JPH0339514Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、長尺の布帛を上下に往復させなが
ら前送りし、その間に布帛を洗浄するようにした
布帛の垂直走行式洗浄装置に関するものである。

（従来の技術） 布帛の洗浄装置として、多数個のガイドローラ
を洗浄槽の上方と洗浄槽の洗浄液内との上下２段
に配列し、この上下２段のガイドローラに長尺の
布帛を千鳥状に掛けて前送りし、布帛を洗浄液に
繰返し浸漬して洗浄するようにした布帛の垂直走
行式洗浄装置が知られている。

（考案が解決しようとする課題） 従来の垂直走行式洗浄装置は、大型の洗浄槽の
上方および内側に並べた上下２段のガイドローラ
に長尺の布帛を千鳥状に掛けて移送し、洗浄槽に
満たした洗浄液中に上記の布帛を上向き、下向き
に交互に通すものであるから、大量の洗浄液を必
要とし、かつ洗浄効果が低いという問題があつ
た。

この考案は、少量の洗浄液で効果的に布帛を洗
浄することができる布帛の垂直走行式洗浄装置を
提供するものである。

（課題を解決するための手段） 洗浄用チヤンバー内に布帛Ｆを上下に往復させ
ながら前送りするための上部ガイドローラ、下部
ガイドローラおよび上部ガイドローラの下側で布
帛を屈曲させるためのローラ状もしくはバー状の
布帛ガイドをそれぞれ多数個配設し、各上部ガイ
ドローラの上方に洗浄液を上部ガイドローラ上へ
流下させるための上部液槽を設け、下部ガイドロ
ーラの下方にその下半部を個別に浸漬するための
下部液槽およびこれらの下部液槽から溢流する洗
浄液を貯留するための貯液槽をそれぞれ設け、こ
の貯液槽内の洗浄液を上部液槽に循環させるため
の循環パイプを設け、洗浄用チヤンバーの出口側
に位置する下部ガイドローラおよび絞りローラを
介して導出させる布帛上に洗浄液を噴射するため
のシヤワー管を設ける。

なお、複数個の洗浄用チヤンバーを前後に並べ
て設け、これらの洗浄用チヤンバーに長尺の布帛
を順に通して洗浄を繰返す場合は、布帛進行方向
に対して前方に位置する洗浄用チヤンバー内貯液
槽の一部の洗浄液を後方の洗浄用チヤンバーの布
帛出口側シヤワー管に送るための液送管を設ける
ことができる。

（作用） 洗浄用チヤンバー内に導入された布帛Ｆは、上
下のガイドローラに巻掛けられて上下に往復しな
がら前進し、出口側下部ガイドローラおよび絞り
ローラを介して導出される。

出口側下部ガイドローラから絞りローラに向か
う布帛上にシヤワー管から洗浄液が供給される
と、この洗浄液は、上記の布帛に沿つて出口側下
部ガイドローラの直下の下部液槽に流入し、この
下部液槽を満たした後、この下部液槽から溢流し
て貯液槽に流入し、この貯液槽から循環パイプに
よつて多数の上部液槽に送られ、この上部液槽か
らその直下の上部ガイドローラ上に個別に流下す
る。そして、この洗浄液は、上部ガイドローラに
掛けられている布帛を伝つて流下し、布帛を
「く」の字形に屈曲している布帛ガイドと布帛と
が布帛ガイド上に形成しているくさび状空間に貯
められ、上記布帛を貫通して更に下方へ流下し、
しかる後、下方の各下部液槽に受けられ、溢流し
たのち貯液槽から循環パイプを介して上部液槽に
戻される。したがつて、布帛は、下部ガイドロー
ラによる下部液槽への浸漬と上部ガイドローラお
よび布帛ガイドにおける洗浄液の供給、貫通とを
交互に受けて洗浄され、導出の際にシヤワー管か
ら噴射される新鮮な洗浄液で洗浄される。

なお、出口側のシヤワー管から新鮮な洗浄液が
供給され、上部液槽、下部液槽および貯液槽の洗
浄液が循環されるので、シヤワー管から供給され
る新鮮な洗浄液の分だけ系内の洗浄液が増加す
る。したがつて、複数個の洗浄用チヤンバー１を
前後に並べて設けた場合は、洗浄液の増加分を貯
液槽から液送管を介して布帛進行方向に対して後
方の洗浄用チヤンバーの出口側シヤワー管に送る
ことによつて、洗浄液を効果的に利用することが
できる。

