JPH0340496Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 考案の技術分野 本考案は、チヤツクジヨーに係り、特にチヤツ
ク本体への取り付け，取り外しを迅速に行なうこ
とのできるチヤツクジヨーに関する。

(ロ) 従来技術と問題点 従来、チヤツク本体へのチヤツクジヨーの取り
付けは、マスタージヨー部と爪部とが一体に形成
されたチヤツクジヨーをチヤツク本体にボルトで
固定することにより行なわれている。従つて、チ
ヤツクジヨーを交換するためには、その都度ボル
トを緩め、また締め付けることが必要であり、作
業性が非常に悪いという問題があつた。また、チ
ヤツクジヨーの交換後には、複数のチヤツクジヨ
ー相互の同心度を確認するためマスターリングを
チヤツキングしダイヤルゲージで測定する必要が
あるという問題があつた。さらに、必要な同心度
が得られない時には、旋盤等の加工機械上で共加
工をする必要があり、多大な段取り時間が費やさ
れるという問題があつた。

そこで、クイツクチエンジ方式の専用チヤツク
が開発されているが、従来のチヤツクは、爪部の
耐久性に乏しいという問題があつた。

(ハ) 考案の目的 本考案は、上記に鑑みてなされたもので、爪の
交換が迅速かつ確実に行なわれ、また工作物のチ
ヤツキングが確実になると共に耐久性及び繰り返
し精度の優れたチヤツクジヨーを提供することを
目的とする。

(ニ) 考案の構成 上記目的を達成するための本考案の構成は、工
作物への対向面に案内支持部が突出して設けられ
るマスタージヨーの前記案内支持部から前方に向
けて案内部が形成され、その案内部に沿つて前記
対向面側へ摺動自在に爪が配置されると共に、案
内部にばねで付勢された抜け止めピンが配置さ
れ、その抜け止めピンの先端形状が円錐形状を有
し、爪の案内部側に抜け止めピンと係合する円錐
形状の凹部が形成され、爪に前面から後面へ向け
て抜け止めピンの後退に用いられる貫通孔が形成
され、更に爪の前記対向面に対向する面と対向面
との接合面が前面から後面へ向けて上昇して傾斜
するテーパ面となつていることを特徴とする。

(ホ) 考案の実施例 以下、本考案の詳細を図面に示す一実施例につ
いて説明する。

第１図乃至第３図は、本考案のチヤツクジヨー
の一実施例を示すもので、図において符号１は、
マスタージヨーを示している。マスタージヨー１
には、前面から後面へ向けて、一定間隔をおいて
２つのボルト穴２，３が貫通穿設されている。ボ
ルト穴２，３には、ボルト４が挿通されており、
このボルト４は、チヤツク本体５に形成されるＴ
溝６内に収容されるＴナツト７に螺合している。
マスタージヨー１の下面には、前面から後面へ向
けて上昇するジヨー側テーパ面（工作物への対向
面）８が形成されており、後面側下面荷は、下方
に突出する案内支持部９が形成されている。な
お、ジヨー側テーパ面８の傾斜は、5°乃至45°の
範囲とするのが望ましい。

マスタージヨー１の案内支持部９から前方へ向
けて突出して後述する爪１４を案内する案内部１
０が形成されている。この案内部１０の後面側
は、案内支持部９の前面側に形成される凹溝１１
内に嵌合され、また案内部１０は、ボルト１１ａ
により案内支持部９に固定されている。案内部１
０の両側には、後述する爪１４に形成されるＴ溝
１５と嵌合する案内突起１２が形成されている。

案内部１０には、爪１４が上下方向に摺動自在
に配置されている。すなわち、爪１４には、案内
部１０に嵌合する形状のＴ溝１５が形成されてお
り、前述した案内突起１２がＴ溝１５内に挿入さ
れている。爪１４の上面には、マスタージヨー１
の下面に形成されるジヨー側テーパ面８と接する
接合面となる同一の傾斜を有する爪側テーパ面１
６が形成されている。

案内部１０の上部には、前後方向に貫通孔１７
が穿設されており、この貫通孔１７内には、固定
ブツシユ１８を介して抜け止めピン１９が挿入さ
れている。抜け止めピン１９の後端には、抜け止
め用の大径部２０が形成されている。また、マス
タージヨー１の案内支持部９には、抜け止めピン
１９の軸線方向に貫通孔２１が形成され、貫通溝
２１の後面側は、バネ押え２２により遮蔽されて
いる。バネ押え２２と抜け止めピン１９との間に
は、ばね２３が介挿され、抜け止めピン１９は、
前方へ向けて付勢されている。抜け止めピン１９
の前部には、先端先細り円錐形状のテーパ部２４
が形成されている。一方、爪１４の後面部には、
爪１４のジヨー側テーパ面８への押圧時抜け止め
ピン１９のテーパ部２４を挿入可能とされる凹部
２５が形成されており、この凹部２５は抜け止め
ピン１９のテーパ部２４に対応する円錐形状のテ
ーパ部を有している。

