JPH0339228B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、１台のヒートポンプを用いて給湯
と冷暖房を行なう給湯・冷暖房ヒートポンプ装置
に関し、特にヒートポンプの運転制御方式の改良
に関するものである。

〔従来技術〕

従来、１台のヒートポンプを用いて給湯及び冷
暖房を行なうヒートポンプ装置としては、第１図
に示すものがある。

第１図において、１は給湯・冷暖房兼用のヒー
トポンプ、２は給湯加熱用の熱交換器、３ａ，３
ｂは上記ヒートポンプ１と給湯加熱用熱交換器２
とを接続する配管、４は配管３ａに設けた給湯・
冷暖房切換用の電磁弁、５は配管３ａの途中に設
けた循環ポンプ、６ａ，６ｂは給湯加熱用熱交換
器２と貯湯槽７間を接続する配管であり、この配
管６ｂの中途には貯湯槽７の湯水を熱交換器２を
介して循環させる給湯用循環ポンプ８が設けられ
ている。９ａ，９ｂは貯湯槽７に接続した給湯用
の２次側配管で、この配管には蛇口１０が設けら
れているとともに、配管の中途には給湯用ポンプ
１１が設けられている。１２は室内熱交換器、１
３ａ，１３ｂは上記室内熱交換器１２とヒートポ
ンプ１ａ〜１ｃ間を接続する空調用配管、１４は
空調用配管１３ｂの中途に介在した空調用ポン
プ、１５は空調用配管１３ａに設けた冷暖房・給
湯切換用電磁弁、１６は貯湯槽７に接続した給水
配管であり、この給水配管１６は給水用電磁弁１
７を介して市水道管等に接続されている。１８は
貯湯槽７の水位検知器、１９は温度センサであ
る。

上記のように構成された従来の装置において、
給湯加熱設定時刻t₁になると、一方の給湯・冷暖
房切換用の電磁弁４が開き、他方の電磁弁１５が
閉じ、かつ給水用電磁弁１７を開として貯湯槽７
へ給水する。これにより貯湯槽７内の給水レベル
が第１図に示すレベルＡに達すると、給水用電磁
弁１７が閉じ、ヒートポンプ１がオンとなり、同
時に循環ポンプ５及び８が起動される。そしてヒ
ートポンプによる貯湯槽７内の水の加熱は、給湯
用熱交換器２を介して行なう（これは給湯水と暖
房用水が混合するのを防ぐため）。

ヒートポンプによる給湯水の加熱量は、外気温
度や貯湯槽２内の水温の影響を受けるので一定で
はなく、槽温度の低い最初のうちは大きく、槽温
度が上昇するにつれて次第に小さくなるので、通
常その温度変化は徐々にゆるやかになつていく。

このようにして上限の設定値温度まで沸き上が
つた時点でヒートポンプ１及び循環ポンプ５，８
は全て停止する。その後、給湯加熱終了予定時刻
t₂になると、電磁弁４が閉じ、電磁弁１５が開
き、かつ空調用ヒートポンプ及び空調用ポンプ１
４が起動して室内熱交換器１２に冷媒を循環し空
調を開始する。また、給湯負荷が発生すると、蛇
口１０から給湯され、貯湯槽７の水位レベルが次
第に下がつていく。上記のような従来のヒートポ
ンプによる給湯・冷暖房装置においては、給湯負
荷に対してヒートポンプの能力が大きい場合に
は、給湯加熱終了予定時刻より、かなり前に貯湯
槽の給湯水が沸き上がつてしまい、貯湯槽熱ロス
が大きくなつたり、給湯用にヒートポンプ１が駆
動されたときに消費電力が異常に大きくなるとい
つた問題があつた。

〔発明の概要〕

この発明は上記のような従来の問題を解消する
ためになされたもので、貯湯槽からの熱ロスを低
減させると共に、消費電力のピークを低減できる
給湯・冷暖房ヒートポンプ装置を提供することを
目的とする。

このためにこの発明の給湯・冷暖房ヒートポン
プ装置は、貯湯槽の設定温度に、時刻と市水温度
の関数として算出した値を利用してヒートポンプ
を制御できるようにしたものである。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例を図面について説明
する。

