のばねユニ
ツト２２から引張ばね２６を介して結合ボス１３
へ導く。円板１５、ばねユニツト２１，２２およ
び結合ボス１３は第５図および第６図に示したよ
うに、引張ばね２６によつて弾性的に連結されて
いる。結合ボス１３は、スプライン１２を介し
て、駆動モーメントを主駆動軸６に導く。ベルト
５または駆動モータ４のいずれか一方によつて惹
き起こされて、駆動モーメントの振動が発生する
と、この振動は引張ばね２６によつて吸収され、
そして低域フイルタ共振のために輪転印刷機のと
ころでは定格範囲内にきちんと保たれる。

駆動部を投入あるいは切断した際にばね工程を
制限し、かつ過負荷を阻止するために、ストツパ
ピン１９がストツパリング１７の円弧状長穴３０
内に半径方向に案内されている。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明によれば、引張ば
ね２６を軸方向に配列された複数の平面内にそれ
ぞれ配置したので、最小のばね組込み空間におい
て、必要な長いばねストロークが実現できる。ま
た、ばねリング２３がベルトリング１６の内部空
間内に配設されているので、軸方向寸法を最小に
して振動抑制機構をベルト車に取付けることがで
きる。

また、ばねリング２３の数を変更することによ
り、種々の弾性が得られる。また、必要な伝達ト
ルクを確実に伝えるため、一平面内に直列に配置
された引張ばねとともに、複数平面にそれぞれ並
列に配置された引張ばねが同時に利用されてい
る。このように、引張ばね２６を直列および並列
に配置することにより、大きな周波数域の内部に
おける振動を抑制し、所要のトルクを伝達するこ
とのできるベルト車を得ることができる。

本発明は駆動モータのトルクをベルトによつて
輪転印刷機、特に多色輪転機の主駆動軸に伝達す
るためのベルト車として用いることにより、特に
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は駆動部を備えた印刷紙輪転印刷機の概
略図、第２図は本発明の一実施例のベルト車の半
部分的断面図、第３図はリング用ピンに引張ばね
を固定した関係を示す概略図、第４図はベルト車
をＸ方向から眺めた際の半部分的概略図、第５図
は引張ばねの配置を示す部分的概略正面図、第６
図は引張ばねの配置を示す部分的概略側面図であ
る。 １…印刷装置、２…給紙装置、３…排紙装置、
４…駆動モータ、５…ベルト、６…主駆動軸、７
…ベルト車、８…歯車段、９…圧胴、１０…伝達
ドラム、１１…駆動歯車、１２…スプライン、１
３…結合ボス、１４…円板用ころがり軸受、１５
…円板、１６…ベルトリング、１７…ストツパリ
ング、１８…ボス用ころがり軸受、１９…ストツ
パピン、２０…スリーブ、２１…第１のばねユニ
ツト、２２…第２のばねユニツト、２３…ばねリ
ング、２４…リング用ピン、２５…ばねリング用
ころがり軸受、２６…引張ばね、２７…円板用ピ
ン、２８…ボス用ピン、２９…端円板、３０…長
穴。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 印刷機の主駆動軸６と同心に配設された中空
   状のベルトリング１６と、 ベルトリング１６の一端側に固着され、側壁面
   にベルトリング１６の内方に軸方向に向けて突出
   する円板用ピン２７が設けられている円板１５
   と、 ベルトリング１６の他端側に主駆動軸６に固定
   されて配設され、ベルトリング１６の内方に軸方
   向に向けて突出するボス用ピン２８が設けられて
   いるフランジ部を有する結合ボス１３と、 ベルトリング１６の内部空間内であつて、前記
   円板１５と結合ボス１３との間に主駆動軸６に対
   して回転可能に配設された円板状のばねリング２
   ３と、 前記ばねリング２３の両側壁面に直交して固着
   されたリング用ピン２４と、 前記円板用ピン２７とリング用ピン２４および
   リング用ピン２４とボス用ピン２８とを接線方向
   に接続する引張ばね２６と、 からなるベルト車。 ２ ばねリング２３は軸方向に複数配設され、そ
   れぞれのリング用ピン２４を引張ばね２６で接続
   することにより互いに連結されていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載のベルト車。