JPH0340617Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 この考案は、印字ヘツドの発熱により印刷を行
なうサーマルプリンタに系り、特に熱転写によつ
て印刷された記録紙上の文字や記号などの記録を
消去し、さらに再印字を行なつて修正するコレク
ト機能を備えたサーマルプリンタに関する。

〔考案の背景〕

一般に、サーマルプリンタは、記録紙とサーマ
ルヘツドとの間に熱溶融性材料からなる着色剤を
有する感熱記録媒体、すなわちインクリボンを配
置し、サーマルヘツドに備えられた複数の発熱要
素を加熱することにより、インクリボンの着色剤
を溶融させ、これによつて記録紙上に所望の文
字、記号等を転写、つまり印刷させるものであ
り、他の形式のプリンタに比べて記録時に叩打音
等の騒音を生じることがなく印刷をおこなうこと
ができる利点がある。

ところで、昨今このようなサーマルプリンタ
が、電子式タイプライタ等に応用されつつあり、
このようなタイプライタにあつて記録された文
字、記号等を訂正するためのコレクト機能が必要
不可欠なものになつている。しかしながら、この
サーマルプリンタに備えられる従来のインクリボ
ンはそれ自身にコレクト機能を有しておらず、こ
のため当該インクリボンとは別に文字、記号等を
消去するための消去用リボンが用意され、この消
去用リボンを用いて消去しコレクト操作をおこな
うようにされている。コレクト操作は、記録紙と
同色の顔料を備えた該消去用リボンを、修正すべ
き文字や記号等の上に配し、この文字や記号等の
上から消去用リボンの顔料を付着せしめ、さらに
上塗りされた顔料の上から正しい文字や記号等を
印字することによりおこなわれる。しかし、この
ような修正方法では、顔料上に再記録する際、顔
料表面に形成される凹凸によつて印字品質が損な
われるという問題がある。また、文字等の消去後
に再印字操作を行なうため、印字時間が長くなる
という問題もある。

〔考案の目的〕

この考案は、上記の従来技術の問題点に鑑みて
なされたもので、その目的は、コレクト後の印字
品質が高く、しかもコレクト動作時間の短かいサ
ーマルプリンタを提供することにある。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するため、この考案のサーマル
プリンタは、印刷時用エネルギと消去時用エネル
ギを印加することにより一種類の感熱記録媒体を
用いて印刷操作とコレクト操作が可能にされ、し
かもコレククト操作時に、修正前の文字等と修正
後の文字等とを比較し、サーマルヘツドの消去す
べき字素部分には消去時用エネルギを、印刷を付
加すべき字素部分には印字時用エネルギを同時に
印加可能な制御手段を備えた構成にしてあり、修
正個所の字素部分のみ記録紙から剥離し、同時
に、印刷を付加すべき字素部分には感熱記録媒体
が記録紙へ転写されるように設定され、コレクト
動作が簡単に行なえるようにしてある。

〔考案の実施例〕

以下、この考案に係るサーマルプリンタを図に
基づいて説明する。

第１図はこの考案のサーマルプリンタの一実施
例の全体構成を示す平面図、第２図ａ，ｂは第１
図に示す一実施例の動作をそれぞれ示す側面図で
ある。第１図および第第２図ａ，ｂにおいて、１
はプラテン、２は印刷位置を規定するプラテンゴ
ム、１ａはこれらのプラテン１およびプラテンゴ
ム２に巻回される記録紙である。３は記録紙１ａ
をプラテン１のプラテンゴム２に沿うように案内
する紙ガイド、４はプラテンゴム２に対向可能に
配置され、複数の発熱要素を有するサーマルヘツ
ド、５はサーマルヘツド４が搭載されるととも
に、プラテン１に沿つて第１図の左右方向に移動
可能なキヤリツジである。６はサーマルヘツド４
と記録紙１ａとの間に介在され、着色剤を有する
後述の感熱記録媒体、すなわち印刷リボン、７は
この印刷リボン６が収容され、かつ上述のキヤリ
ツジ５に装着されるリボンカセツトである。

