JPH03418Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、水路用ゲートに関する。

考案が解決しようとする問題点 たとえばダムの水路を閉鎖するために、水路と
水路の上方に設けられた収納空間との間で上下動
し、かつ水路内において水路側面に設けられた戸
溝に沿つて移動するゲートが設けられている場
合、ゲート開放時に、放流される水に混じつてい
る土砂が戸溝に当たつてこれを損傷させたり、土
砂等が戸溝体内に堆積したりしてゲートで水路を
完全に閉鎖できなくなるおそれがある。そこで、
ゲート開放時に戸溝を保護するために、ゲートと
してゲート本体と、ゲート本体の左右両側面の下
端部に下方突出状に設けられ、かつゲート本体が
収納空間に収納されているときに戸溝内に嵌めら
れる戸溝保護体とよりなるものを用いることが考
えられる。そして、ゲート本体と戸溝保護体と
は、据付、製作等の誤差を吸収しうるように枢着
することが適していると考えられる。しかしなが
ら、ゲート本体と戸溝保護体とが枢着されている
と、戸溝本体が戸溝内に嵌められたときに戸溝保
護体が流水によつて揺動させられ、戸溝に当たつ
て戸溝および戸溝保護体が損耗させられるという
問題がある。

考案の目的 この考案の目的は、上記の問題を解決した水路
用ゲートを提供することにある。

考案の構成 この考案による水路用ゲートは、水路と水路の
上方に設けられた収納空間との間で上下動し、か
つ水路内において水路側面に設けられた戸溝に沿
つて移動するゲート本体と、ゲート本体の左右両
側の下端部に上端部にて左右方向に揺動自在に設
けられ、かつゲート本体が収納空間に収納されて
いるときに戸溝内に嵌められて戸溝を塞ぐ戸溝保
護体とよりなり、戸溝保護体の上端にゲート本体
の側面に当接して戸溝保護体の外側方への揺動を
防止するストツパが設けられているものである。

この明細書において、前後は水の流れる方向を
基準にし、前とは上流側を指し、後とはこれと反
対側を指すものとする。また、左右は後方に向つ
ていうものとする。

実施例と作用 図面には、この考案による水路用ゲートが、ダ
ムの排砂設備における排砂管に適用されている場
合が示されている。

以下の説明において、正面とは排砂管の内方を
向いた側を指し、背面とはこれと反対側を指すも
のとする。

ダム１の排砂設備において、排砂管２（水路）
の後端部（吐口部）に止水用主ゲート３が設けら
れ、前端部（呑口部）に予備ゲート４が設けら
れ、前後方向の中間部に中間ゲート５が設けられ
ている。予備ゲート４および中間ゲート５は、排
砂管２および主ゲート３の保守点検時に排砂管２
内を空にするため、および主ゲート３を閉じるさ
いに主ゲート３の水密部への土砂等の噛込みを防
止するためのものである。そして、中間ゲート５
に、この考案による水路用ゲートが用いられてい
る。中間ゲート５と対応する位置において、排砂
管２の上方にこれと連なる収納空間６が設けら
れ、排砂管２の左右両側面に戸溝７が設けられ、
排砂管２の下方に戸溝７に連なる横断面円形の保
護体格納空間８が設けられている。収納空間６は
後述するゲート本体１７を収納するためのもので
あり、その上方に操作室９が設けられ、ここに中
間ゲート昇降用油圧シリンダ１０が配置されてい
る。油圧シリンダ１０は収納空間６と操作室９と
を区画するボンネツト１１に取付けられている。
左右の保護体格納空間８は下端部において堆砂空
間１２で連通させられている。堆砂空間１２には
排砂通路１３が設けられている。保護体格納空間
８の内周面には、後述する戸溝保護体のガイドロ
ーラ１４が上下に所定間隔をおいて複数個設けら
れている。

