JPH0346022Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は、船舶、岸壁、海洋構築物等におけ
る接岸部分に設けられる防舷体に関するものであ
り、特に空気袋等の防舷材を覆つて設けられたチ
エーンあるいはワイヤー等のネツトにより接岸時
に船体に凹みが生じたり塗料が剥げたりする等、
船体が損傷を受けるのを防止することのできる改
良された防舷体に関するものである。

＜従来技術＞ 従来の防舷体として、例えば第４図に示すよう
な構造のものがある。すなわち１は一般に俵形に
形成された例えばゴム製の空気袋で、この空気袋
１にチエーンまたはワイヤーで作られた取付用ネ
ツト２が被せられている。この空気式防舷体は、
両端部に結合された吊下げ用のチエーンまたはワ
イヤー３によつて船体あるいは岸壁に取付けられ
る。

第５図は従来の防舷体の他の例で、例えば実公
昭57−36552号公報に示されている形式のもので、
ゴム製の空気袋５に例えばチエーンで作られたネ
ツト６が被せられている。ネツト６の空気袋５に
関して横方向のチエーン７および縦方向のチエー
ン８はそれぞれ自動車の古タイヤ９，９……を貫
通しており、これにより古タイヤ９，９……はネ
ツト６の横方向チエーン７と縦方向チエーン８と
の結合部に固定されている。縦方向チエーン８，
８……の両端はそれぞれ連結用リング１０に結合
されており、この連結用リング１０にはさらに吊
下げ用のチエーン１１，１１が結合されている。
横方向チエーン７と縦方向チエーン８とはタイヤ
９内で例えば第６図に示すように、連結用リング
１２とシヤツクル１３，１３，１４，１４によつ
て互いに結合されている。

上記以外の従来の防舷体として例えば実開昭54
−66396号公報に示されているように、空気袋等
の防舷材に被せられたチエーン・ネツトのチエー
ンにゴムホース、ナイロン等の弾性スリーブを被
せたものがある。

＜考案が解決しようとしている問題点＞ 第４図に示す従来の防舷体では、接岸時に船体
が直接例えばチエーン製のネツト２に擦りつけら
れて、船体の塗料が剥げたり、船体に凹みが出来
るという欠点があつた。

第５図に示す従来の防舷体、あるいはネツトを
形成するチエーンに弾性スリーブを被せた形式の
防舷体は、第３図の防舷体に比して船体の受ける
損傷は多少は少なくなるが、接岸時の防舷材の圧
縮と同時にタイヤ、あるいは弾性スリーブも圧縮
されるため、ネツトの横方向チエーンと縦方向チ
エーンとの交差部が直接船体に接触して、やはり
船体の塗料が剥げたり船体を凹ませる等の欠点が
あつた。

＜問題を解決するための手段＞ この考案による防舷体は、例えばゴム製の空気
袋からなる防舷体と、この防舷体に被せられたチ
エーンまたはワイヤー製のネツトとを有してい
る。ネツトを構成する例えば横方向のチエーンま
たはワイヤー、縦方向のチエーンまたはワイヤー
は共にタイヤを貫通してタイヤのホイール穴内で
連結用リングに結合されている。さらに、この連
結用リングには、頭部および底部の直径がこのリ
ングの外径よりも大で、しかもタイヤの厚みに
ほゞ等しい高さを持つた弾性材料で作られた損傷
防止体が嵌込まれている。

＜作用＞ この考案による防舷体では、タイヤ中心のホイ
ール穴内にある連結用リングおよびこれに結合さ
れたチエーンまたはワイヤーは弾性材料で作られ
た損傷防止体によつて挾持されているので、船体
の接岸時にタイヤおよび損傷防止体が圧縮されて
もチエーンまたはワイヤー、あるいは連結用リン
グが直接船体に接触することはなく、船体の塗料
が剥げたり、船体が凹こむ等、船体が損傷を受け
ることはない。

＜実施例＞ 第１図および第２図はこの考案による防舷体の
一実施例を示す図である。この考案の防舷体全体
の基本的な構造は第５図に示す従来の防舷体と実
質的に同じで、例えば空気袋からなる防舷材５０
に例えばチエーン製のネツト６が被せられてい
る。そしてネツト６の例えば横方向のチエーン
７，７……と縦方向のチエーン８，８……は共に
タイヤ９を貫通してホイール穴１５内に設けられ
た連結用リング１２にシヤツクル１３，１３と小
リング１４，１４とを介して結合されている。連
結用リング１２には、防舷体５０に接する底部１
６が比較的平坦で大径であり、頭部１７は若干彎
曲しており且つ上記リング１２、シヤツクル１３
および小リング１４を覆う程度の径をもつた弾性
材料製の損傷防止体１８が嵌込まれている。上記
のように頭部１７の直径は、リング１２とシヤツ
クル１３および小リング１４を覆う程度の大きさ
であるが、その弾性を利用してリング１２に嵌込
み得る程度に選定されている。また、損傷防止体
１８の高さはタイヤ９の厚みＡとほゞ同じであ
る。損傷防止体１８は、第３図に示すように頭部
側２７と底部側２８とに２分割し、ねじ２９と両
者の間の接着剤によつて一体に組立てられるもの
でもよい。

＜効果＞ この考案の防舷体は、タイヤのホイール穴１５
内に位置する連結用リング１２、シヤツクル１
３、小リング１４、チエーン端部は弾性材料の損
傷防止体１８の底部１６と頭部１７との間のくび
れ内に位置しているから、接岸時に上記リング、
シヤツクル、チエーン端部等が船体に直接接触す
ることはなく、船体の塗料が剥げたり船体に凹み
が出来る等、船体に損傷を受けることはない。な
お、防舷材に被せられるネツトは実施例の縦横の
升形に限らず、菱形、亀甲形等に形成されていて
もよい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による防舷体の一実施例の主
要部の構造を示す断面図、第２図はこの考案によ
る防舷体の主要部の構造を示す平面図、第３図は
この考案の防舷体で使用される損傷防止体の他の
例を示す断面図、第４図および第５図はそれぞれ
従来の防舷体の例を示す側面図、第６図は防舷体
のネツトの縦方向チエーンと横方向チエーンとの
結合部の例を示す拡大図である。 ５０……防舷材、６……チエーンまたはワイヤ
ー製ネツト、７，８……チエーンまたはワイヤ
ー、９……タイヤ、１２……連結用リング、１８
……損傷防止体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 防舷材と、該防舷材に被せられたチエーンまた
   はワイヤー等で作られたネツトと、防舷材の外周
   面に配置された複数個のタイヤとを有し、上記チ
   エーンまたはワイヤー等は上記タイヤを貫通して
   そのホイール穴内に配置された連結用リングに結
   合されており、該連結用リングには、このリング
   の径よりも大きな外径を有し上記防舷材表面に当
   接する底部と、上記リングの径よりも大きな外径
   を有し船体に接する側の頭部とからなり、且つ高
   さが上記タイヤの厚みとほゞ同じ寸法の、上記リ
   ングを上記頭部と底部との間で挾持する形態の弾
   性材料で作られた損傷防止体が嵌込まれている防
   舷体。