JPH0337676B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、水道管等の流体管の破損箇所を補強
し乍ら圧力流体の漏洩を防止する場合に用いられ
る流体管の漏洩止装置に関する。

この種の流体管の漏洩止装置としては、従来か
ら第１３図乃至第１６図で示すように、流体管１
の外周部において周方向から互いに円筒状に固定
連結ならびに連結解除自在な複数個の円筒状殻体
４と、この円筒状殻体４の内面側周縁に沿つて連
続形成された周方向に沿う段部４ｂ，４ｂにわた
つて、嵌合保持されるループ状の弾性パツキン５
とを備えたものが存在する。

このような従来装置を使用しての流体漏洩防止
工事をみると、流体管１に外套状態で仮止めまた
は本止め連結された先組円弧状殻体４，４に対し
て最終順位の円弧状殻体４を固定連結する際、流
体管１の破損箇所ａから漏洩した圧力流体が隣接
円弧状殻体４，４の連結部間および円弧状殻体４
と流体管１外周面の間から激しい勢いで外部に流
出する。このとき、パツキン５の管軸方向に沿う
パツキン部分５ａ，５ａが、それの内面側に受け
る大なる流体圧によつて円弧状殻体４の段部４
ｂ，４ｂから外れ、かつ、そのパツキン部分５
ａ，５ａの管軸線方向での中央部が、第１４図及
び第１６図に仮想線で図示したように管半径方向
外方側に大きく突出変形しやすい。

すなわち、前記パツキン５の管軸線方向に沿う
パツキン部分５ａ，５ａに対しては、第１３図に
矢印(イ)，（イ′），(ロ)，（ロ′）で示すように、漏
洩
した流体の圧力が、管周方向に沿う矢印(イ)，
（イ′）および管半径方向に沿う矢印(ロ)，（ロ′）に
沿う両方向に作用し、その両方向の合成方向に前
記パツキン部分５ａ，５ａが変形させられようと
する。それ故、この状態で円弧状殻体４，４どう
しを固定連結すると、漏洩止めが不確実になるた
め、パツキン５のパツキン部分５ａ，５ａを大な
る流体圧に抗して円弧状殻体４の段部４ｂ，４ｂ
に押し込みながら固定連結しなければならず、漏
洩止工事に多大な労力と時間を要する問題があつ
た。

本発明は、管軸方向に沿う姿勢のパツキンの変
形による漏洩止めの不確実さを回避するととも
に、施工し易く、また、より確実な漏洩止めを行
い易い構成の漏洩止装置を、簡単な構造改良によ
つて提供することに、その目的がある。

上記目的を達成するために、本発明は、流体管
の外周部に固定連結自在で、連結によつて円筒状
に形成される複数個の円弧状殻体と、この夫々の
円弧状殻体内面の周縁に沿つて連通形成した周方
向の凹部及び管軸方向の段部に嵌合保持される複
数個の弾性パツキンとを備えた流体管の漏洩止装
置において、前記各パツキンに、前記段部に対応
するとともに隣接する前記円弧状殻体間で挾持さ
れ、かつ、管軸方向に沿う姿勢で流体管の外周面
に接するパツキン部分と、前記凹部に対応すると
ともに管周方向に沿う姿勢で前記流体管の外周面
に接するパツキン部分とを形成し、前記管軸方向
のパツキン部分にこのパツキン部分の管周方向な
らびに管半径方向外方側への弾性変位を規制する
帯状体を付設したことを特徴とするものである。

したがつて、本発明によれば次の作用効果を期
待できる。

イ 流体管の破損箇所からの流体漏れを防止する
際、吐出する流体圧で、管軸方向に沿うパツキ
ン部分の内側面に対して管半径方向外方への大
なる流体圧が作用しても、前記帯状体の存在に
よつて前記流体圧に対抗できる。そのために、
従来のような、圧力流体に抗してのパツキン部
分の押し込みを不用または極力減少できるとと
もに、漏洩止工事を迅速に行える効果がある。

