JPH0341647Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、特に一般家庭で使用される汎用庖丁
に関するものである。

「従来の技術とその問題点」 従来から一般家庭で使用されている庖丁は、形
態的には多少の相違はあるが、刀身の刃部が直線
刃となつているものが広く使用されている。

他方、特殊の用途に使用される庖丁、例えばパ
ン切り用庖丁や冷凍食料品用庖丁等にあつては、
刀身の刃部に所謂波形刃が形成されている。

しかも、斯るパン切り用庖丁の波形刃は、あく
までも硬いフランスパン等を専ら切るものである
から、これに応じて波形形状も比較的大きく、且
つその波形の深さも可能な限り深くなるように構
成されている。

又、冷凍食料品用庖丁の波形刃も、対象物が凍
結している食料品であることから、刀身自体が厚
肉となつていることは勿論であるが、やはりその
刃部の波形形状は比較的大きく、且つその深さも
パン切り用庖丁と同様に深くなつている。尚、特
に冷凍食品用庖丁にあつては、鋸刃の如く一定の
間隔をおいて、刃部が刀身の両側に交互に張り出
す特殊波形形状のものも存在する。

従つて、フランスパンや冷凍食料品等を切る場
合には、上記深さが深い大型波形刃が、幸いして
切れ味が頗る良好となるが、家庭の食卓に供せら
れるその他の調理品を切る場合には、この大型波
形刃が逆に禍してうまく切ることができなかつ
た。

この為、従来にあつては、波形刃の庖丁は上記
特殊用途にのみ使用されるだけで、通常の野菜や
魚肉等の調理品を切る場合には、未だ直線刃の庖
丁を使用せざるを得ないので、使用上極めて不利
不便であつた。

又、直線刃の庖丁にあつては、直線刃部の刃先
全体が俎板面にぶつかつて摩耗し易いので、切れ
味を維持する上では、頻繁に刃研ぎをしなければ
ならないと言う問題点もを有していた。

「問題点を解決するための手段」 而して、本考案は斯る従来庖丁の不利不便を有
効に解決するために開発されたもので、少なくと
も刀身の刃元近傍域を除く範囲に、深さの浅い波
形刃部を連続して形成すると共に、該刃部の波形
形状を交互に配列される上側湾曲部と下側直線部
とで構成し、且つ該上側湾曲部と下側直線部の各
刃先を、いずれも鋭利形状となす構成を採用し
た。

「作用」 依つて、本考案にあつては、刀身に形成される
刃部は、深さの浅い波形形状となつているので、
従来の深さの深い大型波形刃の庖丁と異なり、野
菜等の通常の調理品も容易に切つたり刻んだりす
ることができるばかりか、フランスパンや冷凍食
料品をも同時に切ることができることとなつて、
１本で２本の専用庖丁を兼用することが可能とな
る。

しかも、通常の調理品を頻繁に切つても、従来
の直線刃庖丁のように、刃先全体が俎板面にぶつ
からないので、容易に切れ味が鈍る心配がなくな
るばかりか、仮に必要に応じて刃を研ぐ場合で
も、波形刃部を構成する下側直線部の刃先のみを
研げば良いので、刃研ぎも頗る容易となる。

「実施例」 以下、本考案を図示する各実施例に基づいで詳
述すれば、いずれの実施例も、特に一般家庭で使
用される庖丁を対象として構成されたものであ
る。

そして、第一実施例に係る庖丁は、第１図・第
２図に示す如く、中子（図示せず）を柄１に固定
した刀身２に刃部を形成するに際して、刀身２の
切つ先３ａから刃元３ｂに至る全範囲に、深さＨ
が極めて浅く且つ小さな形状の波形刃部４を連続
して形成したものである。

又、該深さＨの浅い波形刃部４は、特に第２図
Ａ，Ｂ，Ｃに示す如く、比較的広巾の上側湾曲部
４ａと比較的狭巾の下側直線部４ｂとを交互に配
列することにより構成し、且つ上側湾曲部４ａと
下側直線部４ｂのいずれからでも切断できるよう
に、両者４ａ，４ｂの各刃先を共に鋭利形状とな
している。