そして、爪１４の抜け止めピン１９前方位置に
は、抜け止めピン１９を後退させて爪１４を取り
外すための長方形状の貫通孔２６が形成されてい
る。

以上のように構成されたチヤツクジヨーでは、
マスタージヨー１をチヤツク本体５にボルト４で
固定したままの状態で、爪１４のみが交換され
る。爪１４のマスタージヨー１への取り付けは、
爪１４に形成されるＴ溝１５を案内部１０の案内
突起１２下部から被嵌し、案内突起１２に沿つて
爪１４を上方に摺動することにより行なわれる。
すなわち、爪１４の上方への摺動により爪１４の
上端が抜け止めピン１９に当接すると、テーパ部
２４の作用により、抜け止めピン１９は後退し、
爪１４はさらに上方に移動される。爪１４の上端
に形成される爪側テーパ面１６とジヨー側テーパ
面８とが当接した状態において、抜け止めピン１
９のテーパ部２４は、爪１４の凹溝２５内に挿入
される。そして、この状態において、ばね２３に
より付勢される抜け止めピン１９は、爪１４を上
方に付勢することとなる。

一方、爪１４のマスタージヨー１からの取り外
しは、第４図に示すような交換工具の把持部２７
を持ち、押圧部２８を爪１４に形成される貫通孔
２６に挿入し、抜け止めピン１９を押圧した状態
で、爪１４を下方に引き抜くことにより行なわれ
る。

以上のように構成されたチヤツクジヨーでは、
爪１４を案内部１０に沿つて摺動することによ
り、爪１４部のみをワンタッチで交換できるよう
に構成したので、従来のようにボルト４の取り付
け，取り外しを行なう必要がなくなり、交換を迅
速かつ確実に行なうことができる。

また、工作物２９をチヤツクした状態において
は、その反力がジヨー側テーパ面８に直角な方向
に作用し、この力により、爪１４は、案内部１０
の前面３０側に向けて押圧され、確実に案内部１
０の前面３０に密着するため、工作物のチヤツキ
ング力が確実になると共に振動等により、爪１４
に無理な力が作用することはなくなり耐久性の高
いチヤツクジヨーを得ることができる。さらに爪
１４は、案内部１０に確実に案内されることとな
るため爪１４の交換により位置精度が狂うことは
なく、繰り返し精度の高いチヤツクジヨーを得る
ことができる。

なお、以上述べた実施例では、爪１４にＴ溝１
５を形成した例について説明したが、例えばあり
溝を形成しても良いことは勿論である。その場
合、案内部１０の案内突起１２はその溝に合致す
る形状となる。

(ヘ) 考案の効果 以上述べたように本考案のチヤツクジヨーによ
れば、交換を迅速かつ確実に行なうことができ、
また工作物のチヤツキング力が確実になると共
に、耐久性および繰り返し精度の優れたチヤツク
ジヨーを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のチヤツクジヨーの一実施例を
示す縦断面図，第２図は第１図の−線に沿う
横断面図、第３図は第１図の正面図、第４図は交
換工具を示す側面図である。 １……マスタージヨー、８……ジヨー側テーパ
面（工作物への対向面）、９……案内支持部、１
０……案内部、１４……爪、１６……爪側テーパ
面（対向面との接合面）、１９……抜け止めピン、
２５……凹溝、２６……貫通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作物への対向面に案内支持部が突出して設け
   られるマスタージヨーの前記案内支持部から前方
   に向けて案内部が形成され、その案内部に沿つて
   前記対向面側へ摺動自在に爪が配置されると共
   に、案内部にばねで付勢された抜け止めピンが配
   置され、その抜け止めピンの先端形状が円錐形状
   を有し、爪の案内部側に抜け止めピンと係合する
   円錐形状の凹溝が形成され、爪に前面から後面へ
   向けて抜け止めピンの後退に用いられる貫通孔が
   形成され、更に爪の前記対向面に対向する面と対
   向面との接合面が前面から後面へ向けて上昇して
   傾斜するテーパ面になつていることを特徴とする
   チヤツクジヨー。