ロ 本発明の漏洩止装置は、円弧状殻体に対応し
て弾性パツキンを複数個に分割しているので、
水道管等の流体管の外周に円弧状殻体を装着す
る際、例えば実公昭46−5403号公報に記載され
た従来構成のように弾性パツキンを一連の帯状
にしたものに比べて、破損箇所から吹き出す水
を複数に分散して隣接する円弧状殻体の間から
の吐出水を減少できる。そのために、パツキン
部分の内側面に作用する前記流体圧を減少し、
前記帯状体の作用を効果的なものにできる。

ハ 前記各パツキンに、管軸方向に沿う姿勢で流
体管の外周面に接するパツキン部分と、管周方
向に沿う姿勢で流体管の外周面に接するパツキ
ン部分とを形成しているので、分割した各パツ
キンの、方向の異なる前記パツキン部分と流体
管との接当で、このパツキンおよび前記殻体の
半径方向での中心を流体管の中心に合わせ易
く、従つて、分割した各パツキンの締め付けに
伴う、管表面に対しての接触部分の面圧が、管
周方向ならびに管軸方向の両方向で極力均等に
なるようにして漏洩止めを確実にできる。

ニ 管軸方向のパツキン部分に帯状体を付設する
だけで以上の作用効果を得られるので、例えば
前記パツキン部分に管軸芯方向に沿う芯金を埋
設する構成等に比べて容易に実施でき、コスト
の低廉化を図れる。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図乃至第５図で示すように、流体管の一例
である水道管１の漏洩止装置を構成するに、水道
管１の外周部において周方向からボルト・ナツト
２，３を介して円筒状に固定連結ならびに連結解
除自在な３個の円弧状殻体４と、この円弧状殻体
４の内面側周縁に沿つて連通形成された周方向に
沿う凹部４ａ，４ａ及び管軸方向に沿う段部４
ｂ，４ｂに亘つて嵌合保持されるループ状のゴム
パツキン５とを設けるとともに、前記パツキン５
の、管軸方向に沿う一対のパツキン部分５ａ，５
ａ及び周方向に沿う一対のパツキン部分５ｂ，５
ｂの全域に亘つて、円弧状殻体４の内面周縁部分
との接当により、パツキン５の管軸方向パツキン
部分５ａ，５ａの半径方向外方への弾性変位を規
制可能なゴム製帯状体６を一体成形している。

前記円弧状殻体４は、周方向の両端縁において
半径方向外方に突出する連結フランジ４ｃ，４ｃ
を備え、かつ、周方向視における断面形状が管軸
芯方向中央部ほど半径方向外方に突出するほぼＶ
の字状に構成されている。

そして、水道管１の外周部において、３個のパ
ツキン５付き円弧状殻体４を固定連結して、水道
管１の破損箇所ａからの水漏れを防止する際、パ
ツキン５の管軸方向パツキン部分５ａ，５ａの内
側面に対して半径方向外方への大なる水圧が作用
しても、前記円弧状殻体４の周縁部内面と帯状体
６との接当による押え作用と、半径方向内方への
相互引つ張り作用との相乗により、このパツキン
部分５ａ，５ａの半径方向外方への弾性変位を良
好に規制することができるから、パツキン部分５
ａ，５ａを大なる圧力流体に抗して押し込む必要
がなく、水道水の漏洩止工事を少ない労力で迅速
に行なうことができるのである。

また、第３図に示すように、自然状態におい
て、つまり、ゴムパツキン５に水圧が作用してい
ない状態において、前記帯状体６と円弧状殻体４
の内面との間に間隙Ｓが形成されている場合に
は、水圧作用時における帯状体６の円弧状殻体４
内面側への弾性変形により、パツキン部分５ａ，
５ａの半径方向外方への弾性変位を一層効果的に
抑制することができるのである。

更に、上述のように、前記帯状体６がゴムパツ
キン部分５ａ，５ａ及び５ｂ，５ｂの全域に亘つ
て設けている場合には、円弧状殻体４と帯状体６
との間の間隙Ｓに水が侵入することを防止するこ
とができるから、この円弧状殻体４内面の錆付き
を良好に抑制することができるのである。

