JPH034220Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、洗たく機の洗たく槽内に水を溜めま
たは排水を行う排水切換装置に関する。

〔従来の技術〕

洗たく機では、洗たく槽の底部に排水弁を設け
てこの排水弁を開閉することで洗たく槽内に水を
溜め又は排水するようにしている。

ところが、かかる排水弁を開閉するには、洗た
く機の例えば上面パネルに摘みを設け、該摘みと
排水弁とをベルトで連結して、摘みを操作するこ
とでベルトを引張り、または戻すことによつてこ
れを行うが、従来の排水切換装置は第６図、第７
図に示すように、摘み２１の下面に２股形状の係
止部２２を形成し、この摘み２１を洗たく機の上
面パネル２３等に設けた長孔２４に摺動可能に取
付け、一方、90度の相対位置関係に組合わせた２
つのアーム２５，２６で構成されるクランク機構
を前記摘み２１の下方に配設して一方のアーム２
５を係止部２２の凹所２２ａにはめ込んでいた。
そして、他方のアーム２６には端部を排水弁（図
示せず）に取付けたベルト２７の他端を固定して
いる。なお図中２８はクランク軸を示す。

このようにして排水弁の開閉を行うには、まず
第６図は排水弁が閉じている状態を示し、この状
態から摘み２１を指先でつまんでこれを長孔２４
に沿つて図において左方（矢印方向）にスライド
させればこれと一体の係止部２２も左方に移動
し、これにともない、凹所２２ａにはまり込んで
いるアーム２５は係止部２２に押されてクランク
軸２８を中心として右方に回動する。

その結果、別のアーム２６も左方に回動するの
で、ここに固定されているベルト２７は右上に引
上げられ、第７図に示す状態まで摘み２１をスラ
イドさせれば排水弁が持上げられて洗たく槽内の
水が排水される。そしてこの状態ではアーム２５
には戻り動作力が作用し、右方に回転しようとす
るが、係止部２２と当接することでこの状態で保
持される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、このような従来方法では、アーム２
５は第６図に示す右上位置から第７図に示す左上
位置まで90度回動し、この間デツドポイント（ク
ランク軸、アーム２５及び摘み２１が一直線上に
位置する地点）を通過することとなる。

そして、回動の負荷はこのデツドポイントで最
大となるので、摘み２１を操作する際にはデツド
ポイント通過時点で最大の操作力を加える必要が
あり、操作力をスライド途中で変えなければなら
ず扱いにくいものであつた。

また、前記デツドポイントでアーム２６はクラ
ンク軸２８に対して最大限右方に位置し、ベルト
２７の引張りストロークもこの時点で最大とな
り、排水弁も最大限引上げられる。しかし、アー
ム２６はその後さらに左方に回動するので、今度
はベルト２７は逆にゆるめられ排水弁も閉じる方
向に移動する。このため、排水に必要な分だけ排
水弁を引上げるには、デツドポイント通過後にこ
れが下がる分を考慮に入れてデツドポイントでそ
の分だけ余分に排水弁を引上げておく必要があ
り、その結果、摘み２１や係止部２２に大きな力
が加わり、操作しにくいばかりでなく、これらの
部材に強度を持たせる必要もあり設計が複雑で面
倒なものとなつていた。

さらに、係止部２２を２股構造としているため
に、構造上アーム２５の回転角は90度が限界とな
り、引上げストロークを大きくとることができ
ず、ストロークを大きくするにはアーム２５を長
くしなければならず、収納スペースも大きくなつ
てしまう。

本考案の目的は前記従来例の不都合を解消し、
小さなスペースで排水弁の引上げストロークを大
きくすることができ、しかも摘みのスライド操作
もスムーズに行える洗たく機の排水切換装置を提
供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は前記目的を達成するため、直線方向に
移動可能なコツクレバーの下面を凹部が形成され
た曲面形状の摺動部に形成し、この摺動部にクラ
ンク機構の摺動ボスを係合させ、クランク軸を中
心にして前記摺動ボスの反対側に設けた別のボス
の端部にベルトを取付け、このベルトの他端を排
水弁に固定することを要旨とするものである。

〔作用〕

本考案によれば、コツクレバーが例えば左方へ
摺動すると、ここに係合している摺動ボスがクラ
ンク軸を中心として左方へ回動し、その結果反対
側の別のボスがデツドポイントを通過することな
く右方へ移動してベルトを引張り排水弁を持上げ
る。そして摺動ボスはコツクレバーの凹部にはま
つて回動が阻止され排水弁は開状態を保持する。
コツクレバーが右方へ摺動すれば、摺動ボスはク
ランク機構の戻り力によつて右方へ回動し元の状
態に戻る。

〔実施例〕

以下、図面について本考案の実施例を詳細に説
明する。

第１図は本考案の洗たく機の排水切換装置の実
施例を示す分解斜視図、第２図は排水切換装置を
備えた二槽式洗たく機の一部を切欠いた斜視図
で、まず洗たく機の全体構成から説明すると、二
槽式洗たく機は外箱１内に洗たく槽２と脱水槽３
とを配設したもので、脱水槽３の上面を覆う脱水
蓋４の後方には上面パネル５を設けてある。

本考案の排水切換装置は、操作部をこの上面パ
ネル５に設け、また、排水弁６を洗たく槽２の底
部に設けており、このうち操作部から説明する
と、図中７はコツクレバーを示し、このコツクレ
バー７の下面にはこれと一体に板状の摺動部８が
突設され、該摺動部８の下面は一方の角部を面取
り部８ａに、これに続いて小さな凹部８ｂを形成
した曲面形状とした。