依つて、第一実施例の庖丁にあつては、刀身２
の全範囲に形成される刃部４は、上記比較的広巾
の上側湾曲部４ａと比較的狭巾の下側直線部４ｂ
とで構成される波形形状を呈するが、その深さＨ
が極めて浅い波形形状となつているので、従来の
如く刃部４の波形形状が禍することなく、野菜・
魚肉等を切れ味鋭く切つたり刻んだりすることが
できるばかりか、硬いフランスパンや冷凍食料品
をも、該波形刃部４で同時に切れることとなつ
て、１本で従来の直線刃庖丁と波形刃庖丁の２役
を兼用することが可能となる。

しかも、通常の調理品を対象として頻繁に使用
しても、従来の直線刃の庖丁の如く、刃部４の刃
先全体が俎板面にぶつからないので、切れ味が簡
単に鈍る心配がないばかりか、仮に必要に応じて
刃部４を研ぐ場合でも、俎板面に直接ぶつかる刃
部４の下側直線部４ｂのみを、砥石を用いて研げ
ば良いので、従来と比し刃研ぎも頗る容易とな
る。

次に、第二実施例に係る庖丁を説明すると、該
実施例に係る庖丁も、上記第一実施例を前提とす
るものであるが、異なるところは、第３図Ａ，Ｂ
に示す如く、刀身２に形成される波形刃部４を切
つ先３ａから刃元３ｂ間の全範囲には形成せず
に、刀身２の刃元３ｂ近傍域を除く範囲に、上記
深さＨが浅く且つ小さな形状の波形刃部４を形成
し、刀身２の刃元３ｂ近傍部には、従来と同様な
直線刃部５を別途形成したものである。

従つて、斯る第二実施例の庖丁にあつても、基
本的には深さＨの浅い小型の波形刃部４を用いる
ものであるから、第一実施例と同様に、通常の調
理品を切れ味鋭く切つたり刻んだり、硬いフラン
スパンや冷凍食料品をも切れることは言うまでも
ないが、刃元３ｂの近傍部分には直線刃部５が形
成されているので、特に果物等の皮を剥ぐ場合に
は、この直線刃部５を利用すれば、皮剥きが頗る
容易に行なえる利点がある。

「考案の効果」 以上の如く、本考案は、少なくとも刀身の刃元
近傍域を除く範囲に、深さの浅い波形刃部を連続
して形成すると共に、該刃部の波形形状を交互に
配列される上側湾曲部と下側直線部とで構成し、
且つ該上側湾曲部と下側直線部の各刃先を、いず
れも鋭利形状となしたことを特徴とするものであ
るから、従来の波形刃庖丁と異なり、野菜等の通
常の調理品を容易に切つたり刻んだりすることが
できるばかりか、硬いフランスパンや冷凍食料品
をも同時に切れることとなる。

従つて、本考案の庖丁は、１本で従来の２本の
専用庖丁を兼用することが可能となるので、従来
の不利不便を一掃できた。

しかも、通常の調理品を頻繁に切つても、従来
の直線刃庖丁のように、刃先全体が俎板面にぶつ
からないので、容易に切れ味が鈍る心配がなくな
るばかりか、仮に必要に応じて刃を研ぐ場合で
も、波形刃部を構成する下側直線部の刃先のみを
研げば良いので、刃研ぎも頗る容易となる利点を
も併せて提供できることとなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第一実施例に係る庖丁を示す
正面図、第２図Ａは波形刃部の形状を示す要部拡
大図、同図Ｂは第２図ＡのＡ−Ａ線断面図、同図
Ｃは第２図ＡのＢ−Ｂ線断面図、第３図Ａは第二
実施例に係る庖丁を示す正面図、同図Ｂは第３図
ＡのＣ−Ｃ線拡大断面図である。 １……柄、２……刀身、３ａ……刀身の切つ
先、３ｂ……刀身の刃元、４……波形刃部、４ａ
……波形刃部の上側湾曲部、４ｂ……波形刃部の
下側直線部、５……直線刃部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 少なくとも刀身の刃元近傍域を除く範囲に、
   深さの浅い波形刃部を連続して形成すると共
   に、該刃部の波形形状を交互に配列される上側
   湾曲部と下側直線部とで構成し、且つ該上側湾
   曲部と下側直線部の各刃先を、いずれも鋭利形
   状となしたことを特徴とする庖丁。 (2) 上記刀身の刃元近傍部に、直線刃部を形成し
   たことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の庖丁。