次に、別実施例について列記する。

(イ) 第６図で示すように、ゴムパツキン５のパツ
キン部分５ａ，５ａ及び５ｂ，５ｂの全域に亘
つて一体成形される帯状体６の内面に補強リブ
６ａ・・を連設する。

(ロ) 第７図，第８図で示すように、前記帯状体６
を、前記パツキン５の、管軸方向に沿う一対の
パツキン部分５ａ，５ａの中央部に亘つて一体
成形する。

(ハ) 第９図で示すように、前記帯状体６を、前記
パツキン５の、管軸方向に沿う一対のパツキン
部分５ａ，５ａの中央部及び周方向に沿う一対
のパツキン部分５ｂ，５ｂの中央部に亘つて十
字状に一体成形する。

(ニ) 第１０図で示すように、前記帯状体６を、前
記パツキン５の、管軸方向に沿う一対のパツキ
ン部分５ａ，５ａとこれに連なる周方向パツキ
ン部分５ｂ，５ｂの一部とに亘つて一体成形す
る。

(ホ) 第１１図，第１２図で示すように、前記パツ
キン５の、管軸方向に沿う一対のパツキン部分
５ａ，５ａの中央部に亘つて取付けられる帯状
体６を、パツキン５とは別の材料、例えば、布
や板バネなどから製作する。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符合を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本発明に係る流体管の漏洩
止装置の実施例を示し、第１図は正面図、第２図
は第１図の−線断面図、第３図は第２図の
−線断面図、第４図はパツキンの斜視図、第５
図は第４図の−線断面図である。第６図、第
７図、第９図乃至第１１図は夫々別の実施例を示
す断面図及び斜視図であり、第８図は第７図の
−線断面図、第１２図は第１１図のXII−XII線断
面図である。第１３図乃至第１６図は従来の漏洩
止装置を示し、第１３図はパツキンの斜視図、第
１４図は第１３図の−線断面図、第１５
図，第１６図は夫々断面図である。 １……流体管、４……円弧状殻体、４ａ……凹
部、４ｂ……段部、５……弾性パツキン、５ａ…
…パツキン部分、６……帯状体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流体管１の外周部に固定連結自在で、連結に
   よつて円筒状に形成される複数個の円弧状殻体４
   と、この夫々の円弧状殻体４内面の周縁に沿つて
   連通形成した周方向の凹部４ａ，４ａ及び管軸方
   向の段部４ｂ，４ｂに嵌合保持される複数個の弾
   性パツキン５とを備えた流体管の漏洩止装置にお
   いて、前記各パツキン５に、前記段部４ｂ，４ｂ
   に対応するとともに隣接する前記円弧状殻体４，
   ４間で挾持され、かつ、管軸方向に沿う姿勢で流
   体管１の外周面に接するパツキン部分５ａ，５ａ
   と、前記凹部４ａ，４ａに対応するとともに管周
   方向に沿う姿勢で前記流体管１の外周面に接する
   パツキン部分５ｂ，５ｂとを形成し、前記管軸方
   向のパツキン部分５ａ，５ａにこのパツキン部分
   ５ａ，５ａの前記管周方向ならびに管半径方向外
   方側への弾性変位を規制する帯状体６を付設した
   ことを特徴とする流体管の漏洩止装置。 ２ 前記帯状体６が前記パツキン５の、管軸方向
   に沿う一対のパツキン部分５ａ，５ａの中央部に
   亘つて取付けられたものである特許請求の範囲第
   １項に記載の漏洩止装置。 ３ 前記帯状体６が前記パツキン５の、管軸方向
   に沿う一対のパツキン部分５ａ，５ａの中央部及
   び周方向に沿う一対のパツキン部分５ｂ，５ｂの
   中央部に亘つてほぼ十字状に取付けられたもので
   ある特許請求の範囲第１項に記載の流体管の漏洩
   止装置。 ４ 前記帯状体６が前記パツキン５の、管軸方向
   に沿う一対のパツキン部分５ａ，５ａ及び周方向
   に沿う一対のパツキン部分５ｂ，５ｂの全域に亘
   つて取付けられたものである特許請求の範囲第１
   項に記載の流体管の漏洩止装置。 ５ 前記帯状体６が前記パツキン５と一体成形さ
   れたものである特許請求の範囲第１項乃至第４項
   の何れかに記載の流体管の漏洩止装置。 ６ 前記帯状体６が前記パツキン５とは各別に構
   成されたものである特許請求の範囲第１項乃至第
   ４項の何れかに記載の流体管の漏洩止装置。