８はキヤリツジ５を移動可能に保持し、プラテ
ン１に対して回動可能に設けられるキヤリツジ保
持体で、第２図ａに示すようにばね９により同第
２図ａの反時計方向に付勢されている。このキヤ
リツジ保持体８のプラテン１側にはピン１０を備
えており、このピン１０にはカム１１が係合して
いる。

また、第１図に示す１３は駆動源すなわちパル
スモータ、１５はこのパルスモータ１３の回転力
を伝える歯車群、１６は歯車群１５を介してパル
スモータ１３から伝えられる回転力をキヤリツジ
５の移動機構、および記録紙１ａを送る紙送り軸
１４の回転機構に選択的に伝えるクラツチ機構で
ある。

なお、第２図ａ，ｂに示すカム１１はパルスモ
ータ１３の回転に伴つて同第２図ａ，ｂの左右方
向に移動可能になつている。

また、このサーマルプリンタには、コレクト操
作するための図示しない制御部が設けられてい
る。

次に、上記した印刷リボン６の概略構成を第３
図に示す要部拡大側面図によつて説明する。

この第３図において、２１は記録紙１ａに対向
可能に設けられ、例えば100℃以下の低い融点お
よび低い粘度を有するオーバーコート層で、例え
ば厚さが１〜２ミクロンのワツクスからなつてお
り、ほぼ透明になつている。２２はこのオーバコ
ート層２１に連設され、該オーバコート層２１の
融点、粘度よりも高い融点、粘度、強粘着性を有
するバインダ、および着色剤、例えばカーボンブ
ラツク等を有し、厚さが例えば３〜８ミクロンの
インク層である。このインク層２２のバインダと
着色剤の比率は、例えば着色剤の方が多くなる所
定の比率に設定される。２３はインク層２２に連
設され、印刷エネルギが付与されるベース層で、
例えば厚さが３〜12ミクロンのプラスチツクから
なつている。そして、上述したインク層２２とベ
ース層２３との間の親和力、すなわち接着力は、
例えば印刷エネルギを約20〜35mj／mm²とした場
合に弱くなり、すなわちインク層２２がベース層
２３から剥離しやすくなり、該印刷エネルギを約
45〜55mj／mm²とした場合に強くなり、すなわち
インク層２２とベース層２３とが強く接着される
ように設定してある。また、上述したインク層２
２と記録紙１ａとの間の親和力は、例えば印刷エ
ネルギを約20〜35mj／mm²とした場合に強くなり、
約45〜55mj／mm²とした場合に弱くなるように設
定してある。

次に、上述したサーマルプリンタの印刷動作お
よび消去動作について、第４図ａ，ｂ，ｃ，第５
図ａ，ｂ，ｃとともに説明する。なお、第４図
ａ，ｂ，ｃは第１図に示すサーマルプリンタの印
刷動作の説明図、第５図は消去動作の説明図であ
る。

印刷を行なう場合には、第４図ａに示すよう
に、印刷リボン６のオーバコート層２１が記録紙
１ａに対向するように配置され、このような状態
からサーマルヘツド４に、例えば約20〜35mj／
mm²の印刷エネルギを付与する。上記印刷エネルギ
が付与されると、第４図ｂに示すように、まず低
融点を有するオーバコート層２１の一部が溶融し
て記録紙１ａに浸透し、記録紙１ａ上にワツクス
部２４が形成される。次いで、第４図ｃに示すよ
うにインク層２２が溶融し、前述したように当該
印刷エネルギが20〜35mj／mm²のときには、ベー
ス層２３に対してインク層２２が剥離しやすく、
またインク層２２と記録紙１ａとが強く接着する
ことから、記録紙１ａに形成されたワツクス部２
４上に着色剤とバインダを含む例えば文字２５が
転写される。