第２図はこの発明の給湯・冷暖房ヒートポンプ
装置の一例を示すもので、第１図と同一の部分に
は同一符号を付してその説明を省略し、第１図と
異なる部分の構成、即ち特徴部分を重点に述べ
る。

即ち、この発明においては、貯湯槽７の設定温
度を時刻と市水温度から設定し、この設定温度を
もとにヒートポンプ１をオン・オフ制御するため
に、貯湯槽７の給水配管１６に市水の温度を検出
する市水温度検知器２０を設け、この市水温度検
知器２０により検出された市水温度信号はタイマ
付制御装置２１に供給されるようになつていると
ともに、このタイマ付制御装置２１には貯湯槽７
の水位検知器１８及び温度センサ１９の出力信号
が供給されるようになつている。また、上記タイ
マ付制御装置２１からヒートポンプ１に対しオ
ン・オフ制御指令が出力され、さらに各電磁弁
４，１５，１７にも開閉の制御指令が出力されよ
うになつている。

次に上記のように構成された本実施例の動作に
ついて説明する。

本実施例のヒートポンプシステムにおいて、給
水開始設定時刻になると、タイマ付制御装置２１
から電磁弁制御指令が送出され、これにより給
湯・冷暖房切換用電磁弁４を開に、電磁弁１５を
閉にし、さらに給水電磁弁１７を開にして貯湯槽
７へ市水を供給する。

そして、貯湯槽７の給水レベルが第２図のレベ
ルＡに達すると、水位検知器１８が動作してレベ
ルＡの信号をタイマ付制御装置２１に入力し、こ
れによりタイマ付制御装置２１から給水用電磁弁
１７にオフ指令を与えて該弁を閉じ、かつヒート
ポンプ１にオン指令を与えてこれを起動させると
同時に、循環ポンプ５，８を起動する（時刻t₁）。

なお、この場合、従来では貯湯槽の沸き上がり
温度T_Hまでヒートポンプ１がフル運転となる。
しかるにこの発明では給湯加熱開始時刻t₁から給
湯加熱終了予定時刻t₂までの間の各時刻における
貯湯槽の設定温度を、時刻と市水温度との関数か
ら求め、これによつて給湯・冷暖房兼用ヒートポ
ンプ１を給湯加熱終了予定時刻までオン・オフ制
御するのである。

上記のようなシステムにおける時刻設定は、例
えばビジネスホテルや旅館のようにチエツクイ
ン、チエツクアウトの時刻が明確になつている所
で適用し易い。つまり、通常チエツクアウト時刻
が給水開始時刻となり、チエツクイン時刻が給湯
加熱終了予定時刻t₂となる。

さて、上述する各時刻t_xiにおける設定温度T_i
は、市水温度検知器２０により検知した市水温度
T_Cと、貯湯槽７が満水となつた給湯加熱開始時
刻t₁及び貯湯温度T_Hにより次式で与えられる。

T_i＝T_C＋ΔT×（t_xi−t₁） ……(1) 但し、ΔT＝（T_H−T_C）／（t₂−t₁） 上記(1)式によるT_iの演算はタイマ付制御装置２
１で実行される。また、(1)式による運転制御では
貯湯槽温度をほぼリニアに沸き上げるものであ
る。この様子を第３図に示す。

第３図において、横軸はt₁からt₂までの間の各
時刻t_xi（t_x1，t_x2，t_x3）、縦軸はそれら各時刻t_xiに
おける設定温度T_i（T₁，T₂，T₃）を示し、線Ｂ
は(1)式で求まる特性を、はヒートポンプがオン
して給湯水が加熱されその温度が次の時刻t_xiにお
ける設定温度T_iに達する迄の状態を、は設定温
度T_iに達しヒートポンプがオフして給湯水がほぼ
一定の温度で維持し時刻t_xiに達する迄の状態を表
わしている。