（実施例） 図面において、洗浄用チヤンバー１は、縦長に
作られ、図の左側に布帛Ｆの導入口１ａが、右側
に布帛Ｆの導出口１ｂがそれぞれ開口し、側面に
作業員の出入のための扉１ｃが設けられている。
上記の洗浄用チヤンバー１の内側上方に３本の上
部ガイドローラ２が、また下方に４本の下部ガイ
ドローラ３がそれぞれ設けられ、かつ上部ガイド
ローラ２の布帛進み側直下に中間ガイドローラ４
が設けられ、上下のガイドローラ２，３に布帛Ｆ
を千鳥掛けしたとき、上部ガイドローラ２から下
部ガイドローラ３へ向かう布帛Ｆが「く」の字形
に曲げられ、中間ガイドローラ４の上にくさび状
空間が形成されるようになつている。そして、導
出口１ｂの外方にはエキスパンダローラ５、絞り
ローラ６およびダンサローラ７が順に設けられ、
エキスパンダローラ５および絞りローラ６の中間
上方にシヤワー管８が、また下方に液受け板９が
それぞれ設けられている。なお、上記の洗浄用チ
ヤンバー１の前後にも同様の洗浄用チヤンバーが
設けられており、図面では布帛Ｆの進行方向に対
して後方の洗浄用チヤンバー１Ａの下部、エキス
パンダローラ５Ａ、絞りローラ６Ａ、ダンサロー
ラ７Ａ、シヤワー管８Ａおよび液受け板９Ａが示
されている。

上部ガイドローラ２の上方に小型の上部液槽１
０が上部ガイドローラ２ごとに設けられ、この上
部液槽１０に満たされた洗浄液Ｗが上部液槽１０
の布帛進行方向後側から溢流して上部ガイドロー
ラ２の中心よりも布帛進行方向前方寄りに流下す
るように位置決めされる。一方、下部ガイドロー
ラ３の下にその下半部を浸漬させる断面半円径の
下部液槽１１が設けられる。しかして、下部液槽
１１の下方には、チヤンバー１の底板１ｄが導入
側に向かつて下向きに傾斜しており、その下端す
なわち導入口１ａの直下に貯液槽１２が形成さ
れ、上記の下部液槽１１から溢流した洗浄液Ｗが
上記貯液槽１２に直接流下するか、または底板１
ｄを伝つて流入するように形成され、上記の貯液
槽１２はせき板１３によつて主貯液槽１２ａおよ
び補助貯液槽１２ｂに仕切られ、主貯液槽１２ａ
が洗浄液Ｗで満たされると、洗浄液Ｗがせき板１
３を越えて補助貯液槽１２ｂに流入するようにな
つている。そして、主貯液槽１２ａおよび上部液
槽１０が循環パイプ１４で連結され、この循環パ
イプ１４にフイルタ１５および循環用ポンプ１６
が介設され、補助貯液槽１２ｂおよび布帛進行方
向後方に位置するシヤワー管８Ａが液送管１７で
連結され、この液送管１７にフイルタ１８および
液送ポンプ１９が介設される。

上記の構造において、長尺の布帛Ｆは、絞りロ
ーラ６，６Ａに引張られて前進し、ダンサローラ
７，７Ａの変位に応じて調速される。そして、布
帛Ｆの洗浄に使用されて主貯液槽１２ａに貯留さ
れた洗浄液Ｗは、循環パイプ１４のフイルタ１５
で濾過されたのち上部液槽１０に送られる。ま
た、主貯液槽１２ａから補助貯液槽１２ｂに溢流
した洗浄液Ｗは、液送管１７のフイルタ１８で濾
過されたのちシヤワー管８Ａに送られる。

（考案の効果） この考案は、ガイドローラを上下２列に配設
し、下部ガイドローラに掛けた布帛を下部液槽に
浸漬し、洗浄液を布帛の表裏両面に層状に付着さ
せて布帛と共に上昇させ、途中で重力により落下
する洗浄液と衝突させて布帛を洗浄する一方、上
部液槽から溢流する洗浄液を上部ガイドローラの
下の布帛ガイド上のくさび状空間から布帛の反対
側へ貫通させるので、布帛の洗浄が効果的に行な
われる。そして、洗浄液は上部液槽、下部液槽お
よび貯液槽を循環し、布帛出口側のシヤワー管か
らの噴射によつて洗浄液が補給されるので、洗浄
液の使用量を少なくすることができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例の縦断面図である。 １：洗浄用チヤンバー、２：上部ガイドロー
ラ、３：下部ガイドローラ、４：布帛ガイド、
５：エキスパンダローラ、６：絞りローラ、８：
シヤワー管、１０：上部液槽、１１：下部液槽、
１２：貯液槽、１４：循環パイプ、１５，１８：
フイルタ、１６，１９：ポンプ、１７：液送管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 洗浄用チヤンバー内に布帛を上下に往復させな
   がら前送りするための上部ガイドローラ、下部ガ
   イドローラおよび上部ガイドローラの下側で布帛
   を屈曲させるための布帛ガイドをそれぞれ多数個
   配設し、各上部ガイドローラの上方に洗浄液を上
   部ガイドローラ上へ流下させるための上部液槽を
   設け、下部ガイドローラの下方にその下半部を個
   別に浸漬させるための下部液槽およびこれらの下
   部液槽から溢流する洗浄液を貯留するための貯液
   槽をそれぞれ設け、この貯液槽内の洗浄液を上部
   液槽に循環させるための循環パイプを設け、洗浄
   用チヤンバーの出口側に位置する下部ガイドロー
   ラおよび絞りローラを介して導出される布帛上に
   洗浄液を噴出するためのシヤワー管を設けたこと
   を特徴とする布帛の垂直走行式洗浄装置。