また、記録紙１ａに転写された文字２５を消去
する消去動作をおこなう場合、第５図ａに示すよ
うに、オーバコート層２１を記録紙１ａ上の文字
２５に対向するように配置した状態で、サーマル
ヘツド４に例えば約45〜55mj／mm²の印刷エネル
ギを付与すればよく、これにより第５図ｂに示す
ように、まず文字２５に対向するオーバコート層
２１が溶融し、前述したように当該印刷エネルギ
が45〜55mj／mm²のときにはベース層２３とイン
ク層２２とが強く接着し、インク層２２と記録紙
１ａとの接着が弱くなることから、第４図ｃに示
すように、記録紙１ａのワツクス部２４上の文字
２５がインク層２２に接着される。したがつて消
去動作後には、ワツクス部２４のみが記録紙１ａ
上に残ることとなる。

次に、上記印刷動作と消去動作を利用した本考
案のサーマルプリンタにおける印刷操作とコレク
ト操作を、第６図ａ，ｂ，ｃおよび第７図ととも
に説明する。

まず、第１図に示すパルスモータ１３を駆動
し、歯車群１５、クラツチ機構１６を駆動して、
紙送り軸１４を回転させ、記録紙１ａを印刷位置
にセツトすることがおこなわれる。このとき、第
２図ｂに示すように、ばね９の力に抗してキヤリ
ツジ保持体８に設けたピン１０がカム１１の高部
に係合し、これによつてサーマルヘツド４はプラ
テンゴム２から離れた状態に保たれる。

このような状態からパルスモータ１３を駆動す
ると、歯車群１５を介してカム１１が同第２図ｂ
の左方に移動し、これによつて第２図ａに示すよ
うに、ピン１０がカム１１の低部に係合するに至
り、ばね９の力によつてキヤリツジ保持体８が図
示反時計方向に回動し、印刷リボン６を挟んでサ
ーマルヘツド４がプラテンゴム２に当接し、記録
紙１ａへの転写すなわち印刷操作、あるいは記録
紙１ａの記録の消去すなわちコレクト操作の実施
が可能な準備状態となる。

なお、印刷操作、コレクト操作の実施に際して
は、クラツチ機構１６が切換えられ、これによつ
てパルスモータ１３の回転力が、歯車群１５、ク
ラツチ機構１６を介してキヤリツジ移動機構に伝
えられ、これによつてキヤリツジ５がプラテン１
すなわちプラテンゴム２に沿つて移動する。そし
て、上記印刷動作にしたがつて印字がおこなわれ
る。

コレクト操作は、上記消去動作と印刷動作を利
用しておこなわれ、例えば第６図に示すように８
を９に修正する場合には、不要個所の字素３１，
３２を消去し、必要個所の字素３３，３４を印刷
する必要がある。この修正の場合には、７ドツト
の字素のうち、上から５番目の字素３１部分と６
番目の字素３２部分のサーマルヘツド４の発熱部
分には、例えば約45〜55mj／mm²の印刷エネルギ
を付与し、上から７番目の字素３３部分には、例
えば約20〜35mj／mm²の印刷エネルギを付与し、
他の字素部分には特に印刷動作も消去動作も起こ
さないようにして印刷動作を行なえば、該字素３
１，３２は印刷リボン６に付着して消去され、字
素３３のみが印刷される。そして、５ドツト分送
つた後、上から４番目の字素３４部分にのみ、約
20〜35mj／mm²の印刷エネルギを付与すると、当
該字素３４部分にのみ印刷がおこなわれ、９の数
字が形成される。

このコレクト操作は、サーマルプリンタに付設
された制御部３５を介しておこなわれる。制御部
３５にコレクト信号が入力されると、上記のよう
に８を９に修正する場合には、制御部３５内でサ
ーマルプリンタに付設されたメモリに記憶されて
いる数字８と９を字素に分解して印刷部分と消去
部分に分け、印刷部分には、制御部３５内の印刷
信号に応じて上記比較的低い約20〜35mj／mm²の
印刷エネルギがサーマルヘツド４の発熱部分に付
与され、消去部分には、同様の消去信号に応じて
上記比較的高い約45〜55mj／mm²の印刷エネルギ
が付与される。この動作が、図において縦方向に
並んだ１列毎の字素列についておこなわれる。