図中９はクランク機構を示し、該クランク機構
９はクランク軸１０からこれと直交する方向に２
つのアーム１１，１２をほぼ180度の位置関係す
なわち反対方向に突設するが、アーム１１，１２
にそれぞれ摺動ボス１３とボス１４とをクランク
軸１０と平行に設け、一方のボス１４には端を排
水弁６に結合したベルト１５の他端を取付けたも
のである。なお、アーム１１は２本平行に並び摺
動ボス１３とで門形となり、アーム１２は略半円
形状をなす。

図中１６は前記クランク機構９の支承台を示
し、上部にクランク軸１０支持用の切欠き１６ａ
を設けた。

また図中１７は排水切換用の摘みを示し、この
摘み１７は下部から係止突起１７ａを突出させ、
一方前記コツクレバー７に係合孔７ａを形成して
この係合孔７ａに前記係止突起１７ａを挿着する
ことで摘み１７をコツクレバー７に結合してもよ
いが、コツクレバー７と摘み１７とはこれを一体
的に成形しておくことも可能である。

このようにして上面パネル５に長孔５ａを穿設
し、ここに摘み１７を突出させて長孔５ａの下面
にコツクレバー７を直線方向に摺動可能に取付け
る。そしてクランク軸１０を支承台１６の切欠き
１６ａ内に嵌込んで排水弁６の閉状態で摺動ボス
１７がコツクレバー７の摺動部８の面取り部８ａ
に接するよう、クランク機構９をコツクレバー７
の下方に配設する。

次に使用法及び動作を第３図〜第５図について
説明すると、第３図は排水弁６を閉じた状態を示
し、この状態では摘み１７は図において長孔５ａ
の最右端にあり、摺動ボス１３は摺動部８の面取
り部８ａに接し、他方のボス１４はクランク軸１
０を中心にして前記摺動ボス１３とは反対側の斜
左下方に位置している。

この状態から排水を行うには、摘み１７を指先
でつまんでこれを長孔５ａに沿つて図において左
方にスライドさせればコツクレバー７も左方にス
ライドする。その結果、摺動ボス１３は摺動部８
に押されてアーム１１を介してクランク軸１０を
中心として面取り部８ａに沿いながら左上方へと
回動し、同時に他方のボス１４はアーム１２を介
して同じくクランク軸１０を中心にして右方へと
回動し、ここに固定してあるベルト１５を右方へ
と引張る。（第４図参照）。

さらに摘み１７を左方に移動すれば、摺動ボス
１３は面取り部８ａに沿つて今度は左下方へと回
動し、摘み１７を長孔５ａの最左端にまでスライ
ドさせた状態では、摺動ボス１３は凹部８ｂ内へ
と嵌り込む。この時、摺動ボス１３はクランク機
構９の戻り力により右方へ回動しようとするが、
凹部８ｂに阻止されコツクレバー７を押圧する状
態でここに保持される。そして、他方のボス１４
はさらに右上方へと回動しベルト１５を引張り、
その結果、排水弁６が引上げられて開き、排水が
行われる。

次に、排水弁６を再び閉じるには、摘み１７を
右方にスライドさせれば、摺動ボス１３は凹部８
ｂから外れてクランク機構９の戻り力によつて、
摺動ボス１３とボス１４とはそれぞれ前記と逆の
動作で回動する。

このようにして摺動ボス１３及びボス１４をデ
ツトポイントよりも手前の範囲で回動させること
により、ベルト１５を徐々に引上げるようにし
た。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案の洗たく機の排水切換
装置は、ボスの回動角を大きくとることができる
のでアームの長さを特に長くすることなしに小さ
なスペースのままで大きな引上げストロークを確
保できる。

また、ボスの回動範囲にデツトポイントが入ら
ないようにしたので摘みにかかる負荷がスライド
途中で特に大きくなることがなく、一定の力でス
ライドできるから操作しやすく、スライドをスム
ーズに行うことができ、さらに、摘みやクランク
機構に大きな力が加わらないからこれらの耐久性
が増すと同時に部材の肉薄軽量化を図ることがで
きコストダウンにもつながるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の洗たく機の排水切換装置の実
施例を示す分解斜視図、第２図は排水切換装置を
備えた二槽式洗たく機の一部を切欠いた全体斜視
図、第３図〜第５図は動作状態を示す縦断側面
図、第６図は従来例の排水弁を開いた状態の縦断
側面図、第７図は同上排水弁を閉じた状態の縦断
側面図である。 １……外箱、２……洗たく槽、３……脱水槽、
４……脱水蓋、５……上面パネル、５ａ……長
孔、６……排水弁、７……コツクレバー、７ａ…
…係合孔、８……摺動部、８ａ……面取り部、８
ｂ……凹部、９……クランク機構、１０……クラ
ンク軸、１１，１２……アーム、１３……摺動ボ
ス、１４……ボス、１５……ベルト、１６……支
承台、１６ａ……切欠き、１７……摘み、１７ａ
……係止突起、２１……摘み、２２……係止部、
２２ａ……凹所、２３……上面パネル、２４……
長孔、２５，２６……アーム、２７……ベルト、
２８……クランク軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 直線方向に移動可能なコツクレバーの下面を凹
   部が形成された曲面形状の摺動部に形成し、この
   摺動部にクランク機構の摺動ボスを係合させ、ク
   ランク軸を中心にして前記摺動ボスの反対側に設
   けた別のボスの端部にベルトを取付け、このベル
   トの他端を排水弁に固定したことを特徴とする洗
   たく機の排水切換装置。