次に、具体例を第３図により説明する。今、給
湯加熱開始時刻t₁を午後０時、給湯加熱終了予定
時刻t₂を午後４時、市水温度T_Cを20℃、貯湯温度
T_Hを60℃とすると、(1)式より単位時間当りの貯
湯温度ΔTは10℃、１時間後の時刻t_x1、午後１時
における設定温度T₁＝30℃、午後２時における
設定温度T₂＝40℃、午後３時における設定温度
T₃＝50℃がそれぞれ算出される。それから、時
刻t₁の午後０時においてヒートポンプ１がオンし
て給湯水の加熱が開始されその温度が第３図の
のように上昇し、次の時刻t_x1午後１時における
設定温度30℃に達するとヒートポンプ１がオフ
し、以後のように給湯水はほぼ一定の温度を維
持し、タイマが午後１時を検出すると、再びヒー
トポンプ１がオンして今度は次の時刻t_x2午後２
時における設定温度40℃に達する迄加熱される。
このように今後との状態が繰り返され、貯湯
温度は午後２時には40℃、午後３時には50℃とな
り、給湯加熱終了予定時刻の午後４時には目標貯
湯温度60℃に加熱される。

なお、上記実施例では給湯加熱終了予定時刻t₂
をチエツクイン時刻としたが、余裕をみて、チエ
ツクインの１〜２時間前としても良い。

〔発明の効果〕

以上説明した通り、この発明によれば、市水温
度を加味した貯湯槽の設定温度と時刻の関数でヒ
ートポンプをオン・オフ制御し、給湯負荷発生の
直前までに給湯水が沸き上がるようにしたもので
あるから、長時間高温で貯湯する必要がなく、貯
湯槽からの熱損失を低減できるとともに、給湯加
熱時間一杯を使つて沸かすので、ヒートポンプの
運転直後に消費電力のピークが現われず、消費電
力が平均化できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の給湯・冷暖房ヒートポンプ装置
の構成図、第２図はこの発明の給湯・冷暖房ヒー
トポンプ装置の一例を示す構成図、第３図はこの
発明における給湯加熱運転時の温度特性を示す説
明図である。 １……給湯・冷暖房兼用のヒートポンプ装置、
２……給湯加熱用熱交換器、３ａ，３ｂ……配
管、４……電磁弁、５……循環ポンプ、６ａ，６
ｂ……配管、７……貯湯槽、８……給湯用循環ポ
ンプ、９ａ，９ｂ……配管、１０……蛇口、１２
……室内熱交換器、１３ａ，１３ｂ……配管、１
４……空調用ポンプ、１５……電磁弁、１６……
市水配管、１７……電磁弁、１８……水位検知
器、１９……温度センサ、２０……市水温度検知
器、２１……タイマ付制御装置。なお、図中同一
符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ １台のヒートポンプを用いて給湯と冷暖房を
   可能にした給湯・冷暖房システムにおいて、上記
   システムを構成する貯湯槽に温度センサ及び水位
   検知器を設けるとともに、上記貯湯槽に供給され
   る市水の温度を検知する市水温度検知器を設け、
   さらに上記温度センサ及び市水温度検知器からの
   信号と時刻データをもとに、給湯加熱開始時刻か
   ら給湯加熱終了予定時刻までの間の各時刻におけ
   る貯湯槽の設定温度を算出し、かつこの算出され
   た設定温度にしたがつて上記ヒートポンプを上記
   給湯加熱開始時刻から給湯加熱終了予定時刻まで
   オン・オフ制御するタイマ付制御装置を設けたこ
   とを特徴とする給湯・冷暖房ヒートポンプ装置。 ２ タイマ付制御装置は、給湯加熱開始時刻t₁か
   ら終了予定時刻t₂迄の給湯加熱時間（t₂−t₁）の
   各時刻t_xiにおける設定温度T_iを、貯湯温度T_Hと
   市水温度T_Cとの差（T_H−T_C）を上記給湯加熱時
   間（t₂−t₁）で除した単位時間当りの貯湯温度差
   ΔTに給湯加熱開始時刻t₁から各時刻t_xi迄の経過
   時間（t_xi−t₁）を乗じた値ΔT×（t_xi−t₁）を市水
   温度T_Cに加えて算出し、この算出設定温度T_iに
   従つて１つ前の時刻t_x(i-1)とこの時刻t_xiとの間で
   ヒートポンプをオンオフ制御するようになつてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   給湯・冷暖房ヒートポンプ装置。