JPH0347427Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、たとえば電動機、発電機などの回転
電機に係り、特に、この固定子の主コイルと補助
コイルとの間に介在する層間絶縁紙の改良に関す
る。

（従来の技術） 電動機、発電機などの回転電機は、内周縁に沿
つて複数の凹部を有するコアを積層して固定子を
形成し、上記凹部相互で形成されるスロツトに主
コイルと補助コイルとを挿入して、その要部を構
成する。なおスロツト周壁と主コイルとの間には
スロツト絶縁物が、主コイルと補助コイルとの
間、特にコイルエンド部分には層間絶縁紙がそれ
ぞれ介在する。補助コイルのスロツト内周壁側開
口部は楔で閉成される。

上記層間絶縁紙は、従来、第１図に示すように
なつている。すなわちこれは、主コイルと補助コ
イルとのコイルエンド部分間に介在する一対の層
間絶縁部ａ，ａをスロツト内に挿入する複数の脚
部ｂ…で連結してなる。たとえば、一方の層間絶
縁部ａの端縁には切込みｃ，ｃが、他方の層間絶
縁部ａ方向へ向つて端縁とは直交する方向に設け
られる。そして、各切込みｃ，ｃの端部に打抜き
孔ｄ，ｄが連設される。

これら切込みｃ，ｃは、第２図に示すようにコ
イルエンド成形時にコイルエンドの周方向に作用
する力Ｆ，Ｆによつて絶縁紙が裂けるのを防止す
るために設けられる。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、この種の層間絶縁紙を成形する
際に、抜型の摩耗不良が生じ易く、また絶縁紙の
硬度が大であるので、特に切込みｃの端部に設け
られる打抜き孔ｄ周縁にバリが発生し易い。そし
て、コイルエンド成形時には上記打抜き孔ｄにも
コイルエンドの周方向に作用する力Ｆ，Ｆがかか
る。すなわち、これらの力Ｆ，Ｆは上記切込みｃ
と直交する方向にかかるところから、はじめ切込
みｃを左右に拡開させる力となる。ところが切込
みｃ自体の長さはさほど長くとれないから、これ
がある程度拡開したところで、上記力Ｆ，Ｆは打
抜き孔ｄにかかる。上記力Ｆ，Ｆは直ちに打抜き
孔ｄの周縁のバリに作用して、ここから裂ける恐
れがある。そして、この層間絶縁紙が裂けること
によつて主コイルと補助コイルとの絶縁不良を招
く。

本考案は、このような事情によりなされたもの
であり、その目的とするところは、コイルエンド
成形時においても裂けることのない打抜き孔を有
する層間絶縁紙をコイル間に介在して、絶縁不良
を確実に防止できる回転電機を提供しようとする
ものである。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段および作用） 本考案は、層間絶縁紙の層間絶縁部に打抜き孔
を設け、上記層間絶縁部の端縁から上記打抜き孔
に逆Ｌ字状もしくはＴ字状の切込みを連設して、
上記層間絶縁紙を主コイルと補助コイルとの間に
介在させたことを特徴とする回転電機である。

このようにして構成することにより、コイルエ
ンド成形時の応力を層間絶縁紙の層間絶縁部に設
けた切込みが二段階に拡開して逃がし、応力を逃
がす範囲を拡大して、打抜き孔からの破断の防止
を図る。