中間ゲート５は、排砂管２と収納空間６との間
で上下動し、かつ排砂管２内において戸溝７に嵌
まつて移動する排砂管閉鎖用ゲート本体１７と、
ゲート本体１７の左右両側の下端部に上端部にて
左右方向に揺動自在に取付けられた戸溝保護体１
８とよりなる。ゲート本体１７に中間ゲート昇降
用油圧シリンダ１０のピストン・ロツド１０ａの
先端が固定されている。ゲート本体１７の下端面
の左右両端部にはブラケツト１９が設けられ、こ
のブラケツト１９にリンクプレート２０を介して
戸溝保護体１８が左右方向に揺動自在に取付けら
れている。また、ゲート本体１７の左右両側面に
は、戸溝７および収納空間６の前後両側面に沿つ
て転動する主ローラ２１と、戸溝７の底面および
収納空間６の側面に沿つて転動する副ローラ（図
示略）とが設けられている。戸溝保護体１８は横
断面略方形で、その上端面に、立上り部２３ａと
立上り部２３ａの上端に連なつてゲート本体１７
側に伸びた腕２３ｂとよりなるストツパ２３が固
定されている。腕２３ｂの先端とゲート本体１７
の側面との間には若干の隙間が設けられており、
据付および製作の誤差等を吸収するために、戸溝
保護体１８が若干外側方にも揺動するようになつ
ている。ストツパ２３の腕２３ｂの先端は、戸溝
保護体１８が外方に揺動したときに、ゲート本体
１７側面の下端部に取付けられたシユー（図示
略）に当接する。また、戸溝保護体１８の正面は
耐衝撃性および耐摩耗性を有する材料からなる複
数のライニング部材（図示略）によつてライニン
グされており、排砂管２の開放時に放流水中に含
まれる土砂等により戸溝保護体１８が損傷される
のが防止されるようになつている。ライニング部
材は交換自在に取付けられており、損傷した場合
に損傷したライニング部材だけを交換しうるよう
になつている。

このような構成において、第１図および第２図
に示すように、排砂管２が開放されている場合に
は、ゲート本体１７は収納空間６内に収納され、
戸溝保護体１８が戸溝７内に嵌まつている。この
状態で水を放流すると、水の圧力によつて戸溝保
護体１８がその上端部を中心として外方に揺動さ
せられようとするが、ストツパ２３の腕２３ｂの
先端がシユーに当接してその揺動が阻止される。
したがつて、戸溝保護体１８が戸溝７内に当たり
戸溝７および戸溝保護体１８が損傷するのが防止
される。

排砂管２を閉鎖する場合には、油圧シリンダ１
０によつて中間ゲート５を下降させる。ゲート本
体１７は主ローラ２１および副ローラが戸溝７の
側面および底面に沿つて転動しながら下降し、側
縁部が戸溝７内に嵌まつた状態で排砂管２を閉鎖
する。戸溝保護体１８は保護体格納空間８内に入
る。

排砂管２の開放時および閉鎖時において、ゲー
ト本体１７または戸溝保護体１８と戸溝７との隙
間から戸溝７内に入つた細かい土砂を含む水は、
保護体格納空間８を通つて排砂空間１２に入る。
そして、排砂通路１３を通つて土砂とともに排出
される。

考案の効果 この考案の水路用ゲートによれば、戸溝保護体
の外側方への揺動は、戸溝保護体の上端部に設け
られたストツパがゲート本体の側面に当接するこ
とにより阻止され、戸溝や戸溝保護体の損傷が防
止される。しかも、戸溝保護体の上端部にストツ
パを設けるだけでよく、構造が簡単であるととも
に経済的である。戸溝保護体の外側方への揺動を
阻止するために、戸溝保護体に、戸溝内に設けら
れたガイドに沿つて転動するローラや、ガイドに
当接するシユーを設けることも考えられるが、ロ
ーラを設けた場合には戸溝のスペースが大きくな
り、シユーを設けた場合には戸溝内を移動させる
さいの抵抗が大きくなるという問題があり、しか
も戸溝にガイドを設ける必要があつて不経済であ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示し、第１図はゲー
ト開放時のダムの垂直縦断面図、第２図は第１図
の−線にそう断面図である。 ２……排砂管（水路）、５……中間ゲート、６
……収納空間、７……戸溝、１７……ゲート本
体、１８……戸溝保護体、２３……ストツパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水路と水路の上方に設けられた収納空間との間
   で上下動し、かつ水路内において水路側面に設け
   られた戸溝に沿つて移動するゲート本体と、ゲー
   ト本体の左右両側の下端部に上端部にて左右方向
   に揺動自在に設けられ、かつゲート本体が収納空
   間に収納されているときに戸溝内に嵌められて戸
   溝を塞ぐ戸溝保護体とよりなり、戸溝保護体の上
   端にゲート本体の側面に当接して戸溝保護体の外
   側方への揺動を防止するストツパが設けられてい
   る水路用ゲート。