上記のように構成した実施例にあつては、１つ
の印刷リボン６を介して修正すべき字素部分の剥
離と印刷を同時に実施することができ、極めて能
率的に印字作業をおこなうことができる。

また、再印刷される字素は、常に記録紙１ａ上
の新たな部分であり、消去される字素部分にはワ
ツクス部２４が残つているだけなので、修正後の
印字品質も高品位を保つことができる。

なお、上記実施例にあつてはメモリ機能を備え
印字した文字を記憶できるプリンタを例にとつて
いるが、これ以外に、例えば修正対象の文字等を
入力し、その後、正しい文字等を入力して制御部
で両者を比較せしめてコレクト動作をおこなうよ
うに構成してもよく、これらの比較手段は種々の
選択が可能である。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、この考案によ
れば、コレクト操作において、修正前と修正後の
文字等を字素に分けて比較し、不要な字素部分の
消去と必要な字素部分の再印刷を字素列毎におこ
なうように構成してあるので、コレクト後の印字
品質を高く保つことができるとともに、コレクト
動作を極めて短時間で実施できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案のサーマルプリンタの一実
施例の全体構成を示す平面図、第２図ａ，ｂは第
１図に示す実施例の動作をそれぞれ示す側面図、
第３図は第１図に示す実施例に備えられる感熱記
録媒体の概略構成を示す要部拡大側面図、第４図
ａ，ｂ，ｃは第１図に示すサーマルプリンタにお
いておこなわれる印刷動作説明図、第５図ａ，
ｂ，ｃは同サーマルプリンタにおいておこなわれ
る消去動作の説明図、第６図は同サーマルプリン
タにおいておこなわれるコレクト操作の説明図
で、第６図ａは修正前の数字の字素の集合体を例
示した説明図、第６図ｂは消去すべき字素と印刷
すべき字素を例示した説明図、第６図ｃは修正後
の数字の字素の集合体を例示した説明図、第７図
はコレクト時の信号の流れを示すブロツク図であ
る。 １……プラテン、２……プラテンゴム、３……
紙ガイド、４……サーマルヘツド、５……キヤリ
ツジ、６……印刷リボン、７……リボンカセツ
ト、８……キヤリツジ保持体、９……ばね、１０
……ピン、１１……カム、１３……パルスモー
タ、１４……紙送り軸、１５……歯車群、１６…
…クラツチ機構、２１……オーバコート層、２２
……インク層、２３……ベース層、２４……ワツ
クス部、２５……文字、３１，３２，３３，３４
……字素、３５……制御部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 記録紙とサーマルヘツドとの間に、着色剤を有
   する感熱記録媒体を介在させ、サーマルヘツドの
   印刷エネルギに応じて上記感熱記録媒体の着色剤
   を上記記録紙にドツト状に転写させて印刷をおこ
   なうものであつて、かつ上記感熱記録媒体が上記
   記録紙に対向可能に設けられ、あらかじめ印刷時
   用エネルギと消去時用エネルギを設定し、印刷時
   には上記印刷時用エネルギを上記感熱記録媒体に
   付与して上記記録紙上に所定の転写をおこなわ
   せ、該記録紙に転写された記録を消去する消去時
   には、上記消去時用エネルギを上記感熱記録媒体
   に付与して該記録紙の記録を該感熱記録媒体に接
   着させて印刷動作と消去動作をおこなうサーマル
   プリンタにおいて、印刷した文字等を修正する際
   に、修正前の文字等と修正後の文字等とを比較し
   サーマルヘツドの印刷が不用な字素部分には上記
   消去時用エネルギを、印刷を付加すべき字素部分
   には上記印刷時用エネルギをそれぞれ付与可能な
   制御部を備えたことを特徴とするサーマルプリン
   タ。