（実施例） 以下本考案の一実施例を第３図および第４図に
もとづいて説明する。図中１は薄い鉄板を積層し
てなる固定子である。この固定子１は略リング状
に成形され、内周壁に沿つて所定間隔を存し複数
のスロツト２…が軸方向に設けられる。各スロツ
ト２…にはスロツト絶縁物３、一相コイルである
主コイル４、後述する層間絶縁紙５、次相コイル
である補助コイル６および楔７の順に挿入され
る。上記層間絶縁紙５は、固定子１の図において
上下端面から突出する主コイル４と補助コイル６
部分であるところのコイルエンド１０部分に介在
する層間絶縁部８ａ（一方のみ図示）と、これら
層間絶縁部８ａ相互を連結し上記スロツト２内に
位置する脚部８ｂ…とからなる。また、たとえば
一方の層間絶縁部８ａにのみ第４図に示すような
切込み９が設けられる。すなわち、層間絶縁部８
ａの端縁とは垂直な軸線ｓに対して所定角度θだ
け傾けた状態に端縁から切込み９を入れるととも
にその先端部は端縁と平行に屈曲し、かつ端部に
打抜き孔９ａを連設してなる。このような切込み
９は、逆Ｌ字状に形成されることになる。

しかして、主コイル４と補助コイル６のコイル
エンド１０成形時に、層間絶縁部８ａの端縁と平
行な方向、すなわちコイルエンド１０の周方向に
層間絶縁部８ａに対する力Ｆ，Ｆが働く。ところ
が、層間絶縁部８ａに設けられる切込み９は、逆
Ｌ字状に形成されるから、はじめ層間絶縁部８ａ
の端縁から軸線Ｓに対して所定角度傾いた切込み
部分が上記力Ｆ，Ｆによつて左右に拡開する。こ
の切込み部分が許容限度まで拡開してから、ある
いは許容限度拡開する直前から、今度は切込み９
の層間絶縁部８ａの端縁と平行な切込み部分が伸
長する方向に力を受け、その分力によつて上下に
拡開する。したがつて、上記切込み９は二辺部分
で力Ｆ，Ｆを受けて、二段階に亘つてそれぞれ拡
開することとなる。上記力Ｆ，Ｆが打抜き孔９ａ
に作用するまでにある程度の余裕ができ、従来と
同一程度の力がかかつても、打抜き孔９ａから裂
けることがない。

なお第５図に示すように、一対の打抜き孔９０
ａ，９０ａに切込み９０を連設する場合には、原
則としては切込み９０を逆Ｌ字状にするのだが、
ここでは層間絶縁部の端縁と直交する切込み部分
を共通にして、Ｔ字状の切込み９０となす。この
ように形成すれば、打抜き孔９０ａ，９０ａにバ
リの発生があつても、ここから裂けることがない
のは上記実施例と同様である。

［考案の効果］ 本考案は、層間絶縁部の打抜き孔に連設する切
込みを逆Ｌ字状もしくはＴ字状としたから、切込
みが二辺部分に亘つて二段階にコイルエンド成形
時の応力を逃がすことができ、上記打抜き孔にた
とえバリが発生していても、ここからの裂け不良
を防止する。したがつてコイルエンドの成形量の
幅を広くすることができ、絶縁不良を防止して信
頼性の向上化を得るという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の従来例を示す層間絶縁紙の正
面図、第２図はその切込み部分の正面図、第３図
は本考案の一実施例を示す回転電機要部の斜視
図、第４図は切込み部分の正面図、第５図は本考
案の他の実施例を示す切込み部分の正面図であ
る。 １……固定子、１０……コイルエンド、８ａ…
…層間絶縁部、２……スロツト、８ｂ……脚部、
９，９０……切込み、９ａ，９０ａ……打抜き
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. その内周縁に沿つて複数のスロツトを有するコ
   アを積層してなる固定子と、この固定子の上記ス
   ロツトに挿入される主コイルおよび補助コイル
   と、これら主コイルおよび補助コイルとの間に介
   在する層間絶縁紙とを具備してなり、上記層間絶
   縁紙は、主コイルと補助コイルとのコイルエンド
   部分間に介在する一対の層間絶縁部と、これら層
   間絶縁部相互間を連結し上記固定子のスロツト内
   に挿入される複数の脚部と、上記層間絶縁部に設
   けられる打抜き孔と、層間絶縁部の端縁から上記
   打抜き孔に連設する逆Ｌ字状もしくはＴ字状の切
   込みとを有することを特徴とする回転電機。